JP2010192882A - 半導体レーザ素子の製造方法、半導体レーザ素子および光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に、第1半導体レーザ素子基板の共振器端面と第2半導体レーザ素子基板の共振器端面とを同一面上に揃えることが可能な半導体レーザ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】この半導体レーザ素子100の製造方法は、劈開のための第1劈開溝40aを青紫色半導体レーザ素子部211に有する第1半導体レーザ素子基板(n型GaN基板210および青紫色半導体レーザ素子部211)を形成する工程と、第1劈開溝40aを有する青紫色半導体レーザ素子部211に第2半導体レーザ素子基板(n型GaAs基板220、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222)を貼り合わせる工程と、その後、第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子基板上に劈開面を形成するために、レーザ素子基板を少なくとも第1劈開溝40aに沿って劈開する工程とを備える。
【選択図】図12
【解決手段】この半導体レーザ素子100の製造方法は、劈開のための第1劈開溝40aを青紫色半導体レーザ素子部211に有する第1半導体レーザ素子基板(n型GaN基板210および青紫色半導体レーザ素子部211)を形成する工程と、第1劈開溝40aを有する青紫色半導体レーザ素子部211に第2半導体レーザ素子基板(n型GaAs基板220、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222)を貼り合わせる工程と、その後、第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子基板上に劈開面を形成するために、レーザ素子基板を少なくとも第1劈開溝40aに沿って劈開する工程とを備える。
【選択図】図12
Description
本発明は、半導体レーザ素子の製造方法、半導体レーザ素子および光装置に関し、特に、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とを貼り合わせた半導体レーザ素子の製造方法、半導体レーザ素子および光装置に関する。
従来、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とを貼り合わせた半導体レーザ素子の製造方法などが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、支持基体の上に貼り合わされた第1の発光素子と、第1の発光素子の半導体層の表面に貼り合わされ、第1素子および第2素子が形成された第2の発光素子とを備えた半導体発光装置(半導体レーザ装置)が開示されている。この特開2005−327905号公報に記載の半導体発光装置では、第1素子の発光点および第2素子の発光点に対向する第1の発光素子の半導体層に、それぞれ、切り欠き溝が設けられている。この一対の切り欠き溝によって、第1素子の発光点および第2素子の発光点からの光が、第1発光素子の半導体層で反射することにより望まない方向に放射されるのを抑制することが可能である。なお、この半導体発光装置の製造方法においては、予めチップ化された状態の第1発光素子と第2発光素子とを貼り合わせることにより、半導体発光装置が形成されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示された半導体発光装置では、予めチップ化された状態の第1発光素子と第2発光素子とを貼り合わせるため、第1発光素子の共振器面(光出射面)と第2発光素子の共振器面とを同一面上に揃えるのが困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、容易に、第1半導体レーザ素子基板の共振器端面と第2半導体レーザ素子基板の共振器端面とを同一面上に揃えることが可能な半導体レーザ素子の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による半導体レーザ素子の製造方法は、劈開のための第1溝を表面に有する第1半導体レーザ素子基板を形成する工程と、第1溝を有する表面に第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程と、その後、第1半導体レーザ素子基板上および第2半導体レーザ素子基板上に劈開面を形成するために、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とを少なくとも第1溝に沿って劈開する工程とを備える。
この発明の第1の局面による半導体レーザ素子の製造方法では、上記のように、第1溝を有する表面に第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程と、その後、第1半導体レーザ素子基板上および第2半導体レーザ素子基板上に劈開面を形成するために、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とを少なくとも第1溝に沿って劈開する工程とを備えることによって、第1半導体レーザ素子基板の第1溝を有する表面側に第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせた状態で、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とを同時に劈開するので、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とに劈開面からなる共振器面を同時に形成することができる。これにより、容易に、第1半導体レーザ素子基板の共振器面と第2半導体レーザ素子基板の共振器面とを同一面上に揃えることができる。なお、「第1半導体レーザ素子基板」および「第2半導体レーザ素子基板」は、それぞれ、半導体レーザ素子の分割前の状態を示しており、基板上に半導体素子層が形成されていない状態の基板と基板上に半導体素子層が形成されている状態の基板との両方を含む。
