JP2010222567A - 低摩擦弾性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】低弾性で低摩擦性であるという特性を有することにより、摺動性に優れた低摩擦弾性シートを提供すること。
【解決手段】摩擦係数0.50以下のイミド変性エラストマー、特にイミド分率が10〜60重量%である特定のイミド変性ポリウレタンエラストマーからなる低摩擦弾性シートを用いる。イミド変性ポリウレタンエラストマーは、20℃での貯蔵弾性率が1×107〜1×109Paであるのがよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、物品を搬送する際等にその物品を衝撃等から保護し、かつ摺動性に優れた低摩擦係数の低摩擦弾性シートに関する。
液晶ディスプレイ用に使用される薄いガラスのような傷つき易い物品を搬送する場合、かかる物品を保護する為、搬送用ラインの表面に低摩擦弾性シートを貼り付けて使用することが行われている。このような低摩擦弾性シートとしては、ガラス等の物品を衝撃などから保護し、搬送しやすくするために、低弾性であり、且つ低摩擦性で摺動性に優れることが要求される。
従来、一つの素材で低弾性と低摩擦性との両方に優れたものはなく、そのため従来は低弾性であるゴムの表面をフッ素樹脂などでコーティングした低摩擦弾性シートが用いられていた。さらに、これらの素材は引裂強度などの機械的強度が低いので、素材にガラス繊維などを含有させるなどの補強が必要な場合もある。
また、低摩擦性を確保するために、フッ素樹脂コーティングを行なうためには、ゴム素材に一定以上の耐熱性が要求され、その結果、耐熱性の高いシリコーンゴムやフッ素ゴムなどを使用することになるが、これらの素材は高価でありコスト的に不利であるという欠点がある。また、コーティングそのものが工程を増やし、コストを更に上げる要因ともなっている。さらに、ガラス繊維などで補強を行なう場合、さらなるコストアップに繋がる。
特開2008−101195号公報
本発明の目的は、低弾性で低摩擦性であるという特性を有することにより、摺動性に優れた低摩擦弾性シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、低弾性であり、かつ特定の摩擦係数である低摩擦性に優れたイミド変性エラストマーシートを使うことにより、ガラス等の物品を搬送する際などに、その物品を衝撃などから保護でき、かつ摺動性に優れたシートとなること、イミド変性エラストマーは機械的強度が高く、ガラス繊維などを含有させることなく高い強度を発揮させることができること、従来の高耐熱性ゴムにフッ素樹脂をコーティングしていたものに比べて安価でコスト的に有利であること等を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の低摩擦弾性シートを提供するものである。
(1)摩擦係数0.50以下のイミド変性エラストマーからなることを特徴とする低摩擦弾性シート。
(2)前記イミド変性エラストマーが、イミド変性ポリウレタンエラストマーである上記(1)記載の低摩擦弾性シート。
(3)前記イミド変性ポリウレタンエラストマーのイミド分率が、10〜60重量%である上記(1)または(2)に記載の低摩擦弾性シート。
(4)20℃での貯蔵弾性率が、1×107〜1×109Paである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の低摩擦弾性シート。
なお、本発明における前記「シート」は、シート状のみに限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない限りにおいて、シート状ないしフィルム状をも含む概念である。
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(a)本発明の低摩擦弾性シートは、低弾性でありかつ特定の摩擦係数である低摩擦性に優れたイミド変性エラストマーシートからなることにより、ガラス等の物品を搬送する際などに、その物品を衝撃などから保護でき、かつ摺動性に優れている。
(b)また、イミド変性エラストマーは機械的強度が高く、ガラス繊維などを含有させることなく、高い引張強度、引裂強度等を発揮させることができる。従って、耐久性に優れる。
(c)従来の高耐熱性ゴムにフッ素樹脂をコーティングしていたものに比べて、安価でコスト的に有利である。
本発明に係る低摩擦弾性シートの一使用例を示す断面図である。 後記合成例1で得られたPIUE(イミド変性ポリウレタンエラストマー)のIRスペクトルである。
<低摩擦弾性シート>
本発明の低摩擦弾性シートは、摩擦係数0.50以下、好ましくは0.35以下のイミド変性エラストマーからなる。摩擦係数が0.50を超えると摺動性が低下する傾向にあるので好ましくない。前記摩擦係数は、ヘイドン式の摩擦係数測定法に準拠し、荷重20g/cm2、速度300mm/分の条件で測定して得られる値である。前記摩擦係数を0.50以下とするには、イミド変性エラストマーの組成等を調整すればよい。また、シート表面の算術平均粗さRaを調整すると、前記摩擦係数を所望の値に制御することができる。すなわち、シート表面の算術平均粗さRaを大きくすると、ガラス等の物品に対する接触面積が下がるので、摩擦係数を下げることができる。前記算術平均粗さRaは、0.1以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、3.0〜4.0がさらに好ましい。前記算術平均粗さRaは、JIS B 0601(1994)に準拠して測定し得られる値である。前記算術平均粗さRaを所定の値とするには、例えば本発明の低摩擦弾性シートを成膜する際に使用する遠心成形機の円筒金型に、所定の算術平均粗さRaを有する円筒金型を用いる方法等が挙げられる。
