JP2010210768A - 耐熱ラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】機械、電気・電子部品、食品などの産業分野に使用される耐熱ラベルにおいて、高温処理時の耐久性を一層高めて剥がれを防止する。
【解決手段】耐熱ラベル1は、流動開始温度が250℃以上で、かつ溶媒可溶性の液晶ポリエステルから形成される液晶ポリエステルフィルム2を有している。液晶ポリエステルフィルム2の表面にはバーコード4が印刷されている。液晶ポリエステルフィルム2の裏面には、粘着層3を介して保護フィルム5が剥離しうるように積層されている。液晶ポリエステルフィルム2を溶媒キャスト法によって形成することにより、液晶ポリエステル自身の配向異方性を低減することができる。そのため、比較的高温での処理においても、液晶ポリエステルフィルム2の耐久性を一層高めて剥がれを防止することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性に優れたラベル、すなわち耐熱ラベルに関するものである。
機械、電気・電子部品、食品などの産業分野においては、主に製造時における工程管理を目的として、バーコードが印刷されたラベルを生産物またはその包装材に貼り付けて用いることがある。
ところが、生産物の用途によっては、その製造工程で、生産物や包装材にラベルが貼り付けられた状態で生産物が高温条件下に置かれて所定の処理が施される場合がある。この場合、生産物の処理に伴ってラベルにも熱エネルギーが与えられるので、当該ラベルを構成する材料にも高耐熱性が求められる。
このような高耐熱性のラベルとして、例えば特許文献1には、押出成形法で液晶ポリエステル製のフィルム、つまり液晶ポリエステルフィルムを形成し、この液晶ポリエステルフィルムを用いて耐熱ラベルを製造する技術が提案されている。
特開2004−13054号公報(段落〔0062〕〔0095〕の欄)
しかしながら、特許文献1で提案されている耐熱ラベルにおいては、生産物の高温処理に対して十分な耐熱性を有するものの、耐熱ラベルが部分的に剥がれたり、曲面状に反ったりすることがあった。このように剥がれや反りが発生した耐熱ラベルでは、バーコードに盛り込まれた情報を正確に読み取れなくなる恐れがある。したがって、かかる点に改善の余地があった。
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、高温処理時の剥がれや曲面状の反りの発生に起因する情報の誤読を回避することが可能な耐熱ラベルを提供することを目的とする。
本発明者は、従来の耐熱ラベルに使用されていた液晶ポリエステルフィルムが押出成形で形成されたものであり、成形時の押出方向と、これに直交する方向とで熱収縮性(熱収縮率)が大きく異なる点に着目し、この熱収縮率の差を小さくするため検討を重ねてきた。その結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の発明は、流動開始温度が250℃以上で、かつ溶媒可溶性の液晶ポリエステルから形成される液晶ポリエステルフィルムを有する耐熱ラベルとしたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記液晶ポリエステルが、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が35〜10モル%、式(3)で示される構造単位が35〜10モル%の液晶ポリエステルであることを特徴とする。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−X−Ar3 −Y−
(式中、Ar1 は、フェニレンまたはナフチレンを表し、Ar2 は、フェニレン、ナフチレンまたは下記式(4)で表される基を表し、Ar3 はフェニレンまたは下記式(4)で表される基を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、OまたはNHを表す。なお、Ar1 、Ar2 およびAr3 の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Zは、O、COまたはSO2 を表す。)
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記式(3)で示される構造単位のXおよびYの少なくとも一方がNHであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記液晶ポリエステルフィルムが、無機繊維および/または有機繊維からなるシートに、前記液晶ポリエステルを溶媒に溶解した溶液組成物を含浸させて製造されたものであることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記液晶ポリエステルフィルムの裏面に粘着層が積層されていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記粘着層の裏面に保護フィルムが当該粘着層から剥離しうるように積層されていることを特徴とする。
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の構成に加え、前記液晶ポリエステルフィルムの表面に符号が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、液晶ポリエステルフィルムが、熱収縮率の小さい液晶ポリエステルから形成されているため、耐熱ラベルの高温処理時の剥がれを防止することができる。これに加えて、液晶ポリエステルフィルムを溶媒キャスト法によって形成することにより、液晶ポリエステル自身の配向異方性を低減することが可能となるため、耐熱ラベルの曲面状の反りに起因する情報の誤読を回避することができる。
