JP2010214275A - 液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリコール類及びアミン類を含む洗浄用組成物を用いた液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法において、洗浄後の洗浄用組成物からの析出物発生を抑制して、該洗浄用組成物の再利用を可能とする洗浄方法を提供する。
【解決手段】本発明の液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法は、
洗浄用組成物を準備し、これを液晶性ポリエステル製造装置内で、温度205〜250℃で蒸発・還流させるように加温する加温・洗浄工程;
蒸発が停止するまで冷却した後、洗浄後の洗浄用組成物を回収し、この洗浄用組成物のグリコール類及びアミン類の含有割合を求める回収・分析工程;
求められた含有割合により、洗浄後の洗浄用組成物にグリコール類及び/又はアミン類を添加し、洗浄用組成物を再生する再生工程;
を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法に関する。
液晶性ポリエステルは、耐熱性、耐溶剤性に優れることから、各種電子部品や工業部品の製造用材料として用いられている。一般に、液晶性ポリエステルは、その原料モノマー類の一部をエステル形成性誘導体に転換してから縮重合することで製造される。典型的には、芳香族ヒドロキシカルボン酸などをアセチル化して得られるアシル化物をエステル形成性誘導体として用い、このアシル化物を含む原料モノマー類を加熱して縮重合せしめることで液晶性ポリエステルは製造される(例えば、特許文献1参照)。
このような液晶性ポリエステル製造において、縮重合後に液晶性ポリエステル製造装置(縮重合槽)から液晶性ポリエステルを抜出すとき、縮重合槽から全ての液晶性ポリエステルを取り出すことはできないため、その一部が該縮重合槽の内壁などに残存する。そこで、この残存物(残存液晶性ポリエステル)を洗浄・除去するための洗浄方法が必要であり、特定の洗浄用組成物を用いた洗浄方法が種々検討されている。たとえば、特許文献2には、グリコール類及びアミン類からなる洗浄用組成物を用いる液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法が提案されている。
特開2004−331829号公報 特開平5−295392号公報
ところで、液晶性ポリエステル製造の低コスト化のためには、この洗浄後洗浄用組成物を洗浄ごとに廃棄するのではなく、数回再利用することが求められている
しかしながら、特許文献2の洗浄用組成物は、液晶性ポリエステル製造装置の洗浄性に極めて優れているものの、洗浄後の洗浄用組成物(洗浄後洗浄用組成物)を冷却すると析出物が発生し易く、この洗浄後洗浄用組成物を再利用するため保管したとしても、保管中に析出物が発生して再利用すること自体が困難になることを本発明者等は見出した。また、このように析出物が発生し易い洗浄後洗浄用組成物では再利用する回数にしたがって、液晶性ポリエステル製造装置の洗浄性低下の度合いも著しくなるという問題もある。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みて成したものであり、上述の洗浄用組成物を用いた液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法において、洗浄後洗浄用組成物の再利用を可能とする洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶性ポリエステル製造装置の洗浄過程で特定の温度により洗浄を行うと、洗浄後洗浄用組成物からの析出物発生が十分抑制でき、該洗浄後洗浄用組成物は、適切な再生処理を行うことにより再利用することができるという知見を得、この知見を活かして本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の<1>を提供するものである。
<1>以下の(i)〜(vii)の工程を有する液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法
(i)グリコール類及びアミン類を所定の含有割合で含有する洗浄用組成物を準備する準備工程;
(ii)前記(i)で準備した洗浄用組成物を、液晶性ポリエステル製造装置内に投入する投入工程;
(iii)投入された洗浄用組成物をその温度が205〜250℃になるまで加温し、該洗浄用組成物を蒸発・還流させる加温工程;
(iv)前記洗浄用組成物の蒸発・還流を所定時間保持し、液晶性ポリエステル製造装置内を洗浄する洗浄工程;
(v)洗浄後の洗浄用組成物(洗浄後洗浄用組成物)の蒸発が停止するまで冷却し、液晶性ポリエステル製造装置から抜き出して回収する回収工程;
(vi)前記(v)で回収された洗浄後洗浄用組成物の組成分析を行い、グリコール類及びアミン類の含有割合を求める分析工程;
(vii)前記(v)で求められた含有割合に基づき、前記(i)で準備した洗浄用組成物の所定の含有割合と略同じになるように、洗浄後混洗浄用合物にグリコール類及び/又はアミン類を追加して、洗浄用組成物を再生する再生工程;
さらに、本発明は以下の<2>〜<4>を提供する。
<2>前記(i)で準備された組成物におけるアミン類の含有割合が、該組成物の総質量に対して5〜20質量%である、<1>の液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法
<3>前記グリコール類が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、<1>又は<2>の液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法
