JP2010201710A - 合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃およびこれを用いた打抜型 - Google Patents

合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃およびこれを用いた打抜型 Download PDF

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Abstract

【課題】合成樹脂板に形成する溝状罫線を、1乃至複数、形成可能として、正確に折り曲げて包装用箱を組み立てることができる罫線押刃を提案する。
【解決手段】合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃として、熱伝導率の高い素材で構成した所定長さの棒材からなる押刃主体の一面の長さ方向に、所望形状の溝形成突条を設ける共に、前記溝形成突条の近傍の長さ方向にヒータ挿通孔を貫設した。そして、上記溝形成突条は、1本、乃至は互いに平行して複数本設けた。また、上記押刃主体の長さ方向に、さらに盗み部を設けた。また、打抜型として、板状の母型材に、箱の展開図の輪郭を描くように打抜刃を配設すると共に、その展開図の折り曲げ用罫線部分に、上記いずれかの罫線押刃を配設した。展開図における箱の側板部分に、打ち抜いた合成樹脂板の側板に凹凸部を形成するためのヒータ板を設けた。
【選択図】図1

Description

この発明は、合成樹脂板を所定の箱展開図形状に打ち抜き、これを折り曲げて包装用箱に組み立てる際に、当該打ち抜いた合成樹脂板に溝状の折り曲げ用罫線を形成するための罫線押刃に関するもので、併せて、この罫線押刃および打抜刃を用いて合成樹脂板を所定形状に打ち抜くための打抜型を開示するものである。
従来、紙製段ボールに代えてポリプロピレンやポリエチレン等の低発泡性の合成樹脂板を使用して、これを箱展開図状に打ち抜くと共に、溝状の折り曲げ用の罫線を施し、これを組み立てて包装用箱とすることが行われている。この罫線を形成する場合、例えば、該合成樹脂板の所定個所に先端をV字状とした罫線押刃を機械的に押圧したり、加熱した罫線押刃により加熱溶融することにより行われていた。
また、この罫線を形成する手段として、板状の加熱器の上に罫線押刃を所定位置に植設してなるベニヤ板等からなる母型材を取り付け、加熱器で母型材および罫線押刃を加熱して、この加熱された罫線押刃によって溝状の罫線を形成することもあった。
しかしながら、このような手段では、罫線押刃と共に母型材全体も加熱することになるため、大型で高い容量の加熱器を必要とし、加熱器自体が高価となると共に、ランニングコストも高くなるという問題がある。また、罫線押刃が合成樹脂板を溶融するために必要な温度に加熱されるまで時間を要するという問題もある。
そこで、このような問題に対処するため、例えば、特許文献1に開示されているような「罫線加工方法及び罫線加工装置」が提案されている。
特許文献1に開示された罫線加工方法は、電熱材料で形成した自発熱押罫刃を用い、この自発熱押罫刃に直接通電し、発熱させてプラスチックシートに罫線加工を施すようにしたものである。より詳しくは、ベニヤ板等の母材上にプラスチックシートの打抜用の抜切刃及びプラスチックシートの折曲用の押罫刃(自発熱押罫刃)を、所定形状、寸法をもって植設、配置した型を形成し、低電流でも発熱しやすい高抵抗の電熱材料、例えばチタン合金やステンレス等で形成した押罫刃の端部同士を導線で直列接続し、さらにその回路端部に導線を介して電源装置を接続して、押罫刃に直接通電して発熱させる構造となっている。
特開平10−24488号公報
しかしながら、上記従来の方法では、押罫刃は1本の溝状の折り曲げ用罫線を形成するものであったから、耐久性等の観点から比較的厚みのある合成樹脂板を素材として使用した場合、形成される溝状の折り曲げ用罫線が1本のみのときには、曲げの余裕が足らず、正確に折り曲げることが困難であったり、相応の曲げ力が必要であった。
