近年、電子機器の多機能化、小型化、デジタル化が進行してきている。その中でも、携帯電話やデジタルカメラに代表されるモバイル型の電子機器においては、多機能であることはもちろんのこと、小型化、薄型化が求められている。この様な状況の中、半導体装置においては、最先端の製造プロセス等を用いることで、小型でありながらも多機能を実現してきている。更には、システム・イン・パッケージ(以下、SiPという)に代表される、複数の半導体装置を3次元的に積み重ねる手法を用いた形態による小型化が図られるようになってきている。SiPを構成する半導体装置としては、プロセッサやメモリといったものがある。これら複数の半導体装置と、3次元に積み重ねられている複数の半導体装置を実装するプリント配線基板とで積層型半導体装置が構成されている。そして、プリント配線基板には、各半導体装置に電力を供給するための電源回路が実装されている。
プロセッサは、電子機器の心臓部であり、デジタルカメラの例では画像処理を行うLSI等である。メモリは、読み書きが自由に行えるDRAMや、データの消去・書き込みを自由に行うことができ、電源を切っても内容が消えないフラッシュメモリ等である。中でもDRAMは、近年の多機能化による情報処理量の増加から、ダブルデータレート(DDR)モードという高速なデータ転送機能を持ったDDR−SDRAM(以下、DDRという)が多用されてきている。更には、LSIの処理能力向上のため、複数のDDRを搭載する必要も出てきている。
DDRは、電子機器内で各回路間と同期を取るためのクロック信号の立ち上がり時と立下り時の両方でデータの読み書きが行えるようにしたもので、通常のメモリ(SDRAM)の倍の転送速度が実現できるものである。DDRは、クロック(CK)の立ち上がりエッジでコマンドを入力する。また、高速データ転送を実現するためにディファレンシャル・クロック(CK、/CK)とデータ・ストローブ信号(DQS)を採用している。DQSはCKに同期し、データ入出力(DQ)はDQSの立ち上がりと立ち下りの両エッジに同期する。そのため、CKの立ち上がり時には、コマンドはハイ・レベル又はロウ・レベルである必要がある。DQSの立ち上がり時と立ち下り時には、DQはハイ・レベル又はロウ・レベルである必要がある。
DDRは、ハイ・レベル、ロウ・レベルを検出するために参照する参照電圧Vrefが供給される参照電圧端子を備えている。また、DDRは、プリント配線基板に実装された電源回路に電源配線で接続される電源端子と、グラウンド配線で接続されるグラウンド端子と、を備えている。そして、DDRの電源端子とグラウンド端子との間には、電源回路の電源電圧VDDQが電源配線及びグラウンド配線を介して印加されるが、電源配線及びグラウンド配線で電圧降下するために、電源電圧VDDQよりも低い供給電圧VDが印加される。
DDRの参照電圧端子には、参照電圧Vrefが供給されるが、この参照電圧Vrefとしては、供給電圧VDを1/2に分圧したものが印加される。そして、DDRでは、ハイ・レベル入力電圧(VIH)及びロウ・レベル入力電圧(VIL)が参照電圧Vrefに基づいて設定されている。
一例を挙げると、ハイ・レベル入力電圧(VIH)は、Vref+0.35[V]、ロウ・レベル入力電圧(VIL)は、Vref−0.35[V]となっている。ハイ・レベルは、コマンドやDQの信号が、VIH以上の電圧の時である。また、ロウ・レベルは、コマンドやDQの信号が、VIL以下の電圧の時である。したがって、DDRにおける参照電圧Vrefは、CKとコマンド間等のタイミングに対して重要なものである。
タイミングの一例について説明する。Setupの場合、DDRのスペックで決められたSetup時間から、CKのRise波形での参照電圧Vrefを横切る時間とコマンドのハイ又はロウ・レベルとなった時間との差を引いた値が、Setupのマージンとなる。また、Holdの場合、DDRのスペックで決められたHold時間から、コマンドのハイ又はロウ・レベルが終わる時間とCKのRise波形でのVerf電圧を横切る時間との差を引いた値が、Holdのマージンとなる。
図6は、従来の積層型半導体装置の電源配線及びグラウンド配線を等価回路として示す図である。図6において、120は電源回路であり、11は第1の半導体装置であり、例えばLSI等のプロセッサである。12は第2の半導体装置であり、例えばDDR等のメモリである。1nは第nの半導体装置であり、例えばDDR等のメモリである。図6において、積層型半導体装置は、電源回路120やその他の多数の回路が搭載され、電子機器としての機能を具現化している。
半導体装置11〜1nは、それぞれインターポーザに搭載されている。半導体装置11〜1nとインターポーザとは、ワイヤーボンディングやフリップチップといった接続手段によって電気的な接続がなされる。各半導体装置11〜1nの参照電圧端子に供給する参照電圧Vrefは、分圧抵抗器Rrefの分圧によってそれぞれ生成される。
なお、41は第1の半導体装置11を搭載したインターポーザをプリント配線基板に接続するためのPADである。42は第2の半導体装置12を搭載したインターポーザを第1の半導体装置11を搭載したインターポーザに接続するためのPADである。43は不図示の第3の半導体装置を搭載したインターポーザを第2の半導体装置12を搭載したインターポーザに接続するためのPADである。4nは第nの半導体装置1nを搭載したインターポーザを不図示の第n−1の半導体装置1n−1を搭載したインターポーザに接続するためのPADである。そして、半導体装置11〜1nで構成されたSiPは、プリント配線基板上のPAD41を介して、半田ボール等の半田付け手段によって電気的な接続がなされる。また、インターポーザ同士は、インターポーザ上のPAD42〜4nによって、半田ボール等の半田付け手段によって電気的な接続がなされ、SiPとしての3次元的な積み重ね構造を得ている。
