JP2010208998A - 含フッ素エポキシエステルの製造方法 - Google Patents

含フッ素エポキシエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】下記一般式[2]で表される含フッ素エポキシエステルを、副生物の生成を大幅に抑制しつつ工業的に実施可能な容易な反応条件で安価な原料を用いて高収率で製造する方法の提供。
【解決手段】下記一般式[1]で表されるフッ素原子を複数持つ含フッ素α、β−不飽和エステルに次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩等の酸化剤を反応させ、下記一般式[2]で表される含フッ素エポキシエステル。


(式[1]及び式[2]中、Rfは炭素数1から10の直鎖もしくは分岐鎖のペルフルオロアルキル基、(CF3)2CH基、CHF2基、CClF2基からなる群より選ばれる置換基である。)また、触媒を共存させない条件でも良好に反応が進行するため、環境負荷がかからず、高い生産性で含フッ素エポキシエステルを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬もしくは農薬の中間体として有用な、含フッ素エポキシエステルの製造方法に関する。
含フッ素アルキル基を有するエポキシエステルは、種々の生理活性物質に誘導可能な高汎用性物質である。例えば、非特許文献1及び非特許文献2では、エポキシを還元して生理活性アルコールに変換される例等、エポキシエステルの応用例が数多く報告されている。
二重結合部位を持つ化合物(オレフィン化合物)をエポキシ化合物に誘導する従来の例として、非特許文献3及び非特許文献4にて過酸を用いる反応、そして次亜ハロゲン化物を反応させる反応が知られている。
一方、特許文献1では、オレフィンに対して次亜塩素酸ナトリウムを反応させる方法が、特許文献2では、水相中に溶解又は懸濁した次亜塩素酸を酸化剤として使用し、無機塩基の存在下又は不存在下でフルオロアリル化合物をエポキシ化するにあたり、第4級アンモニウム塩等の相間移動触媒の存在下で水相と有機相の二相系で反応させる方法が、特許文献3では、α、β−不飽和ケトンに対し、次亜塩素酸塩等の酸化剤を、第4級アンモニウム塩及び水の存在下で反応させる方法が、特許文献4に、光学活性エポキシエノン誘導体の製造方法として、α、β−不飽和ケトンに対し、触媒として、ランタニドトリイソプロポキシド、(R)−1,1−ビ−2−ナフトール、トリフェニルホスフィンオキシド、及びクメンヒドロペルオキシド又はtert−ブチルヒドロペルオキシドからなる触媒を用いて不斉酸化する方法が知られている。
また、非特許文献5や非特許文献6では、α、β−不飽和ケトンやオレフィン化合物にシリカやアルミナを触媒とし、次亜塩素酸ナトリウムを用いて酸化する方法が、非特許文献7では酢酸ニッケルを触媒として、次亜塩素酸ナトリウムを用いて酸化する方法が、そして非特許文献8ではフルオロオレフィン化合物に対し、次亜塩素酸ナトリウムを反応させる際に、相間移動触媒として、第4級アンモニウム塩を用いることが開示されている。
また、これらのアルキル基を有するエポキシエステルの合成例として、非特許文献9−10にアルキルリチウム等を用いて環化経由で合成する方法が開示されている。
特開平4−108780号公報 特開昭60−069077号公報 特開平11−092466号公報 特開2004−137265号公報
Tetrahedron,52,14631−14640,1996. Tetrahedron Lett.,36,2491−2492,1995. Organic Functional Group Preparations,110−111,1968. Organic Functional Group Preparations,110−111,1968. Synthesis,854−856,1987. Synthesis,787−789,1990. J.Org.Chem.,71,9291−9296,2006. J.Fluorine Chem.,125,99−105,2004. J.Fluorine Chem.,44,113−120,1989. Tetrahedron Lett.,34,2469−2472,1993.
