JP2008243945A - 絶縁膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】200nm以下の膜厚の層間絶縁膜の製造方法であって、ハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な膜を製造する方法を提供すること。
【解決手段】絶縁膜形成用組成物を回転塗布により基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及び前記塗布膜を、シリコン系界面活性剤を含む表面張力が30mN/m以下の溶剤を用いてエッジビードリムービング処理を行う工程、を含む層間絶縁膜の製造方法により、ハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な膜を製造することができる。
【選択図】なし
【解決手段】絶縁膜形成用組成物を回転塗布により基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及び前記塗布膜を、シリコン系界面活性剤を含む表面張力が30mN/m以下の溶剤を用いてエッジビードリムービング処理を行う工程、を含む層間絶縁膜の製造方法により、ハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な膜を製造することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は薄膜であっても良好なハンプ形状を実現できる絶縁膜の製造方法に関し、更には前記方法により製造された絶縁膜及びそれを有する電子デバイスに関する。
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中でも、遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となるため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。また、層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付け等の後工程に耐え得る優れた耐熱性やウェットプロセスに耐え得る耐薬品性が求められている。更に、近年は、Al配線から低抵抗のCu配線が導入されつつあり、これに伴い、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)による平坦化が一般的となっており、このプロセスに耐え得る高い機械的強度が求められている。機械強度の高いポリマーの例として、リジッドなカゴ構造の飽和炭化水素であるアダマンタンやジアマンタンを分子内に導入したポリマーが開示されている(特許文献1)。
一般に回転塗布(スピンコート)を用いて膜形成組成物から絶縁膜等の薄膜を形成する際、膜周縁部にビードが形成されたり、あるいは基板裏面に膜形成用組成物が回り込むことがあり、このようなビードや裏面の組成物を除去するために、膜形成用組成物を塗布後、エッジビードリムービング処理(EBR)と呼ばれる、溶剤による膜の周縁部の除去処理を行うことが一般的である。このEBR処理は、通常、基板を回転させながら、塗布された膜上に溶剤を吐出して行う方法がとられる。
機械強度の高いポリマーの場合、上記EBR処理を行うと、形成された膜の周縁部の垂直断面が角状の、いわゆるハンプ(こぶ)と呼ばれる形状となって、膜構造が不均一となったり(図1参照)、膜周縁部にいわゆるブツとよばれる気泡のような形状ができるという問題がある。これらの問題は、塗布膜厚が薄くなるほど、すなわち薄膜化するほど顕著になる傾向がある。これらのEBR処理後の膜周縁部の形状(EBR形状とも呼ぶ)によっては、改善するために更なる処理が必要であったり、また、層間絶縁膜では複数回の塗布が実施される為、各層のEBR形状の悪影響が上層に蓄積されていき、最終的には電子デバイスの歩留まりが悪くなるという問題が生じる。
一般的に、上記EBR形状を改善する為に、膜組成物に対して一定の溶解性を有する溶剤を選択して解決することができる(特許文献2)。しかし膜の形状と組成によっては、溶解性が乏しいために膜の除去すべき領域の除去が十分でなかったり、逆に過度の溶解性のために意図する除去領域以外の部分にまでEBR用溶剤が侵食してしまう場合がある。特に200nm以下の薄膜を形成する場合には、EBR用溶剤の種類を変更したり、EBRプロセス条件を変更するなどの一般的な対処方法だけでは良好なEBR形状を得られない場合がある。
また、EBRプロセスに適した溶剤が見つかったとしても、半導体製造工程の汚染を防止できる金属不純物が極めて少ない電子材料グレードの溶剤の入手性が困難な場合が多い。
また、近年の環境重視の観点、安全の観点からも一般的に流通し、かつ性質の良く知られた溶剤を用いてEBRプロセスを構築することが望まれている。
また、EBRプロセスに適した溶剤が見つかったとしても、半導体製造工程の汚染を防止できる金属不純物が極めて少ない電子材料グレードの溶剤の入手性が困難な場合が多い。
また、近年の環境重視の観点、安全の観点からも一般的に流通し、かつ性質の良く知られた溶剤を用いてEBRプロセスを構築することが望まれている。
本発明は上記問題点を解決する絶縁膜の製造方法を提供することを目的とする。更には前記製造方法を用いて形成された配線構造形成用絶縁膜または層間絶縁膜を有する電子デバイスに関する。
本発明の目的は、膜形成時のハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な膜を形成できる、絶縁膜を製造する方法を提供することである。
本発明の目的はまた、200nm以下の膜厚の絶縁膜の製造方法であって、ハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な膜を製造する方法を提供することである。
本発明の目的はまた、機械強度が高い絶縁膜であっても、膜形成時のハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な絶縁膜を製造する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、ハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な絶縁膜を提供することである。
また本発明の更なる目的は、平坦性に優れており、機械強度が高い絶縁膜を提供することである。また、本発明の目的は、特に基板周辺部の平坦性が優れており、CMPプロセスにおける基板周辺部の応力集中による剥がれが殆ど無い絶縁膜を提供することである。
本発明の目的は、膜形成時のハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な膜を形成できる、絶縁膜を製造する方法を提供することである。
本発明の目的はまた、200nm以下の膜厚の絶縁膜の製造方法であって、ハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な膜を製造する方法を提供することである。
本発明の目的はまた、機械強度が高い絶縁膜であっても、膜形成時のハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な絶縁膜を製造する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、ハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な絶縁膜を提供することである。
また本発明の更なる目的は、平坦性に優れており、機械強度が高い絶縁膜を提供することである。また、本発明の目的は、特に基板周辺部の平坦性が優れており、CMPプロセスにおける基板周辺部の応力集中による剥がれが殆ど無い絶縁膜を提供することである。
本発明者らは、下記の構成のEBR溶剤を用いて膜を形成することにより、特に200nm以下の膜厚領域であっても、膜形成時のハンプ率が低く、周縁部にブツが無い、EBR形状が良好な膜を形成できることを見出した。