なお、R1001はプリント配線基板上の電源配線の抵抗値である。R11は第1の半導体装置11を搭載したインターポーザの電源配線を構成する半田の抵抗値である。R12は第2の半導体装置12を搭載したインターポーザの電源配線を構成する半田の抵抗値である。R1nは第nの半導体装置1nを搭載したインターポーザの電源配線を構成する半田の抵抗値である。R21は第1の半導体装置11を搭載したインターポーザの電源配線を構成するプリント配線の抵抗値である。R22は第2の半導体装置12を搭載したインターポーザの電源配線を構成するプリント配線の抵抗値である。R2nは第nの半導体装置1nを搭載したインターポーザの電源配線を構成するプリント配線の抵抗値である。
VDDQは電源回路120から出力される直流電源電圧である。VD1〜VDnは、半導体装置の電源端子とグラウンド端子との間の電圧降下を示し、半導体装置に供給される供給電圧である。つまり、各半導体装置11〜1nに供給される供給電圧VD1〜VDnは、電源端子とグラウンド端子との電位差(電圧降下)で表される。電源回路120の電源電圧VDDQは、メモリがDDRの場合には、一般的に2.5[V]である。分圧抵抗器Rrefの抵抗値は、一例としてそれぞれ10[kΩ]である。
電源回路120から第1の半導体装置11までの電源配線の抵抗値は、プリント配線基板上の抵抗値R1001と半田の抵抗値R11とインターポーザ上の抵抗値R21によって構成される。この場合、電源回路120の電源電圧VDDQは、SiPによって消費される電流と、第1の半導体装置11までの電源配線の抵抗値の積による電圧降下と略等しい。同様に、電源回路120から第2の半導体装置12までの電源配線は、プリント配線基板上の抵抗値R1001と半田の抵抗値R11,R12とインターポーザ上の抵抗値R22によって構成される。この場合、電源回路120の電源電圧VDDQは、SiPによって消費される電流と、第2の半導体装置12までの電源配線の抵抗値の積による電圧降下と略等しい。同様にまた、電源回路120から第nの半導体装置1nまでの電源配線は、プリント配線基板上の抵抗値R1001と半田の抵抗値R11,R12,・・・,R1nとインターポーザ上の抵抗値R2nによって構成される。この場合、電源回路120の電源電圧VDDQは、SiPによって消費される電流と、第nの半導体装置1nまでの電源配線の抵抗値の積による電圧降下と略等しい。
ここで、一般的に、プリント配線基板上のグラウンド配線はベタ面として構成されるので、電源配線の抵抗値に比べ、無視できるほど小さい抵抗値となっている。更に各半導体装置についても、プリント配線基板との接続において、不図示の放熱用のサーマル端子をグラウンドとすることが多く、それによりグラウンド配線の抵抗値は無視できる程度に小さい状態となっている。例えば、半導体装置11までの電源配線の抵抗値は、53[mΩ]であり、グラウンド配線の抵抗値は5.6[mΩ]であり、一桁ほどグラウンド配線の抵抗値は小さいものである。
図7は、従来の各半導体装置の電源端子、グラウンド端子及び参照電圧端子の電位を示す図である。グラウンド配線の抵抗値は電源配線の抵抗値に比べて十分小さいことから、グラウンド配線の電圧降下が無いものとすると、図7中三角点で示す各半導体装置のグラウンド端子の電位は略0[V]となる。
一方、電源配線においては、電源配線の抵抗値と各半導体装置の消費電流との積による電圧降下が発生し、しかも3次元に積み重ねられた上位位置の半導体装置ほど、介在する配線部材が増加するので抵抗値が増大して電圧降下が増大する。したがって、上位位置の半導体装置ほど電源配線の電圧降下が増大するので、各半導体装置の電源端子の電位は、上位位置の半導体装置ほど、図7中丸点で示すように、電源配線の抵抗値分だけ電源電圧VDDQよりも電圧降下した値となる。これにより、供給電圧VD1〜VDnを分圧抵抗器Rrefによって分圧することにより発生した参照電圧Vrefが印加される参照電圧端子の電位も、3次元に積み重ねられた上位位置の半導体装置ほど、図7中四角点で示すように、低下していく。
これに対し、積層配置した複数の半導体装置間の電圧降下を抑制するものではないが、LSIチップの各電源端子までの電圧降下を抑制する技術が提案されている(特許文献1参照)。この技術によれば、電源に接続される金属板を備え、この金属板にLSIチップの各電源端子を接続することで、電圧降下を抑制している。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層型半導体装置の概略を示す分解斜視図である。図1に示すように、積層型半導体装置100は、半導体装置を複数備えており、本実施の形態では、n個(nは2以上の整数)の半導体装置11,12,…,1nを備えている。また、積層型半導体装置100は、各半導体装置11,12,…,1nを搭載するインターポーザ31,32,…,3nを半導体装置の数に対応して複数備えている。