非特許文献3や非特許文献4の方法は、非常に強い酸化剤である過酸を用いており、取り扱いには非常に注意を要すること、そして後処理が煩雑で廃棄物が多く、大量規模での生産には不向きであることなどから、工業スケールで製造する方法として採用することはいくぶん難がある。
非特許文献9−10の方法は、アルキルリチウム等を用いる方法であり、通常、アルキルリチウム等を用いる反応は−78℃の極低温反応装置が必要であることから、工業的に容易かつ安全に生産することは非常に困難である。
また、酸化反応は発熱的であるので、ある特定の部位(例えばα、β−不飽和ケトンであれば、オレフィン部位のことを示す)のみを酸化するといった、いわゆる「部分酸化」を意図しても、自己の発熱によって反応温度が上昇し、さらに反応が加速することが多く、二重結合の選択的な酸化だけなく、意図しない副反応が生じたりするなどの問題が生じやすい。
また、二酸化炭素と水が生成するような完全酸化が引き起こされることも多い。よって、一般的に、発熱を制御して、所望する部位を選択的に部分酸化することは困難である。
このように、医薬もしくは農薬の中間体として有用な、含フッ素エポキシエステルの既知の製造方法は、いずれも小規模で目的物を得るには適しているものの、大量規模の製造法としては、十分満足のいくものではなかった。
本発明の課題は、入手性の良い含フッ素α、β−不飽和エステルから有用なエポキシエステルを効率的に合成することにある。すなわち、大量生産に向かない極低温プロセスを回避することと、発熱的な酸化反応を制御して、選択的に部分酸化を行うことを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討したところ、含フッ素α、β−不飽和エステルに、次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩等の酸化剤を反応させることにより、選択的に二重結合部位が酸化され、対応する含フッ素エポキシエステルが高選択率かつ高収率で合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、以下の[発明1]−[発明4]に記載する発明を提供する。
[発明1]
式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステル
に、酸化剤を反応させることを特徴とする、式[2]で表される含フッ素エポキシエステル
の製造方法。
[式[1]及び式[2]中、Rfは炭素数1から10の直鎖もしくは分岐鎖のペルフルオロアルキル基、(CF32CH基、CHF2基、CClF2基からなる群より選ばれる置換基であり、Rは水素原子、又は炭素数1から9の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基からなる群より選ばれる置換基である。]
[発明2]
酸化剤が次亜塩素酸、又は次亜塩素酸塩である、発明1に記載の方法。
[発明3]
式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステル
に、次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩を反応させることを特徴とする、式[2]で表される含フッ素エポキシエステル
の製造方法。
[式[1]及び式[2]中、Rfは炭素数1から6の直鎖もしくは分岐鎖のペルフルオロアルキル基、(CF32CH基、CHF2基、CClF2基からなる群より選ばれる置換基であり、Rは水素原子、又は炭素数1から9の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基からなる群より選ばれる置換基である。]
[発明4]
系内に触媒を共存させない条件で反応させることにより行うことを特徴とする、発明1乃至3の何れかに記載の方法。
本発明は、式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステルを用いて酸化反応を行うという点に特徴がある。当該エステルは、炭素−炭素二重結合(「オレフィン」とも言う)部位及びカルボニル部位が存在する。さらに、炭素−炭素二重結合部位に、非常に強力な電子求引基であるフッ素原子を複数個持ったペルフルオロアルキル基が結合している。
特許文献2に開示しているように、一般的にフルオロオレフィンのエポキシ化は、プロピレン等の炭化水素系オレフィンと比べて非常に異なった化学的性質を示すために、フルオロオレフィンをプロピレンや塩化アリルと同様の方法で求電子的にエポキシ化することは極めて困難であることが知られている。このことから、本願発明で用いる基質はフッ素原子を複数持つために、フッ素原子を持たない基質と比べて異なる反応性を示すことが予想される。
また、従来技術で開示しているα、β−不飽和エステルのエポキシ化は、フッ素原子を持たない基質を対象としていることなどから、本願発明の基質を用いて酸化反応を行っても、エポキシ化合物が良好に得られるかどうか、全く不明であった。
そこで本発明者らは、式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステルを用いて次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩を用いて酸化反応を行うことで、高選択率かつ高収率で式[2]で表される含フッ素エポキシエステルが得られることを見出すに至った。
