JP2010194797A - 液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】リザーバー内に伝播する液体の圧力変動を十分に吸収することができ、吐出安定性を確保することが可能な液体噴射ヘッド及びこれを備えた液体噴射装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッド2はノズル開口18に連通する圧力発生室19となる溝部と溝部の底部の少なくとも一部であって圧力発生源26の駆動によって発生する振動を圧力発生室に伝える振動板23と圧力発生室にインク供給口21を介して連通する共通インク室20となる溝部と溝部の底部20aに開口して共通インク室内にインクを導入するインク導入口22とが形成された流路形成基板15と流路形成基板に積層されインク導入口と連通してインクを共通インク室側へ供給するインク導入口27と圧力発生源の個別電極25とが形成された電極基板17とを備え流路形成基板であって共通インク室に対向する領域に第1薄肉部30を設けることにより流路形成基板と電極基盤との間に空間31を形成した。
【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置に関するものである。
液体噴射装置は液体を液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドから液体状のインクをインク滴として吐出させて記録を行うインクジェット式記録装置(プリンター)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶パネル向けのカラーフィルター、有機EL素子、薄膜トランジスターの形成等にも液体噴射ヘッドが応用されている。
上記の液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッドとしては、ノズル開口に連通する圧力室と、この圧力室に供給する液体を導入する共通インク室と、この共通インク室と圧力室を連通して共通インク室内のインクを圧力室側に供給するインク供給路とを備え、圧力発生源を作動させて圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることによって、圧力室内のインクをノズル開口からインク滴として吐出可能に構成されたものがある。この記録ヘッドとしては、種々の駆動方式のものがある。例えば、圧電振動子や発熱素子等の圧力発生素子を備え、この圧力発生素子を作動させることでインク滴を吐出するように構成されているものや、対向電極間に発生する静電気力により、圧力室を区画する弾性面を弾性変形させてインク滴を吐出するように構成されているもの等がある。
このような記録ヘッドは、複数のプレート状のヘッド構成部材を積層して構成されているものが一般的である。例えば、複数のノズル開口が列状に開設されたノズル基板や、共通インク室(リザーバー)及び圧力発生室を通ってノズル開口に至るまでの一連のインク流路(液体流路)を形成する流路基板等を積層して接合している(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−348282号公報
このような構成の記録ヘッドでは、圧力発生室への圧力発素子の駆動によってノズル開口からインクを吐出させた後に、この吐出によって生じる残留振動が圧力変動として圧力発生室からリザーバーまで伝播し、この圧力変動をリザーバーで十分に吸収することができないために圧力発生室側に反射することがある。このため残留振動が消え難かった。さらに、複数の圧力発生室を列設させて、リザーバーから各圧力発生室にインクを導入するように構成された記録ヘッドにおいては、この残留振動による圧力変動が、リザーバーから駆動させていない他の圧力発生室内のインクに伝播することがある。このため、インクの吐出が不安定になる虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リザーバー内に伝播する液体の圧力変動を十分に吸収することができ、吐出安定性を確保することが可能な液体噴射ヘッド、及び、これを備えた液体噴射装置を提供することにある。
本発明の液体噴射ヘッドは、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズル開口に連通する圧力発生室となる凹部と、該凹部の底部の少なくとも一部であって圧力発生手段の駆動によって発生する振動を前記圧力発生室に伝える振動板と、前記圧力発生室に液体供給口を介して連通するリザーバーとなる凹部と、該凹部の底部に開口してリザーバー内に液体を導入する液体導入口と、が形成された第1の基板と、