そして、各インターポーザ31,32,…,3nは、搭載面が互いに略同一面積となるように形成されており、プリント配線基板110に3次元実装されている。これにより、各半導体装置11,12,…,1nは、インターポーザ31,32,…,3nを介してプリント配線基板110に3次元に積み重ねられ、これら複数の半導体装置11,12,…,1nでSiPを構成している。そして、プリント配線基板110上には、第1,第2,…,第nの半導体装置11,12,…,1nが順次設けられ、第1の半導体装置11が最下位、第nの半導体装置1nが最上位となる。なお、「略同一」とは、完全同一とはならなくても許容範囲内で僅かにずれている程度でほとんど同一の場合のほか、完全同一の場合も含んでいるものである。以下の説明において用いる場合も同様の意味とする。
各インターポーザ31,32,…,3nはBGAタイプのものであり、インターポーザ31,32,…,3n同士が接続されており、また、最下位のインターポーザ31とプリント配線基板110とが接続されている。具体的に説明すると、プリント配線基板110の上面には、複数のPAD41が形成されており、第1の半導体装置11が搭載されるインターポーザ31の下面には、複数のPAD41に接続される複数の半田ボールが形成されている。また、インターポーザ31の上面には、複数のPAD42が形成されており、第2の半導体装置12が搭載されるインターポーザ32の下面には、複数の半田ボールが形成されている。同様に、インターポーザ32の上面には、複数のPAD43が形成されている。
複数の半導体装置11〜1nのうち、少なくとも一つがメモリであり、少なくとも一つがメモリを制御するプロセッサである。本実施の形態では、第2〜第nの半導体装置12〜1nがメモリであり、第1の半導体装置11がメモリを制御するプロセッサである。メモリは、DDR−SDRAM(以下、DDRという)である。プリント配線基板110には、各半導体装置11,12,…,1nに電力を供給するための電源回路120が実装されている。
図2は、積層型半導体装置の内部配線構造を示す断面図である。なお、図2では、説明の簡略化のため、半導体装置が3個(n=3)の場合について図示している。また、電源回路120の配置を変更しているが、電源回路120は、プリント配線基板110のいずれの面に配置されていてもよい。
積層型半導体装置100は、図2に示すように、プリント配線基板110とインターポーザ31〜33とに形成され、各半導体装置11〜13の電源端子11a〜13aと電源回路120とを結ぶ電源配線200を備えている。また、積層型半導体装置100は、プリント配線基板110とインターポーザ31〜33とに形成され、各半導体装置11〜13のグラウンド端子11b〜13bと電源回路120とを結ぶグラウンド配線300を備えている。
プリント配線基板110は、電源配線200を構成する複数のプリント配線201、複数のVIA202及び複数のPAD41aを有している。なお、複数のPAD41aは、複数のPAD41(図1)の一部である。プリント配線201は、基板下面及び基板内部に配置されており、基板下面のプリント配線201は、電源回路120に接続されている。PAD41aと基板内部のプリント配線201とは、VIA202で接続されており、基板内部のプリント配線201と基板下面のプリント配線201とは、VIA202で接続されている。
同様に、プリント配線基板110は、グラウンド配線300を構成する複数のプリント配線301、複数のVIA302及び複数のPAD41bを有している。なお、複数のPAD41bは、複数のPAD41(図1)の一部である。プリント配線301は、基板下面及び基板内部に配置されており、基板下面のプリント配線301は、電源回路120に接続されている。PAD41bと基板内部のプリント配線301とは、VIA302で接続されており、基板内部のプリント配線301と基板下面のプリント配線301とは、VIA302で接続されている。これにより、電源回路120の電力をPAD41a,41bを介して供給することができる。
次に、第1の半導体装置11が搭載されるインターポーザ31は、電源配線200を構成するプリント配線206、複数の半田ボール51a、複数のVIA203及び複数のPAD42aを有している。なお、複数のPAD42aは、複数のPAD42(図1)の一部である。プリント配線206は基板上面に配置されており、第1の半導体装置11の電源端子11aとPAD42aとがプリント配線206により接続されている。また、PAD42aと半田ボール51aとがVIA203により接続されている。
同様に、インターポーザ31は、グラウンド配線300を構成するプリント配線306、複数の半田ボール51b、複数のVIA303及び複数のPAD42bを有している。なお、複数のPAD42bは、複数のPAD42(図1)の一部である。プリント配線306は基板上面に配置されており、第1の半導体装置11のグラウンド端子11bとPAD42bとがプリント配線306により接続されている。また、PAD42bと半田ボール51bとがVIA303により接続されている。
そして、PAD41aに半田ボール51aを半田接続し、PAD41bに半田ボール51bを半田接続することで、インターポーザ31がプリント配線基板110に機械的に固定されている。また、第1の半導体装置11の電源端子11a及びグラウンド端子11bは、PAD41a,41bを介して電源回路120に電気的に接続されている。