すなわち、本発明は以下を提供する。
<1>
絶縁膜形成用組成物を回転塗布により基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及び
シリコン系界面活性剤を含む表面張力が30mN/m以下の溶剤を用いて、前記塗布膜のエッジビードリムービング処理を行う工程、
を含む絶縁膜の製造方法。
<2>
該溶剤が、0.1μm以下の孔径を有するフィルターによるろ過処理を行った溶剤であることを特徴とする上記<1>に記載の製造方法。
<3>
該溶剤が、イオン交換フィルターまたはイオン交換樹脂による金属低減処理を行った溶剤であることを特徴とする上記<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>
絶縁膜形成用組成物が、カゴ型構造基を有する化合物を含有することを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか一に記載の製造方法。
<5>
カゴ型構造基を有する化合物が、カゴ型構造基を有するモノマーの重合体であることを特徴とする上記<4>に記載の製造方法。
<6>
カゴ型構造基が、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、及びテトラマンタンからなる群より選択される化合物から誘導される基であることを特徴とする上記<4>または<5>に記載の製造方法。
<7>
絶縁膜が、配線構造形成用絶縁膜であることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれか一に記載の製造方法。
<8>
上記<1>〜<7>のいずれか一に記載の製造方法を用いて形成された絶縁膜を有する電子デバイス。
すなわち、本発明は以下を提供する。
<1>
絶縁膜形成用組成物を回転塗布により基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及び
シリコン系界面活性剤を含む表面張力が30mN/m以下の溶剤を用いて、前記塗布膜のエッジビードリムービング処理を行う工程、
を含む絶縁膜の製造方法。
<2>
該溶剤が、0.1μm以下の孔径を有するフィルターによるろ過処理を行った溶剤であることを特徴とする上記<1>に記載の製造方法。
<3>
該溶剤が、イオン交換フィルターまたはイオン交換樹脂による金属低減処理を行った溶剤であることを特徴とする上記<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>
絶縁膜形成用組成物が、カゴ型構造基を有する化合物を含有することを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか一に記載の製造方法。
<5>
カゴ型構造基を有する化合物が、カゴ型構造基を有するモノマーの重合体であることを特徴とする上記<4>に記載の製造方法。
<6>
カゴ型構造基が、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、及びテトラマンタンからなる群より選択される化合物から誘導される基であることを特徴とする上記<4>または<5>に記載の製造方法。
<7>
絶縁膜が、配線構造形成用絶縁膜であることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれか一に記載の製造方法。
<8>
上記<1>〜<7>のいずれか一に記載の製造方法を用いて形成された絶縁膜を有する電子デバイス。
本発明の絶縁膜の製造方法により、ハンプ率が著しく低く、また膜周縁部にブツがない、EBR形状が良好な、配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成することができる。
本発明の絶縁膜の製造方法により、低い溶解性に起因して選択できるEBR用溶剤が少ない膜形成用組成物や、また、組成物の溶解性が低い場合に不具合が懸念される膜形成用組成物を用いても、溶剤の種類を変えずに、界面活性剤を用いてEBR溶剤の表面張力のみを主に調整することで、ハンプ率が著しく低く、また膜周縁部にブツがない、EBR形状が良好な配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成することができる。
また、本発明の製造方法により製造される絶縁膜は、特に基板周辺部の平坦性が優れており、CMPプロセスにおける基板周辺部の応力集中による剥がれが殆ど無く、高い歩留まりで電子デバイスを作成することができるという顕著な効果を奏する。
本発明の絶縁膜の製造方法により、低い溶解性に起因して選択できるEBR用溶剤が少ない膜形成用組成物や、また、組成物の溶解性が低い場合に不具合が懸念される膜形成用組成物を用いても、溶剤の種類を変えずに、界面活性剤を用いてEBR溶剤の表面張力のみを主に調整することで、ハンプ率が著しく低く、また膜周縁部にブツがない、EBR形状が良好な配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成することができる。
また、本発明の製造方法により製造される絶縁膜は、特に基板周辺部の平坦性が優れており、CMPプロセスにおける基板周辺部の応力集中による剥がれが殆ど無く、高い歩留まりで電子デバイスを作成することができるという顕著な効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の絶縁膜の製造方法は、絶縁膜形成用組成物を回転塗布により、Si基板等の基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及びシリコン系界面活性剤を含む表面張力が30mN/m以下の溶剤を用いて、前記塗布膜のエッジビードリムービング処理を行う工程、を含むことを特徴とする。
(1)溶剤
本発明の製造方法において、エッジビードリムービングに用いられる溶剤(以下、EBR用溶剤とも呼ぶ)は、シリコン系界面活性剤を含み、表面張力が30mN/mであることを特徴とする。
本発明の絶縁膜の製造方法は、絶縁膜形成用組成物を回転塗布により、Si基板等の基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及びシリコン系界面活性剤を含む表面張力が30mN/m以下の溶剤を用いて、前記塗布膜のエッジビードリムービング処理を行う工程、を含むことを特徴とする。
(1)溶剤
本発明の製造方法において、エッジビードリムービングに用いられる溶剤(以下、EBR用溶剤とも呼ぶ)は、シリコン系界面活性剤を含み、表面張力が30mN/mであることを特徴とする。
本発明に用いることの出来る好適なEBR用溶剤の例としては、EBRプロセスを実施する膜形成組成物を溶解できる点を考慮して選択することができ、例えばアセトン、プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γブチロラクトン、アニソール、メシチレン、1,2−クロロベンゼンである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
EBR用溶剤に用いるシリコン系界面活性剤は、上記の溶剤に添加することで表面張力が30mN/m以下になるものを選択する。これらの界面活性剤は複数の種類を使用しても良い。なお、本明細書において、表面張力は全て20℃において測定した値を意味する。
本発明のEBR用溶剤の表面張力は、既存の表面張力測定装置にて測定可能である。
本発明のEBR用溶剤の表面張力は、既存の表面張力測定装置にて測定可能である。
シリコン系界面活性剤濃度は、EBR用溶剤全質量に対して1000ppm以上であることが好ましい。より好ましくは1000ppm以上であり、10000ppm以下であり、最も好ましくは1000ppm以上であり、5000ppm以下である。これは、EBR用溶剤の界面活性剤濃度が少なくともミセル臨界濃度近傍にないと、溶剤の蒸発などによる界面活性剤濃度の変化が著しく、大きな表面張力変化を引き起こし、EBR形状が変化する可能性があるからである。一方濃度が高すぎると界面活性剤の残留によるパーティクル発生などが懸念されるからである。