また、本発明において、特に好ましい条件、すなわち反応系内に触媒を共存させない条件下で反応を行っても、従来技術と同等もしくはそれ以上の選択率及び収率で当該目的物が得られると言う、工業的な製造において極めて有用な知見を得た。
従来技術では、フッ素原子を持たないα、β−不飽和ケトン化合物に対し、次亜塩素酸塩を反応させることで、対応するエポキシ化合物を得ている方法を開示しているが、反応系内に触媒として第4級アンモニウム塩、アルミナ等の触媒を共存させることも開示している。
一方、特許文献2に開示しているように、炭素−炭素二重結合部位にフッ素原子を有するオレフィン化合物に対し、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩を、反応系内に共存させない条件下で反応を行った場合、対応するエポキシ化合物の生成が痕跡量である旨の記載がなされている。
このことから、α、β−不飽和ケトンよりも反応性が明らかに低い、含フッ素α、β−不飽和エステルにフッ素原子を複数個導入した式[1]で表される化合物の酸化反応を行う際、反応系内に4級アンモニウム塩等の触媒を共存させるのが好ましい態様であると予想するのが自然であり、触媒を共存させない条件下で反応を行った場合、実際に反応が良好に進行するかどうか、全く不明であった。
ところが、本発明者が式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステルに対して酸化反応を行ったところ、第4級アンモニウム塩等の触媒を反応系内に共存させない条件下でも十分反応が進行し、高選択率かつ高収率で目的物を得られるという、驚くべき知見を得た。
このように、本発明は工業的に実施可能な容易な反応条件で目的化合物が製造可能であり、また、触媒を共存させない条件でも良好に反応が進行するため、環境負荷がかからず、高い生産性で目的とする含フッ素エポキシエステルを製造できることとなった。
安価かつ容易に入手でき、取り扱いが比較的容易な含フッ素α、β−不飽和エステルを出発原料として、医薬、農薬の中間体として重要な含フッ素エポキシエステルの選択的な製造が可能になるという効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステルに、酸化剤を反応させることを特徴とする、式[2]で表される含フッ素エポキシエステルの製造方法である。本発明の出発原料である、式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステルは、文献公知の化合物であり、例えば、特開2005−232096号公報等に記載の方法で、当業者が製造することができる。なお、出発原料の製造方法はこの特許文献に限定されない。
式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステルのうち、Rfは炭素数1から10の直鎖もしくは分岐鎖のペルフルオロアルキル基、(CF32CH基、CHF2基、CClF2基である。ペルフルオロアルキル基としては炭素数1から10の直鎖もしくは分岐鎖のものが挙げられるが、中でも炭素数1から6の直鎖もしくは分岐鎖のものが好ましい。
Rはエステル部位の保護基でもあるので、保護、脱保護を効率的に行うために、一般に用いられる任意のカルボン酸保護基が使用可能である。例えば、Rは水素原子、又は炭素数1から9の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基からなる群より選ばれる置換基が挙げられる。
本発明で用いる酸化剤としては、次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩が挙げられる。これらのうち、次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムなどのアルカリ金属の塩が好ましく用いられる。次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩の使用量は、α,β−不飽和エステル1モルに対し、通常0.05モル〜100モルであり、好ましくは1〜50モルの範囲である。
酸化剤である次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩は、それらの水溶液として用いることが簡便である。水の量は、特に制限はなく、当業者が適宜調整することができる。
なお、水が反応系内に存在している際、塩素(Cl2)を吹き込むことによって、下記スキームに示すように次亜塩素酸(HOCl)を反応系内で発生させることも可能である。もし、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液等の塩基が存在している場合は、実質的に次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、次亜塩素酸カリウム(KOCl)が発生して本願発明の反応が進行する。本反応は塩基性条件下で反応を行うことでも可能であるが、仮に原料の含フッ素α、β−不飽和エステルの塩基安定性が低い場合は、希塩酸等を添加してpHを弱アルカリ性、概ねpH=8〜10程度に制御することができる。
