JP2010208221A - チップ割り無端ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】小サイズチップであっても割れ不良が低減され、かつチップの小型化に対応してベルト厚みを薄くでき、しかもチップ角部により傷つくのを防止することができるチップ割り無端ベルトを提供する。
【解決手段】一対のプーリー間に張設されるシームレス状のチップ割り無端ベルトであって、基材と、この基材上に設けられ表面がチップ接触面となる表面層とを備え、前記基材がポリイミド樹脂からなり、前記表面層が弾性材、例えばイミド変性ポリウレタンエラストマー等のイミド変性エラストマーからなる。
【選択図】図2
【解決手段】一対のプーリー間に張設されるシームレス状のチップ割り無端ベルトであって、基材と、この基材上に設けられ表面がチップ接触面となる表面層とを備え、前記基材がポリイミド樹脂からなり、前記表面層が弾性材、例えばイミド変性ポリウレタンエラストマー等のイミド変性エラストマーからなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、セラミック製チップ抵抗器等のチップを所定の寸法に分割するためのチップ割り無端ベルトに関する。
近年、セラミック製チップ抵抗器等のチップサイズは、0603サイズ以下まで小型化している。これらのチップをボードから所定寸法に分割するために、従来は刃物で切断するダイサー方式と呼ばれる方式が用いられてきたが、時間がかかる上に生産性が低いという問題があった。
このため上下一対のベルト間にチップを通して分割する方法が検討されている。すなわち、この方法では、図1に示すように、まず、ボード30を1方向に沿って分割し、多数の列状体32とし、次に各々の列状体32をさらにその長さ方向に垂直な方向に沿って分割し、チップ34 とする。
このようなチップ割り工程においては、図2に示されるようなチップ分割装置40が用いられる。このチップ分割装置40には、一対のチップ割り無端ベルト10、10が用いられる。これら一対のチップ割り無端ベルト10、10は、ボード30または列状体32を押圧するための小径の第1のプーリー42および第2プーリー44等のプーリーに掛け回されている。
ボード30または列状体32は、一対の上記無端ベルト10、10の間の隙間Sに挿入される。そして、第1および第2のプーリー42、44によって屈曲されたチップ割り無端ベルト10の屈曲部位12において、ボード30、列状体32は上下方向に押圧され、列状体32またはチップ34に分割される。
特許文献1には、上記チップ割り無端ベルト10として、芯体としての織布(通常、帆布)をゴム、樹脂等の表面材によって被覆すると共に、表面材により形成されたチップ接触面に梨地加工を施した無端ベルトが開示されている。
しかし、特許文献1に記載のチップ割り無端ベルトでは、無端ベルトのチップ接触面に織布による凹凸が形成される。このため、サイズが小さいチップの場合、この凹部にチップが沈み込むことによる割れ不良が生じやすく、歩留まりが低下するおそれがある。また、従来のチップ割り無端ベルトは、チップ割り時にチップ角部が背接触することにより傷つきやすいため、ベルト寿命が短くなるという問題もあった。
さらに、ベルトによるチップ分割では、チップが小型化するとそれに対応してベルト厚みを薄くしなければチップの分割自体が不可能となってしまうが、織布芯体のベルトでは強度を保ちながらベルト厚みを薄くすることが困難である。
本発明の課題は、小サイズチップであっても割れ不良が低減され、かつベルト厚みを薄くでき、しかもチップ角部により傷つくのを防止することができるチップ割り無端ベルトを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、平滑フィルムで強度が高いポリイミドを基材に利用することで表面凹凸をなくし、かつベルト厚みを薄くし、さらにチップ角でベルトを傷つけないために前記基材の表面に弾性層を設けることによって、上記課題を解決できるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のチップ割り無端ベルトを提供するものである。
(1)一対のプーリー間に張設されるシームレス状のチップ割り無端ベルトであって、基材と、この基材上に設けられ表面がチップ接触面となる表面層とを備え、前記基材がポリイミド樹脂からなり、前記表面層が弾性材からなることを特徴とするチップ割り無端ベルト。
(2)前記弾性材がイミド変性エラストマーであることを特徴とする上記(1)に記載のチップ割り無端ベルト。
(3)前記イミド変性エラストマーは、イミド変性ポリウレタンエラストマーである上記(2)に記載のチップ割り無端ベルト。
(4)前記イミド変性ポリウレタンエラストマーは、下記一般式(I):
[式中、R1は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示す。R2は、重量平均分子量100〜10,000の2価の有機基を示す。R3は、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示す。R4は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示す。nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。]
で表される上記(3)に記載のチップ割り無端ベルト。
(1)一対のプーリー間に張設されるシームレス状のチップ割り無端ベルトであって、基材と、この基材上に設けられ表面がチップ接触面となる表面層とを備え、前記基材がポリイミド樹脂からなり、前記表面層が弾性材からなることを特徴とするチップ割り無端ベルト。
(2)前記弾性材がイミド変性エラストマーであることを特徴とする上記(1)に記載のチップ割り無端ベルト。
(3)前記イミド変性エラストマーは、イミド変性ポリウレタンエラストマーである上記(2)に記載のチップ割り無端ベルト。
