JP2010212489A - 組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、半導体素子デバイスなどにおける層間絶縁膜として使用するのに適し、硬膜時における膜減りが小さく、かつ誘電率などの特性に優れた膜を製造することができる組成物、およびその組成物より得られる膜を提供することを目的とする。
【解決手段】芳香族炭化水素を主成分とし、分子内の全ての水素原子が前記芳香族炭化水素を構成する炭素原子と結合しており、熱重量分析(1mmHg真空下,昇温速度20℃/min)において5%重量減少温度が250℃〜450℃を示し、空孔形成剤として作用する化合物(P)と、樹脂または樹脂前駆体とを含有する組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、組成物に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜材料として、適当な均一な厚さを有する塗膜が形成可能で、かつ、誘電率特性などに優れた絶縁膜を製造することができる膜形成用組成物に関する。
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、気相成長(CVD)法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO2)膜が多用されている。そして、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
しかし、無機材料の膜の中で最も低い誘電率を示すCVD−SiO2膜でも、比誘電率は約4程度である。また、低誘電率CVD膜として最近検討されているSiOF膜の比誘電率は約3.3〜3.5であるが、この膜は吸湿性が高く、使用しているうちに誘電率が上昇するという問題がある。
かかる状況下、絶縁性、耐熱性、耐久性に優れた絶縁膜材料として、オルガノポリシロキサンに高沸点溶剤や熱分解性化合物を添加して空孔を形成し、誘電率を下げる方法が提案されている。しかしながら、このような多孔質膜では、多孔化により誘電率特性が下がっても、機械強度が低下することが問題になっていた。また、互いに連結した空孔が形成されるため、配線に用いられた銅が、絶縁膜中に拡散するといった問題も生じていた。
一方、有機ポリマーに低分子のカゴ型化合物を添加した溶液を塗布することによって、低屈折率、低密度の膜を得る試みも知られている(特許文献1)。しかし、この方法では、得られる膜の誘電率は実用的な観点からは必ずしも満足いくものではなかった。さらに、膜の硬膜時における焼成時の膜減りが大きいため、得られる膜にクラックなどが生じやすく、デバイスなどへの応用が制限されるという問題があった。
特開2000−334881号公報
本発明は、上記問題点を解決するため、半導体素子デバイスなどにおける層間絶縁膜として使用するのに適し、硬膜時における膜減りが小さく、かつ誘電率などの特性に優れた膜を製造することができる組成物、およびその組成物より得られる膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術について検討行った結果、ポリスチレンなどの従来の空孔形成剤を使用する場合、硬膜時の加熱処理や活性エネルギー線照射処理の際に、空孔形成剤からラジカルが生じるため、硬膜時での化合物または樹脂の架橋が阻害され、結果として、形成された空孔がつぶれやすく硬膜時の膜減りが大きくなると共に、誘電率も上昇してしまうことを見出した。これらの知見をもとにして、本発明者らは、硬膜時にラジカルを生じにくく、適度な揮発性を有し、さらに、適度な溶媒への溶解性を有する化合物を使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
つまり、本発明の上記目的は、下記の手段より達成されることが見出された。
<1> 芳香族炭化水素を主成分とし、分子内の全ての水素原子が前記芳香族炭化水素を構成する炭素原子と結合しており、熱重量分析(1mmHg真空下,昇温速度20℃/min)において5%重量減少温度が250℃〜450℃を示し、空孔形成剤として作用する化合物(P)と、樹脂または樹脂前駆体とを含有する組成物。
<2> 前記化合物(P)が、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物である<1>に記載の組成物。
Figure 2010212489
(一般式(1)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物からr個の水素原子を除いた基を表す。一般式(2)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物から1個の水素原子を除いた基を表す。Xは、単結合、−O−、または−SiArAr−を表す。Ar、Ar1、およびAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環基、ナフタレン環基、またはビフェニル環基を表す。Yは、炭素原子またはケイ素原子を表す。Zは、水素原子またはベンゼン環基を表し、3つのZのうち少なくとも1つはベンゼン環基を表す。rは0〜5の整数を表す。
ただし、一般式(1)中のAが一般式(A−1)で、Zのうち2つが水素原子の場合は、rは1以上となる。また、一般式(1)中のAが一般式(A−2)〜一般式(A−6)のいずれかの場合は、rは1以上となる。)
<3> 前記化合物(P)が下記一般式(3)〜一般式(6)のいずれかで表される化合物である、<2>に記載の組成物。
Figure 2010212489
(一般式(3)〜一般式(5)中、Arは、ベンゼン環基またはナフタレン環基を表す。一般式(3)〜一般式(6)中、Xは、単結合、−O−、または−SiArAr−を表す。Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環基、ナフタレン環基またはビフェニル環基を表す。Yは、炭素原子、またはケイ素原子を表す。sは0〜2の整数を表す。)
<4> 前記一般式(3)〜一般式(5)中、Arがベンゼン環基である、<3>に記載の組成物。
<5> さらに、溶剤を含む<1>〜<4>のいずれかに記載の組成物。
<6> 絶縁膜形成用途に用いられる<1>〜<5>のいずれかに記載の組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれかに記載の組成物を基板上に塗布した後、硬膜することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
<8> <7>に記載の製造方法を用いて製造された絶縁膜。
<9> <8>に記載の絶縁膜を用いて製造された電子デバイス。
<10> 加熱または放射線照射により揮発する、一般式(1)または一般式(2)で表される空孔形成用化合物。
Figure 2010212489
(一般式(1)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物からr個の水素原子を除いた基を表す。一般式(2)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物から1個の水素原子を除いた基を表す。Xは、単結合、−O−、または−SiArAr−を表す。Ar、Ar1、およびAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環基、ナフタレン環基、またはビフェニル環基を表す。Yは、炭素原子またはケイ素原子を表す。Zは、水素原子またはベンゼン環基を表し、3つのZのうち少なくとも1つはベンゼン環基を表す。rは0〜5の整数を表す。
ただし、一般式(1)中のAが一般式(A−1)で、Zのうち2つが水素原子の場合は、rは1以上となる。また、一般式(1)中のAが一般式(A−2)〜一般式(A−6)のいずれかの場合は、rは1以上となる。)
本発明によれば、半導体素子デバイスなどにおける層間絶縁膜として使用するのに適し、硬膜時における膜減りが小さく、かつ誘電率などの特性に優れた膜を製造することができる組成物、およびその組成物より得られる膜を提供することができる。
以下、本発明の組成物、およびその組成物より得られる膜について詳細に記述する。
本発明の組成物には、芳香族炭化水素を主成分とし、分子内の全ての水素原子が芳香族炭化水素を構成する炭素原子と結合しており、熱重量分析(1mmHg真空下,昇温速度20℃/min)において5%重量減少温度が250℃〜450℃を示し、空孔形成剤として作用する化合物(P)と、樹脂または樹脂前駆体とが含まれる。
化合物(P)を含む組成物は、後述するように種々の用途に用いることができる。特に、化合物(P)を含む組成物を用いて膜の製造を行うと、硬膜時に行われる加熱処理や活性エネルギー線照射処理の際に、化合物(P)が分解してラジカルなどを生じることなく揮発するため、樹脂または樹脂前駆体の架橋を阻害することなく、膜空隙を増大させることができる。また、化合物(P)は適度な溶媒への溶解性を有しているため、膜中においても良好な分散性を有しており、結果として小さな空孔が多数形成される。そのため、低誘電率、低屈折率、高機械強度、高耐熱性、高酸化ストレス耐性を示し、誘電率が長期間にわたって安定な膜を形成できる。
以下に、使用される化合物(P)、および、樹脂、樹脂前駆体について詳述する。
<化合物(P)>
本発明で使用される化合物(P)は、芳香族炭化水素を主成分とし、分子内の全ての水素原子が芳香族炭化水素を構成する炭素原子と結合している。化合物がこのような構造をとることにより、後述する硬膜時の加熱処理および/または活性エネルギー線照射処理時に、化合物がラジカルを生じることなく、揮発する。そのため、後述する樹脂または樹脂前駆体の架橋反応を阻害することなく、得られる膜中に空孔を形成させることができる。結果として、膜中の架橋密度が高まり、膜中の空孔がつぶれにくくなり、誘電率が低く、硬膜時に膜減りの小さい膜を得ることができる。つまり、化合物(P)は、加熱処理または放射線照射処理などにより揮発して、膜などの材料中に空孔を形成させる空孔形成用化合物として好適に作用する。
化合物(P)の主骨格は、芳香族炭化水素である。得られる膜の諸特性が優れる点で、化合物(P)中における芳香族炭化水素の含有量は、化合物全量に対して、60質量%以上が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%が特に好ましい。
芳香族炭化水素としては、炭素数6〜20が好ましく、炭素数6〜15がより好ましく、炭素数6〜10が特に好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フェナントレン環、ピレン環、9,9−ジフェニルフルオレン、テトラフェニルメタン、スピロビフルオレンなどであり、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、より好ましくはベンゼン環である。
また、これらの芳香族炭化水素を組み合わせて1つの芳香族炭化水素基を構成してもよい。
なお、化合物(P)中には、加熱および/または活性エネルギー線照射によりラジカルを生じるような基(例えば、飽和炭化水素基)などを含まないことが好ましい。
化合物(P)は、熱重量分析(1mmHg真空下,昇温速度20℃/min)において5%重量減少温度が250℃〜450℃であることが好ましく、260℃〜450℃であることがより好ましく、270℃〜450℃であることが特に好ましい。5%重量減少温度が250℃〜450℃の範囲にあると、化合物(P)が適度の揮発性を有するため、低誘電率化のための十分量の膜空隙を形成することができる。250℃より低いと、塗膜後硬膜前に揮発してしまい、低誘電率化のための十分量の膜空隙を形成することができない。450℃より高いと、硬膜時に化合物(P)が揮発しにくく、膜中に残存してしまうため、低誘電率化のための十分量の膜空隙を形成することができない。
なお、熱重量分析においては、公知の熱重量分析装置を使用することができる。
化合物(P)の分子量は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、100〜1500であることが好ましく、200〜1200であることがより好ましく、300〜1000であることが最も好ましい。分子量が100より小さいと、塗膜形成後硬膜前に揮発してしまい、十分量の膜空隙を膜中に形成しにくくなる。また分子量が1500を超えると、硬膜後の加熱処理などで揮発させることができず、膜中に残存してしまうため、十分量の膜空隙を膜中に形成しにくくなる。
<化合物(P)の好適態様>
化合物(P)の好適な実施態様として、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010212489
一般式(1)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物からr個の水素原子を除いた基を表す。一般式(2)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物から1個の水素原子を除いた基を表す。上記のような複数の芳香族炭化水素基を含む基を有することによって、分解などによるラジカルの発生がより抑制されるため好ましい。
なかでも、AおよびAとして、それぞれ一般式(A−1)、一般式(A−2)が好ましく、一般式(A−1)がより好ましい。
なお、一般式(2)中において、2つのAは同一でも異なっていてもよい。
また、AまたはAが一般式(A−1)でZがベンゼン環基である場合は、Z上のベンゼン環基の水素原子が除かれてもよい。
一般式(1)、一般式(2)、一般式(A−3)および一般式(A−6)中のXは、単結合、−O−、または−SiArAr−を表す。なかでも、塗布溶剤への溶解性が優れる点で、−O−がより好ましい。
なお、Xが単結合である場合は、例えば、一般式(1)中のAとArが直接結合する。
一般式(1)中のAr、並びに、上記Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環基、ナフタレン環基、またはビフェニル環基を表す。なかでも、膜減りがより抑制され、誘電率がより優れた膜が得られる点で、ベンゼン環基より好ましい。
