JP2010200889A - 歯ブラシ - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に複数の凹凸形状を有するフィラメントにより植毛部を構成している歯ブラシでありながら、いわゆる奥歯である第二大臼歯の遠心面における歯垢の除去効果を向上させた歯ブラシを提供する。
【解決手段】表面に複数の凹凸を有するフィラメント5aと、表面が平滑であるフィラメント5bとを、歯ブラシの植毛台3に植設して植毛部4を構成し、さらに、前記凹凸を有するフィラメントを前記植毛台の先端部6に植設することにより、第二大臼歯の遠心面への到達性及び清掃性を向上させて表面に付着した歯垢を効果的に除去することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、歯ブラシに関するものであり、さらに詳しくは、表面に複数の凹凸を有するフィラメントを植設してなる歯ブラシに関する。
口腔内の二大歯科疾患である齲蝕と歯周病は、いずれも口腔内の細菌がその主たる原因であることが知られている。これらの疾患の有効な予防方法の一つとしては、歯ブラシを使った日々のブラッシングによる物理的なプラークコントロールが挙げられる。このプラークコントロールをいかに巧みに行うかが重要であるが、必ずしも歯牙における全ての部位が容易に清掃できるというわけではなく、特に、いわゆる奥歯である臼歯部、とりわけその中でも最も奥の歯の遠心面は、非常にプラークコントロールがしにくい部位である。歯ブラシのフィラメントがこのプラークコントロールのしにくい部位に到達し、且つプラークを効率よく除去できるかどうかが、歯ブラシの設計上要求されるところである。
通常の歯ブラシは、円形断面で平滑(ストレート)なフィラメントを使用し、植毛部に同じ長さの毛束を設ける構成をとっている。これについて、前記のようにプラークコントロールがしにくい臼歯部の清掃効果を高めるために、従来より種々の検討がなされている。例えば、歯ブラシハンドル部の前方先端部から後方につれて植毛長さが短くなるように坂型にフィラメントが植設された植毛部を有する歯ブラシが開示されている(特許文献1)。また、前方先端部におけるフィラメントが後端部分のフィラメントよりも長く植設され、さらに前記先端部のフィラメントからなる毛束が、歯ブラシを平面視した場合に略C字形状になるように植設された植毛部を有する歯ブラシが開示されている(特許文献2,3)。これらはいずれも植毛部に植設されたフィラメントの毛先が臼歯部の表面にフィットしやすいように加工がなされた歯ブラシであり、いずれも植毛部の毛切り形状に工夫が施されたものである。しかしながら、これらのような歯ブラシでは奥歯の清掃効果について限界があり、特に、最も奥の歯である第二大臼歯、又はいわゆる親知らずと呼ばれる第三大臼歯の遠心面には完全に毛先が届かず、清掃効果としては不十分となる。また、毛切り形状の設計によって毛先を届かせることができたとしても、ブラッシングの際の摺動方向から考えれば、第二大臼歯(又は第三大臼歯)の遠心面には主にフィラメントの表面(周面)が接することとなり、やはり十分な清掃効果を得ることができない。
一方、フィラメントの表面による強い刷掃力を利用する観点からも、種々の歯ブラシが検討されている。例えば、フィラメントの表面がでこぼこのざらざらした形状である歯ブラシや(特許文献4)、フィラメントの表面が波型形状である歯ブラシ(特許文献5)、及びフィラメントの表面に扁平断面部と非扁平断面部とが交互に形成された歯ブラシ(特許文献6)が開示されている。これらのフィラメントを一様に植毛台に植設した場合、剛性の高いフィラメントであれば、全体的に植毛部の座屈強度が高くなってしまい、ブラッシングの際に十分にフィラメントがたわむことなく、第二大臼歯の遠心面へのフィラメントの到達性が不十分となる。逆に、剛性の低いフィラメントであれば、第二大臼歯の遠心面への到達性は向上するが、フィラメントの剛性が低下した分だけ刷掃力が低くなってしまい、十分なプラークコントロールが行えない。