(4)前記イミド変性ポリウレタンエラストマーは、下記一般式(I):
[式中、R1は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示す。R2は、重量平均分子量100〜10,000の2価の有機基を示す。R3は、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示す。R4は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示す。nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。]
で表される上記(3)に記載のチップ割り無端ベルト。
本発明のチップ割り無端ベルトは、ポリイミド樹脂からなる基材上に弾性材からなる表面層を設けた構成であるので、薄く高強度であり、従って小サイズチップであっても割れ不良が低減され、かつチップの小型化に対応してベルト厚みを薄くできる。しかも、本発明では、表面のチップ接触面に適度な弾性を付与することができるので、チップ角部によりベルト表面が傷つくのを防止することができ、ベルト寿命が長くなるという効果がある。
特に、弾性材としてイミド変性エラストマーを使用すると、ポリイミド樹脂との接着性に優れ、かつ分子鎖中のイミド分率を変化させることによって、弾性、強度、表面摩擦係数(μ)等をコントロールすることができるので、チップ接触面となる表面層を形成するための弾性材として好適である。
特に、弾性材としてイミド変性エラストマーを使用すると、ポリイミド樹脂との接着性に優れ、かつ分子鎖中のイミド分率を変化させることによって、弾性、強度、表面摩擦係数(μ)等をコントロールすることができるので、チップ接触面となる表面層を形成するための弾性材として好適である。
本発明の一実施形態にかかるチップ割り無端ベルト(以下、単に無端ベルトということがある)は、基材がポリイミド樹脂からなり、表面層を構成する弾性材がイミド変性エラストマーからなる。
基材を構成する前記ポリイミド樹脂としては、特に限定されるものではなく、一般に、酸無水物とジアミン化合物から合成されたポリアミド酸を熱および触媒等によってイミド化することで得られる。具体的には、前記酸無水物としては、例えば無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、4,4'−(2,2'−ヘキサフルオロイソプロピリジン)ジフタル酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、前記ジアミン化合物としては、例えば1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5'−ジオキシド、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4'−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン等が挙げられ、例えば特許第2560727号公報に記載されているものが挙げられる。前記ポリイミド樹脂は熱硬化性であるのが好ましい
また、このようなポリイミド樹脂には種々の添加剤を添加することができる。例えば無端ベルトに帯電防止機能を付与するために、ポリイミド樹脂に帯電防止剤を添加してもよい。帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、各種導電性材料、特にカーボンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
表面層を構成する前記イミド変性エラストマーとしては、そのエラストマー中に以下に示すエラストマー成分と、イミド成分とを有するものが好ましい。すなわち、エラストマー成分としては、例えばポリウレタン、不飽和オレフィン系オリゴマー、アクリル系オリゴマー、フッ素ゴム系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー等が挙げられ、前記イミド成分としては、例えば脂環式モノマー、複素環式モノマー、フェニルエーテル系モノマー、アルキル側鎖モノマー等が挙げられる。
本実施形態では、前記で例示したイミド変性エラストマーのうち、ポリウレタンをエラストマー成分とするイミド変性ポリウレタンエラストマー(以下、「ポリイミドウレタンエラストマー」または「PIUE」ということがある。)が好ましく、特に、前記一般式(I)で表されるPIUE(以下、「PIUE(I)」ということがある。)が好ましい。
PIUE(I)は、ポリウレタン(ポリウレタンプレポリマー)をエラストマー成分として含有すると共に、主鎖に連続した2つのイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合(イミド分率)で導入することができるので、強度、表面摩擦係数(μ)等の特性を簡単かつ確実にコントロールすることができる。また、PIUE(I)は、分子鎖中にイミドユニットを持つことから、イミド樹脂との良好な接着性が期待できる。
具体的には、前記一般式(I)において前記R1は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(A)に従ってポリウレタンプレポリマー(c)を合成する際に用いるジイソシアナート(a)の残基等が挙げられる。
前記R2は、重量平均分子量100〜10,000、好ましくは300〜5,000の2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば反応行程式(A)に従ってポリウレタンプレポリマー(c)を合成する際に用いるポリオール(b)の残基等が挙げられる。
前記R3は、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(B)に従ってポリウレタン−ウレア化合物(e)を合成する際に用いるジアミン化合物(d)の残基等が挙げられる。前記脂肪族鎖は、炭素数1のものも含む。
