JP2010247246A - 数値制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 通常加工と再仕上げ加工の二つのねじ切りモードを選択するねじ切りモード選択手段と、加工プログラム中のねじ切り指令に基づいて一連のねじ切り制御を行なうねじ切り制御手段18と、当該ねじ切りの仕上げパスを記憶する仕上げパス情報記憶手段37と、ねじ切りモード選択手段にて再仕上げ加工モードが選択されているとき、仕上げパス情報記憶手段37から仕上げパスを読み出して仕上げパスを復元する復元手段38とを設けた。
【選択図】 図1
Description
数値制御装置により実行されるねじ切りサイクルは、例えば
G76X…Z…I…K…D…F…A…* (1)
の様にプログラムすることにより行われる。
ここで、G76はねじ切りサイクルを指定する準備機能命令、X,Zは図7に於けるD点(理想ねじ終点)の座標値、Iはねじ部に於ける半径差で、I=0とすることによりストレートねじ切りとなる。Kはねじ山の高さであり、ねじの切込方向(X軸方向)の距離を指定することにより決定される。Dは第1回目のねじの切込量、Fはねじのリード(ワーク1回転当りのZ軸方向のバイト移動量mm/回転である)、Aはバイト刃先の角度(ねじ山の角度)、*は当該指令ブロックの終りを示すエンド・オブ・ブロック記号である。
このねじ切りサイクルに於いては、毎回のねじ切込量は、切削負荷を平準化するために、プログラムで指定された切込量Δdに基づいて所定の計算式(一般的には第1回目はΔd、第2回目はΔd×√2、…、第n回目はΔd×√nとすることが多い)により切込量の増分を漸減させて行く。図8に示すように、ねじ切込量が“(Δd×√n)≦(ねじ径+α)”と、仕上げ代の領域に入った時は“ねじ径+α”で仕上げ代αを残した量をねじ切込量として一連の位置を計算し、パスを生成して実行する。続いて仕上げ代を0とした最終パス(仕上パス)を生成・実行し、ねじ切りサイクルが完了する。
しかしながら、従来のNC装置では、加工プログラムの前記ねじ切り指令ブロックを再実行する場合、既に削り取られている第1回目のパスから第n回目のパス、そして仕上げパスまで、前回と同様に加工パスを計算・生成して空送りでバイトを動かすため、その分、加工時間が長くなるという課題があった。
以下、この発明の実施例1を図1〜図4を用いて説明する。
図1はこの発明の実施例1に係る、ねじの再加工のためのねじ切りバイトの加工パスの一例を示す図である。
本図では図7と比べると分かるように、切込量を徐々に変えるためのS−S1−B1−D1”−D1−EやS−S2−B2−D2”−D2−E等の最終仕上げパスに至る途中の加工パスが無い。つまり、この発明の実施例1によるねじの再仕上げ加工では、ワークはチャックから取り外されていないため、当該加工をそのまま実行できるが、途中の加工は既に終わっているためにそれらをスキップさせ、S−S’−B’−D”−D’−Eの最終仕上げパスのみを生成し、再度実行することにより仕上げ加工のみを再度行なうものである。
設定表示部11は、NC装置内の記憶部14に記憶された内容をオペレータに報知するために所定のフォームで表示し、また、オペレータが所定の操作により各種データを記憶部14に書き込んだりNC装置の状態切換等を行なう。これらの表示情報や操作情報は、設定表示I/F12を介して制御プログラム部13や記憶部14とやり取りされる。
再仕上げ時にはねじ切り制御部18は復元部38の作用により、前回加工時の仕上げパスの計算時に記憶した仕上げパスデータを読み出して所定のメモリ上に復元したパスデータを用い、仕上げパスの各セグメントの移動指令を順次生成出力してねじ切り制御を行う。この結果、再仕上げ加工時には図1に示すS−S’−B’−D”−D’−Eの最終パスである仕上げパスのみを実行できる。
なおこのチェックは、ねじ切り制御部18、確認メッセージ記憶部31、設定表示部11等、複数の構成要素によって行う。
先ずStep1で、設定表示部11で再仕上げモードが選択されているか否かをチェックし、再仕上げモードであればStep2に進み、通常加工モードであれば処理を終了する。Step2では読み込まれたプログラムブロックがねじ切り指令であるか否かをチェックし、ねじ切り指令であればStep3に進み、それ以外であれば処理を終了する。
Step4では前回実行した(現在チャッキングしている、再仕上げ加工を施すワークの)加工プログラムのねじ切り指令に関する情報を記憶したねじ切り情報記憶部33より、加工プログラムのプログラム番号、実行したねじ切り指令のシーケンス番号及びブロック番号等を読み出し、Step5に進む。加工プログラムのねじ切り指令ブロックに関するプログラム番号、シーケンス番号、ブロック番号、ねじ切り開始位置、ねじ山角度、ねじ高さ等(同時に別ブロックで指令される補助データも含む)の各種情報は、加工プログラム実行時にねじ切り指令情報記憶部33に記憶される。