<4>前記アミン類が、アルカノールアミン及び芳香族アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、<1>〜<3>のいずれかの液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法
本発明の洗浄方法によれば、液晶性ポリエステル製造装置洗浄後の洗浄後洗浄用組成物からの析出物の発生を良好に抑制することが可能であり、当該洗浄後洗浄用組成物は適切な再生処理によって、液晶性ポリエステル製造装置の洗浄性が十分な洗浄用組成物に再生することができる。
本発明の洗浄方法で洗浄された液晶性ポリエステル製造装置は、残存液晶性ポリエステルを十分除去できるため、該液晶性ポリエステル製造装置を用いて得られる液晶性ポリエステルの品質を十分良好に維持でき、かつ洗浄後洗浄用組成物の再生利用により液晶性ポリエステル製造の低コスト化も実現できるため、産業上極めて有用である。
本発明の液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法は、前記の(i)準備工程、(ii)投入工程、(iii)加温工程、(iv)洗浄工程、(v)回収工程、(vi)分析工程及び(vii)再生工程を有することを特徴とする。
以下、本発明の洗浄方法について、洗浄の対象となる液晶性ポリエステル、洗浄方法に関する前記(i)〜(vii)の各工程に関し順次説明する。
<液晶性ポリエステル>
まず、本発明の洗浄方法における洗浄の対象である液晶性ポリエステルに関して説明する。
液晶性ポリエステルとは、光学的異方性を有する溶融相を形成する(液晶特性を示す)ポリエステルであり、芳香環がエステル結合(−CO−O−又は−O−CO−)により連結してなる全芳香族ポリエステル、該全芳香族ポリエステルのエステル結合の一部がアミド結合(−CO−NH−又は−NH−CO−)に置き換わった全芳香族ポリ(エステル−アミド)、又は該全芳香族ポリエステルの一部がアルキル結合(−(CH−)に置き換わった半芳香族ポリエステルなどが挙げられる(nは任意の整数)。
液晶性ポリエステルは、例えば、原料モノマーとして、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸を用いて製造される。
芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、2―ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2―ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1―ヒドロキシ−4−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−カルボキシジフェニルエーテル、2,6−ジクロロ−パラヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−パラヒドロキシ安息香酸、2,6−ジフルオロ−パラヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸などを挙げることができる。これらは液晶性ポリエステル製造において、単独でも2種以上組み合わせて用いることもある。これらのうち、得られる液晶性ポリエステルの機械強度などの特性が良好となる点と、経済性の点で、パラヒドロキシ安息香酸及び/又は2―ヒドロキシ−6−ナフトエ酸が好適である。
芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、アセトキシハイドロキノン、ニトロハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2―ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2―ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどを挙げることができる。これらは液晶性ポリエステル製造において、単独でも2種以上組み合わせて用いることもある。これらのうち、得られる液晶性ポリエステルの機械強度、耐熱性などの特性が良好となる点と、経済性の点では、4,4’−ジヒドロキシビフェニル及び/又はハイドロキノンが好適である。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、1,5―ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルケトン−4,4’−ジカルボン酸、2,2’―ジフェニルプロパン−4,4’−ジカルボン酸などを挙げることができる。これらは液晶性ポリエステル製造において、単独でも2種以上組み合わせて用いることもある。これらのうち、得られる液晶性ポリエステルの機械強度、耐熱性などの特性が良好となる点と、経済性の点では、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸が好適である。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールのそれぞれの使用比率は、得られる液晶性ポリエステルが十分な液晶性を発現できる範囲で決定される。好適には、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールの合計100モルに対して、通常、芳香族ヒドロキシカルボン酸が約30〜80モルの範囲、芳香族ジカルボン酸が約10〜35モルの範囲、芳香族ジオールが約10〜35モルの範囲からそれぞれ選ばれる。
<液晶性ポリエステルの縮重合(溶融重合)及び製造装置>
次に、液晶性ポリエステルの製造方法について、工程ごとに説明する。