本発明に使用するシリコン系界面活性剤としては、いかなるシリコン系界面活性剤でもよいが、アルキレンオキシド及びジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることが更に好ましい。
式中Rは水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であり、xは1〜20の整数であり、m、nはそれぞれ独立に2〜100の整数である。複数のRは互いに同じでも異なっていてもよい。
本発明に使用するシリコン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)、メチルシロキサン系ポリマーDBE224、DBE621、DBE712、DBE814、DBE821、DBP732、DBP534、YAD−122、YBD−125、YMS−T31(ゲレスト社製)等を挙げることができる。
本発明のEBR用溶剤は、パーティクル残留防止の観点から、一般的に半導体材料用として入手が容易である孔径0.1μm以下のフィルターにてろ過処理を実施するのが好ましい。フィルター材質は特に限定はされないが、PTFE、UPE、ナイロンなど任意のものを使用できる。また、使用する塗布装置の仕様によるが、EBR溶剤ラインにろ過フィルターを具備している場合には、当該ろ過プロセスを省略しないことが望ましい。EBR用溶剤に多量のパーティクルが混入している場合、結果的に塗布装置が有するフィルターの交換サイクルが短くなり、その結果半導体装置の生産性が低下するためである。
本発明のEBR用溶剤は、半導体製造工程の金属汚染を防止する観点から、イオン交換樹脂、キレート樹脂、イオン交換能を有するフィルター、キレート樹脂機能を有するフィルターにて金属不純物の低減処理を実施することが望ましい。
前記金属不純物の低減処理は、例えば、イオン交換樹脂、キレート樹脂等を、EBR用溶剤中に、溶剤質量に対して1〜50質量%程度加えて、室温〜40℃程度で、1〜24時間程度、攪拌することにより行われる。市販のイオン交換フィルター等を通過させる方法により行ってもよい。
前記金属不純物の低減処理は、例えば、イオン交換樹脂、キレート樹脂等を、EBR用溶剤中に、溶剤質量に対して1〜50質量%程度加えて、室温〜40℃程度で、1〜24時間程度、攪拌することにより行われる。市販のイオン交換フィルター等を通過させる方法により行ってもよい。
本発明のEBR用溶剤の金属濃度はICP−MS法にて高感度に測定可能である。その場合、Na、K、Ca,Fe、Cu、Mg、Mn、Al、Cr,Ni、Sn、Zn、Co、Ti,Pt等の当該分野で懸念される元素は50ppb未満であることが好ましく、より好ましくは10ppb以下、特に好ましくは1ppb未満である。
本発明において用いられるEBR用溶剤は、溶解できる溶剤の選択肢が少ない塗布液もしくは膜形成用組成物をスピンコーティングで膜形成した後に、続いてEBR処理を行った場合、膜周縁部のEBR形状を良好に保つという顕著な効果を奏する溶剤である。EBR形状が良好である点は、絶縁層を何層にもわたって形成する必要がある半導体集積回路の配線用絶縁膜の形成に特に効果を発揮する。したがって制御が難しい膜厚200nm以下の塗布を行い、かつ、カゴ型化合物を含有するために溶解できる溶剤の選択幅が少ない膜形成用組成物および塗布膜をEBR処理を含む配線用絶縁膜形成プロセスに用いる場合に特に効果を奏する。
従って、本発明の1つの実施態様は、カゴ型化合物を含有する絶縁膜形成用組成物を回転塗布により基板上に塗布して塗布膜を基板上に設けた後、本発明のEBR用溶剤を用いてEBR処理を行うことを特徴とする、膜形成方法である。
従って、本発明の1つの実施態様は、カゴ型化合物を含有する絶縁膜形成用組成物を回転塗布により基板上に塗布して塗布膜を基板上に設けた後、本発明のEBR用溶剤を用いてEBR処理を行うことを特徴とする、膜形成方法である。
(2)絶縁膜形成用組成物
本明細書において、絶縁膜形成用組成物(以下、膜形成用組成物とも呼ぶ)は、配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成するための組成物を意味する。組成は特に限定されないが、基本的には配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成するための化合物と塗布溶剤からなる。
本発明において、配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成するための化合物は、従来知られている有機ポリマー系の化合物が挙げられるが、これらの中で、特に低誘電性であり、機械強度が高いカゴ型構造基を有する化合物が好ましい。また、カゴ型構造基を有する化合物を用いた絶縁膜用組成物から製造された塗布膜は、カゴ型構造基を有する化合物の溶解性の低さに起因して、適切なEBR用溶剤が見出すことができない場合が多いが、本発明の方法により、カゴ型構造基を有する化合物を用いた絶縁膜用組成物から製造された塗布膜に対しても適切なEBR処理を行うことができるという効果を奏する。
本明細書において、絶縁膜形成用組成物(以下、膜形成用組成物とも呼ぶ)は、配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成するための組成物を意味する。組成は特に限定されないが、基本的には配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成するための化合物と塗布溶剤からなる。
本発明において、配線構造形成用絶縁膜や層間絶縁膜を形成するための化合物は、従来知られている有機ポリマー系の化合物が挙げられるが、これらの中で、特に低誘電性であり、機械強度が高いカゴ型構造基を有する化合物が好ましい。また、カゴ型構造基を有する化合物を用いた絶縁膜用組成物から製造された塗布膜は、カゴ型構造基を有する化合物の溶解性の低さに起因して、適切なEBR用溶剤が見出すことができない場合が多いが、本発明の方法により、カゴ型構造基を有する化合物を用いた絶縁膜用組成物から製造された塗布膜に対しても適切なEBR処理を行うことができるという効果を奏する。
(A)カゴ型構造基を有する化合物
本明細書において、「カゴ型構造基」の「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
本明細書において、「カゴ型構造基」の「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
本発明においてカゴ型構造は飽和、不飽和結合のいずれを含んでいても良く、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含んでも良いが、低誘電率の見地から飽和炭化水素が好ましい。
本発明のカゴ型構造は、好ましくはアダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ドデカヘドランであり、より好ましくはアダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタンであり、低誘電率である点で特にビアダマンタン、ジアマンタンが好ましい。
本発明における「カゴ型構造基」は、上記カゴ型構造の分子から少なくとも一つの水素原子あるいは置換基を除去して誘導される、一価以上の基を意味する。
本発明におけるカゴ型構造基は2〜4価であることが好ましい。このとき、カゴ型構造基に結合する基は1価以上の置換基でも2価以上の連結基でも良い。カゴ型構造基は好ましくは、2または3価であり、特に好ましくは2価である。
本発明におけるカゴ型構造基は2〜4価であることが好ましい。このとき、カゴ型構造基に結合する基は1価以上の置換基でも2価以上の連結基でも良い。カゴ型構造基は好ましくは、2または3価であり、特に好ましくは2価である。