特開平9−103325号公報 特開2001−286341号公報 特開2002−325632号公報 実開昭61−68724号公報 実開平1−63432号公報 特開2007−97850号公報
本発明は、表面に複数の凹凸を有するフィラメントから植毛部を構成して歯垢除去効果を向上させてなる歯ブラシにおいて、第二大臼歯の遠心面における歯垢除去効果を向上させることを目的とするものである。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、表面に複数の凹凸を有するフィラメントから植毛部を構成することで歯の歯垢除去効果を向上させてなる歯ブラシにおいて、前記凹凸を有するフィラメントと、表面が平滑であるフィラメントとを組み合わせて植毛台に植設し、さらに前記凹凸を有するフィラメントを植毛台の先端部に配置させることにより、効果的に前記凹凸を有するフィラメントを第二大臼歯の遠心面に到達させることができ、フィラメントの表面にある凸部により前記遠心面の歯垢を効果的に除去することができるとの着想に基づき、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る歯ブラシは、表面に複数の凹凸を有するフィラメントと、表面が平滑であるフィラメントとを植毛台に植設して植毛部を構成する歯ブラシにおいて、前記凹凸を有するフィラメントを前記植毛台の先端部に植設してなることを特徴とする歯ブラシである。このように、表面に複数の凹凸を有するフィラメント(以下、「凹凸フィラメント」と称する。)と、表面が平滑であるフィラメント(以下、「平滑フィラメント」と称する。)とを組み合わせて用い、当該凹凸フィラメントを植毛台の先端部に配置させ、前記平滑フィラメントを前記植毛台の後端部を含む残部に配置させることで、効果的に前記凹凸フィラメントの表面を第二大臼歯の遠心面に到達させることができ、さらに、当該表面に設けられた凹凸形状の凸部により、表面が平滑な通常のフィラメントよりも効果的に歯垢を除去することができ、凹凸フィラメントの表面形状を有効に利用することができる。すなわち、本発明は下記の歯ブラシを提供するものである。
項1.表面に複数の凹凸を有するフィラメントと、表面が平滑であるフィラメントとを植毛台に植設して植毛部を構成する歯ブラシにおいて、前記凹凸を有するフィラメントを前記植毛台の先端部に植設してなることを特徴とする歯ブラシ。
項2.前記凹凸を有するフィラメントが植設された植毛穴の開口部が、前記平滑であるフィラメントが植設された植毛穴の開口部よりも大きいことを特徴とする項1記載の歯ブラシ。
項3.前記凹凸を有するフィラメントの植毛長さが、前記平滑であるフィラメントの植毛長さよりも長いことを特徴とする項1又は項2の何れかに記載の歯ブラシ。
項4.前記凹凸を有するフィラメントが、前記平滑であるフィラメントよりも太いことを特徴とする項1〜3の何れかに記載の歯ブラシ。
また、本発明においては、前記凹凸を有するフィラメントが植設された植毛穴の開口部が、前記平滑であるフィラメントが植設された植毛穴の開口部よりも大きいことが好ましい。これにより、凹凸フィラメントからなる毛束の座屈強度を平滑フィラメントからなる毛束の座屈強度よりも高めることができ、前記凹凸フィラメントの表面をより効果的に第二大臼歯の遠心面に到達させることが可能となる。また、到達性のみならず、凹凸フィラメントからなる毛束の座屈強度を高めることで歯垢を除去する刷掃力も向上させることができる。
また、本発明においては、前記凹凸を有するフィラメントの植毛長さが、前記平滑であるフィラメントの植毛長さよりも長いことが好ましい。これは、凹凸フィラメントが植毛部の全体において段差をなすように構成してもよく、凹凸フィラメントが植毛台の先端部に進むにつれて長くなるように坂状に構成してもよく、また、凹凸フィラメントが植毛台の先端部に進むにつれて湾曲しながら長くなるような構成でもよい。これにより、凹凸フィラメントの表面をさらに効果的に第二大臼歯の遠心面に到達させることが可能となる。