また、特許文献1のように押罫刃に対して直接、電流を供給して発熱させる構造では、各押罫刃間を導線で接続するときに溶接、ネジ止め、圧着等により電気的に接続する必要があり、さらに電源装置からの導線を最終端部に同様の手段で接続する必要があって、短絡が生じないように正確に配線、通電することが非常に手間を要するものであった。そしてこの場合、電流管理を正確に行わなければ、押罫刃自体や各導線が非常に高温になり、溶融、破損してしまうおそれがあるとともに、罫線を設ける合成樹脂板自体も過剰に溶融して逆に押罫刃に溶着するなどの不都合が生じ、電流の制御手段を必要とするものであった。
ところで、上述したような手段で罫線加工した合成樹脂板からなる包装用箱は、耐久性に優れているので、繰り返し使用することができ、特に近年望まれる、環境や省エネに配慮した使用をすることが可能である。この場合、例えば、宅配便の配送伝票等を箱の側板に直接貼付すると、上記再利用の際にこの伝票を剥がすのが困難であったり、また、伝票を剥がした跡が残るなど、不便さが残り、好ましいものではなかった。さらに、この種の包装用箱は、梱包用テープを用いて底板や蓋板を閉止するようにしている。この場合、配送センターなどで梱包済みの箱を移送する際にローラーコンベヤを使用しているが、特に底板に貼付した梱包用テープにおいて、箱の自重によってテープの糊成分がはみ出してきて、ローラー部分を汚損するという問題もあった。
本発明は、上記諸課題を解決するために発明をしたものであって、合成樹脂板に形成する溝状の折り曲げ罫線を、1乃至複数、形成することを可能として、正確に折り曲げて包装用箱を組み立てることができるようにした新規な罫線押刃を提案するものである。また、この際、罫線押刃の加熱手段としても新規な構成を提案するものである。
さらに、上記の罫線押刃を使用した打抜型を提案すると共に、この打抜型を構成する際に、組み立てた包装用箱を再利用が容易となるように、箱の底板及び蓋板、さらに側板に適宜な加工を施すことのできる打抜型を提案するものである。
上述した課題を解決するため、本発明は、合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃として、熱伝導率の高い素材で構成した所定長さの棒材からなる押刃主体の一面の長さ方向に、所望形状の溝形成突条を設ける共に、前記溝形成突条の近傍の長さ方向にヒータ挿通孔を貫設するという手段を採用した。
そして、上記溝形成突条は、1本、乃至は互いに平行して複数本設けるものであるという手段を採用した。
また、上記押刃主体の長さ方向に、さらに盗み部を設けるという手段を採用した。
さらに、上記押刃主体は、アルミ材を引抜成形または押出成形したものであるという手段を採用した。
一方、上記罫線押刃を使用した打抜型として、板状の母型材に、箱の展開図の輪郭を描くように打抜刃を配設すると共に、その展開図の折り曲げ用罫線部分に、上記いずれかの罫線押刃を配設するという手段を採用した。
そして、上記罫線押刃の高さを上記打抜刃の高さより低い高さとするという手段を採用した。
また、上記展開図における箱の側板部分に、打ち抜いた合成樹脂板の側板に凹凸部を形成するために表面を凹凸状としたヒータ板を設けるという手段を採用した。
さらに、上記展開図における箱の底板及び蓋板の端部部分で上記打抜刃に沿って、打ち抜いた合成樹脂板の底板及び蓋板の箱組立時の突き合わせ部分に段差部を形成するための段差形成ヒータ板を設けるという手段を採用した。
上述した合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃は、棒状の押刃主体に溝形成突条を設け、ヒータ挿通部に挿通するヒータにより罫線押刃のみを加熱するようにしたので、従来のように母型材全体を加熱することに比べて大型の加熱器を必要としないから、安価であり、ランニングコストも低減できるものである。