前記第1の基板に積層され、前記液体導入口と連通して液体貯留部材から導いた液体をリザーバー側へ供給する連通口と、前記圧力発生手段の電極と、が形成された第2の基板と、を備え、
前記第1の基板であって前記リザーバーに対向する領域に、第1薄肉部を設けることにより、前記第1の基板と前記第2の基板との間に空間を形成したことを特徴とする。
この構成によれば、第1の基板であって前記リザーバーに対向する領域に、第1薄肉部を設けることにより、前記第1の基板と前記第2の基板との間に空間を形成したので、この第1薄肉部を撓み易いコンプライアンス部として機能させることができ、十分な圧力吸収能力を得ることができる。したがって、液体導入口からリザーバーに液体が入る際に発生する圧力変動が液体導入口付近に及ぼす影響と、液体供給口からリザーバーに液体が逆流する際に発生する圧力変動の影響と、を空部側に第1薄肉部を弾性変形させることで十分に緩和することができる。これにより、圧力発生室及びリザーバー内の液体の残留振動を抑制でき、液体の吐出安定性を確保できる。また、圧力発生室、リザーバー、及び、液体供給口を形成している同一部材(第1の基板)に、第1薄肉部を形成しているために、高精度で所望の位置に第1薄肉部を設けることができる。さらに、第1薄肉部を、第2の基板と積層する側に形成したので、薄くても不用意な外力を受け難く、破壊され難い。
上記構成において、前記第1薄肉部を、少なくとも前記液体導入口から前記液体供給口までの間に延設する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、第1薄肉部を、少なくとも液体導入口から液体供給口までの間に延設したので、第1薄肉部の面積を広く取ることができ、これにより、リザーバー内の圧力変動をより効果的に吸収することが可能となる。
上記構成において、前記ノズル開口を開設した第3の基板を、前記第1の基板の前記第2の基板とは反対側に積層して、前記圧力発生室となる凹部の開口部とリザーバーとなる凹部の開口部とを塞ぎ、
前記第3の基板であって前記リザーバーに対向する領域に、第2薄肉部を設ける構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、ノズル開口を開設した第3の基板を、第1の基板の第2の基板とは反対側に積層して、圧力発生室となる凹部の開口部とリザーバーとなる凹部の開口部とを塞ぎ、第3の基板であってリザーバーに対向する領域に、第2薄肉部を設けたので、第1薄肉部及び第2薄肉部によって、リザーバーのコンプライアンスを大きくすることができ、これにより、リザーバー内の圧力変動をより効果的に吸収することが可能となる。
また、上記構成において、前記第1薄肉部により形成した前記空間を、大気と連通させる構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、第1薄肉部により形成した空間を、大気と連通させたので、外気圧が変動したとしても、第1薄肉部の弾性変形量を維持しつつ、リザーバー内の圧力変動をより効果的に吸収することが可能となる。
そして、本発明の液体噴射装置は、上記各構成の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする。
プリンターの構成を示す平面図である。 記録ヘッドの構成を示す分解斜視図である。 記録ヘッドの圧力発生室長手方向の断面図であって、(a)は図2中のa−a線に沿った断面図であり、図2中のb−b線に沿った断面図である。 他の実施形態における記録ヘッドの構成を示す分解斜視図である。 図4に示された記録ヘッドの圧力発生室長手方向の断面図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置(液体噴射装置)として、図1に示すインクジェット式プリンター(以下、プリンターと略記する)を例示する。
図1は、本発明に係るプリンター1の構成を示す平面図である。このプリンター1は、外郭の一部を構成するフレーム1′と、このフレーム1′内に配設されたプラテン3とを備えており、紙送り機構における紙送りモーターの駆動により回転する紙送りローラー(何れも図示せず)によってプラテン3上に記録紙(記録媒体又は吐出対象物の一種:図示せず)が搬送されるようになっている。また、フレーム1′内には、プラテン3と平行にガイドロッド4が架設されており、このガイドロッド4には、インクジェット式記録ヘッド2(液体噴射ヘッドの一種。以下、記録ヘッド)を収容したキャリッジ5が摺動可能に支持されている。このキャリッジ5は、キャリッジ移動モーター9の駆動によって回転する駆動プーリー10aと、この駆動プーリー10aとはフレーム1′における反対側に設けられた遊転プーリー10bとの間に架設されたタイミングベルト11に接続されている。そして、キャリッジ5は、キャリッジ移動モーター9を駆動することで、ガイドロッド4に沿って紙送り方向と直交する主走査方向に往復移動するように構成されている。即ち、これらのキャリッジ移動モーター9、駆動プーリー10a、遊転プーリー10b、及び、タイミングベルト11によりキャリッジ移動機構が構成されている。