本発明の実施の形態1に係る耐熱ラベルを示す図であって、(a)はその平面図、(b)は(a)のB−B線による拡大断面図である。 生産物の工程管理の手順を示す工程図であって、(a)はラベル貼付工程を示す図、(b)は高温処理工程を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る耐熱ラベルを示す図であって、(a)はその平面図、(b)は(a)のB−B線による拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1および図2には、本発明の実施の形態1を示す。
まず、実施の形態1に係る耐熱ラベル1の構成について説明する。
この耐熱ラベル1は、図1に示すように、液晶ポリエステルフィルム2、粘着層3および保護フィルム5からなる3層構造を備えており、全体的に可撓性を有している。
すなわち、耐熱ラベル1は、図1に示すように、所定の厚さT1(例えば、T1=10〜300μm)のシート状の液晶ポリエステルフィルム2を有している。液晶ポリエステルフィルム2の表面(図1(b)上面)には、図1(a)に示すように、工程管理用のバーコード4が印刷されている。一方、液晶ポリエステルフィルム2の裏面(図1(b)下面)には、その全面にわたって、所定の厚さT2(例えば、T2=5〜100μm)の粘着層3が積層されている。また、粘着層3の裏面(図1(b)下面)には、その全面にわたって、所定の厚さT3(例えば、T3=20〜150μm)の保護フィルム5が、図1(b)に一点鎖線で示すように、粘着層3から剥離しうるように積層されている。この保護フィルム5としては、例えば剥離紙などを用いることができる。
ところで、液晶ポリエステルフィルム2は、特定の液晶ポリエステルから形成されており、この液晶ポリエステルは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するという特性を備えたポリエステルである。この液晶ポリエステルとしては、下記式(1)で表される構造単位(以下、「式(1)構造単位」という)と、下記式(2)で表される構造単位(以下、「式(2)構造単位」という)と、下記式(3)で表される構造単位(以下、「式(3)構造単位」という)とを有し、全構造単位の合計に対して、式(1)構造単位が30〜80モル%、式(2)構造単位が35〜10モル%、式(3)構造単位が35〜10%であるものが好ましい。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−X−Ar3 −Y−
(式中、Ar1 は、フェニレンまたはナフチレンを表し、Ar2 は、フェニレン、ナフチレンまたは下記式(4)で表される基を表し、Ar3 はフェニレンまたは下記式(4)で表される基を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、OまたはNHを表す。なお、Ar1 、Ar2 およびAr3 の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Zは、O、COまたはSO2 を表す。)
なお、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar11およびAr12において、フェニレンはすべての異性体(o−フェニレン、m−フェニレン、p−フェニレン)を含むが、入手容易性の観点からは、p−フェニレンが最も好適である。Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar11およびAr12において、ナフチレンはすべての異性体を含む。
ここで、式(1)構造単位は、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位であり、この芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸などを挙げることができる。この式(1)構造単位は、全構造単位の合計に対して、30〜80モル%の範囲であり、35〜50モル%の範囲であると一層好ましい。このようなモル分率で式(1)構造単位を含む液晶ポリエステルは、液晶性を十分維持しながらも、溶媒に対する溶解性が一層優れる傾向にある。さらに、式(1)構造単位を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸および/または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸が容易に入手できるという点で好ましい。
また、式(2)構造単位は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位であり、この芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ−テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニルケトン−4,4'−ジカルボン酸などを挙げることができる。この式(2)構造単位は、全構造単位の合計に対して、35〜10モル%の範囲であり、33〜25モル%の範囲であると一層好ましい。このようなモル分率で式(2)構造単位を含む液晶ポリエステルは、液晶性を十分維持しながらも、溶媒に対する溶解性が一層優れる傾向にある。式(2)構造単位を誘導する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくも1種が容易に入手できるという点で好ましく、イソフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸が一層好ましい。