一般式(A−2)中、Yは、炭素原子またはケイ素原子を表し、好ましくは炭素原子である。
一般式(A−1)中、Zは、水素原子またはベンゼン環基を表し、3つのZのうち少なくとも1つはベンゼン環基を表す。なかでも、膜減りがより抑制され、誘電率がより優れた膜が得られる点で、2つ以上のZがベンゼン環基であることが好ましく、すべてがベンゼン環基であることが好ましい。
一般式(1)中、rは0〜5の整数を表す。なかでも、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0〜3である。
ただし、一般式(1)中のAが一般式(A−1)で、Zのうち2つが水素原子の場合は、rは1以上となる。
また、一般式(1)中のAが一般式(A−2)〜一般式(A−6)のいずれかの場合は、rは1以上となる。
上記化合物(P)の更なる好適な実施態様として、一般式(3)〜一般式(6)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
Figure 2010212489
一般式(3)〜一般式(5)中、Arは、ベンゼン環基またはナフタレン環基を表す。なかでも、化合物の溶解がより優れ、得られる膜の特性がより優れる点から、ベンゼン環基が好ましい。
一般式(3)〜一般式(6)中、Xは、単結合、−O−、または−SiArAr−を表す。なかでも、化合物の溶解がより優れ、得られる膜の特性がより優れる点から、−O−が好ましい。
Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環基、ナフタレン環基またはビフェニル環基を表す。なかでも、ベンゼン環基が好ましい。
一般式(5)中、Yは、炭素原子、またはケイ素原子を表し、好ましくは炭素原子である。
一般式(3)〜一般式(5)中、sは0〜2の整数を表す。なかでも、化合物の溶解がより優れ、得られる膜の特性がより優れる点から、sは1〜2が好ましい。
化合物(P)は非対称構造を有していると、塗布溶剤への溶解性が向上する。さらに、化合物の塗布溶剤中での不溶化、凝集などが起きず、塗布液の経時安定性も向上する。
以下に、化合物(P)の具体例を記載するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010212489
Figure 2010212489
Figure 2010212489
組成物中における化合物(P)の含有量は、組成物中の全固形分に対して、5〜90質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。上記範囲であれば、連結孔の生成が抑えられ、また膜平坦性の点で好ましい。
なお、組成物中の全固形分としては、化合物(P)や後述する樹脂または樹脂前駆体成分などを意味し、溶媒などは含まれない。
<樹脂または樹脂前駆体>
本発明の組成物は樹脂または樹脂前駆体を含むが、本発明の効果を損なわない限り、いかなる樹脂または樹脂前駆体であってもよい。例えば、耐熱性樹脂または樹脂前駆体が挙げられ、特に、耐熱性・機械的強度に優れる点で、ポリアリーレン樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリキノリン樹脂、ポリキノキサリン樹脂などの高耐熱性樹脂、またはこれらの樹脂の前駆体などが挙げられる。他には、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、およびドデカヘドランからなる群から選ばれるカゴ型構造を有する化合物(以後、単に“カゴ型構造を有する化合物”とも記す)またはその重合体、シロキサン構造(Si−O結合)を有する化合物またはその重合体などが好ましく挙げられる。
これらの中で、耐熱性や低誘電率などの観点から、カゴ型構造を有する化合物またはその重合体、シロキサン構造(Si−O結合)を有する化合物またはその重合体が好ましく、特に、シロキサン構造(Si−O結合)を有する化合物またはその重合体が好ましい。
高耐熱性樹脂の具体例としては、特開平11−322929号公報、特開2003−12802号公報、特開2004−18593号公報に記載のポリベンゾオキサゾール、特開2001−2899号公報に記載のキノリン樹脂、特表2003−530464号公報、特表2004−535497号公報、特表2004−504424号公報、特表2004−504455号公報、特表2005−501131号公報、特表2005−516382号公報、特表2005−514479号公報、特表2005−522528号公報、特開2000−100808号公報、米国特許第6509415号明細書に記載のポリアリール樹脂、特開2003−252992号公報、特開2004−26850号公報に記載のポリイミドなどが挙げられる。カゴ型構造を有する化合物の具体例としては、特開平11−214382号公報、特開2001−332542号公報、特開2003−252982号公報、特開2003−292878号公報、特開2004−2787号公報、特開2004−67877号公報、特開2004−59444号公報に記載のポリアダマンタンなどが挙げられる。
<シロキサン構造を有する化合物またはその重合体>
本発明に用いられる樹脂または樹脂前駆体が、シロキサン構造(Si−O結合)を有する化合物またはその重合体である場合、本発明の効果を損なわない限り、いかなるシロキサン構造を有する化合物またはその重合体であってもよい。ケイ素原子と酸素原子とでなるシロキサン構造を有する化合物は、優れた耐熱性を示す。化合物中におけるシロキサン構造の含有量としては、化合物全量に対して、30〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましい。
シロキサン構造(Si−O結合)を有する化合物としては、低誘電特性、機械的特性が優れるという観点から、シルセスキオキサン化合物が好ましい。シルセスキオキサン化合物は、少なくともシルセスキオキサン構造を有する化合物である。シルセスキオキサン構造とは、各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している構造(珪素原子数に対する酸素原子数が1.5)である。シルセスキオキサン化合物としては、例えば、ラダー型、カゴ型、カゴ型の一部が欠損した不完全カゴ型、およびこれらの混合物などが挙げられ、耐熱性、経時安定性などの観点から、カゴ型が好ましい。なお、カゴ型構造は、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような構造を指す。カゴ型構造を有するシルセスキオキサン化合物は、カゴ型シルセスキオキサン化合物とも称する。
上記カゴ型シルセスキオキサン化合物としては、m個のRSi(O0.5ユニットが、その酸素原子を共有しながら他のRSi(O0.5ユニットと互いに連結することで形成されるカゴ型構造を含む化合物(以下、化合物(I)とも称する)、およびそれを繰り返し単位とする重合体等が挙げられる。
なお、Rは水素原子または置換基を表す。
Rの置換基の例としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、またはそれらを組み合わせた基が好ましく挙げられる。なお、化合物(I)中、Rは同一であっても異なっていてもよい。
Rで表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖、または分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐アルキル基が挙げられる。
Rで表されるシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、多環でもよく、環内に酸素原子を有していてもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などが挙げられる。
Rで表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
Rで表されるアラルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。
Rで表されるアルコキシ基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基などが挙げられる。
Rで表されるケイ素原子含有基は、ケイ素原子が含有されていれば特に制限されないが、下記式で表される基が好ましい。
*−L1−Si−(R203
上記式中、*は化合物(I)中のケイ素原子との結合位置を表す。
1はアルキレン基、−O−、−S−、−Si(R21)(R22)−、−N(R23)−または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。L1は、アルキレン基、−O−または、これらを組み合わせた2価の連結基が好ましい。
アルキレン基としては、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。R21、R22、R23およびR20は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、またはアルコキシ基を表す。R21、R22、R23およびR20で表される基として好ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、エチニル基などが挙げられる。
ケイ素原子含有基としては、シリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)が好ましい。
Rで表されるアルケニル基としては、例えば、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、およびケイ素原子含有基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられ、重合制御性の容易さ、機械強度の観点から、ビニル基が好ましい。
Rで表されるアルキニル基としては、例えば、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、およびケイ素原子含有基の任意の位置に3重結合を有する基が挙げられる。炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。重合制御性の容易さ、機械強度の観点から、エチニル基が好ましい。
化合物(I)におけるmは8〜16の整数を表す。誘電率低下効果の点から、mは8、10、12、14、16が好ましく、入手性の観点から8、10、12がより好ましく、更に重合制御性の観点から8、12が最も好ましい。
化合物(I)の好適な例としては、下記一般式(Q−1)〜一般式(Q−7)で表される化合物が挙げられる。なかでも、入手性、重合制御性、溶解性の観点から、一般式(Q−6)で表される化合物が最も好ましい。
Figure 2010212489
一般式(Q−1)〜一般式(Q−7)で表される化合物におけるRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を表す。複数のRは、同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つはアルケニル基またはアルキニル基を示す。
一般式(Q−1)〜一般式(Q−7)中のRで表される置換基は、上記で詳述した置換基の定義と同義であり、好ましくは炭素数1〜20であり、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、またはそれらを組み合わせた基などが挙げられる。
Rのうち少なくとも1つは、アルケニル基またはアルキニル基を示す。好ましくは2つ以上がアルケニル基またはアルキニル基であることが好ましく、3つ以上が特に好ましく、全部が最も好ましい。このように複数のアルケニル基、アルキニル基があると、これらによる架橋反応(硬化反応)がより良好に進行し、結果として得られる膜の機械強度が向上する。
化合物(I)で表されるカゴ型シルセスキオキサン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010212489
化合物(I)は、アルドリッチ、Hybrid Plastics社から購入できるものを使用してもよいし、Polymers, 20, 67-85, 2008, Journal of Inorganic and Organometallic Polymers, 11(3), 123-154, 2001, Journal of Organometallic Chemistry, 542, 141-183, 1997, Journal of Macromolecular Science. A. Chemistry, 44(7), 659-664, 2007, Chem. Rev., 95, 1409-1430, 1995, Journal of Inorganic and Organometallic Polymers, 11(3), 155-164, 2001, Dalton Transactions, 36-39, 2008, Macromolecules, 37(23), 8517-8522, 2004, Chem. Mater., 8, 1250-1259, 1996などに記載の公知の方法で合成してもよい。
本発明の化合物(I)におけるRが、下記一般式(II)で表される基である場合も好ましい。この場合、一般式(II)で表される基は、下記一般式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で表される化合物とを反応させることで合成できる。
(R13−Si−O− (II)
〔MO-Si(O0.5)3m (III)
(R13−Si−Cl (IV)
一般式(II)で表される化合物は、例えば、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1997, 36, No.7, 743-745などに記載の方法に従って合成できる。