上記第1の局面による半導体レーザ素子の製造方法において、好ましくは、第1溝を表面に有する第1半導体レーザ素子基板を形成する工程は、第1半導体レーザ素子基板の導波路とその近傍とを除く領域に第1溝を破線状に形成する工程を含む。このように構成すれば、第1溝は、発光部である第1半導体レーザ素子基板の導波路とその近傍の領域とから離れた位置に形成されるので、第1溝を形成した場合にも、第1半導体レーザ素子基板の導波路が損傷するのを抑制することができる。また、第1溝を第1半導体レーザ素子基板の導波路とその近傍とを除いて略全域に延びるように形成することができるので、第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子基板をより確実に劈開することができる。
上記第1溝を破線状に形成する工程を含む構成において、好ましくは、第1半導体レーザ素子基板を形成する工程は、導波路の延びる方向と略直交する方向に第1溝を形成する工程を含む。このように構成すれば、第1溝により、第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子基板を導波路の延びる方向と略直交する方向に沿って劈開することができるので、導波路に対して略垂直な劈開面からなる共振器面を容易に形成することができる。
上記第1溝を破線状に形成する工程を含む構成において、好ましくは、第1半導体レーザ素子基板は、第1基板と第1基板の表面上に形成された第1半導体素子層とを含み、第1半導体レーザ素子基板を形成する工程は、第1半導体素子層の表面から第1基板まで到達する深さを有する第1溝を形成する工程を含む。このように構成すれば、たとえば、第1半導体レーザ素子基板を一般的に劈開が困難な窒化物系半導体により形成した場合であっても、第1半導体素子層の表面から第1基板まで到達する深さを有する第1溝によって、第1溝が形成されていない第1基板の厚みがより小さくなる分、窒化物系半導体からなる第1半導体レーザ素子基板をより容易に劈開することができる。
上記第1溝を破線状に形成する工程を含む構成において、好ましくは、第1半導体レーザ素子基板を形成する工程は、平面的に見て、第1溝の少なくとも一方の端部が楔状を有するように第1溝を形成する工程を含む。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子基板が劈開される際、第1溝の一方の端部から、隣り合う第1溝の端部までの区間にクラックが形成されやすくなるので、容易に、第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子基板を劈開することができる。
上記第1の局面による半導体レーザ素子の製造方法において、好ましくは、第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程の後に、平面的に見て、第1溝が形成された領域と重なる位置における第2半導体レーザ素子基板に第2溝を形成する工程をさらに備え、第1溝に沿って劈開する工程は、第1溝および第2溝に沿って、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とを同時に劈開する工程を含む。このように構成すれば、第1溝および第2溝に沿って、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とを同時に劈開することができるので、第1溝のみに沿って劈開する場合と比べて、第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子基板をより確実に劈開することができる。これにより、第1半導体レーザ素子基板のみならず第2半導体レーザ素子基板においてもより良好な共振器面(劈開面)を得ることができる。
上記第2溝を形成する工程をさらに備える構成において、好ましくは、第2溝を形成する工程は、第1半導体レーザ素子基板とは反対側の第2半導体レーザ素子基板の表面に、第2溝を形成する工程を含む。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子基板に形成された第2溝の位置を容易に認識することができるので、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とを同時に劈開する際の押圧力を、第2溝の位置を参照しながら適切に加えることができる。
上記第2溝を形成する工程をさらに備える構成において、好ましくは、第2溝を形成する工程は、第2半導体レーザ素子基板の端部近傍に第2溝を形成する工程を含む。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子基板を劈開しやすくすることができるとともに、第2溝を第2半導体レーザ素子基板の全面に亘って形成した場合に、第1溝と第2溝とがずれることに起因して、第1半導体レーザ素子基板の劈開面と第2半導体レーザ素子基板の劈開面とが共振器方向にずれるのを抑制することができる。