前記R4は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(C)に従ってイミド変性エラストマー(I)を合成する際に用いるテトラカルボン酸二無水物(f)の残基等が挙げられる。
前記nは1〜100の整数、好ましくは2〜50の整数を示す。前記mは2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数を示す。
前記nは1〜100の整数、好ましくは2〜50の整数を示す。前記mは2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数を示す。
前記一般式(I)で表されるPIUEは、ジイソシアナートとポリオールから得た分子両末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーをジアミン化合物でウレア結合により鎖延長し、テトラカルボン酸二無水物でウレア結合部にイミドユニットを導入したブロック共重合体であるのが好ましい。このような PIUEは、例えば、以下に示すような反応工程式(A)〜(C)を経て製造することができる。
(ポリウレタンプレポリマー(c)の合成)
上記反応行程式(A)に示すように、まず、ジイソシアナート(a)とポリオール(b)から分子両末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマー(c)を得る。PIUE(I)は、このポリウレタンプレポリマー(c)をエラストマー成分とするので、ゴム状領域(室温付近)の弾性率が低くなり、よりエラスティックにすることができると共に、このポリウレタンプレポリマー(c)の分子量を制御することにより、主鎖に連続した2つのイミドユニットを、 その分布を制御しつつ所望の割合で導入することが可能となる。
上記反応行程式(A)に示すように、まず、ジイソシアナート(a)とポリオール(b)から分子両末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマー(c)を得る。PIUE(I)は、このポリウレタンプレポリマー(c)をエラストマー成分とするので、ゴム状領域(室温付近)の弾性率が低くなり、よりエラスティックにすることができると共に、このポリウレタンプレポリマー(c)の分子量を制御することにより、主鎖に連続した2つのイミドユニットを、 その分布を制御しつつ所望の割合で導入することが可能となる。
具体的には、前記ジイソシアナート(a)としては、例えば2,4−トリレンジイソシアナート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ポリメリックMDI(Cr.(Pr.)MDI)、ジアニシジンジイソシアナート(DADL)、ジフェニルエーテルジイソシアナート(PEDI)、ビトリレンジイソシアナート(TODI)、ナフタレンジイソシアナート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、リジンジイソシアナートメチルエステル(LDI)、メタキシリレンジイソシアナート(MXDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ダイマー酸ジイソシアナート(DDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)(IPCI)、シクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアナート(水添TDI)、TDI2量体(TT)等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよく、減圧蒸留したものを用いるのが好ましい。
前記ポリオール(b)としては、例えばポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリマーポリオール等のポリエーテルポリオール;アジペート系ポリオール(縮合ポリエステルポリオール)、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリエステルポリオール;ポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
ポリオール(b)は、70〜90℃、1〜5mmHg、10時間〜30時間程度の条件で減圧乾燥したものを用いるのが好ましい。また、ポリオール(b)の重量平均分子量は100〜10,000、好ましくは300〜5,000であるのがよい。前記重量平均分子量は、ポリオール(b)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
反応は、上記で例示したジイソシアナート(a)とポリオール(b)とを所定の割合で混合した後、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、室温で1時間〜5時間程度反応させればよい。ジイソシアナート(a)とポリオール(b)との混合比(モル)は、ジイソシアナート(a):ポリオール(b)=1.1:1.0〜2.0:1.0の範囲にするのが好ましい。これにより、得られるポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量を、下記で説明する所定の値にすることができる。
得られるポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量は、300〜50,000、好ましくは500〜45,000であるのがよい。この範囲内でポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量を制御して、イミドユニットを所望の割合で導入すると、低摩擦性等に優れ、また適度な弾性を有するPIUE(I)を得ることができる。