これらの式中、R1はそれぞれ独立に置換基を表すが、R1で表される置換基の具体例としては、アルキル基、アリール基、ビニル基、エチニル基などが挙げられる。mおよびR1は、化合物(I)におけるmとRとそれぞれ同義である。Mは金属原子(例えば、Na、K、Cu、Ni、Mn)またはオニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウム)を表す。なお、Mが多価の金属原子である場合は、複数の−O−Si(O0.5)3が多価の金属原子Mに結合した形態を意味する。
一般式(III)で表される化合物と、一般式(IV)で表される化合物との反応は、例えば、溶媒中に、一般式(III)で表される化合物と、一般式(III)で表される化合物中に含まれるSi−OM基数の1〜100倍モルの一般式(IV)で表される化合物を添加し、撹拌しながら、通常0〜180℃、10分〜20時間行う。
溶媒としては、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶剤が好ましい。一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物を反応させる際には、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基を添加してもよい。
<重合体>
本発明で用いるシロキサン構造を有する化合物としては、化合物(I)を繰り返し単位とする重合体(好ましくは、上記一般式(Q−1)〜(Q−7)のいずれかで表される化合物の重合体)が挙げられ、複数の異なった化合物(I)の重合物が含まれていてもよい。その場合、複数の異なった化合物(I)からなる共重合体であってもよいし、ホモポリマーの混合物であってもよい。本発明の組成物が、複数の異なった化合物(I)からなる共重合体を含む場合、m=8、10、および12から選ばれる2種以上の化合物(I)の混合物の共重合体であることが好ましい。
シロキサン構造を有する化合物は、化合物(I)以外の化合物との共重合物であってもよい。その場合に用いられる化合物としては、重合性炭素−炭素不飽和結合またはSiH基を複数有する化合物が好ましい。好ましい化合物の例としては、ビニルシラン類、ビニルシロキサン類、フェニルアセチレン類、ビニルアダマンタン類、[(HSiO0.5]等が挙げられる。
この場合、化合物(I)由来の成分は、共重合物中の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが最も好ましい。
化合物(I)を繰り返し単位とする重合体を製造した際に含まれる未反応の化合物(I)の含量は、全固形分に対して、15質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは7質量%以下である。これにより塗布面状が改善できる。なお、全固形分とは、化合物(I)の重合体と未反応物との合計成分を意味する。
重合体の重量平均分子量(M)は、化合物(I)単量体を除いて、2.0×10〜70×10であることが好ましく、3.0×10〜30×10であることがより好ましく、4.0×10〜20×10であることが最も好ましい。
重合体の数平均分子量(M)は、化合物(I)単量体を除いて、1.0×10〜30×10であることが好ましく、1.0×10〜15×10であることがより好ましく、2.0×10〜10×10であることが最も好ましい。
重合体のZ+1平均分子量(MZ+1)は、化合物(I)単量体を除いて、1.0×10〜60×10であることが好ましいが、2.0×10〜45×10が好ましく、3.0×10〜30×10であることが最も好ましい。
上記範囲の重量平均分子量および数平均分子量に設定することにより、有機溶剤に対する溶解性およびフィルターろ過性が向上し、塗布膜の面状が改善された、低誘電率である膜を形成することができる。
有機溶剤に対する溶解性、フィルターろ過性の観点から、上記重合体は分子量300万以上の成分を実質的に含まないことが好ましく、200万以上の成分を実質的に含まないことがより好ましく、100万以上の成分を含まないことが最も好ましい。
化合物(I)の重合体には、化合物(I)由来の未反応のアルケニル基およびアルキニル基が残存していることが好ましく、化合物(I)由来のアルケニル基およびアルキニル基のうち、10〜90モル%が未反応で残存していることが好ましく、20〜80モル%が未反応で残存していることが好ましく、30〜70モル%が未反応で残存していることが最も好ましい。上記範囲内であれば、得られる膜の硬化性、機械強度がより向上する。
化合物(I)の重合体には、重合開始剤、添加剤または重合溶媒が重合体全量に対して0.1〜40質量%結合していてもよい。それらの含有量は、重合体全量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が、より好ましく、0.1〜5質量%が最も好ましい。
これらについては、組成物のNMRスペクトル等から定量することができる。
化合物(I)の重合体を製造するための方法としては、化合物(I)の炭素−炭素不飽和結合の重合反応、ハイドロシリレーション反応(特開2007−092019号公報の段落番号[0037]参照)、酸あるいは塩基触媒を用いたゾルゲル反応を用いた製造法(ゾル−ゲル法のナノテクノロジーへの応用(CMC、2005)、ゾル-ゲル法応用の展開(CMC、2008)参照)が挙げられる。
化合物(I)の炭素−炭素不飽和結合の重合反応としてはどのような重合反応でもよいが、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合などが挙げられる。
上記重合体を製造するための方法としては、化合物(I)の炭素−炭素不飽和結合の重合反応が好ましく、ラジカル重合が最も好ましい。合成方法としては、化合物(I)および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、化合物(I)を溶剤に溶解させ加熱し、開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法(連続添加)、開始剤を複数回分割して加える分割添加重合法(分割添加)などが挙げられる。膜強度および分子量再現性がより改善される点で、分割添加および連続添加が好ましい。
重合反応の反応温度は、通常0℃〜200℃であり、好ましくは40℃〜170℃、さらに好ましくは80℃〜160℃である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合時の反応液中の化合物(I)の濃度は、反応液全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下が最も好ましい。上記濃度範囲に設定することにより、ゲル化成分などの不純物の生成を抑制することができる。
上記重合反応で使用する溶剤は、化合物(I)が必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成される膜の特性に悪影響を与えないものであれば、特に制限はない。
溶剤としては、例えば、特開2008−218639号公報の段落番号[0038]に記載の溶媒が挙げられる。より好ましい溶剤は、エステル系溶剤、エーテル系溶剤および芳香族炭化水素系溶剤であり、具体的には、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、t−ブチルベンゼンが好ましく、特に好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチル、ジフェニルエーテル、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
反応時に重合開始剤を分解させるのに必要な温度まで反応液を加温できるために、溶剤の沸点は65℃以上であることが好ましい。
化合物(I)の重合反応は、非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤の存在下で重合することができる。
重合開始剤としては、特に、有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。有機過酸化物および有機アゾ系化合物としては、特開2008−239685号公報の段落番号[0033]〜[0035]に記載の化合物を使用することができる。
重合開始剤としては、試薬自体の安全性および重合反応の分子量再現性から、有機アゾ系化合物が好ましく、なかでも重合体中に有害なシアノが取り込まれないV−601などのアゾエステル化合物が好ましい。
重合開始剤の10時間半減期温度は、100℃以下であることが好ましい。10時間半減期温度が100℃以下であれば、重合開始剤を反応終了時に残存しないようにすることが容易である。
本発明の重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の重合開始剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.0001〜2モル、より好ましくは0.003〜1モル、特に好ましくは0.001〜0.5モルである。
重合反応終了時の重合体の重量平均分子量(M)は、2×10〜50×10であることが好ましく、3×10〜40×10であることがより好ましく、4×10〜40×10であることが最も好ましい。
重合反応終了時の重合体のZ+1平均分子量(MZ+1)は10×10〜60×10であることが好ましく、9×10〜55×10であることがより好ましく、8×10〜40×10であることが最も好ましい。
重合反応終了時の重合体は、分子量300×10以上の成分を実質的に含まないことが好ましく、200×10以上の成分を実質的に含まないことがより好ましく、100×10以上の成分を含まないことが最も好ましい。
重合時に、これらの分子量条件を満たすと、塗布面状がよく、焼成時の膜減りが小さい膜形成用組成物を収率よく製造することができる。
化合物(I)の重合反応終了後、精製処理を実施することが好ましい。精製の方法としては、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過、遠心分離処理、カラムクロマトグラフィー等の溶液状態での精製方法や、重合体溶液を貧溶媒へ滴下することで重合体を貧溶媒中に凝固させ、残留単量体等を除去する再沈澱法や、ろ別した重合体スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法など通常の方法を適用できる。
<カゴ型構造を有する化合物またはその重合体>
本発明の樹脂または樹脂前駆体として使用されるカゴ型構造を有する化合物またはその重合体は、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、およびドデカヘドランからなる群から選ばれるカゴ型構造を含む化合物またはその重合体であり、「カゴ型構造」の定義は上記と同様である。カゴ型構造を有する化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物(例えば、重合体(ポリマー))であってもよいが、好ましくはカゴ型構造を有するモノマー(該モノマーは前駆体と同義である)の重合体である。ここでカゴ型構造を有するモノマーとは、互いに重合して2量体以上の重合体になるものを指す。この重合体は、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。
カゴ型構造を有する化合物が重合体である場合、その重量平均分子量は、好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは5,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000である。カゴ型構造を有する化合物が低分子化合物である場合、その分子量は好ましくは150〜3,000、より好ましくは200〜2,000、特に好ましくは220〜1,000である。
カゴ型構造を有する化合物のカゴ型構造としては、より好ましくはアダマンタン、ビアダマンタンまたはジアマンタンであり、低誘電率である点で、特に好ましくはビアダマンタンまたはジアマンタンである。該カゴ型構造は、飽和、不飽和結合のいずれを含んでいてもよく、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含んでもよいが、低誘電率の見地から飽和炭化水素が好ましい。
カゴ型構造を有する化合物のカゴ型構造は、2〜4価の基であることが好ましい。このとき、カゴ型構造に結合する基は、1価以上の置換基でも2価以上の連結基でもよい。カゴ型構造は、より好ましくは2または3価の基であり、特に好ましくは2価の基である。
カゴ型構造を有する化合物のカゴ型構造は、1つ以上の置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子または沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニルなど)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニルなど)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなど)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイルなど)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニルなど)、炭素数1〜10のカルバモイル基(N,N−ジエチルカルバモイルなど)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシなど)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニルなど)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリルなど)などである。
カゴ型構造を有するモノマーの重合反応は、モノマーに置換した重合性基によって起こる。ここで重合性基とは、モノマーを重合せしめる反応性の置換基を指す。該重合反応としてはどのような重合反応でもよいが、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、または、遷移金属触媒重合などが挙げられる。