本発明のカゴ型構造基を有する化合物とは、カゴ型構造基を有するモノマーの重合体であることが好ましい。ここでモノマーとは、互いに重合して2量体以上の重合体になるものを指す。この重合体は、ホモポリマーでもコポリマーでも良い。
モノマーの重合反応はモノマーに置換した重合性基によって起こる。ここで重合性基とは、モノマーを重合せしめる反応性の置換基を指す。該重合反応としてはどのような重合反応でも良いが、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合等が挙げられる。
本発明のモノマーの重合反応は非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、重合可能な炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有するモノマーを、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤存在下で重合することが出来る。
重合開始剤としては有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。
重合開始剤としては有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。
重合反応で使用する溶媒は、原料モノマーが必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成する膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用しても良い。例えば、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等が挙げられ、好ましくはγ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンが挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
本発明におけるカゴ型構造基はポリマー中にペンダント基として置換していて良く、ポリマー主鎖の一部となっていても良いが、ポリマー主鎖の一部となっている形態がより好ましい。ここで、ポリマー主鎖の一部になっている形態においては、カゴ型構造は直接単結合するかまたは適当な2価の連結基によって連結される。連結基の例としては例えば、−C(R11)(R12)−、−C(R13)=C(R14)−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−が挙げられる。ここで、R11〜R17はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアリール基を表す。
この中でより好ましい連結基は、低誘電率である見地から−C(R11)(R12)−、−CH=CH−である。
この中でより好ましい連結基は、低誘電率である見地から−C(R11)(R12)−、−CH=CH−である。
本発明のカゴ型構造基を有する化合物とは、低分子化合物であっても高分子化合物(たとえばポリマー)であっても良いが、好ましいものはポリマーである。カゴ型構造を有する化合物がポリマーである場合、その質量平均分子量は好ましくは1000〜500000、より好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。カゴ型構造を有するポリマーは分子量分布を有する樹脂組成物として絶縁膜形成用塗布液に含まれていても良い。カゴ型構造を有する化合物が低分子化合物である場合、その分子量は好ましくは150〜3000、より好ましくは200〜2000、特に好ましくは220〜1000である。
本発明のカゴ型構造基を有する化合物は、重合可能な炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有するモノマーの重合体であることが好ましい。
更に、下記式(I)〜(VI)で表される化合物の重合体であることがより好ましい。
更に、下記式(I)〜(VI)で表される化合物の重合体であることがより好ましい。
上記式(I)〜(VI)中の各記号は以下の意味を表す。
X1〜X8は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基であり、好ましくは水素原子、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子である
X1〜X8は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基であり、好ましくは水素原子、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子である
Y1〜Y8は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくはアルキル基(メチル基等)である。X1〜X8、Y1〜Y8は更に別の置換基で置換されていてもよい。
m1、m5はそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。m2、m3、m6、m7はそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。m4、m8はそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
n1、n5は0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。n2〜n4、n6〜n8は、0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
n1、n5は0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。n2〜n4、n6〜n8は、0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、特に好ましくは0である。
本発明のカゴ型構造基を有するモノマーは好ましくは上記式(II)、(III)、(V)、(VI)であり、より好ましくは上記式(II)、(III)であり、特に好ましくは上記式(III)で表される化合物である。
本発明のカゴ型構造基を有する化合物は2つ以上を併用しても良く、また、本発明のカゴ型構造を有するモノマーを2種以上共重合しても良い。
本発明のカゴ型構造基を有する化合物は有機溶剤へ十分な溶解性を有することが好ましい。好ましい溶解度は25℃でシクロヘキサノンまたはアニソールに3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
以下に本発明で使用できるカゴ型構造基を有するモノマーの具体例を記載するが、本発明はこれらに限定はされない。
本発明のカゴ型構造基を有する化合物は、例えば市販のジアマンタンを原料として、臭化アルミニウム触媒存在下または非存在下で臭素と反応させて臭素原子を所望の位置に導入、続けて臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄等のルイス酸の存在下で臭化ビニルとフリーデルクラフツ反応させて2,2−ジブロモエチル基を導入、続けて強塩基で脱HBr化してエチニル基に変換することで合成することができる。具体的にはMacromolecules.,1991年、24巻、5266〜5268頁、1995年、28巻、5554〜5560、Journal of Organic Chemistry.,39,2995−3003(1974)等に記載された方法に準じて合成することが出来る。
また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウム等でアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することが出来る。