また、ポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量が、前記範囲内において小さいほど、ハードなPIUE(I)を得ることができる。これに対し、前記分子量が300より小さいと、PIUE(I)がハードになりすぎ、50,000より大きいと、ソフトになりすぎるおそれがあるので好ましくない。前記重量平均分子量は、ポリウレタンプレポリマー(c)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
(ポリウレタン−ウレア化合物(e)の合成)
上記で得られたポリウレタンプレポリマー(c)を用いて、反応行程式(B)に従ってイミド前駆体であるポリウレタン−ウレア化合物(e)を合成する。すなわち、ポリウレタンプレポリマー(c)をジアミン化合物(d)でウレア結合により鎖延長してポリウレタン−ウレア化合物(e)を得る。
上記で得られたポリウレタンプレポリマー(c)を用いて、反応行程式(B)に従ってイミド前駆体であるポリウレタン−ウレア化合物(e)を合成する。すなわち、ポリウレタンプレポリマー(c)をジアミン化合物(d)でウレア結合により鎖延長してポリウレタン−ウレア化合物(e)を得る。
具体的には、前記ジアミン化合物(d)としては、例えば1,4−ジアミノベンゼン(別名:p−フェニレンジアミン、略称:PPD)、1,3−ジアミノベンゼン(別名:m−フェニレンジアミン、略称:MPD)、2,4−ジアミノトルエン(別名:2,4−トルエンジアミン、略称:2,4−TDA)、4,4'− ジアミノジフェニルメタン(別名:4,4'−メチレンジアニリン、略称:MDA)、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(別名:4,4'−オキシジアニリン、略称:ODA、DPE)、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル(別名:3,4'−オキシジアニリン、略称:3,4'−DPE)、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(別名:o−トリジン、略称:TB)、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(別名:m−トリジン、略 称:m−TB)、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル(略称:TFMB)、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド(別名:o−トリジンスルホン、略称:TSN)、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、 4,4'−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド(別名:4,4'−チオジアニリン、略称:ASD)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(別名:4,4'−スルホニルジアニリン、略称:ASN)、4,4'−ジアミノベンズアニリド(略称:DABA)、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン(n=3,4,5、略称:DAnMG)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン(略称:DANPG)、1,2−ビス [2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン(略称:DA3EG)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(略称:FDA)、5(6)−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(略称:TPE−Q)、1,3−ビス (4−アミノフェノキシ)ベンゼン(別名:レゾルシンオキシジアニリン、略称:TPE−R)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(略称:APB)、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(略称:BAPB)、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス (4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(略称:BAPP)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(略称:BAPS)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(略称:BAPS−M)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパ ン(略称:HFBAPP)、3,3'−ジカルボキシ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン(略称:MBAA)、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン(別名:4,6−ジアミノレゾルシン)、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノビフェニル(別名:3,3'−ジヒドロキシベンジジン、略称:HAB)、3,3',4,4'−テトラアミノビフェニル(別名:3,3'−ジアミノベンジジン、略称:TAB)等の炭素数6〜27の芳香族ジアミン化合物;1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1,8−オクタメチレンジアミン(OMDA)、1,9−ノナメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン(DMDA)、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(別名:イソホロンジアミン)、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサンジアミン等の炭素数6〜24の脂肪族または脂環式ジアミン化合物;1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシリコーン系ジアミン化合物等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