本発明の低摩擦弾性シートの厚さは、通常5μm以上であるのが好ましい。シートの厚さが5μm未満である場合は、機械的強度が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明低摩擦弾性シートを構成するイミド変性エラストマーは、該イミド変性エラストマー中のイミド成分の含有率を調整すると、該エラストマーの弾性率を簡単に調整することができ、イミド変性エラストマーが所望の弾性率を有するようになる。該弾性率は、特に限定されるものではないが、通常、1×107〜1×109Pa程度の範囲になるように調整するのが好ましい。なお、前記弾性率は、後述するように、動的粘弾性測定装置を用いて測定して得られる20℃での貯蔵弾性率E’の値である。
前記イミド変性エラストマーとは、イミド成分を有するエラストマーのことを意味する。具体的には、該エラストマー中のエラストマー成分としては、例えばポリウレタン、不飽和オレフィン系オリゴマー、アクリル系オリゴマー、フッ素ゴム系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー等が挙げられ、イミド成分としては、例えば脂環式モノマー、複素環式モノマー、フェニルエーテル系モノマー、アルキル側鎖モノマー等が挙げられる。
本発明では、上記で例示したこれらのイミド変性エラストマーのうち、ポリウレタンをエラストマー成分とするイミド変性ポリウレタンエラストマー(以下、「ポリイミドウレタンエラストマー」や「PIUE」とも言う。)が、シートとしたときの摩擦係数を0.50以下の範囲に調整し、又弾性率を1×107〜1×109Pa程度の範囲に調整する点から好ましい。
イミド変性ポリウレタンエラストマーとしては、特開2008−101195号公報に開示された下記一般式(I)で表されるPIUE(以下、「PIUE(I)」とも言う。)がより好ましい。
Figure 2010222567
[式中、R1は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示す。R2は、重量平均分子量100〜10,000の2価の有機基を示す。R3は、芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示す。R4は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示す。nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。]
PIUE(I)は、ポリウレタン(ポリウレタンプレポリマー)をエラストマー成分として含有すると共に、主鎖に連続した2つのイミドユニットを、その分布を制御しつつ所望の割合(イミド分率)で導入することができるので、弾性率を簡単に調整することができるという効果がある。
具体的には、上記一般式(I)において前記R1は、芳香族環または脂肪族環を含む2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(A)に従ってポリウレタンプレポリマー(c)を合成する際に用いるジイソシアナート(a)の残基等が挙げられる。
前記R2は、重量平均分子量100〜10,000、好ましくは300〜5,000の2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば反応行程式(A)に従ってポリウレタンプレポリマー(c)を合成する際に用いるポリオール(b)の残基等が挙げられる。
前記R3は、 芳香族環、脂肪族環または脂肪族鎖を含む2価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(B)に従ってポリウレタン−ウレア化合物(e)を合成する際に用いるジアミン化合物(d)の残基等が挙げられる。前記脂肪族鎖は、炭素数1のものも含む。
前記R4は、4個以上の炭素を含む4価の有機基を示すものであり、該有機基としては、例えば後述する反応行程式(C)に従ってイミド変性エラストマー(I)を合成する際に用いるテトラカルボン酸二無水物(f)の残基等が挙げられる。
nは1〜100の整数、好ましくは2〜50の整数を示す。mは2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数を示す。
前記一般式(I)で表されるPIUEの具体例としては、下記式(1)で表されるPIUE等が挙げられる。
Figure 2010222567
[式中、nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。xは10〜100の整数を示す。]
前記一般式(I)で表されるPIUEは、ジイソシアナートとポリオールから得た分子両末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーをジアミン化合物でウレア結合により鎖延長し、テトラカルボン酸二無水物でウレア結合部にイミドユニットを導入したブロック共重合体であるのが好ましい。このような PIUEは、例えば以下に示すような反応工程式(A)〜(C)を経て製造することができる。
[反応行程式(A)]
Figure 2010222567
[式中、R1,R2,nは、前記と同じである。]
(ポリウレタンプレポリマー(c)の合成)
上記反応行程式(A)に示すように、まず、ジイソシアナート(a)とポリオール(b)から分子両末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマー(c)を得る。PIUE(I)は、このポリウレタンプレポリマー(c)をエラストマー成分とするので、ゴム状領域(室温付近)の弾性率が低くなり、よりエラスティックにすることができると共に、このポリウレタンプレポリマー(c)の分子量を制御することにより、主鎖に連続した2つのイミドユニットを、 その分布を制御しつつ所望の割合で導入することが可能となる。
