JP2010195352A - 車両の骨格構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軽量でありながら、衝突時の骨格構造の変形を制御し、好適な態様で変形させることができる車両の骨格構造を提供する。
【解決手段】 センターピラー1では、アウタフレーム11の内側にリンホース12が設けられている。リンホース12は、アウタフレーム11を補強する部材であり、アウタフレーム11の厚さ方向に向けて突出する複数の凸部12Aと、複数の凸部12Aのうちの隣接する凸部12A同士の間に形成された凹部12Bとを備えている。このうちの複数の凸部12Aは、アウタフレーム11の内側面に沿って配設されている。さらに、凹部12Bにおける開口部の幅は凹部12Bにおける頂部の幅よりも広くされ、凸部12Aの側面が傾斜している。
【選択図】 図1
【解決手段】 センターピラー1では、アウタフレーム11の内側にリンホース12が設けられている。リンホース12は、アウタフレーム11を補強する部材であり、アウタフレーム11の厚さ方向に向けて突出する複数の凸部12Aと、複数の凸部12Aのうちの隣接する凸部12A同士の間に形成された凹部12Bとを備えている。このうちの複数の凸部12Aは、アウタフレーム11の内側面に沿って配設されている。さらに、凹部12Bにおける開口部の幅は凹部12Bにおける頂部の幅よりも広くされ、凸部12Aの側面が傾斜している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両の骨格構造に係り、特に、車両の骨格部材の内側に補強部材が配設された車両の骨格構造に関するものである。
車両の骨格構造として、たとえば、センターピラーに用いられる骨格部材では、アウタフレームとインナフレームとの間に補強部材が設けられるものがある。この種の補強部材として、複数枚の略変形長方形状の横リブと、この横リブを所定の間隔で連結する対をなす第1縦リブと第2縦リブとを備える衝撃吸収樹脂リブ構造がある(たとえば、特許文献1参照)。
このリブ構造では、第1および第2の縦リブは複数枚の横リブのセンターピラー側に縁部と同じくガーニッシュ側の縁部に対応して略格子状に連結形成されている。また、第1および第2リの縦リブの少なくとも一方がセンターピラーまたはガーニッシュ側に取り付けられているものである。この衝撃吸収樹脂リブ構造を備えるピラーでは、ピラーに衝突が生じた際の荷重−変位量のグラフの波形を理想波形に近づけることができるというものである。
しかし、上記特許文献1に開示された衝撃吸収樹脂リブ構造を備える骨格構造では、多数の縦リブおよび横リブを設ける必要がある。これらの多数のリブを設ける必要があることから、衝撃吸収樹脂リブ構造からなる補強部材の重量が嵩んでしまうという問題があった。
そこで、本発明の課題は、軽量でありながら、衝突時の骨格構造の変形を制御し、好適な態様で変形させることができる車両の骨格構造を提供することにある。
上記の課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する補強部材が取り付けられた上下方向に延在するセンターピラーを備える車両の骨格構造であって、補強部材は、アウタ部材の厚さ方向に向けて突出する複数の凸部と、複数の凸部のうちの隣接する凸部同士の間に形成された凹部とを備え、複数の凸部は、アウタ部材の内側面に沿って配設されており、凹部における開口部の幅は、凹部における頂部の幅よりも広くされ、凸部の側面が傾斜していることを特徴とするものである。
本発明に係る車両の骨格構造においては、アウタ部材の厚さ方向に向けて突出する複数の凸部と、複数の凸部のうちの隣接する凸部同士の間に形成された凹部とを備えている。このうちの複数の凸部は、アウタ部材の内側面に沿って配設されており、凹部における開口部の幅は、凹部における頂部の幅よりも広くされ、凸部の側面が傾斜しているこのため、センターピラーの側方から障害物が衝突した場合には、隣接する凸部の側面同士が当接し、以後の補強部材の変形を抑止する。このため、衝突時の骨格構造の変形を制御し、好適な態様で変形させることができる。また、補強部材は、複数の凸部と凹部とを備えて形成されている。このため、多数のリブなどを設ける必要もないので、軽量なものとすることができる。