カゴ型構造を有するモノマーの重合反応は、非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、重合可能な炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有するモノマーを、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカルなどの遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤存在下で重合することができる。重合開始剤としては、有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられるが、特に有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、上記の有機過酸化物が好ましく用いられる。有機アゾ系化合物としては、上記の有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。
重合開始剤は1種のみ、または、2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の使用量は、カゴ型構造を有するモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
カゴ型構造を有するモノマーの重合反応は、特開2008−239685号公報の段落番号[0030]〜[0031]に記載の遷移金属触媒存在下で行うことも好ましい。
カゴ型構造は、ポリマー中にペンダント基として置換していてもよく、ポリマー主鎖の一部となっていてもよいが、ポリマー主鎖の一部となっている形態がより好ましい。ここで、ポリマー主鎖の一部になっている形態とは、本ポリマーからカゴ化合物を除去するとポリマー鎖が切断されることを意味する。この形態においては、カゴ型構造は直接単結合するかまたは適当な2価の連結基によって連結される。連結基の例としては例えば、−C(R35)(R36)−、−C(R37)=C(R38)−、−C≡C−、アリーレン基、−CO−、−O−、−SO2−、−N(R39)−、−Si(R40)(R41)−またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、R35〜R41はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基または芳香族炭化水素基を表す。この中でより好ましい連結基は、−C(R35)(R36)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R40)(R41)−またはこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、低誘電率である見地から−C(R35)(R36)−、−CH=CH−である。
本発明に用いるカゴ型構造を有する化合物は、重合可能な炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有するモノマーまたはその重合体であることが好ましい。さらには、下記一般式(G−1)〜(G−6)のいずれかで表される化合物またはその重合体であることがより好ましい。
Figure 2010212489
(一般式(G−1)〜(G−6)中、V〜Vはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基などを表し、Z〜Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表し、m、mは1〜16の整数を表し、n、nは0〜15の整数を表し、m、m、m、mはそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、n、n、n、nは0〜14の整数を表し、m、mは1〜20の整数を表し、n、nは0〜19の整数を表す。)
一般式(G−1)〜(G−6)中、V〜Vはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜10)、アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜10)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜10)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜20)、シリル基(好ましくは、炭素数0〜20)、アシル基(好ましくは、炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル(好ましくは、炭素数2〜10)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜20)などを表す。このうち、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(G−1)〜(G−6)中、Z〜Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素など)、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜10)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜20)またはシリル基(好ましくは、炭素数0〜20)を表す。より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくはアルキル基(メチル基など)である。
〜V、Z〜Zは、さらに別の置換基で置換されていてもよい。
一般式(G−1)または一般式(G−4)中、m、mはそれぞれ独立に1〜16の整数を表し、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、特に好ましくは2である。
一般式(G−1)または一般式(G−4)中、n、nはそれぞれ独立に0〜15の整数を表し、好ましくは0〜4、より好ましくは0または1、特に好ましくは0である。
一般式(G−2)または一般式(G−5)中、m、m、m、mはそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、好ましくは1〜4で、より好ましくは1〜3、特に好ましくは2である。
一般式(G−2)または一般式(G−5)中、n、n、n、nはそれぞれ独立に0〜14の整数を表し、好ましくは0〜4、より好ましくは0または1、特に好ましくは0である。
一般式(G−3)または一般式(G−6)中、m、mはそれぞれ独立に1〜20の整数を表し、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、特に好ましくは2である。
一般式(G−3)または一般式(G−6)中、n、nはそれぞれ独立に0〜19の整数を表し、好ましくは0〜4、より好ましくは0または1、特に好ましくは0である。
カゴ型構造を有するモノマーとしては、好ましくは一般式(G−1)、一般式(G−2)、一般式(G−4)または一般式(G−5)で表される化合物であり、より好ましくは一般式(G−1)または一般式(G−2)で表される化合物であり、特に好ましくは一般式(G−2)で表される化合物である。
カゴ型構造を有する化合物は、2種以上を併用してもよい。また、本発明に用いることができるカゴ型構造を有するモノマーを2種以上共重合してもよい。
カゴ型構造を有する化合物としては、例えば、特開2008−166384号公報の段落番号[0041]〜[0044]に記載の化合物を使用することができる。
カゴ構造を有する化合物は、有機溶剤へ十分な溶解性を有することが好ましい。カゴ構造を有する化合物の溶解度は、25℃でシクロヘキサノンまたはアニソールに対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
重合反応で使用する溶媒は、原料であるカゴ型構造を有するモノマーが必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成する膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用してもよい。例えば、特開2008−218639号公報の段落番号[0038]に記載の溶媒が挙げられる。
反応液中のカゴ型構造を有するモノマーの濃度は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。
重合反応の最適な条件は、重合開始剤、カゴ型構造を有するモノマー、溶媒の種類、濃度などによって異なるが、好ましくは内温0℃〜200℃、より好ましくは50℃〜170℃、特に好ましくは100℃〜150℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜10時間の範囲である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴンなど)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合して得られるポリマーの重量平均分子量の好ましい範囲は、1,000〜500,000、より好ましくは5,000〜300,000、特に好ましくは10,000〜200,000である。
カゴ型構造を有する化合物の合成方法としては、まず、例えば市販のジアマンタンを原料として、臭化アルミニウム触媒存在下または非存在下で臭素と反応させて臭素原子を所望の位置に導入する。続けて、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄などのルイス酸の存在下で臭化ビニルとフリーデルクラフツ反応を行い、2,2−ジブロモエチル基を導入する。さらに、続けて強塩基で脱HBr化してエチニル基に変換することで合成することができる。具体的には、Macromolecules, 1991年 24巻 5266〜5268頁、1995年 28巻 5554〜5560頁、Journal of Organic Chemistry, 39, 2995-3003 (1974)などに記載された方法に準じて合成することが出来る。
また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウムなどでアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することが出来る。
カゴ型構造を有する化合物の別の好ましい形態として、一般式(H−1)で表される繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。この重合体を使用することにより、低誘電率かつ優れた耐熱性を示す膜を得ることができる。
Figure 2010212489
(一般式(H−1)中、Xは、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、およびドデカヘドランからなる群から選ばれるカゴ型構造を表す。Yは、芳香族炭化水素基を表す。Rはアルキル基を、Rは置換基を表す。aは1〜18の整数を、bは0〜6の整数を表す。*は、結合位置を表す。)
一般式(H−1)中、Xは、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、およびドデカヘドランからなる群から選ばれるカゴ型構造を表す。「カゴ型構造」の定義は上記と同様である。
本発明のカゴ型構造として、低誘電性および耐熱性の観点より、好ましくはアダマンタン、ビアダマンタンまたはジアマンタンである。
本発明のカゴ型構造は3〜8価であることが好ましい。このとき、カゴ型構造に結合する基は1価以上の置換基でも2価以上の連結基でもよい。カゴ型構造は好ましくは3または4価である。
一般式(H−1)中のYは、芳香族炭化水素基を表す。炭素数6〜20が好ましく、炭素数6〜15がより好ましく、炭素数6〜10が特に好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセン基、テトラセン基、ペンタセン基、フェナントレン基、ピレン基、9,9−ジフェニルフルオレン基、テトラフェニルメタン基、スピロビフルオレン基等であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基、より好ましくはフェニル基である。
一般式(H−1)中、Rは、アルキル基を表す。アルキル基としては、特に限定されず、直鎖、分岐鎖、または環状でもよく、さらにアルキル基は任意の置換基を有していてもよい。直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜2が特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。環状のアルキル基としては、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、またはカゴ型構造を有する基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数4〜8がより好ましく、炭素数5〜6が特に好ましい。具体的には、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられる。ビシクロアルキル基としては、炭素数4〜20が好ましく、炭素数5〜15がより好ましく、炭素数6〜8が好ましい。具体的には、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−イル基などが挙げられる。
アルキル基上の任意の置換基としては、本発明の効果を損なわない限りどのような置換基であってもよく、特開2008−047816号公報の段落番号[0049]に記載の置換基などが挙げられる。
より好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ基等)、炭素数1〜10のアシルオキシ基(アセトキシ基等)であり、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)である。