なお、本発明では、水を溶媒として用いるのが簡便な方法ではあるが、水以外の有機溶媒を用いることができる。ここで言う有機溶媒とは、本発明の反応に直接関与しない不活性な有機化合物のことを示す。また、含フッ素α、β−不飽和エステルと次亜塩素酸塩水溶液との相溶性に優れ、耐塩基性の強いものが好ましい。
具体的には、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、等の水溶性の溶媒が使用できるが、中でもアセトニトリル等のニトリル類が好ましく、中でも含フッ素α、β−不飽和エステルと次亜塩素酸塩水溶液との相溶性に優れ、耐塩基性の強いことから、アセトニトリルが特に好ましい。
有機溶媒の使用量としては、特に制限はないが、式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステル1モルに対して0.1L(リットル)以上を使用すればよく、通常は0.1〜20Lが好ましく、特に0.1〜10Lがより好ましい。なお、これらの有機溶媒は単独又は組み合わせて使用することができる。
なお、本発明において、相溶性を高める為に、反応系内に触媒を別途加えることができる。
触媒の具体的な例として、金属酸化物、金属ハロゲン化物、活性炭、そしてゼオライトが好ましく用いられる。金属酸化物としては、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、スズ、アンチモン、タングステンの酸化物が好ましく、中でもアルミナ、シリカ、マグネシア、チタニアが特に好ましい。金属ハロゲン化物としては、金属フッ素化物、金属塩素化物、金属臭素化物、金属ヨウ素化物が使用可能であるが、金属塩素化物が好ましい。金属ハロゲン化物の金属種として、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、スズ、アンチモン、タングステンが好ましく、中でも亜鉛、鉄、アルミニウムがより好ましい。なお、これらの金属ハロゲン化物として塩化亜鉛、塩化鉄、塩化アルミニウムが特に好ましい。また、活性炭、ゼオライトとして、比表面積の大きい活性炭、複合金属酸化物であるゼオライトが使用可能である。一般的に触媒担体として使用される活性炭、ゼオライト、シリカ、アルミナ等に上記の金属種を担持させた触媒も使用できる。
また、式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステルとの接触を効率的に行う為に、4級アンモニウム塩や、4級ホスホニウム塩等の相間移動触媒を加えることも可能である。例えば4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムフルオリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムフルオリド、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムクロリド、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムブロミド、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージド等が挙げられる。
一方、4級ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウムフルオリド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムフルオリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムフルオリド、ブチルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ブチルトリフェニルホスホニウムヨージド、トリオクチルエチルホスホニウムフルオリド、トリオクチルエチルホスホニウムクロリド、トリオクチルエチルホスホニウムブロミド、トリオクチルエチルホスホニウムヨージド、ベンジルトリフェニルホスホニウムフルオリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムヨージド、エチルトリフェニルホスホニウムフルオリド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド等が挙げられる。
触媒の使用量としては、式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステル1モルに対して、通常、0.1〜50モル%であるが、好ましくは1〜25モル%であり、より好ましくは1〜15モル%である。
なお、本発明において、上述した触媒を用いることでも反応は進行するが、反応系内に触媒を共存させない条件でも、反応が良好に進行するという、好ましい知見も得た。
なお、本明細書において「触媒を共存させない」とは、実質的にはこれらの触媒を系内に存在させないことを指し、具体的には、式[1]で表される含フッ素α,β−不飽和エステル1モルに対して、0.05モル%以下、好ましくは0.01モル%以下、さらに好ましくは0.001モル%以下の量をいう。これらの触媒を積極的に系内に加えずに反応を実施する限り、触媒を共存させないという条件を達成することは容易である。