特に、1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を用いるのが、強度に優れるPIUE(I)を得ることができるうえで好ましい。また、上記で例示したジアミン化合物(d)の選択によっても、PIUE(I)の弾性率を調整することができる。
反応は、ウレタンプレポリマー(c)と、上記で例示したジアミン化合物(d)とを等モル、好ましくはNCO/NH2比が1.0程度の割合で混合した後、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、室温〜100℃、好ましくは50〜100℃において、2時間〜30時間程度で溶液重合反応または塊状重合反応させればよい。
前記溶液重合反応に使用できる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−ヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン等が挙げられ、特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−ヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドンが好ましい。これらの溶媒は、1種または2種以上を混合して用いてもよく、定法に従い脱水処理したものを用いるのが好ましい。
(PIUE(I)の合成)
上記で得られたポリウレタン−ウレア化合物(e)を用いて、反応行程式(C)に従って一般式(I)で表されるPIUEを合成する。すなわち、テトラカルボン酸二無水物(f)でウレア結合部にイミドユニットを導入してブロック共重合体であるPIUE(I)を得る。
上記で得られたポリウレタン−ウレア化合物(e)を用いて、反応行程式(C)に従って一般式(I)で表されるPIUEを合成する。すなわち、テトラカルボン酸二無水物(f)でウレア結合部にイミドユニットを導入してブロック共重合体であるPIUE(I)を得る。
具体的には、前記テトラカルボン酸二無水物(f)としては、例えば無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゾフェノン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ジフェニルスルホン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4'−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、m(p)−ターフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
反応は、ポリウレタン−ウレア化合物(e)とテトラカルボン酸二無水物(f)とのイミド化反応である。該イミド化反応は、溶媒下、無溶媒下のいずれであってもよい。溶媒下でイミド化反応を行う場合には、まず、ポリウレタン−ウレア化合物(e)と、上記で例示したテトラカルボン酸二無水物(f)とを所定の割合で溶媒に加え、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、100〜300℃、好ましくは135〜200℃、より好ましくは150〜170℃において、1時間〜10時間程度反応させて、下記式(g)で表されるポリウレタンアミド酸(PUA)を含む溶液(PUA溶液)を得る。
[式中、R1〜R4,n,mは、前記と同じである。]
[式中、R1〜R4,n,mは、前記と同じである。]
ここで、ポリウレタン−ウレア化合物(e)とテトラカルボン酸二無水物(f)との混合は、ポリウレタン−ウレア化合物(e)の合成で使用したジアミン化合物(d)とテトラカルボン酸二無水物(f)との混合比(モル)が、ジアミン化合物(d):テトラカルボン酸二無水物(f)=1:2〜1:2.02の範囲となる割合で混合するのが好ましい。これにより、確実にウレア結合部にイミドユニットを導入することができる。
使用できる溶媒としては、上記反応行程式(B)の溶液重合反応に使用できる溶媒で例示したものと同じ溶媒を例示することができる。なお、反応行程式(B)において溶液重合反応でポリウレタン−ウレア化合物(e)を得た場合には、該溶媒中でイミド化反応を行えばよい。
PIUE(I)の重量平均分子量は、10,000〜1000,000、好ましくは50,000〜800,000、より好ましくは50,000〜500,000であるのがよい。前記重量平均分子量は、上記式(g)で表されるポリウレタンアミド酸(PUA)を含むPUA溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値から導き出した値である。なお、PIUE(I)ではなく、PUA溶液をGPCで測定するのは、PIUE(I)は、GPCの測定溶媒に不溶なためである。
また、PIUE(I)のイミド分率(イミド成分含有率)、すなわちイミド変性エラストマー中のイミド成分の割合を調整すると、弾性率を簡単に調整することができる。イミド分率は、弾性率等に応じて任意に選定すればよく、特に限定されるものではないが、通常、60重量%以下で、10重量%以上が妥当である。
