JP2010208225A - 液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度環境によらず速く正確に液体を噴射できる液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置を提供する。
【解決手段】本発明の液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置は、ノズルから飛翔される液滴の飛翔速度を調整するための駆動パルスT11の時間幅W11は液体の飛翔速度を最大速度v10とする時間幅W10よりも長く設定され、かつ、駆動パルスT11の電圧は液滴の飛翔速度の減少を補償する値に設定されている。
【選択図】図14

Description

本発明は、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置に関する。
従来、被記録媒体に液体を噴射する装置として複数のノズルから被記録媒体に向かって液滴を噴射する液体噴射記録装置が知られている。このような液体噴射記録装置の一部には、例えば液体が充填されたノズルの外壁部が圧電素子を有するアクチュエーターによって弾性変形されることにより、ノズルから液体が被記録媒体に向かって飛翔するインクジェット方式等が採用された液体噴射ヘッドを備えたものがある。
ところで、液体噴射ヘッドは様々な環境下で使用されるものであり、例えば外気の温度は周囲の環境に著しく左右されるものである。このとき、液体噴射ヘッドおよび液体噴射ヘッドに供給される液体の温度が周囲の環境の温度に合わせて変動する。例えば、液体噴射ヘッドに供給される液体の温度が上昇すると、液体の粘度が低下して液体噴射ヘッドから飛翔する液滴の速度が大きくなる。このように、周囲の温度環境によって液滴の飛翔速度が変化すると被記録媒体上での液滴の着弾位置が設計値から変化してしまうので、所定の位置に液滴を正確に配置できなくなるという問題があった。
このような課題を解決する方法として、特許文献1には、インク噴射装置の駆動方法が記載されている。この特許文献1に記載のインク噴射装置の駆動方法は、所定温度を境に2種類の異なる駆動波形に基づいてアクチュエーターを駆動させてインク滴を噴射させ、所定温度以下においてはインク室内における圧力波の片道伝播時間と一致する時間幅のパルス信号をアクチュエーターに印加し、所定温度以上においては前記片道伝播時間のほぼ3倍に一致するパルス信号をアクチュエーターに印加するものである。
このインク噴射装置の駆動方法によれば、温度変化に伴うインクの噴射速度の変動幅を小さくすることができ、着弾位置のずれが少なくなって印字品質を向上することができる。
また、近年、ノズルから微小な液滴(以下微小液滴と称する)を噴射させ、1以上の微小液滴を空中で融合させて液滴の容量を1滴あたり数〜数十ピコリットル程度に変化させて被記録媒体に着弾させる装置が知られている。このような装置の例として、例えば特許文献2には、インクジェットヘッドの駆動装置が記載され、この特許文献2にはインクを被記録媒体へ噴射する際に、インク室に設けられたアクチュエーターによってインク室を伸縮させる駆動信号を所定の休止時間ごとに連続的に複数回発生させることが記載されている。
さらに、特許文献2には、インク室の温度を検出するインク温度検出手段を設け、この検出手段でインク温度を検出することにより、インク温度によるインクの固有振動周期の変化に応じて上述の休止時間を変化させることが記載されている。
この特許文献2に記載のインクジェットヘッドの駆動装置によれば、隣接するインク室の間に生じる残留固有振動を低減し、各インク室におけるインク滴の吐出速度の差をなくして印刷品質を向上させることができる。また、インク温度に影響されずにアクチュエーター同士のクロストークを低減することができる。
特開平9−174831号公報 特開2002−19103号公報
しかしながら、特許文献2に記載の装置では、ノズルから飛翔する複数の液体が1滴に集合して被記録媒体に着弾する際に、液体の温度が設計値より変動した際に1滴に含有される液体の容量に応じて飛翔速度が変動し、被記録媒体上の着弾位置が設計値から変化してしまうので、所定の位置に液滴を正確に配置できなくなるという問題がある。ここで、特許文献2に記載の装置に特許文献1に記載の方法を組み合わせても、電圧を一定にしてパルス信号を延ばして液滴の飛翔速度を低下させるので、液体の噴射速度が低下してしまう。従って、被記録媒体への液体の噴射時間を長く要し、印刷物等の製造効率が悪化するという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、温度環境やノズルから噴射される液量によらず一定速度で正確に液体を噴射できる液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置の提供を図ることにある。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の液体噴射ヘッドは、印加電圧に応動して変形動作するアクチュエーターで構成される複数の側壁と、ノズルに連通して前記側壁の間に並設された複数の溝と、前記溝のそれぞれに液体を供給する液体流路と、前記側壁に設けられた電極と、前記アクチュエーターを変形動作させて前記ノズルから前記液体の液滴を飛翔させる所定電圧の駆動パルスを、該アクチュエーターを動作させない休止時間を設けながら前記電極に印加する印加手段と、前記印加手段によって前記電極に印加する駆動パルスを一回以上発生させることで被記録媒体に到達する液滴の容量を変化させる制御手段とを備え、前記制御手段が、前記液体の温度に基づいて前記印加手段によって印加される前記所定電圧の複数の規定値が記録あるいは記憶された温度−電圧テーブルと、前記温度−電圧テーブルに基づいて前記液体の温度に対応する電圧を選択し、前記電圧を前記所定電圧として前記印加手段に通知する選択手段とを有し、前記駆動パルスの時間幅は前記液体の飛翔速度を最大速度とする時間幅よりも長く設定され、かつ、前記所定電圧は前記飛翔速度の減少を補償する値に設定されていることを特徴としている。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、液体は温度が上昇するのに従って粘度が低下する性質を有する。このため、所定の粘度を想定して設計された液体噴射ヘッドにおいて所定の粘度と異なる粘度になる温度環境で使用された際には液体の噴射特性が設計値から逸脱する場合がある。