本発明の反応は、酸化反応を伴うものであるが、一般に酸化反応は発熱反応であるので、自己の反応熱によって、反応温度が上昇して急激な酸化反応が発生することが多い。実際、工業的な大スケールの場合、発熱制御は、選択率、安全性の点で重要な管理項目となる。本発明の特筆すべき点は、室温近傍で穏和かつ選択的に進行することである。よって、反応温度は−50℃から150℃が好ましく、0℃から80℃が特に好ましい。反応温度が−50℃より低い場合、反応速度が低下して反応終了までに長時間を要するなどの問題を生ずる場合があり、150℃を超えると、急激に酸化反応が進行し、部分酸化にとどまらず、副生物が生じやすい。
圧力条件としては、特に制限はないが、例えば常圧(0.1MPa(絶対圧基準。以下、同じ。))〜2MPaの範囲で行えばよく、この場合、0.1MPa〜1.5MPaが好ましく、特に0.1MPa〜1MPaがより好ましい。
本工程に用いられる反応器は、常圧もしくは加圧下で反応を行うことができる。加圧下で反応を行う場合、圧力に耐えるものであれば材質に特に制限はなく、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ガラスなどを内部にライニングした反応器、もしくはガラス容器を使用することができる。
反応形式は、流通式とバッチ式の両者が使用可能であるが、バッチ式が簡便である。反応形態の例として、全ての原料を一括して仕込むことも可能であるが、予め、溶媒、触媒、含フッ素α、β−不飽和エステルを仕込んだ後に、攪拌しながら、次亜塩素酸塩水溶液を逐次添加することもできる。勿論、次亜塩素酸塩水溶液のかわりに、塩素ガスをバブリングさせることも可能である。所望により、予め溶媒、次亜塩素酸塩水溶液、触媒を仕込み、含フッ素α、β−不飽和エステルを逐次添加することも可能である。
反応時間は特に制限はないが、通常は24時間以内の範囲で行えばよく、各種反応剤および反応条件等により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、NMR等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とするのが好ましい。
後処理方法については特に制限はなく、反応終了後の反応物の処理は、通常の有機合成の処理法(抽出、蒸留、脱水等)に基づいて行えばよい。通常の手段に付して、目的物であるエポキシエステルを得ることができる。
なお、目的物である式[2]で表される含フッ素エポキシエステルの他に、目的物が加水分解して得られるカルボン酸等が反応系内に微量、生成することがある。その際、簡便な操作(水や塩基性水溶液で洗浄すること)により副生成物を除去することが可能である。例えば、本実施例に示すように、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄する操作は、該目的物である式[2]で表される含フッ素エポキシエステルの化学純度を向上させるという点で、好ましい態様の一つとして挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。
[実施例1]
[benzyl 2,3-epoxy-4,4,4-trifluorobutyrateの製造]
300mLの三口ガラスフラスコに、(E)-benzyl 4,4,4-trifluorobut-2-enoate (11.51 g, 50.0 mmol)と塩化亜塩(ZnCl2)触媒(1.33 g, 10 mmol)を加えたアセトニトリル(150 mL)溶液に、10.2%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液 (54.79 g, 75mmol) を加え、室温で9時間攪拌したところ、benzyl 2,3-epoxy-4,4,4-trifluorobutyrateの生成が確認された。ろ過した後、19F-NMRで収率を求めたところ、64%であった。
1H NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 3.74 (2H, m), 5.21 (1H, d, J=12.3 Hz), 5.28 (1H, d, J=12.3 Hz), 7.39-7.40 (5H, m).
19F NMR (基準物質:CFCl3、溶媒:CDCl3)δ(ppm): -75.13 (d, J= 4.5 Hz).
13C NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 49.5 (q, J=2.5 Hz), 52.8 (q, J=42.2 Hz), 68.1, 121.4 (q, J=275.4 Hz), 128.6, 128.7, 128.9, 134.3, 165.6.
IR (neat) ν 3944, 3689, 3054, 2987, 2685, 2306, 1756, 1456, 1422, 1382, 1341, 1265, 1169, 1089, 988, 929, 896, 664 cm-1.