上記第2溝を形成する工程をさらに備える構成において、好ましくは、第2溝を形成する工程は、第2半導体レーザ素子基板に第2溝を破線状に形成する工程を含む。このように構成すれば、第2溝を第1溝の延びる方向に沿って第2半導体レーザ素子基板の略全域に破線状に形成することができるので、第2溝の形成領域が多くなる分、第2半導体レーザ素子基板をより容易に劈開することができる。
上記第1の局面による半導体レーザ素子の製造方法において、好ましくは、第1溝に沿って劈開する工程の後に、第2半導体レーザ素子基板の一部からなる不要領域を除去する工程をさらに備える。このように構成すれば、後の工程において第2半導体レーザ素子基板の一部からなる不要領域が除去されたウェハをチップ状に素子分割する際、第2半導体レーザ素子基板が存在しない第1半導体レーザ素子基板のみの部分で素子分割を行うことができるので、多波長半導体レーザ素子チップを容易に得ることができる。
上記不要領域を除去する工程をさらに備える構成において、好ましくは、不要領域を除去する工程は、互いに貼り合わされた第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子基板をチップ状に素子分割する際に、同時に、不要領域を除去する工程を含む。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされたウェハのチップ化と同時に不要領域が除去されるので、ウェハのチップ化工程と不要領域を除去する工程とを別々に行う場合と比較して、製造プロセスを簡素化させることができる。
上記不要領域を除去する工程をさらに備える構成において、好ましくは、第1溝に沿って劈開する工程の後に、不要領域を除去する工程に先立って、劈開面に保護膜を形成する工程をさらに備える。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされたウェハは、ウェハの厚みが略一様な状態で共振器面(劈開面)に保護膜(絶縁膜)が形成される。これにより、たとえば、保護膜を形成する前に不要領域を除去して第1半導体レーザ素子基板側の電極層などを露出させた後に保護膜を形成する場合と異なり、保護膜が、露出した電極層の表面上にまで回り込んで電極層を覆うことにより電極層を絶縁する不都合が生じないので、チップ化後に接合されるワイヤと電極層との電気的な接続(ワイヤボンディング)を確実に行うことができる。
上記不要領域を除去する工程をさらに備える構成において、好ましくは、第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程の後に、平面的に見て、第1溝が形成された領域と重なる位置における第2半導体レーザ素子基板に第2溝を形成する工程をさらに備え、第2溝を形成する工程は、不要領域に第2溝を形成する工程を含む。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子基板のチップに残された領域に第2溝が残される場合と異なり、第2半導体レーザ素子基板のチップに残された領域には、不要領域とともに除去された第2溝をクラックの起点とした劈開面からなる共振器面のみを容易に形成することができる。
上記不要領域を除去する工程をさらに備える構成において、好ましくは、不要領域を除去する工程に先立って、第1半導体レーザ素子基板に第1素子分割溝を形成する工程と、第2半導体レーザ素子基板の表面に、不要領域を除去するための第2素子分割溝を形成する工程とをさらに備える。このように構成すれば、ウェハを素子分割する際、第1素子分割溝の部分で第1半導体レーザ素子基板が分割されるのに合わせて、第2素子分割溝が形成された位置で第2半導体レーザ素子基板もチップに残される領域とチップから除去される領域とに分離させることができる。これにより、ウェハのチップ化と同時に、不要領域を容易に除去することができる。
この場合、好ましくは、第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程に先立って、第2素子分割溝が形成された側とは反対側の第2半導体レーザ素子基板の表面であって、平面的に見て、第2素子分割溝が形成された領域と重なる位置に、第3素子分割溝を形成する工程をさらに備える。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子基板は、第2素子分割溝のみならず第3素子分割溝によってウェハの一部が分割されやすくなるので、不要領域をより容易に除去することができる。
上記不要領域を除去する工程をさらに備える構成において、好ましくは、第2半導体レーザ素子基板が貼り合わされる側の第1半導体レーザ素子基板の表面には電極層が形成されており、電極層は、不要領域を除去する工程によって露出するように形成されている。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子基板の部分的な除去により、容易に、第1半導体レーザ素子基板の表面に露出された電極層の部分にワイヤをボンディングすることができる。
上記第1の局面による半導体レーザ素子の製造方法において、好ましくは、第2半導体レーザ素子基板は、第2基板と第2半導体素子層とを含み、第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程は、第2半導体レーザ素子基板の第2半導体素子層の表面を、第1溝を有する表面に貼り合わせる工程を含む。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子基板の第2半導体素子層を第1半導体レーザ素子基板側に位置させることができるので、第1半導体レーザ素子基板の発光点と第2半導体レーザ素子基板の発光点とを近づけることができる。
