JP2010194647A - スライドハンマ装置及びその使用方法 - Google Patents

Abstract

【課題】ガイドバーの姿勢の安定化を図り，スライドハンマのスムーズな摺動操作を可能にするスライドハンマ装置を提供する。
【解決手段】ガイドバー１と，このガイドバー１に摺動自在に嵌合されるスライドハンマ２と，ガイドバー１の一端部に設けられるジョイント３と，このジョイント３に着脱可能に連結され，引出し対象物５に連結される引出し部材４と，ガイドバー１の他端部に固設されてスライドハンマ２の摺動衝撃力を受け止める衝撃受け部材６とを備えるスライドハンマ装置において，ガイドバー１の他端部にガイドバー姿勢保持手段１４を連結して，ガイドバー１の使用姿勢を保持するようにした。
【選択図】 図１

Description

本発明は，ガイドバーと，このガイドバーに摺動自在に嵌合されるスライドハンマと，前記ガイドバーの一端部に設けられるジョイントと，このジョイントに着脱可能に連結され，引出し対象物に連結される引出し部材と，前記ガイドバーの他端部に固設されて前記スライドハンマの摺動衝撃力を受け止める衝撃受け部材とを備えるスライドハンマ装置の改良，並びにその使用方法に関する。

かゝるスライドハンマ装置は，下記特許文献１に記載されているように，既に知られている。
実開平２−９７５７６号公報

従来のかゝるスライドハンマ装置では，その使用時，作業者が一方の手でジョイントを把持し，他方の手でスライドハンマを操作するようにしており，ガイドバーの使用姿勢を保持することに特別な配慮がなされていなかった。このため，特に，ガイドバーが長いスライドハンマ装置を使用する場合には，ガイドバーの姿勢が不安定となってスライドハンマのスムーズな摺動操作が困難となる。

本発明は，かゝる事情に鑑みてなされたもので，ガイドバーの姿勢の安定化を図り，スライドハンマのスムーズな摺動操作を可能にするスライドハンマ装置及びその使用方法を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために，本発明は，ガイドバーと，このガイドバーに摺動自在に嵌合されるスライドハンマと，前記ガイドバーの一端部に設けられるジョイントと，このジョイントに着脱可能に連結され，引出し対象物に連結される引出し部材と，前記ガイドバーの他端部に固設されて前記スライドハンマの摺動衝撃力を受け止める衝撃受け部材とを備えるスライドハンマ装置において，前記ガイドバーの他端部に，前記ガイドバーの使用姿勢を保持するガイドバー姿勢保持手段を連結したことを第１の特徴とする。

また，本発明は，第１の特徴に加えて，前記ガイドバー姿勢保持手段を前記衝撃受け部材に連結したことを第２の特徴とする。

さらに，本発明は，第２の特徴に加えて，前記ガイドバー姿勢保持手段を，前記衝撃受け部材に設けられる接続環と，この接続環に係止されるフックを下端に有して昇降機から垂下される支持索とで構成したことを第３の特徴とする。

さらにまた，本発明は，第１の特徴に加えて，前記引出し部材を，前記引出し対象物に螺合連結される引出しボルトで構成する一方，前記ジョイントを，前記ガイドバーの一端部に固着されるジョイント本体と，このジョイント本体に形成されて前記引出しボルトの軸部の根元及び膨大頭部が係合する連結溝と，前記引出しボルトの前記連結溝からの離脱を阻止する抜け止め手段とで構成したことを第４の特徴とする。尚，前記抜け止め手段は，後述する本発明の実施例中の抜け止めボルト１８（第１実施例）及びカバー２１（第２実施例）に対応する。

