JP2010189569A - 多孔質膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板との密着性に優れ、誘電率、硬度等の諸特性に優れ、誘電率の経時変化が小さく、半導体素子デバイスなどにおける層間絶縁膜として使用するのに適した多孔質膜、およびその多孔質膜を製造する組成物を提供する。
【解決手段】多孔質膜は、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する化合物(X)を用いて形成され、空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下である。
【選択図】なし
【解決手段】多孔質膜は、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する化合物(X)を用いて形成され、空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下である。
【選択図】なし
Description
本発明は、多孔質膜に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜として好適に使用でき、適当な均一な厚さを有する塗膜が形成可能で、かつ、誘電率特性などに優れた多孔質膜に関する。
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、気相成長(CVD)法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO2)膜が多用されている。そして、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
しかし、無機材料の膜の中で最も低い誘電率を示すCVD−SiO2膜でも、比誘電率は約4程度である。また、低誘電率CVD膜として最近検討されているSiOF膜の比誘電率は約3.3〜3.5であるが、この膜は吸湿性が高く、使用しているうちに誘電率が上昇するという問題がある。
かかる状況下、絶縁性、耐熱性、耐久性に優れた絶縁膜材料として、オルガノポリシロキサンに高沸点溶剤や熱分解性化合物を添加して空孔を形成し、誘電率を下げる方法が提案されている。しかしながら、このような多孔質膜では、多孔化することにより誘電率特性が下がっても、機械強度が低下すること、吸湿による誘電率増加がおこることなどが問題になっていた。また、互いに連結した空孔が形成されるため、配線に用いられた銅が、絶縁膜中に拡散するといった問題が生じていた。
一方、有機ポリマーに低分子のカゴ型化合物を添加した溶液を塗布することによって、低屈折率、低密度の膜を得る試みも知られている(特許文献1参照)。しかし、カゴ型化合物単量体を添加する方法では、得られる膜の誘電率および硬度などの諸特性が実用的な観点からは必ずしも満足いくものではなく、さらに塗布面状が荒く、焼成時の膜減りが大きいなどの問題点があった。
また、上述のような従来技術によって得られる膜では、基板との密着性が実用的な点から十分とは言えず、更なる改良が必要であった。
一方、有機ポリマーに低分子のカゴ型化合物を添加した溶液を塗布することによって、低屈折率、低密度の膜を得る試みも知られている(特許文献1参照)。しかし、カゴ型化合物単量体を添加する方法では、得られる膜の誘電率および硬度などの諸特性が実用的な観点からは必ずしも満足いくものではなく、さらに塗布面状が荒く、焼成時の膜減りが大きいなどの問題点があった。
また、上述のような従来技術によって得られる膜では、基板との密着性が実用的な点から十分とは言えず、更なる改良が必要であった。
本発明は、上記問題点を解決するため、基板との密着性に優れると共に、誘電率、硬度等の諸特性に優れ、誘電率の経時変化が小さく、半導体素子デバイスなどにおける層間絶縁膜としての使用に適した多孔質膜、およびその多孔質膜を製造する組成物を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の手段より達成されることが見出された。
<1> 加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する化合物(X)を用いて形成され、空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下である多孔質膜。
<2> 前記化合物(X)が、共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応によって形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成されるディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物である、<1>に記載の多孔質膜。
<3> 前記化合物(X)が、ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)と、共役ジエン構造を有する化合物(B)とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記共役ジエン構造を有する化合物(B)を放出する化合物である、<2>に記載の多孔質膜。
<4> 前記シロキサン構造を有する化合物(A)が、下記一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物、またはその重合体である、<3>に記載の多孔質膜。
<1> 加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する化合物(X)を用いて形成され、空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下である多孔質膜。
<2> 前記化合物(X)が、共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応によって形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成されるディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物である、<1>に記載の多孔質膜。
<3> 前記化合物(X)が、ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)と、共役ジエン構造を有する化合物(B)とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記共役ジエン構造を有する化合物(B)を放出する化合物である、<2>に記載の多孔質膜。
<4> 前記シロキサン構造を有する化合物(A)が、下記一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物、またはその重合体である、<3>に記載の多孔質膜。
(一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1およびR2のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。mは、3〜10の整数を表す。なお、複数のR1およびR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1〜R6のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。nは、1〜60の整数を表す。なお、複数のR1〜R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。)
<5> 前記共役ジエン構造を有する化合物(B)が、一般式(B−1)〜一般式(B−3)のいずれかで表される化合物である、<3>または<4>に記載の多孔質膜。
一般式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1〜R6のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。nは、1〜60の整数を表す。なお、複数のR1〜R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。)
<5> 前記共役ジエン構造を有する化合物(B)が、一般式(B−1)〜一般式(B−3)のいずれかで表される化合物である、<3>または<4>に記載の多孔質膜。
(一般式(B−1)〜一般式(B−3)中、X1〜X16は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
一般式(B−1)および一般式(B−2)中、Wは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(X17)(X18)−、または、−N(X19)−を表す。X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。)
<6> 前記化合物(X)中における前記共役ジエン構造を有する化合物(B)の付加量が、前記化合物(X)全量に対して、5〜80質量%である<3>〜<5>のいずれかに記載の多孔質膜。
<7> 絶縁膜用途に用いられる<1>〜<6>のいずれかに記載の多孔質膜。
<8> <7>に記載の多孔質膜を用いて製造される電子デバイス。
<9> 共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応によって形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成されるディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物。
<10> ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)と、共役ジエン構造を有する化合物(B)とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記共役ジエン構造を有する化合物(B)を放出する化合物。
<11> 一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物またはその重合体と、一般式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表される化合物とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記一般式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表される化合物を放出する化合物。
一般式(B−1)および一般式(B−2)中、Wは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(X17)(X18)−、または、−N(X19)−を表す。X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。)
<6> 前記化合物(X)中における前記共役ジエン構造を有する化合物(B)の付加量が、前記化合物(X)全量に対して、5〜80質量%である<3>〜<5>のいずれかに記載の多孔質膜。
<7> 絶縁膜用途に用いられる<1>〜<6>のいずれかに記載の多孔質膜。
<8> <7>に記載の多孔質膜を用いて製造される電子デバイス。
<9> 共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応によって形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成されるディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物。
<10> ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)と、共役ジエン構造を有する化合物(B)とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記共役ジエン構造を有する化合物(B)を放出する化合物。
<11> 一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物またはその重合体と、一般式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表される化合物とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記一般式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表される化合物を放出する化合物。
(一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1およびR2のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。mは、3〜10の整数を表す。なお、複数のR1およびR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1〜R6のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。nは、1〜60の整数を表す。なお、複数のR1〜R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1〜R6のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。nは、1〜60の整数を表す。なお、複数のR1〜R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(B−1)〜一般式(B−3)中、X1〜X16は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
一般式(B−1)および一般式(B−2)中、Wは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(X17)(X18)−、または、−N(X19)−を表す。X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。)
<12> <9>〜<11>のいずれかに記載の化合物を含む絶縁膜形成用組成物。
一般式(B−1)および一般式(B−2)中、Wは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(X17)(X18)−、または、−N(X19)−を表す。X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。)
<12> <9>〜<11>のいずれかに記載の化合物を含む絶縁膜形成用組成物。
本発明は、基板との密着性に優れると共に、誘電率、硬度等の諸特性に優れ、誘電率の経時変化が小さく、半導体素子デバイスなどにおける層間絶縁膜としての使用に適した多孔質膜、およびその多孔質膜を製造する組成物を提供する。
以下、本発明の多孔質膜について詳細に記述する。
本発明の多孔質膜は、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより分解し、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する化合物(X)を含む組成物を用いて形成した空孔を有する多孔質膜であって、空孔の空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下であることを特徴とする。
より具体的には、所定の官能基を有する化合物(X)を含む組成物を用いて膜の製造を行うと、硬膜時に行われる加熱処理や光照射や放射線照射などの高エネルギー線照射処理の際に、官能基から揮発性成分の脱離が進行する。揮発性成分が生じることにより、膜中に空孔が形成される。さらに、多孔質膜の窒素ガス吸着法により得られる空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下であるため、低誘電率、高機械強度、高耐熱性を示し、基板との密着性にも優れ、誘電率が長期安定な膜が形成される。
以下に、化合物(X)、化合物(X)を含む組成物、さらに多孔質膜の製造方法について詳述する。
本発明の多孔質膜は、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより分解し、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する化合物(X)を含む組成物を用いて形成した空孔を有する多孔質膜であって、空孔の空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下であることを特徴とする。
より具体的には、所定の官能基を有する化合物(X)を含む組成物を用いて膜の製造を行うと、硬膜時に行われる加熱処理や光照射や放射線照射などの高エネルギー線照射処理の際に、官能基から揮発性成分の脱離が進行する。揮発性成分が生じることにより、膜中に空孔が形成される。さらに、多孔質膜の窒素ガス吸着法により得られる空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下であるため、低誘電率、高機械強度、高耐熱性を示し、基板との密着性にも優れ、誘電率が長期安定な膜が形成される。
以下に、化合物(X)、化合物(X)を含む組成物、さらに多孔質膜の製造方法について詳述する。
<化合物(X)>