キャリッジ移動モーター9は、キャリッジ移動機構における駆動源として機能し、例えば、パルスモーターやDCモーターが用いられる。このキャリッジ移動モーター9は、制御手段として機能する制御部(図示せず)により、その回転速度や回転方向等が制御される。そして、キャリッジ移動モーター9が回転すると、駆動プーリー10a及びタイミングベルト11が回転し、キャリッジ5がガイドロッド4に沿って移動する。つまり、キャリッジ4に搭載された記録ヘッド2は、制御部による制御の下で主走査方向に往復移動される。なお、キャリッジ5の走査位置については、走査位置に応じたエンコーダーパルスを主走査方向における位置情報として出力するリニアエンコーダー(図示せず)によって把握することができる。
フレーム1′の一側には、インクカートリッジ6(液体貯留部材の一種)が着脱可能に搭載されており、本実施形態では合計4個のインクカートリッジ6が設けられる。このインクカートリッジ6は、エアチューブ12を介してエアポンプ13と接続されており、このエアポンプ13からの空気が各インクカートリッジ6内に供給される。そして、この空気によるインクカートリッジ6内の加圧により、インク供給チューブ14を通じて記録ヘッド2側にインクが供給(圧送)されるように構成されている。インク供給チューブ14は、例えば、シリコン等の合成樹脂で作製された可撓性を有する中空部材であり、このインク供給チューブ14の内部には、各インクカートリッジ6に対応するインク流路が形成されている。
図2は、本実施形態の記録ヘッド2の構成を示す分解斜視図であり、図3(a)は、記録ヘッド2のインク導入口22を通る圧力発生室長手方向の断面図である。また、図3(b)は、図3(a)に対して圧力発生室19の列設方向に異ならせてインク導入口22を通らない位置で切断した断面図である。この記録ヘッド2は、シリコン製の流路形成基板15(第1の基板の一種)の一方の面に、同じくシリコン製のノズル形成基板16(第3の基板の一種)を、流路形成基板15の他方の面に、ガラス製の電極基板17(第2の基板の一種)を各々配置して積層し、各部材間を接着剤によって接合することで3層構造となっている。
上記ノズル形成基板16は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル開口18を列状に開設した板材である。上記流路形成基板15には、その表面から異方性エッチングを施すことにより、インク流路となる溝部(圧力発生室となる凹部,リザーバーとなる凹部の一種)が形成されており、この溝部(凹部)の開口部分がノズル形成基板16によって塞がれることにより、各ノズル開口18に対応して複数の圧力発生室19、各圧力発生室19に対して共通のインクが導入される共通インク室20(リザーバーの一種)、及び、共通インク室20と各圧力発生室19とを連通するインク供給路21(液体供給口の一種)から成る一連のインク流路が区画される。
流路形成基板15において、共通インク室20となる溝部の一部を区画する底部20a(リザーバー区画面の一種)には、基板厚さ方向(図2,3中に符号Yで示す)に貫通した複数のインク導入口22(液体導入口の一種)が開設されている。また、底部20aから圧力発生室19となる溝部側へ向う途中には、共通インク室20となる溝部と圧力発生室19となる溝部とを隔てる隔壁21´が形成されている。隔壁21´は、底部20aのうち圧力発生室19側となる溝部側の端部から当該圧力発生室19となる溝部に向って底部20aから離れる方向に、その板厚を厚くするように傾斜する傾斜面20b(リザーバー区画面の一種)と、インク供給路21の一部を区画するとともに傾斜面20bの頂部に連なって基板厚さ方向Yに交差した圧力発生室19の長手方向(図2,3中に符号Xで示す)に沿った頂面21aと、頂面21aから板厚を薄くするように傾斜して圧力発生室19となる溝部の一部を区画する傾斜面19aと、によって構成されている。なお、本実施形態におけるインク導入口22は、図2に示すように、ノズル列方向に隣り合う4列の圧力発生室19毎に1つのインク導入口22が開設されている。