第2の半導体装置12が搭載されるインターポーザ32は、インターポーザ31と略同様の構成である。すなわち、インターポーザ32は、電源配線200を構成するプリント配線207、複数の半田ボール52a、複数のVIA204及び複数のPAD43aを有し、これらの配置はインターポーザ31と略同様である。同様に、インターポーザ32は、グラウンド配線300を構成するプリント配線307、複数の半田ボール52b、複数のVIA304及び複数のPAD43bを有し、これらの配置はインターポーザ31と略同様である。なお、複数のPAD43a及び複数のPAD43bは、複数のPAD43(図1)の一部である。そして、PAD42aに半田ボール52aを半田接続し、PAD42bに半田ボール52bを半田接続することで、インターポーザ32がインターポーザ31に機械的に固定される。また、第2の半導体装置12の電源端子12a及びグラウンド端子12bは、PAD42a,42bを介して電源回路120に電気的に接続される。
また、第3の半導体装置13が搭載されるインターポーザ33は、インターポーザ31,32と略同様の構成である。すなわち、インターポーザ33は、電源配線200を構成するプリント配線208、複数の半田ボール53a及び複数のVIA205を有し、これらの配置はインターポーザ31,32と略同様である。同様に、インターポーザ33は、グラウンド配線300を構成するプリント配線308、複数の半田ボール53b及び複数のVIA305を有し、これらの配置はインターポーザ31,32と略同様である。そして、PAD43aに半田ボール53aを半田接続し、PAD43bに半田ボール53bを半田接続することで、インターポーザ33がインターポーザ32に機械的に固定される。また、第3の半導体装置13の電源端子13a及びグラウンド端子13bは、PAD43a,43bを介して電源回路120に電気的に接続される。なお、図2では、第3の半導体装置13が最上位であるので、第3の半導体装置13には、PADを形成する必要がない。また、更に上位に半導体装置を積層させる場合には、PADを形成しておいてもよい。
図3は、積層型半導体装置の電源配線及びグラウンド配線の等価回路を示す回路図である。なお、この図3では、図1と同様、半導体装置がn個の場合について図示している。したがって、インターポーザ3nは、電源配線200を構成する不図示のプリント配線、複数の半田ボール及び複数のVIA、並びにグラウンド配線300を構成する不図示のプリント配線、複数の半田ボール及び複数のVIAを有している。そして、不図示の半田ボールが下位のインターポーザのPAD4na,4nbに接続されている。
ここで、図3における電源配線200及びグラウンド配線300の抵抗値について、図2を適宜参照しながら説明する。まず、電源配線200について説明すると、R1001は、プリント配線基板110のプリント配線201及びVIA202の抵抗値である。R11は、インターポーザ31の半田ボール51a及びVIA203の抵抗値である。R12は、インターポーザ32の半田ボール52a及びVIA204の抵抗値である。R1nは、インターポーザ3nの不図示の半田ボール及びVIAの抵抗値である。R21は、インターポーザ31のプリント配線206の抵抗値である。R22は、インターポーザ32のプリント配線207の抵抗値である。R2nは、インターポーザ3nの不図示のプリント配線の抵抗値である。
次に、グラウンド配線300について説明すると、R1002は、プリント配線基板110のプリント配線301及びVIA302の抵抗値である。R41は、インターポーザ31の半田ボール51b及びVIA303の抵抗値である。R42は、インターポーザ32の半田ボール52b及びVIA304の抵抗値である。R4nは、インターポーザ3nの不図示の半田ボール及びVIAの抵抗値である。R31は、インターポーザ31のプリント配線306の抵抗値である。R32は、インターポーザ32のプリント配線307の抵抗値である。R3nは、インターポーザ3nの不図示のプリント配線の抵抗値である。
図3において、VDDQは、電源回路120の直流電源電圧を示している。半導体装置12〜1nがDDRの場合、電源電圧VDDQは、2.5[V]とするのが一般的である。そして、各半導体装置11,12,…,1nの電源端子11a,12a,…,1naとグラウンド端子11b,12b,…,1nbとの端子間には、電源配線200及びグラウンド配線300で電圧降下した供給電圧VD1,VD2,…,VDnが印加される。そして、各半導体装置11,12,…,1nには、電流i1,i2,…,inが流れる。
ところで、本実施の形態では、各半導体装置11,12,…,1nは、動作タイミングを規定するための参照電圧Vrefを参照して動作する。各半導体装置11,12,…,1nに参照される参照電圧Vrefは、各半導体装置11,12,…,1nの電源端子11a,12a,…,1naとグラウンド端子11b,12b,…,1nbとの端子間に供給される供給電圧VD1〜VDnに基づいて設定される。各半導体装置11,12,…,1nは、参照電圧端子11c,12c,…,1ncを備えている。そして、半導体装置12〜1nがDDRである場合、半導体装置12〜1nにおける各参照電圧Vrefは、VDDQ/2が最適である。
したがって、本実施の形態では、積層型半導体装置100は、2つの分圧抵抗器Rrefからなる分圧回路60をn個(複数)備えている。そして、供給電圧VD1〜VDnを分圧回路60で1/2に分圧して、半導体装置11〜1nの各参照電圧Vrefに印加する電圧をVD1/2,VD2/2,…,VDn/2としている。このように端子間電圧である供給電圧VD1〜VDnに基づいて各参照電圧Vrefを設定するのは、電源回路120に直接分圧回路を接続するのは困難であり、分圧回路60を各端子11a〜1na、11b〜1nbに接続するのが容易だからである。なお、分圧抵抗器Rrefは、ほとんど電流が流れないように10[kΩ]程度に設定されている。