本発明の重合体は単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウム等でアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することが出来る。
本発明の重合体は単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
(B)塗布溶媒
本発明において、絶縁膜形成用組成物は、通常、上記化合物を溶解するための塗布溶媒を含む。塗布溶媒は特に限定されないが、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール,1−メトキシー2−プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン,シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい塗布溶剤は、1−メトキシー2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル,乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましくは1−メトキシー2−プロパノール,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル,γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン,アニソールである。
本発明の絶縁膜形成用組成物の固形分濃度は、膜厚制御の観点から好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは2〜15質量%であり、特に好ましくは3〜10質量%である。
本発明において、絶縁膜形成用組成物は、通常、上記化合物を溶解するための塗布溶媒を含む。塗布溶媒は特に限定されないが、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール,1−メトキシー2−プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン,シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい塗布溶剤は、1−メトキシー2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル,乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましくは1−メトキシー2−プロパノール,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル,γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン,アニソールである。
本発明の絶縁膜形成用組成物の固形分濃度は、膜厚制御の観点から好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは2〜15質量%であり、特に好ましくは3〜10質量%である。
本発明の膜形成用組成物には不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。膜形成用組成物の金属濃度はICP−MS法にて高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。
膜形成用組成物の金属濃度は本発明の膜形成用組成物を用いて得た膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010cm-2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm-2以下、特に好ましくは10×1010cm-2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10000×1010cm-2以下が好ましく、より好ましくは1000×1010cm-2以下、特に好ましくは400×1010cm-2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010cm-2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm-2以下、特に好ましくは10×1010cm-2以下である。
(C)その他の添加剤
更に、本発明の膜形成用組成物には、得られる絶縁膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、シランカップリング剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
更に、本発明の膜形成用組成物には、得られる絶縁膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、シランカップリング剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明の膜形成用組成物には、いかなるシランカップリング剤を使用してもよいが、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤は、一種類でも良いし、二種類以上でも良い。
本発明の膜形成用組成物には、いかなる密着促進剤を使用してもよいが、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物等を挙げることができる。官能性シランカップリング剤が密着促進剤として好ましい。密着促進剤の好ましい使用量は、全固形分100重量部に対して10重量部以下、特に0.05〜5重量部であることが好ましい。
本発明の膜形成用組成物には、膜の機械強度の許す範囲内で、空孔形成因子を使用して、膜を多孔質化し、低誘電率化を図ることができる。
空孔形成剤となる添加剤としての空孔形成因子としては特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、本発明重合体との相溶性を同時に満たすことが必要である。またこの空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、200〜50000であることが好ましく、より好ましくは300〜10000、特に好ましくは400〜5000である。添加量は膜を形成する重合体に対して、質量%で好ましくは0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1%〜20%である。また、空孔形成因子として、重合体の中に分解性基を含んでいても良く、その分解温度は好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃であると良い。分解性基の含有率は膜を形成する重合体に対して、モル%で0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1〜20%である。
空孔形成剤となる添加剤としての空孔形成因子としては特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、本発明重合体との相溶性を同時に満たすことが必要である。またこの空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、200〜50000であることが好ましく、より好ましくは300〜10000、特に好ましくは400〜5000である。添加量は膜を形成する重合体に対して、質量%で好ましくは0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1%〜20%である。また、空孔形成因子として、重合体の中に分解性基を含んでいても良く、その分解温度は好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃であると良い。分解性基の含有率は膜を形成する重合体に対して、モル%で0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1〜20%である。