さらにまた，本発明は，第１の特徴に加えて，前記スライドハンマに操作用ハンドルを付設したことを第５の特徴とする。

さらにまた，本発明は，第４の特徴のスライドハンマ装置の使用方法であって，金型鋳造後，金型に付着した前記引出し対象物としての鋳造不良物を引き剥がすに当たり，該鋳造不良物に前記引出しボルトを螺合する第１ステップと，前記保持手段により支持された前記ガイドバーの前記ジョイントに前記引出しボルトを連結する第２ステップと，前記ガイドバー上で前記スライドハンマを摺動させて前記衝撃受け部材に衝撃力を加える第３ステップとを順次実行することを第６の特徴とする。

さらにまた，本発明は，第６の特徴に加えて，前記第３ステップを実行する前に，前記金型に付着した鋳造不良物を加熱して該鋳造不良物の前記金型に対する付着力を低下させることを第７の特徴とする。

本発明の第１の特徴によれば，スライドハンマ装置の使用時，ガイドバーをガイドバー姿勢保持手段より使用姿勢を安定させ得るので，ガイドバーをスムーズに且つ勢いよく操作し得て，衝突受け部材に大なる衝突力を加え，引出し対応物の引出しを能率よく行うことができる。

本発明の第２の特徴によれば，衝撃受け部材がガイドバー姿勢保持手段の支持部材を兼ねることになり，構造の簡素化に寄与し得る。

本発明の第３の特徴によれば，フックの接続環への掛け外しを容易に行うことができると共に，昇降機の作動によりガイドバーの使用姿勢を容易に調整することができる。

本発明の第４の特徴によれば，抜け止め手段の着脱により，引出しボルトのジョイントへの着脱を容易，迅速に行うことができる。

本発明の第５の特徴によれば，作業者は，ハンドルを把持してスライドハンマを容易に作動させることができるのみならず，昇降機によるガイドバーの使用姿勢の調整に際して，作業者がジョイント側に移動させたスライドハンマのハンドルを把持してガイドバーの一端部を支えることで，その使用姿勢の調整を容易，的確に行うことができる。

本発明の第６の特徴によれば，上記第１〜第３ステップを順次実行することにより，鋳造不良物を金型から容易に引き剥がすことができる。

本発明の第７の特徴によれば，ガイドバーの作動に先立って，鋳造不良物を加熱して鋳造不良物の金型に対する付着力を低下させるので，スライドハンマの慣性重量を極力小さくしながら，或いは衝撃回数を少なくしながら鋳造不良物の引き剥がしを容易に行うことができる。

本発明の第１実施例に係るスライドハンマ装置の要部縦断側面図。 図１の２−２線断面図。 図１の３−３線断面図。 図１中のジョイント部の分解斜視図。 同ジョイント部の組立状態を示す斜視図。 上記スライドハンマ装置を使用して行う鋳造不良物の金型からの引出し方法説明図。 本発明の第２実施例を示すジョイント部の分解斜視図。 同ジョイント部の組立状態を示す斜視図。 上記第１実施例の変形例を示す，図２との対応図。 上記第２実施例の示す変形例を示す，図８との対応図。

本発明の実施の形態を，添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。

図１は本発明の第１実施例に係るスライドハンマ装置の要部縦断側面図，図２は図１の２−２線断面図，図３は図１の３−３線断面図，図４は図１中のジョイント部の分解斜視図，図５は同ジョイント部の組立状態を示す斜視図，図６は上記スライドハンマ装置を使用して行う鋳造不良物の金型からの引出し方法説明図，図７は本発明の第２実施例を示すジョイント部の分解斜視図，図８は同ジョイント部の組立状態を示す斜視図，図９は上記第１実施例の変形例を示す，図２との対応図，図１０は上記第２実施例の示す変形例を示す，図８との対応図である。