そして、溝形成突条を1本、乃至は互いに平行して複数本設けるようにしたので、合成樹脂板の厚さに応じて罫線の数を変更でき、より正確に折り曲げ、組立をすることが可能となって、美麗な包装用箱を提供できるものである。
また、盗み部を設けることで、構成材料の使用量を節約できると共に、軽量化を図ることができる。
一方、上記構成の罫線押刃を使用した打抜型は、各罫線押刃にヒータを挿通して個別に加熱するようにしているので、従来のように母型材全体を加熱することに比べて大型の加熱器を必要としないし、罫線押刃が合成樹脂板を溶融するために必要な温度に加熱されるまで時間を短縮することができる。また、この罫線押刃は繰り返しの使用が可能であるから、打抜型の製造コストも低減できるものである。さらに、罫線押刃の発熱温度の管理が容易となり、母型板を破損したり、合成樹脂板を過剰に溶融させるといった不都合を解消できるものである。
また、罫線押刃の高さを打抜刃の高さより低くしたので、打ち抜き時に、罫線押刃は合成樹脂板の厚さの途中で止まり、差分の厚みだけ残して溝を形成することができる。
さらに、側板に配送伝票貼付用の凹凸部を、打ち抜きと同時に形成できるので、加工の手間が軽減される。また、該凹凸部には伝票類を繰り返し貼付したり剥がしたりすることが可能となるので、付加価値の高い包装用箱を提供できるものである。
さらにまた、底板及び蓋板の箱を組み立てる時の突き合わせ部分に段差部を形成できるので、箱組立時に、該段差部同士を突き合わせて所定幅の凹部を形成し、該部に梱包用テープを貼付して箱底部を形成すればよい。この場合、梱包用テープの厚さは段差部に吸収されるので、底部に突出した部分が形成されない。そのため、テープから糊成分がはみ出してローラーを汚損することがなくなる。また、段差部によって梱包用テープ位置の貼付位置が決まるので、再利用時にも、同じ位置にテープを貼付するようになる。そのため、前のテープを剥がしたときに残留する糊成分がなく、ローラーを汚損することがない。
本発明に係る罫線押刃の斜視図である。 罫線押刃および打抜刃を適宜な母型材に植設、配置した打抜型の平面図である。 罫線押刃および打抜刃を母型材に植設し、合成樹脂板に圧接する態様の説明断面図である。 (A)は、打抜型を使用して打ち抜いた合成樹脂板を包装用箱として組み立てる途中の状態を示した斜視図、(B)は、組み立て時に底板を突き合わせて梱包用テープを貼付した態様を示す部分断面図である。
以下、本発明に係る合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃およびこれを用いた打抜型の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1は、本発明に係る罫線押刃の斜視図、図2は、この罫線押刃および打抜刃を適宜な母型材に植設、配置した打抜型の平面図である。また、図3は、罫線押刃および打抜刃を母型材に植設し、合成樹脂板に圧接する態様の説明断面図である。さらに、図4(A)は、この打抜型を使用して打ち抜いた合成樹脂板を包装用箱として組み立てる途中の状態を示した斜視図、(B)は、組み立て時に底板を突き合わせて梱包用テープを貼付した態様を示す部分断面図である。
先ず、図1は罫線押刃の全体斜視図であって、図1において、1は、例えばアルミ材等の熱伝導率の高い素材で構成した略角棒状の押刃主体である。2、2は、この押刃主体1の一面の長さ方向に互いに平行に設けた溝形成突条である。この2本の溝形成突条2、2が図示しない合成樹脂板に直接圧接して該部を加熱溶融する部分となるので、合成樹脂板に設けたい溝形状に応じて所定の形状を有している。例えば、断面形状を半円形や台形状とすることができる。3は、上記押刃主体1の溝形成突条2、2の下方近傍の長さ方向に貫設したヒータ挿通孔で、図示しない適宜なヒータを挿通して、溝形成突条2を中心とする押刃主体1を直接加熱するものである。また、4は、同様に上記押刃主体1の長さ方向に貫設した盗み部で、押刃主体1の材料を節約すると共に、軽量化を目的として設けたものである。