一般式(H−1)中、Rは置換基を表す。置換基としては、本発明の効果を損なわない限りどのような置換基であってもよく、具体的には上述したRで表されるアルキル基上に置換される任意の置換基の具体例と同様である。
このうち好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル基、アリル基、プレニル基等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル基、ナフチル基、アントラセン基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ基等)である。これらの基は更に任意の置換基を有していてもよい。
より好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル基、アリル基、プレニル基等)であり、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)である。
一般式(H−1)中、aは1〜18の整数を表す。なかでも、1〜6がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
一般式(H−1)中、bは0〜6の整数を表す。なかでも、0〜4がより好ましく、0〜2が特に好ましい。
一般式(H−1)で表される繰り返し単位を有する重合体の重量平均分子量(M)は、特に制限されないが、500〜1000000が好ましく、1000〜500000がより好ましく、2000〜300000がさらに好ましい。分子量が小さすぎると、加熱により揮発し膜厚が減少する場合がある。分子量が大きすぎると、有機溶剤への溶解性が不十分となる場合や、粘度が高くなり、硬化膜の平滑性に欠ける場合がある。
一般式(H−1)で表される繰り返し単位を有する重合体中における一般式(H−1)で表される繰り返し単位の含有量は、特に限定されず、重合体の全繰り返し単位(100モル%)に対して、20モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。上限値は100モル%である。
なお、一般式(H−1)で表される繰り返し単位のモル%は、一般式(H−1)を構成する、X由来の繰り返し単位と、Y由来の繰り返し単位との合計モル%を意味する。
一般式(H−1)で表される繰り返し単位を有する重合体は、本発明の効果を損なわない範囲において、一般式(H−1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。例えば、以下の一般式(W−1)〜一般式(W−3)で表されるような、置換基を有しないカゴ型構造(アダマンタン、ジアマンタン)由来の繰り返し単位を有していてもよい。
Figure 2010212489
一般式(W−1)〜一般式(W−3)中、Rは、置換基を表す。eは0〜4の整数を表す。*は、結合位置を表す。Rで表される置換基は、一般式(H−1)中のRで表される置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
eは0〜4の整数を表す。なかでも、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0〜1である。
一般式(H−1)で表される繰り返し単位を有する重合体の中でも、誘電性および耐熱性の観点より、一般式(H−2)で表される繰り返し単位、一般式(H−3)で表される繰り返し単位、および一般式(H−4)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2010212489
(一般式(H−2)〜一般式(H−4)中、Rは、アルキル基を表す。Rは、置換基を表す。cは1〜6の整数を、dは0〜4の整数を表す。*は、結合位置を表す。)
一般式(H−2)〜一般式(H−4)中、Rは、アルキル基を表す。Rで表されるアルキル基の定義は、上述した一般式(H−1)中のRの定義と同義である。なお、Rの結合位置は、特に制限されない。
一般式(H−2)〜一般式(H−4)中、Rは、置換基を表す。Rで表される置換基の定義は、上述した一般式(H−1)中のRの定義と同義である。なお、ベンゼン環基上のRの結合位置は、特に限定されない。
一般式(H−2)〜一般式(H−4)中、cは1〜6の整数を表す。なかでも、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜2である。
一般式(H−2)〜一般式(H−4)中、dは0〜4の整数を表す。なかでも、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0〜1である。
一般式(H−1)で表される繰り返し単位の具体例としては、特許出願2008−221821号明細書の段落番号[0034]〜[0037]に記載の繰り返し単位などが挙げられる。
一般式(H−1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位の具体例としては、特許出願2008−221821号明細書の段落番号[0039]〜[0042]に記載の繰り返し単位などが挙げられる。
(合成方法)
一般式(H−1)で表される繰り返し単位を有する重合体の合成方法は特に制限されず、公知の方法を組み合わせて合成することができる。例えば、ハロゲン原子またはヒドロキシ基を2つ以上有するカゴ型化合物と芳香族化合物とを、フリーデルクラフツ反応によって重合することで合成できる。
ハロゲン原子を2つ以上有するカゴ型化合物としては、例えば、市販の1,3−ジブロモアダマンタン、J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, vol.23, 3527-3530(1999年)等に記載された方法で合成することのできる1,3−ジブロモ−5,7−ジメチルアダマンタン、J. Org. Chem., vol.39, 2995-3003(1974年)等に記載された方法で合成することのできる1,6−ジブロモジアマンタン、4,9−ジブロモジアマンタン等が挙げられる。ヒドロキシ基を2つ以上有するカゴ型化合物としては、例えば、市販の1,3−アダマンタンジオール、1,3,5−アダマンタントリオール、J. Org. Chem., vol.39, 2987-2994(1974年)等に記載された方法で合成することのできる1,6−ジアマンタンジオール、4,9−ジアマンタンジオール等が挙げられる。
芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、アニソール、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、t−ブチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、(トリメチルシリル)ベンゼン等が挙げられる。
重合体を合成するためのフリーデルクラフツ反応は、ルイス酸存在下またはブレンステッド酸存在下で行うことが好ましい。ルイス酸としては、例えば、三臭化アルミニウム、三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化鉄、五塩化アンチモン、四塩化ジルコニウム、四塩化スズ、四塩化チタン、四臭化チタン、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、トリメトキシホウ素、二塩化亜鉛、二塩化ベリリウム、二塩化カドミウム、三ハロゲン化ランタノイド、ハロゲン化アルキルアルミニウム、アルミニウムトリアルキル、アルミニウムアルコキシド、銀トリフラート、セリウムトリフラート、ハフニウムトリフラート、ランタニウムトリフラート、スカンジウムトリフラート、タリウムトリフラート、イッテルビウムトリフラート、ビスマストリフラート、トリメチルシリルトリフラート、チタノセントリフラート、ジアルキルボロントリフラート、スカンジウムトリフリルイミド、スカンジウムトリフリルメチド、オキソバナジウムトリフラート、トリメチルシリルトリフリルイミド、トリメチルシリルヨージド等が好ましく用いられる。
ブレンステッド酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロスルホン酸、フッ化水素酸、リン酸、(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、ゼオライトやペルフルオロスルホン酸樹脂等の固体酸、フッ化水素と五フッ化アンチモンの混合物、フルオロ硫酸と五フッ化アンチモンの混合物等が好ましく用いられる。
また、重合体を合成するためのフリーデルクラフツ反応は、溶媒を用いることが好ましく、反応原料であるカゴ型化合物および芳香族化合物が室温または加熱により可溶で、ルイス酸またはブレンステッド酸に不活性であれば特に制限はない。例えば、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、炭酸エステル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒などが利用できる。これらの中でより好ましい溶媒は、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒であり、具体的には、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、二硫化炭素、ニトロメタン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
重合溶媒中の固形分(原料のカゴ型化合物と芳香族化合物)の濃度は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜20質量%である。
重合反応の最適な条件は、原料のカゴ型化合物と芳香族化合物、重合触媒、溶媒の種類、濃度等によって異なるが、好ましくは内温0℃〜150℃、より好ましくは0℃〜100℃で、好ましくは0.1〜48時間、より好ましくは0.2〜24時間である。
本発明の組成物中における上記樹脂または樹脂前駆体の含有量は、特に制限されないが、得られる膜の誘電率および膜減りがより優れる点で、組成物中の全固形分に対して、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましい。
<組成物>
本発明の組成物には、上記の化合物(P)と、樹脂または樹脂前駆体とが含有される。なお、本発明の組成物は、化合物(P)と、樹脂または樹脂前駆体とが有機溶剤に溶解した溶液であってもよいし、化合物(P)と、樹脂または樹脂前駆体とを含む固形物であってもよい。
本発明の組成物は、種々の用途に用いることができ、その目的に応じて化合物(P)の含有量や添加する添加剤などの種類が決められる。用途としては、例えば、膜(例えば、絶縁膜)を製造するため(膜形成用組成物)や、低屈折率膜、低屈折率材料、ガス吸着材料、レジスト材料などが挙げられる。
本発明の組成物は、溶剤を含有していてもよい。つまり、化合物(P)および樹脂または樹脂前駆体は、適当な溶剤に溶解させて、支持体上に塗布して使用することが好ましい。
溶剤としては、25℃で化合物(P)を5質量%以上(好ましくは10質量%以上)溶解する溶剤が好ましい。具体的には、特開2008−214454号公報の段落番号[0044]に記載の溶剤が挙げられる。
上記の中でも、好ましい溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。
本発明の組成物を適当な溶剤に溶解させて得られる溶液も、本発明の組成物の範囲に含まれる。組成物が溶剤を含む場合、組成物中の全固形分濃度は、組成物全量に対して、好ましくは1〜30質量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。上記範囲内であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、塗布液の保存安定性もより優れるものとなる。
本発明の組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。特に、本発明の組成物を低温で硬膜する必要がある場合は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。その場合の重合開始剤の種類は特に制限されないが、例えば、上述した化合物(I)の重合の際に使用される重合開始剤などが挙げられる。また、この目的で、放射線により重合を引きおこす開始剤を使用することもができる。
<添加剤>
更に、本発明の組成物には、組成物を用いて得られる膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる界面活性剤を使用してもよい。例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。使用する界面活性剤は、一種類のみでもよいし、二種類以上を併用してもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。
本発明で使用する界面活性剤の添加量は、組成物全量に対して、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。
本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)等を挙げることができる。
本発明に使用するノニオン系界面活性剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等を挙げることができる。
本発明に使用する含フッ素系界面活性剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。
本発明に使用するアクリル系界面活性剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる密着促進剤を使用してもよい。密着促進剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。他には、特開2008−243945号公報の段落番号[0048]に記載の化合物が使用される。本発明で使用する密着促進剤は、一種類のみを用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