ここで、参照電圧Vrefは、DDRで規定されている許容値Vpの範囲で設定可能である。この許容値Vpは、DDRの場合、±VDDQ×0.01で規定されている。したがって、参照電圧Vrefが印加される参照電圧端子11c,12c,…,1ncの電位は、VDDQ/2±VDDQ×0.01の許容電圧範囲に収まるように設定すればよい。そして、電源電圧VDDQを2.5[V]としたので、参照電圧Vrefの電位は、1.25±0.025[V]の許容電圧範囲に収まるように設定すればよい。
そして、参照電圧Vrefの許容電圧範囲から電源電圧VDDQの電圧降下の許容値を計算すると、±0.05[V]となる。この値が、電源電圧VDDQの電圧降下に許される電圧となる。これは、SiPを構成する全ての半導体装置に対して適応する必要のある値である。
次に、抵抗値R1001となるプリント配線201及びVIA202に流れる電流、並びに抵抗値R1002となるプリント配線301及びVIA302に流れる電流は、以下の式で表される。
抵抗値R11となるインターポーザ31の半田ボール51a及びVIA203に流れる電流、並びに抵抗値R41となるインターポーザ31の半田ボール51b及びVIA303に流れる電流も同様に、以下の式で表される。
抵抗値R21となるインターポーザ31のプリント配線206に流れる電流、及び抵抗値R31となるインターポーザ31のプリント配線306に流れる電流は、分圧抵抗器Rrefに流れる電流を無視できるため、i1である。
同様に、抵抗値R2nとなるインターポーザ3nの電源配線200を構成する不図示のプリント配線に流れる電流、及び抵抗値R3nとなるインターポーザ3nのグラウンド配線300を構成する不図示のプリント配線に流れる電流は、inである。
抵抗値R12となるインターポーザ32の半田ボール52a及びVIA204を流れる電流、及び抵抗値R42となるインターポーザ32の半田ボール52b及びVIA304に流れる電流は、以下の式で表される。
なお、抵抗値R1nとなるインターポーザ3nの不図示の半田ボール及びVIAを流れる電流、及び抵抗値R4nとなるインターポーザ3nの不図示の半田ボール及びVIAに流れる電流は、以下の式で表される。
したがって、電源回路120と第1の半導体装置11との間の電路となる電源配線200の抵抗値R1001,R11,R21の配線要素による電圧降下は、以下の式で表される。
また、電源回路120と第1の半導体装置11との間の電路となるグラウンド配線300の抵抗値R31,R41,R1002の配線要素による電圧降下は、以下の式で表される。
また、電源回路120と第2の半導体装置12との間の電路となる電源配線200の抵抗値R1001,R11,R12,R22の配線要素による電圧降下は、以下の式で表される。
また、電源回路120と第2の半導体装置12との間の電路となるグラウンド配線300の抵抗値R32,R42,R41,R1002の配線要素による電圧降下は、以下の式で表される。
なお、電源回路120と第Nの半導体装置(N=1,2,…,n)との間の電路となる電源配線200の抵抗値R1001,R11,R12,…,R1N,R2Nの配線要素の電圧降下は、以下の式で表される。
また、電源回路120と第Nの半導体装置との間の電路となるグラウンド配線300の抵抗値R3N,R4N,…,R42,R41,R1002の配線要素による電圧降下は、以下の式で表される。
したがって、第Nの半導体装置の電源端子の電位は、電源回路120のグラウンドを基準とすると、VDDQ−Vaであり、第Nの半導体装置のグラウンド端子の電位は、Vbである。したがって、供給電圧の1/2の参照電圧Vrefが印加される参照電圧端子の電位は、以下の通りである。
ここで、上述したように、参照電圧Vrefが印加される参照電圧端子の電位の許容電圧範囲は、VDDQ/2±VDDQ×0.01であるので、以下の関係式が成り立つ。
したがって、この式を更に整理すると、n個の半導体装置がある場合に第1の半導体装置11に対しては下記の関係式を満足する。
n個の半導体装置がある場合に第2の半導体装置12以降の第Nの半導体装置1Nに対しては下記の関係式を満足する(ただし、Nは、2≦N≦nを満たす整数)。
以下、具体例を挙げて説明する。図2に示す3個の半導体装置11〜13の場合について説明する。
第1の半導体装置11は、プロセッサであり、第2の半導体装置12及び第3の半導体装置13はDDRである。そして、電源回路120の電源電圧VDDQは2.5[V]である。そして、プロセッサである第1の半導体装置11に流れる電流i1は、1[A]とし、DDRである第2,第3の半導体装置12,13に流れるそれぞれの電流i2,i3は、0.5[A]とする。
そして、各インターポーザ31,32,33の半田ボール51a,51b,52a,52b,53a,53bの形状は略同一であり、各抵抗値にばらつきはほとんどない。同様に、各インターポーザ31,32,33のVIA203,303,204,304,205,305の形状は略同一であり、各抵抗値にばらつきはほとんどない。そして、電源配線200及びグラウンド配線300において半田ボール及びVIAの数を略同一とし、各抵抗値をR11=R12=R13=R41=R42=R43=0.5[mΩ]とする。