さらに、式(3)構造単位は、芳香族ジオール、フェノール性ヒドロキシル基(フェノール性水酸基)を有する芳香族アミンまたは芳香族ジアミンに由来する構造単位である。この芳香族ジオールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等を挙げることができる。また、このフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アミンとしては、p−アミノフェノール、3−アミノフェノール等が挙げられ、この芳香族ジアミンとしては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン等が挙げられる。
なお、液晶エステルの液晶性を一層高めるためには、式(2)構造単位と式(3)構造単位とのモル分率は、[式(2)構造単位]/[式(3)構造単位]で表して、0.9/1.0〜1.0/0.9の範囲が好適である。
本発明に用いる液晶ポリエステルは、流動開始温度が250℃以上であり、かつ溶媒可溶性を有している。かかる溶媒可溶性とは、温度50℃において、1質量%以上の濃度で溶媒(溶剤)に溶解することを意味する。この場合の溶媒とは、液晶ポリエステルフィルム2を製造する際に使用する溶液組成物の調製に用いる好適な溶媒のいずれか1種であり、詳細は後述する。
このような溶媒可溶性を有する液晶ポリエステルとしては、式(3)構造単位として、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アミンおよび/または芳香族ジアミンに由来する構造単位を含むものが好ましい。すなわち、式(3)で表される構造単位として、XおよびYの少なくとも一方がNHである構造単位を含むと好ましく、実質的に全ての式(3)構造単位が、以下の式(3’)で表される構造単位(以下、「式(3’)構造単位」という)であることが一層好ましい。
(3’)−X−Ar3 −NH−
(式中、Ar3 およびXは、式(3)と同義である。)
式(3’)構造単位は、全構造単位の合計に対して、35〜10モル%含むと好ましく、33〜25モル%の範囲で含むと一層好ましく、こうすることにより、溶媒可溶性は一層良好になる。このように、式(3’)構造単位を式(3)構造単位として有する液晶ポリエステルは、溶媒に対する溶解性が優れており、溶液組成物を用いた液晶ポリエステルフィルム2の製造が一層容易になる。
次に、液晶ポリエステルの製造方法について簡単に説明する。
本発明に用いる液晶ポリエステルは、種々公知の方法により製造可能である。好適な液晶ポリエステルである、式(1)構造単位、式(2)構造単位および式(3)構造単位からなる液晶ポリエステルを製造する場合、これら構造単位を誘導するモノマーをエステル形成性・アミド形成性誘導体に転換した後、重合させて液晶ポリエステルを製造する方法が、操作が簡便であるため好ましい。
前記エステル形成性・アミド形成性誘導体について、例を挙げて説明する。
芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族ジカルボン酸のような、カルボキシル基を有するモノマーのエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、当該カルボキシル基が、ポリエステルやポリアミドを生成する反応を促進するように、酸塩化物、酸無水物などの反応活性の高い基になっているものや、当該カルボキシル基が、エステル交換・アミド交換反応によりポリエステルやポリアミドを生成するように、アルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているもの等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族ジオール等のような、フェノール性ヒドロキシル基を有するモノマーのエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、エステル交換反応によりポリエステルやポリアミドを生成するように、フェノール性ヒドロキシル基がカルボン酸類とエステルを形成しているもの等が挙げられる。
また、芳香族ジアミンのように、アミノ基を有するモノマーのアミド形成性誘導体としては、例えば、アミド交換反応によりポリアミドを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とアミドを形成しているもの等が挙げられる。
これらの中でも、液晶ポリエステルを一層簡便に製造する上では、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジオール、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アミン、芳香族ジアミンといったフェノール性ヒドロキシル基および/またはアミノ基を有するモノマーとを脂肪酸無水物でアシル化してエステル形成性・アミド形成性誘導体(アシル化物)とした後、このアシル化物のアシル基と、カルボキシ基を有するモノマーのカルボキシ基とがエステル交換・アミド交換を生じるようにして重合させ、液晶ポリエステルを製造する方法が特に好ましい。