化合物(X)は、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する。このような官能基としては、特に制限されないが、ジチオカルボン酸エステルを含む基、チオエステルを含む基、エステルを含む基、アゾ基を含む基、炭素−炭素二重結合を含む基、スルホン酸エステルを含む基、カルバマート基を含む基、カーボネート基を含む基、ケイ素原子を含む基、エーテル基を含む基などが挙げられる。
官能基より脱離して生じる揮発性成分は、特に限定されず、官能基の構造によって異なる。例えば、ジチオカルボン酸、チオエステル、チオール、エステル、窒素分子、アミン、アルカン、アルケン、アルキン、アルコール、スルホン酸、シラン、シラノール、二酸化炭素などがある。
なお、加熱条件、光照射、放射線照射条件などは、使用される化合物(X)の構造によって最適な条件は変化する。なお、通常、後述する膜形成時の加熱処理または高エネルギー線照射の条件において、揮発性成分の脱離反応が良好に進行する。
化合物(X)は、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する。このような官能基としては、特に制限されないが、ジチオカルボン酸エステルを含む基、チオエステルを含む基、エステルを含む基、アゾ基を含む基、炭素−炭素二重結合を含む基、スルホン酸エステルを含む基、カルバマート基を含む基、カーボネート基を含む基、ケイ素原子を含む基、エーテル基を含む基などが挙げられる。
官能基より脱離して生じる揮発性成分は、特に限定されず、官能基の構造によって異なる。例えば、ジチオカルボン酸、チオエステル、チオール、エステル、窒素分子、アミン、アルカン、アルケン、アルキン、アルコール、スルホン酸、シラン、シラノール、二酸化炭素などがある。
なお、加熱条件、光照射、放射線照射条件などは、使用される化合物(X)の構造によって最適な条件は変化する。なお、通常、後述する膜形成時の加熱処理または高エネルギー線照射の条件において、揮発性成分の脱離反応が良好に進行する。
なお、揮発性成分が脱離後の残部の構造は特に限定されず、例えば、飽和基、不飽和基のいずれでもよい。なお、得られる多孔質膜の低誘電性および高機械的強度がより優れる点で、官能基として、揮発性成分が脱離後の残部に不飽和基を生じる官能基が好ましい。このような官能基の具体例としては、以下のような官能基や、後述するディールス・アルダー反応付加部が挙げられる。なお、以下の式中、*は結合位置を表す。
(G−1)および(G−3)中、R30は、炭化水素基を表す。
炭化水素基としては、例えば、飽和炭化水素基(例えば、アルキル基)や芳香族炭化水素基(例えば、ベンゼン基)などが挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、飽和炭化水素基(例えば、アルキル基)や芳香族炭化水素基(例えば、ベンゼン基)などが挙げられる。
(G−1)中、Xは、S、O、Se、Teを表す(好ましくはSまたはO)。(G−1)中の2つのXは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(G−1)中、Lは、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基など)、置換または無置換のアリーレン基(例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基など)などが挙げられる。
(G−2)中、Yは、アルキル基、アルケニル基、ケイ素原子含有基、シクロアルキル基、またはアリール基を表す。複数のYは、同一であっても異なっていてもよい。Lは、2価の連結基を表す。連結基の具体例は、上記と同様である。なお、ケイ素原子含有基は、後述する一般式(I)および一般式(II)中のR1〜R6で表される該基と同義であり、好ましい態様も同じである。
(G−1)中、Lは、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基など)、置換または無置換のアリーレン基(例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基など)などが挙げられる。
(G−2)中、Yは、アルキル基、アルケニル基、ケイ素原子含有基、シクロアルキル基、またはアリール基を表す。複数のYは、同一であっても異なっていてもよい。Lは、2価の連結基を表す。連結基の具体例は、上記と同様である。なお、ケイ素原子含有基は、後述する一般式(I)および一般式(II)中のR1〜R6で表される該基と同義であり、好ましい態様も同じである。
また、残部として生じる不飽和基としては、特に限定されず、炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を含む基が好ましい。例えば、アルケニル基(炭素数1〜6が好ましく、さらに炭素数1〜2が好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基)、アルキニル基(炭素数1〜6が好ましく、さらに炭素数1〜2が好ましい。具体的には、エチニル基)などが好ましく挙げられる。
このような不飽和基が生じることにより、不飽和基間で反応が進行し、優れた機械的強度を示す膜を得ることができる。
このような不飽和基が生じることにより、不飽和基間で反応が進行し、優れた機械的強度を示す膜を得ることができる。
化合物(X)は、低分子化合物および高分子化合物(例えば、樹脂)であってもよく、その構造は特に制限されない。例えば、高分子化合物の場合、その主骨格としては、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリベンゾオキサゾール、ポリアリーレンエーテル、シロキサン構造(Si−O結合)、カゴ型構造などが挙げられる。
化合物(X)としては、耐熱性に優れる点で、シロキサン構造(Si−O結合)を有する化合物またはその重合体が好ましい。
化合物(X)としては、耐熱性に優れる点で、シロキサン構造(Si−O結合)を有する化合物またはその重合体が好ましい。
シロキサン構造を有する化合物は、ケイ素原子と酸素原子とでなるシロキサン構造を有する化合物であって、優れた耐熱性を示す。この化合物の好ましい態様としては、得られる多孔質膜が優れた低誘電特性、機械的特性を示し、基板との密着性に優れ、低コストであるという観点から、環状または鎖状のシロキサン構造が好ましい。より具体的には、主鎖がオルガノシロキサン構造より構成される、環状または鎖状のシリコーン化合物が挙げられる。
上述した化合物(X)としては、例えば、以下の構造の化合物が挙げられる。
なお、以下の化合物は公知の合成方法により製造することができる。
なお、以下の化合物は公知の合成方法により製造することができる。
<化合物(Y)>
上記化合物(X)の好適な実施態様の一つとして、共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応によって形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成されるディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(Y)が挙げられる。
上記化合物(X)の好適な実施態様の一つとして、共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応によって形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成されるディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(Y)が挙げられる。
化合物(Y)は、ディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物である。本発明においてディールス・アルダー反応付加部とは、共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応により形成される環構造を有する部位である。さらに、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成される部位である。
化合物(Y)を含む組成物は、後述するように種々の用途に用いることができる。特に、化合物(Y)を含む組成物を用いて膜の製造を行うと、硬膜時に行われる加熱処理や光照射や放射線照射などの高エネルギー線照射処理の際に、逆ディールス・アルダー反応が進行する。その際、ディールス・アルダー反応付加部が共役ジエン構造とジエノフィル構造とに解離し、一方または両方が揮発して膜空隙が増大する。更に、残基間で硬化反応が生ずるため、低誘電率、高屈折率、高機械強度、高耐熱性、高酸化ストレス耐性を示し、誘電率が長期安定な膜が形成できる。
化合物(Y)を含む組成物は、後述するように種々の用途に用いることができる。特に、化合物(Y)を含む組成物を用いて膜の製造を行うと、硬膜時に行われる加熱処理や光照射や放射線照射などの高エネルギー線照射処理の際に、逆ディールス・アルダー反応が進行する。その際、ディールス・アルダー反応付加部が共役ジエン構造とジエノフィル構造とに解離し、一方または両方が揮発して膜空隙が増大する。更に、残基間で硬化反応が生ずるため、低誘電率、高屈折率、高機械強度、高耐熱性、高酸化ストレス耐性を示し、誘電率が長期安定な膜が形成できる。
<共役ジエン構造>
ディールス・アルダー反応付加部を形成する共役ジエン構造は、特に限定されず、鎖状共役ジエン構造、および環状共役ジエン構造を用いることができる。共役ジエン構造の好適な例としては、例えば、以下のような構造が挙げられる。
ディールス・アルダー反応付加部を形成する共役ジエン構造は、特に限定されず、鎖状共役ジエン構造、および環状共役ジエン構造を用いることができる。共役ジエン構造の好適な例としては、例えば、以下のような構造が挙げられる。
なかでも、熱等に対する安定性が優れるため、環状共役ジエン構造が好ましく、特に、(D−1)骨格、(D−2)骨格、(D−8)骨格、(D−9)骨格、(D−10)骨格、(D−11)骨格などが好ましい。
なお、(D−1)〜(D−17)骨格中、Y1〜Y10は、それぞれ独立に、水素原子また置換基を表す。置換基の定義は、後述する一般式(F−1)〜一般式(F−4)中の置換基と同義である。
なお、(D−1)〜(D−17)骨格中、Y1〜Y10は、それぞれ独立に、水素原子また置換基を表す。置換基の定義は、後述する一般式(F−1)〜一般式(F−4)中の置換基と同義である。
<ジエノフィル構造>
ディールス・アルダー反応付加部を形成するジエノフィル構造は、上記の共役ジエン構造と付加的に反応して環式構造を与える不飽和構造であれば特に限定されず、炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基や、炭素−炭素三重結合を有するアルキニル基などが挙げられる。ジエノフィル構造の好適な例としては、例えば、以下のような構造が挙げられる。なかでも、(E−1)骨格、(E−2)骨格、(E−3)骨格などが好ましい。
ディールス・アルダー反応付加部を形成するジエノフィル構造は、上記の共役ジエン構造と付加的に反応して環式構造を与える不飽和構造であれば特に限定されず、炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基や、炭素−炭素三重結合を有するアルキニル基などが挙げられる。ジエノフィル構造の好適な例としては、例えば、以下のような構造が挙げられる。なかでも、(E−1)骨格、(E−2)骨格、(E−3)骨格などが好ましい。
なお、(E−1)〜(E−16)骨格中、Y1〜Y7は、それぞれ独立に、水素原子また置換基を表す。置換基の定義は、後述する一般式(F−1)〜一般式(F−4)中の置換基と同義である。
<ディールス・アルダー反応付加部>
本発明におけるディールス・アルダー反応付加部は、上記共役ジエン構造とジエノフィル構造との付加反応により得られる付加部であり、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成される。
なお、加熱条件、光照射条件などは、使用される化合物によって最適な条件は変化する。なお、通常、後述する膜形成時の加熱処理または高エネルギー線照射の条件において、逆ディールス・アルダー反応が進行する。
本発明におけるディールス・アルダー反応付加部は、上記共役ジエン構造とジエノフィル構造との付加反応により得られる付加部であり、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成される。
なお、加熱条件、光照射条件などは、使用される化合物によって最適な条件は変化する。なお、通常、後述する膜形成時の加熱処理または高エネルギー線照射の条件において、逆ディールス・アルダー反応が進行する。
化合物(Y)中におけるディールス・アルダー反応付加部の数は特に限定されず、用途により適宜最適な個数が選択される。
ディールス・アルダー反応付加部の好適な例としては、以下の一般式(F−1)〜一般式(F−4)で表される構造が挙げられる。これらの構造であれば、逆ディールス・アルダー反応の進行がより制御しやすく、後述する絶縁膜などの用途に好適に使用することができる。
一般式(F−1)〜一般式(F−4)中、Y1〜Y11は水素原子または置換基を表す。置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、またはそれらを組み合わせた基が挙げられる。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基が好ましい。
なお、該置換基は、後述する一般式(I)および一般式(II)中のR1〜R6で表される置換基と同義であり、好ましい態様も同じである。
なお、該置換基は、後述する一般式(I)および一般式(II)中のR1〜R6で表される置換基と同義であり、好ましい態様も同じである。
一般式(F−2)〜一般式(F−4)中、Wは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(Y12)(Y13)−、または、−N(Y14)−を表す。なかでも、−O−、−C(O)−、−C(Y12)(Y13)−が好ましい。
Y12〜Y14は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Y12〜Y14で表される置換基の定義は、Y1〜Y11で表される置換基の定義と同義である。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基が好ましい。
一般式(F−1)〜一般式(F−4)中、*は化合物(Y)との結合位置を表す。
Y12〜Y14は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Y12〜Y14で表される置換基の定義は、Y1〜Y11で表される置換基の定義と同義である。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基が好ましい。
一般式(F−1)〜一般式(F−4)中、*は化合物(Y)との結合位置を表す。
<シロキサン構造>
化合物(Y)は、環状または鎖状のシロキサン構造(Si−O結合)をもつ化合物であり、低分子化合物および高分子化合物(例えば、樹脂)を含む。ケイ素原子と酸素原子とでなるシロキサン構造を有する化合物(Y)は、優れた耐熱性を示す。化合物(Y)中におけるシロキサン構造の含有量としては、化合物(Y)全量に対して、30〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましい。
化合物(Y)は、環状または鎖状のシロキサン構造(Si−O結合)をもつ化合物であり、低分子化合物および高分子化合物(例えば、樹脂)を含む。ケイ素原子と酸素原子とでなるシロキサン構造を有する化合物(Y)は、優れた耐熱性を示す。化合物(Y)中におけるシロキサン構造の含有量としては、化合物(Y)全量に対して、30〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましい。
シロキサン構造を有する化合物の好ましい態様としては、低誘電特性、機械的特性が優れ、低コストであるという観点から、環状または鎖状のポリシロキサン(シリコーン化合物)が好ましい。
化合物(Y)の好ましい一つの態様としては、一般式(F−1)〜一般式(F−4)で表されるディールス・アルダー反応付加部を少なくとも1つ有する、環状または鎖状のポリシロキサンまたはその重合体が挙げられる。
化合物(Y)の分子量は特に限定されず、低分子化合物または高分子化合物(例えば、樹脂)であってもよい。
化合物(Y)が高分子化合物の場合、その重量平均分子量(Mw)は、1.0×104〜75×104であることが好ましく、3.5×104〜35×104であることがより好ましく、4.5×104〜25×104であることが最も好ましい。
化合物(Y)の数平均分子量(Mn)は、0.5×104〜35×104であることが好ましく、1.5×104〜20×104であることがより好ましく、2.5×104〜15×104であることが最も好ましい。
上記範囲の重量平均分子量および数平均分子量に設定することにより、有機溶剤に対する溶解性およびフィルターろ過性が向上し、保存時のパーティクルの発生が抑制でき、塗布膜の面状が改善された、低誘電率である膜を形成することができる。
化合物(Y)が高分子化合物の場合、その重量平均分子量(Mw)は、1.0×104〜75×104であることが好ましく、3.5×104〜35×104であることがより好ましく、4.5×104〜25×104であることが最も好ましい。
化合物(Y)の数平均分子量(Mn)は、0.5×104〜35×104であることが好ましく、1.5×104〜20×104であることがより好ましく、2.5×104〜15×104であることが最も好ましい。
