JP2010201571A - 可変ピッチネジの再加工方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ネジ切り開始位置から前記ワークの可変ピッチネジの所定位置を計測することにより得られたこの計測位置における計測軸方向位置までの軸方向距離L、主軸回転数S、ネジピッチP及びピッチ増加量Kに基づいて計測軸方向位置を工具が通る時の送り軸速度Fを算出し、この算出した送り軸速度に基づいて計測位置の主軸角度A1°を算出し、この算出した主軸角度A1°と前記ワークの可変ピッチネジの所定位置を計測することにより得られたこの計測位置における計測主軸角度A0°とに基づいて、可変ピッチのネジ切り開始タイミングを補正する補正量Aを、算出する再加工補正量算出部2と、この補正量算出部2にて算出された補正量Aに基づいて可変ピッチネジ切り再加工を開始するネジ切り処理部3とを設けた。
【選択図】 図1
Description
なお、従来のネジ切り再加工方法は、主軸一回転あたりの工具の送り量が常に一定であることや、ネジ切り中の送り軸速度が常に一定であることを前提に成り立っているため、可変ピッチネジのような、主軸一回転あたりの工具の送り量が常に変化し、送り軸速度も常に変化しているネジの再加工には対応していないことは明らかである。
以下この発明の実施例1を、図1〜図7を用いて説明する。
なおこの実施例1は、本発明に係る可変ピッチネジの再加工方法を、NC装置に適用した例を示すものである。
またこの実施例1における再加工は、NC加工プログラム、機械、工具、再ネジ切りする際、工具が停止している位置、主軸回転数などの条件が、前回加工時と同一であることを前提としている。
なお、主軸エンコーダ9は、主軸の回転数と基準点位置信号(1回転毎に出力される)とを、ネジ切り処理部3に入力している。また計測情報8の詳細は図3を用いて後述する。また、再加工補正量算出部2の詳細動作は図4〜図6を用いて、またネジ切り処理部3の詳細動作は図7を用いて後述する。
また、この可変ピッチネジを加工する場合、NC加工プログラムには、主軸回転数指令(S○○)の他に、例えば、G34 Z○○ F○○ K○○; と指令される。
なお、G34は可変ピッチネジ加工のためのG指令、Z○○は可変ピッチネジの軸方向長さ指令、F○○はネジピッチ指令、K○○はネジピッチ増加量である。
またこの可変ピッチネジを加工する場合、NC装置では、主軸回転数指令S、ネジピッチ指令P、ネジピッチ増加量Kを用いて、工具を軸方向に移動させるための送り速度が演算される。
このような可変ピッチネジを加工したワークを再加工する場合、機械の主軸に設けられたチャックにてワークを把持するが、前回加工時と再加工時で、主軸とネジワークの位相(主軸の基準点位置に対するネジワークの角度)が異なるのが一般的で、この位相差の補正を行わないと、正確に再ネジ加工ができない。このため、先ず次の処理を行う。
即ち、プログラム解析処理部1が加工プログラム中の可変ピッチネジ加工指令(G34 Z○○ F○○ K○○)を解析し、可変ピッチネジのピッチP,一回転あたりのピッチ増加量Kを作成する。
次に、再加工補正量算出部2では、加工プログラムで指令された主軸回転数指令S、前記計測によりNC装置のメモリに計測情報8として保存された機械原点からの軸方向位置Z0(mm)、計測された主軸角度A0°、プログラム解析処理部1にて作成されたピッチP、ピッチ増加量Kから、前回加工時と再加工時の位相差(補正量)を下記のように算出する。
また、図5は図4中のZ0を含む可変ピッチネジの1ピッチ分を拡大した、計測位置Z0と、計測位置での送り軸速度Fの関係図である。この図から、計測位置Z0からその位置における送り軸速度Fが求められることが分かる。
また、図6は送り軸速度Fと主軸の角度の関係図で、計測位置Z0を通るときの主軸角度A1°を求めることができる。
なお、図6において、Aは位相差が0の場合の送り軸速度に対応する主軸角度、Bは再加工時の場合の送り軸速度に対応する主軸角度を示し、計測位置Z0を通るときの主軸角度A1°(ワークと主軸との相対角度が前加工と同じ取付け状態と仮定したときに、計測した刃物位置に刃物がネジ溝にぴったりと一致するように、主軸を回転させたときの主軸の回転位置)と、計測された主軸角度A0°との差分を補正すれば、ネジ山を崩すことなく可変ピッチネジの再加工ができることが理解されよう。
L=Z0−Zの絶対値
次に、軸方向位置Z0を工具が通る時の送り軸速度F(mm/min)を算出する。
Fは下記式にて算出される。
F=(√P2+2KL)×S
なお、左記の式の丸括弧箇所は「ルート(P2+2KL)」の意味である。
また、前記式で、Pはピッチ(mm/rev)、Kはピッチ増分(mm/rev/rev)、Lはネジ長さ(mm)、Sは主軸回転速度(rev/min)である。
A1°=((F-(P×S))/K)の余り×360°
このようにして、計測位置における主軸角度A1°が求められる。
次に計測角度A0°と、算出した主軸角度A1°から、補正量Aを算出する。
A=A0−A1