このような液晶ポリエステルの製造方法は、例えば、特開2002−220444号公報または特開2002−146003号公報に記載されている。
アシル化においては、フェノール性ヒドロキシル基とアミノ基との合計に対して、脂肪酸無水物の使用量が1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、1.05〜1.1倍当量であると一層好ましい。脂肪酸無水物の使用量が1.0倍当量未満では、重合時にアシル化物や原料モノマーが昇華して易くなるという不都合が生じ易い傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。このように着色が著しい液晶ポリエステルでは、得られる耐熱ラベルに印刷されたバーコードなどの読み取りが困難になる場合がある。
アシル化は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることが一層好ましい。
アシル化に使用される脂肪酸無水物は、価格と取扱性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸またはこれらから選ばれる2種以上の混合物が好ましく、特に好ましくは無水酢酸である。
アシル化に続く重合は、130℃から400℃まで0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行うことが好ましく、150℃から350℃まで0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行うことが一層好ましい。
また、重合においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
アシル化および/または重合の際には、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸や未反応の脂肪酸無水物は蒸発させる等して系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化や重合においては触媒の存在下に行ってもよい。この触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することが可能であり、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の有機化合物触媒を挙げることができる。
ただし、金属を含む触媒は不純物として液晶ポリエステルフィルム2に残存した場合、耐熱ラベルを電子部品の保護フィルムとして使用したとき、当該電子部品を汚染するおそれがある。したがって、前述した触媒の中でも、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003号公報参照)。
この触媒は、通常モノマーの投入時に一緒に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、この触媒を除去しない場合には、アシル化からそのまま重合に移行することができる。
このような重合で得られた液晶ポリエステルは、その流動開始温度が250℃以上であれば、そのまま液晶ポリエステルフィルム2の製造用として用いることができる。しかし、耐熱性や液晶性という特性の更なる向上のためには、さらに高分子量化させることが好ましく、このような高分子量化には固相重合を行うことが好ましい。この固相重合に係る一連の操作を説明する。上述の重合で得られた、比較的低分子量の液晶ポリエステル(以下、場合により「プレポリマー」という)を取り出し、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にする。続いて、粉砕後のプレポリマーを、例えば、窒素などの不活性ガスの雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で加熱処理するという操作により、固相重合は実施できる。この固相重合は、撹拌しながら行ってもよく、撹拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお、流動開始温度200℃程度のプレポリマーを用いた場合、その流動開始温度を250℃以上にするための固相重合の好適条件を詳述する。反応温度としては、210℃を越えることが好ましく、一層好ましくは220℃〜350℃の範囲である。反応時間は1〜10時間から選択されることが好ましい。なお、本発明でいう流動開始温度とは、フローテスターによる溶融粘度の評価において、9.8MPaの圧力下で液晶ポリエステルの溶融粘度が4800Pa・s以下になる温度をいう。なお、この流動開始温度とは、液晶ポリエステルの分子量の目安として当業者には周知のものである(例えば、小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、第95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。