この液晶性ポリエステルの製造装置の縮重合槽としては、攪拌槽型(縦型)反応器、濡壁塔型反応器、又は横型反応器を挙げることができる。このような縮重合槽には適当な攪拌手段が設けられている。縮重合槽として、縦型の撹拌槽を使用する場合には、多段のパドル翼、タービン翼、ダブルヘリカム翼、錨形翼、櫛形翼などの攪拌翼を備えた攪拌手段が好適である。
アシル化
本発明の洗浄対象となる液晶性ポリエステルの製造では、エステル形成性誘導体としてアシル化物を用いる。
該アシル化物は、ヒドロキシル基を有する化合物[芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオール]に対し、無水酢酸を反応させることにより、これらの化合物のヒドロキシル基をアシル基に転換する(アシル化反応)。このようなアシル化反応は、特開2004−256673号公報に開示されているアシル化が、その操作が簡便であることから好適である。
かかる公報には、予め、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ジカルボン酸を混合して混合物を得、該混合物に無水酢酸を混合することでアシル化することが記載されている。そして、該アシル化工程は、窒素雰囲気中、130〜180℃で実施させることにより、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールにあるヒドロキシル基がアシル化され、それぞれ相当するアシル化物(芳香族ヒドロキシカルボン酸アシル化物および芳香族ジオールアシル化物)となる。また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ジカルボン酸の使用比率は、得られる液晶ポリエステルの目標特性に合わせて調整されるものであるが、これら原料モノマーからなる混合物中のヒドロキシル基とカルボキシル基との当量比が、0.9〜1.1であることが好ましい。
なお、無水酢酸の使用量は、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールのヒドロキシル基の合計に対して、通常0.95〜1.2倍当量であり、1.00〜1.18倍当量がより好ましい。また、アシル化に係る反応時間は、使用する芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールの種類や使用量により調整されるが、工業生産の効率を勘案すると、15分〜3時間の範囲であることが望ましい。
また、このアシル化の段階で、反応系中に芳香族ジカルボン酸を共存させていてもよい。これは、芳香族ジカルボン酸は、無水酢酸により何ら影響を受けないため、アシル化反応に対し何ら悪影響を及ぼさないためである。
溶融重合
前記アシル化に続く溶融重合は、前記アシル化物のアシル基と、芳香族ヒドロキシカルボン酸アシル化物及び芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基とを、エステル交換を生じさせて、重合することにより、液晶性ポリエステルを製造するものである。
該溶融重合では、上述のように副生する酢酸等を留出させるため、分縮器を設けた縮重合槽中で実施される。また、この縮重合槽には、上述のとおり、適当な攪拌手段が備えられている。
溶融重合は、130〜400℃の範囲で0.1〜50℃/分の割合で昇温させながら行うことが好ましく、150〜350℃の範囲で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行うことがより好ましい
また、この溶融重合は適当な触媒の存在下で行うこともできる。この触媒としてはポリエステル製造用として用いられる公知のものが使用可能であるが、得られる液晶性ポリエステルの着色を十分に防止する等の点では、該触媒として窒素原子を2原子以上含む複素環状有機塩基化合物が好適なことを本発明者等は見出している。このような複素環状有機塩基化合物を用いると、重合反応はより円滑に進行し易くなり、得られる液晶ポリエステルの着色を十分抑制できる。
この窒素原子を2原子以上含む複素環状有機塩基化合物としては、例えば、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ジピリジリル化合物、フェナントロリン化合物、ジアザフェナントレン化合物等が挙げられる。これらの中で、反応性の観点からはイミダゾール化合物が好ましく使用され、入手が容易であることから1−メチルイミダゾール及び/又は1−エチルイミダゾールがより好ましく使用される。なお、該複素環状有機塩基化合物は、上述のアシル化工程の前に、原料モノマーとともに仕込むこともできるし、アシル化工程終了後、重合工程前に仕込むこともできるし、アシル化工程の前に、原料モノマーとともに仕込み、さらにアシル化工程終了後、重合工程前に追加することもできる。
溶融重合後の液晶性ポリエステルは、その流動開始温度が200℃以上280℃以下であると機械強度や耐熱性等に優れる傾向があり、本分野で通常用いられる固相重合によって液晶性ポリエステルを高分子量化し、より高い耐熱性を有する液晶ポリエステルを得ることもできる。なお、ここでいう流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を意味し、該流動開始温度は当技術分野で周知の液晶ポリエステルの分子量を表す指標である(小出直之編、「液晶性ポリマー合成・成形・応用−」、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。
<洗浄用組成物>
本発明の洗浄方法における前記準備工程(i)で準備する洗浄用組成物は、グリコール類及びアミン類をそれぞれ特定の含有割合で含むものである。このアミン類とは、分子内にアミノ基を有する化合物を意味し、一級アミン類でも、二級アミン類でも、その組み合わせであってもよい。また、分子内に一級アミノ基及び二級アミノ基をともに有しているアミン類であってもよい。
グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。沸点およびコストの観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールからなる群より選ばれるグリコール類が好ましく、その中でもトリエチレングリコールが特に好ましい。これらは単独でも2種以上組み合わせて用いることもできる。
アミン類を具体的に例示すると、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン等のアルキル基を有するアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン等のジアミン、アニリン、ベンジルアミン等の芳香環を有するアミン(芳香族アミン)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらの中でも、アルカノールアミン及び/又は芳香族アミンが好ましく、アルカノールアミンが特に好ましい。このアルカノールアミンの中でも、モノエタノールアミン及び/又はジエタノールアミンが好ましく、さらに取扱性も考慮するとモノエタノールアミンが特に好ましい。
また、前記洗浄用組成物には、後述する洗浄工程(iv)などで、その内温を205〜250℃の範囲で保温可能であり、かつ液晶性ポリエステル製造装置の洗浄性を著しく劣化させないものであれば、グリコール類及びアミン類以外の他の成分を含めてもよい。例えば、分縮器などを備えた縮重合槽を液晶性ポリエステル製造装置として使用する場合、該分縮器にある付着物を十分洗浄できるものとして、環状エステル類、アミド類及びスルホキシド類からなる群より選ばれる化合物を他の成分として用いることができる。このような他の成分としては、双極子モーメントが3以上の化合物が特に好ましく、市場から容易に入手できるものとして、N−メチルピロリドン(NMP)が好ましい。また、当該洗浄用組成物には企図せず含有される不純物、たとえば微量であれば水分などが含まれていてもよい。
前記洗浄用組成物におけるグリコール類及びアミン類の含有割合は、該洗浄用組成物の総質量を基準にして、グリコール類が60〜95質量%であると好ましく、70〜95質量%であるとさらに好ましい。
一方、アミン類は5〜20質量%であると好ましく、7〜15質量%であるとさらに好ましい。アミン類の含有割合をこのような範囲にすることで、液晶性ポリエステルに対する洗浄性が十分高く維持され、低コストで洗浄用組成物を得ることができるという利点がある。
また、たとえば上述の他の成分、たとえばNMPを含有する場合、このNMPを20質量%以下で含有することができる。
前記洗浄用組成物は、洗浄工程(iv)での保温温度を実現するために、1気圧下の沸点が205℃以上であると好ましく、沸点が210℃以上250℃以下の範囲であるとより好ましい。当該洗浄用組成物は、後述する洗浄工程(iv)において温度205〜250℃で、蒸発・還流することを必要とする。該洗浄工程(iv)では、この温度を維持できるようにして、縮重合槽内を加圧又は減圧することもできるが、当該縮重合槽を簡便な設備とする点では、洗浄用組成物が常圧(約1気圧)下で蒸発できることが好ましい。そのため、洗浄用組成物の沸点を前記の範囲にしておくと好適である。洗浄工程(iv)における保温温度が205℃を下回ると、洗浄後洗浄用組成物からの析出物発生が生じ易くなり、析出物の発生量が著しい場合には、この析出物の堆積により洗浄後洗浄用組成物の取扱いも困難になる。また、保温温度が205℃を下回ると、洗浄性の低下度合いも大きく劣る傾向があり、後述する分析工程(vi)及び再生工程(vii)を経たとしても、該洗浄後洗浄用組成物の再生が困難になる。また、該保温温度が高いほど、液晶性ポリエステル製造装置の洗浄性を高めることにも繋がる。そのため、洗浄用組成物の沸点は高いほうが好ましい。一方、該縮重合槽の内壁部だけでなく、釜頂部あるいは分縮器を十分洗浄するために、該洗浄用組成物を蒸発・還流させることから、洗浄用組成物の沸点が高すぎると、蒸発・還流するうえで高温が必要となり、エネルギーコストの上昇を招く。したがって、洗浄用組成物の沸点は高すぎないほうが好ましい。
準備工程(i)では、前記グリコール類、前記アミン類及び必要に応じて添加される他の成分(以下、これらをまとめて「洗浄用組成物成分」ということがある)を混合して洗浄用組成物を調製する。該洗浄用組成物は、前記グリコール類、前記アミン類及び必要に応じて添加される他の成分を、液晶性ポリエステル抜出後の縮重合槽に投入し、該縮重合槽内で攪拌することで調製することもできるが、あらかじめ、縮重合槽以外に調製槽を準備し、該調製槽内に洗浄用組成物成分を投入して洗浄用組成物を調製することが好ましい。洗浄用組成物成分を混合する際には、−10〜50℃の調製温度で攪拌することが好ましい。攪拌時間は、たとえば10分程度の比較的短時間でも十分であり、この攪拌時間は、用いる調製槽の容量などにより適宜調整できる。
<液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法>
本発明の洗浄方法において、準備工程(i)で準備する洗浄用組成物に関しては上述のとおりであり、ここでは、他の工程、すなわち、投入工程(ii)、加温工程(iii)、洗浄工程(iv)、回収工程(v)、分析工程(vi)及び再生工程(vii)に関し説明する。
投入工程(ii)
前記調製槽内で調製された洗浄用組成物は、該調製槽と縮重合槽とを適切な配管(接続配管)などにより接続し、この配管を通じて移液することにより、液晶性ポリエステル抜き出し後の縮重合槽に投入される。このときの投入速度(洗浄用組成物の移液速度)は、使用する洗浄用組成物の量、接続配管の径、移液に用いるポンプの能力などにより適宜調節することができる。