この押刃主体1は、上述したようにアルミ材などの熱伝導率の高い素材を、引抜成形や押出成形等により形成し、必要長さに切断して使用する。なお、図1では溝形成突条2を、2本設けているが、これに限定するものではない。即ち、合成樹脂板が比較的薄い場合には、折り曲げ易いため折り曲げ用の溝は1本でもよく、逆に合成樹脂板が厚い場合には、折り曲げ用の溝を3本以上設けることもある。従って、この合成樹脂板に設ける溝の数に対応して、溝形成突条2の本数は、1乃至複数本が任意に選択できる。
また、上記ヒータ挿通孔3や盗み部4の断面形状は、それぞれ図示した丸状、角状のものに限定されず、その目的に応じて任意の形状を選定できる。特に、盗み部4は複数設けたり、凹溝状とすることもある。さらに、この盗み部4は、材料の節約と軽量化を目的とするものであるから、必ずしも長さ方向に設ける必要はなく、例えば長さ方向と直交する方向に、所定の間隔をおいて孔乃至凹溝を貫設して設けてもよい。但し、上記押刃主体1は、引抜成形等により構成するので、盗み部4を長さ方向に設ければ、前記ヒータ挿通孔3と盗み部4を同時に形成することができるので製作コストを低減できる。
なお、上記押刃主体1のヒータ挿通孔3に挿通するヒータは、特に限定するものではなく、例えば、ニクロム線を適宜な棒材に巻回したものなど従来公知の各種ヒータを採用できるが、加熱及び冷却の制御が電気的に容易なものが好ましい。
次に、図2は、上述した罫線押刃および打抜刃を母型材に植設、配置した打抜型の例を示すものである。図2において、11は所定の大きさのベニヤ板からなる母型材、12はこの母型材11に植設された打抜刃で、作成する箱の展開図の輪郭を描くように無端に配置したものである。この母型材11は、下述する罫線押刃の加熱温度に耐えることのできる素材であれば、ベニヤ板に限定されるものではなく、例えば溶融温度の高い合成樹脂板で構成してもよい。また、打抜刃12は、従来公知のものを用いることができる。13、13・・・は上記構成の罫線押刃で、展開図の折り曲げ用罫線部分にそれぞれ植設、配置したものである。図では、繰り返し開閉を行う蓋片及び底片の罫線部分は3本の溝形成突条2を有する罫線押刃13を、折り曲げ頻度の比較的少ない側板の罫線部分には2本の溝形成突条2を有する罫線押刃13を、それぞれ配設した例を示している。但し、これに限定するものではなく、最終的に作成する箱の使用目的等に応じて適宜選定、配置されるものである。なお、各罫線押刃13のヒータ挿通孔にはヒータを挿通して適切な温度に加熱しているが、その配線は公知の手段を採用することができるので、図示を省略している。
上記打抜刃12と罫線押刃13は、図3に示すように、互いに異なる高さで母型材11に植設している。即ち、打抜刃12の高さをh1とすると、罫線押刃13の高さh2はそれより低い高さとする。また、その高さの差分h3は、合成樹脂板(P)の厚みより小さいものとする。この高さの設定によって、打抜刃12が合成樹脂板(P)を打ち抜いたときに、加熱した罫線押刃13は合成樹脂板(P)の厚さの途中で止まり、差分h3の厚みだけ残して溝を形成することになる。よって、このh3の厚みと溝形成突条2の本数により、合成樹脂板(P)の折り曲げ硬さを変更でき、目的に応じて適切な折り曲げ用罫線を形成できる。
なお、打抜刃12と罫線押刃13の母型材11に対する配設は、植設による配設や、表面上への直接配設など、必要に応じて、従来公知の配設手段を任意に選択することができる。