この発明によれば、あるノズルにおける駆動パルスの時間幅には、当該ノズルにおいて液体を最大速度で飛翔させる時間幅に対して飛翔速度が減少するように駆動パルスの時間幅を延長する補正がなされている。ここで、駆動パルスの時間幅が延長されたことによる液体の飛翔速度の減少は、温度−電圧テーブルから選択手段によって選択された飛翔速度の減少分を相殺する電圧によって補償される。その結果、最終的にノズルから噴射されて空中を飛翔する液体の飛翔速度は駆動パルスの時間幅の補正に関わらず同等に保たれる。このため、液体を噴射する温度環境が異なる状況においても液体の飛翔速度を好適に維持できる。
また、本発明の液体噴射ヘッドは、前記制御手段が、第一駆動パルスのみが印加されて前記液滴が形成される1滴モードと、前記第一駆動パルスに遅行して第二駆動パルスが印加されて前記液滴が形成される多滴モードと、前記駆動パルスを二回以上発生させる際に、先行して印加される第一駆動パルスと前記第一駆動パルスに遅行して印加される第二駆動パルスとの時間幅を異ならせる調整手段とを備え、前記多滴モードにおける前記第二駆動パルスの時間幅が、前記1滴モードにおける前記第一駆動パルスの時間幅よりも長く設定されていることが好ましい。
従来の液体噴射ヘッドでは、規定の温度環境における設計値において1滴モードと多滴モードとにおける液体の飛翔速度を同等に調整してあっても、液体の温度環境の変化によって液体の粘度が変化して1滴モードと多滴モードでの速度差が生じる場合がある。
本発明の場合、1滴モードと多滴モードとを混在させて液滴の容量を段階的に変化させながら液滴を噴射させることができる。さらに、この際にある容量の液滴を構成する1以上の微小な液滴(以下微小液滴と称する)の駆動パルスの時間幅が異なる値で設定されている。ここで上記のように多滴モードにおける第二駆動パルスの時間幅が、1滴モードにおける第一駆動パルスの時間幅よりも長く設定されているため、1滴モードにおける液滴の飛翔速度と多滴モードにおける液滴の飛翔速度を同等にできる。
また、本発明の液体噴射ヘッドは、前記制御手段において、2以上の前記駆動パルスによって1の前記液滴を構成する際の最終の前記駆動パルスの時間幅が、前記液滴の容量によらず同一に設定されていてもよい。
この場合、2以上の駆動パルスによって生じる1の液滴はその容量によらず同等の飛翔速度で飛翔する。このため液滴の容量に応じた設定情報の一部を共有することができ、液体の噴射精度を損なわずに設定情報の記憶領域を削減することができる。
また、本発明の液体噴射ヘッドは、前記制御手段において、2以上の前記駆動パルスによって1の前記液滴を構成する際に、前記第一駆動パルスの時間幅が前記第二駆動パルスの時間幅よりも長く設定されていることが好ましい。
この場合、1のノズルにおいて先行して飛翔する上記微小液滴に対して同ノズルから引き続いて飛翔する上記微小液滴が追いつき、1の融合された液滴として一体的に飛翔する。
本発明の液体噴射記録装置は、本発明の液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを前記液体が噴射される被記録媒体に対向して往復移動させる移動機構と、前記被記録媒体を前記ノズルと一定の距離をもって搬送する搬送機構と、前記印加手段および前記制御手段とのそれぞれに電気的に接続された制御部とを備えることを特徴としている。
この発明によれば、高速に往復移動しながら液滴を飛翔させる液体噴射ヘッドにおいてノズルから被記録媒体までの所定距離だけ飛翔する液体は容量によらず飛翔開始位置となるノズルを原点として重ね合わせ可能な軌跡を描く。従って、温度環境が異なる状況においても温度および液滴の容量によらず正確に液体を噴射して被記録媒体に記録できる。
本発明の液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置によれば、液体の温度環境に応じて変動する噴射特性を駆動パルスの時間幅を延長することによって均一化すると共に駆動パルスの電圧を変更することで液体の飛翔速度の減少を補償することで、温度環境によらず速く正確に液体を噴射できる。
本発明の1実施形態の液体噴射記録装置の概略構成を示す斜視図である。 同液体噴射記録装置に搭載された本発明の1実施形態の液体噴射ヘッドの一部の構成を示す斜視図である。 同液体噴射ヘッドにおけるヘッドチップを拡大して示す斜視図である。 同ヘッドチップを分解して示す斜視図である。 (A)は同液体噴射ヘッドにおける制御手段の構成を示すブロック図、(B)は同制御手段に設けられた温度―電圧テーブルにおける対応を示す表、(C)は同制御手段に設けられた波形テーブルにおける対応を示す表である。 