(3)絶縁膜の形成方法
本発明の方法における回転塗布あるいはスピンコーティングは、市販の装置を使用できる。例えば,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出,静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後,その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは,ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
本発明の方法における回転塗布あるいはスピンコーティングは、市販の装置を使用できる。例えば,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出,静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後,その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは,ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
本発明において、EBR処理は、塗布液もしくは膜形成組成物を上述したようなスピンコーティング等の方法により膜形成した後、続いて、基板を所定の回転数(例えば300〜2000rpm程度)で回転させながら、本発明のEBR用溶剤を基板表面の塗膜周縁部(例えば、周縁端部から3mm内側の位置)に所定時間(例えば3〜15秒間)吐出することにより行う。このとき、基板裏面にも溶剤を吐出して裏面も併せて洗浄するプロセスを組み合わせることが好ましい。
本発明において、膜の形成方法には加熱処理による硬化プロセスを組み合わせることが特に好ましい。例えば重合体中に残存する炭素三重結合の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行っても良い。また、この後加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存する炭素三重結合の重合反応を起こして硬化させても良い。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
また、加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存する炭素三重結合の重合反応を起こして硬化させても良い。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0〜50keVが好ましく、より好ましくは0〜30keV、特に好ましくは0〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0〜5μC/cm2、より好ましくは0〜2μC/cm2、特に好ましくは0〜1μC/cm2である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm-2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
本発明の製造方法を使用して得られる絶縁膜は、半導体集積回路の配線層に用いられる層間絶縁膜あるいは配線構造形成用絶縁膜に好ましく使用できる。その配線構造において、配線側面にはメタルマイグレーションを防ぐためのバリア層があっても良く、また、配線や層間絶縁膜の上面底面にはCMPでの剥離を防ぐキャップ層、層間密着層の他、エッチングストッパー層等があってもよく、更には層間絶縁膜の層を必要に応じて他種材料で複数層に分けても良い。
本発明の製造方法を使用して得られる絶縁膜は、銅配線あるいはその他の目的でエッチング加工をすることができる。エッチングとしてはウェットエッチング,ドライエッチングのいずれでもよいが,ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングは,アンモニア系プラズマ,フルオロカーボン系プラズマのいずれもが適宜使用できる。これらプラズマにはArだけでなく,酸素,あるいは窒素,水素,ヘリウム等のガスを用いることができる。また,エッチング加工後に,加工に使用したフォトレジスト等を除く目的でアッシングすることもでき,更にはアッシング時の残渣を除くため,洗浄することもできる。
本発明の製造方法を使用して得られる絶縁膜は、銅配線加工後に,銅めっき部を平坦化するためCMP(化学的機械的研磨)をすることができる。CMPスラリー(薬液)としては,市販のスラリー(例えば,フジミ製,ロデールニッタ製,JSR製,日立化成製等)を適宜使用できる。また,CMP装置としては市販の装置(アプライドマテリアル社製,荏原製作所製等)を適宜使用することができる。更にCMP後のスラリー残渣除去のため,洗浄することができる。
本発明を用いて形成される膜は、多様の目的に使用することが出来る。例えばLSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することが出来る。
さらに、別の用途として本発明の膜に電子ドナーまたはアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することも出来る。
さらに、別の用途として本発明の膜に電子ドナーまたはアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することも出来る。
[ハンプ率]
本明細書において、「ハンプ率」とは、基板表面から測定した最も厚い部分の膜厚から平均膜厚を差し引いた値(ハンプ高さとも呼ぶ、h)の平均膜厚(a)に対する割合(%)を意味する(図1参照)。
ハンプ率は小さければ小さいほど好ましいが、特に25%以下であることがCMPプロセス時の膜剥がれ防止の観点から好ましい。より好ましくは15%以下であり、最も好ましくは10%以下である。
ハンプ率の測定のための膜厚の測定は、例えば、触針式膜厚測定器等の公知の膜厚測定機器により行うことができる。
本明細書において、「ハンプ率」とは、基板表面から測定した最も厚い部分の膜厚から平均膜厚を差し引いた値(ハンプ高さとも呼ぶ、h)の平均膜厚(a)に対する割合(%)を意味する(図1参照)。
ハンプ率は小さければ小さいほど好ましいが、特に25%以下であることがCMPプロセス時の膜剥がれ防止の観点から好ましい。より好ましくは15%以下であり、最も好ましくは10%以下である。
ハンプ率の測定のための膜厚の測定は、例えば、触針式膜厚測定器等の公知の膜厚測定機器により行うことができる。
<塗布液作成例1>
Macromolecules.,5266(1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。次に、4,9−ジエチニルジアマンタン2gとジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂製)0.22g、t−ブチルベンゼン10mlを窒素気流下で内温150℃で7時間攪拌、重合した。反応液を室温にした後、イソプロピルアルコール60mlに添加、析出した固体を濾過して、イソプロピルアルコールで十分に洗浄した。質量平均分子量約1.5万の重合体(A)を0.8g得た。同様の合成操作を繰り返して重合体(A)を得て、シクロヘキサノンに対して3wt%になるように混合し、室温24時間の攪拌操作を行って、塗布液1.5Lを作成した。肉眼による観察では固形分の残留は全く見られなかった。三菱化学製キレート樹脂CR−20を塗布液に対して10wt%加えて24時間更に攪拌を行い、残留金属低減処理を行った。最後に、デカンテーションを行って液体成分のみを取り出し、塗布液A−1(絶縁膜形成用組成物)とした。