先ず，図１〜図６に示す本発明の第１実施例の説明より始める。

図１において，スライドハンマ装置Ｄは，ガイドバー１と，このガイドバー１に摺動自在に嵌合されるスライドハンマ２と，ガイドバー１の一端部に設けられるジョイント３と，このジョイント３に着脱可能に連結され，引出し対象物５に連結される引出しボルト４と，ガイドバー１の他端部に溶接等により固着される衝撃受け部材６とを備えており，スライドハンマ２は，ガイドバー１上でジョイント３との当接位置（Ａ）から衝撃受け部材６の当接位置（Ｂ）へと摺動して，その摺動衝撃力を衝撃受け部材６に付与し得る。このスライドハンマ２には操作用のハンドル８が付設される。図示例の場合，引出し対象物５は，ダイカスト鋳造等の金型鋳造時，金型７に強固に付着した鋳造不良物である。

上記衝撃受け部材６の上面には接続環１０（図３参照）が取り付けられ，この接続環１０には，クレーン等の昇降機１１から垂下される支持索１２の下端に取り付けられるフック１３が離脱可能に係止される。これら接続環１０，昇降機１１，支持索１２及びフック１３により，ガイドバー１を所定の使用姿勢を保持するガイドバー姿勢保持手段１４が構成される。

前記引出しボルト４を着脱可能に連結するジョイント３は，図１，図２，図４及び図５に示すように，ガイドバー１一端部に固着されるジョイント本体１６を有しており，このジョイント本体１６の一側面には，引出しボルト４の軸部４ａの根元及び膨大頭部４ｂが係合される，平面視でＴ字状の連結溝１７が形成され，前記引出しボルト４は，この連結溝１７に係合したときガイドバー１と同軸線上に並ぶようになっている。この引出しボルト４の連結溝１７からの離脱を阻止する抜け止めボルト１８が，引出しボルト４の軸部４ａの一側面を押させるようにジョイント本体１６のねじ孔１９に螺着される。ジョイント本体１６は，スライドハンマ２のガイドバー１からの抜け出しを阻止する当接面１６ａを有している。

次に，この第１実施例のスライドハンマ装置の使用方法について，図１及び図６を参照しながら説明する。

図６（Ａ）は，ダイカスト鋳造等の金型鋳造時，金型７に，例えば離型剤の塗布不良により強固に付着した鋳造不良物５（引出し対象物）が残存している状態を示す。この鋳造不良物５を金型７から引き剥がすに当たり，先ず図６（Ａ）に示すように，鋳造不良物５に，その外面側からねじ孔２４を形成し，その後，図６（Ｂ）に示すように，鋳造不良物５をガスバーナ等により加熱して鋳造不良物５を軟化させ，鋳造不良物５の金型７に対する付着力を低下させる。

次に，図６（Ｃ）に示すように，上記ねじ孔２４に引出しボルト４を螺着連結してから，図１及び図６（Ｄ）に示すように，ガイドバー１の接続環１０に，昇降機１１から垂下した支持索１２のフック１３を掛け止めし，作業者が，ジョイント３との当接位置Ａに移動させたスライドハンマ２のハンドル８を把持してガイドバー１の一端部を支えると共に，昇降機１１による支持索１２の昇降調節により，ガイドバー１を引出しボルト４と同一軸線上に保持し，次いでジョイント本体１６の連結溝１７に引出しボルト４を係合し，ジョイント本体１６のねじ孔１９に抜け止めボルト１８を螺着する。

こうして状態で，図１及び図６（Ｅ）に示すように，作業者は，スライドハンマ２のハンドル８を把持して，スライドハンマ２をガイドバー１上でジョイント３側から衝撃受け部材６に向けて勢いよく摺動させ，衝撃受け部材６に衝突させれば，その衝突力がガイドバー１，ジョイント３及び引出しボルト４を介して鋳造不良物５に伝達し，それを金型７から引き剥がすことができる。

このように，スライドハンマ装置Ｄの使用時，ガイドバー姿勢保持手段１４により，ガイドバー１を引出しボルト４と同一軸線上に保持し，その使用姿勢を安定させ得るので，ガイドバー１をスムーズに且つ勢いよく操作し得て，衝突受け部材６に大なる衝突力を的確に加え，鋳造不良物５の金型７からの引き剥がしを能率よく行うことができる。