Step7では前記両者の情報が一致しているので、“一致しました”や“実行しますか”のメッセージデータを確認メッセージ記憶部31から読み出し、設定表示I/F12を介して設定表示部11内の表示用メモリに書き込み、更に再仕上げ実行可否のオペレータの判断待ち中であることを示す確認中FGをセットして処理を終了する。この結果、ワークと加工プログラムが一致しており、確認ボタンを押せば、ねじ加工済みワークに対してねじの仕上げ加工が再加工できることが設定表示部11を介してオペレータに報知される。
なおこの処理は、主にねじ切り制御部18、復元部38が行う。
Step11では確認中フラグがセットされているか否かをチェックし、確認中でなければStep12に進む。確認中フラグは、再仕上げ実行時に再仕上げ加工をしようとするワークのねじ部と加工プログラムブロックが一致している場合に、オペレータに対してメッセージを報知し、再仕上げ作業の実行/キャンセルの指示を求めて処理を停止していることを示すフラグである。Step12ではねじ切り中フラグがセットされているかどうかをチェックする。ねじ切り中フラグはねじ切りサイクルの演算・制御処理中は“1”になるフラグである。ねじ切り処理の初回は当該フラグが“0”(オフ)であるのでStep13に進む。Step13では初期設定としてねじ切り中フラグを“1”(オン)にし、更に切込カウンタを初期化(1にセット)し、Step14に進む。
Step12でねじ切り中フラグがオンの時(2回目以降)はStep14に分岐する。
Step21では、記憶部14より各ねじ毎に記憶した各アドレスデータ及びパラメータを読み出し、これらの情報に基づいてねじ切り仕上げパスの各折点の座標値を計算し、パスデータとして記憶する。この時、復元部38は同じデータを各ねじ部に対応した仕上げパス情報記憶部37にも記憶させる。これは1ワークに複数のねじ切りが行なわれる可能性を考慮し、各ねじ別に必要な情報を記憶しておくための処置である。続いてねじ切り中フラグをオフにして処理を終了する。
なお、図示していないがオペレータへの確認中にオペレータにより再仕上げがキャンセルされると、確認中FGはオフにされると共にねじ切り再仕上げ加工はキャンセルされる。
図5及び図6は実施例2に関するブロック図及びフローチャートである。図3に示したねじ部の再仕上げ加工実行可否のチェック処理は、実施例1と同様に行なわれる。
図5に於いて、11は設定表示部、12は設定表示I/F、13は制御プログラム部、14は記憶部、15は駆動部である。制御プログラム部13は、プログラム解析部16、ねじ切り制御部18、補間部21、移動制御部22、S指令制御部25、主軸制御部26、再計算部36で構成される。また記憶部14は、加工プログラム記憶部(以下では各要件の“記憶部”を省略することがある)17、パラメータ19、切込カウンタ20、確認メッセージ31、エラーメッセージ32、ねじ切り指令情報33、切込カウンタ内容34、再仕上げ繰返し回数35を含む。そして駆動部15は、X軸サーボ駆動部23、Z軸サーボ駆動部24、主軸駆動部27から成るが、これらによって駆動されるモータや機械装置は図示しない。
ねじ切り制御部18は、従来同様に、プログラム解析部16から入力されるねじ切り指令のブロック情報、各種パラメータおよび切込カウンタ20の内容によってねじ切り制御を行なう。ねじ切り指令情報記憶部33は加工プログラム上のねじ切り指令ブロックに関する各種情報を記憶しておくもの、再計算部36はプログラムサーチされたねじ切り指令ブロックと、前記ねじ切り指令情報記憶部33に記憶されたねじ切り指令ブロックに関する情報とパラメータを用い、切込カウンタ20の内容を任意の値に初期化して演算し、順次切込量を求めてねじ切りサイクルの加工パスを生成するものである。
加工プログラムのねじ切り指令ブロックに関するプログラム番号、シーケンス番号、ブロック番号、ねじ切り開始位置、ねじ山角度、ねじ高さ等(同時に別ブロックで指令される補助データも含む)の各種情報は、加工プログラム実行時にねじ切り指令情報記憶部33に記憶される。ねじ加工の加工パス生成に伴って変化する切込カウンタ20の内容nは、仕上げパスを生成した時に切込カウンタ内容記憶部34へ、再仕上げ繰返し回数記憶部35に設定されている値mを減じて記憶される。
Step32でねじ切り中フラグがオンの時(2回目以降)はStep36に分岐する。
なお、図示していないがオペレータへの確認中にオペレータにより再仕上げがキャンセルされると確認中FGはオフされると共にねじ切り再仕上げ加工はキャンセルされる。
また、ねじ指令ブロックの指定方法については、前記実施例ではオペレータがプログラム番号、シーケンス番号、ブロック番号等の当該ねじ部を特定できる情報を指定してプログラムサーチするようにしているが、1ワーク中にねじ部が複数ある場合には下記のような指定方法も有効である。