また、14は表面を例えばエンボスなどで凹凸状としたヒータ板で、箱の展開図の側板部分に設けるものである。このヒータ板14には、打ち抜き時に、合成樹脂板の側板部分に適宜な凹凸部(図4の22)を形成するためのものである。この凹凸部は、宅配便等の配送伝票を貼付する部分として設けるもので、側板部分の表面をエンボス加工等しておくことによって、該部に貼付する伝票類を容易に剥がすことができるようになっている。また、工場内等で、保管ケースや社内便等の箱として利用する場合に、内容物の表示用ラベル等を貼付する場合も同様である。このため、箱を繰り返し再利用する場合に、剥がし跡が残らず、美麗な状態で再利用可能となるので、付加価値の高い包装用箱を提供できる(図4参照)。
なお、このヒータ板14の凹凸形状は任意に設定することが可能で、所定の凹凸を繰り返し展開するいわゆるエンボス加工のほか、社名や商品名等の文字を凹凸で形成したものであってもよい。即ち、箱の側板部分に形成される凹凸部が、貼付した伝票類を容易に剥がすことのできるものであれば、その凹凸形状は特に限定されるものではない。
さらに、15は段差形成ヒータ板で、包装箱の底板及び蓋板の自由端部に所定の段差部(図4の21f)を形成するためのものであって、打抜刃12に沿って所定位置に設けるものである。この段差形成ヒータ板15は、必要に応じて設ければよく、形成される段差部21fは、下述するように、箱を組み立てる際に、底板又は蓋板を互いに突き合わせて梱包用テープ(図4の(T))を貼付位置を限定できるようにしたものである。この段差部の高さは、特に限定するものではないが、梱包用テープの厚さより大きく、例えば0.3〜0.5mm程度にする。
続いて、上記構成の打抜型を使用して合成樹脂板を加工する工程について説明する。基本的には、従来行われている打抜工程と同様である。即ち、所望の展開図状に打抜刃を配設すると共に、必要個所にそれぞれ罫線押刃を配設した上記打抜型をプレス機に設置する。次に、罫線押刃に挿通されたヒータの配線を適宜な電流供給装置に接続し、スイッチを入れてヒータを発熱させ、罫線押刃を合成樹脂板を溶融するために必要な所定の温度まで加熱する。また、ヒータ板や段差形成ヒータ板にも電流を供給して加熱しておく。
上記準備が完了すると、次に、この打抜型の上に合成樹脂板を載置し、上台を降下させてプレスする。このとき、打抜型上の打抜刃は合成樹脂板を所定の展開図状に打ち抜き、同時に、打抜型上の加熱された罫線押刃は、打ち抜いた合成樹脂板をその溝形成突条で溶融し、所定個所に折り曲げ用罫線の溝を形成する。また、同時に、この合成樹脂板の側板部分には、エンボス等による凹凸部が形成される。また、段差形成ヒータ板を用いた場合には、底板及び蓋板の端部に段差部が形成される。これによって、箱の展開図状となった合成樹脂板を得ることができる。通常は、この工程を繰り返し、所望の枚数だけ、打ち抜き加工した合成樹脂板を得る。
なお、上記実施形態では、上記構成の罫線押刃と打抜刃を同時に植設した打抜型の例を示したが、上記ヒータ挿通孔を有する罫線押刃は、単独で使用することも可能である。即ち、合成樹脂板を展開図状に打ち抜くために打抜刃を植設した打抜型と、打ち抜いた合成樹脂板にこの罫線押刃を利用して折り曲げ用罫線の溝を形成するための罫線押型とを個別に作成し、これらの型を用いて打ち抜き工程と、罫線押し工程の連続した2工程で展開図状の合成樹脂板を形成することも可能である。この場合でも、罫線の溝を加工するときに、同時に、側板へ凹凸部を形成したり、底板や蓋板に段差部を形成するようにすることが好ましい。
図4(A)は、上述のような工程で得られた合成樹脂板を組み立てて、包装用箱とする途中を示したものである。即ち、図2で示された展開図状に打ち抜いた合成樹脂板21、21を2枚組み合わせて箱を形成する。このとき、展開図端部の糊代片21aを互いの側板21b、21bの端部に接着乃至溶着して筒状とし、底板21c・・・及び蓋板21d・・・を折り曲げ用の罫線21eに沿って内側に折り曲げれば、包装用箱が完成する。また、箱の側板21bには凹凸部22が設けられているので、この部分に配送用伝票等を貼付する。これにより、当該伝票を剥がしても、剥がし跡が残らず、美麗な状態で再利用できる。