既述したように、本発明に用いる液晶ポリエステルの流動開始温度は250℃以上であることが必要である。このような流動開始温度の液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステルフィルム2、特に、このような流動開始温度の液晶ポリエステルからなる液晶ポリエステルフィルム2を有する耐熱ラベルは、耐熱性が十分であり、さらに低熱膨張率の耐熱ラベルを実現できる。この観点から、この流動開始温度は260℃以上であるとさらに好ましい。また、この流動開始温度の上限は、液晶ポリエステルが溶媒可溶性を維持できる範囲で決定されるが、330℃以下であることが好ましい。流動開始温度が330℃以下であれば、液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が一層良好になることに加え、後述する溶液組成物を得たとき、その粘度が著しく大にならないので、この溶液組成物の取扱性が良好となる傾向がある。このような流動開始温度の液晶ポリエステルを得るには、前記固相重合の重合条件を適宜最適化すればよい。
本発明に用いる液晶ポリエステルフィルム2は、前記液晶ポリエステルを溶媒に溶解した溶液組成物を用い、この溶液組成物をキャスト製膜することで製造された液晶ポリエステルフィルム2が好ましい。
前記溶液組成物の調製に使用する溶媒は、液晶ポリエステルを溶解可能なものから選択されるが、上述した好適な液晶ポリエステル、特に式(3’)構造単位を含む液晶ポリエステルを用いた場合、この液晶ポリエステルはハロゲン原子を含まない非プロトン性溶媒に対して十分な溶解性を発現するので、このような非プロトン性溶媒の使用が好適である。
ハロゲン原子を含まない非プロトン性溶媒とは、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;トリエチルアミン、ピリジン等のアミン系溶媒;アセトニトリル、サクシノニトリル等のニトリル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄系溶媒、ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸などのリン系溶媒が挙げられる。なお、上述の液晶ポリエステルの溶媒可溶性とは、これらから選ばれる少なくとも1つの非プロトン性溶媒に可溶であることを指すものである。
液晶ポリエステルの溶媒可溶性をより一層良好にして、溶液組成物が得られやすくするためには、例示した溶媒の中でも、双極子モーメントが3以上5以下の非プロトン性極性溶媒を用いることが好ましい。中でも、アミド系溶媒、ラクトン系溶媒が好ましく、N,N'−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N'−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が一層好ましい。さらに、前記溶媒が、1気圧における沸点が180℃以下の揮発性の高い溶媒であると、後述する成形体の製造が一層容易になるので好ましく、このような点からは、DMF、DMAcを用いることが特に好ましい。
前記溶液組成物には、得られる液晶ポリエステルフィルム2が、表面平滑性や耐熱性を著しく損なわないのであれば、添加剤を含有させることができる。この場合の添加剤としては、各種の無機粉体や樹脂、分散剤、カップリング剤、滑剤、酸化防止剤等が挙げられる。
前記無機粉体としては具体的には、例えばアルミナ、シリカ等の小径粒状物質、雲母、粘度鉱物などの板状・鱗片状物質、ホウ酸アルミ、チタン酸カリウム等の短繊維状またはウイスカー状物質等が挙げられる。
前記樹脂としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテルおよびその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンの共重合体に代表されるエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂等が挙げられ、これらは一種だけでなく、二種以上が添加されていてもよい。ただし、このような樹脂は液晶ポリエステルフィルム2の耐熱性を著しく損なわないようにして、種類およびその使用量を選択することが重要である。
液晶ポリエステルフィルム2の製造に用いる溶液組成物は、液晶ポリエステルと溶媒、必要に応じて添加される添加剤を混合することで調製することができる。ただし、その混合順は限定されるものではない。
まず、適当な加温装置および攪拌装置を備えた混合機に、液晶ポリエステルと溶媒とを投入し、この溶媒にこの液晶ポリエステルを十分溶解させる。この溶解における温度条件は、室温から使用した溶媒の沸点までの範囲とすることができるが、50℃以上溶媒の沸点以下の温度範囲から選択されることが好ましい。また、溶解時間は、0.1〜10時間程度から選択される。また、この溶解の際には、液晶ポリエステルの酸化劣化を良好に防止する点から、窒素ガス等の不活性ガスにより、混合機内を十分置換しておくことが好ましい。
また、添加剤を使用する場合には、前記溶液組成物に対し、さらに、この添加剤を混合すればよい。なお、添加剤として無機粉体等、溶液組成物に不溶のものを使用する際には、当該無機粉体などを十分に分散させるために、プラネタリーミキサーやビーズミル、ボールミル、超音波分散機、三本ロール分散機などを使用すればよい。また、このようにして得られた溶液組成物に対し、さらに脱泡処理を行ってもよい。