加熱工程(iii)
洗浄工程(iii)では、縮重合槽に投入された洗浄用組成物を加温して、その温度を205〜250℃にする工程であり、このような保温温度で洗浄用組成物を蒸発・還流することができれば、なお好ましい。加熱工程(iii)の到達温度は換言すれば、後述する洗浄工程(iv)の保温温度(洗浄温度)であり、かかる洗浄温度は、洗浄対象である液晶性ポリエステルの種類によって最適化することもできる。なお、液晶性ポリエステル製造装置における縮重合槽には通常、適切な加熱手段が設けられているので、この加熱手段を用いれば、洗浄用組成物を加温することは比較的容易に実施できる。なお、該液晶性ポリエステル製造装置の釜頂部には、通常加熱手段が設けられていないため、蒸発した洗浄用組成物はこの釜頂部で冷却されて液化し、還流することになるが、還流を適切に行うためには、縮重合槽には分縮器又は還流冷却器が備えられていると好ましい。
洗浄工程(iv)
上述のとおり、洗浄工程(iv)における洗浄温度は高いほど、洗浄後洗浄用組成物からの析出物発生を抑制することができる。この点から、洗浄温度は210℃以上であることが好ましく、より好ましくは220℃以上であり、このような好適な洗浄温度になるようにして、前記洗浄用組成物のグリコール類及びアミン類の含有割合を決定する。
前記洗浄工程(iv)において、該縮重合槽内にある洗浄用組成物は攪拌しても、攪拌しなくてもよいが、縮重合槽内の洗浄性を十分にしつつ、洗浄用組成物の蒸発・還流を適切に維持するためには、該洗浄用組成物を攪拌することが好ましい。このとき、該縮重合槽に分縮器又は還流冷却器が備えられている場合は、洗浄用組成物の蒸気が分縮器又は還流冷却器によって十分液化できるように、その冷媒温度などを調節する。
加温工程(iii)から洗浄工程(iv)までの洗浄時間は1〜12時間、好ましくは2〜8時間である。なお、ここでいう洗浄時間は、加温工程(iii)における洗浄用組成物の加温開始の時点から、洗浄工程(iv)の終了時点、すなわち洗浄後洗浄用組成物の冷却を開始する時点までの時間を指すものである。
回収工程(v)
前記洗浄工程(iv)で縮重合槽内部の洗浄を終えた洗浄後洗浄用組成物は、蒸発・還流を十分停止させる点と、縮重合槽からの抜出しを容易にする点で、その温度を冷却する。この冷却においても、液晶性ポリエステル製造用として縮重合槽に設けられている適切な冷却手段を利用すればよい。このとき、洗浄後洗浄用組成物の温度を、あまり冷却しすぎると、析出物発生を招く結果となり、冷却が不十分であると、洗浄後洗浄用組成物の蒸気が発生して、作業性が劣るため、冷却後の洗浄後洗浄用組成物の温度範囲は、100〜80℃の範囲とすることが望ましい。そして、該洗浄後洗浄用組成物は、配管などを通じて保管タンクへと移液される。洗浄工程(iv)を経て得られる洗浄後洗浄用組成物は、保管タンク内で冷却され、たとえば常温(25℃程度)で所定時間保管したとしても、析出物の発生が十分抑制されている。このように、析出物の発生が十分抑制されている洗浄後洗浄用組成物は、後述する分析工程(vi)及び再生工程(vii)により、洗浄後洗浄用組成物を洗浄用組成物に再生してなる洗浄用組成物を次回の液晶性ポリエステル製造設備の洗浄に使用した場合、配管などで移液した場合であっても配管を閉塞させるといった不都合を生じ難い。このような効果は、洗浄後洗浄用組成物の再生利用などに極めて有効である。
重縮合槽からの洗浄後洗浄用組成物の抜出しは、大気圧により押し出す形式でもよいが、抜出速度をより速めるために、窒素などの不活性ガスで縮重合槽内を加圧することもできる。このようにして抜出された洗浄後洗浄用組成物は、後述する再生工程(vii)で再生利用するために、保管タンクへと移液される。
前記洗浄後洗浄用組成物を抜出した後の縮重合槽は、そのまま加熱操作及び/又は通風操作により、その内部を乾燥させることができる。また、該縮重合槽に残存した洗浄後洗浄用組成物を十分除去するため、縮重合槽内部を水洗してもよい。この水洗では、洗浄後洗浄用組成物抜出後の縮重合槽に、水を投入し、この水を蒸発・還流させるといった方法により水洗を行うことが好ましい。そして、該縮重合槽中の水の蒸発・還流が停止する程度まで、十分冷却した後、縮重合槽から水を抜出す。このような一連の操作による水洗は複数回行ってもよい。また、水洗後の縮重合槽は、上述したような操作により、その内部を十分に乾燥させることが好ましい。
分析工程(vi)
前記洗浄後洗浄用組成物は、前記洗浄工程(iv)による蒸発・還流や、前記回収工程(v)における一部の洗浄用洗浄組成物成分の揮発・蒸散などにより、グリコール類及び/又はアミン類の一部が消失し、また、洗浄工程(iv)における液晶性ポリエステル洗浄によりグリコール類及び/又はアミン類の一部が消費されている。そして場合により、洗浄後洗浄用組成物では、グリコール類及び/又はアミン類の含有割合が変わっている。したがって、このような洗浄後洗浄用組成物の洗浄性を、洗浄前の洗浄用組成物と略同じにするためには、グリコール類及び/又はアミン類の含有割合を洗浄前の洗浄用組成物と略同じにする必要がある。
そのため、いったん前記保管タンクに保管された洗浄後洗浄用組成物におけるグリコール類及び/又はアミン類の含有割合を分析して求める。この分析は、グリコール類及び/又はアミン類の含有割合が求められれば、種々の分析方法が適用可能である。分析精度の点からは、ガスクロマトグラフフィー分析あるいは液体クロマトグラフフィー分析などのクロマトグラフフィー分析が好ましい。本発明の分析工程(vi)では、以下の条件によるガスクロマトグラフフィー(GC)分析を採用している。
(GC分析条件)
装置 :Agilent Technologies社製オートインジェクター
(7683B Series Injector)を備えた