ここで、凹部における開口部の幅が、センターピラーにおける車両のドライバの頭部に対応する位置よりも、車両のドライバの腰部に対応する位置の方が広くなっている態様とすることができる。
このように、凹部における開口部の幅が、センターピラーにおける車両のドライバの頭部に対応する位置よりも、車両のドライバの腰部に対応する位置の方が広くなっていることにより、ドライバの腰部に対応する位置の方が変形しやすくなる。このため、ドライバの頭部の対応する高さにおけるセンターピラーの車室内への侵入が阻害されるとともに、ドライバの腰部に対応する高さにおけるセンターピラーの車室内への侵入がある程度許容される。したがって、ドライバの頭部に対応する高さにおけるセンターピラーの変形量を小さく抑えることができる。
また、凹部における頂部の幅が、凹部に隣接する凸部における頂部の幅よりも狭くされている態様とすることができる。
このように、凹部における頂部の幅が、凹部に隣接する凸部における頂部の幅よりも狭くされていることにより、隣接する凸部の側面同士が近接した状態となっている。このため、センターピラーの側方から障害物が衝突した際に、隣接する凸部の側面同士を当接しやすくすることができる。
さらに、補強部材が繊維強化プラスチック製である態様とすることができる。
このように、補強部材が繊維強化プラスチック製であることにより、補強部材の強度を高く保ちながらも、骨格構造のさらなる軽量化を図ることができる。
また、補強部材は、繊維強化プラスチックシートを複数積層されて形成されている態様とすることができる。
このように、補強部材は、繊維強化プラスチックシートを複数積層されて形成されていることにより、センターピラーの側方から障害物が衝突した際に、補強部材に層間剥離が生じる。この補強部材に層間剥離が生じることによって衝突エネルギーを大きく吸収することができる。
さらに、補強部材におけるアウタ部材の開口部側に、鋼板が配置されている態様とすることができる。
このように、補強部材におけるアウタ部材の開口部側に、鋼板が配置されていることにより、層間剥離を起こして補強部材に鋭いエッジが生じた場合に、鋼板によって鋭いエッジの車室内への侵入を防止することができる。
他方、上記の課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する補強部材が取り付けられた上下方向に延在する骨格部材を備える車両の骨格構造であって、補強部材は、アウタ部材の厚さ方向に向けて突出する複数の凸部と、複数の凸部のうちの隣接する凸部同士の間に形成された凹部とを備え、複数の凸部は、アウタ部材の内側面に沿って配設されており、凹部における開口部の幅は、凹部における頂部の幅よりも広くされ、凸部の側面が傾斜していることを特徴とするものである。
本発明に係る車両の骨格構造によれば、軽量でありながら、衝突時の骨格構造の変形を制御し、好適な態様で変形させることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のセンターピラーの斜視図、図2はセンターピラーが設けられた車両の正断面図、図3はセンターピラーの拡大断面図である。図1および図2に示すように、本実施形態に係る車両の骨格構造となるセンターピラー1は、車両の下側方に設けられたロッカ2と、上側方に設けられたルーフサイドレール3との間に掛け渡されて配設されている。
センターピラー1は、図2に示すように、アウタ部材となるアウタフレーム11および補強部材となるリンホース12を備えている。アウタフレーム11は、長尺状であり、略四角形状の一部が開放面とされた断面形状をなしており、アウタフレーム11の内側には、リンホース12が配設されている。
リンホース12は、図3に示すように、アウタフレームの厚さ方向に向けて突出する複数の凸部12Aと、複数の凸部12Aのうちの隣接する凸部12A同士の間に形成された凹部12Bとを備えている。これらの複数の凸部12Aは、アウタフレーム11における内側面に沿って配置されている。
また、リンホース12における凹部12Bの開口部の幅LD1は、凹部12Bの頂部の幅LD2よりも広くされている。さらには、凹部12Bの頂部の幅は、凹部12Bに隣接する凸部12Aの頂部の幅LP1よりも狭くされている。このため、凸部12Aの側面は傾斜面とされている。また、図2に示すように、リンホース12における凹部12Bの幅は、ドライバMの頭部の対応する高さでは、ドライバMの腰部に対応する高さよりも広くされている。このため、隣接する凸部12Aの側面同士がなす角度は、ドライバMの頭部の対応する高さでは、ドライバMの腰部に対応する高さよりも大きくされている。