前記イミド分率は、原料、すなわちジイソシアナート(a)、ポリオール(b)、ジアミン化合物(d)およびテトラカルボン酸二無水物(f)の仕込み量から算出される値であり、より具体的には、下記式(痾)から算出される値である。
次に、チップ割り無端ベルトの製造方法について、弾性材であるイミド変性エラストマーに前記したPIUE(I)を用いた場合を例に挙げて説明する。
無端ベルトは、例えば遠心成形法により得ることができる。遠心成形法では、まず、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸のワニス(ポリイミドワニス)と、上記で説明したPUA溶液とを調製する。ポリイミドワニスは、特に限定されるものではなく、ポリアミド酸を適当な溶剤に加えてワニス化したものの他、市販のものを用いてもよく、具体例としては、宇部興産(株)社製の商品名「UワニスA」等が挙げられる。このポリイミドワニスの固形分量としては、例えば10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%、より好ましくは18重量%程度であるのがよい。また、PUA溶液の固形分量としては、例えば10〜30重量%、好ましくは20重量%程度であるのがよい。
ポリイミドワニスおよびPUA溶液は、それぞれ攪拌機を用いて30分〜2時間、好ましくは1時間程度攪拌しながら脱泡処理を行うのが好ましい。前記攪拌機としては、例えば密閉式攪拌機、ロールミル、ビーズミル、ホモジナイザー等が挙げられ、さらに例示したこれら以外の公知の攪拌機を用いてもよい。
そして、前記で調製したポリイミドワニスおよびPUA溶液のうち、まず、ポリイミドワニスを遠心成形機に投入する。そして、遠心成形機を110〜130℃、好ましくは120℃程度に加熱し、かつ100〜600rpm、好ましくは200〜500rpm程度で30分〜120分間回転させて遠心成形を行う。これにより、ポリイミドワニスをドラム全体に充分にかつ均一に延伸させることができる。なお、遠心成形機のドラム内面には、あらかじめ離型剤を塗布するか、離型性を有する樹脂層を形成する等の表面処理を施しておくのが好ましい。これにより、得られる管状の積層シートを遠心成型機から簡単に取り外すことができる。
ついで、ポリイミドワニスを熱処理してポリイミド樹脂シートを得る。熱処理は、例えば遠心成形機の回転数を900〜1,100rpm、好ましくは1,000rpm程度に上げ、20〜40分間、好ましくは30分間程度で熱処理を行うか、あるいは成形後の成形ドラムをそのまま熱オーブンなどに入れて、200〜400℃で30〜120分間程度加熱して行うのがよい。得られたポリイミド樹脂シートは、必要なら50〜70℃、好ましくは60℃程度にまで冷却してもよい。なお、熱処理は、次の積層シート成形後に行ってもよい。
次に、ポリイミド樹脂シートを成形したドラムを100〜600rpm、好ましくは200〜500rpm程度で回転させながら、PUA溶液を上記ポリイミド樹脂シート内面に注入し、その後、回転数を50〜200rpm、好ましくは100rpm程度で回転させると共に、110〜130℃、好ましくは120℃程度に加熱し、30分〜120分間程度で熱処理を行ことで管状の積層シートを形成する。
ついで、この積層シートをドラムごと熱処理する。すなわち、成形後の成形ドラムをそのまま熱オーブンなどに入れて、200〜400℃で30〜120分間程度加熱して行うのがよい。あるいはドラムから積層シートを取り外し、収縮による変形を防ぐため、表面離型処理を施した金型にセットし、減圧条件下で300〜400℃、好ましくは350℃程度で20〜40分間、好ましくは30分間程度で熱処理を行ってもよい。得られた管状の積層シートは適切な大きさにスリットして、基材上に表面層を備えた無端ベルトを得る。
なお、この例では、ドラムから取り外された、無端ベルト(2層ベルト)は、イミド変性エラストマーからなる裏面層と、ポリイミド樹脂からなる表面層を備える。そのため、この無端ベルトを所定の幅に切断し、裏返すことで表面層がイミド変性エラストマーからなり、裏面層(すなわち基材)がポリイミド樹脂からなる無端ベルトを得ることができる。
なお、この例では、ドラムから取り外された、無端ベルト(2層ベルト)は、イミド変性エラストマーからなる裏面層と、ポリイミド樹脂からなる表面層を備える。そのため、この無端ベルトを所定の幅に切断し、裏返すことで表面層がイミド変性エラストマーからなり、裏面層(すなわち基材)がポリイミド樹脂からなる無端ベルトを得ることができる。
ここで、ポリイミド樹脂からなる基材は、厚さが20μm〜100μm、望ましくは60μm〜80μmの範囲であるのが薄く高強度な無端ベルトを得るうえで適当である。また、イミド変性エラストマーなどからなる弾性材からなる表面層は、厚さが20μm〜150μm、望ましくは80μm〜130μmの範囲であるのが無端ベルトの表面に適度な弾性を付与するうえで適当である。
無端ベルトの総厚みは、通常、40〜250μm程度、好ましくは140〜210μmであるのがよい。これにより、チップの小型化に対応してベルト厚みを薄くできる。
無端ベルトの総厚みは、通常、40〜250μm程度、好ましくは140〜210μmであるのがよい。これにより、チップの小型化に対応してベルト厚みを薄くできる。
また、上記無端ベルトは高強度である。ここで高強度とは、例えばベルト1の破断強度(TB)が8N/mm以上、好ましくは8〜32N/mmである場合を意味する。また、ベルト1の破断強度と同時に求められる破断伸度は3〜40%、好ましくは4〜30%であるのがよい。無端ベルトの破断強度および破断伸度は、主として基材であるポリイミド樹脂層に依存するが、表面層を構成するイミド変性エラストマーのイミド分率を調整したり、ベルトの厚みを調整したりすること等によっても達成することができる。
前記破断強度(TB)および破断伸度は、ベルトを3号ダンベルで打ち抜き、標線間20mm、500mm/分の条件で、JIS K6251に準拠して引張試験を行うことにより求められる。