具体的には、前記ジイソシアナート(a)としては、例えば2,4−トリレンジイソシアナート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ポリメリックMDI(Cr.(Pr.)MDI)、ジアニシジンジイソシアナート(DADL)、ジフェニルエーテルジイソシアナート(PEDI)、ビトリレンジイソシアナート(TODI)、ナフタレンジイソシアナート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、リジンジイソシアナートメチルエステル(LDI)、メタキシリレンジイソシアナート(MXDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ダイマー酸ジイソシアナート(DDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)(IPCI)、シクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアナート(水添TDI)、TDI2量体(TT)等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよく、減圧蒸留したものを用いるのが好ましい。
前記ポリオール(b)としては、例えばポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリマーポリオール等のポリエーテルポリオール;アジペート系ポリオール(縮合ポリエステルポリオール)、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリエステルポリオール;ポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
ポリオール(b)は、70〜90℃、1〜5mmHg、10時間〜30時間程度の条件で減圧乾燥したものを用いるのが好ましい。また、ポリオール(b)の重量平均分子量は100〜10,000、好ましくは300〜5,000であるのがよい。前記重量平均分子量は、ポリオール(b)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
反応は、上記で例示したジイソシアナート(a)とポリオール(b)とを所定の割合で混合した後、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、室温で1時間〜5時間程度反応させればよい。ジイソシアナート(a)とポリオール(b)との混合比(モル)は、ジイソシアナート(a):ポリオール(b)=1.1:1.0〜2.0:1.0の範囲にするのが好ましい。これにより、得られるポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量を、下記で説明する所定の値にすることができる。
得られるポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量は、300〜50,000、好ましくは500〜45,000であるのがよい。この範囲内でポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量を制御して、イミドユニットを所望の割合で導入すると、低摩擦性等に優れ、また適度な弾性を有するPIUE(I)を得ることができる。
また、ポリウレタンプレポリマー(c)の重量平均分子量が、前記範囲内において小さいほど、ハードなPIUE(I)を得ることができる。これに対し、前記分子量が300より小さいと、PIUE(I)がハードになりすぎ、50,000より大きいと、ソフトになりすぎるおそれがあるので好ましくない。前記重量平均分子量は、ポリウレタンプレポリマー(c)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
[反応行程式(B)]
Figure 2010222567
[式中、R1〜R3,n,mは、前記と同じである。]
(ポリウレタン−ウレア化合物(e)の合成)
上記で得られたポリウレタンプレポリマー(c)を用いて、反応行程式(B)に従ってイミド前駆体であるポリウレタン−ウレア化合物(e)を合成する。すなわち、ポリウレタンプレポリマー(c)をジアミン化合物(d)でウレア結合により鎖延長してポリウレタン−ウレア化合物(e)を得る。
具体的には、前記ジアミン化合物(d)としては、例えば1,4−ジアミノベンゼン(別名:p−フェニレンジアミン、略称:PPD)、1,3−ジアミノベンゼン(別名:m−フェニレンジアミン、略称:MPD)、2,4−ジアミノトルエン(別名:2,4−トルエンジアミン、略称:2,4−TDA)、4,4’− ジアミノジフェニルメタン(別名:4,4’−メチレンジアニリン、略称:MDA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(別名:4,4’−オキシジアニリン、略称:ODA、DPE)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(別名:3,4’−オキシジアニリン、略称:3,4’−DPE)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(別名:o−トリジン、略称:TB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(別名:m−トリジン、略称:m−TB)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(略称:TFMB)、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド(別名:o−トリジンスルホン、略称:TSN)、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、 