さらに、リンホース12は繊維強化プラスチックである炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics、以下「CFRP」という)によって形成されている。リンホース12を製造する際には、図4(a)に示すように、に示すように、複数のCFRPシート20を用意し、図4(b)に示すように、これらのCFRPシート20を積層する。その後、積層したCFRPシート20を加熱し、図1および図3に示すような凹凸を有する形状に成形する。その後、積層したCFRP20を冷却して、凹凸を有するリンホース12とする。
また、アウタフレーム11における開口面には、アウタフレーム11の内側から順にCRRP板13および鋼板14がこの順で配設されている。CFRP板13は、リンホース12と同様に、CFRPシート20を複数積層し、板状に成形されることによって形成されている。また、鋼板14は鋼製の板によって形成されている。これらのCFRP板13および鋼板14によって、アウタフレーム11の開放面を閉鎖している。
次に、本実施形態に係る車両の骨格構造の作用について説明する。本実施形態に係る車両の骨格構造では、センターピラー1におけるリンホース12は複数の凸部12Aと凹部12Bとを備えて形成されている。このため、強度を向上させるためのリブなどセンターピラー1に設ける必要がないので、軽量なものとすることができる。
また、本実施形態に係る車両の骨格構造は、センターピラー1に他車両などの障害物が衝突した際、リンホース12を好適に変形させることができ、衝撃吸収力に優れるという作用効果を発揮する。以下、本実施形態に係る車両の骨格構造において、センターピラー1に障害物が衝突した際の衝撃吸収のメカニズムについて説明する。
ここで、図5(a)に示すように、センターピラー1の側方から障害物Hが衝突する場合を想定する。センターピラー1の側方から障害物Hが衝突すると、図5(b)に示すように、センターピラー1におけるアウタフレーム11が折曲変形するとともに、リンホース12が折曲変形する。これらアウタフレーム11およびリンホース12の折曲変形によって、衝突によって生じる衝突エネルギーが吸収される。特に、リンホース12の折曲変形が衝突エネルギーの吸収に大きく寄与する。
いま、センターピラー1の側方から障害物Hが衝突すると、図5(b)に示すように、リンホース12が変形する。このリンホース12の変形が生じる際には、まず、図6に示すように、凹部12Bを中心としてリンホース12が折れ曲がり、隣接する凸部12Aの側面同士が向かい合う形となる。このように、隣接する凸部12Aの側面同士が向かい合って当接することにより、リンホース12の折曲方向への変形が抑制される。
このときのリンホース12の折曲方向への変形は、隣接する凸部12Aの側面同士がなす角度によって影響を受け、角度が大きいほど変形量が大きくなり、その分リンホース12が大きく折曲することとなる。ここで、センターピラー1におけるリンホース12では、リンホース12における凹部12Bの幅は、ドライバMの頭部の対応する高さでは、ドライバMの腰部に対応する高さよりも広くされており、隣接する凸部12Aの側面同士がなす角度は、ドライバMの頭部の対応する高さでは、ドライバMの腰部に対応する高さよりも大きくされている。このため、センターピラー1におけるドライバMの頭部の対応する高さにおけるセンターピラー1の車室内への侵入が阻害されるとともに、ドライバMの腰部に対応する高さにおけるセンターピラー1の車室内への侵入がある程度許容される。したがって、図7に示すように、ドライバMの頭部に対応する高さにおけるセンターピラー1の変形量を小さく抑えることができる。
また、リンホース12では、凹部12Bの頂部の幅LD2は、隣接する凸部12Aの頂部の幅LP1よりも狭くされている。このため、隣接する凸部12Aの側面同士が近接した状態となっており、センターピラー1の側方から障害物Hが衝突した際に、隣接する凸部12Aの側面同士を当接しやすくすることができる。