なお、Aを算出した結果が負の値となった場合、主軸一回転にあたる360°をAが正の値になるまで加算する。
それぞれの遅れは下記式にて算出される。
D1=(P×S×T)/(2×60)
D2=(P×S)/(G×60)
D3=(P×S×Δt)/60
Tは送り軸の時定数(sec)、Gはサーボ位置ループゲイン(1/sec)、Δtは演算遅れ時間(sec)である。
これらの合計を補正量D(°)へ変換する。
D=((D1+D2+D3)/(P×S)の余り)×360°
最終補正量=A−D
また、最終補正量は角度から、主軸エンコーダ6から入力されるパルス数へと単位変換する。
ステップ10において、主軸エンコーダ6より1回転毎に出力される基準点位置信号が検出されたか否かを判断し、基準点位置信号が検出されない場合、処理を終了する。即ち、基準点位置信号が検出されるまで、ステップ10、終了、の処理を繰り返す。そしてある周期の処理時に、ステップ10において基準点位置信号が検出された場合、ステップ11に移行する。
ステップ11では、主軸エンコーダ6から主軸増分パルスΔIを取得し、ステップ12に移行する。
ステップ12で、再加工モードであると判断されたとき、ステップ13に移行する。
ステップ13では、前記算出した補正量の有無を判断し、その補正量が0より小さい場合、ステップ18に移行する。
なお、この補正量は、位相差、送り軸加減速遅れなどを考慮して算出した最終の補正量である。また、ステップ13からステップ18に移行する場合は、前記算出した補正量にて補正をかけて再ネジ加工を開始した後の場合や、前記補正量を算出したがその補正量が0であった場合である。
ステップ14では前記補正量−ΔIの減算処理を行い、ステップ15に移行する。
ステップ15では、ステップ14で減算処理された補正量が0より小さいか否かを判断し、補正量が0より大きい場合、ステップ17に移行する。
ステップ17ではΔI=0として、ステップ18に移行する。
また、ステップ15で、ステップ14で減算処理された補正量が0より小さくなったと判断された場合、ステップ16に移行する。
ステップ16では、ステップ14で減算処理され0より小さくなった補正量を絶対値化しこれをΔIとして、ステップ18に移行する。
この結果、再加工時は基準点信号検出後、補正量分だけネジ切りの送り開始を遅らせることが出来るようになり、再加工モードで前回加工時と同じ可変ピッチネジ切りプログラムを運転することで、自動でネジ切り開始タイミングを調整し、可変ピッチネジの再加工を行うことができる。
Claims (5)
- 可変ピッチネジが施されたワークを機械の主軸に取付け、工具を所定の送り速度で送り軸方向に移動させて前記可変ピッチネジの再加工を行う方法において、前記ワークの可変ピッチネジの所定位置を計測することにより、この計測位置における計測軸方向位置と主軸の基準点位置からの計測主軸角度とを得る段階と、ネジ切り開始位置から前記計測軸方向位置までの軸方向距離、主軸回転数、ネジピッチ及びピッチ増加量に基づいて計測軸方向位置を工具が通る時の送り軸速度を算出し、この算出した送り軸速度に基づいて計測位置の主軸角度を算出し、この算出した主軸角度と前記計測主軸角度とに基づいて、可変ピッチのネジ切り開始タイミングを補正する補正量を、算出する補正量算出段階と、この補正量に基づいて可変ピッチネジ切り再加工を開始する段階と、を有する可変ピッチネジの再加工方法。
- 前記補正量算出段階の主軸角度は、前記算出した送り軸速度、主軸回転数、ネジピッチ及びピッチ増加量に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の可変ピッチネジの再加工方法。
- 工具を所定の送り速度で送り軸方向に移動させて、機械の主軸に取付けられたワークに施された可変ピッチネジの再加工を行う装置において、可変ピッチのネジ切り開始タイミングを補正する補正量を算出する補正量算出手段と、この補正量算出手段にて算出された補正量に基づいて可変ピッチネジ切り再加工を開始する手段とを備えてなる可変ピッチネジの再加工装置。
- 前記補正量算出手段は、ネジ切り開始位置から前記ワークの可変ピッチネジの所定位置を計測することにより得られたこの計測位置における計測軸方向位置までの軸方向距離、主軸回転数、ネジピッチ及びピッチ増加量に基づいて計測軸方向位置を工具が通る時の送り軸速度を算出し、この算出した送り軸速度に基づいて計測位置の主軸角度を算出し、この算出した主軸角度と前記ワークの可変ピッチネジの所定位置を計測することにより得られたこの計測位置における計測主軸角度とに基づいて、可変ピッチのネジ切り開始タイミングを補正する補正量を、算出するものであることを特徴とする請求項3に記載の可変ピッチネジの再加工装置。
- 前記補正量算出手段の主軸角度は、前記算出した送り軸速度、主軸回転数、ネジピッチ及びピッチ増加量に基づいて算出することを特徴とする請求項4に記載の可変ピッチネジの再加工装置。
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