Macromolecules.,5266(1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。次に、4,9−ジエチニルジアマンタン2gとジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂製)0.22g、t−ブチルベンゼン10mlを窒素気流下で内温150℃で7時間攪拌、重合した。反応液を室温にした後、イソプロピルアルコール60mlに添加、析出した固体を濾過して、イソプロピルアルコールで十分に洗浄した。質量平均分子量約1.5万の重合体(A)を0.8g得た。同様の合成操作を繰り返して重合体(A)を得て、シクロヘキサノンに対して3wt%になるように混合し、室温24時間の攪拌操作を行って、塗布液1.5Lを作成した。肉眼による観察では固形分の残留は全く見られなかった。三菱化学製キレート樹脂CR−20を塗布液に対して10wt%加えて24時間更に攪拌を行い、残留金属低減処理を行った。最後に、デカンテーションを行って液体成分のみを取り出し、塗布液A−1(絶縁膜形成用組成物)とした。
<塗布液作成例2>
4,9−ジエチニルジアマンタンの代わりに1,6−ジエチニルジアマンタンを使用した以外は塗布液作成例1と同じ方法で重合体(B)を0.9g合成した。GPC測定の結果、質量平均分子量は約2万であった。
重合体(B)のシクロヘキサノンへの溶解度は25℃で15質量%以上であった。同様な合成操作を繰り返して重合体Cを得た後、シクロヘキサノンに対して3wt%になるように混合し、室温24時間の攪拌操作を行って塗布液1.5Lを作成した。肉眼による観察では固形分の残留は全く見られなかった。三菱化学製キレート樹脂CR−20を塗布液に対して10wt%加えて24時間更に攪拌を行い、残留金属低減処理を行った。最後に、デカンテーションを行って液体成分のみを取り出し、塗布液A−2(絶縁膜形成用組成物)とした。
4,9−ジエチニルジアマンタンの代わりに1,6−ジエチニルジアマンタンを使用した以外は塗布液作成例1と同じ方法で重合体(B)を0.9g合成した。GPC測定の結果、質量平均分子量は約2万であった。
重合体(B)のシクロヘキサノンへの溶解度は25℃で15質量%以上であった。同様な合成操作を繰り返して重合体Cを得た後、シクロヘキサノンに対して3wt%になるように混合し、室温24時間の攪拌操作を行って塗布液1.5Lを作成した。肉眼による観察では固形分の残留は全く見られなかった。三菱化学製キレート樹脂CR−20を塗布液に対して10wt%加えて24時間更に攪拌を行い、残留金属低減処理を行った。最後に、デカンテーションを行って液体成分のみを取り出し、塗布液A−2(絶縁膜形成用組成物)とした。
<EBR溶剤作成例1>
関東科学製ELグレードシクロヘキサノン2Lに対し、界面活性剤としてゲレスト製ジメチルシロキサン-エチレンオキサイドポリマーDBE224を1000ppmの濃度になるように添加した。24時間、室温での攪拌操作後、更に三菱化学製キレート樹脂CR-20を10wt%添加して24時間、室温での攪拌を行い、残留金属低減処理を実施した。デカンテーションを行って液体成分を取り出し、孔径0.1μmのPTFE製フィルター用いてろ過操作を実施して、EBR用溶剤B−1とした。本EBR用溶剤の表面張力を、協和界面科学製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定したところ、27mN/mであった。
関東科学製ELグレードシクロヘキサノン2Lに対し、界面活性剤としてゲレスト製ジメチルシロキサン-エチレンオキサイドポリマーDBE224を1000ppmの濃度になるように添加した。24時間、室温での攪拌操作後、更に三菱化学製キレート樹脂CR-20を10wt%添加して24時間、室温での攪拌を行い、残留金属低減処理を実施した。デカンテーションを行って液体成分を取り出し、孔径0.1μmのPTFE製フィルター用いてろ過操作を実施して、EBR用溶剤B−1とした。本EBR用溶剤の表面張力を、協和界面科学製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定したところ、27mN/mであった。
<EBR溶剤作成例2>
関東科学製ELグレードシクロヘキサノン2Lに対し、界面活性剤としてゲレスト製ジメチルシロキサン-エチレンオキサイドポリマーDBE621を1000ppmの濃度になるように添加した。24時間、室温での攪拌操作後、更に三菱化学製キレート樹脂CR-20を10wt%添加して24時間、室温での攪拌を行い、残留金属低減処理を実施した。デカンテーションを行って液体成分を取り出し、孔径0.1μmのPTFE製フィルターを用いてろ過操作を実施して、EBR用溶剤B−2とした。本EBR用溶剤の表面張力を、協和界面科学製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定したところ、29mN/mであった。
関東科学製ELグレードシクロヘキサノン2Lに対し、界面活性剤としてゲレスト製ジメチルシロキサン-エチレンオキサイドポリマーDBE621を1000ppmの濃度になるように添加した。24時間、室温での攪拌操作後、更に三菱化学製キレート樹脂CR-20を10wt%添加して24時間、室温での攪拌を行い、残留金属低減処理を実施した。デカンテーションを行って液体成分を取り出し、孔径0.1μmのPTFE製フィルターを用いてろ過操作を実施して、EBR用溶剤B−2とした。本EBR用溶剤の表面張力を、協和界面科学製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定したところ、29mN/mであった。
<実施例1>
東京エレクトロン製ACT8SOD内のSCTユニット(SOD用スピンコートユニット)内を温度23℃、湿度45%にセットし、塗布液A−1をPTFE製0.1μmフィルターをセットした窒素加圧(0.05MPa)ラインにセットし、シリコンウェハー上にスピンコートした。連続してEBR溶剤用ライン(ただしラインのフィルターは使用せず)にセットしたEBR用溶剤B−1を用いて、500rpm5秒間のEBRプロセスを実施した。この塗膜をACT8SOD内のホットプレート(LHP)で110℃60秒間加熱し、連続して低酸素濃度ホットプレート(DLB)内で200℃60秒間の加熱を行ったところ、膜厚約100nmのブツのない均一な膜が得られた。この膜についてKLAテンコール製P−15にてEBR形状を評価したところ、0%のハンプ率であった。また、光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、周縁部にはブツもしくは形状異常は全く認められなかった(図2)。
東京エレクトロン製ACT8SOD内のSCTユニット(SOD用スピンコートユニット)内を温度23℃、湿度45%にセットし、塗布液A−1をPTFE製0.1μmフィルターをセットした窒素加圧(0.05MPa)ラインにセットし、シリコンウェハー上にスピンコートした。連続してEBR溶剤用ライン(ただしラインのフィルターは使用せず)にセットしたEBR用溶剤B−1を用いて、500rpm5秒間のEBRプロセスを実施した。この塗膜をACT8SOD内のホットプレート(LHP)で110℃60秒間加熱し、連続して低酸素濃度ホットプレート(DLB)内で200℃60秒間の加熱を行ったところ、膜厚約100nmのブツのない均一な膜が得られた。この膜についてKLAテンコール製P−15にてEBR形状を評価したところ、0%のハンプ率であった。また、光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、周縁部にはブツもしくは形状異常は全く認められなかった(図2)。
<実施例2>