前記破断強度(TB)および破断伸度は、ベルトを3号ダンベルで打ち抜き、標線間20mm、500mm/分の条件で、JIS K6251に準拠して引張試験を行うことにより求められる。
上記無端ベルト表面の硬さは、JIS A 30〜95(JIS K 6253)となるように調整されている。これによりベルト表面に適度な弾性を有しているために、チップ角部によりベルト表面が傷つくのが防止され、ベルト寿命を長くすることができる。
さらに、無端ベルト表面の摩擦係数(μ)は、0.1以上、好ましくは0.3〜1.0であるのがよい。表面摩擦係数(μ)を0.1以上とするには、例えばイミド変性エラストマーのイミド分率を前記所定値にすること等によって達成することができる。表面摩擦係数(μ)は、表面摩擦測定装置を用い、荷重200g、試験速度10mm/分で測定を行った結果、得られる動摩擦係数の値である。なおサンプルサイズは幅20mm、長さ70mm、対象物はステンレス鋼(SUS)板である。
表面層を構成する弾性材としては、前記したイミド変性エラストマーに限定されるものではなく、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、発泡体などの各種の弾性材が使用可能である。具体的には、弾性材として、例えばニトリルゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、ミラブルウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、塩化ビニル、フェノールレジン、ポリイミド、ポリエステル、フッ素樹脂のいずれか、あるいはこれらを混合させたものが使用可能である。
本発明の無端ベルトは、図2に示すような一対のチップ割り無端ベルト10、10として好適に使用可能である。この場合、本発明の無端ベルトは、両無端ベルト10、10のうちの一方(例えば駆動ベルト)にのみ適用し、他方(例えば従動ベルト)には織布等の芯体を備えた通常の無端ベルトを使用してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例]
(ポリウレタンプレポリマーの合成)
まず、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)[日本ポリウレタン工業(株)社製]を減圧蒸留した。また、ポリカーボネートジオール(PCD)[日本ポリウレタン工業(株)社製の商品名「ニッポラン981」、重量平均分子量:1,000]を80℃、2〜3mmHg、24時間の条件で減圧乾燥した。
ついで、上記MDI30.4gと、PCD69.6gとを、攪拌機およびガス導入管を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、80℃で2時間攪拌して、分子両末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマーを得た。このポリウレタンプレポリマーをGPCで測定した結果、ポリスチレン換算した値で重量平均分子量は1.5ラ104であった。
(ポリウレタンプレポリマーの合成)
まず、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)[日本ポリウレタン工業(株)社製]を減圧蒸留した。また、ポリカーボネートジオール(PCD)[日本ポリウレタン工業(株)社製の商品名「ニッポラン981」、重量平均分子量:1,000]を80℃、2〜3mmHg、24時間の条件で減圧乾燥した。
ついで、上記MDI30.4gと、PCD69.6gとを、攪拌機およびガス導入管を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、80℃で2時間攪拌して、分子両末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマーを得た。このポリウレタンプレポリマーをGPCで測定した結果、ポリスチレン換算した値で重量平均分子量は1.5ラ104であった。
(ポリウレタン−ウレア化合物の合成)
上記で得たポリウレタンプレポリマー10gを脱水処理したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)60mlに溶解させたものと、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(MDA)1.034gを脱水処理したNMP20mlに溶解させたものとを、攪拌機およびガス導入管を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、室温(23℃)で24時間攪拌して、ポリウレタン−ウレア化合物の溶液を得た。
上記で得たポリウレタンプレポリマー10gを脱水処理したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)60mlに溶解させたものと、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(MDA)1.034gを脱水処理したNMP20mlに溶解させたものとを、攪拌機およびガス導入管を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、室温(23℃)で24時間攪拌して、ポリウレタン−ウレア化合物の溶液を得た。
(ポリウレタンアミド酸の合成)
上記で得たポリウレタン−ウレア化合物の溶液中に、無水ピロメリット酸(PMDA)(m)2.276gを加え、アルゴンガス雰囲気下、150℃で2時間攪拌して、ポリウレタンアミド酸(PUA)溶液を得た。
上記で得たポリウレタン−ウレア化合物の溶液中に、無水ピロメリット酸(PMDA)(m)2.276gを加え、アルゴンガス雰囲気下、150℃で2時間攪拌して、ポリウレタンアミド酸(PUA)溶液を得た。
(無端ベルトの作成)