ガスクロマトグラフ(6890N型)
カラム :Restek社製 Rtx−5Amine(0.25mmID,30m,0.50μmdf)
キャリアガス :ヘリウム 1ml/分(定流量モード)
注入口温度 :300℃
昇温プログラム :初期温度50℃(1分間保持)
→昇温速度20℃/分
→最終温度310℃(4分間保持)
スプリット比 :50:1
検出 :FID(設定温度:315℃)
再生工程(vii)
次に、再生工程(vii)では、前記分析工程(vi)で求められたグリコール類及び/又はアミン類の含有割合と、前記保管タンクに保管された洗浄後洗浄用組成物の質量と、を勘案し、該保管タンクに保管された洗浄後洗浄用組成物に、前記準備工程(i)で準備した洗浄用組成物におけるグリコール類及び/又はアミン類の含有割合と略同じになるようにして、グリコール類及び/又はアミン類を添加する。なお、ここでいうグリコール類の含有割合又はアミン類の含有割合が「略同じ」であるとは、前記準備工程(i)で準備した洗浄用組成物におけるグリコール類の含有割合又はアミン類の含有割合を基準にして、この含有割合±1質量%程度の誤差を包含する。
保管タンクに保管された洗浄後洗浄用組成物の質量は、前記抜出工程(v)で、保管タンクに洗浄後洗浄用組成物を移液する際に、適切な流量計などを準備して、その移液量を求めることで算出できる。通常、この流量計で求められる量は体積量であるために、洗浄後洗浄用組成物の比重を求めておくとよい。なお、このような比重や分析工程(v)での含有割合分析のために使用する洗浄後洗浄用組成物のサンプリング量は、保管タンクにある洗浄後洗浄用組成物の質量に比べて、極めて微量であるために、このサンプリング量程度の損失は、洗浄後洗浄用組成物の質量を求めるうえで無視できる。
このようにして、分析工程(vi)及び再生工程(vii)を経て得られる再生洗浄用組成物は、グリコール類及びアミン類の含有割合が、洗浄用組成物と略同じであることから、該洗浄用組成物と同程度の洗浄性(液晶性ポリエステルに対する洗浄性)を発現できる。そして、前記投入工程(ii)から抜出工程(v)までの洗浄方法において、「準備工程(i)で準備した洗浄用組成物」を、再生洗浄用組成物に置き換えた洗浄方法を実施することにより、洗浄後洗浄用組成物からの析出物の発生を良好に抑制して、液晶性ポリエステル製造装置の洗浄を実施することができる。このような洗浄後洗浄用組成物の再生利用は、洗浄用組成物に係るコストを大幅に低減できるため、液晶性ポリエステル製造の低コスト化を成しえるものである。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
(洗浄性試験)
液晶性ポリエステル製造装置の洗浄性は、以下のような液晶性ポリエステルの溶解実験で調べた。
まず、SUS製アンカー型撹拌翼、冷却管、温度計及び窒素導入管を付した500ml筒型セパラブルフラスコをマントルヒーターにセットした(これを、以下「装置A」ということがある)。
次いで、このセパラブルフラスコに後述する合成例1で合成した液晶性ポリエステル、及び所定量の洗浄用組成物を添加した。マントルヒーターにより洗浄用組成物を加温し、該洗浄用組成物が蒸発・還流させた。このときの保温温度及び保温時間はそれぞれの例に記載している。続いて、洗浄後洗浄用組成物を80℃まで冷却した後、80メッシュのステンレス製金網(目開き;0.18mm)を通じてろ過し、さらに金網に残ったろ過物をメタノールで十分洗浄した。その後、ろ過物を金網ごと乾燥し、その重量を測定することで、金網上に残った未溶解の液晶性ポリエステル(未溶解液晶性ポリエステル)の質量を求めた。このようにして求めた未溶解の液晶性ポリエステルがほぼ無い場合を「○」、残存質量が認められた場合を「×」とした。
(析出物発生試験)
前記洗浄性試験でろ過した洗浄後洗浄用組成物を25℃まで除冷した後、80メッシュのステンレス製金網(目開き;0.18mm)を通じてろ過し、さらに金網に残ったろ過物をメタノールで十分洗浄した。その後、ろ過物を金網ごと乾燥し、その重量を測定することで、金網上に残った析出物の質量(発生量)を求めた。このようにして求めた析出物の質量の、洗浄試験前の液晶性ポリエステルの総質量に対する質量比を求め、この質量比が2質量%以上であった場合、析出物発生が「有」、2質量%以下の場合を析出物発生が「無」と判定した。
(洗浄液の消費量)
前記洗浄性試験でろ過した洗浄後洗浄用組成物を、以下の条件でGC分析を行った。
(GC分析条件)
装置 :Agilent Technologies社製オートインジェクター
(7683B Series Injector)を備えた
ガスクロマトグラフ(6890N型)
カラム :Restek社製 Rtx−5Amine(0.25mmID,30m,0.50μmdf)
キャリアガス :ヘリウム 1ml/分(定流量モード)
注入口温度 :300℃
昇温プログラム :初期温度50℃(1分間保持)
→昇温速度20℃/分
→最終温度310℃(4分間保持)
スプリット比 :50:1
検出 :FID(設定温度:315℃)
(流動開始温度)
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用い、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターに充填した。そして、9.8MPa(100kg/cm)の荷重を加え、昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押出しながら、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を測定し、この温度を流動開始温度とした。
(参考例1)液晶性ポリエステルAの製造