密着促進剤の好ましい使用量は、特に制限されないが、通常、組成物中の全固形分に対して、10質量%以下、特に0.05〜5質量%であることが好ましい。
本発明の組成物はフィルターろ過により、不溶物、ゲル状成分等を除いてから膜形成に用いることが好ましい。その際に用いるフィルターの孔径は0.005〜0.5μmが好ましく、孔径0.005〜0.2μmがより好ましく、孔径孔径0.005〜0.1μmが最も好ましい。フィルターの材質はポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンがより好ましい。
<膜製造方法>
本発明の組成物は、上記のように種々の用途に用いることができる。例えば、その用途としては、膜(好ましくは、絶縁膜)を作製するために使用することができる(以下、適宜、膜形成用組成物とも称する。)。後述する硬膜条件時に、上記の化合物(P)が揮発し、膜中に空孔が形成される。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法等の任意の方法により、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハ、ガラス、プラスチックフィルムなどの基板に塗布した後、溶剤を必要に応じて加熱処理で除去することにより形成することができる。
基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法が好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法である。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。
スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
本発明の組成物は基板上に塗布した後に硬膜することが好ましい。硬膜とは、基板上の組成物(塗膜)を硬化し、膜に溶剤耐性を与えることを意味する。硬膜の方法としては、加熱処理(焼成)することが特に好ましい。例えば、重合体中に残存するビニル基の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜600℃、より好ましくは200〜500℃、特に好ましくは200℃〜450℃で、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは1分〜2時間、特に好ましくは1分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行ってもよい。また、この後加熱は、酸素による熱酸化を防ぐために、窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明では加熱処理ではなく、光照射や放射線照射などの活性エネルギー線を照射することで、例えば、重合体中に残存するビニル基またはエチニル基などの重合反応を起こして硬膜してもよい。活性エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
活性エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0.1〜50keVが好ましく、より好ましくは0.2〜30keV、特に好ましくは0.5〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0.01〜5μC/cm2 、より好ましくは0.01〜2μC/cm 2 、特に好ましくは0.01〜1μC/cm2である。電子線を照射する際の基板温度は0〜500℃が好ましく、より好ましくは20〜450℃、特に好ましくは20〜400℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。
本発明の組成物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
活性エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は160〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の組成物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
加熱処理と光照射や放射線照射などの活性エネルギー線処理照射を、同時にまたは順次行うことにより硬膜してもよい。
膜を形成する際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。
特に、カゴ構造が焼成時に分解しないために、組成物および膜の製造中にSi原子に求核攻撃する基(水酸基、シラノール基など)が実質的に存在しないことが好ましい。
より具体的には、本発明の膜形成用組成物を、例えばスピンコート法により、基板(通常は金属配線を有する基板)上に塗布し、予備熱処理を行うことにより溶媒を乾燥させ、次いで300℃以上430℃以下の温度で最終熱処理(アニール)を行うことにより低誘電率の絶縁膜を形成できる。
<膜>
上述した膜形成用組成物から得られる膜の厚さは、特に限定されないが、絶縁膜などへの応用の点から、0.005〜10μmが好ましく、0.01〜5.0μmがより好ましく、0.01〜1.0μmがさらに好ましい。
ここで、本発明の膜の厚さは、光学干渉式膜厚測定器にて任意の3箇所以上を測定した場合の単純平均値を意味するものとする。
上述の本発明の方法により得られる膜の比誘電率は、使用する材料によって異なるが、実用的な観点から、測定温度25℃において、2.4以下、好ましくは2.3以下(より好ましくは2.2以下)、つまり1.8〜2.3であることが好ましい。
本発明の膜は上記の硬膜時における膜厚の減り(以後、膜減りとも記す)が小さく、実用的な観点から、0〜10%であることが好ましく、0〜5%であることがより好ましい。なお、0%は、膜厚の減りがないことを意味する。
<用途>
本発明の膜は、多様の目的に使用することができ、特に絶縁膜として電子デバイスへ好適に用いることができる。電子デバイスとは、半導体装置や、磁気記録ヘッドなどを含めた広範な電子機器を意味する。例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することができる。また、光学装置用の表面保護膜、反射防止膜、位相差膜としても用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により制約されるものではない。
以下のGPC測定は、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF−805L(カラム3本を直結)を使用し、カラム温度40℃、試料濃度0.5質量%のテロラヒドロフラン溶液を50μl注入し、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量でフローさせ、RI検出装置(Waters2414)およびUV検出装置(Waters2996)にて試料ピークを検出することでおこなった。M、MおよびMz+1は標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。
以下に化合物(P)の合成方法について説明する。なお、以下の化合物の番号は、上述した化合物(P)の例示化合物の番号に対応する。
<化合物P−1の合成>
冷却管を備えた三つ口フラスコにフェニルアセチレン2.35g、テトラフェニルシクロペンタジエノン8.86g、キシレン50gを加え、160℃で6時間加熱還流した。室温まで冷却後、メタノール200mLを反応液に加え、析出固体を濾取、乾燥して、白色固体の目的物(化合物P−1)9.58gを得た(収率:91%)。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は279℃であった。
<化合物P−2の合成>
冷却管を備えた三つ口フラスコに4−ブロモジフェニルエーテル50g、トリメチルシリルアセチレン34mL、トリフェニルホスフィン3.58g、トリエチルアミン260mLを加え、窒素置換した後、酢酸パラジウム0.25g、ヨウ化銅(I)0.497gを加え、80℃で20時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、析出固体をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を少量の酢酸エチルに溶解させてシリカゲルクロマトグラフィーに充填し、ヘキサンを溶離液に用いてカラム精製を行った。得られた溶液の溶媒を減圧留去することで、4−(トリメチルシリルエチニル)ジフェニルエーテルを白色固体として63.8g得た(収率:96%)。
ナスフラスコに4−(トリメチルシリルエチニル)ジフェニルエーテル63.8g、メタノール120mL、テトラヒドロフラン120mLを加え、0℃まで冷却した後、炭酸カリウム82.7gをゆっくりと加えた。室温で3時間撹拌後、酢酸エチル/水で抽出を行った。有機層を減圧濃縮することで得られた粗生成物を少量の酢酸エチルに溶解させてシリカゲルクロマトグラフィーに充填し、ヘキサンを溶離液に用いてカラム精製を行った。得られた溶液の溶媒を減圧留去することで、4−エチニルジフェニルエーテルを白色固体として43.6g得た(収率:94%)。
冷却管を備えた三つ口フラスコに4−エチニルジフェニルエーテル5.00g、テトラフェニルシクロペンタジエノン8.86g、キシレン50gを加え、160℃で6時間加熱還流した。室温まで冷却後、メタノール200mLを反応液に加え、析出固体を濾取、乾燥して、白色固体の目的物(化合物P−2)12.1gを得た(収率:95%)。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は331℃であった。
<化合物P−3の合成>
三つ口フラスコに4−エチニルジフェニルエーテル3g、ヨードベンゼン3.15g、ジイソプロピルアミン100mLを加え、窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.892g、ヨウ化銅(I)0.147gを加え、室温で2時間撹拌した。析出固体をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を少量の酢酸エチルに溶解させてシリカゲルクロマトグラフィーに充填し、ヘキサンを溶離液に用いてカラム精製を行った。得られた溶液の溶媒を減圧留去することで、4−(フェニルエチニル)ジフェニルエーテルを白色固体として4.05g得た(収率:97%)。
冷却管を備えた三つ口フラスコに4−(フェニルエチニル)ジフェニルエーテル3.17g、テトラフェニルシクロペンタジエノン4.51g、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン40gを加え、200℃で6時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、メタノール200mLを反応液に加え、析出固体を濾取、乾燥して、白色固体の目的物(化合物P−3)6.97gを得た(収率:95%)。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は342℃であった。
<化合物P−4の合成>
冷却管を備えた三つ口フラスコに4−ブロモジフェニルエーテル5.00g、4−エチニルジフェニルエーテル3.88g、トリフェニルホスフィン0.358g、トリエチルアミン40mLを加え、窒素置換した後、酢酸パラジウム0.025g、ヨウ化銅(I)0.050gを加え、80℃で20時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、析出固体をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を少量の酢酸エチルに溶解させてシリカゲルクロマトグラフィーに充填し、ヘキサンを溶離液に用いてカラム精製を行った。得られた溶液の溶媒を減圧留去することで、ビス(4−フェノキシフェニル)アセチレンを白色固体として6.38g得た(収率:88%)。
冷却管を備えた三つ口フラスコにビス(4−フェノキシフェニル)アセチレン4.24g、テトラフェニルシクロペンタジエノン4.51g、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン40gを加え、200℃で6時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、メタノール200mLを反応液に加え、析出固体を濾取、乾燥して、白色固体の目的物(化合物P−4)7.57gを得た(収率:90%)。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は367℃であった。
<化合物P−5の合成>
化合物P−2の合成において、4−ブロモジフェニルエーテルの代わりに2−ブロモナフタレンを用いた以外は、化合物P−2の合成と同様に反応を行い、化合物P−5を得た。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は320℃であった。
<化合物P−6の合成>
化合物P−2の合成において、4−ブロモジフェニルエーテルの代わりに3−ブロモビフェニルを用いた以外は、化合物P−2の合成と同様に反応を行い、化合物P−6を得た。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は336℃であった。
<化合物P−7の合成>