Anal. Calcd for C11H9F3O3 : C, 53.67; H, 3.68. Found : C, 53.54; H, 3.89.
[実施例2−4]
[benzyl 2,3-epoxy-4,4,4-trifluorobutyrateの製造]
塩化亜塩(ZnCl2)触媒(10mmol)の代わりに、アルミナ(Al2O3)触媒(10mmol)、シリカ(SiO2)触媒(10mmol)、マグネシア(MgO)触媒(10mmol)をそれぞれ用い、実施例1と同様の実験を行った。その結果を表1に示す。
[実施例5]
[benzyl 2,3-epoxy-4,4,4-trifluorobutyrateの製造]
300mLの三口ガラスフラスコに、(E)-benzyl 4,4,4-trifluorobut-2-enoate (11.51 g, 50.0 mmol)と塩化亜塩(ZnCl2)触媒(1.33 g, 10 mmol)を加えたacetonitrile (150 mL)溶液に、10.2%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(73.05 g, 100 mmol) を加え、室温で9時間攪拌した。ろ過した後、塩化メチレン(CH2Cl2)で抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄して、副生するカルボン酸を除去した後に硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥を行い、濃縮した。得られた粗生成物から蒸留により副生成物を除去することで、benzyl 2,3-epoxy-4,4,4-trifluorobutyrateを85%の単離収率で得た。
[実施例6]
[benzyl 2,3-epoxy-4,4,4-trifluorobutyrateの製造]
10mLの三口ガラスフラスコに、(E)-benzyl 4,4,4-trifluorobut-2-enoate (0.233 g, 1.01 mmol)を含むアセトニトリル (4.5 mL)溶液に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(5%; 2.233 g, 1.50 mmol) を加え、室温 (25 ℃) で1時間攪拌した。ろ過した後、塩化メチレン(CH2Cl2)で抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄して、副生するカルボン酸を除去した後に硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥を行い、濃縮したところ、benzyl 2,3-epoxy-4,4,4-trifluorobutyrateを77%のNMR収率で得た。
[実施例7]
[benzyl 2,3-epoxy-4,4,5,5,5-pentafluoropentanoateの製造]
10mLの三口ガラスフラスコに、(E)-benzyl 4,4,5,5,5-pentafluoropent-2-enoate (0.084 g, 0.30 mmol)と塩化亜塩(ZnCl2)触媒(0.01 g, 0.070 mmol)を加えたアセトニトリル (1.80 mL)溶液に、5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.91 g, 0.61 mmol) を加え、室温で4.5時間攪拌した。ろ過した後、塩化メチレン(CH2Cl2)で抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄して、副生するカルボン酸を除去した後に硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥を行い、濃縮した。これにより、benzyl 2,3-epoxy-4,4,5,5,5-pentafluoropentanoateを49%の19F-NMR収率で得た。
1H NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 3.73 (2H, m), 5.22 (1H, d, J=12.0 Hz), 5.29 (1H, d, J=12.0 Hz), 7.34-7.40 (5H, m).
19F NMR (基準物質:CFCl3、溶媒:CDCl3)δ(ppm): -85.23 (3F, s), -127.13 (1F, dd, J=7.1, 275.9 Hz), -129.05 (1F, dd, J=11.5, 276.0 Hz).
13C NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 48.6 (dd, J=1.9, 5.0 Hz), 51.7 (dd, J=26.0, 32.2 Hz), 68.2, 110.2 (qdd, J=38.7, 254.3, 257.4 Hz), 118.5 (tq, J=35.0, 286.0 Hz), 128.6, 128.7, 128.9, 134.2, 165.7.
IR (neat) ν 3069, 3037, 2962, 1758, 1457, 1357, 1327, 1287, 1200, 1149, 1044, 974, 923, 833, 745, 698 cm-1.