上記範囲の重量平均分子量および数平均分子量に設定することにより、有機溶剤に対する溶解性およびフィルターろ過性が向上し、保存時のパーティクルの発生が抑制でき、塗布膜の面状が改善された、低誘電率である膜を形成することができる。
有機溶剤に対する溶解性、フィルターろ過性、および塗布膜面状の観点から本発明の化合物(Y)は分子量300万以上の成分を実質的に含まないことが好ましく、200万以上の成分を実質的に含まないことがより好ましく、100万以上の成分を含まないことが最も好ましい。
なお、化合物(Y)については、固形分のGPCチャート、HPLCチャート、NMRスペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル等から定量できる。共重合物中の成分については、重合の仕込み比で判断できる場合もある。また、固形分を必要に応じて精製した後、NMRスペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル、元素組成等の測定を行うことによっても定量できる。
<製造方法>
化合物(Y)の製造方法は、特に限定されないが、以下の2つの態様が好ましい。
(1)ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物と、共役ジエン構造を有する化合物とのディールス・アルダー反応により形成される化合物(Y)
(2)共役ジエン構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物と、ジエノフィル構造を有する化合物とのディールス・アルダー反応により形成される化合物(Y)
なかでも、合成が容易であり、後述する用途に好適に使用できる点で、(1)の態様がより好ましい。
以下に、(1)の態様で使用されるジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)と、共役ジエン構造を有する化合物(B)について詳述する。
化合物(Y)の製造方法は、特に限定されないが、以下の2つの態様が好ましい。
(1)ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物と、共役ジエン構造を有する化合物とのディールス・アルダー反応により形成される化合物(Y)
(2)共役ジエン構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物と、ジエノフィル構造を有する化合物とのディールス・アルダー反応により形成される化合物(Y)
なかでも、合成が容易であり、後述する用途に好適に使用できる点で、(1)の態様がより好ましい。
以下に、(1)の態様で使用されるジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)と、共役ジエン構造を有する化合物(B)について詳述する。
<化合物(A)>
化合物(A)とは、ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物である。
ジエノフィル構造は上述のように共役ジエン構造と付加的に反応して環式構造を与える不飽和構造であり、その構造は特に制限されず、上記に例示した構造などが挙げられる。なかでも、アルケニル基、アルキニル基が好ましく挙げられる。
化合物(A)とは、ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物である。
ジエノフィル構造は上述のように共役ジエン構造と付加的に反応して環式構造を与える不飽和構造であり、その構造は特に制限されず、上記に例示した構造などが挙げられる。なかでも、アルケニル基、アルキニル基が好ましく挙げられる。
化合物(A)は、シロキサン構造(Si−O結合)をもつ化合物であり、本発明の効果を損なわない限り、いかなる環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物であってもよい。化合物(A)は、低分子化合物および高分子化合物(例えば、樹脂)を含む。ケイ素原子と酸素原子とでなるシロキサン構造を有する化合物は、優れた耐熱性を示す。化合物(A)中におけるシロキサン構造の含有量としては、化合物(A)全量に対して、30〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましい。
化合物(A)としては、得られる多孔質膜が優れた低誘電特性、機械的特性を示し、基板との密着性に優れ、低コストであり、化合物の合成が容易であるという点から、環状または鎖状のポリシロキサン(シリコーン化合物)が好ましい。
化合物(A)の好適な例としては、下記一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物、またはその重合体が挙げられる。
一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1およびR2のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。mは、3〜10の整数を表す。なお、複数のR1およびR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1〜R6のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。nは、1〜60の整数を表す。なお、複数のR1〜R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1〜R6のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。nは、1〜60の整数を表す。なお、複数のR1〜R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I)および一般式(II)中、R1〜R6で表される置換基としては、好ましくは炭素数1〜20であり、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、またはそれらを組み合わせた基などが挙げられる。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖または分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐アルキル基を挙げることができる。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、多環でもよく、環内に酸素原子を有していてもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などを挙げることができる。
アリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
アラルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基などが挙げられる。
ケイ素原子含有基は、ケイ素が含有されていれば特に制限されないが、一般式(III)で表される基が好ましい。
*−L1−Si−(R20)3 (III)
*−L1−Si−(R20)3 (III)
一般式(III)中、*はケイ素原子との結合位置を表す。L1はアルキレン基、−O−、−S−、−Si(R21)(R22)−、−N(R23)−または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。L1は、アルキレン基、−O−または、これらを組み合わせた2価の連結基が好ましい。
アルキレン基としては、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。R21、R22、R23およびR20は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基を表す。R21、R22、R23およびR20で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の定義は、上述のR1〜R6で表される各基の定義と同じであり、好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、エチニル基などが挙げられる。ケイ素原子含有基としては、シリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)が好ましい。
アルキレン基としては、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。R21、R22、R23およびR20は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基を表す。R21、R22、R23およびR20で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の定義は、上述のR1〜R6で表される各基の定義と同じであり、好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、エチニル基などが挙げられる。ケイ素原子含有基としては、シリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)が好ましい。
アルケニル基は、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。炭素数1〜12が好ましく、さらに炭素数1〜6が好ましい。例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられ、重合制御性の容易さ、機械強度の観点から、ビニル基が好ましい。
アルキニル基は、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、の任意の位置に3重結合を有する基が挙げられる。炭素数1〜12が好ましく、さらに炭素数1〜6が好ましい。重合制御性の容易さ、機械強度の観点から、エチニル基が好ましい。
一般式(I)および一般式(II)中、Zは二価の連結基を表す。例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−O−、−COO−、−CONH−、−NH−、またはこれらを組み合わせた連結基を表す。
アルキレン基としては、直鎖または分岐の炭素数1〜10のアルキレン基、あるいはヘテロ原子を含んでいてもよい単環または多環の環状アルキレン基が挙げられる。直鎖または分岐のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはオクチレン基などが挙げられる。環状アルキレン基としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などの炭素数4〜8の単環シクロアルキレン基、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプチレン基などの炭素数5〜15の多環シクロアルキレン基が挙げられる。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
アルケニレン基としては炭素数2〜4のアルケニレン基が挙げられ、例えば、エテニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。環状アルケニレン基としては、シクロぺンテニレン基、シクロヘキセニレン基などの炭素数4〜8の単環シクロアルケニレン基、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプテニレン基、ノルボルネニレン基などの炭素数5〜15の多環シクロアルケニレン基が挙げられる。
アルキレン基としては、直鎖または分岐の炭素数1〜10のアルキレン基、あるいはヘテロ原子を含んでいてもよい単環または多環の環状アルキレン基が挙げられる。直鎖または分岐のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはオクチレン基などが挙げられる。環状アルキレン基としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などの炭素数4〜8の単環シクロアルキレン基、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプチレン基などの炭素数5〜15の多環シクロアルキレン基が挙げられる。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
アルケニレン基としては炭素数2〜4のアルケニレン基が挙げられ、例えば、エテニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。環状アルケニレン基としては、シクロぺンテニレン基、シクロヘキセニレン基などの炭素数4〜8の単環シクロアルケニレン基、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプテニレン基、ノルボルネニレン基などの炭素数5〜15の多環シクロアルケニレン基が挙げられる。
一般式(I)中、mは3〜10の整数を表す。誘電率低下効果の点から、mは4〜10が好ましく、入手性の観点から、4〜8がより好ましく、更に重合制御性の観点から4、6が最も好ましい。
一般式(II)中、nは1〜60の整数を表す。入手性の観点から、4〜8がより好ましく、更に重合制御性の観点から4、6が最も好ましい。
一般式(I)および一般式(II)で表される化合物は、市販品を使用してもよいし、公知の合成法により合成してもよい。なお、合成方法とは、例えば、J. Am. Chem. Soc., 77, 1685(1955)、Zh. Obshch. Khim., 61(6), 1378-1383(1991), Zh. Obshch. Khim., 60(9), 2100-2106(1990)などに記載の公知の方法が使用できる。
一般式(I)および一般式(II)で表される化合物は、市販品を使用してもよいし、公知の合成法により合成してもよい。なお、合成方法とは、例えば、J. Am. Chem. Soc., 77, 1685(1955)、Zh. Obshch. Khim., 61(6), 1378-1383(1991), Zh. Obshch. Khim., 60(9), 2100-2106(1990)などに記載の公知の方法が使用できる。
以下に一般式(I)および一般式(II)で表される化合物の具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
<重合体>
環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)の好適な実施態様の一つとしては、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合体が挙げられる。その場合、複数の異なった一般式(I)および/または一般式(II)で表される化合物からなる共重合体であってもよいし、ホモポリマーの混合物であってもよい。
環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)の好適な実施態様の一つとしては、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合体が挙げられる。その場合、複数の異なった一般式(I)および/または一般式(II)で表される化合物からなる共重合体であってもよいし、ホモポリマーの混合物であってもよい。
環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)は、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物以外の化合物との共重合物であってもよい。その場合に用いられる化合物としては、重合性炭素−炭素不飽和結合またはSiH基を複数有する化合物が好ましい。好ましい化合物の例としては、ビニルシラン類、ビニルシロキサン類、フェニルアセチレン類、ビニルアダマンタン類、[(HSiO0.5)3]8等が挙げられる。
この場合、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物由来の成分は、共重合物中の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物を繰り返し単位とする重合体を製造した際に含まれる未反応の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の含量は、全固形分に対して、15質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは7質量%以下である。これにより塗布面状が改善できる。なお、全固形分とは、重合体と未反応物との合計成分を意味する。
この場合、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物由来の成分は、共重合物中の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物を繰り返し単位とする重合体を製造した際に含まれる未反応の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の含量は、全固形分に対して、15質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは7質量%以下である。これにより塗布面状が改善できる。なお、全固形分とは、重合体と未反応物との合計成分を意味する。