また、底板21c及び蓋板21dの端部に段差部21fを形成している場合には、図4(B)に示すように、互いの底板21cを突き合わせて互いの段差部21fが連続した状態の凹部を形成し、該部に梱包用テープを貼付して箱底部を形成すればよい。この場合、梱包用テープの厚さは段差部21fに吸収されるので、底部に突出した部分が形成されない。そのため、テープから糊成分がはみ出してローラーを汚損することがなくなる。また、段差部21fによって梱包用テープ位置の貼付位置が決まるので、再利用時にも、同じ位置にテープを貼付するようになる。そのため、前のテープを剥がしたときに残留する糊成分がなく、ローラーを汚損することがない。
以上説明したように、本発明に係る罫線押刃及びこれを用いた打抜型は、罫線押刃のみを加熱して、折り曲げ用罫線の溝を形成するようにしているので、従来のように型全体を加熱する方法に比べて大型の加熱器を必要とせず安価であり、ランニングコストも低減できる。また、箱の用途に応じて、折り曲げ用罫線の溝を複数本、同時に設けることが可能となったので、より正確に折り曲げ、組立をすることができ、美麗な包装用箱とすることが可能となった。
また、各罫線押刃のヒータ挿通孔にヒータを挿通して加熱するようにしたので、従来のように押罫刃に直接配線して通電することに比べて、打抜型を形成する手間を大幅に削減することが可能となり、さらに、繰り返しの使用が可能であるから、コストも低減できるものである。また、罫線押刃の発熱の温度管理も容易となり、母型板を破損したり、合成樹脂板を過剰に溶融させるといった不都合が解消できる。
さらに、側板に配送伝票貼付用の凹凸部を、打ち抜きと同時に形成できるので、加工の手間が軽減されると共に、付加価値の高い包装用箱を提供できる。また、底板及び蓋板の端部に段差部を形成するようにすれば、梱包用テープの貼付位置が一定となり、繰り返しの利用に便利である。
1 押刃主体
2 溝形成突条
3 ヒータ挿通孔
4 盗み部
11 母型材
12 打抜刃
13 罫線押刃
14 ヒータ板
15 段差形成ヒータ板

Claims (8)

  1. 熱伝導率の高い素材で構成した所定長さの棒材からなる押刃主体の一面の長さ方向に、所望形状の溝形成突条を設けると共に、前記溝形成突条の近傍の長さ方向にヒータ挿通孔を貫設したことを特徴とする合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃。
  2. 上記溝形成突条は、1本、乃至は互いに平行して複数本設けるものである請求項1記載の合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃。
  3. 上記押刃主体に、さらに盗み部を設けた請求項1又は請求項2記載の合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃。
  4. 上記押刃主体は、アルミ材を引抜成形または押出成形したものである請求項1から請求項3のいずれか1項記載の合成樹脂板の罫線加工用の罫線押刃。
  5. 板状の母型材に、箱の展開図の輪郭を描くように打抜刃を配設すると共に、その展開図の折り曲げ用罫線部分に、上記請求項1から請求項4のいずれか1項記載の罫線押刃を配設したことを特徴とする打抜型。
  6. 上記罫線押刃の高さを上記打抜刃の高さより低い高さとした請求項5記載の打抜型。
  7. 上記展開図における箱の側板部分に、打ち抜いた合成樹脂板の側板に凹凸部を形成するために表面を凹凸状としたヒータ板を設けた請求項5又は請求項6記載の打抜型。
  8. 上記展開図における箱の底板及び蓋板の端部部分で上記打抜刃に沿って、打ち抜いた合成樹脂板の底板及び蓋板の箱組立時の突き合わせ部分に段差部を形成するための段差形成ヒータ板を設けた請求項5から請求項7のいずれか1項記載の打抜型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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