また、本発明においては、前記凹凸を有するフィラメントが、前記平滑であるフィラメントよりも太いことが好ましい。これにより、植毛台の先端部に配置された凹凸フィラメント及びそれからなる毛束の座屈強度を、前記先端部を除く残部に配置された平滑フィラメント及びそれからなる毛束の座屈強度よりも高めることができ、前記植毛台の先端部とそれ以外の残部とで毛束の座屈強度の差異を生じさせることによって、前記凹凸フィラメントの第二大臼歯の遠心面への到達性をさらに向上させることができ、さらに付着した歯垢を除去する清掃効果も高めることができる。
本発明によれば、プラークコントロールのしにくい臼歯部、特に第二大臼歯の遠心面に対して、効果的に歯ブラシの植毛部にある凹凸フィラメントを到達させることができ、さらにフィラメントの表面に設けられた複数の凸部を効果的に利用して、前記遠心面における歯垢の除去効果を改善することができる。
本発明に係る歯ブラシ1実施例の斜視図。 (a)は植毛台部分の平面図。(b)は図2(a)におけるI−I断面図。 (a)〜(f)は、凹凸フィラメントと平滑フィラメントとを混在させる各種実施態様を示す植毛台部分の平面図。 (a)〜(d)は、凹凸フィラメントと平滑フィラメントとを混在させる各種実施態様を示す植毛台部分の側面図。 (a)、(b)は第二大臼歯遠心面清掃時の植毛部の状態を示す説明図。
図1は、本発明に係る歯ブラシ1の実施例を示しており、歯ブラシ1は柄部2と植毛台3とからなり、植毛台3にはフィラメントを集束した多数の毛束5を植設して植毛部4を設けてある。前記フィラメントは、ナイロン、ポリエステル等の歯ブラシの植毛部のフィラメントに通常用いられている樹脂材料を紡糸したモノフィラメントからなり、このモノフィラメントからなる多数のフィラメントを集束した毛束5を植毛台3に形成された植毛穴7(図2(b)参照)に植設してなる。
図例の歯ブラシ1の植毛部4は、図2(a)に示すように、植毛台3の幅方向及び長さ方向に複数列の毛束列を配置してなり、植毛台3の長さ方向に伸びる4列の毛束列を配置し、植毛台3の長さ方向の両端部においては、植毛台3の幅方向の毛束5の数を3、2と減少させて、植毛部4の長さ方向の両端部において、その幅が狭くなるように構成してある。そして、前記植毛台3の先端部6に位置する毛束を凹凸フィラメント5aからなる毛束(図中、黒丸で示す。)で構成するとともに、それ以外の領域に位置する毛束を、平滑フィラメント5bからなる毛束(図中、白丸で示す。)で構成してある。
前記植毛台3の先端部6に位置する毛束を構成する凹凸フィラメント5aには、フィラメントの表面(周面)に凹凸形状を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、表面が平滑(ストレート)な円形断面のフィラメントの紡糸過程において、歯車のような治具を2つ用いて、紡糸直後のフィラメントを歯車の歯で挟み込むように押圧することにより、フィラメントの表面に複数の凹部を形成したものを用いることができる。また、フィラメントの内部にエンジニアリングプラスチック等の不溶性の微粒子等を練り込んで、その表層に前記微粒子等による凸部を設けたものや、前記微粒子等を含む溶剤でフィラメントの表層をコーティングして凸部を設けたものや、捻られたフィラメントや、フィラメントの表面を研磨することにより凹凸加工されたもの等を用いることができる。これらの中でも、前記紡糸直後のフィラメントを前記歯車の歯で挟み込むように繰り返し押圧することにより凹部が形成されたフィラメントが好ましい。なぜなら、押圧されていない部位については、凹部が形成されたことにより元のフィラメント表面が相対的に凸形状となり、また、凹部を形成した位置は、フィラメントの断面において押圧方向と垂直な方向に広がるため、当該垂直方向には両側に凸部を有することになるからである。このように、フィラメントを正面、背面、右側面、及び左側面の四方向から見たときに、いずれの方向から見てもフィラメントの軸方向に複数の凹部と凸部とが形成される凹凸フィラメントになるからである。なお、これらの凹凸形状を有するフィラメントは、いずれもフィラメントの軸方向に対して複数の凹凸を有するものであることが好ましい。