東京エレクトロン製ACT8SOD内のSCTユニット(SOD用スピンコートユニット)内を温度23℃、湿度45%にセットし、塗布液A−2をPTFE製0.1μmフィルターをセットした窒素加圧(0.05MPa)ラインにセットし、シリコンウェハー上にスピンコートした、連続してEBR溶剤用ライン(ただしラインのフィルターは使用せず)にセットしたEBR用溶剤B−2を用いて、650rpm12秒間のEBRプロセスを実施した。この塗膜をACT8SOD内のホットプレート(LHP)で110℃60秒間加熱し、連続して低酸素濃度ホットプレート(DLB)内で200℃60秒間の加熱を行ったところ、膜厚約100nmのブツのない均一な膜が得られた。この膜についてKLAテンコール製P−15にてEBR形状を評価したところ、約8%のハンプ率であった。また、光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、周縁部にはブツもしくは形状異常は全く認められなかった。
東京エレクトロン製ACT8SOD内のSCTユニット(SOD用スピンコートユニット)内を温度23℃、湿度45%にセットし、塗布液A−2をPTFE製0.1μmフィルターをセットした窒素加圧(0.05MPa)ラインにセットし、シリコンウェハー上にスピンコートした、連続してEBR溶剤用ライン(ただしラインのフィルターは使用せず)にセットしたEBR用溶剤B−2を用いて、650rpm12秒間のEBRプロセスを実施した。この塗膜をACT8SOD内のホットプレート(LHP)で110℃60秒間加熱し、連続して低酸素濃度ホットプレート(DLB)内で200℃60秒間の加熱を行ったところ、膜厚約100nmのブツのない均一な膜が得られた。この膜についてKLAテンコール製P−15にてEBR形状を評価したところ、約8%のハンプ率であった。また、光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、周縁部にはブツもしくは形状異常は全く認められなかった。
<比較例1>
EBR用溶剤をB−1から、表面張力が33.5mN/mであるシクロヘキサノンに変更した点以外は実施例1と同様に評価したところ、EBR形状(ハンプ率)の測定を正常に行うことができなかった(測定箇所によってハンプ率が変化した)。光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、周縁部にブツあるいは涙型の異常が確認された(図3)。
EBR用溶剤をB−1から、表面張力が33.5mN/mであるシクロヘキサノンに変更した点以外は実施例1と同様に評価したところ、EBR形状(ハンプ率)の測定を正常に行うことができなかった(測定箇所によってハンプ率が変化した)。光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、周縁部にブツあるいは涙型の異常が確認された(図3)。
<比較例2>
EBR用溶剤をB−1から、表面張力が26mN/mである2−ヘプタノンに変更した点以外は実施例1と同様に評価したところ、EBR形状(ハンプ率)の測定を正常に行うことができなかった。光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、周縁部が所望の位置よりも内側まで塗布膜が侵食されていることが観察された。EBR用溶剤の溶解性が良すぎたためであると結論した。
EBR用溶剤をB−1から、表面張力が26mN/mである2−ヘプタノンに変更した点以外は実施例1と同様に評価したところ、EBR形状(ハンプ率)の測定を正常に行うことができなかった。光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、周縁部が所望の位置よりも内側まで塗布膜が侵食されていることが観察された。EBR用溶剤の溶解性が良すぎたためであると結論した。
<比較例3>
EBR用溶剤B−1の作成に関し、DBE−224を非Si系界面活性剤である日信化学工業株式会社製サーフィノール420に変えた以外は同様に作成したところ表面張力は33.5mN/mであった。実施例1と同様に評価したところ、EBR形状(ハンプ率)の測定を正常に行うことができなかった。光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、図3と同様な形状異常が認められた。
EBR用溶剤B−1の作成に関し、DBE−224を非Si系界面活性剤である日信化学工業株式会社製サーフィノール420に変えた以外は同様に作成したところ表面張力は33.5mN/mであった。実施例1と同様に評価したところ、EBR形状(ハンプ率)の測定を正常に行うことができなかった。光学顕微鏡にてエッジ部分を膜上方から倍率500倍にて観察したところ、図3と同様な形状異常が認められた。
Claims (8)
- 絶縁膜形成用組成物を回転塗布により基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及び
シリコン系界面活性剤を含む表面張力が30mN/m以下の溶剤を用いて、前記塗布膜のエッジビードリムービング処理を行う工程、
を含む絶縁膜の製造方法。 - 該溶剤が、0.1μm以下の孔径を有するフィルターによるろ過処理を行った溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 該溶剤が、イオン交換フィルターまたはイオン交換樹脂による金属低減処理を行った溶剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 絶縁膜形成用組成物が、カゴ型構造基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- カゴ型構造基を有する化合物が、カゴ型構造基を有するモノマーの重合体であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
- カゴ型構造基が、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、及びテトラマンタンからなる群より選択される化合物から誘導される基であることを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
- 絶縁膜が、配線構造形成用絶縁膜であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法を用いて形成された絶縁膜を有する電子デバイス。
Priority Applications (1)
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JP2007079253A JP2008243945A (ja) | 2007-03-26 | 2007-03-26 | 絶縁膜及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2402818A1 (en) | 2010-06-30 | 2012-01-04 | FUJIFILM Corporation | Photosensitive composition, pattern forming material, and photosensitive film, pattern forming method, pattern film, low refractive index film, optical device and solid-state imaging device each using the same |
WO2014168217A1 (ja) | 2013-04-12 | 2014-10-16 | 富士フイルム株式会社 | 遠赤外線遮光層形成用組成物 |
KR20210045415A (ko) | 2018-08-21 | 2021-04-26 | 제이에스알 가부시끼가이샤 | 감광성 수지 조성물, 레지스트 패턴의 형성 방법, 도금 조형물의 제조 방법 및 반도체 장치 |
JP2022105080A (ja) * | 2016-08-12 | 2022-07-12 | インプリア・コーポレイション | 金属含有レジストからのエッジビード領域における金属残留物を低減する方法 |
-
2007
- 2007-03-26 JP JP2007079253A patent/JP2008243945A/ja active Pending
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