重合体の重量平均分子量(Mw)は、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物単量体を除いて、0.5×104〜70×104であることが好ましく、3.0×104〜30×104であることがより好ましく、4.0×104〜20×104であることが最も好ましい。
重合体の数平均分子量(Mn)は、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物単量体を除いて、0.3×104〜30×104であることが好ましく、1.0×104〜15×104であることがより好ましく、2.0×104〜10×104であることが最も好ましい。
上記範囲の重量平均分子量および数平均分子量に設定することにより、有機溶剤に対する溶解性およびフィルターろ過性が向上し、塗布膜の面状が改善された、低誘電率である膜を形成することができる。
重合体の数平均分子量(Mn)は、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物単量体を除いて、0.3×104〜30×104であることが好ましく、1.0×104〜15×104であることがより好ましく、2.0×104〜10×104であることが最も好ましい。
上記範囲の重量平均分子量および数平均分子量に設定することにより、有機溶剤に対する溶解性およびフィルターろ過性が向上し、塗布膜の面状が改善された、低誘電率である膜を形成することができる。
有機溶剤に対する溶解性、フィルターろ過性の観点から、上記重合体は分子量300万以上の成分を実質的に含まないことが好ましく、200万以上の成分を実質的に含まないことがより好ましく、100万以上の成分を含まないことが最も好ましい。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合体には、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物由来の未反応のアルケニル基およびアルキニル基が残存していることが好ましく、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物由来のアルケニル基およびアルキニル基のうち、10〜90モル%が未反応で残存していることが好ましく、20〜80モル%が未反応で残存していることが好ましく、30〜70モル%が未反応で残存していることが最も好ましい。上記範囲内であれば、得られる膜の硬化性、機械強度がより向上する。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合体には、重合開始剤、添加剤または重合溶媒が重合体全量に対して0.1〜40質量%結合していてもよい。それらの含有量は、重合体全量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が、より好ましく、0.1〜5質量%が最も好ましい。
これらについては、組成物のNMRスペクトル等から定量することができる。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合体には、重合開始剤、添加剤または重合溶媒が重合体全量に対して0.1〜40質量%結合していてもよい。それらの含有量は、重合体全量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が、より好ましく、0.1〜5質量%が最も好ましい。
これらについては、組成物のNMRスペクトル等から定量することができる。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合体を製造するための方法としては、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の炭素−炭素不飽和結合の重合反応、ハイドロシリレーション反応(特開2007−092019号公報の段落番号[0037]参照)、酸あるいは塩基触媒を用いたゾルゲル反応を用いた製造法(ゾル−ゲル法のナノテクノロジーへの応用(CMC、2005)、ゾル-ゲル法応用の展開(CMC、2008)参照)が挙げられる。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の炭素−炭素不飽和結合の重合反応としてはどのような重合反応でもよいが、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合などが挙げられる。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の炭素−炭素不飽和結合の重合反応としてはどのような重合反応でもよいが、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合などが挙げられる。
上記重合体を製造するための方法としては、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の炭素−炭素不飽和結合の重合反応が好ましく、ラジカル重合が最も好ましい。合成方法としては、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法が挙げられる。他の方法としては、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物を溶剤に溶解させ加熱し、開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法(連続添加)、開始剤を複数回分割して加える分割添加重合法(分割添加)などが挙げられる。膜強度および分子量再現性がより改善される点で、分割添加および連続添加が好ましい。
本発明における重合反応の反応温度は、通常0℃〜200℃であり、好ましくは40℃〜170℃、さらに好ましくは80℃〜160℃である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。
重合時の反応液中の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の濃度は、反応液全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下が最も好ましい。上記濃度範囲に設定することにより、ゲル化成分などの不純物の生成を抑制することができる。
上記重合反応で使用する溶剤は、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物が必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成される膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用してもよい。以下の記述において、例えば、エステル系溶剤とは分子内にエステル基を有する溶剤のことである。
溶剤としては、例えば、特開2008−218639号公報の段落番号[0038]に記載の溶剤を用いることができる。
これらの中でより好ましい溶剤は、エステル系溶剤、エーテル系溶剤および芳香族炭化水素系溶剤であり、具体的には、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、t−ブチルベンゼンが好ましく、特に好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチル、ジフェニルエーテル、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
反応時に重合開始剤を分解させるのに必要な温度まで反応液を加温できるために、溶剤の沸点は65℃以上であることが好ましい。
溶剤としては、例えば、特開2008−218639号公報の段落番号[0038]に記載の溶剤を用いることができる。
これらの中でより好ましい溶剤は、エステル系溶剤、エーテル系溶剤および芳香族炭化水素系溶剤であり、具体的には、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、t−ブチルベンゼンが好ましく、特に好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチル、ジフェニルエーテル、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
反応時に重合開始剤を分解させるのに必要な温度まで反応液を加温できるために、溶剤の沸点は65℃以上であることが好ましい。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合反応は、非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤の存在下で重合することができる。
重合開始剤としては、特に、有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。有機過酸化物および有機アゾ系化合物としては、特開2008−239685号公報の段落番号[0033]〜[0035]に記載の化合物を使用することができる。
重合開始剤としては、特に、有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。有機過酸化物および有機アゾ系化合物としては、特開2008−239685号公報の段落番号[0033]〜[0035]に記載の化合物を使用することができる。
重合開始剤としては、試薬自体の安全性および重合反応の分子量再現性から、有機アゾ系化合物が好ましく、なかでも重合体中に有害なシアノが取り込まれないV−601などのアゾエステル化合物が好ましい。
重合開始剤の10時間半減期温度は、100℃以下であることが好ましい。10時間半減期温度が100℃以下であれば、重合開始剤を反応終了時に残存しないようにすることが容易である。
重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.0001〜2モル、より好ましくは0.003〜1モル、特に好ましくは0.001〜0.5モルである。
重合開始剤の10時間半減期温度は、100℃以下であることが好ましい。10時間半減期温度が100℃以下であれば、重合開始剤を反応終了時に残存しないようにすることが容易である。
重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.0001〜2モル、より好ましくは0.003〜1モル、特に好ましくは0.001〜0.5モルである。
化合物(Y)を製造する際には、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合反応を行った反応液をそのまま用いてもよいが、反応終了後、精製処理を実施することが好ましい。精製の方法としては、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過、遠心分離処理、カラムクロマトグラフィー等の溶液状態での精製方法や、重合体溶液を貧溶媒へ滴下することで重合体を貧溶媒中に凝固させ、残留単量体等を除去する再沈澱法や、ろ別した重合体スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法など通常の方法を適用できる。
例えば、上記重合体が難溶または不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより重合体を固体として析出させる。重合体溶液からの沈殿または再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿または再沈殿溶媒)としては、該重合体の貧溶媒であればよく、重合体の種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿または再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)または水を含む溶媒が好ましい。
例えば、上記重合体が難溶または不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより重合体を固体として析出させる。重合体溶液からの沈殿または再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿または再沈殿溶媒)としては、該重合体の貧溶媒であればよく、重合体の種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿または再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)または水を含む溶媒が好ましい。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合体およびその製造工程において、必要以上の重合を抑制するために重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の例としては、4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、カテコールなどが挙げられる。
<共役ジエン構造を有する化合物(B)>
共役ジエン構造を有する化合物(B)は、上記化合物(A)とディールス・アルダー反応可能な共役ジエン構造を有する化合物である。共役ジエン構造としては、特に限定されず、上述した例示構造などが挙げられる。なお、共役ジエン構造を有する化合物(B)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン構造を有する化合物(B)は、上記化合物(A)とディールス・アルダー反応可能な共役ジエン構造を有する化合物である。共役ジエン構造としては、特に限定されず、上述した例示構造などが挙げられる。なお、共役ジエン構造を有する化合物(B)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン構造を有する化合物としては、共役ジエン骨格を持つものであれば何れも使用可能であり、揮発可能な低分子量ジエンが好ましい。共役ジエン構造を有する化合物としては、例えば、Dienes in the Diels-Alder Reaction(Wiley-Interscience, 1990)、The Diels-Alder Reaction: Selected Practical Methods (John Wiley & Sons Inc, 2002)にジエンとして記載されているもの等が挙げられる。
その他に共役ジエン構造を有する化合物としては、共役ジエン構造を有する炭化水素化合物などが挙げられ、より具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、1,3,5,5−テトラメチル−1,3−シクロヘキサジエン、α-フェランドレン、α−テルピネン、1,2,3,4−テトラフェニル−1,3−シクロペンタジエン、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン、テトラフェニルシクロペンタジエノン、フラン、チオフェン、ピロール、N−メチルピロール、N−フェニルピロールなどが挙げられる。
これらのなかでは、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、α-フェランドレン、α−テルピネン、テトラフェニルシクロペンタジエノンが好ましい。
その他に共役ジエン構造を有する化合物としては、共役ジエン構造を有する炭化水素化合物などが挙げられ、より具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、1,3,5,5−テトラメチル−1,3−シクロヘキサジエン、α-フェランドレン、α−テルピネン、1,2,3,4−テトラフェニル−1,3−シクロペンタジエン、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン、テトラフェニルシクロペンタジエノン、フラン、チオフェン、ピロール、N−メチルピロール、N−フェニルピロールなどが挙げられる。
これらのなかでは、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、α-フェランドレン、α−テルピネン、テトラフェニルシクロペンタジエノンが好ましい。
上記共役ジエン構造を有する化合物の好適な実施態様の一つとして、一般式(B−1)〜一般式(B−3)のいずれかで表される化合物が挙げられる。これらの化合物を使用すると、ディールス・アルダー反応が収率よく進行し、得られる膜の誘電率がより低下するとともに、より高い硬度、良好な経時安定性が得られる。
一般式(B−1)〜一般式(B−3)中、X1〜X16は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
一般式(B−1)および一般式(B−2)中、Wは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(X17)(X18)−、または、−N(X19)−を表す。X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
一般式(B−1)および一般式(B−2)中、Wは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(X17)(X18)−、または、−N(X19)−を表す。X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