また、前記植毛台3の先端部6を除く残部に植設される平滑フィラメント5bは、フィラメントの軸方向に対して表面に凹凸形状を有さないものであれば特に限定されることなく、例えば、通常の歯ブラシに用いられる円形断面で表面に凹凸のない平滑(ストレート)なフィラメントを用いることができる。この平滑フィラメント5bとしては、前記凹凸フィラメント5aと同様のナイロン又はポリエステル等の樹脂材料を常法どおり紡糸することにより製造されるモノフィラメントを用いることができる。また、その断面形状は略円形に限定されることなく、例えば、略楕円形であったり、略三角形や略四角形等の多角形形状であってもよい。
前記植毛台3の先端部6とは、図2に示したとおり、歯ブラシハンドルの柄部2とは対向する側の植毛台端部からの一定の領域をいう。この一定の領域は、2.5〜9.5mmであることが好ましい。その中でも、5.0〜9.0mmであることが特に好ましい。2.5mm未満である場合は、前記先端部6における凹凸フィラメント5aの数が少なすぎるために刷掃性が低くなり、9.5mmを超える場合は、前記先端部6における凹凸フィラメント5aの数が多すぎるために第二大臼歯の遠心面への到達性を低下させることになる。
また、前記先端部6は、フィラメントが集束された毛束の観点から見た場合には、植毛台3の幅方向及び長さ方向に複数列の毛束列を配置してなる植毛部4において、歯ブラシハンドルの柄部2とは対向する側の植毛台端部から前記長さ方向に1〜3列であることが好ましい。これが3列を超える場合には、前記先端部6における凹凸フィラメント5aの数が多くなるために第二大臼歯の遠心面への到達性が著しく低下することになる。
また、前記凹凸フィラメント5aが植設された植毛穴7の開口部は、前記平滑フィラメント5bが植設された植毛穴7の開口部よりも大きいことが好ましい。前記凹凸フィラメント5aが植設された植毛穴7の開口部は、その面積としては2.0〜5.0mmとすることができ、特に2.2〜4.2mmであることが好ましい。また、前記平滑フィラメント5bが植設された植毛穴7の開口部面積は1.1〜2.3mmであり、1.3〜2.1mmであることが好ましい。凹凸フィラメント5aが植設された植毛穴7の開口部が大きすぎると、植毛穴7に植設された毛束5における隣り合うフィラメントの物理的相互作用により前記毛束5の座屈強度が高くなりすぎて毛束5自体がたわみにくくなり、第二大臼歯の遠心面に対して到達性が低下することになる。また、前記開口部が小さすぎると、植毛穴7に植設された毛束5の座屈強度が低すぎて、第二大臼歯の遠心面に対する刷掃力が低下することになる。また、凹凸フィラメント5aが植設された植毛穴7の開口部面積は、前記平滑フィラメント5bが植設された植毛穴7の開口部面積の1.0〜5.0倍とすることができ、特に1.05〜3.25倍であることが好ましい。このように、植毛穴7の開口部面積の大きさに応じて凹凸フィラメント5aからなる毛束の断面積は大きくなるため、図3(a)〜(f)に示したとおり、凹凸フィラメント5aからなる毛束は植毛台3の最先端部においては1〜2本が植設されることになる。なお、前記植毛穴の開口部面積とは、植毛台を平面視したときに示される植毛穴の面積であって、例えば、略円形、略楕円形、又は多角形の面積であることを意味する。