さらに、流路形成基板15において、各圧力発生室19となる溝部の底部(一方の面)には、ヘッド積層方向(図3において上下方向)に弾性変位可能な弾性面として機能する振動板23が形成されている。そして、流路形成基板15には共通電極端子(図示せず)が形成されており、この流路形成基板15は導電性を有するので、上記振動板23は、共通電極(本発明における圧力発生手段の電極に相当)としても機能するようになっている。
また、ノズル形成基板16の隔壁21´に対向する領域には、ノズル形成基板16をエッチングなどによって窪ませた凹部16aが圧力発生室19に対応する隔壁21´毎に設けられている。この凹部16aの内面は、隔壁21´の頂面21aの圧力発生室19の長手方向Xよりも長く形成されている。そのため、ノズル形成基板16が流路形成基板15を塞ぐように積層されると、凹部16aの内面が隔壁21´の頂面21aと傾斜面19a,20aの頂面21a側の一部との間に間隔を開けて配され、この間隔がインク供給路21として構成される。即ち、インク供給路21は、凹部16aの内面と、隔壁21´の頂面21aと、傾斜面19a,20aの頂面21a側の一部とによって構成されている。
上記電極基板17は、例えば、ホウ珪酸ガラスによって作製されている。このホウ珪酸ガラスは、熱膨張率がシリコンと同程度である。このため、温度変化によるヘッド構成部材間の剥離が生じ難くなっている。この電極基板17の流路形成基板15に接合される面において、圧力発生室19の振動板23に対向する位置には、トレイ状に浅くエッチングされた凹部24が、各圧力発生室19に対応して形成されている。この凹部24の底面には、インジウムスズ酸化物(ITO)などの薄膜を積層して形成された個別電極25(圧力発生手段の電極に相当)がそれぞれ敷設されている。各個別電極25は、各圧力発生室19に対応して延在するセグメント電極25aと、外部に露出している電極端子部25bとから構成されている。そして、電極基板17を流路形成基板15に接合すると、各圧力発生室19の振動板23と各個別電極25のセグメント電極25aとが、狭小な隙間を形成した状態でそれぞれ対向する。
また、この電極基板17には、基板厚さ方向を貫通した複数のインク導入路27(連通口の一種)が形成されており、このインク導入路27は、流路形成基板15との接合状態で各インク導入口22と連通するようになっている。このインク導入路27とインク導入口22を通じて、例えばプリンター本体側に設けられたインクカートリッジ6からのインクが共通インク室20内に導入されるようになっている。そして、共通インク室20のインクは、この共通インク室20から分岐したインク供給路21を通って各圧力発生室19に分配供給される。
流路形成基板15の共通電極端子と、電極基板17の個別電極25との間には、プリンターコントローラー(図示せず)側からの駆動電圧(駆動信号)が印加される。駆動電圧が基準電位(又は接地電位)よりも+側に変化することにより、可撓性電極として機能する振動板23と個別電極25との間に静電気力が発生し、この静電気力によって、振動板23が弾性変形して個別電極25側に撓み、セグメント電極25aの表面に吸着する。この結果、圧力発生室19の容積が増加して、インク供給路21を通じて共通インク室20側からインクが圧力発生室19内に流入する。そして、駆動電圧が−側(接地電位側)に急激に変化して静電気力が急激に減少すると、振動板23はその弾性力によってセグメント電極25aの表面から離れて圧力発生室19側に変位する。その結果、圧力発生室19の容積が急激に減少する。これにより、圧力発生室19内のインクに圧力変動が生じ、この圧力変動によってノズル開口18からインクが吐出(噴射)される。即ち、共通電極端子、個別電極25、及び振動板23は、圧力発生源26(本発明における圧力発生手段)として機能する。
さらに、前述した流路形成基板15は、当該流路形成基板15であって共通インク室20に対向する領域に、第1薄肉部30を設けることにより、流路形成基板15と電極基板17との間に空間31を形成している。この空間31は、インク導入口22の近傍を環状に残した状態で、流路形成基板15の電極基板17側の面を、エッチングなどによって共通インク室20側に窪ませるように除去することで形成されており、この凹状に窪んだ部分の底部が第1薄肉部30となっている。即ち、第1薄肉部30は、流路形成基板15の板厚が他の領域(例えば、共通インク室20の周縁部)よりも基板積層方向(基板厚さ方向)Yに薄くなるように形成されることで、基板積層方向Yに弾性変位し易く構成され、コンプライアンス部として機能する。