前記溶液組成物において、溶媒として好適な非プロトン性溶媒を用いた場合、この非プロトン性溶媒100質量部に対して、液晶ポリエステルが3〜50質量部、好ましくは5〜40質量部とすることが好ましい。このような配合割合であれば、この非プロトン性溶媒にこの液晶ポリエステルを十分溶解することができる。また、このようにして得られる溶液組成物からキャスト製膜して液晶ポリエステルフィルム2を得ると、得られたフィルムに厚さムラ等が生じるといった不都合も起こり難い傾向がある。
次に、本発明に用いる液晶ポリエステルフィルム2の製造方法として好適なキャスト製膜について説明する。
まず、適当な支持基材を準備する。かかる支持基材は、使用する溶液組成物に対して十分な耐久性を有し、表面平滑性に優れたものが好ましい。このような支持基材としては、銅箔、SUS箔またはガラス板等が使用可能である。特に銅箔は、この銅箔上に液晶ポリエステルフィルム2を形成した後、エッチング等により銅箔を溶解除去して液晶ポリエステルフィルム2を得やすいという利点がある。
その後、準備した支持基材上に前記溶液組成物を塗工する。この塗工には、ローラーコート法、ディップコート法、バーコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が適用できる。このよう方法により、前記溶液組成物を塗工して、支持基材上に液晶ポリエステルフィルム2の前駆体フィルムが形成される。
次いで、前記支持基材上に形成した前駆体フィルムから、この前駆体フィルムに残存している非プロトン性溶媒などの揮発成分を除去する。揮発成分の除去には、加熱、減圧、通風またはこれらを組み合わせた方法が採用できるが、中でも生産効率、取扱性の点から、加熱して揮発成分を蒸発除去することが好ましく、通風しつつ加熱することが一層好ましい。加熱によって揮発成分を除去する場合、温度80〜200℃において10〜120分間ほど保持すればよい。
揮発成分を除去して得られるフィルムは、液晶ポリエステルの特性をさらに向上させるために、さらに高温下で加熱処理することが好ましい。この場合の加熱処理としては、温度250〜350℃において30〜180分間保持すればよい。なお、かかる加熱処理は窒素などの不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
このような加熱処理を行った後、支持基材を剥離するか、または溶解除去することによって、液晶ポリエステルフィルム2が得られる。
なお、粘着層3としては、例えば、アクリル系(主に、エマルジョン型、ソルベント型)、シリコーン系(主に、ソルベント型)、ゴム系(主に、エマルジョン型、ソルベント型、ホットメルト型)など汎用の粘着剤から構成されたものを用いることができる。また、粘着層3は、通常、かかる粘着剤を熱溶融型接着層に塗布することによって形成される。塗布は、熱溶融型接着層の全面であってもその一部であってもよい。その方法は特に制限はなく、周知の塗布方法で塗布することができる、具体的には、例えば、ソルベント型の粘着剤を塗布する場合については、ナイフコーターやリバースコーターを用いて離型紙側に粘着剤を塗布し、乾燥後、離型紙を調湿してから、熱溶融型接着層に貼り合わせるなどの方法が好ましく用いられる。
耐熱ラベル1は以上のような構成を有するので、この耐熱ラベル1を用いて生産物の高温処理における工程管理を行う際には、次の手順による。
まず、予め、ラベル貼付工程で、図2(a)に示すように、生産物6の所定位置に耐熱ラベル1の液晶ポリエステルフィルム2を貼り付ける。それには、ラベル貼付装置(図示せず)を用いて、耐熱ラベル1の保護フィルム5を粘着層3から剥離して除去し、液晶ポリエステルフィルム2を粘着層3ごと生産物6の所定位置に押し当てる。すると、液晶ポリエステルフィルム2が粘着層3を介して生産物6に貼り付けられた状態となる。
こうして生産物6の所定位置に耐熱ラベル1の液晶ポリエステルフィルム2が貼り付けられたところで、高温処理工程に移行し、図2(b)に示すように、生産物6を熱源7の下に置いて所定の高温処理を施すとともに、生産物6の工程管理を行う。
このとき、生産物6上の液晶ポリエステルフィルム2にも熱源7から熱が照射される。しかし、この液晶ポリエステルフィルム2を形成する液晶ポリエステルは、熱収縮率が小さいという特性を有しているので、液晶ポリエステルフィルム2が熱収縮して生産物6から剥がれてしまう恐れはない。
しかも、この液晶ポリエステルは、溶媒可溶性を有しているため、液晶ポリエステルフィルム2を溶媒キャスト法によって形成することにより、液晶ポリエステル自身の配向異方性を低減することができる。そのため、比較的高温での処理においても、液晶ポリエステルフィルム2が特定方向に沿って部分的に剥がれて曲面状に反る事態を未然に阻止することが可能となる。したがって、液晶ポリエステルフィルム2上のバーコード4に盛り込まれた情報を正確に読み取ることができる。
また、耐熱ラベル1は、生産物6の高温処理に伴い、粘着層3が熱膨張または熱収縮する恐れがある。しかし、液晶ポリエステルフィルム2を形成する液晶ポリエステルは、流動開始温度が250℃以上であるため、液晶ポリエステルフィルム2が粘着層3より薄くても、粘着層3の熱膨張または熱収縮に抗して液晶ポリエステルフィルム2の形状を保持するだけの強度を発現する。したがって、たとえ粘着層3が熱膨張または熱収縮したとしても、液晶ポリエステルフィルム2が生産物6から剥がれる事態を未然に回避することができる。
さらに、耐熱ラベル1の液晶ポリエステルフィルム2は、上述したとおり、液晶ポリエステルの流動開始温度が250℃以上であるため、フィルムとして要求される物性(操作性、ハンドリング性など)を十分に満たすことができる。