また，ガイドバー１の作動に先立って，鋳造不良物５をガスバーナ等により加熱して鋳造不良物５の金型７に対する付着力を低下させるので，スライドハンマ２の慣性重量を極力小さくしながら，或いは衝撃回数を少なくしながら鋳造不良物５の引き剥がしを容易に行うことができる。

また，ガイドバー姿勢保持手段１４の接続環１０を衝撃受け部材６に連結したので，衝撃受け部材６がガイドバー姿勢保持手段１４の支持部材を兼ねることになり，構造の簡素化に寄与し得る。

さらに，ガイドバー姿勢保持手段１４を，衝撃受け部材６に設けられる接続環１０と，この接続環１０に離脱可能に係止されるフック１３を下端に有して昇降機１１から垂下される支持索１２とで構成したので，フック１３の接続環１０への掛け外しを容易に行うことができると共に，昇降機１１の作動によりガイドバー１の使用姿勢を容易に調整することができる。

さらにまた，鋳造不良物５，即ち引出し対象物５に螺合連結される引出しボルト４で構成する一方，ジョイント３を，ガイドバー１の一端部に固着されるジョイント本体１６と，このジョイント本体１６に形成されて引出しボルト４の軸部４ａの根元及び膨大頭部４ｂが係合する連結溝１７と，引出しボルト４の軸部４ａの一側面を抑えるようにジョイント本体１６のねじ孔１９に螺着される抜け止めボルト１８とで構成したので，抜け止めボルト１８の着脱により，引出しボルト４の連結溝１７への係脱，即ちジョイント３への着脱を容易，迅速に行うことができる。

さらにまた，スライドハンマ２には操作用ハンドル８を付設したので，作業者は，ハンドル８を把持してスライドハンマ２を容易に作動させることができるのみならず，昇降機１１によるガイドバー１の使用姿勢の調整に際して，作業者がジョイント３側に移動させたスライドハンマ２のハンドル８を把持してガイドバー１の一端部を支えることで，その使用姿勢の調整を容易，的確に行うことができる。

次に，図７及び図８に示す本発明の第２実施例について説明する。

この第２実施例では，ジョイント３は，連結溝１７を有してガイドバー１の一端部に固着されるジョイント本体１６と，このジョイント本体１６にヒンジ２０を介して連結され，連結溝１７を開放する開き位置（図６参照）と，連結溝１７を閉鎖するようにジョイント本体１６の一側面に重なる閉じ位置（図７参照）との間を回動し得るカバー２１と，このカバー２１の閉じ位置でジョイント本体１６及びカバー２１間を連結する係止手段２２とで構成され，カバー２１には，連結溝１７に収容した引出しボルト４の頭部の一部を受容する凹部２５が形成される。係止手段２２は，例えばカバー２１に固定されるフック２６と，ジョイント本体１６に回動自在に支持されてフック２６に係脱し得る係止環２７とよりなる公知のもので，係止環２７には，指掛け用の舌片２８が付設される。その他の構成は，前実施例と同様であるので，図７及び図８中，前実施例と同様の符号を付して，重複する説明を省略する。

この第２実施例においても，カバー２１を開閉するだけの極めて簡単な操作により，引出しボルト４の連結溝１７への係脱，即ちジョイント３への着脱を容易，迅速に行うことができる。

本発明は上記実施例に限定されるものではなく，その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。

例えば，図９に示すように，前記第１実施例（図２参照）中の抜け止めボルト１８が螺合するジョイント本体１６のねじ孔１９に代えて，ナット２９を使用することができる。この構造によれば，ジョイント本体１６にねじ加工をせずに済むと共に，ねじ山あがりの心配がない。また図１０に示すように，前記第２実施例中の係止手段２２に代えて，接続金具３０付きのベルト３１により，ジョイント本体１６及びカバー２１間を固縛することもできる。