より詳しくは、図3に示すように、インク供給路21のうち、インク導入口27が圧力発生室19の長手方向Xに沿って形成されたインク供給路21では、第1薄肉部30が、インク導入口22から圧力発生室19側の端部までの間に設けられた第1薄肉部(図3(a)中に符号30aで示す)と、インク導入口22から圧力発生室19側とは反対側の端部までの間に設けられた第1薄肉部(図3(a)中に符号30bで示す)とを有している。一方、図3(b)に示すように、インク供給路21のうち、長手方向Xに沿って隣り合うインク導入口27の間に配置されたインク供給路21では、第1薄肉部30が、底部20aのうちインク供給路21側の端部から、この端部とは反対側の端部に亘って一連に設けられている。
そして、この第1薄肉部30は、圧力発生源26を駆動させて振動板23を変形して圧力発生室19の容積を増加して減圧すると、基板積層方向Yに変形して共通インク室20内のインクをインク供給路21から圧力発生室19内に供給する一方、振動板23が戻り変形して圧力発生室19内のインクをノズル開口18から吐出させた際に、インク供給路21から共通インク室20内に戻るインクの圧力変動に対して、マイナスY方向に弾性変形してこの圧力変動を吸収し緩和させることができる。この際に、第1薄肉部30は、空部31の容積に応じて空部31側への弾性変形量が許容されている。なお、第1薄肉部30を設けることによって形成された空部31は、連通路(図示せず)によって記録ヘッド2の外側の大気(外側空間)と連通させることで、外気圧が変動したとしても、第1薄肉部30の弾性変形量を維持しつつ、その内部空間の容積を一定に保つことが可能となっている。
一方、ノズル形成基板16は、流路形成基板15の電極基板17とは反対側に積層されて、共通インク室20の第1薄肉部30とは反対側を区画しており、当該ノズル形成基板16であって共通インク室20に対向する領域に、第2薄肉部32が設けられている。この第2薄肉部32は、ノズル形成基板16の共通インク室20とは反対側の面を、エッチングなどによって共通インク室20側に窪ませるように除去することで、この凹状に窪んだ部分の底部が第2薄肉部32として設けられている。即ち、第2薄肉部32は、ノズル形成基板16の板厚が他の領域(例えば、圧力発生室19を区画している部分)よりも基板積層方向Yに薄くなるように形成されることで、基板積層方向Yに弾性変位容易に構成され、コンプライアンス部として機能する。より詳しくは、第2薄肉部32は、ノズル形成基板16に設けられた第1薄肉部30aと第1薄肉部30bのうちインク導入口22側とに亘って対向する領域に形成されている。なお、第2肉部32の共通インク室20とは反対側は、記録ヘッド2の外側の空間(外側空間)に面している。したがって、第1薄肉部30よりも第2薄肉部32の厚さを少し増やして剛性を高めておくことが望ましい。格言すると、第1薄肉部30は、不用意な外力を受けないので、第2薄肉部32より薄くでき、コンプライアンスを高め易い。
そして、前記した第2薄肉部32は、圧力発生源を駆動することにより、振動板23を変形して圧力発生室19の容積を増加して減圧すると、マイナスY方向に変形して共通インク室20内のインクをインク供給路21から圧力発生室19内に供給する一方、振動板23が戻り変形してインクが吐出すると、インク供給路21から共通インク室20に向かうインクの圧力変動に対して、基板積層方向Yに弾性変形してこの圧力変動を吸収し緩和させることができる。この様に、第2薄肉部32は、第1薄肉部30と同様に、圧力発生室19から伝播する共通インク室20内のインクの圧力変動に対して、基板積層方向Yに弾性変形してこの圧力変動を緩和させ、これにより残留振動を速やかに消失させることができる。
以上説明したように、本発明の記録ヘッド2は、流路形成基板15であって共通インク室20に対向する領域に、第1薄肉部30と第2薄肉部32とを対向させて設けたので、インク供給路21から共通インク室20内に伝わる圧力変動を、第1薄肉部30及び第2薄肉部32を変形させることで同時に吸収して緩和することができる。この残留振動の抑制により、インクを吐出させた後に次の吐出を行う際に、ノズル開口18のメニスカスが安定しており、これにより、インクの吐出安定性を確保できると共に、クロストークの発生を抑制できる。また、圧力発生室19、共通インク室20、及び、液体供給路21を流路形成基板15に形成し、さらに、この同一部材の流路形成基板15に第1薄肉部30を形成しているために、高精度で所望の位置に第1薄肉部30を設けることができる。