[実施例8]
[benzyl 2,3-epoxy-4,4-difluorobutanoateの製造]
10mLの三口ガラスフラスコに、(E)-benzyl 4,4-difluorobut-2-enoate (0.105 g, 0.50 mmol)と塩化亜塩(ZnCl2)触媒(0.015 g, 0.10 mmol)を加えたアセトニトリル (3.0 mL)溶液に、5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.49 g, 1.00 mmol) を加え、室温で4時間攪拌した。ろ過した後、塩化メチレン(CH2Cl2)で抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄して、副生するカルボン酸を除去した後に硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥を行い、濃縮した。得られた粗生成物から蒸留により副生成物を除去することで、これにより、benzyl 2,3-epoxy-4,4-difluorobutanoateを71%の19F-NMR収率で得た。
1H NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 3.56 (1H, dddd, J=1.8, 3.6, 6.3, 7.2 Hz), 3.64 (1H, m), 5.19 (1H, d, J=12.0 Hz), 5.25 (1H, d, J=12.0 Hz), 5.68 (1H, dt, J=3.6, 54.7 Hz), 7.39 (5H, m).
19F NMR (基準物質:CFCl3、溶媒:CDCl3)δ(ppm): -125.04 (1F, ddd, J=6.8, 54.8, 303.3 Hz), -126.91 (1F, ddd, J=6.8, 54.8, 303.3 Hz).
13C NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 49.2 (t, J=4.4 Hz), 54.4 (t, J=32.6 Hz), 67.9, 112.3 (t, J=242.6 Hz), 128.6, 128.7, 128.8, 134.4, 166.6.
IR (neat) ν 3067, 3036, 2964, 1753, 1456, 1389, 1321, 1295, 1243, 1200, 1146, 1107, 1065, 1001, 910, 753, 698 cm-1.
[実施例9]
[benzyl 4-chloro-2,3-epoxy-4,4-difluorobutanoateの製造]
10mLの三口ガラスフラスコに、(E)-benzyl 4-chloro-4,4-difluorobut-2-enoate (0.125 g, 0.51 mmol)と塩化亜塩(ZnCl2)触媒(0.015 g, 0.10 mmol)を加えたアセトニトリル (3.0 mL)溶液に、5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.49 g, 1.00 mmol) を加え、室温で8.5時間攪拌した。ろ過した後、塩化メチレン(CH2Cl2)で抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄して、副生するカルボン酸を除去した後に硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥を行い、濃縮した。得られた粗生成物から蒸留により副生成物を除去することで、これにより、benzyl 4-chloro-2,3-epoxy-4,4-difluorobutanoateを55%の19F-NMR収率で得た。
1H NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 3.76 (1H, dd, J=0.3, 1.2 Hz), 3.85 (1H, dt, J=1.4, 6.6 Hz), 5.19 (1H, d, J=12.3 Hz), 5.26 (1H, d, J=12.0 Hz), 7.39 (5H, m).
19F NMR (基準物質:CFCl3、溶媒:CDCl3)δ(ppm): -63.2 (dd, J=6.8, 168.7 Hz), -65.23 (dd, J=6.8, 168.7 Hz).
13C NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 50.6 (dd, J=1.8, 3.1 Hz), 57.6 (dd, J=34.1, 36.0 Hz), 68.1, 123.8 (t, J=291.5 Hz), 128.6, 128.7, 128.9, 134.2, 165.7.
IR (neat) ν 3490, 3068, 3036, 2960, 1956, 1756, 1456, 1380, 1330, 1291, 1197, 1127, 1042, 983, 924, 752, 698, 608 cm-1.