また，本発明のスライドハンマ装置Ｄは，クランク軸や伝動軸等に圧入されたボールベアリング等の圧入部材の引出し用に構成することもできる。

Ｄ・・・・・スライドハンマ装置
１・・・・・ガイドバー
２・・・・・スライドハンマ
３・・・・・ジョイント
４・・・・・引出し部材（引出しボルト）
５・・・・・引出し対象物（鋳造不良物）
６・・・・・衝撃受け部材
７・・・・・金型
８・・・・・操作用ハンドル
１１・・・・昇降機
１４・・・・ガイドバー姿勢保持手段
１６・・・・ジョイント本体
１７・・・・連結溝
１８・・・・抜け止め手段（抜け止めボルト）
２１・・・・抜け止め手段（カバー）

Claims (7)

1. ガイドバー（１）と，このガイドバー（１）に摺動自在に嵌合されるスライドハンマ（２）と，前記ガイドバー（１）の一端部に設けられるジョイント（３）と，このジョイント（３）に着脱可能に連結され，引出し対象物（５）に連結される引出し部材（４）と，前記ガイドバー（１）の他端部に固設されて前記スライドハンマ（２）の摺動衝撃力を受け止める衝撃受け部材（６）とを備えるスライドハンマ装置において，
   前記ガイドバー（１）の他端部に，前記ガイドバー（１）の使用姿勢を保持するガイドバー姿勢保持手段（１４）を連結したことを特徴とするスライドハンマ装置。
2. 請求項１記載のスライドハンマ装置において，
   前記ガイドバー姿勢保持手段（１４）を前記衝撃受け部材（６）に連結したことを特徴とするスライドハンマ装置。
3. 請求項２記載のスライドハンマ装置において，
   前記ガイドバー姿勢保持手段（１４）を，前記衝撃受け部材（６）に設けられる接続環（１０）と，この接続環（１０）に係止されるフック（１３）を下端に有して昇降機（１１）から垂下される支持索（１２）とで構成したことを特徴とするスライドハンマ装置。
4. 請求項１記載のスライドハンマ装置において，
   前記引出し部材（４）を，前記引出し対象物（５）に螺合連結される引出しボルト（４）で構成する一方，前記ジョイント（３）を，前記ガイドバー（１）の一端部に固着されるジョイント本体（１６）と，このジョイント本体（１６）に形成されて前記引出しボルト（４）の軸部（４ａ）の根元及び膨大頭部（４ｂ）が係合する連結溝（１７）と，前記引出しボルト（４）の前記連結溝（１７）からの離脱を阻止する抜け止め手段（１８，２１）とで構成したことを特徴とするスライドハンマ装置。
5. 請求項１記載のスライドハンマ装置において，
   前記スライドハンマ（２）に操作用ハンドル（８）を付設したことを特徴とするスライドハンマ装置。
6. 請求項４記載のスライドハンマ装置の使用方法であって，
   金型鋳造後，金型（７）に付着した前記引出し対象物としての鋳造不良物（５）を引き剥がすに当たり，該鋳造不良物（５）に前記引出しボルト（４）を螺合する第１ステップと，前記ガイドバー姿勢保持手段（１４）により支持された前記ガイドバー（１）の前記ジョイント（３）に前記引出しボルト（４）を連結する第２ステップと，前記ガイドバー（１）上で前記スライドハンマ（２）を摺動させて前記衝撃受け部材（６）に衝撃力を加える第３ステップとを順次実行することを特徴とする，スライドハンマ装置の使用方法。
7. 請求項６記載のスライドハンマ装置の使用方法において，
   前記第３ステップを実行する前に，前記金型（７）に付着した鋳造不良物（５）を加熱して該鋳造不良物（５）の前記金型（７）に対する付着力を低下させることを特徴とする，スライドハンマ装置の使用方法。

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