(1)トレース形状またはシミュレーション形状と当該形状中に表示される当該ねじ部の対応セグメントを、態様を変えて識別可能に表示し、指令ブロックをプログラムサーチした時に対応するセグメントを認識させる、及びまたはプログラムブロック情報を同一画面上に表示することにより確実に可否を判断させる。
(2)トレース形状またはシミュレーション形状とねじ部の対応セグメントを、態様を変えて識別可能に表示し、ポインティング手段で再仕上げ加工するセグメントを指示し、このセグメントに対応した指令ブロックのプログラムサーチを行うことにより加工部位に対応するブロックを容易且つ的確に指示する。
また、一旦ワークをチャックより取り外して計測を行ない、再取り付け・再仕上げ加工を行なう場合、前記作業を行わなくても、再ねじ切り加工時にも前回のねじ切り加工時と同一位置(角度)から行うことができる、種々提案されている公知の手段を用いれば、前記作業を行うことなく、同様に仕上げパスのみの加工を行わせることができ、同等の効果が得られる。
Claims (7)
- ねじ切り加工済みワークに必要に応じてねじ部を再加工する制御を行なう数値制御装置に於いて、通常加工と再仕上げ加工の二つのねじ切りモードを選択するねじ切りモード選択手段と、加工プログラム中のねじ切り指令に基づいて一連のねじ切り制御を行なうねじ切り制御手段と、前記ねじ切りモード選択手段にて再仕上げ加工モードが選択されているとき、仕上げパスまたは仕上げパスの所定回数前のパスから仕上げパスまでのパスを、復元または生成する手段とを備えてなる数値制御装置。
- ねじ切り加工済みワークに必要に応じてねじ部を再加工する制御を行なう数値制御装置に於いて、通常加工と再仕上げ加工の二つのねじ切りモードを選択するねじ切りモード選択手段と、加工プログラム中のねじ切り指令に基づいて一連のねじ切り制御を行なうねじ切り制御手段と、当該ねじ切りの仕上げパスを記憶する仕上げパス情報記憶手段と、前記ねじ切りモード選択手段にて再仕上げ加工モードが選択されているとき、前記仕上げパス情報記憶手段から仕上げパスを読み出して仕上げパスを復元する復元手段とを備えてなる数値制御装置。
- 再加工を行なうねじ切り指令を特定するための情報を記憶するねじ切り指令情報記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の数値制御装置。
- ねじ切り加工済みワークに必要に応じてねじ部を再加工する制御を行なう数値制御装置に於いて、通常加工と再仕上げ加工の二つのねじ切りモードを選択するねじ切りモード選択手段と、加工プログラム中のねじ切り指令に基づいて一連のねじ切り制御を行なうねじ切り制御手段と、ねじ切りパスの計算に必要な情報を記憶するねじ切り指令情報記憶手段と、前記ねじ切りモード選択手段にて再仕上げ加工モードが選択されているとき、前記ねじ切り指令情報記憶手段に記憶されたねじ切りパスの計算に必要な情報及び前記ねじ切り指令に基づいて、仕上げパスのみを計算し生成する再計算手段とを備えてなる数値制御装置。
- ねじ切り加工済みワークに必要に応じてねじ部を再加工する制御を行なう数値制御装置に於いて、通常加工と再仕上げ加工の二つのねじ切りモードを選択するねじ切りモード選択手段と、加工プログラム中のねじ切り指令に基づいて一連のねじ切り制御を行なうねじ切り制御手段と、ねじ切りパスの計算に必要な情報を記憶するためのねじ切り指令情報記憶手段、再仕上げ加工時に仕上げパスの何巡前のパスからパス生成を実行するかを示す回数を記憶する再仕上げ繰返し回数記憶手段と、前記ねじ切りモード選択手段にて再仕上げ加工モードが選択されているとき、前記ねじ切り指令情報記憶手段に記憶されたねじ切りパスの計算に必要な情報、前記ねじ切り指令及び前記再仕上げ繰返し回数記憶手段に予め設定された回数に基づいて、仕上げパスの所定回数前のパスから仕上げパスまでを計算し生成する再計算手段とを備えてなる数値制御装置。
- 前記ねじ切り指令情報記憶手段は、当該ねじ切り指令を特定するための情報をも記憶するものであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の数値制御装置。
- 再加工するねじ部が既に加工済みであるか否か、及びまたは、再加工するねじ部と選択したねじ切り指令が同一か否かをチェックして、ねじ部が未加工、及びまたは、ねじ部と選択したねじ切り指令が不一致の場合はエラーメッセージを設定表示手段に表示し、加工済み、及びまたはねじ切り指令が一致している場合には、ねじ切りパス実行前に前記設定表示手段に確認メッセージを表示し、オペレータの許可操作により再仕上げのためのねじ切りパスを実行する実行確認手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の数値制御装置。
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