まず、プロセッサである第1の半導体装置11について、各数値を上記した数14に示す関係式に当てはめると、下記の関係式となる。
この関係式を満たすように、電源配線200及びグラウンド配線300の抵抗値を設定することで、第1の半導体装置11に対する電圧降下は、DDRの動作に対して安定した参照電圧Vrefを得ることができる。
次に、DDRである第2の半導体装置12について、各数値を上記した数15に示す関係式に当てはめると、下記の関係式となる。
この関係式を満たすように、電源配線200及びグラウンド配線300の抵抗値を設定することで、第2の半導体装置12に対する電圧降下は、DDRの動作に対して安定した参照電圧Vrefを得ることができる。
次に、DDRである第3の半導体装置13について、各数値を上記した数15に示す関係式に当てはめると、下記の関係式となる。
この関係式を満たすように、電源配線200及びグラウンド配線300の抵抗値を設定することで、第3の半導体装置13に対する電圧降下は、DDRの動作に対して安定した参照電圧Vrefを得ることができる。
以上の関係式を満たすように各抵抗値を設定すれば、参照電圧Vrefが印加される各半導体装置11〜1nの参照電圧端子11c〜1ncの電位は、各半導体装置11〜1nにおいて予め規定されている許容電圧範囲に収まる。したがって、各半導体装置11〜1nの安定した動作を確保することができる。
ここで、電源回路120と半導体装置11の電源端子11aとの間に配置される電源配線200の配線要素の抵抗値と、電源回路120とグラウンド端子11bとの間に配置されるグラウンド配線300の配線要素の抵抗値と、を略同一とする。また、電源回路120と半導体装置12の電源端子12aとの間に配置される電源配線200の配線要素の抵抗値と、電源回路120とグラウンド端子12bとの間に配置されるグラウンド配線300の配線要素の抵抗値と、を略同一とする。更にまた、電源回路120と半導体装置13の電源端子13aとの間に配置される電源配線200の配線要素の抵抗値と、電源回路120とグラウンド端子13bとの間に配置されるグラウンド配線300の配線要素の抵抗値と、を略同一とする。
つまり、電源回路120と第Nの半導体装置1Nの電源端子11aとの間に配置される電源配線200の配線要素の抵抗値と、電源回路120とグラウンド端子1Nbとの間に配置されるグラウンド配線300の配線要素の抵抗値と、を略同一とする。ただし、N=1,2,…,nである。即ち、電源配線200における電源回路と各半導体装置の電源端子11a〜1naとの間の配線要素の抵抗値と、グラウンド配線300における電源回路と各半導体装置のグラウンド端子11b〜1nbとの間の配線要素の抵抗値とが略同一に設定されている。
図4は、図3に示す等価回路において電源配線200とグラウンド配線300との抵抗値を略同一とした場合の各半導体装置の各端子の電位を示す図である。なお、丸点は、電源端子の電位を示し、四角点は、参照電圧端子の電位を示し、三角点は、グラウンド端子の電位を示す。なお、第1の半導体装置11の電源端子11aと電源回路120との間の電源配線200の配線要素は、プリント配線201及びVIA202(R1001)、半田ボール51a及びVIA203(R11)並びにプリント配線206(R21)である。また、第1の半導体装置11のグラウンド端子11bと電源回路120との間のグラウンド配線300の配線要素は、プリント配線301及びVIA302(R1002)、半田ボール51b及びVIA303(R41)並びにプリント配線306(R31)である。また、第2の半導体装置12までの電源配線200の配線要素は、プリント配線201及びVIA202(R1001)、半田ボール51a及びVIA203(R11)、半田ボール52a及びVIA204(R12)並びにプリント配線207(R22)である。第2の半導体装置12までのグラウンド配線300の配線要素は、プリント配線301及びVIA302(R1002)、半田ボール51b及びVIA303(R41)、半田ボール52b及びVIA304(R42)並びにプリント配線307(R32)である。
このように、第2の半導体装置12までの電源配線200及びグラウンド配線300の電気抵抗は、第1の半導体装置11までの電気抵抗よりも配線要素が増加した分だけ増加している。つまり、上位の半導体装置ほど、電源配線200及びグラウンド配線300の電気抵抗が増加し、電圧降下が増加する。したがって、図4の丸点で示すように、電源回路120のグラウンドを基準とする半導体装置11〜1nの電源端子11a〜1naの電位は、上位のものほど電源配線200の電圧降下が増加するので、低下することとなる。同様に、図4の三角点で示すように、電源回路120のグラウンドを基準とする各半導体装置11〜1nのグラウンド端子11b〜1nbの電位は、上位のものほどグラウンド配線300の電圧降下が増加するので、上昇することとなる。
ここで、電源配線200及びグラウンド配線300の配線要素の抵抗値を略同一に設定しているので、n個の半導体装置11〜1nのそれぞれに接続される電源配線200とグラウンド配線300との各配線要素の電圧降下が略同一となる。したがって、半導体装置11〜1nの参照電圧端子11c〜1ncに印加される参照電圧Vrefは、半導体装置11〜1nの端子間の供給電圧VD1〜VDnを1/2に分圧したものであるので、各参照電圧端子11c〜1ncの電位が略同一となる。このとき、電源回路120のグラウンドを基準とする各参照電圧端子11c〜1ncの電位は、図4の四角点で示すように、電源電圧VDDQの1/2の電圧の値と略同一となる。これによって、各半導体装置11〜1nは安定した動作を実現することが可能となる。