4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド(別名:4,4’−チオジアニリン、略称:ASD)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(別名:4,4’−スルホニルジアニリン、略称:ASN)、4,4’−ジアミノベンズアニリド(略称:DABA)、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン(n=3,4,5、略称:DAnMG)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン(略称:DANPG)、1,2−ビス [2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン(略称:DA3EG)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(略称:FDA)、5(6)−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(略称:TPE−Q)、1,3−ビス (4−アミノフェノキシ)ベンゼン(別名:レゾルシンオキシジアニリン、略称:TPE−R)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(略称:APB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(略称:BAPB)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス (4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(略称:BAPP)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(略称:BAPS)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(略称:BAPS−M)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパ ン(略称:HFBAPP)、3,3'−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(略称:MBAA)、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン(別名:4,6−ジアミノレゾルシン)、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(別名:3,3’−ジヒドロキシベンジジン、略称:HAB)、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル(別名:3,3’−ジアミノベンジジン、略称:TAB)等の炭素数6〜27の芳香族ジアミン化合物;1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1,8−オクタメチレンジアミン(OMDA)、1,9−ノナメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン(DMDA)、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサンジアミン等の炭素数6〜24の脂肪族または脂環式ジアミン化合物;1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシリコーン系ジアミン化合物等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
特に、1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を用いるのが、強度に優れるPIUE(I)を得ることができるうえで好ましい。また、上記で例示したジアミン化合物(d)の選択によっても、PIUE(I)の弾性率を調整することができる。
反応は、ウレタンプレポリマー(c)と、上記で例示したジアミン化合物(d)とを等モル、好ましくはNCO/NH2比が1.0程度の割合で混合した後、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、室温〜100℃、好ましくは50〜100℃において、2時間〜30時間程度で溶液重合反応または塊状重合反応させればよい。
前記溶液重合反応に使用できる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−ヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン等が挙げられ、特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−ヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドンが好ましい。これらの溶媒は、1種または2種以上を混合して用いてもよく、定法に従い脱水処理したものを用いるのが好ましい。