従来の液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 従来の液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 従来の液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 従来の液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 従来の液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同実施形態の液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび同液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 (A)は従来の液体噴射記録装置における各モードごとの設定例を示すグラフ、(B)は(A)に示す設定値のまま温度環境が異なる条件化で動作された際の従来の液体噴射記録装置の動作を示すグラフである。 同実施形態の液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。 同液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置における使用時の動作を示すグラフである。
以下、本発明の1実施形態の液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置について図1から図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態の液体噴射記録装置の概略構成を示す斜視図である。液体噴射記録装置1は、紙等の被記録媒体Sを搬送する一対の搬送機構2、3と、被記録媒体Sに液体を噴射する液体噴射ヘッド4と、液体噴射ヘッド4に液体を供給する液体供給手段5と、液体噴射ヘッド4を被記録媒体Sの搬送方向(主走査方向)と略直交する方向(副走査方向)に走査させる走査手段6とを備えている。また、図示していないが、液体噴射記録装置1には、搬送機構2、3、液体噴射ヘッド4、液体供給手段5、および走査手段6などに電気的に接続されて相互に信号を送受信する本体制御部Cが設けられている。以下、副走査方向をX方向、主走査方向をY方向、そしてX方向およびY方向にともに直交する方向をZ方向として説明する。
一対の搬送機構2、3は、それぞれ副走査方向に延びて設けられたグリッドローラ20、30と、グリッドローラ20、30のそれぞれに平行に延びるピンチローラ21、31と、詳細は図示しないがグリッドローラ20、30を軸回りに回転動作させるモータ等の駆動機構とを備えている。
液体供給手段5は、液体が収容された液体収容体50と、液体収容体50と液体噴射ヘッド4とを接続する液体供給管51とを備えている。液体収容体50は、複数備えられており、具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類の液体が収容された液体収容体50Y、50M、50C、50Bが並べて設けられている。液体収容体50Y、50M、50C、50Bのそれぞれには図示しないポンプモーターMが設けられており、液体を液体供給管51を通じて液体噴射ヘッド4へ押圧移動できる。液体供給管51は、液体噴射ヘッド4(キャリッジユニット62)の動作に対応可能な可撓性を有するフレキシブルホースからなる。
走査手段6は、副走査方向に延びて設けられた一対のガイドレール60、61と、一対のガイドレール60、61に沿って摺動可能なキャリッジユニット62と、キャリッジユニット62を副走査方向に移動させる駆動機構63と、を備えている。駆動機構63は、一対のガイドレール60、61の間に配置された一対のプーリ64、65と、一対のプーリ64、65間に巻回された無端ベルト66と、一方のプーリ64を回転駆動させる駆動モータ67とを備えている。
一対のプーリ64、65は、一対のガイドレール60、61の両端部間にそれぞれ配置されており、副走査方向に間隔をあけて配置されている。無端ベルト66は一対のガイドレール60、61間に配設されており、この無端ベルトにはキャリッジユニット62が連結されている。キャリッジユニット62の基端部62aには複数の液体噴射ヘッド4が搭載されており、具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類の液体に個別に対応する液体噴射ヘッド4Y、4M、4C、4Bが副走査方向に並んで搭載されている。
液体噴射記録装置1のキャリッジユニット62には、液体噴射ヘッド4が、長手方向(Y方向)を主走査方向に一致させ、短手方向(X方向)を副走査方向に一致させて搭載されている。またキャリッジユニット62には、複数の液体噴射ヘッド4がX方向に並んで搭載されている。そして、被記録媒体SをY方向に搬送し、キャリッジユニット62をX方向に移動させつつ、液体噴射ヘッド4からインク滴を噴射することで、被記録媒体Sに記録を行うようになっている。
図2は、液体噴射ヘッド4を示す斜視図である。本実施形態の液体噴射ヘッドは、液体を被記録媒体S(図1参照)に向かって液滴Dとして噴射するものである。図2に示すように、液体噴射ヘッド4は、取付基板40と、ヘッドチップ41と、流路基板42と、ベースプレート44と、回路基板45とを備えている。なお、取付基板40およびベースプレート44は別体でもよいし、一体成形されていてもよい。また、取付基板40は、液体噴射ヘッド4をキャリッジユニット62に着脱可能に取り付けるための図示しない取付機構を有している。
流路基板42は、ヘッドチップ41の一面側に取り付けられている。流路基板42の内部にはインクを流通させるための図示しない流通路が形成されており、流路基板42の上面には前記流通路に連通する流入口42aが形成されている。この流入口42aには、インクの圧力変動を吸収する圧力調整部(不図示)が連結される。
ベースプレート44は、取付基板40の上面に略垂直に立設されており、その表面には回路基板45が取り付けられている。回路基板45には、ヘッドチップ41の動作を制御する制御部45aが形成されている。回路基板45とヘッドチップ41との間は、フレキシブル基板46によって電気的に接続されている。