一般式(B−1)〜一般式(B−3)中、X1〜X16は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。X1〜X16で表される置換基は、上述した一般式(I)および一般式(II)中のR1〜R6で表される置換基と同義である。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ケイ素原子含有基などが好ましい。
また、X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。X17〜X19で表される置換基は、上記のX1〜X16で表される置換基と同義である。
また、X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。X17〜X19で表される置換基は、上記のX1〜X16で表される置換基と同義である。
このようなジエン構造を有する化合物(B)を、シロキサン構造を有する化合物(A)に結合させて得られる化合物(Y)を含む塗膜において、加熱、光照射、放射線照射、またはそれらの組み合わせを用いた硬膜処理を行うことにより、逆ディールス・アルダー反応を進行させることができる。これにより化合物(Y)からジエン構造を有する化合物(B)が揮発して膜空隙が増大し、更に残基間で硬化反応が生ずる。結果として、低誘電率、高機械強度、高耐熱性を示し、基板との密着性にも優れ、誘電率が長期安定な膜が形成される。
ジエン構造を有する化合物の付加量(含有量)は、化合物(Y)全量に対して、5〜80質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。上記範囲であれば、連結孔の生成が抑えられ、また膜平坦性の点で好ましい。ジエン構造を有する化合物の付加量はNMRスペクトルや、加熱または冷却しながら質量変化を測定する熱重量分析(TGA)、比熱や反応熱の変化を測定する示差熱分析(DTA)や示差走査熱量測定(DSC)によって定量できる。
ジエン構造を有する化合物の付加量(含有量)は、化合物(Y)全量に対して、5〜80質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。上記範囲であれば、連結孔の生成が抑えられ、また膜平坦性の点で好ましい。ジエン構造を有する化合物の付加量はNMRスペクトルや、加熱または冷却しながら質量変化を測定する熱重量分析(TGA)、比熱や反応熱の変化を測定する示差熱分析(DTA)や示差走査熱量測定(DSC)によって定量できる。
本発明では化合物(B)を用いて合成した化合物(Y)を使用すると、硬膜時に空孔形成剤として作用する化合物(B)が放出されると同時に、架橋部となり得るジエノフィル構造が生成される。そのため、膜中の同一領域内で空孔形成と膜架橋とを同時に進行させることができ、よりサイズの小さい且つサイズの揃った多数の空孔を膜中に均一に形成させることができる。公知の空孔形成剤を使用する場合は、通常、空孔形成剤同士が凝集して大きなドメインを形成し、空孔形成剤が揮発する領域と架橋が進行する領域とが分離している。そのため、サイズが大きく、且つ、サイズ分布が不均一の空孔しか得られず、比誘電率、機械強度も十分でなく、密着性にも劣る膜が製造されてしまう。
なお、本発明では化合物(Y)を使用すると、比較的気体透過性のよいシロキサン構造の膜が得られるため、化合物(B)の揮発がより容易となり所望のサイズの空孔が形成されると推測される。
なお、本発明では化合物(Y)を使用すると、比較的気体透過性のよいシロキサン構造の膜が得られるため、化合物(B)の揮発がより容易となり所望のサイズの空孔が形成されると推測される。
<反応条件>
上記化合物(A)と化合物(B)とをディールス・アルダー反応を行う条件は、使用する化合物の種類などにより適宜最適な条件が選択される。
ディールス・アルダー反応を行う反応溶媒としては、使用する化合物が溶解し、反応に影響を与えない溶媒であれば特に限定されない。例えば、上記の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合反応に使用される溶媒などが挙げられる。
反応温度は、特に制限されないが、通常25℃〜250℃であり、好ましくは50℃〜200℃、さらに好ましくは80℃〜200℃である。
上記化合物(A)と化合物(B)とをディールス・アルダー反応を行う条件は、使用する化合物の種類などにより適宜最適な条件が選択される。
ディールス・アルダー反応を行う反応溶媒としては、使用する化合物が溶解し、反応に影響を与えない溶媒であれば特に限定されない。例えば、上記の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の重合反応に使用される溶媒などが挙げられる。
反応温度は、特に制限されないが、通常25℃〜250℃であり、好ましくは50℃〜200℃、さらに好ましくは80℃〜200℃である。
反応液中の化合物(A)の濃度は、反応液全量に対して30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。上記濃度範囲に設定することにより、ゲル化成分などの不純物の生成を抑制することができる。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。
反応終了後、上記の化合物(A)で述べた精製処理を実施することが好ましい。
化合物(Y)の製造工程においては、重合反応を抑制するために重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤の例としては、4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、カテコールなどが挙げられる。なかでも、4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノールが特に好ましい。重合禁止剤の添加量は、シロキサン構造を有する化合物(A)全量に対して、5質量%以上が好ましい。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。
反応終了後、上記の化合物(A)で述べた精製処理を実施することが好ましい。
化合物(Y)の製造工程においては、重合反応を抑制するために重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤の例としては、4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、カテコールなどが挙げられる。なかでも、4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノールが特に好ましい。重合禁止剤の添加量は、シロキサン構造を有する化合物(A)全量に対して、5質量%以上が好ましい。
<組成物>
本発明の多孔質膜の製造に使用される組成物(以後、“本発明の組成物”とも記す)には、上記の化合物(X)が含有される。なお、本発明の組成物は、化合物(X)が溶剤(例えば、有機溶剤)に溶解した溶液であってもよいし、化合物(X)の反応物を含む固形物であってもよい。
本発明の組成物は、種々の用途に用いることができ、その目的に応じて化合物(X)の含有量や添加する添加剤などの種類が決められる。用途としては、例えば、膜(例えば、絶縁膜)を製造するため(膜形成用組成物)や、低屈折率膜、低屈折率材料、ガス吸着材料、レジスト材料などが挙げられる。
本発明の多孔質膜の製造に使用される組成物(以後、“本発明の組成物”とも記す)には、上記の化合物(X)が含有される。なお、本発明の組成物は、化合物(X)が溶剤(例えば、有機溶剤)に溶解した溶液であってもよいし、化合物(X)の反応物を含む固形物であってもよい。
本発明の組成物は、種々の用途に用いることができ、その目的に応じて化合物(X)の含有量や添加する添加剤などの種類が決められる。用途としては、例えば、膜(例えば、絶縁膜)を製造するため(膜形成用組成物)や、低屈折率膜、低屈折率材料、ガス吸着材料、レジスト材料などが挙げられる。
組成物に含まれる固形分のうち、化合物(X)の含有量は、特に限定されないが、後述する膜形成に使用する場合には、全固形分に対して、70質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは80質量%以上であり、最も好ましくは90質量%以上である。固形分中のこれらの含量が大きいほど、塗布性が改善し、更に誘電率の低い膜を形成することができる。なお、固形分とは、後述する塗膜を構成する固形成分を意味し、溶媒などは含まれない。
上述した化合物(A)と化合物(B)とを用いて化合物(X)を製造した場合、本発明の組成物に含まれる固形分中の未反応の化合物(A)および未反応の共役ジエン構造を有する化合物(B)の合計含有量は、全固形分に対して、15質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは7質量%以下である。上記範囲であれば、より塗布面状がよい膜、低誘電率の膜を形成できる。
本発明の組成物は、溶剤を含有していてもよい。つまり、化合物(X)は、適当な溶剤に溶解させて、支持体上に塗布して使用することが好ましい。
溶剤としては、25℃で化合物(X)を5質量%以上溶解する溶剤が好ましく、10質量%以上がより好ましい。具体的には、特開2008−214454号公報の段落番号[0044]に記載の溶剤を使用することができる。
上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。
溶剤としては、25℃で化合物(X)を5質量%以上溶解する溶剤が好ましく、10質量%以上がより好ましい。具体的には、特開2008−214454号公報の段落番号[0044]に記載の溶剤を使用することができる。
上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。
本発明の組成物を適当な溶剤に溶解させて得られる溶液も、本発明の組成物の範囲に含まれる。組成物が溶剤を含む場合、組成物中の全固形分濃度は、組成物全量に対して、好ましくは1〜30質量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。上記範囲内であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、塗布液の保存安定性もより優れるものとなる。
本発明の組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。特に、本発明の組成物を低温で硬膜する必要がある場合は、重合開始剤が含まれることが好ましい。重合開始剤の種類は特に制限されないが、例えば、上述した一般式(I)で表される化合物の重合の際に使用される重合開始剤などが挙げられる。また、この目的で、放射線により重合を引きおこす開始剤を使用することもできる。
本発明の組成物では、不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。組成物中の金属濃度はICP−MS法等により高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、後述するプリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。
組成物中の金属濃度は、組成物を用いて得られた膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10000×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは1000×1010cm−2以下、特に好ましくは400×1010cm−2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。
組成物中の金属濃度は、組成物を用いて得られた膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10000×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは1000×1010cm−2以下、特に好ましくは400×1010cm−2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。
<添加剤>
更に、本発明の組成物には、組成物を用いて得られる膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
更に、本発明の組成物には、組成物を用いて得られる膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなるコロイド状シリカを使用してもよい。例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒または水に分散した分散液であり、通常、平均粒径5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が5〜40質量%程度のものである。
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる界面活性剤を使用してもよい。例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。使用する界面活性剤は、一種類のみでもよいし、二種類以上を併用してもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。
本発明で使用する界面活性剤の添加量は、組成物全量に対して、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。
本発明において、シリコーン系界面活性剤とは、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、いかなるシリコーン系界面活性剤でもよく、アルキレンオキシドおよびジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることが更に好ましい。
上記式中Rは水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であり、xは1〜20の整数であり、m、nはそれぞれ独立に2〜100の整数である。複数のRは同じでも異なっていてもよい。
本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)等を挙げることができる。
本発明に使用するノニオン系界面活性剤としては、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等を挙げることができる。
本発明に使用する含フッ素系界面活性剤としては、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。
本発明に使用するアクリル系界面活性剤としては、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる密着促進剤を使用してもよい。密着促進剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。他には、特開2008−243945号公報の段落番号[0048]に記載の化合物が使用される。
密着促進剤の好ましい使用量は、特に制限されないが、通常、組成物中の全固形分に対して、10質量%以下、特に0.05〜5質量%であることが好ましい。
密着促進剤の好ましい使用量は、特に制限されないが、通常、組成物中の全固形分に対して、10質量%以下、特に0.05〜5質量%であることが好ましい。
本発明の組成物はフィルターろ過により、不溶物、ゲル状成分等を除いてから膜形成に用いることが好ましい。その際に用いるフィルターの孔径は0.005〜0.5μmが好ましく、孔径0.005〜0.2μmがより好ましく、孔径孔径0.005〜0.1μmが最も好ましい。フィルターの材質はポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンが好ましい。
<多孔質膜の製造方法>
本発明の多孔質膜の製造方法は、特に限定されないが、上記の組成物(以下、適宜、膜形成用組成物と称する。)を用いて製造することができる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる多孔質膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法等の任意の方法により、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハ、ガラス、プラスチックフィルムなどの基板に塗布した後、溶剤を必要に応じて加熱処理で除去して塗膜を形成し、硬膜処理を施すことにより形成することができる。
基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。
スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、多孔質膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また、組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