さらに、隣接する凸部12Aの側面同士が当接した後は、凸部12Aの側面が破壊されることによって、衝突エネルギーが吸収される。ここで、リンホース12は、図4に示すように、複数のCFRPシート20が積層されて構成されている。CFRPシート20が積層されたリンホース12では、センターピラー1の側方からの衝突が生じた場合のような圧縮力や曲げ力を受けた場合には、一体となっていた複数のCFRPシート20が剥がれる層間剥離が生じる。
このため、障害物Hのセンターピラー1への衝突によって凸部12Aが破壊される際には、図8に示すように、リンホース12の側面において、積層されたCFRPシート20に層間剥離が生じることとなる。この層間剥離が生じることにより、単にリンホース12が変形する場合と比較して、衝突によって生じた衝突エネルギーを大きく吸収することができる。
さらに、リンホース12における複数のCFRPシート20が層間剥離を起こすと、図9に示すように、リンホース12の剥離部分に鋭いエッジが生じることがある。ここで、アウタフレーム11の開放面に鋼板14が設けられている。鋼板14は、延性を有するため、塑性変形はするものの、破断にまでは至り難い特性を有している。このため、リンホース12の剥離部分に鋭いエッジが生じた場合でも、鋼板14が破断まではしないことから、鋼板14によって、エッジの車室内への侵入を防止することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態ではリンホース12をCFRPによって製造しているが、鋼鉄やアルミ、あるいはアルミ合金など金属製のものとすることもできるし、他のFRP材を用いることもできる。また、上記実施形態では、車両の骨格構造としてセンターピラーを挙げているが、アウタ部材に補強部材が設けられる態様の骨格構造であれば、他の骨格構造、たとえばバンパやロッカなどについても用いることができる。
1…センターピラー、2…ロッカ、3…ルーフサイドレール、11…アウタフレーム、12…リンホース、12A…凸部、12B…凹部、13…CFRP板、14…鋼板、20…シート、H…障害物、M…ドライバ。
Claims (7)
- 長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、前記アウタ部材の内側に、前記アウタ部材を補強する補強部材が取り付けられた上下方向に延在するセンターピラーを備える車両の骨格構造であって、
前記補強部材は、前記アウタ部材の厚さ方向に向けて突出する複数の凸部と、前記複数の凸部のうちの隣接する凸部同士の間に形成された凹部とを備え、
前記複数の凸部は、前記アウタ部材の内側面に沿って配設されており、
前記凹部における開口部の幅は、前記凹部における頂部の幅よりも広くされ、前記凸部の側面が傾斜していることを特徴とする車両の骨格構造。 - 前記凹部における開口部の幅が、前記センターピラーにおける前記車両のドライバの頭部に対応する位置よりも、前記車両のドライバの腰部に対応する位置の方が広くなっている請求項1に記載の車両の骨格構造。
- 前記凹部における頂部の幅が、前記凹部に隣接する前記凸部における頂部の幅よりも狭くされている請求項1または請求項2に記載の車両の骨格構造。
- 前記補強部材が繊維強化プラスチック製である請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の車両の骨格構造。
- 前記補強部材は、繊維強化プラスチックシートを複数積層されて形成されている請求項4に記載の車両の骨格構造。
- 前記補強部材における前記アウタ部材の開口部側に、鋼板が配置されている請求項4または請求項5に記載の車両の骨格構造。
- 長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、前記アウタ部材の内側に、前記アウタ部材を補強する補強部材が取り付けられた上下方向に延在する骨格部材を備える車両の骨格構造であって、
前記補強部材は、前記アウタ部材の厚さ方向に向けて突出する複数の凸部と、前記複数の凸部のうちの隣接する凸部同士の間に形成された凹部とを備え、
前記複数の凸部は、前記アウタ部材の内側面に沿って配設されており、
前記凹部における開口部の幅は、前記凹部における頂部の幅よりも広くされ、前記凸部の側面が傾斜していることを特徴とする車両の骨格構造。
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