[反応行程式(C)]
Figure 2010222567
[式中、R1〜R4,n,mは、前記と同じである。]
(PIUE(I)の合成)
上記で得られたポリウレタン−ウレア化合物(e)を用いて、反応行程式(C)に従って一般式(I)で表されるPIUEを合成する。すなわち、テトラカルボン酸二無水物(f)でウレア結合部にイミドユニットを導入してブロック共重合体であるPIUE(I)を得る。
具体的には、前記テトラカルボン酸二無水物(f)としては、例えば無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、m(p)−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
反応は、ポリウレタン−ウレア化合物(e)とテトラカルボン酸二無水物(f)とのイミド化反応である。該イミド化反応は、溶媒下、無溶媒下のいずれであってもよい。溶媒下でイミド化反応を行う場合には、まず、ポリウレタン−ウレア化合物(e)と、上記で例示したテトラカルボン酸二無水物(f)とを所定の割合で溶媒に加え、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、100〜300℃、好ましくは135〜200℃、より好ましくは150〜170℃において、1時間〜10時間程度反応させて、下記式(g)で表されるポリウレタンアミド酸(PUA)を含む溶液(PUA溶液)を得る。
Figure 2010222567
[式中、R1〜R4,n,mは、前記と同じである。]
ここで、ポリウレタン−ウレア化合物(e)とテトラカルボン酸二無水物(f)との混合は、ポリウレタン−ウレア化合物(e)の合成で使用したジアミン化合物(d)とテトラカルボン酸二無水物(f)との混合比(モル)が、ジアミン化合物(d):テトラカルボン酸二無水物(f)=1:2〜1:2.02の範囲となる割合で混合するのが好ましい。これにより、確実にウレア結合部にイミドユニットを導入することができる。
使用できる溶媒としては、上記反応行程式(B)の溶液重合反応に使用できる溶媒で例示したものと同じ溶媒を例示することができる。なお、反応行程式(B)において溶液重合反応でポリウレタン−ウレア化合物(e)を得た場合には、該溶媒中でイミド化反応を行えばよい。
ついで、上記で得たPUA溶液を例えば円筒金型に注入して、100〜300℃、好ましくは135〜200℃、より好ましくは150〜170℃において、100〜2,000rpm、30分〜2時間程度で円筒金型を回転させながら、遠心成形によりPUAをシート状に成膜する。
ついで、シート状のPUAを加熱処理(脱水縮合反応)することにより、シート状の一般式(I)で表されるPIUEを得ることができる。加熱処理は、PUAが熱分解しない条件であるのが好ましく、例えば減圧条件下において150〜450℃、好ましくは150〜250℃、1時間〜5時間程度であるのがよい。
一方、無溶媒下でイミド化反応を行う場合には、通常の攪拌槽型反応器の他、排気系を有する加熱手段を備えた押出機の中でも行うことができるので、得られるPIUE(I)を押し出して、そのままシート状に成形することができる。
かくして、本発明の低摩擦弾性シートとして好ましいPIUE(I)シートが得られる。
PIUE(I)の重量平均分子量は、10,000〜1000,000、好ましくは50,000〜800,000、より好ましくは50,000〜500,000であるのがよい。前記重量平均分子量は、上記式(g)で表されるポリウレタンアミド酸(PUA)を含むPUA溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値から導き出した値である。なお、PIUE(I)ではなく、PUA溶液をGPCで測定するのは、PIUE(I)は、GPCの測定溶媒に不溶なためである。
また、PIUE(I)のイミド分率(イミド成分含有率)、すなわちイミド変性エラストマー中のイミド成分の割合を調整すると、弾性率を簡単に調整することができる。イミド分率は、弾性率等に応じて任意に選定すればよく、特に限定されるものではないが、通常、60重量%以下であるのがよく、下限値としては、通常、10重量%以上が妥当である。イミド分率の調整により、低摩擦係数、低弾性とすることができる。
前記イミド分率は、原料、すなわちジイソシアナート(a)、ポリオール(b)、ジアミン化合物(d)およびテトラカルボン酸二無水物(f)の仕込み量から算出される値であり、より具体的には、下記式(α)から算出される値である。
Figure 2010222567
<低摩擦弾性シートの使用形態>
本発明の低摩擦弾性シートの一使用形態について図面を参照して説明する。図1は、ガラス等を搬送するために使用される本発明に係る低摩擦弾性シートの一使用形態を示しており、低摩擦弾性シートであるイミド変性エラストマー層1は、接着層2を介して、基材3の表面に貼付されている。ガラスとしては、例えば薄い液晶ディスプレイ用ガラス等を挙げることができる。
接着層2としては、本発明の低摩擦弾性シート1と基材3とを接着し得る限り、特に限定されない。例えば、両面粘着シートで接着してもよい。接着は、部分的に接着しても、全面的に接着してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
下記反応式に基づいて、PIUE(1)を合成した。
Figure 2010222567
[式中、nは1〜100の整数を示す。mは2〜100の整数を示す。Xはポリカーボネートジオールにおける水酸基を除く残基を示す。]
(ポリウレタンプレポリマー(j)の合成)