本発明の多孔質膜の製造方法は、特に限定されないが、上記の組成物(以下、適宜、膜形成用組成物と称する。)を用いて製造することができる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる多孔質膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法等の任意の方法により、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハ、ガラス、プラスチックフィルムなどの基板に塗布した後、溶剤を必要に応じて加熱処理で除去して塗膜を形成し、硬膜処理を施すことにより形成することができる。
基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。
スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、多孔質膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また、組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
硬膜処理とは、基板上の塗膜を硬化し、膜に溶剤耐性などの特性を与えることを意味する。硬膜の方法としては、加熱処理(焼成)することが特に好ましい。例えば、化合物(X)中に残存するビニル基の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜600℃、より好ましくは200〜500℃、特に好ましくは200℃〜450℃で、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは1分〜2時間、特に好ましくは1分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行ってもよい。また、この後加熱は、酸素による熱酸化を防ぐために、窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明では加熱処理ではなく、光照射や放射線照射などの高エネルギー線を照射することで、化合物(X)中に残存するビニル基またはエチニル基などの重合反応を起こして硬膜してもよい。高エネルギー線とは、例えば、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0.1〜50keVが好ましく、より好ましくは0.2〜30keV、特に好ましくは0.5〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0.01〜5μC/cm 2 、より好ましくは0.01〜2μC/cm 2 、特に好ましくは0.01〜1μC/cm 2である。電子線を照射する際の基板温度は0〜500℃が好ましく、より好ましくは20〜450℃、特に好ましくは20〜400℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。
本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0.1〜50keVが好ましく、より好ましくは0.2〜30keV、特に好ましくは0.5〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0.01〜5μC/cm 2 、より好ましくは0.01〜2μC/cm 2 、特に好ましくは0.01〜1μC/cm 2である。電子線を照射する際の基板温度は0〜500℃が好ましく、より好ましくは20〜450℃、特に好ましくは20〜400℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。
本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は160〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
加熱処理と光照射や放射線照射などの高エネルギー線処理照射を、同時にまたは順次行うことにより硬膜してもよい。
より具体的には、本発明の膜形成用組成物を、例えばスピンコート法により、基板(通常は金属配線を有する基板)上に塗布し、予備熱処理を行うことにより溶媒を乾燥させ、次いで300℃以上430℃以下の温度で最終熱処理(アニール)を行うことにより低誘電率の多孔質膜を形成できる。
<多孔質膜>
本発明の多孔質膜は空孔を有しており、その空孔の空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径(以後、最大分布直径とも称する)は5nm以下である。最大分布直径が5nm以下であるために、優れた機械的強度と比誘電率特性との両立が可能となっている。
最大分布直径は、3nm以下が好ましい。なお、最大分布直径の下限は、特に制限されないが、公知の測定装置により測定可能な下限として0.5nmが挙げられる。
なお、最大分布直径とは、窒素ガス吸着法により得られた空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径を意味する。
本発明の多孔質膜は空孔を有しており、その空孔の空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径(以後、最大分布直径とも称する)は5nm以下である。最大分布直径が5nm以下であるために、優れた機械的強度と比誘電率特性との両立が可能となっている。
最大分布直径は、3nm以下が好ましい。なお、最大分布直径の下限は、特に制限されないが、公知の測定装置により測定可能な下限として0.5nmが挙げられる。
なお、最大分布直径とは、窒素ガス吸着法により得られた空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径を意味する。
本発明の多孔質膜の厚さは、特に限定されないが、0.005〜10μmであることが好ましく、0.01〜5.0μmであることがより好ましく、0.01〜1.0μmであることがさらに好ましい。
ここで、本発明の多孔質膜の厚さは、光学干渉式膜厚測定器にて任意の3箇所以上を測定した場合の単純平均値を意味するものとする。
ここで、本発明の多孔質膜の厚さは、光学干渉式膜厚測定器にて任意の3箇所以上を測定した場合の単純平均値を意味するものとする。
上述の本発明の方法により得られる多孔質膜の比誘電率は、使用する材料によって異なるが、実用的な観点から、測定温度25℃において、比誘電率が2.5以下、好ましくは2.4以下、つまり1.8〜2.4であることが好ましい。
本発明の多孔質膜の密度は、使用する材料によって異なるが、実用的な観点から、0.7〜1.15g/cm3であることが好ましく、0.8〜1.10g/cm3であることがより好ましい。
本発明の多孔質膜の硬度は、使用する材料によって異なるが、実用的な観点から、0.7MPa以上であることが好ましく、0.7〜1.5MPaであることがより好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる多孔質膜は、半導体用層間絶縁膜として使用する際、その配線構造において、配線側面にはメタルマイグレーションを防ぐためのバリア層があってもよい。また、配線や層間絶縁膜の上面底面にはCMP(化学的機械的研磨)での剥離を防ぐキャップ層、層間密着層の他、エッチングストッパー層等があってもよく、更には層間絶縁膜の層を必要に応じて他種材料で複数層に分けてもよい。
本発明の多孔質膜は、他の含Si絶縁膜または有機膜と積層構造を形成させて用いてもよい。炭化水素系の膜と積層して用いることが好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる多孔質膜は、銅配線またはその他の目的でエッチング加工をすることができる。エッチングとしては、ウェットエッチング、ドライエッチングのいずれでもよいが、ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングは、アンモニア系プラズマ、フルオロカーボン系プラズマのいずれもが適宜使用できる。これらプラズマにはArだけでなく、酸素、窒素、水素、ヘリウム等のガスを用いることができる。また、エッチング加工後に、加工に使用したフォトレジスト等を除く目的でアッシングすることもでき、さらにはアッシング時の残渣を除くため、洗浄することもできる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる多孔質膜は、銅配線加工後に、銅めっき部を平坦化するためCMPをすることができる。CMPスラリー(薬液)としては,市販のスラリー(例えば、フジミ製、ロデールニッタ製、JSR製、日立化成製等)を適宜使用できる。また、CMP装置としては市販の装置(アプライドマテリアル社製,荏原製作所製等)を適宜使用することができる。さらにCMP後のスラリー残渣除去のため、洗浄することができる。
<用途>
本発明の多孔質膜は、多様の目的に使用することができ、特に電子デバイスへ好適に用いることができる。電子デバイスとは、半導体装置や、磁気記録ヘッドなどを含めた広範な電子機器を意味する。例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することができる。また、光学装置用の表面保護膜、反射防止膜、位相差膜としても用いることができる。
本発明の多孔質膜は、多様の目的に使用することができ、特に電子デバイスへ好適に用いることができる。電子デバイスとは、半導体装置や、磁気記録ヘッドなどを含めた広範な電子機器を意味する。例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することができる。また、光学装置用の表面保護膜、反射防止膜、位相差膜としても用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により制約されるものではない。
以下のGPC測定は、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF−805L(カラム3本を直結)を使用し、カラム温度40℃、試料濃度0.5質量%のテロラヒドロフラン溶液を50μl注入し、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量でフローさせ、RI検出装置(Waters2414)およびUV検出装置(Waters2996)にて試料ピークを検出することでおこなった。Mw、Mnは標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。
<樹脂A−1の合成>
1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン(化合物(I)−1)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)1.063gをジフェニルエーテル86.0gに溶解させた溶液23.0mlを、107.5分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−1)6.35gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=19.08×104、Mn=2.62×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が2.55/0.05/0.45の積分比率で観察された。
1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン(化合物(I)−1)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)1.063gをジフェニルエーテル86.0gに溶解させた溶液23.0mlを、107.5分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−1)6.35gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=19.08×104、Mn=2.62×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が2.55/0.05/0.45の積分比率で観察された。
<樹脂A−2の合成>
1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン(化合物(I)−1)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)1.063gをジフェニルエーテル86.0gに溶解させた溶液24.8mlを、62分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−2)3.62gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=4.52×104、Mn=1.63×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が2.52/0.06/0.48の積分比率で観察された。
1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン(化合物(I)−1)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)1.063gをジフェニルエーテル86.0gに溶解させた溶液24.8mlを、62分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−2)3.62gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=4.52×104、Mn=1.63×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が2.52/0.06/0.48の積分比率で観察された。
<樹脂A−3の合成>
1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン(化合物(I)−1)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)1.063gをジフェニルエーテル86.0gに溶解させた溶液30.0mlを、75分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−3)5.00gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=8.74×104、Mn=2.00×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が2.52/0.04/0.48の積分比率で観察された。
1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン(化合物(I)−1)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)1.063gをジフェニルエーテル86.0gに溶解させた溶液30.0mlを、75分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−3)5.00gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=8.74×104、Mn=2.00×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が2.52/0.04/0.48の積分比率で観察された。
<樹脂A−4の合成>
2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(化合物(I)−2)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)191mgをジフェニルエーテル17.28gに溶解させた溶液16.0mlを、40分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−4)3.82gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=5.38×104、Mn=1.58×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が3.31/0.05/0.69の積分比率で観察された。
2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(化合物(I)−2)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)191mgをジフェニルエーテル17.28gに溶解させた溶液16.0mlを、40分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−4)3.82gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=5.38×104、Mn=1.58×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が3.31/0.05/0.69の積分比率で観察された。
<樹脂A−5の合成>
2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(化合物(I)−2)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)191mgをジフェニルエーテル17.28gに溶解させた溶液20.0mlを、50分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−5)4.51gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=8.99×104、Mn=1.81×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が3.38/0.04/0.62の積分比率で観察された。