冷却管を備えた三つ口フラスコにビス(4−ブロモフェニル)エーテル25g、トリメチルシリルアセチレン26mL、トリフェニルホスフィン1.36g、トリエチルアミン100mLを加え、窒素置換した後、酢酸パラジウム0.096g、ヨウ化銅(I)0.192gを加え、80℃で20時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、析出固体をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を少量の酢酸エチルに溶解させてシリカゲルクロマトグラフィーに充填し、ヘキサンを溶離液に用いてカラム精製を行った。得られた溶液の溶媒を減圧留去することで、ビス(4−(トリメチルシリルエチニル)フェニル)エーテルを白色固体として24.3g得た(収率:88%)。
ナスフラスコにビス(4−(トリメチルシリルエチニル)フェニル)エーテル24.3g、メタノール40mL、テトラヒドロフラン40mLを加え、0℃まで冷却した後、炭酸カリウム27.6gをゆっくりと加えた。室温で3時間撹拌後、酢酸エチル/水で抽出を行った。有機層を減圧濃縮することで得られた粗生成物を少量の酢酸エチルに溶解させてシリカゲルクロマトグラフィーに充填し、ヘキサンを溶離液を用いてカラム精製を行った。得られた溶液の溶媒を減圧留去することで、ビス(4−エチニルフェニル)エーテルを白色固体として13.5g得た(収率:92%)。
冷却管を備えた三つ口フラスコにビス(4−エチニルフェニル)エーテル2.00g、テトラフェニルシクロペンタジエノン7.05g、キシレン40gを加え、160℃で6時間加熱還流した。室温まで冷却後、メタノール200mLを反応液に加え、析出固体を濾取、乾燥して、白色固体の目的物(化合物P−7)7.85gを得た(収率:92%)。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は442℃であった。
<化合物P−8の合成>
文献(J. Mater. Chem., Vol.16, 4706-4713 (2006) )に記載の方法に従って、トリフェニルクロロシランと1,4−ジブロモベンゼンとから(4−ブロモフェニル)トリフェニルシランを合成した。
化合物P−2の合成において、4−ブロモジフェニルエーテルの代わりに(4−ブロモフェニル)トリフェニルシランを用いた以外は、化合物P−2の合成と同様に反応を行い、化合物P−8を得た。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は372℃であった。
<化合物P−9の合成>
文献(J. Org. Chem., Vol.27, 1023-1026 (1962) )に記載の方法に従って、ジクロロジフェニルシランと4−ブロモジフェニルエーテルとから化合物P−9を合成した。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は315℃であった。
<比較化合物Q−1の熱重量分析>
比較化合物Q−1(1,3,5−トリフェニルベンゼン)の熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は234℃であった。
<比較化合物Q−2の合成>
上記合成例を参照して、下記構造の比較化合物Q−2を合成した。熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度は498℃であった。
Figure 2010212489
<化合物I−mの合成>
電子グレード濃塩酸67g、n-ブタノール305g、イオン交換水133gの混合溶液を10℃に冷却し、これにビニルトリエトキシシラン59gを15分間かけて滴下した。その後更に、25℃で18時 間攪拌した。析出した結晶を濾取し、電子グレードメタノール50gで洗浄した。これをテトラヒドロフラン42gに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール42g、続いてイオン交換水127gを滴下した。析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体の目的物(化合物I−m)4.2gを得た。H−NMR測定の結果は以下の通りであった。1H-NMR (300 MHz, CDCl3) :6.13-5.88 (m, 24H)
<化合物I−kの合成>
電子グレード濃塩酸136g、n-ブタノール1L、イオン交換水395gの混合溶液を10℃に冷却し、これにビニルトリエトキシシラン78.3gとメチルトリエトキシシラン73.3gの混合溶液を15分間かけて滴下した。その後更に、25℃で18時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、電子グレードメタノール100mLで洗浄した。これをテトラヒドロフラン500mLに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール200mL、続いてイオン交換水200mLを滴下した。析出した結晶を濾取、乾燥して白色固体の目的物(化合物I−k)7.8gを得た。H−NMR測定の結果は以下の通りであった。1H-NMR (300 MHz, CDCl3) :0.28-0.18 (m, 12H), 6.08-5.88 (m, 12H)
上記製造例を参照して、化合物I−a、化合物I−j、化合物I−rを合成した。なお、それぞれの化合物は、上記の化合物(I)の例示化合物として記載した化合物に該当する。
<樹脂A−1の合成>
化合物(I−m)50gを電子グレード酢酸ブチル1320gに加えた。得られた溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)0.47gと2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール113mgとを電子グレード酢酸ブチル235mlに溶解させた溶液50.4mlを80分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液に電子グレードメタノール3L、イオン交換水3Lを加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール100mLで洗浄した。これをテトラヒドロフラン724gに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール50g、続いて水150gを滴下した。1時間攪拌した後、デカンテーションで上澄みを捨て、電子グレードメタノール200gを加えた。析出した固体を濾取、乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−1)17.7gを得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=8.7×10、M=5.4×10であった。固形物中には未反応の化合物(I−m)は2質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(4.9〜6.8ppm)が2.6/5.4の積分比率で観察された。
<樹脂A−2の合成>
化合物(I−m)109gをジフェニルエーテル2878gに加えた。得られた溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)168mgをジフェニルエーテル74gに溶解させた溶液15.0mlを30分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後に、反応液に電子グレードメタノール5.4L、水200mLを加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。これをテトラヒドロフラン1Lに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール2L続いてイオン交換水125gを加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。この操作を計2回繰り返し、乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−2)7.26gを得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=8.1×10、M=4.98×10であった。固形物中には未反応の化合物(I−m)は0.2質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(4.9〜6.8ppm)が2.2/5.8の積分比率で観察された。
<樹脂A−3の合成>
化合物(I−m)30gをジフェニルエーテル792gに加えた。得られた溶液を窒素気流中150℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製VR−110(Azodi−tert−octane、10時間半減温度110℃)112mgと2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール22mgをジフェニルエーテル49.8gに溶解させた溶液11.4mlを30分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間150℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液に電子グレードメタノール3.5L、イオン交換水150mLを加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。これをテトラヒドロフラン300mLに溶解し、攪拌しながら電子グレードメタノール30mL続いてイオン交換水60mLを加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール100mLで洗浄した。この操作を計2回繰り返し、乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−3)12.5gを得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=18.3×10、M=5.58×10であった。固形物中には未反応の化合物(I−m)は2質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(4.9〜6.8ppm)が1.3/6.7の積分比率で観察された。
<樹脂A−4の合成>
化合物(I−m)1gを電子グレード酢酸ブチル26.4gに加えた。得られた溶液を窒素気流中、内温127℃で加熱還流しながら、重合開始剤として和光純薬工業製V−601(10時間半減温度66℃)1.8mgを電子グレード酢酸ブチル2mlに溶解させた溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間加熱還流した。重合禁止剤として4−メトキシフェノール20mgを加えた後、室温まで冷却した。その後、液重量2gまで減圧濃縮し、電子グレードメタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物を濾取、乾燥した。これをテトラヒドロフラン15mlに溶解し、攪拌しながらイオン交換水5mlを滴下した。1時間攪拌した後、デカンテーションで上澄みを捨て、電子グレードメタノール10mlを加えた。固形分を濾取、乾燥し、白色固体の目的物(樹脂A−4)0.60gを得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=11.8×10、M=3.1×10、Mz+1=27×10であった。固形物中には未反応の化合物(I−m)は3質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分のH−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(4.9〜6.8ppm)が42/58の積分比率で観察された。
<樹脂A−5の合成>
化合物(I−m)1gを電子グレード酢酸ブチル13.2gに加えた。得られた溶液を窒素気流中、内温127℃で加熱還流しながら、重合開始剤として和光純薬工業製V−40(10時間半減温度88℃)1mgを電子グレード酢酸ブチル1mlに溶解させた溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間加熱還流した。重合禁止剤として4−メトキシフェノール20mgを加えた後、室温まで冷却した。その後、液重量2gまで減圧濃縮し、電子グレードメタノール20mlを加え、1時間攪拌した後、固形物をろ取、乾燥した。これをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、攪拌しながらイオン交換水1.8mlを滴下した。1時間攪拌した後、デカンテーションで上澄みを捨て、電子グレードメタノール10mlを加えた。固形分を濾取、乾燥し、白色固体の目的物(樹脂A−5)0.41gを得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=12.8×10、M=3.3×10、Mz+1=38×10であった。固形物中には未反応の例示化合物(I−m)は3質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分のH−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(4.9〜6.8ppm)が53:47の積分比率で観察された。
上記の製造例を参照して、樹脂A−6〜樹脂A−11を合成した。なお、それぞれの樹脂の合成に使用した化合物(I)の種類および組成、ならびに、重量平均分子量および数平均分子量を表1に示す。
Figure 2010212489
<樹脂B−1の合成>
下記スキームに従って、樹脂(B−1)を合成した。なお、下記スキーム中、樹脂(B−1)の繰り返し単位中の「*」は、他の繰り返し単位中の「**」と結合する。
Figure 2010212489
文献(J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, vol.23, 3527-3530 (1999年))に記載の合成法に従って、1,3−ジブロモ−5,7−ジメチルアダマンタンを合成した。