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸995g(7.2モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル447g(2.4モル)、テレフタル酸299g(1.8モル)、イソフタル酸99.6g(0.60モル)及び無水酢酸1348g(13.2モル)を加え、これらを攪拌した。次に、攪拌後の混合物中に1−メチルイミダゾール0.18gを添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、同温度を保持して1時間還流させた。その後、1−メチルイミダゾール0.18gを添加した後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて305℃まで昇温した。トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、溶融状態で内容物をバットの中に取り出して冷却した。室温程度まで冷却した液晶性ポリエステルをセイシン企業製・オリエントVM−16竪型粉砕機で、その平均粒径が300〜500μm程度になるまで粉砕した。これを液晶性ポリエステルAとする。この液晶性ポリエステルAの流動開始温度を測定したところ253℃であり、280℃以上の温度では光学異方性を呈する溶融状態を示した。
(実施例1)
装置Bに、液晶性ポリエステルA15gと、トリエチレングリコール(以下、「TEG」という)290g(86質量%)及びモノエタノールアミン(以下、「META」という)47g(14質量%)からなる洗浄用組成物1と、を仕込んだ。その後、窒素雰囲気下で内温223℃まで加温し、洗浄用組成物1を蒸発・還流させた。この洗浄用組成物1の蒸発・還流を維持するように、同温度で2時間攪拌(攪拌速度:150rpm)し、洗浄後洗浄用組成物1を得た。その後、洗浄後洗浄用組成物1を上述の洗浄性試験及び析出物発生試験に供した。その結果、洗浄後洗浄用組成物1を80℃まで冷却したが、未溶解液晶性ポリエステルは認められず十分な溶解性(洗浄性)を示していることが判明した。また、さらに洗浄後洗浄用組成物1を25℃まで冷却したが、析出物の発生はほとんど認められなかった。また、洗浄後洗浄用組成物1のGC分析を行ったところ、TEG80質量%、META11質量%であり、液晶性ポリエステルの溶解量又は液晶性ポリエステルの分解物の溶解量の合計と考えられるその他の成分は、9質量%であった。
次に、洗浄後洗浄用組成物1にTEG8g及びMETA11gを添加して再生洗浄用組成物1を調製した。装置Bに、この再生洗浄用組成物1及び液晶性ポリエステルA15gを仕込み、窒素雰囲気下で221℃まで加温し、該再生洗浄用組成物1を蒸発・還流させた。この再生洗浄用組成物1の蒸発・還流を維持するように、同温度で2時間攪拌(攪拌速度:150rpm)し、洗浄後洗浄用組成物11を得た。その後、洗浄後洗浄用組成物11を上述の洗浄性試験及び析出物発生試験に供した。その結果、洗浄後洗浄用組成物11を80℃まで冷却したが、未溶解液晶性ポリエステルは認められず十分な溶解性(洗浄性)を示していることが判明した。また、さらに洗浄後洗浄用組成物11を25℃まで冷却したが、析出物の発生はほとんど認められなかった。
(実施例2)
実施例1と同じ実験を行い、洗浄後洗浄用組成物1を得た。
次に、洗浄後洗浄用組成物1にTEG15g及びMETA11gを添加して再生洗浄用組成物1を調製した。装置Bに、この再生洗浄用組成物1及び液晶性ポリエステルA15gを仕込み、窒素雰囲気下208℃まで加温し、該再生洗浄用組成物1を蒸発・還流させた。この再生洗浄用組成物1の蒸発・還流を維持するように、同温度で2時間攪拌(攪拌速度:150rpm)し、洗浄後洗浄用組成物12を得た。その後、洗浄後洗浄用組成物12を上述の洗浄性試験及び析出物発生試験に供した。その結果、洗浄後洗浄用組成物12を80℃まで冷却したが、未溶解液晶性ポリエステルは認められず十分な溶解性(洗浄性)を示していることが判明した。また、さらに洗浄後洗浄用組成物12を25℃まで冷却したが、析出物の発生はほとんど認められなかった。
(実施例3)
装置Bに、液晶性ポリエステルA15gと、TEG256g(76質量%)、META47g(14質量%)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という)33g(10重量%)からなる洗浄用組成物3と、を仕込んだ。その後、窒素雰囲気下で内温221℃まで加温し、洗浄用組成物3を蒸発・還流させた。この洗浄用組成物3の蒸発・還流を維持するように、同温度で2時間攪拌(攪拌速度:150rpm)し、洗浄後洗浄用組成物3を得た。その後、洗浄後洗浄用組成物3を上述の洗浄性試験及び析出物発生試験に供した。その結果、洗浄後洗浄用組成物3を80℃まで冷却したが、未溶解液晶性ポリエステルは認められず十分な溶解性(洗浄性)を示していることが判明した。また、さらに洗浄後洗浄用組成物3を25℃まで冷却したが、析出物の発生はほとんど認められなかった。また、洗浄後洗浄用組成物3のGC分析を行ったところ、TEG71質量%、META11質量%、NMP9質量%であり、液晶性ポリエステルの溶解量又は液晶性ポリエステルの分解物の溶解量の合計と考えられるその他の成分は、9質量%であった。
次に、洗浄後洗浄用組成物3にTEG15g及びMETA8gを添加して再生洗浄用組成物3を調製した。装置Bに、この再生洗浄用組成物3及び液晶性ポリエステルA15gを仕込み、窒素雰囲気下で217℃まで加温し、該再生洗浄用組成物3を蒸発・還流させた。この再生洗浄用組成物3の蒸発・還流を維持するように、同温度で2時間攪拌(攪拌速度:150rpm)し、洗浄後洗浄用組成物13を得た。その後、洗浄後洗浄用組成物13を上述の洗浄性試験及び析出物発生試験に供した。その結果、洗浄後洗浄用組成物13を80℃まで冷却したが、未溶解液晶性ポリエステルは認められず十分な溶解性(洗浄性)を示していることが判明した。また、さらに洗浄後洗浄用組成物13を25℃まで冷却したが、析出物の発生はほとんど認められなかった。