また、第1薄肉部30aを、インク導入口22からインク供給路21までの間に延設したので、第1薄肉部30aの面積を広く取ることができ、これにより、共通インク室20内の圧力変動をより効果的に吸収することが可能となる。また、インク導入口22とインク供給路21との間に第1薄肉部30aが設けられるので、インク導入口22からインク供給路21に向う共通インク室20内のインクの圧力変動と、インク供給路21からインク導入口22に向う共通インク室20内のインクの残留振動による圧力変動と、を第1薄肉部30aが弾性変形することで、これらの共通インク室20内の圧力変動を緩和することができる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
上記実施形態では、流路形成基板15に設けられた隔壁部21´とノズル形成基板16に設けられた凹部16aとの間に形成されたインク供給路21を例示したが、これには限られない。例えば、図4,図5に示すように、エッチングなどにより圧力発生室19の長手方向Xに沿って隔壁部21´の頂面21aを電極基板17側に窪ませるように除去し、この凹状に窪んだ部分とノズル形成基板16との間の間隔を、インク供給路21として区画して良い。また、隔壁部21´の傾斜面20bを二段に屈曲する階段状に形成しも良い。
また、インク導入口22は、隣り合う4列の圧力発生室19毎に1つのインク導入口22を開設していたが、本発明のインク導入口22同士の間隔はこれに限定されない。即ち、例えば、隣り合う6列の圧力発生室19毎に1つのインク導入口22を開設しても良い。このように、インク導入口22同士の間隔を離すことで、第1薄肉部30の弾性変形可能な面積を広げることができ、共通インク室20内の圧力変動をより吸収することができる。
上記実施形態においては、圧力発生手段として、圧力発生室19の一方の面に設けられた可撓性電極(振動板23)と、当該可撓性電極に対して間隔を空けて対向配置された固定電極(個別電極25)とを有し、これらの間に発生する静電気力によって可撓性電極を撓ませることにより圧力発生室19内に圧力変動を生じさせるように構成された圧力発生源26を例示したが、これには限れず、同様な駆動信号(微振動パルス)を採用して駆動するものであれば、圧電素子等の各種圧力発生手段を用いる場合にも本発明を適用することができる。
また、本発明は、上記プリンター以外の液体噴射装置にも適用できる。例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
1…プリンター,2…記録ヘッド,6…インクカートリッジ,15…流路形成基板,16…ノズル形成基板,17…電極基板,18…ノズル開口,19…圧力発生室,20…共通インク室,20a…底部,20b…傾斜面,21…インク供給路,23…振動板,26…圧力発生源,30…第1薄肉部,31…空間,32…第2薄肉部

Claims (5)

  1. ノズル開口に連通する圧力発生室となる凹部と、該凹部の底部の少なくとも一部であって圧力発生手段の駆動によって発生する振動を前記圧力発生室に伝える振動板と、前記圧力発生室に液体供給口を介して連通するリザーバーとなる凹部と、該凹部の底部に開口してリザーバー内に液体を導入する液体導入口と、が形成された第1の基板と、
    前記第1の基板に積層され、前記液体導入口と連通して液体貯留部材から導いた液体をリザーバー側へ供給する連通口と、前記圧力発生手段の電極と、が形成された第2の基板と、を備え、
    前記第1の基板であって前記リザーバーに対向する領域に、第1薄肉部を設けることにより、前記第1の基板と前記第2の基板との間に空間を形成したことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記第1薄肉部を、少なくとも前記液体導入口から前記液体供給口までの間に延設したことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記ノズル開口を開設した第3の基板を、前記第1の基板の前記第2の基板とは反対側に積層して、前記圧力発生室となる凹部の開口部とリザーバーとなる凹部の開口部とを塞ぎ、
    前記第3の基板であって前記リザーバーに対向する領域に、第2薄肉部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記第1薄肉部により形成した前記空間を、大気と連通させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置。
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