この発明の第2の局面による半導体レーザ素子は、第1半導体レーザ素子を含む第1半導体レーザ素子基板と、第2半導体レーザ素子を含む第2半導体レーザ素子基板とを備え、第1半導体レーザ素子の表面に第2半導体レーザ素子が貼り合わされており、第1半導体レーザ素子は、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされた状態で劈開されるための溝の一部であった部分からなる段差部を、第1半導体レーザ素子の表面に含む。
この発明の第2の局面による半導体レーザ素子では、上記のように構成することによって、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされた状態で溝に沿って劈開することができるので、第1半導体レーザ素子の共振器面と第2半導体レーザ素子の共振器面とが共振器方向にずれないようにすることができる。これにより、第1半導体レーザ素子の共振器面と第2半導体レーザ素子の共振器面とが同一面上に揃った半導体レーザ素子を得ることができる。
上記第2の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、段差部は、第1半導体レーザ素子の導波路とその近傍とを除く領域において、導波路の延びる方向と略直交する方向に沿って延びるように形成されている。このように構成すれば、製造プロセスにおいて、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされた状態で溝に沿って劈開する際、劈開用の溝(段差部)は、発光部である第1半導体レーザ素子基板の導波路とその近傍の領域とから離れた位置に形成されるので、第1半導体レーザ素子基板の導波路が損傷するのを抑制しながら劈開することができる。さらには、第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子基板を導波路の延びる方向と略直交する方向に沿って劈開することができるので、導波路に対して略垂直な劈開面からなる共振器面を容易に形成することができる。
この発明の第3の局面による光装置は、第1半導体レーザ素子を含む第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子を含む第2半導体レーザ素子基板を有する半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子の出射光を制御する光学系とを備え、第1半導体レーザ素子は、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされた状態で劈開されるための溝の一部であった部分からなる段差部を、第1半導体レーザ素子の表面に有する。
この発明の第3の局面による光装置では、上記のように構成することによって、第1半導体レーザ素子基板と第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされた状態で溝に沿って劈開して半導体レーザ素子を形成することができるので、第1半導体レーザ素子の共振器面と第2半導体レーザ素子の共振器面とが共振器方向にずれないようにすることができる。これにより、第1半導体レーザ素子の共振器面と第2半導体レーザ素子の共振器面とが同一面上に揃った半導体レーザ素子を備えた光装置を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、第1実施形態による半導体レーザ素子100の構造について説明する。なお、図2は、図1に示した半導体レーザ素子の1000−1000線に沿った断面図であり、図3は、2000−2000線に沿った断面図である。また、図4は、3000−3000線に沿った断面図であり、図5は、上面図である。
まず、図1〜図5を参照して、第1実施形態による半導体レーザ素子100の構造について説明する。なお、図2は、図1に示した半導体レーザ素子の1000−1000線に沿った断面図であり、図3は、2000−2000線に沿った断面図である。また、図4は、3000−3000線に沿った断面図であり、図5は、上面図である。
本発明の第1実施形態による製造方法を用いて形成した半導体レーザ素子100は、図1および図2に示すように、半導体層の積層方向(Z方向)に約100μmの厚みを有するn型GaN基板10の表面上に、約405nmの発振波長を有する青紫色半導体レーザ素子部11が形成されている。また、半導体層の積層方向(Z方向)に約100μmの厚みを有するn型GaAs基板20の表面上に、約650nmの発振波長を有する赤色半導体レーザ素子部21と、約780nmの発振波長を有する赤外半導体レーザ素子部22とがモノリシックに形成された2波長半導体レーザ素子部30が形成されている。また、赤色半導体レーザ素子部21は、青紫色半導体レーザ素子部11のY1側の上面上に接合されているとともに、赤外半導体レーザ素子部22は、青紫色半導体レーザ素子部11のY2側の上面上に接合されている。なお、n型GaN基板10と青紫色半導体レーザ素子部11とによって、本発明の「第1半導体レーザ素子」が構成されているとともに、n型GaAs基板20と赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22とを備える2波長半導体レーザ素子部30とによって、本発明の「第2半導体レーザ素子」が構成されている。
また、図1〜図3に示すように、青紫色半導体レーザ素子部11は、n型GaN基板10の表面上に、n型AlGaNからなるn型クラッド層11a、多重量子井戸(MQW)構造を有する活性層11bおよびp型AlGaNからなるp型クラッド層11cが積層されている。また、図1および図2に示すように、p型クラッド層11cは、Y方向の略中央部に形成されるとともに上方(Z1方向)に突出する凸部と、凸部の両側に延びる平坦部とを有している。このp型クラッド層11cの凸部によって、活性層11bの部分に光導波路を構成するためのリッジ11dが形成されている。また、リッジ11dは、図1、図4および図5に示すように、X方向に延びるように形成されている。