図3はヘッドチップを示す斜視図である。また、図4はヘッドチップ41を分解して示す斜視図である。図3および図4に示すように、ヘッドチップ41には、インクが収容されたインク室10が形成されたインク室プレート16と、電圧を印加することにより変形可能な圧電素子で区切られ並列に配置された複数の溝15bが形成されたアクチュエータープレート15と、被記録媒体Sに向けて液滴Dを構成するための微小液滴SDを吐出するノズル13が形成されたノズルプレート14と、ノズルプレート14を支持するためのノズルキャップ8と、が備えられている。また、ヘッドチップ41は、被記録媒体Sの記録面とノズルプレート14とが平行に配置されるように、ノズルプレート14を下方に向けて取付基板40(図2参照)に取り付けられている
また、ヘッドチップ41は、いわゆる独立チャネルタイプのヘッドチップであって、スリット形成壁9によって、液体が供給される溝と、液体が供給されない溝とが構成され、導電性の液体であっても短絡事故を生ずることなく、液滴Dを吐出することができる。なお、アクチュエータープレート15には、溝15bのそれぞれの側壁15aに沿ってフレキシブル基板46に接続された電極15cが設けられている。
図5は、制御部45aの構成を示すブロック図である。以下では、本実施形態の液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置による液体の噴射における基本的な手段を説明する。
本実施形態の液体噴射ヘッド4には、電極15cに適切な駆動パルスTを印加するための制御手段100が設けられている。制御手段100は、図2に示す制御部45aに設けられた回路を主な構成要素としている。また、制御手段100には、液体の温度を検知するための温度センサ101と、ヘッドチップ41に設けられた電極15とが電気的に接続されている。また、制御手段100は、温度センサ101における温度値を検出して処理する温度検出処理手段102を備えている。温度検出処理手段102は、検出された温度値に対応して、予め設定された規定値以下の温度値の際には常温モード(T0モード)と判定し、規定値以上の温度値の際には高温モード(THモード)と判断し、T0モードとTHモードとのいずれかを選択して選択手段103へとモード情報を送信する。また、液体噴射ヘッド4あるいは液体噴射記録装置1が使用される温度環境によっては、THモードのみを備える構成とすることができる。このときは温度センサ101および温度検出処理手段102は必須ではなく、温度によらずTHモードで駆動される。
選択手段103は、温度検出処理手段102から送信されたモード情報に基づいて、自身の内部回路である電圧選択手段104に対して温度値を入力する。
電圧選択手段104には、温度―電圧テーブル105が電気的に接続されている。図5(B)は、温度―電圧テーブル105における対応を示す表である。温度―電圧テーブルでは、温度検出処理手段から送信されたモード情報に対応する電圧差分を戻り値として電圧選択手段104に返す。電圧選択手段104では、基準となる規定電圧に対して電圧差分を合成したものを所定電圧として採用し、印加手段108へと送信する。
また、選択手段103は波形選択手段106を備える。波形選択手段106は、液体噴射記録装置1の図示しない本体制御部Cから送信されたピクセルデータに基づいてノズル13のそれぞれにおける噴射モードを決定し、噴射モードに基づいて電極15cに印加する駆動パルスTの波形形状を選択する。
波形選択手段106には、波形テーブル107が電気的に接続されている。図5(C)は、波形テーブル107における対応を示す表である。波形テーブル107では、上記噴射モードに対応する駆動パルスTの時間幅Wを戻り値として波形選択手段106に返す。波形選択手段106は選択された時間幅Wを印加手段108へと送信する。なお、時間幅Wの詳細については後述する。
印加手段108では、電圧選択手段104から送信された所定電圧と、波形選択手段106から送信された時間幅Wとの情報に基づく駆動パルスTを生成し、電極15cへと印加する。
以下では、本実施形態の液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置の動作について、図6から図22を参照して説明する。
液体噴射ヘッド4は、ノズル13から噴射される液体を容量可変の液滴Dとして噴射する複数の噴射モードを有する。液滴Dは1以上の微小液滴SDから構成され、例えば、1滴モードとは、ノズル13から1滴の微小液滴SD11が噴射され、この微小液滴SD11のみが被記録媒体Sに着弾するモードである。
また、多滴モードとは、ノズル13から2滴以上の微小液滴SDが噴射され、これら複数の微小液滴SDが被記録媒体Sに向かって飛翔している間に1滴の液滴Dとして融合された後に被記録媒体Sに着弾するモードである。
なお、本明細書において、微小液滴SDに対して、噴射モードに対応して微小液滴SD11、SD21、SD22、S31、SD32、SD33の符号を付して説明する。
また、多滴モードには2滴モード、3滴モード、・・・等がある。本明細書では多滴モードとして2滴モードおよび3滴モードについて説明するが、4滴モード以上についても本発明と同様に構成することができる。
また、液体噴射ヘッド4では、矩形パルスである駆動パルスTが電極15cに印加されることでアクチュエータープレート15の圧電素子が変形され、1つの駆動パルスTによって1つの微小液滴SDがノズル13から噴射される。駆動パルスTは、矩形波である駆動波形により周期と時間幅Wとが定められており、駆動波形に対応した所定の電圧が印加されて生成されている。
なお、本明細書において「液滴Dの飛翔速度」とは、被記録媒体Sに着弾する液滴の速度であって、1滴モードの場合には微小液滴SD11(液滴D10)の速度であり、多摘モードの場合には微小液滴SDがノズル13から噴射された後に1滴に融合された液滴D(2滴モードの場合は液滴D20、3滴モードの場合は液滴D30と称する)の速度である。なお、本明細書では理解を助けるため重力加速度が無視できるものとして説明する。