まず、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)(h)[日本ポリウレタン工業(株)社製]を減圧蒸留した。また、ポリカーボネートジオール(PCD)(i)[日本ポリウレタン工業(株)社製の商品名「ニッポラン981」、重量平均分子量:1,000]を80℃、2〜3mmHg、24時間の条件で減圧乾燥した。
ついで、上記MDI(h)30.4gと、PCD(i)69.6gとを、攪拌機およびガス導入管を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、80℃で2時間攪拌して、分子両末端にイソシアナート基を有するポリウレタンプレポリマー(j)を得た。このポリウレタンプレポリマー(j)をGPCで測定した結果、ポリスチレン換算した値で重量平均分子量は1.5×104であった。
(ポリウレタン−ウレア化合物(l)の合成)
上記で得たポリウレタンプレポリマー(j)10gを脱水処理したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)60mlに溶解させたものと、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)(k)1.034gを脱水処理したNMP20mlに溶解させたものとを、攪拌機およびガス導入管を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコにそれぞれ加え、アルゴン雰囲気下、室温(23℃)で24時間攪拌して、ポリウレタン−ウレア化合物(l)の溶液を得た。
(PIUE(1)の合成)
上記で得たポリウレタン−ウレア化合物(l)の溶液中に、無水ピロメリット酸(PMDA)(m)2.276gを加え、アルゴンガス雰囲気下、150℃で2時間攪拌して、ポリウレタンアミド酸(PUA)溶液を得た。ついで、該PUA溶液を遠心成形機に流し込み、150℃で1,000rpm、1時間遠心成形してPUAシートを得た。このPUAシートを減圧デシケータ内で200℃、2時間加熱処理(脱水縮合反応)して、厚さ100μmのシート状のPIUE(1)を得た(イミド分率:35重量%)。なお、前記イミド分率は、前記式(α)から算出して得た値である。前記遠心成形機の円筒金型には、表面の算術平均粗さRaが0.19のものを用いた。
得られたPIUE(1)の重量平均分子量は57,000であった。また、このPIUE(1)について、KBr法にてIRスペクトルを測定した。図2は、このPIUE(1)であるイミド変性ポリウレタンエラストマーのIRスペクトルである。図2から明らかなように、1780cm-1、1720cm-1および1380cm-1にイミド環に由来する吸収が観察された。
<弾性率の測定方法>
また、このPIUE(1)について、セイコーインスツルメンツ社(Seiko Instruments Inc.)製の動的粘弾性測定装置「DMS 6100」を用いて、10Hz、5℃/分、−100〜400℃の昇温過程にて、20℃での貯蔵弾性率E’を測定したところ、1.5×108Paであった。また、ガラス転移温度Tgは−18℃であった。
まず、前記実施例1と同様にしてPUA溶液を得た。ついで、このPUA溶液を、表面の算術平均粗さRaが3.5の円筒金型を備えた遠心成形機に流し込んだ以外は、前記実施例1と同様にして、厚さ100μmのシート状のPIUE(1)を得た(イミド分率:35重量%)。得られたPIUE(1)の重量平均分子量は57,000であった。
[比較例1]
実施例1で得たPIUE(1)(イミド分率:35重量%)のシートとの比較のため、フッ素樹脂コーティングした厚さ100μmのシリコーンゴムシートを用いた。
<性能試験>
実施例1,2および比較例1で得た各シート試料の摩擦係数、算術平均粗さRa、引張強度、引裂強度および貯蔵弾性率を下記方法で調べた。
・摩擦係数:ヘイドン式摩擦係数測定 荷重20g/cm2、速度300mm/分
・算術平均粗さRa:JIS B 0601(1994)に準拠して測定した。
・引張強度:JIS K 6251
・引裂強度:JIS K 6252
・貯蔵弾性率:セイコー・インスツルメントツ社(Seiko Instruments Inc.)製の動的粘弾性測定装置[DMS 6100]を用い、1Hz、5℃/分、−100〜300℃の昇温過程にて、20℃での貯蔵弾性率を測定した。
試験結果を、表1に示す。
Figure 2010222567
表1から明らかなように、本発明の低摩擦弾性シートは、フッ素樹脂コーティングしたシリコーンゴムシートと同程度に低摩擦性に優れ、低弾性で、しかも引張強度および引裂強度が高いことが明らかである。従って、ガラスのような傷つき易い物品を搬送する場合、かかる物品を保護する為に、搬送用ライン等の基材の表面に貼り付けて使用される低摩擦弾性シートとして、極めて好適であると言える。特に、算術平均粗さRaを3.5とした実施例2は、低摩擦性に優れる結果を示した。なお、実施例1,2および比較例1の各シートに対し、面圧を100〜200g/cm2の範囲で変化させたときの摩擦係数を測定した結果、いずれも同程度の低摩擦性を示した。
1 低摩擦弾性シートであるイミド変性エラストマー層
2 接着層
3 基材

Claims (4)

  1. 摩擦係数0.50以下のイミド変性エラストマーからなることを特徴とする低摩擦弾性シート。
  2. 前記イミド変性エラストマーが、イミド変性ポリウレタンエラストマーである請求項1記載の低摩擦弾性シート。
  3. 前記イミド変性ポリウレタンエラストマーのイミド分率が10〜60重量%である請求項1または2に記載の低摩擦弾性シート。
  4. 前記イミド変性ポリウレタンエラストマーは、20℃での貯蔵弾性率が1×107〜1×109Paである請求項1〜3のいずれかに記載の低摩擦弾性シート。
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