ここで、生産物6の高温処理における工程管理が終了する。
[発明の実施の形態2]
図3には、本発明の実施の形態2を示す。
この実施の形態2に係る耐熱ラベル1は、図3に示すように、液晶ポリエステルフィルム2の表面(図3(b)上面)に、バーコード4に加えてマトリックス型の二次元コード8が印刷されているとともに、粘着層3の裏面(図3(b)下面)の保護フィルム5が省かれているため、液晶ポリエステルフィルム2および粘着層3からなる2層構造となっている点を除き、上述した実施の形態1と同じ構成を有している。
したがって、この耐熱ラベル1では、上述した実施の形態1と同じ作用効果を奏する。これに加えて、この耐熱ラベル1では、液晶ポリエステルフィルム2の表面にバーコード4のみならず二次元コード8が印刷されているので、これらのバーコード4および二次元コード8を利用して多くの情報を盛り込むことができる。その結果、生産物6の複雑な工程管理にも対応可能となる。また、この耐熱ラベル1は、液晶ポリエステルフィルム2および粘着層3からなる2層構造となっているので、保護フィルム5が不要となる分だけ、耐熱ラベル1の材料コストおよび製造コストを削減することができる。
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、液晶ポリエステルフィルム2、粘着層3および保護フィルム5からなる3層構造の耐熱ラベル1について説明し、上述した実施の形態2では、液晶ポリエステルフィルム2および粘着層3からなる2層構造の耐熱ラベル1について説明した。しかし、耐熱ラベル1を貼り付ける生産物6の性状その他の状況によっては、液晶ポリエステルフィルム2のみの1層構造とすることも可能である。
また、上述した実施の形態1では、液晶ポリエステルフィルム2の表面にバーコード4が印刷された耐熱ラベル1について説明し、上述した実施の形態2では、液晶ポリエステルフィルム2の表面にバーコード4およびマトリックス型の二次元コード8が印刷された耐熱ラベル1について説明した。しかし、液晶ポリエステルフィルム2の表面に二次元コード8のみが印刷された耐熱ラベル1に本発明を同様に適用することもできる。また、マトリックス型の二次元コード8に代えてスタック型の二次元コード(図示せず)を印刷してもよい。或いはまた、バーコード4や二次元コード8に限らず、その他の符号を代用しても構わない。また、この符号は、必ずしも印刷によって液晶ポリエステルフィルム2の表面に設ける必要はなく、印刷以外の方法(例えば、貼付、レーザー印字法など)を代用または併用することもできる。
さらに、上述した実施の形態1、2では、生産物6に耐熱ラベル1を貼り付ける場合について説明したが、生産物6の包装材(図示せず)に耐熱ラベル1を貼り付ける場合に本発明を同様に適用することも勿論できる。
さらにまた、上述した実施の形態1、2では、液晶ポリエステルを溶媒に溶解した溶液組成物をキャスト製膜することにより、液晶ポリエステルフィルム2を製造する場合について説明したが、無機繊維および/または有機繊維からなるシートに、液晶ポリエステルを溶媒に溶解した溶液組成物を含浸させることにより、液晶ポリエステルフィルム2を製造することもできる。
また、上述した実施の形態1、2では、生産物6の工程管理を目的として耐熱ラベル1を貼り付ける場合について説明したが、生産物6の商品管理を目的として耐熱ラベル1を貼り付ける場合に本発明を同様に適用することも勿論できる。
以下、本発明の実施例について説明する。
なお、液晶ポリエステルフィルムの線膨張率は、JIS C6481「プリント配線板用銅張積層板試験方法」に準拠して、TMA装置(SII製)にて100〜250℃の温度範囲で測定した。この線膨張率の単位は、ppm/℃である。
[参考例1]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド378g(2.5モル)、イソフタル酸415g(2.5モル)および無水酢酸868g(8.5モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。取り出した内容物を室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕した。粉砕して得られた粉末を島津製作所フローテスターCFT−500により評価したところ、流動開始温度は185℃であった。続いて、この粉末を窒素雰囲気において250℃で10時間で固相重合させ、得られた固形物を再度粗粉砕機で粉砕して粉末状にし、これをさらに窒素雰囲気において250℃で3時間で固相重合させることで液晶ポリエステル(LCP1)を得た。このLCP1の流動開始温度は320℃であった。
かくして得られたLCP1を24g、N−メチルピロリドン(NMP)276gに加え、140℃で4時間加熱して溶液組成物1を得た。この溶液組成物1の溶液粘度は800cPであった。なお、この溶融粘度は、B型粘度計(東機産業製、「TVL−20型」、ローターNo.21(回転速度:20rpm))を用いて、測定温度23℃で測定した値である。
得られた溶液組成物を銅箔(三井金属社製3EC‐VLP(厚さ18μm))上にバーコート法で塗工した後、100℃で1時間、さらに320℃で3時間加熱処理して、この銅箔上に液晶ポリエステルフィルムを形成させた。次いで、塩化第二鉄溶液(木田株式会社製 40°ボーメ)で全ての銅箔を溶解除去して、液晶ポリエステルフィルム(フィルム1)を得た。得られたフィルム1の厚さは、25μmであった。