(1滴モード)
まず図6〜図10を参照して従来の液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置における動作について説明する。図6は、従来の1滴モードにおける液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置の動作を示すグラフである。なお、図6において、横軸は時間t、縦軸はノズルからの距離Lを示している。図6に示すように、従来の1滴モードでは、時間t0においてノズルから微小液滴が噴射され、空中を飛翔し、時間txにおいて距離Lxの点Aに到達する。ここで、点Aは例えば被記録媒体における所定の記録位置である。
図7は、従来の1滴モードにおけるノズル13の内部の液体の圧力変動と駆動パルスTとの関係を示すグラフである。なお、図7に示す駆動パルスT10は、従来の液体噴射ヘッドによって印加される駆動パルスとほぼ同様である。また、図7において、横軸は時間t、縦軸は圧力および駆動パルスの電位を示している。
図7に示すように、駆動パルスTが印加される時間t0において、電極15cには、基準となる電圧V0と異なる電圧V1が印加される。このとき、アクチュエータープレート15(図4参照)における圧電素子が変形することによってノズル13の容積が増大する。従って、ノズル13の内部は負圧状態となる。駆動パルスTは、時間t0から時間t10まで電圧V1で維持されているのでノズル13の内部においては、インク室10から液体が徐々に流入して上記負圧を相殺し、さらにインク室10からの反射波によって陽圧に反転する。
ここで、図7に示すように駆動パルスTが、時間幅W10の駆動パルスT10であった場合、ノズル13の内部における液体の圧力波の半波長である1ALにおいて駆動パルスTが電圧V0に戻り、ノズル13の形状が初期の大きさまで縮小される。すると、ノズル13の内部の液体はノズル13から被記録媒体S方向へと押し出され、微小液滴SD11として噴射される。
時間t10以降では駆動パルスT10は生じていないが、ノズル13において微小液滴SD11が噴射されたことに伴って残存する残存波が生じ、時間の経過と共に徐々に減衰されてゆく。
図8は、図6および図7に示す従来の1滴モードにおける駆動パルスTの時間幅と微小液滴SD11の飛翔速度との関係を模式的に示すグラフである。図8に示すように、駆動パルスの時間幅が時間幅W10であるときに液体の噴射速度が極大値を示しており、時間幅W10に対応する液体の飛翔速度は駆動パルスT10における最大速度v10である。これは、図7に示す液体の圧力の変動が、駆動パルスT10の印加開始から1AL後に極大値を示すためである。
図9および図10は、従来の液体噴射ヘッドによって上述の従来の1滴モードで液体が噴射される際の液体の連続噴射を模式的に示すグラフである。図9および図10では、横軸には単位時間当たりの液滴D10(微小液滴D11)の噴射回数である駆動周波数を示し、縦軸には微小液滴SD11の飛翔速度を示す。
図9に示すグラフF1は、上記従来の液体噴射ヘッドにおける設計上の狙い値を示すものである。図9に示すように、従来の液体噴射ヘッドでは、上記駆動周波数に応じて周期的に微小液滴SD11(液滴D10)の速度が変動し、例えば点P0から所定の間隔を空けて点P0、P1、P2、P3、・・・と微小液滴SD11(液滴D10)を噴射する可能性があるタイミングを有するものである。
上記駆動周波数は、点P0、P1、P2・・・で示すように、微小液滴SD11(液滴D10)の飛翔速度がv10となる点のうちいずれかが選択されて設定されている。必ずしも点P0、P1、P2・・・のすべての点で微小液滴SD11(液滴D10)を噴射できるわけではないが、設計上は点P0、P1、P2・・・のいずれの点で微小液滴SD11(液滴D10)の噴射が行われても飛翔速度は例えば上述の最大速度v10になる。このように、点P0における液滴D10の飛翔速度と点P1、P2、・・・における液滴D10の飛翔速度との差が小さいため、被記録媒体Sに着弾する微小液滴SD11(液滴D10)の位置のズレが少ない。
しかしながら、液体の温度が変化すると、液滴Dが被記録媒体Sに着弾する位置にズレが生じるようになる。これは、液体の温度が変化することにより、その粘度が変化し、駆動パルスTによって液体に圧力をかけたときの圧力の伝播速度等が変わるためであると考えられている。例えば、図10にF2で示すように、液体の温度が変わることで点P0においては同一の速度v10であったものが、点P11、P12、P13・・・で示すように点P1、P2、P3・・・から乖離し、その速度が変化する。
このとき、設計上の狙い値のまま液滴を噴射させると、例えば図10に示すように点P0における液滴D10の速度に対する点P11、点P12、点P13・・・のそれぞれにおける速度差が大きくなってしまう。このため、被記録媒体S上における液滴D10の着弾位置にズレが生じる。
図11は、本実施形態における1滴モードの駆動パルスおよび液体の圧力を示す図である。図11は、図7と同様に横軸に時間t、縦軸に液体の圧力および駆動パルスTの電位を示している。なお、本実施形態の液体噴射ヘッド4および液体噴射記録装置1においても、図6に示したのと同様に、液滴D10(微小液滴SD11)が時間txにおいて距離Lxに到達ように狙い値が定められている。
図11に示すように、本実施形態では、1滴モードにおいて駆動パルスT10に代えて駆動パルスT10よりも時間幅が長い駆動パルスT11が採用されている。
駆動パルスT11は、駆動パルスT10と同様に時間t0において印加が開始され、時間t10よりも後の時間t11で印加が終了する。