まず、ポリアミド酸溶液(宇部興産(株)社製、商品名「UワニスA」)を、遠心成形機を用いて120℃、232rpmで90分遠心成形して、筒状のアミド酸シートを得た。このアミド酸シートを、成形ドラムごと熱オーブンを用いて320℃、60分加熱処理することで、厚み80μmのポリイミド樹脂シートを得た。
このシートを成形ドラムごと遠心成形に戻し、ドラム内面に、合成例で得たイミド分率25%のPUA溶液を注入し、120℃、232rpmで90分遠心成形して、総厚み180μmの筒状の積層シートを得た。
さらにこの積層シートを、ドラムごと熱オーブンを用い、200℃、120分加熱処理し、冷却後ドラムから外す事で、PIUE(1)からなる裏面層と、ポリイミド樹脂からなる表面層を備えた、無端ベルト(2層ベルト)を得た。
最後に、この無端ベルトを所定幅に切断し、裏返すことで表面層がPIUE(1)からなり、基材(裏面層)がポリイミド樹脂からなる無端ベルトを得た。前記PIUE(1)はイミド分率35重量%、重量平均分子量が57,000であった。
まず、ポリアミド酸溶液(宇部興産(株)社製、商品名「UワニスA」)を、遠心成形機を用いて120℃、232rpmで90分遠心成形して、筒状のアミド酸シートを得た。このアミド酸シートを、成形ドラムごと熱オーブンを用いて320℃、60分加熱処理することで、厚み80μmのポリイミド樹脂シートを得た。
このシートを成形ドラムごと遠心成形に戻し、ドラム内面に、合成例で得たイミド分率25%のPUA溶液を注入し、120℃、232rpmで90分遠心成形して、総厚み180μmの筒状の積層シートを得た。
さらにこの積層シートを、ドラムごと熱オーブンを用い、200℃、120分加熱処理し、冷却後ドラムから外す事で、PIUE(1)からなる裏面層と、ポリイミド樹脂からなる表面層を備えた、無端ベルト(2層ベルト)を得た。
最後に、この無端ベルトを所定幅に切断し、裏返すことで表面層がPIUE(1)からなり、基材(裏面層)がポリイミド樹脂からなる無端ベルトを得た。前記PIUE(1)はイミド分率35重量%、重量平均分子量が57,000であった。
[比較例1]
PUA溶液を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして、厚さ80μmの無端ベルト(すなわちポリイミド樹脂からなる単層ベルト)を得た。
PUA溶液を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして、厚さ80μmの無端ベルト(すなわちポリイミド樹脂からなる単層ベルト)を得た。
実施例1および比較例1で得た各無端ベルトについて、下記の性能試験を行った。
<性能試験>
(a) 硬度測定
ウオーレス硬度計を用いて表面硬度を測定した。なお、実施例1のベルト硬度は、PIUE(1)からなる表面層の表面硬度を示している。
(b) 引張試験
JIS K 6251に準拠して、破断強度および破断伸度を測定した。
(c) 摩擦係数
ヘイドン式摩擦係数を測定した(荷重20g/cm2、速度300mm/分)。
<性能試験>
(a) 硬度測定
ウオーレス硬度計を用いて表面硬度を測定した。なお、実施例1のベルト硬度は、PIUE(1)からなる表面層の表面硬度を示している。
(b) 引張試験
JIS K 6251に準拠して、破断強度および破断伸度を測定した。
(c) 摩擦係数
ヘイドン式摩擦係数を測定した(荷重20g/cm2、速度300mm/分)。
10:チップ割り無端ベルト、12:屈曲部位、30:ボード、32:列状体、34:チップ、40:チップ分割装置、42:第1のプーリー、44:第2プーリー、S:隙間
Claims (4)
- 一対のプーリー間に張設されるシームレス状のチップ割り無端ベルトであって、基材と、この基材上に設けられ表面がチップ接触面となる表面層とを備え、前記基材がポリイミド樹脂からなり、前記表面層が弾性材からなることを特徴とするチップ割り無端ベルト。
- 前記弾性材がイミド変性エラストマーであることを特徴とする請求項1記載のチップ割り無端ベルト。
- 前記イミド変性エラストマーは、イミド変性ポリウレタンエラストマーである請求項2記載のチップ割り無端ベルト。
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---|---|---|---|
JP2009058460A JP2010208221A (ja) | 2009-03-11 | 2009-03-11 | チップ割り無端ベルト |
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Citations (4)
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---|---|---|---|---|
JP2002018830A (ja) * | 2000-07-03 | 2002-01-22 | Kyocera Corp | セラミック基板の分割装置 |
JP2002166398A (ja) * | 2000-11-28 | 2002-06-11 | Kyocera Corp | セラミック基板の分割装置 |
JP2008156560A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-10 | Nitta Ind Corp | イミド変性エラストマーおよびカーボンナノチューブ配合ベルト |
JP2008163219A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Nitta Ind Corp | カーボンナノチューブ配合ポリイミド成形体およびカーボンナノチューブ配合ベルト |
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2009
- 2009-03-11 JP JP2009058460A patent/JP2010208221A/ja active Pending
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