前記凹凸フィラメント5aが植設された植毛穴7の開口部面積は、植毛台3に設けられた植毛穴7の開口部の総面積に対して、10〜45%であることが好ましく、その中でも20〜40%であることが好ましい。この範囲内であれば、図3(a)〜(f)に示すように種々の植毛パターンを取ることができる。これにより、前記凹凸フィラメント5aからなる毛束の座屈強度と、前記平滑フィラメント5bからなる毛束の座屈強度との差異について良好なバランスを構築することができ、第二大臼歯の遠心面への到達性及び刷掃性に優れた効果を奏することができる。これが10%未満である場合は、前記凹凸フィラメント5aからなる毛束の座屈強度が低すぎるために第二大臼歯の遠心面への十分な清掃効果を得ることができず、45%を超える場合は、植毛部4における座屈強度の高い部分が多くなりすぎて第二大臼歯の遠心面に凹凸フィラメント5aからなる毛束が入り込みにくくなってしまう。
また、前記植毛台3の先端部6に位置する前記凹凸フィラメント5aは、前記平滑フィラメント5bの植毛長さよりも長いことが好ましい。これは、図4(a)に示すように、凹凸フィラメント5aが植毛部4の全体において段差をなすように構成してもよく、図4(b)に示すように、凹凸フィラメント5aが植毛台3の先端部に進むにつれて長くなるように坂状に構成してもよく、また図4(d)に示すように、凹凸フィラメント5aが植毛台4の先端部に進むにつれて湾曲しながら長くなるような構成でもよい。これらのうち、図4(b)に示すような坂状に構成された植毛部が好ましく、その中でも、図4(c)に示すように、最先端部の植毛長さが最長であって、植毛台3の長さ方向の途中まで先端部6の領域だけ後方に従って坂状に短くなり、残部は最短の植毛長さで平坦となっている植毛部4が特に好ましい。このときの凹凸フィラメント5aからなる毛束の植毛長さは10.0〜12.5mmとすることができ、平滑フィラメント5bからなる毛束との差が、1〜3mmとすることができる。また、図3(b)、(e)、(f)に示すように、凹凸フィラメント5aからなる毛束が植毛台の最先端部から植毛台3の幅方向として3列目まで配置される場合は、前記3列目の凹凸フィラメント5aからなる毛束の植毛長さは、前記平滑フィラメント5bからなる毛束の植毛長さと等しくすることもできる。
また、前記植毛台3の先端部6に植設された前記凹凸を有するフィラメントは、前記平滑であるフィラメントよりも太いことが好ましい。フィラメントの太さは、具体的にはフィラメントの断面積をもって規定することができ、フィラメントがより太いということは、その断面積がより大きいことを意味する。このとき、前記平滑フィラメント5bは、前記凹凸フィラメント5aよりも断面積が小さいものであればよいが、特に凹凸フィラメント5aの断面積の50〜90%の断面積を有するものが好ましい。これが50%に満たない場合は、平滑フィラメント及びそれからなる毛束の座屈強度が小さくなりすぎて十分な刷掃力を得ることができず、90%を超える場合は、凹凸フィラメントに対して十分な座屈強度の差を得ることができなくなる。
上記のように、植毛台3の先端部6に位置する毛束を凹凸フィラメント5aからなる毛束で構成し、それ以外の毛束を平滑フィラメント5bからなる毛束で構成することにより、植毛部全体における座屈強度の不均一性が発生して、第二大臼歯の遠心面の清掃時には、図5(a)に示すように歯ブラシ1の植毛部4を歯の表面に押し当てた状態から、さらに少しだけ力を加えることにより図5(b)のように凹凸フィラメント5aの表面が十分に前記遠心面に容易に到達することができる。そして、この図5(b)の状態から歯ブラシ1を左右に振動させることにより凹凸フィラメント5aの表面にある凹凸部が効果的に前記遠心面の歯垢を取り除くことができる。
凹凸フィラメントと平滑フィラメントとを合わせて植毛部を構成した歯ブラシについて、前記凹凸フィラメントの断面積が0.0324mmのものを用いて、図3(e)に示すような植毛台の先端部に前記凹凸フィラメントからなる毛束を植設した歯ブラシサンプルを作製した。そのうち、植毛部の毛切り形状を図4(c)の通りとして、先端部の植毛長さの最長部分が12.5mmの歯ブラシサンプルを実施例1とし、前記植毛長さの最長部分が10.5mmの歯ブラシサンプルを実施例2とした。また、比較例としては、円形断面で表面が平滑(ストレート形状)であって、断面積が0.0283mmのフィラメントからなる毛束を植毛長さが全て9.5mmとなるように植毛台の先端部に植設した歯ブラシサンプルを用いた。なお、前記先端部を除いた植毛台の残部に植設した前記平滑フィラメントは、断面が円形であり、断面積が0.0254mmのものを用い、その植毛長さは全て9.5mmとした。