2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(化合物(I)−2)12.0gをジフェニルエーテル108gに加えた。混合溶液を窒素気流中120℃に加熱し、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)191mgをジフェニルエーテル17.28gに溶解させた溶液20.0mlを、50分かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間120℃にて攪拌した。攪拌終了後、反応液を50℃に加温した電子グレードメタノール700mlに加え、析出した固体を濾取し、電子グレードメタノール200mLで洗浄した。固体を乾燥して白色固体の目的物(樹脂A−5)4.51gを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=8.99×104、Mn=1.81×104であった。固形物中には未反応のモノマーは1質量%以下であり、分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル及びメチル基由来のプロトンピーク(−0.4〜2.9ppm)と、開始剤のメチル基由来のプロトンピーク(3.6〜3.7ppm)と、残存したビニル基のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が3.38/0.04/0.62の積分比率で観察された。
上記の製造例を参照して、樹脂A−6〜樹脂A−16を合成した。なお、それぞれの樹脂の合成に使用した化合物(繰り返し単位)の種類および組成、ならびに、重量平均分子量および数平均分子量を表1に示す。なお、表1中の化合物(繰り返し単位)の番号は、上述した一般式(I)および一般式(II)で表される化合物の例示化合物の番号に該当する。
<樹脂X−1の合成>
樹脂(A−3)1000mg、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール171mg、ジシクロペンタジエン1530mgをジフェニルエーテル7gに加えた。得られた溶液を窒素気流中180℃に加熱し、3時間攪拌した。反応液を電子グレードメタノール200mlに加え、析出固体を濾取、乾燥し、一般式(F−2)で表されるディールス・アルダー反応付加部を有する白色固体の目的物(樹脂X−1)730mgを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=7.39×104、Mn=1.57×104であった。固形物中には未反応のジエンおよび分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基、メチル基およびディールス・アルダー反応して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基およびディールス・アルダー反応して生成したオレフィン由来のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が86.3/9.2の積分比率で観察された。熱重量分析(TA Instruments社SDT Q600を使用、窒素流量 100 ml/min, 20℃/minで昇温)の結果、310℃で8%の重量減少が観測され、樹脂X−1中におけるシクロペンタジエンの付加量(質量%)が確認された。
樹脂(A−3)1000mg、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール171mg、ジシクロペンタジエン1530mgをジフェニルエーテル7gに加えた。得られた溶液を窒素気流中180℃に加熱し、3時間攪拌した。反応液を電子グレードメタノール200mlに加え、析出固体を濾取、乾燥し、一般式(F−2)で表されるディールス・アルダー反応付加部を有する白色固体の目的物(樹脂X−1)730mgを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=7.39×104、Mn=1.57×104であった。固形物中には未反応のジエンおよび分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基、メチル基およびディールス・アルダー反応して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基およびディールス・アルダー反応して生成したオレフィン由来のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が86.3/9.2の積分比率で観察された。熱重量分析(TA Instruments社SDT Q600を使用、窒素流量 100 ml/min, 20℃/minで昇温)の結果、310℃で8%の重量減少が観測され、樹脂X−1中におけるシクロペンタジエンの付加量(質量%)が確認された。
<樹脂X−2の合成>
樹脂(A−2)1000mg、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール171mg、ジシクロペンタジエン1530mgをジフェニルエーテル7gに加えた。得られた溶液を窒素気流中180℃に加熱し、3時間攪拌した。反応液を電子グレードメタノール200mlに加え、析出固体を濾取、乾燥し、一般式(F−2)で表されるディールス・アルダー反応付加部を有する白色固体の目的物(樹脂X−2)725mgを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=5.30×104、Mn=1.73×104であった。固形物中には未反応のジエンおよび分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基、メチル基およびディールス・アルダー反応して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基およびディールス・アルダー反応して生成したオレフィン由来のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が87.0/11.6の積分比率で観察された。熱重量分析(TA Instruments社SDT Q600を使用、窒素流量 100 ml/min, 20℃/minで昇温)の結果、305℃で7%の重量減少が観測され、樹脂X−2中におけるシクロペンタジエンの付加量(質量%)が確認された。
樹脂(A−2)1000mg、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール171mg、ジシクロペンタジエン1530mgをジフェニルエーテル7gに加えた。得られた溶液を窒素気流中180℃に加熱し、3時間攪拌した。反応液を電子グレードメタノール200mlに加え、析出固体を濾取、乾燥し、一般式(F−2)で表されるディールス・アルダー反応付加部を有する白色固体の目的物(樹脂X−2)725mgを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=5.30×104、Mn=1.73×104であった。固形物中には未反応のジエンおよび分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基、メチル基およびディールス・アルダー反応して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基およびディールス・アルダー反応して生成したオレフィン由来のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が87.0/11.6の積分比率で観察された。熱重量分析(TA Instruments社SDT Q600を使用、窒素流量 100 ml/min, 20℃/minで昇温)の結果、305℃で7%の重量減少が観測され、樹脂X−2中におけるシクロペンタジエンの付加量(質量%)が確認された。
<樹脂X−3の合成>
樹脂(A−5)1000mg、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール160mg、ジシクロペンタジエン1530mgをジフェニルエーテル7gに加えた。得られた溶液を窒素気流中180℃に加熱し、3時間攪拌した。反応液を電子グレードメタノール200mlに加え、析出固体を濾取、乾燥し、一般式(F−2)で表されるディールス・アルダー反応付加部を有する白色固体の目的物(樹脂X−3)950mgを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=10.2×104、Mn=1.87×104であった。固形物中には未反応のジエンおよび分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基、メチル基およびディールス・アルダー反応して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基およびディールス・アルダー反応して生成したオレフィン由来のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が86.3/12.8の積分比率で観察された。熱重量分析(TA Instruments社SDT Q600を使用、窒素流量 100 ml/min, 20℃/minで昇温)の結果、313℃で6%の重量減少が観測され、樹脂X−3中におけるシクロペンタジエンの付加量(質量%)が確認された。
樹脂(A−5)1000mg、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール160mg、ジシクロペンタジエン1530mgをジフェニルエーテル7gに加えた。得られた溶液を窒素気流中180℃に加熱し、3時間攪拌した。反応液を電子グレードメタノール200mlに加え、析出固体を濾取、乾燥し、一般式(F−2)で表されるディールス・アルダー反応付加部を有する白色固体の目的物(樹脂X−3)950mgを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=10.2×104、Mn=1.87×104であった。固形物中には未反応のジエンおよび分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基、メチル基およびディールス・アルダー反応して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基およびディールス・アルダー反応して生成したオレフィン由来のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が86.3/12.8の積分比率で観察された。熱重量分析(TA Instruments社SDT Q600を使用、窒素流量 100 ml/min, 20℃/minで昇温)の結果、313℃で6%の重量減少が観測され、樹脂X−3中におけるシクロペンタジエンの付加量(質量%)が確認された。
<樹脂X−4の合成>
樹脂(A−4)1000mg、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール160mg、ジシクロペンタジエン1530mgをジフェニルエーテル7gに加えた。得られた溶液を窒素気流中180℃に加熱し、3時間攪拌した。反応液を電子グレードメタノール200mlに加え、析出固体を濾取、乾燥し、一般式(F−2)で表されるディールス・アルダー反応付加部を有する白色固体の目的物(樹脂X−4)990mgを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=5.64×104、Mn=1.57×104であった。固形物中には未反応のジエンおよび分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基、メチル基およびディールス・アルダー反応して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基およびディールス・アルダー反応して生成したオレフィン由来のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が85.9/13.1の積分比率で観察された。熱重量分析(TA Instruments社SDT Q600を使用、窒素流量 100 ml/min, 20℃/minで昇温)の結果、310℃で6%の重量減少が観測され、樹脂X−4中におけるシクロペンタジエンの付加量(質量%)が確認された。
樹脂(A−4)1000mg、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール160mg、ジシクロペンタジエン1530mgをジフェニルエーテル7gに加えた。得られた溶液を窒素気流中180℃に加熱し、3時間攪拌した。反応液を電子グレードメタノール200mlに加え、析出固体を濾取、乾燥し、一般式(F−2)で表されるディールス・アルダー反応付加部を有する白色固体の目的物(樹脂X−4)990mgを得た。
得られた樹脂をGPCで分析すると、Mw=5.64×104、Mn=1.57×104であった。固形物中には未反応のジエンおよび分子量300万以上の成分は観測されなかった。重クロロホルムを測定溶媒として、固形分の1H−NMRスペクトルを測定したところ、ビニル基が重合して生成したアルキル基、メチル基およびディールス・アルダー反応して生成したアルキル基由来のプロトンピーク(0.2〜3.0ppm)と、残存したビニル基およびディールス・アルダー反応して生成したオレフィン由来のプロトンピーク(5.7〜6.2ppm)が85.9/13.1の積分比率で観察された。熱重量分析(TA Instruments社SDT Q600を使用、窒素流量 100 ml/min, 20℃/minで昇温)の結果、310℃で6%の重量減少が観測され、樹脂X−4中におけるシクロペンタジエンの付加量(質量%)が確認された。
上記の製造例を参照して、樹脂X−5〜樹脂X−16を合成した。なお、それぞれの樹脂の合成に使用した樹脂Aおよびジエン系化合物の種類、ならびに、重量平均分子量および数平均分子量を表1に示す。
なお、表1中におけるジエンBの付加量は、樹脂X中におけるジエンBの質量%(wt%)である。
なお、表1中におけるジエンBの付加量は、樹脂X中におけるジエンBの質量%(wt%)である。
上記樹脂A−1〜A−5の製造方法を参照し、上記で述べた化合物(X)の例示化合物(I)−19〜(I)−26および例示化合物(II)を用いて、表2に示す重合条件(重合溶媒、温度)にて重合を行った。表2に重合反応により得られた重合体の重量平均分子量および数平均分子量を示す。
なお、例示化合物(I)−19〜(I)−26は、J. Am. Chem. Soc., 77, 1685(1955)、Zh. Obshch. Khim., 61(6), 1378-1383(1991)、Zh. Obshch. Khim., 60(9), 2100-2106(1990)を参照して合成した。
なお、例示化合物(I)−19〜(I)−26は、J. Am. Chem. Soc., 77, 1685(1955)、Zh. Obshch. Khim., 61(6), 1378-1383(1991)、Zh. Obshch. Khim., 60(9), 2100-2106(1990)を参照して合成した。
<組成物の調製>
上記で得られた樹脂を下記表3に示すように溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度8質量%の溶液を調製した。得られた溶液を0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、スピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布し、ホットプレート上にて110℃で1分間、ついで200℃で1分間、基板を予備乾燥し、膜厚400nmの塗布膜を形成させた。
上記で得られた樹脂を下記表3に示すように溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度8質量%の溶液を調製した。得られた溶液を0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、スピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布し、ホットプレート上にて110℃で1分間、ついで200℃で1分間、基板を予備乾燥し、膜厚400nmの塗布膜を形成させた。
得られた塗布膜を以下の次の何れかの方法で硬化を実施した。
(1)加熱
光洋サーモ社製クリーンオーブンCLH-21CD(III)により、窒素雰囲気下、クリーンオーブン中で400℃、60分間加熱した。
(2)EB照射
ウシオ電機社製Mini−EBにてAr雰囲気、圧力100kPa、基板温度350℃の条件で、電子加速電圧20keV、電子線ドーズ量1μCcm−2を5分間照射した。
(3)UV照射
ウシオ電機社製誘電体バリア放電方式エキシマランプUER20−172を用い、窒素気流下、350℃のホットプレート上で172nmの波長光100mJ/cm2を5分照射した。
(1)加熱