(比較例1)
装置Bに、液晶性ポリエステルA15gと、TEG236g(70質量%)及びMETA100g(30質量%)からなる洗浄用組成物4と、を仕込んだ。その後、窒素雰囲気下で内温201℃まで加温した。この時点で洗浄用組成物4の蒸発は生じなかった。同温度で2時間攪拌(攪拌速度:150rpm)し、洗浄後洗浄用組成物4を得た。その後、洗浄後洗浄用組成物4を上述の洗浄性試験及び析出物発生試験に供した。その結果、洗浄後洗浄用組成物3を80℃まで冷却したが、未溶解液晶性ポリエステルは認められず十分な溶解性(洗浄性)を示していることが判明した。さらに洗浄後洗浄用組成物4を25℃まで冷却したところ、0.3gの析出物が発生した。仕込液晶性ポリエステルAの総質量に対して、2質量%であり、析出物発生「有」とした。また、析出物が発生したため、洗浄後洗浄用組成物4の再生は実施しなかった。
(比較例2)
装置Bに、液晶性ポリエステルA15gと、TEG290g(86質量%)及びMETA47g(14質量%)からなる洗浄用組成物5と、を仕込んだ。その後、窒素雰囲気下で内温200℃まで加温した。この時点で洗浄用組成物5の蒸発は生じなかった。同温度で2時間攪拌(攪拌速度:150rpm)し、洗浄後洗浄用組成物5を得た。その後、洗浄後洗浄用組成物5を上述の洗浄性試験及び析出物発生試験に供した。その結果、洗浄後洗浄用組成物5を80℃まで冷却したが、未溶解液晶性ポリエステルは認められず十分な溶解性(洗浄性)を示していることが判明した。さらに洗浄後洗浄用組成物5を25℃まで冷却したところ、0.3gの析出物が発生した。仕込液晶性ポリエステルAの総質量に対して、2質量%であり、析出物発生「有」とした。また、析出物が発生したため、洗浄後洗浄用組成物5の再生は実施しなかった。
(比較例3)
実施例1と同じ実験を行い、洗浄後洗浄用組成物1を得た。
次に、この洗浄後洗浄用組成物1にTEG8g及びMETA50gを添加して再生洗浄用組成物6を調製した。装置Bに、この再生洗浄用組成物6及び液晶性ポリエステルA15gを仕込み、窒素雰囲気下200℃まで加温した。この時点では、再生洗浄用組成物6の蒸発・還流は生じなかった。同温度で2時間攪拌(攪拌速度:150rpm)し、洗浄後洗浄用組成物16を得た。その後、洗浄後洗浄用組成物16を上述の洗浄性試験及び析出物発生試験に供した。その結果、洗浄後洗浄用組成物12を80℃まで冷却したが、未溶解液晶性ポリエステルは認められず十分な溶解性(洗浄性)を示していることが判明した。さらに洗浄後洗浄用組成物6を25℃まで冷却したところ、0.6gの析出物が発生した。仕込液晶性ポリエステルAの総質量に対して、4質量%であり、析出物発生「有」とした。
上述の実施例1〜3、比較例1〜3の結果をまとめて、表1に示す。本発明の洗浄方法(実施例1〜3)を用いれば、洗浄用組成物の液晶性ポリエステルの溶解性(洗浄性)は十分であり、25℃まで冷却したとしても、析出物の発生は認められなかった。また、この洗浄後洗浄用組成物を再生して得られた再生洗浄用組成物を本発明の洗浄方法に供しても、液晶性ポリエステルの溶解性(洗浄性)は十分であり、25℃まで冷却したとしても、析出物の発生は認められなかった。
一方、保温温度が205℃を下回る洗浄工程を行った比較例1、2では、洗浄後の液晶性ポリエステルの溶解性(洗浄性)は十分であるものの、25℃まで冷却すると析出物の発生が認められた。また、1回目の洗浄方法では本発明の洗浄方法で行い、得られた洗浄後洗浄用組成物を再生して得られた再生洗浄用組成物を用い、保温温度が205℃を下回る洗浄工程を行った比較例3では、結果として析出物の発生が認められた。
Figure 2010214275

Claims (4)

  1. 以下の(i)〜(vii)の工程を有することを特徴とする液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法。
    (i)グリコール類及びアミン類を所定の含有割合で含有する洗浄用組成物を準備する準備工程;
    (ii)前記(i)で準備した洗浄用組成物を、液晶性ポリエステル製造装置内に投入する投入工程;
    (iii)投入された洗浄用組成物をその温度が205〜250℃になるまで加温し、該洗浄用組成物を蒸発・還流させる加温工程;
    (iv)前記洗浄用組成物の蒸発・還流を所定時間保持し、液晶性ポリエステル製造装置内を洗浄する洗浄工程;
    (v)洗浄後の洗浄用組成物(洗浄後洗浄用組成物)の蒸発が停止するまで冷却し、液晶性ポリエステル製造装置から抜き出して回収する回収工程;
    (vi)前記(v)で回収された洗浄後洗浄用組成物の組成分析を行い、グリコール類及びアミン類の含有割合を求める分析工程;
    (vii)前記(v)で求められた含有割合に基づき、前記(i)で準備した洗浄用組成物の所定の含有割合と略同じになるように、洗浄後混洗浄用合物にグリコール類及び/又はアミン類を追加して、洗浄用組成物を再生する再生工程;
  2. 前記(i)で準備された組成物におけるアミン類の含有割合が、該組成物の総質量に対して5〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法。
  3. 前記グリコール類が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法。
  4. 前記アミン類が、アルカノールアミン及び芳香族アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性ポリエステル製造装置の洗浄方法。
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