また、前記凹凸フィラメントは、表面が平滑な円形断面のフィラメントの紡糸過程において、紡糸直後のフィラメントを2つの歯車の歯で両側から挟み込むように押圧することにより凹部を形成したものとした。押圧されていない位置については、凹部が形成されたことにより元のフィラメント表面が相対的に凸形状となり、また、凹部を形成した位置は、フィラメントの横断面において押圧方向と垂直な方向に広がるため、当該垂直方向には両側に凸部を有している。このように、フィラメントを正面、背面、右側面、及び左側面の四方向から見たときに、いずれの方向においても凹部と凸部とが形成される凹凸フィラメントを用いた。このとき、前記凹凸フィラメントの凹凸形状は、軸方向において300〜400μmの間隔で凹部と凸部とを繰り返す構造を有し、凹部の深さと凸部の高さとの差は15〜55μmとなるものであった。なお、2つの歯車の歯により挟み込まれて形成された前記凹部は、その押圧作用により正面方向のフィラメント直径が小さくなっているが、実際は押圧方向と垂直な方向のフィラメント直径が拡大している、いわゆる略楕円形の断面形状を有するものとなっているため、前記凹部におけるフィラメントの断面積は変わらないことになる。
歯垢除去効果の評価は、上顎第二大臼歯の表面に擬似歯垢を均一に塗布し、第二大臼歯の遠心面について、歯に対して植毛部を90度の角度で当て、ブラッシング圧力を250gとして歯ブラシ振幅15mmで10秒間ブラッシングした後、歯垢が除去された面積の割合(%)を画像解析して歯垢除去率とした。その結果を表1に示す。
Figure 2010200889
表1の結果から明らかなように、円形断面で表面が平滑であるフィラメントのみから植毛部を構成した比較例の歯ブラシサンプルに比べて、植毛台の先端部に凹凸フィラメントからなる毛束を植設した実施例1,2の歯ブラシサンプルは、第二大臼歯の遠心面の歯垢除去効果に優れた効果を有することがわかった。そして、前記先端部に植設された凹凸フィラメントからなる毛束は、その植毛長さが長いほど優れた効果を有するものであることがわかった。
1 歯ブラシ 2 柄部
3 植毛台 4 植毛部
5 毛束 5a 凹凸フィラメント
5b 平滑フィラメント 6 先端部
7 植毛穴 8 凸部
9 凹部
D 植毛台の厚さ d 植毛穴の深さ
h 植毛長さ w 植毛穴の直径
T1 第一大臼歯 T2 第二大臼歯

Claims (4)

  1. 表面に複数の凹凸を有するフィラメントと、表面が平滑であるフィラメントとを植毛台に植設して植毛部を構成する歯ブラシにおいて、前記凹凸を有するフィラメントを前記植毛台の先端部に植設してなることを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記凹凸を有するフィラメントが植設された植毛穴の開口部が、前記平滑であるフィラメントが植設された植毛穴の開口部よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。
  3. 前記凹凸を有するフィラメントの植毛長さが、前記平滑であるフィラメントの植毛長さよりも長いことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の歯ブラシ。
  4. 前記凹凸を有するフィラメントが、前記平滑であるフィラメントよりも太いことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の歯ブラシ。
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