図12は、本実施形態における1滴モードの駆動パルスT11の時間幅と液滴の飛翔速度との関係を示すグラフである。図12に示すように、駆動パルスの時間幅がW10からW11へと延長されたことで、液滴の飛翔速度は最大速度v10から減速された速度v11になっている。
図13は、図12に示す時間幅W11−速度v11の関係において駆動パルスT11によってノズル13から1滴モードの液滴の噴射を繰り返した際の液体の噴射状態を示すグラフである。図13は、図9、図10と同様の駆動周波数を示し、縦軸には微小液滴SD11の飛翔速度を示す。
図13において、F1は図10に示すF1と同一である。またF3はF2と同一の温度条件下での時間幅W11−速度v11の関係となるときの液滴D10の噴射状態を示している。図13に示すように、駆動パルスT11によって液体の噴射速度がv11に低下しているとき、点P0、P1、P2・・・に対して点P20、P21、P22・・・は略一定の差で速度が低下している。従って、このとき、点P20、P21、P22・・・のいずれの点で液滴D10を飛翔させても被記録媒体Sに着弾する液滴D10にはほとんどズレが生じない。
図14は、図13においてF3で示す液体の噴射状態に対して噴射速度の補正を行った状態を模式的に示すグラフである。図14において、T0で示す破線は、図12にT0で示す実線と同一のグラフであり、THで示す実線は本実施形態において噴射速度の補正を行った後の液体の噴射速度を示している。
本実施形態において、図13に示したとおり、液体を噴射する際の速度は、最大速度v10よりも遅い速度で均一になっている。ここで、電極15cに印加する駆動パルスTの電位を変更することで液滴D10の噴射速度を一律に増加あるいは減少させることができる。これは、図5に示す温度−電圧テーブル105においてTHモードが選択され、電圧差分ΔVが合成されて初期の電圧V1より高い電圧V2を印加電圧とするように印加手段108が駆動されることによって行われている。
例えば図14に示すように、T0に示す噴射速度に対して駆動パルスTの電圧を高めると、液体の噴射速度が上昇し、THに示すような噴射速度特性になる。ここで、駆動パルスT11の時間幅W11に対応する液体の噴射速度がv10となるように電圧を高めることができる。すると、図13に示したグラフF3は一律に引き上げられ、グラフF1に略重なるように補正される。従って、駆動パルスT10に代えて駆動パルスT11を採用したことによる液体の噴射速度の低下が補償される。
(多滴モード)
以下では、ノズルから微小液滴を複数噴射する多滴モードについて1滴、2滴、3滴のそれぞれが混在して噴射される際の動作を説明する。
図15(A)(B)は、従来の液体噴射記録装置による多滴モードの動作を模式的に示すグラフである。図15(A)に示すように、設計上の狙い値においては、1滴モード、2滴モード、3滴モードのそれぞれの噴射速度が所定の電圧あたり所定の誤差範囲に収まるように調整可能である。
しかしながら、周囲の温度環境が変化し、液体の粘度等が変化した際には、図15(B)に示すように1滴モード、2滴モード、3滴モードのそれぞれで所定の電圧あたりの噴射速度にズレが生じてくる。以下、上述した1滴モードに加えて本実施形態の液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置による2滴モードおよび3滴モードの動作について詳述する。なお、以下の説明は3滴モードを越える多滴モードにおいても同様に適用できるものである。
図16は、2滴モードにおける液滴の噴射状態を示すグラフである。図16は、図6と同様に横軸には時間t、縦軸にはノズル13からの距離Lを示している。
図16に示すように、本実施形態では、図6に示す1滴モードと同様の点Aに向かって2滴モードの液滴D20が時間txにおいて到達している。液滴D20は、ノズル13から噴射される微小液滴SD21、SD22によって構成され、ノズル13から距離L1の点において融合されて形成されている。
また、微小液滴SD21が噴射される際の速度は液滴D10(微小液滴SD11)が噴射される速度よりも遅く、また微小液滴SD22が噴射される際の速度は液滴D10および微小液滴SD21のいずれよりも速い。従って微小液滴SD22は微小液滴SD21に対して遅れて噴射されているにも関わらず微小液滴SD21に追いつき、融合された液滴D20は液滴D10に対する遅れが点Aで0になっている。
従って、本実施形態の2滴モードでは微小液滴SD21が噴射されてから液滴D20が点Aに到達するまでの時間が、液滴D10が噴射されてから点Aに到達するまでの時間と等しくなっている。このため、液滴D10と液滴D20とが混在して連続的に噴射された場合にもそれぞれの着弾位置にずれが生じない。
図17は、本実施形態の2滴モードにおける液体の圧力と駆動パルスTとの関係を示す図である。なお、参考として図11に示す1滴モードの駆動パルスT11も同一時間軸で示している。図17に示すように、2滴モードでは、先行する第一駆動パルスT21と、後続の第二駆動パルスT22とによって2滴の微小液滴SD21、SD22が生じる。
このとき、駆動パルスT21においては、1滴モードのときの噴射速度よりも噴射速度を低下させるために、駆動パルスの時間幅W21は時間幅W11よりもさらに延長されている。続いて、第二駆動パルスT22はt0から2ALだけ遅れて開始されるが、このとき、ノズル13の内部には微小液滴SD21を噴射したことによる残存波がある。
ここで、図17(B)に示すように、1滴モードにおける駆動パルスの時間幅W11で得られる速度v11に2滴モードにおける液滴D20の飛翔速度を一致させるための、第一駆動パルスT21の時間幅が時間幅W21である条件下における第二駆動パルスの時間幅を測定する。このようにして第一駆動パルスT21の時間幅W21に対応する第二駆動パルスT22の時間幅W22が決定される。