[参考例2]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4、4'−ジヒドロキシビフェニル466g(2.5モル)、イソフタル酸415g(2.5モル)および無水酢酸1123g(11.0モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。取り出した内容物を室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕して、粉末を得た。この粉末の流動開始温度は229℃であった。この粉末を窒素雰囲気において264℃で3時間加熱処理し、固相重合を行い、液晶ポリエステル(LCP2)を得た。このLCP2の流動開始温度は303℃であった。
かくして得られたLCP2を27g、p−クロロフェノール(PCP)273gに加え、120℃で8時間加熱して溶液組成物2を得た。この溶液組成物2の溶液粘度は7000cPであった。なお、この溶融粘度は、B型粘度計(東機産業製、「TVL−20型」、ローターNo.23(回転速度:10rpm))を用いて、測定温度50℃で測定した値である。
得られた溶液組成物2を銅箔(三井金属社製3EC‐VLP(厚さ18μm))上にバーコート法で塗工した後、100℃で1時間、さらに320℃で3時間熱処理して、この銅箔上に液晶ポリエステルフィルムを形成させた。次いで、塩化第二鉄溶液(木田株式会社製 40°ボーメ)で全ての銅箔を溶解除去して、液晶ポリエステルフィルム(フィルム2)を得た。得られたフィルム2の厚さは、20μmであった。
こうして得られたフィルム1およびフィルム2について、直交2方向(バーコート法で塗工した際の流れ方向(MD)と、この流れ方向に直交する方向(TD))の線膨張率を測定した。この線膨張率は2水準(150〜200℃までのものと、200〜250℃のもの)で測定した。その結果を表1にまとめて示す。
Figure 2010210768
表1から明らかなように、フィルム1およびフィルム2は、実用的に十分に低い線膨張率(熱膨張率)を示し、さらに、MDおよびTDの線膨張率は、ほぼ同等のものであることが判明した。
[実施例1、2]
参考例1、2で得られたフィルム1またはフィルム2の一方の面に、例えばシリコーン系の粘着剤を用いて粘着層を形成することにより、耐熱ラベルを得る。このようにして得られた耐熱ラベルは、液晶ポリエステルフィルム自体の優れた耐熱性に加え、熱収縮率の異方性も小さいものであるため、高温下に暴露されたとしても、剥がれや反りの発生を十分に抑制することができる。
本発明は、機械、電気・電子部品、食品など、生産物またはその包装材と同等の耐熱性がラベルに要求される産業に広く適用することができる。
1……耐熱ラベル
2……液晶ポリエステルフィルム
3……粘着層
4……バーコード(符号)
5……保護フィルム
6……生産物
7……熱源
8……二次元コード(符号)
T1……液晶ポリエステルフィルムの厚さ
T2……粘着層の厚さ
T3……保護フィルムの厚さ

Claims (7)

  1. 流動開始温度が250℃以上で、かつ溶媒可溶性の液晶ポリエステルから形成される液晶ポリエステルフィルムを有することを特徴とする耐熱ラベル。
  2. 前記液晶ポリエステルが、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が35〜10モル%、式(3)で示される構造単位が35〜10モル%の液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の耐熱ラベル。
    (1)−O−Ar1 −CO−
    (2)−CO−Ar2 −CO−
    (3)−X−Ar3 −Y−
    (式中、Ar1 は、フェニレンまたはナフチレンを表し、Ar2 は、フェニレン、ナフチレンまたは下記式(4)で表される基を表し、Ar3 はフェニレンまたは下記式(4)で表される基を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、OまたはNHを表す。なお、Ar1 、Ar2 およびAr3 の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。)
    (4)−Ar11−Z−Ar12
    (式中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Zは、O、COまたはSO2 を表す。)
  3. 前記式(3)で示される構造単位のXおよびYの少なくとも一方がNHであることを特徴とする請求項2に記載の耐熱ラベル。
  4. 前記液晶ポリエステルフィルムが、無機繊維および/または有機繊維からなるシートに、前記液晶ポリエステルを溶媒に溶解した溶液組成物を含浸させて製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の耐熱ラベル。
  5. 前記液晶ポリエステルフィルムの裏面に粘着層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の耐熱ラベル。
  6. 前記粘着層の裏面に保護フィルムが当該粘着層から剥離しうるように積層されていることを特徴とする請求項5に記載の耐熱ラベル。
  7. 前記液晶ポリエステルフィルムの表面に符号が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の耐熱ラベル。
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