次に、電源配線200の抵抗値とグラウンド配線300の抵抗値との差を小さくする手段について具体的に説明する。プリント配線基板110に形成されている電源配線200の配線要素は、図2に示すように、プリント配線201及びVIA202であり、グラウンド配線300の配線要素は、プリント配線301及びVIA302である。そして、それぞれのプリント配線201,301は、互いに同形状に形成されており、それぞれのVIA202,302は、互いに同数形成されている。なお、VIA202とVIA302とは、略同一形状であるため、個数を合わせることで、抵抗値の差を小さくできる。また、プリント配線201とプリント配線301とは、断面積、配線幅及び長さを同一とするなど断面積、配線幅及び長さを制御することで、容易に抵抗値の差を小さくできる。これにより、図3に示す電源配線側の抵抗値R1001とグラウンド配線側の抵抗値R1002とは互いに略同一の抵抗値となる。
また、インターポーザ31に形成されている電源配線200の配線要素は、図2に示すように、半田ボール51a及びVIA203、並びにプリント配線206である。グラウンド配線300の配線要素は、半田ボール51b及びVIA303、並びにプリント配線306である。そして、それぞれの半田ボール51a,51bは、互いに同数形成されており、それぞれのVIA203は、互いに同数形成されている。なお、VIA203とVIA303とは、略同一形状であるため、それらの個数を合わせることで、抵抗値の差を小さくできる。また、半田ボール51aと半田ボール51bとは、略同一形状であるため、これについても個数を合わせることで、抵抗値の差を小さくできる。これにより、図3に示す電源配線側の抵抗値R11とグラウンド配線側の抵抗値R41とは互いに略同一の抵抗値となる。同様に、それぞれのプリント配線206,306は、互いに同形状に形成されている。プリント配線206とプリント配線306とは、断面積、配線幅及び長さを同一とするなど断面積、配線幅及び長さを制御することで、容易に抵抗値の差を小さくできる。これにより、電源配線側の抵抗値R21とグラウンド配線側の抵抗値R31とは互いに略同一の抵抗値となる。
以下、インターポーザ32〜3nについてもインターポーザ31と同様に、電源配線200とグラウンド配線300とを構成するそれぞれのVIA及び半田ボールが互いに同数形成されている。そして、VIAの個数、半田ボールの個数を合わせ、断面積、配線幅及び長さを同一とするなど断面積、配線幅及び長さを制御することで、容易に抵抗値の差を小さくできる。これにより、電源配線側の抵抗値R12〜R1nとグラウンド配線側の抵抗値R42〜R4nとは互いに略同一の抵抗値となる。
以上説明したように、電源回路120を基準とする各参照電圧Vrefの電位(参照電圧Vrefが印加される各参照電圧端子11c〜1ncの電位)が略同一となる。したがって、各半導体装置11〜1nは、略同一電位の参照電圧Vrefに基づいて動作するので、各半導体装置11〜1nでハイ・レベル入力電圧(VIH)及びロウ・レベル入力電圧(VIL)等の電圧レベルが揃う。これにより、各半導体装置11〜1nの動作タイミングのずれを低減することができるので、各半導体装置11〜1nの動作が安定する。
そして、第1の半導体装置11がプロセッサであり、他の半導体装置がメモリであるので、プロセッサにおけるメモリのデータ入出力等、メモリの制御動作が安定する。また、メモリがDDRであるので、CKとコマンド間等のタイミングに対して重要な電圧である参照電圧Vrefが略同一となることから、タイミングに対するマージンの減少が抑えられ、安定した動作を実現することが可能となる。
また、各半導体装置に別途金属板を設けるような複雑な構造とはならず、インターポーザ及びプリント配線基板に形成された配線要素により電源配線200とグラウンド配線300とを略同一抵抗値としたので、コストアップ及び装置の大型化が抑制される。そして、電源配線200の配線要素と、グラウンド配線300の配線要素との略同一とするだけで電気抵抗値を略同一とすることができ、電気抵抗値を測定して別途電気抵抗体を挿入する等の調整作業を省略することができ、製造も容易である。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、半導体装置の電源端子の電位が上位の半導体装置のものほど低くなり、グラウンド端子の電位が上位の半導体装置のものほど高くなる場合について説明したが、本第2実施形態では、各電位を略同一とした場合について説明する。以下に本発明の第2実施形態の積層型半導体装置について図面を参照して説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略するとともに、上記第1実施形態の図3を参照しながら説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る積層型半導体装置の各半導体装置の電源端子、グラウンド端子及び参照電圧端子の電位を示す図である。本第2実施形態においても、積層型半導体装置は、n個の半導体装置11〜1nを備えている。そして、第1の半導体装置11の電源端子11aの電位と、第Nの半導体装置1N(N=2,…,n)の電源端子1Naの電位とが略同一となるように、電源配線200の配線要素の抵抗値が設定されている。つまり、下式を満足するようにする。