[実施例10]
[benzyl 4-chloro-2,3-epoxy-4,4-difluorobutanoateの製造]
10mLの三口ガラスフラスコに、(E)-benzyl 4-chloro-4,4-difluorobut-2-enoate (0.124 g, 0.50 mmol)を加えたアセトニトリル (3.0 mL)溶液に、5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.49 g, 1.00 mmol) を加え、室温で1.5時間攪拌した。ろ過した後、塩化メチレン(CH2Cl2)で抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄して、副生するカルボン酸を除去した後に硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥後乾燥を行い、濃縮した。得られた粗生成物から蒸留により副生成物を除去することで、これにより、benzyl 4-chloro-2,3-epoxy-4,4-difluorobutanoateを59%の19F-NMR収率で得た。
[実施例11]
[benzyl 4-chloro-2,3-epoxy-4,4-difluorobutanoateの製造]
10mLの三口ガラスフラスコに、(E)-benzyl 4-chloro-4,4-difluorobut-2-enoate (0.121 g, 0.50 mmol)とn-Bu4NHSO4触媒(0.018 g, 0.05 mmol)を加えたアセトニトリル (3.0 mL)溶液に、5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.49 g, 1.00 mmol) を加え、室温で1.5時間攪拌した。ろ過した後、塩化メチレン(CH2Cl2)で抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄して、副生するカルボン酸を除去した後に硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥後乾燥を行い、濃縮した。得られた粗生成物から蒸留により副生成物を除去することで、これにより、benzyl 4-chloro-2,3-epoxy-4,4-difluorobutanoateを50%の19F-NMR収率で得た。
[実施例12]
[ethyl 2,3-epoxy-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-tridecafluorononanoate の製造]
10mLの三口ガラスフラスコに、(E)-ethyl 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-tridecafluoronon-2-enoate (0.125 g, 0.30 mmol)と塩化亜塩(ZnCl2)触媒(0.010 g, 0.06 mmol)を加えたアセトニトリル (4.5 mL)溶液に、5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(2.23 g, 1.50 mmol) を加え、室温で43時間攪拌した。ろ過した後、塩化メチレン(CH2Cl2)で抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄して、副生するカルボン酸を除去した後に硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥後乾燥を行い、濃縮した。得られた粗生成物から蒸留により副生成物を除去することで、これにより、ethyl 2,3-epoxy-4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-tridecafluorononanoateを71%の19F-NMR収率で得た。
1H NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 1.26 (3H, t, J=7.2 Hz), 3.64 (1H, d, J=1.5 Hz), 3.69 (1H, t, J=9.8 Hz), 4.23 (2H, dq, J=1.4, 7.2 Hz).
19F NMR (基準物質:CFCl3、溶媒:CDCl3)δ(ppm): -82.03 (3F, m), -123.32 (2F, m), -124.11 (2F, m), -124.52 (2F, m), -124.97 (2F, m), -127.43 (2F, m).
13C NMR(基準物質:TMS、溶媒:CDCl3)δ(ppm): 14.0, 48.6 (t, J=3.7 Hz), 52.0 (t, J=28.5 Hz), 62.7, 108.1-119.5 (m), 165.8.
IR (neat) ν 2990, 2945, 1759, 1451, 1339, 1242, 1147, 1026, 927, 850, 744, 721, 708, 653 cm-1.

Claims (4)

  1. 式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステル


    に、酸化剤を反応させることを特徴とする、式[2]で表される含フッ素エポキシエステル


    の製造方法。
    [式[1]及び式[2]中、Rfは炭素数1から10の直鎖もしくは分岐鎖のペルフルオロアルキル基、(CF32CH基、CHF2基、CClF2基からなる群より選ばれる置換基であり、Rは水素原子、又は炭素数1から9の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基からなる群より選ばれる置換基である。]
  2. 酸化剤が次亜塩素酸、又は次亜塩素酸塩である、請求項1に記載の方法。
  3. 式[1]で表される含フッ素α、β−不飽和エステル


    に、次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩を反応させることを特徴とする、式[2]で表される含フッ素エポキシエステル


    の製造方法。
    [式[1]及び式[2]中、Rfは炭素数1から6の直鎖もしくは分岐鎖のペルフルオロアルキル基、(CF32CH基、CHF2基、CClF2基からなる群より選ばれる置換基であり、Rは水素原子、又は炭素数1から9の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、p−メトキシフェニルメチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基からなる群より選ばれる置換基である。]
  4. 系内に触媒を共存させない条件で反応させることにより行うことを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の方法。
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