次に、窒素導入管、撹拌装置を備えた200ml三つ口フラスコに1,3−ジブロモ−5,7−ジメチルアダマンタン4.38g、1,3−ジブロモアダマンタン16.0g、ベンゼン5.31g、ジクロロベンゼン100gを加え、窒素気流下、撹拌しながら原料を完全に溶解させた。塩化鉄(III)2.20gを加え、室温で90分間撹拌した。反応液をメタノール500mLに添加し、析出した固体を濾過して、メタノールで洗浄した。得られた固体を窒素導入管、撹拌装置を備えた300ml三つ口フラスコに加え、トリス(トリメチルシリル)シラン46.8g、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1.54g、トルエン200mLを加え、窒素気流下、撹拌しながら80℃で3時間撹拌した。反応液を室温に冷却後、メタノール500mLに添加し、析出した固体を濾過した。得られた固体をテトラヒドロフラン100mLに再溶解し、メタノール500mL、テトラヒドロフラン500mLの混合液に滴下した。析出した固体を濾過してメタノールで洗浄し、減圧乾燥することで、重量平均分子量約2.2万の樹脂(B−1)を9.35g得た。樹脂(B−1)中のジメチルアダマンタン構造の繰り返し単位:アダマンタン構造の繰り返し単位:ベンゼン構造の繰り返し単位のモル比は1H NMRより算出し、10:40:50であった。
<樹脂B−2の合成>
下記スキームに従って、樹脂(B−2)を合成した。なお、下記スキーム中、樹脂(B−2)の繰り返し単位中の「*」は、他の繰り返し単位中の「**」と結合する。
Figure 2010212489
窒素導入管、撹拌装置を備えた300ml三つ口フラスコに1,3−ジブロモ−5,7−ジメチルアダマンタン1.31g、1,3−ジブロモアダマンタン4.80g、1,4−ジ−tert−ブチルベンゼン3.88g、ジクロロベンゼン180gを加え、窒素気流下、撹拌しながら原料を完全に溶解させた。塩化鉄(III)0.66gを加え、室温で10分間撹拌した。反応液をメタノール500mLに添加し、析出した固体を濾過して、メタノールで洗浄した。得られた固体を窒素導入管、撹拌装置を備えた100ml三つ口フラスコに加え、トリス(トリメチルシリル)シラン7.02g、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.23g、トルエン60mLを加え、窒素気流下、撹拌しながら80℃で3時間撹拌した。反応液を室温に冷却後、メタノール500mLに添加し、析出した固体を濾過した。得られた固体をテトラヒドロフラン30mLに再溶解し、メタノール150mL、テトラヒドロフラン150mLの混合液に滴下した。析出した固体を濾過してメタノールで洗浄し、減圧乾燥することで、重量平均分子量約9.5万の樹脂(B−2)を3.12g得た。樹脂(B−2)中のジメチルアダマンタン構造の繰り返し単位:アダマンタン構造の繰り返し単位:ベンゼン構造の繰り返し単位:tert−ブチルベンゼン構造の繰り返し単位のモル比は1H NMRより算出し、10:40:25:25であった。
<樹脂B−3の合成>
下記スキームに従って、樹脂(B−3)を合成した。なお、下記スキーム中、樹脂(B−3)の繰り返し単位中の「*」は、他の繰り返し単位中の「**」と結合する。
Figure 2010212489
文献(J. Org. Chem., vol.39, 2995-3003 (1974年))に記載の合成法に従って、1,6−ジブロモジアマンタンを合成した。
次に、窒素導入管、撹拌装置を備えた300ml三つ口フラスコに1,3−ジブロモ−5,7−ジメチルアダマンタン1.31g、1,6−ジブロモジアマンタン5.65g、1,4−ジ−tert−ブチルベンゼン3.88g、ジクロロベンゼン50gを加え、窒素気流下、撹拌しながら原料を完全に溶解させた。塩化鉄(III)0.66gを加え、80℃で3時間撹拌した。反応液をメタノール500mLに添加し、析出した固体を濾過して、メタノールで洗浄した。得られた固体を窒素導入管、撹拌装置を備えた100ml三つ口フラスコに加え、トリス(トリメチルシリル)シラン7.02g、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.23g、トルエン60mLを加え、窒素気流下、撹拌しながら80℃で3時間撹拌した。反応液を室温に冷却後、メタノール500mLに添加し、析出した固体を濾過した。得られた固体をテトラヒドロフラン30mLに再溶解し、メタノール150mL、テトラヒドロフラン150mLの混合液に滴下した。析出した固体を濾過してメタノールで洗浄し、減圧乾燥することで、重量平均分子量約4900の樹脂(B−3)を2.81g得た。樹脂(B−3)中のジメチルアダマンタン構造の繰り返し単位:ジアマンタン構造の繰り返し単位:ベンゼン構造の繰り返し単位:tert−ブチルベンゼン構造の繰り返し単位のモル比は1H NMRより算出し、10:40:25:25であった。
<樹脂B−4の合成>
下記スキームに従って、樹脂(B−4)を合成した。なお、下記スキーム中、樹脂(B−4)の繰り返し単位中の「*」は、他の繰り返し単位中の「**」と結合する。
Figure 2010212489
文献(J. Org. Chem., vol.39, 2995-3003 (1974年))に記載の合成法に従って、4,9−ジブロモジアマンタンを合成した。
樹脂(B−3)の合成において、1,6−ジブロモジアマンタンの代わりに4,9−ジブロモジアマンタンを用いたこと以外は樹脂(B−3)の合成と同様に、樹脂(B−4)を合成した。得られた樹脂(B−4)の重量平均分子量は約1.8万、樹脂(B−4)中のジメチルアダマンタン構造の繰り返し単位:ジアマンタン構造の繰り返し単位:ベンゼン構造の繰り返し単位:tert−ブチルベンゼン構造の繰り返し単位のモル比はH NMRより算出し、10:40:25:25であった。
<樹脂C−1の合成>
特開2007−161788号公報に記載の方法に従い、1,3−ジエチニルアダマンタンの重合体(C−1)を合成した。得られた重合体をGPCで分析すると、M=1.37×10、M=0.39×10であった。
<樹脂C−2の合成>
特開2007−161786号公報に記載の方法に従い、4,9−ジエチニルジアマンタンの重合体(C−2)を合成した。得られた重合体をGPCで分析すると、M=1.66×10、M=0.54×10であった。
<樹脂D−1の合成>
特表2003−520864号公報に記載の方法に従って、ポリアリーレンエーテル(樹脂D−1)を合成した。
Figure 2010212489
<化合物E−1の合成>
特表2004−504455号公報に記載の方法に従って、テトラキス(トラニル)アダマンタン(化合物E−1)を合成した。
Figure 2010212489
<樹脂F−1の合成>
WO2005/019305号公報に記載の方法に従って、ポリベンゾオキサゾール(樹脂F−1)を合成した。
Figure 2010212489
<組成物の調製>
上記で得られた樹脂、および化合物Pを下記表2に示すように溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度8質量%の溶液を調製した。得られた溶液を0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、スピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布し、ホットプレート上にて110℃で1分間、ついで200℃で1分間、基板を予備乾燥し、膜厚400nmの塗布膜を形成させた。
得られた塗布膜を以下の次の何れかの方法で硬化を実施した。
(1)加熱
光洋サーモ社製クリーンオーブンCLH-21CD(III)により、窒素雰囲気下、クリーンオーブン中で400℃、60分間加熱した。
(2)EB照射1
ウシオ電機社製Mini−EBにてAr雰囲気、圧力100kPa、基板温度350℃の条件で、電子加速電圧20keV、電子線ドーズ量1μCcm−2を3分間照射した。
(3)EB照射2
ウシオ電機社製Mini−EBにてAr雰囲気、圧力100kPa、基板温度25℃の条件で、電子加速電圧20keV、電子線ドーズ量1μCcm−2を5分間照射した。その後、光洋サーモ社製クリーンオーブンCLH-21CD(III)により、窒素雰囲気下、クリーンオーブン中で400℃、60分間加熱した。
(4)UV照射
ウシオ電機社製誘電体バリア放電方式エキシマランプUER20−172を用い、窒素気流下、350℃のホットプレート上で172nmの波長光100mJ/cmを5分照射した。
得られた硬化膜について下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
なお、表2中において、界面活性剤の含有量は、組成物(塗布液)全量に対する質量%を表す。一方、化合物Pまたは密着促進剤の含有量は、組成物(塗布液)中の全固形物に対する質量%で表される。
Figure 2010212489
Figure 2010212489
Figure 2010212489

<比誘電率>
フォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて、1MHzにおける容量値(測定温度25℃)から算出した。なお、実用的な観点から、比誘電率は2.4以下であることが必要である。
<膜形成後の耐熱性の評価>
耐熱性の評価は、得られた膜を空気中400℃60秒加熱し、膜厚変化率(膜減り)を測定することにより行った。値が0に近い値である塗膜ほど、耐熱性および加工性が良いといえる。
なお、実用的な観点から、膜減り率は10%以下であることが必要である。
表2の結果より、本発明の膜形成用組成物を使用した場合、加熱、EB照射、UV照射など種々の硬化方法により、比誘電率が低く、かつ、耐熱性が高い膜が得られることが確認された。
一方、化合物Pを添加しない比較例1〜比較例3において得られた膜は、比誘電率が高かった。また、熱重量分析 (TA Instruments社SDT Q600を使用、1mmHg真空下, 20℃/minで昇温)の結果、5%重量減少温度が250℃〜450℃の範囲外であった比較例5および比較例6において得られた膜も、比誘電率が高かった。また、化合物Pの代わりに空孔形成剤としてポリスチレンを添加した比較例4において得られた膜は、膜減りが大きく耐熱性が低いことが確認された。

Claims (10)

  1. 芳香族炭化水素を主成分とし、分子内の全ての水素原子が前記芳香族炭化水素を構成する炭素原子と結合しており、熱重量分析(1mmHg真空下,昇温速度20℃/min)において5%重量減少温度が250℃〜450℃を示し、空孔形成剤として作用する化合物(P)と、樹脂または樹脂前駆体とを含有する組成物。
  2. 前記化合物(P)が、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の組成物。
    Figure 2010212489

    (一般式(1)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物からr個の水素原子を除いた基を表す。一般式(2)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物から1個の水素原子を除いた基を表す。Xは、単結合、−O−、または−SiArAr−を表す。Ar、Ar1、およびAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環基、ナフタレン環基、またはビフェニル環基を表す。Yは、炭素原子またはケイ素原子を表す。Zは、水素原子またはベンゼン環基を表し、3つのZのうち少なくとも1つはベンゼン環基を表す。rは0〜5の整数を表す。
    ただし、一般式(1)中のAが一般式(A−1)で、Zのうち2つが水素原子の場合は、rは1以上となる。また、一般式(1)中のAが一般式(A−2)〜一般式(A−6)のいずれかの場合は、rは1以上となる。)
  3. 前記化合物(P)が、下記一般式(3)〜一般式(6)のいずれかで表される化合物である、請求項2に記載の組成物。
    Figure 2010212489

    (一般式(3)〜一般式(5)中、Arは、ベンゼン環基またはナフタレン環基を表す。一般式(3)〜一般式(6)中、Xは、単結合、−O−、または−SiArAr−を表す。Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環基、ナフタレン環基またはビフェニル環基を表す。Yは、炭素原子、またはケイ素原子を表す。sは0〜2の整数を表す。)
  4. 前記一般式(3)〜一般式(5)中、Arがベンゼン環基である、請求項3に記載の組成物。
  5. さらに、溶剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 絶縁膜形成用途に用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の組成物を基板上に塗布した後、硬膜することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法を用いて製造された絶縁膜。
  9. 請求項8に記載の絶縁膜を用いて製造された電子デバイス。
  10. 加熱または放射線照射により揮発する、一般式(1)または一般式(2)で表される空孔形成用化合物。
    Figure 2010212489

    (一般式(1)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物からr個の水素原子を除いた基を表す。一般式(2)中、Aは一般式(A−1)〜一般式(A−6)で表される化合物から選ばれる一つの化合物から1個の水素原子を除いた基を表す。Xは、単結合、−O−、または−SiArAr−を表す。Ar、Ar1、およびAr2は、それぞれ独立に、ベンゼン環基、ナフタレン環基、またはビフェニル環基を表す。Yは、炭素原子またはケイ素原子を表す。Zは、水素原子またはベンゼン環基を表し、3つのZのうち少なくとも1つはベンゼン環基を表す。rは0〜5の整数を表す。
    ただし、一般式(1)中のAが一般式(A−1)で、Zのうち2つが水素原子の場合は、rは1以上となる。また、一般式(1)中のAが一般式(A−2)〜一般式(A−6)のいずれかの場合は、rは1以上となる。)
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