図18は、3滴モードにおける液滴の噴射状態を示すグラフである。図18は、図6、図16と同様に横軸には時間t、縦軸にはノズル13からの距離Lを示している。
図18に示すように、3滴モードでは、1滴モードにおける液滴D10が到達する点Aと同じ位置に3滴モードにおける液滴D30が到達するように構成されている。
3滴モードでは、例えば、ノズル13から距離L1の地点で微小液滴SD31と微小液滴SD32とが融合され、その後で距離L2において微小液滴SD33がさらに融合する。なお、3滴モードにおける距離L1は2滴モードにおける距離L1と一致している必要はない。
図19(A)は、本実施形態の3滴モードにおける液体の圧力と駆動パルスTとの関係を示す図である。なお、参考として図11および図17に示す1滴モードおよび2滴モードの駆動パルスT11、T21、T22も同一時間軸で示している。
図19に示すように、3滴モードにおいては、第一駆動パルスT31は、2滴モードにおける第一駆動パルスの時間幅W21よりもさらに延長された時間幅W31が採用され、微小液滴SD31は微小液滴SD32よりも減速されている(図18参照)。
続いて、第二駆動パルスT32は、第一駆動パルスの時間幅が時間幅W31である条件下において微小液滴SD31よりも飛翔速度が速くなる時間幅W32に設定される。さらに、第三駆動パルスの時間幅は、図19(B)に示すように時間幅W31、W32が決定された条件下における液滴D30の飛翔速度を測定して時間幅が(W31→W32→W33)の時に液滴D30の速度が速度v11となるように調整される。
なお、3滴モードの際の第三駆動パルスT33の時間幅W33は、時間幅W22と略同等の時間幅として近似することができる。これは、3滴モードの1滴目の微小液滴SD31による残存波が減衰されており、微小液滴SD33を噴射するタイミングにおける影響が少ないことによる。
上述のように、本実施形態では、1滴モード、2滴モード、3滴モードにおいて、液滴D10、D20、D30の飛翔速度が揃えられている。ここで、上述の1滴モードの説明における飛翔速度の補正方法と同様に駆動パルスの電圧を調整して液滴の飛翔速度を一律に引き上げることができる。
すると、1滴モードの場合に説明したのと同様に、液体の温度環境によらず液滴D10、D20、D30の飛翔速度が上述の最大速度v10に維持されると共に、液滴D10、D20、D30が被記録媒体Sに着弾する際のズレが抑制される。
以下では、上述のように1滴モード、2滴モード、3滴モードの噴射が行われた際の液滴D10、D20、D30の速度を測定した結果を記載する。
図20は、1滴モードにおいて、液滴を飛翔させた例を示している。図20に示すように、まず、従来と同様の時間幅W10で噴射された場合には、温度T0における液滴の飛翔速度は速度v2である。続いて温度THでは、液滴の飛翔速度は速度v2と異なる値にずれている。これに対して、時間幅W11である駆動パルスT11によって温度T0および温度THで液体を飛翔させた際には、時間幅W11のときよりも速度変化が少なくなっている。さらに、THモードとして駆動パルスT11の電圧をV1からV2へと変更することで、T0における液滴の噴射速度をv2にして飛翔速度の低下が補償されると共に温度THになった際の飛翔速度の変化が少なくなっている。
続いて、図21には、2滴モードにおいて、液滴を飛翔させた例を示している。図21において、W20−W10として示すのは従来の液体噴射ヘッドの駆動方法における2滴モードとして知られている一例である。これは、微小液滴を噴射するための最終の駆動パルスの長さが1滴モードの駆動パルスの時間幅W10と同じに定められたものである。本実施形態における時間幅W21−W22による2滴モードでは、従来の2滴モードと比べて液滴D20の飛翔速度の変化が少なく、液体の温度によらず液滴D20に飛翔速度が揃えられていることが分かる。
続いて、図22には、3滴モードにおいて、液滴を飛翔させた例を示している。図22において、W20−W20−W10として示すのは上記従来の液体噴射ヘッドの駆動方法における3滴モードとして知られている一例である。これは、微小液滴を噴射するための最終の駆動パルスの長さが1滴モードの駆動パルスの時間幅W10と同じに定められ、その他の駆動パルスの時間幅は2滴モードにおける時間幅W20と同一に設定されたものである。本実施形態における時間幅W31−W32−W33による3滴モードでは、従来の3滴モードと比べて液滴D30の飛翔速度の変化が少なく、液体の温度によらず液滴D30に飛翔速度が揃えられていることが分かる。
以上説明したように、本実施形態に係る液体噴射ヘッド4によれば、ノズル13における駆動パルスの時間幅は、1滴モードにおけるある電圧V1を有する駆動パルスでの最大速度v10よりも低いv11になるように調整される。このとき、1滴モードで断続的に液滴の噴射を繰り返しても液滴の飛翔速度は速度v11に揃っている。さらに、温度―電圧テーブル105に記憶された対応に基づいて、温度が規定値よりも変動しているTHモードにおいては電圧V2が選択される。従って、駆動パルスの電圧補正がかけられることによって最終的な液滴の飛翔速度がv10になるように速度減少が補償される。その結果、最終的にノズル13から飛翔される液滴の飛翔速度は最大速度v10である。このため、液体を噴射する温度環境が異なる状況においても液体の飛翔速度を好適に維持できる。
また、微小液滴SD11、SD21、SD22、SD31、SD32、SD33のそれぞれの噴射速度を規定する駆動パルスの時間幅がそれぞれW11、W21、W22、W31、W32、W33である。このように、多滴モードにおける後続の駆動パルスの時間幅が、1滴モードにおける第一駆動パルスの時間幅よりも長く設定されているため、1滴モードにおける液滴の飛翔速度と多滴モードにおける液滴の飛翔速度を同等にできる。