さらに、第1の半導体装置11のグラウンド端子11bの電位と、第Nの半導体装置1N(N=2,…,n)のグラウンド端子1Nbの電位とが略同一となるように、グラウンド配線300の配線要素の抵抗値が設定されている。つまり、下式を満足するようにする。
このように、電源配線200の各配線要素の抵抗値は、各半導体装置の電源端子11a〜1naが互いに略同一の電位となるように設定されている。また、グラウンド配線300の各配線要素の抵抗値は、各半導体装置のグラウンド端子11b〜1nbが互いに略同一の電位となるように設定されている。
具体的には、最上位の半導体装置1nまでの抵抗値は、最小限に設定されており、これよりも下位の半導体装置11〜1n−1が実装されるインターポーザの各プリント配線206,207,306,307において、断面積、配線幅及び長さを制御している。すなわち、各インターポーザのプリント配線における抵抗値R21〜R2n,R31〜R3nを設定する。例えば、プリント配線206の抵抗値R21が抵抗値(R12+…+R1n+R2n)となるようにプリント配線206の断面積、配線幅及び長さを設定すればよい。また、プリント配線306の抵抗値R31が抵抗値(R42+…+R4n+R3n)となるようにプリント配線206の断面積、配線幅及び長さを設定すればよい。このように抵抗値を設定することで、容易に各電源端子11a〜1naの電位を略同一に設定することができ、各グラウンド端子11b〜1nbの電位を略同一に設定することができる。したがって、プリント配線基板110や半導体装置のインターポーザ31〜3nで発生する配線の抵抗値による電圧降下は、電源配線200とグラウンド配線300とで、略同一とすることができる。
そのため、各半導体装置11〜1nに供給される供給電圧VD1〜VDnは略同一となり、しかも、供給電圧VD1〜VDnの分圧により生じる参照電圧Vrefも略同一とすることができる。そして、各半導体装置11〜1nは、略同一電位の参照電圧Vrefに基づいて動作するので、各半導体装置11〜1nでハイ・レベル入力電圧(VIH)及びロウ・レベル入力電圧(VIL)等の電圧レベルが揃う。これにより、各半導体装置11〜1nの動作タイミングのずれを低減することができるので、各半導体装置11〜1nの動作が安定する。そして、第1の半導体装置11がプロセッサであり、他の半導体装置がメモリであるので、プロセッサにおけるメモリのデータ入出力等、メモリの制御動作が安定する。また、メモリがDDRであるので、CKとコマンド間等のタイミングに対して重要な電圧である参照電圧Vrefが略同一となることから、タイミングに対するマージンの減少が抑えられ、安定した動作を実現することが可能となる。
なお、上記第2実施形態では、各半導体装置が参照電圧端子11c〜1ncを有し、参照電圧端子に分圧回路60で供給電圧を1/2に分圧した電圧を参照電圧として印加する場合について説明したが、これに限定するものではない。
つまり、第2〜第nの半導体装置をメモリとした場合に、参照電圧に基づいてVIH/VILによる動作タイミングを規定するものであるが、参照電圧端子を有しておらず、参照電圧を供給電圧VD2〜VDnとしてVIH/VILを規定するものがある。具体例を挙げて説明すると、各半導体装置のVIHは、0.8×VD1〜0.8×VDnで表され、VILは0.2×VD1〜0.2×VDnで表される。このようなメモリは、例えばSDRAMやMobile型のDDR−SDRAM等である。
そして、各半導体装置の電源端子が略同一の電位に揃えられ、しかも各半導体装置のグラウンド端子が略同一の電位に揃えられて各供給電圧が略同一となるので、各半導体装置でVIH及びVIL等の電圧レベルが略同一に揃う。したがって、各半導体装置の動作タイミングのずれが低減され、各半導体装置の動作が安定する。
また、このように参照電圧端子を有しない半導体装置と、上記第2実施形態と同様の参照電圧端子を有する半導体装置と、が混在する場合や、参照電圧端子に参照電圧として供給電圧が1/2以外の場合であってもよい。このような場合であっても、上記第2実施形態のように各抵抗値を設定すれば、各電源端子及び各グラウンド端子の電位が略同一に揃えられ、各半導体装置の動作が安定する。つまり、各半導体装置で参照電圧の電位を異ならせなければならない場合でも、供給電圧に基づいて参照電圧を設定するものであれば本発明は適用可能であり、この構成であっても、各半導体装置の動作タイミングのずれが低減され、各半導体装置の動作が安定する。
また上記第1,第2実施形態では、メモリがDDRの場合について説明したが、メモリがより高速なDDR2−SDRAMであってもよく、この場合、DDRと同様、参照電圧Vrefをタイミングに対する基準としている。そのため、DDR2−SDRAMを適用しても上記第1,第2実施形態と同じ効果を奏する。また、DDR2−SDRAMの場合、電源電圧が低くしてDDRより高速の動作を実現させている。このように、高速の動作を実現している半導体装置においては、より効果が大きいものである。
更に、DDRはTSOP型のパッケージが一般的であるが、DDR2の場合、BGA型パッケージとなる。そのため、SiP形態とする場合の小型化に対して有利となる。このように、種々の実施形態を持てる本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することができるのは明らかである。