光洋サーモ社製クリーンオーブンCLH-21CD(III)により、窒素雰囲気下、クリーンオーブン中で400℃、60分間加熱した。
(2)EB照射
ウシオ電機社製Mini−EBにてAr雰囲気、圧力100kPa、基板温度350℃の条件で、電子加速電圧20keV、電子線ドーズ量1μCcm−2を5分間照射した。
(3)UV照射
ウシオ電機社製誘電体バリア放電方式エキシマランプUER20−172を用い、窒素気流下、350℃のホットプレート上で172nmの波長光100mJ/cm2を5分照射した。
<比較例1>
アセトン72mlに溶解したトリクロロフェニルシラン39.2gを1.42kgの氷水に滴下し、0℃で20時間攪拌した。沈殿をろ取し、水洗後乾燥させた。次に、二硫化炭素200mlに懸濁させてろ取し、アセトン/トルエンで再結晶して比較例用樹脂(r−1)8gを得た。
得られた樹脂をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度8質量%の溶液を調製した。溶液を0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、スピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布し、ホットプレート上にて110℃で1分間、ついで200℃で1分間、基板を予備乾燥し、膜厚400nmの塗布膜を形成させた。得られた塗布膜を加熱により硬化を実施した。
アセトン72mlに溶解したトリクロロフェニルシラン39.2gを1.42kgの氷水に滴下し、0℃で20時間攪拌した。沈殿をろ取し、水洗後乾燥させた。次に、二硫化炭素200mlに懸濁させてろ取し、アセトン/トルエンで再結晶して比較例用樹脂(r−1)8gを得た。
得られた樹脂をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度8質量%の溶液を調製した。溶液を0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、スピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布し、ホットプレート上にて110℃で1分間、ついで200℃で1分間、基板を予備乾燥し、膜厚400nmの塗布膜を形成させた。得られた塗布膜を加熱により硬化を実施した。
<比較例2>
50ml三口フラスコにテトラエトシキシラン625mg、メチルトリエトキシシラン2.32g、シュウ酸100mg、イソプロピルアルコール12ml、ブタノール4ml、イオン交換水3mlを入れ、7時環加熱還流し比較例用樹脂(r−2)を得た。放冷後0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した。得られた組成物をスピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布後、ホットプレート上で80℃で5分間、200℃で5分間基板を乾燥し、膜厚400nmの塗布膜を形成させた。得られた塗布膜をEB照射により硬化を実施した。
50ml三口フラスコにテトラエトシキシラン625mg、メチルトリエトキシシラン2.32g、シュウ酸100mg、イソプロピルアルコール12ml、ブタノール4ml、イオン交換水3mlを入れ、7時環加熱還流し比較例用樹脂(r−2)を得た。放冷後0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した。得られた組成物をスピンコート法で4インチシリコンウエハ上に塗布後、ホットプレート上で80℃で5分間、200℃で5分間基板を乾燥し、膜厚400nmの塗布膜を形成させた。得られた塗布膜をEB照射により硬化を実施した。
得られた硬化膜について下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
なお、表3中において、界面活性剤の含有量は、組成物(塗布液)全量に対する質量%を表す。一方、密着促進剤の含有量は、組成物(塗布液)中の全固形物に対する質量%で表される。
なお、表3中において、界面活性剤の含有量は、組成物(塗布液)全量に対する質量%を表す。一方、密着促進剤の含有量は、組成物(塗布液)中の全固形物に対する質量%で表される。
上記表中における記号は次の通りである。
CyHex:シクロヘキサノン
BA:酢酸ブチル
DPE:ジフェニルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
THF:テトラヒドロフラン
GBL:γ−ブチロラクトン
GPTMS:3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン
CyHex:シクロヘキサノン
BA:酢酸ブチル
DPE:ジフェニルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
THF:テトラヒドロフラン
GBL:γ−ブチロラクトン
GPTMS:3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン
<空孔径測定>
得られた硬化膜をウエハごと2.0cm×0.5cmの矩形にカットしてガス吸着測定用セルに入れ、QUANTACHROME社製細孔分布・比表面積測定装置AUTOSORB‐1を用いて窒素ガスによるガス吸着測定を行った。測定後のデータはN2/DFT(N2 at 77K on silica(cylinder pore, NLDFT equibrium model))法により解析し、得られた細孔分布(空孔分布)の最大頻度径(最大ピーク)を最大分布直径とした。
<比誘電率>
フォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて、1MHzにおける容量値(測定温度25℃)から算出した。
<硬度>
MTS社ナノインデンターSA2を使用して硬度を測定した。
<比誘電率の安定性>
ウエハを110℃、90%RH(相対湿度)の雰囲気に12時間放置し,その後真空下(1.0Pa)にて350℃/5min加熱処理を行い、比誘電率を上記の方法で測定した。比誘電率変化量が±0.2の範囲にあるものを○、範囲外にあるものを×と表記した。
得られた硬化膜をウエハごと2.0cm×0.5cmの矩形にカットしてガス吸着測定用セルに入れ、QUANTACHROME社製細孔分布・比表面積測定装置AUTOSORB‐1を用いて窒素ガスによるガス吸着測定を行った。測定後のデータはN2/DFT(N2 at 77K on silica(cylinder pore, NLDFT equibrium model))法により解析し、得られた細孔分布(空孔分布)の最大頻度径(最大ピーク)を最大分布直径とした。
<比誘電率>
フォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて、1MHzにおける容量値(測定温度25℃)から算出した。
<硬度>
MTS社ナノインデンターSA2を使用して硬度を測定した。
<比誘電率の安定性>
ウエハを110℃、90%RH(相対湿度)の雰囲気に12時間放置し,その後真空下(1.0Pa)にて350℃/5min加熱処理を行い、比誘電率を上記の方法で測定した。比誘電率変化量が±0.2の範囲にあるものを○、範囲外にあるものを×と表記した。
<密着性>
ダイヤモンドペンにて膜表面に3mm角のマス目を5×5個けがき、3M製スコッチテープ(No.610)を全てのマス目をカバーし、かつ気泡が入らないように留意して貼り付けた。その後、テープを垂直にはがし、Si基板に対する絶縁膜の密着性テスト(以降、スコーチテープテストとも記述)を実施した。25マス中1マスでも剥がれたものを×、剥がれが無いものを○と表記した。
ダイヤモンドペンにて膜表面に3mm角のマス目を5×5個けがき、3M製スコッチテープ(No.610)を全てのマス目をカバーし、かつ気泡が入らないように留意して貼り付けた。その後、テープを垂直にはがし、Si基板に対する絶縁膜の密着性テスト(以降、スコーチテープテストとも記述)を実施した。25マス中1マスでも剥がれたものを×、剥がれが無いものを○と表記した。
空孔径および密度に関して以下2つの測定方法も併用した。
小角X線散乱(SAXS)を用いて、得られた硬化膜の空孔径を測定した。解析は球状モデルを用い、空孔サイズの分布はガンマ分布関数に従うものとして解析し、得られた細孔分布の最大頻度径を最大分布直径とした。実施例1、2、3、4はそれぞれ2.9nm、1.7nm、1.7nm、1.9nmであり、比較例1および2はそれぞれ10.5nm、5.7nmであった。得られた結果は、上記のガス吸着法測定によって得られた結果とほぼ一致した。
X線反射率法(XRR)を用いて、得られた硬化膜の膜密度を測定した。実施例1、2、3、4はそれぞれ0.91g/cm3、1.07g/cm3、0.95g/cm3、0.88g/cm3であり、比較例1および2はそれぞれ1.39g/cm3、1.21g/cm3であった。
小角X線散乱(SAXS)を用いて、得られた硬化膜の空孔径を測定した。解析は球状モデルを用い、空孔サイズの分布はガンマ分布関数に従うものとして解析し、得られた細孔分布の最大頻度径を最大分布直径とした。実施例1、2、3、4はそれぞれ2.9nm、1.7nm、1.7nm、1.9nmであり、比較例1および2はそれぞれ10.5nm、5.7nmであった。得られた結果は、上記のガス吸着法測定によって得られた結果とほぼ一致した。
X線反射率法(XRR)を用いて、得られた硬化膜の膜密度を測定した。実施例1、2、3、4はそれぞれ0.91g/cm3、1.07g/cm3、0.95g/cm3、0.88g/cm3であり、比較例1および2はそれぞれ1.39g/cm3、1.21g/cm3であった。
表3の結果より、本発明の膜形成用組成物を使用した場合、加熱、EB照射、UV照射など種々の硬化方法により、比誘電率が低く、比誘電率の経時安定性および耐熱性に優れ、かつ、硬度が高い多孔質膜が得られることが確認された。また、得られた硬化膜中における空孔の最大分布直径は、5nm以下であった。
一方、硬化処理時にジエン化合物を放出しない比較例1および2において得られた膜は、比誘電率は高く、かつ、硬度も低かった。比誘電率の経時安定性および耐熱性の点でも劣っていた。さらに、得られた硬化膜中における空孔の最大分布直径は、5nmより大きかった。
一方、硬化処理時にジエン化合物を放出しない比較例1および2において得られた膜は、比誘電率は高く、かつ、硬度も低かった。比誘電率の経時安定性および耐熱性の点でも劣っていた。さらに、得られた硬化膜中における空孔の最大分布直径は、5nmより大きかった。
Claims (12)
- 加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより、その一部が脱離して揮発性成分を生じる官能基を有する化合物(X)を用いて形成され、空孔分布曲線における最大ピークを示す空孔直径が5nm以下である多孔質膜。
- 前記化合物(X)が、共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応によって形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成されるディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物である、請求項1に記載の多孔質膜。
- 前記化合物(X)が、ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)と、共役ジエン構造を有する化合物(B)とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記共役ジエン構造を有する化合物(B)を放出する化合物である、請求項2に記載の多孔質膜。
- 前記シロキサン構造を有する化合物(A)が、下記一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物、またはその重合体である、請求項3に記載の多孔質膜。
(一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1およびR2のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。mは、3〜10の整数を表す。なお、複数のR1およびR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1〜R6のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。nは、1〜60の整数を表す。なお、複数のR1〜R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。) - 前記化合物(X)中における前記共役ジエン構造を有する化合物(B)の付加量が、前記化合物(X)全量に対して、5〜80質量%である請求項3〜5のいずれかに記載の多孔質膜。
- 絶縁膜用途に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質膜。
- 請求項7に記載の多孔質膜を用いて製造される電子デバイス。
- 共役ジエン構造とジエノフィル構造とのディールス・アルダー反応によって形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応が進行して共役ジエン構造とジエノフィル構造が生成されるディールス・アルダー反応付加部を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物。
- ジエノフィル構造を有し、かつ、環状または鎖状のシロキサン構造を有する化合物(A)と、共役ジエン構造を有する化合物(B)とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記共役ジエン構造を有する化合物(B)を放出する化合物。
- 一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物またはその重合体と、一般式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表される化合物とのディールス・アルダー反応により形成され、加熱、光照射、放射線照射またはそれらの組み合わせにより逆ディールス・アルダー反応を介して前記一般式(B−1)〜(B−3)のいずれかで表される化合物を放出する化合物。
(一般式(I)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1およびR2のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。mは、3〜10の整数を表す。なお、複数のR1およびR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(II)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、複数のR1〜R6のうち少なくとも2つは、アルケニル基またはアルキニル基を表す。Zは、二価の連結基を表す。nは、1〜60の整数を表す。なお、複数のR1〜R6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のZは同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(B−1)〜一般式(B−3)中、X1〜X16は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
一般式(B−1)および一般式(B−2)中、Wは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(X17)(X18)−、または、−N(X19)−を表す。X17〜X19は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。) - 請求項9〜11のいずれかに記載の化合物を含む絶縁膜形成用組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009036606A JP2010189569A (ja) | 2009-02-19 | 2009-02-19 | 多孔質膜 |
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JP2010189571A (ja) * | 2009-02-19 | 2010-09-02 | Fujifilm Corp | ディールス・アルダー反応付加部を有する化合物 |
CN101974027A (zh) * | 2010-10-08 | 2011-02-16 | 威海新元化工有限公司 | 一种乙烯基有机硅三环体的合成方法 |
JP2014132609A (ja) * | 2013-01-04 | 2014-07-17 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 半導体デバイスの製造方法 |
-
2009
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CN101974027A (zh) * | 2010-10-08 | 2011-02-16 | 威海新元化工有限公司 | 一种乙烯基有机硅三环体的合成方法 |
CN101974027B (zh) * | 2010-10-08 | 2014-07-30 | 威海新元化工有限公司 | 一种乙烯基有机硅三环体的合成方法 |
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