また、3滴モードにおける最終の駆動パルスである第三駆動パルスT33の時間幅と、2滴モードにおける最終の駆動パルスである第二駆動パルスT22の時間幅と、が等しくてもよいので、液滴の容量に応じた設定情報の一部を共有することができ、液体の噴射精度を損なわずに設定情報の記憶領域を削減することができる。
また、2滴モードおよび3滴モードにおいて第一駆動パルスT21、T31が各モードにおいて最も時間幅Wが長く、順次時間幅Wが短くなっている。従って、1のノズルにおいて先行して飛翔する微小液滴に対して同ノズルから引き続いて飛翔する微小液滴が追いつき、1の融合された液滴として一体的に飛翔する。
また、本発明の液体噴射記録装置1によれば、キャリッジユニット62によって高速に往復移動しながら液滴を飛翔させる液体噴射ヘッド4においてノズル13から被記録媒体Sまでの所定距離(例えば上述の距離Lx)だけ飛翔する液体は容量によらず飛翔開始位置となるノズル13を原点として重ね合わせ可能な軌跡を描く。従って、温度環境が異なる状況においても温度および液滴の容量によらず正確に液体を噴射して被記録媒体に記録できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の実施形態では、温度に対応してT0モードとTHモードとの二通りの動作モードを備える構成を採用したが、これに限らず2以上の境界によって異なる動作モードを備えることもできる。このように温度環境に対応した3以上の動作モードを備えることで、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置の温度環境の変化に対してより柔軟に対応できると共に、より広い温度域で好適に動作させることができる。
また、本発明の実施形態では、液滴Dおよび微小液滴SDを噴射させるための駆動波形の時間幅Wが、液滴Dの飛翔速度を最大速度とする時間幅よりも延長されている構成を示したが、この形態に限られるものではない。すなわち、駆動波形の時間幅Wが液滴Dの飛翔速度を最大速度とする時間幅よりも短縮されている構成を採用しても構わない。
1 液体噴射記録装置
2 搬送機構
4 液体噴射ヘッド
13 ノズル
15 アクチュエータープレート
15a 隔壁
15b 溝
15c 電極
42 流路基板(液体流路)
42a 流入口(液体流路)
45a 制御部
51 液体供給管
100 制御手段
102 温度検出処理手段
103 選択手段
105 温度−電圧テーブル
108 印加手段
C 本体制御部(制御部)
D、D10、D20、D30 液滴
L 距離
S 被記録媒体
T、T11、T21、T22、T31、T32、T33 駆動パルス
W、W11、W21、W22、W31、W32、W33 時間幅
v10 最大速度

Claims (5)

  1. 印加電圧に応動して変形動作するアクチュエーターで構成される複数の側壁と、
    ノズルに連通して前記側壁の間に並設された複数の溝と、
    前記溝のそれぞれに液体を供給する液体流路と、
    前記側壁に設けられた電極と、
    前記アクチュエーターを変形動作させて前記ノズルから前記液体の液滴を飛翔させる所定電圧の駆動パルスを、該アクチュエーターを動作させない休止時間を設けながら前記電極に印加する印加手段と、
    前記印加手段によって前記電極に印加する駆動パルスを一回以上発生させることで被記録媒体に到達する液滴の容量を変化させる制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段が、
    前記液体の温度に基づいて前記印加手段によって印加される前記所定電圧の複数の規定値が記録あるいは記憶された温度−電圧テーブルと、
    前記電圧−温度テーブルに基づいて前記液体の温度に対応する電圧を選択し、前記電圧を前記所定電圧として前記印加手段に通知する選択手段と、
    を有し、
    前記駆動パルスの時間幅は前記液体の飛翔速度を最大速度とする時間幅よりも長く設定され、かつ、前記所定電圧は前記飛翔速度の減少を補償する値に設定されている
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記制御手段が、
    第一駆動パルスのみが印加されて前記液滴が形成される1滴モードと、
    前記第一駆動パルスに遅行して第二駆動パルスが印加されて前記液滴が形成される多滴モードと、
    前記駆動パルスを二回以上発生させる際に、先行して印加される第一駆動パルスと前記第一駆動パルスに遅行して印加される第二駆動パルスとの時間幅を異ならせる調整手段と、
    を備え、
    前記多滴モードにおける前記第二駆動パルスの時間幅が、前記1滴モードにおける前記第一駆動パルスの時間幅よりも長く設定されている請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記制御手段において、2以上の前記駆動パルスによって1の前記液滴を構成する際の最終の駆動パルスの時間幅が、前記液滴の容量によらず同一に設定されている請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記制御手段において、2以上の前記駆動パルスによって1の前記液滴を構成する際に、前記第一駆動パルスの時間幅が前記第二駆動パルスの時間幅よりも長く設定されている請求項2または3に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドと、
    前記液体噴射ヘッドを前記液体が噴射される被記録媒体に対向して往復移動させる移動機構と、
    前記被記録媒体を前記ノズルと一定の距離をもって搬送する搬送機構と、
    前記印加手段および前記制御手段とのそれぞれに電気的に接続された制御部と、
    を備えることを特徴とする液体噴射記録装置。
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