ここで、第1実施形態では、図1および図3に示すように、n型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11には、n型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11のX側の両端部で、かつ、リッジ11dのY方向の両側面側に、それぞれ、段差部10aおよび11eが形成されている。この段差部10aおよび11eは、それぞれ、後述する製造プロセスにおいて、ウェハ状態の半導体レーザ素子200をY方向に沿って分割(バー状劈開)する際の第1劈開溝40aが、分割後にn型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11に残された部分である。
また、図1および図2に示すように、p型クラッド層11cのリッジ11dの側面および平坦部の上面上には、SiO2からなる第1絶縁層11fが形成されている。この第1絶縁層11fは、段差部10aおよび11eの部分にも積層されている。また、第1絶縁層11fの上面上には、p側電極11gが形成されている。このp側電極11gは、第1絶縁層11fの全面には設けられておらず、第1絶縁層11fの四方端部(X方向およびY方向の両端部)の近傍まで設けられている。また、p側電極11gの上面上と第1絶縁層11fの四方端部の上面上とには、SiO2からなる第2絶縁層11hが形成されている。この第2絶縁層11hは、段差部10aおよび11eの第1絶縁層11fが積層されている部分の上に積層するように形成されている。また、図5に示すように、第2絶縁層11hのX1側で、かつ、Y1側には、第2絶縁層11hの一部が除去されることによって、p側電極11gの一部が露出したワイヤボンド部11iが形成されている。
また、第2絶縁層11hのY1側の上面上には、青紫色半導体レーザ素子部11のワイヤボンド部11iを避けるように、パッド電極12aが形成されている。また、第2絶縁層11hのY2側の上面上には、パッド電極12bが形成されている。
また、図1〜図3に示すように、n型GaN基板10の下面には、全面に亘ってn側電極13が形成されている。また、n型GaN基板10の下面のY側の両端部とn側電極13のY側の両端部には、それぞれ、段差部10bおよび13aが形成されている。この段差部10bおよび13aは、それぞれ、後述する製造プロセスにおいて、バー状態の半導体レーザ素子300をX方向に沿って素子分割(チップ化)する際の素子分割溝60cが、分割後にn型GaN基板10およびn側電極13に残された部分である。
また、2波長半導体レーザ素子部30を構成する赤色半導体レーザ素子部21は、n型GaAs基板20のY1側の下面上に、n型AlGaInPからなるn型クラッド層21a、MQW構造を有する活性層21bおよびp型AlGaInPからなるp型クラッド層21cが積層されている。また、赤外半導体レーザ素子部22は、n型GaAs基板20のY2側の下面上に、n型AlGaAsからなるn型クラッド層22a、MQW構造を有する活性層22bおよびp型AlGaAsからなるp型クラッド層22cが積層されている。また、図1、図2および図4に示すように、赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22の間(Y方向の中央部)には、溝部20aが形成されている。
また、p型クラッド層21cおよび22cは、それぞれ、Y方向の略中央部に形成されるとともに下方(Z2方向)に突出する凸部と、凸部の両側に形成された凹部21dおよび22dと、凹部21dおよび22dの両側に延びる平坦部21eおよび22eとを有している。このp型クラッド層21cおよび22cの凸部によって、それぞれ、活性層21bおよび22bの部分に光導波路を構成するためのリッジ21fおよび22fが形成されている。また、リッジ21fおよび22fは、図1および図5に示すように、それぞれ、X方向に延びるように形成されている。
また、図1および図2に示すように、リッジ21fおよび22fの下面上を除くp型クラッド層21cおよび22cの下面上と、赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22の側面と、n型GaAs基板20の溝部20aの下面上とには、SiO2からなる絶縁層23が形成されている。また、絶縁層23は、略一様の厚みを有するとともに、p型クラッド層21cおよび22cの凹部21dおよび22dの内面(上面および側面)にもそれぞれ形成されている。これにより、絶縁層23は、p型クラッド層21cおよび22cに対応するように、リッジ21fおよび22fの両側に形成された凹部と、凹部の両側に延びる平坦部23aとを有する。
また、平坦部23aは、絶縁層23が形成されていないリッジ21fおよび22fの下面(Z2側の面)よりも下方に位置するように構成されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子部11に対して、赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22を接合する際に、リッジ21fおよび22fに過度な圧力が加えられるのが抑制されるように構成されている。
また、リッジ21fの下面上と、リッジ21fの周辺に位置する絶縁層23の下面上とには、p側電極24aが形成されている。また、リッジ22fの下面上と、リッジ22fの周辺に位置する絶縁層23の下面上とには、p側電極24bが形成されている。このp側電極24aおよび24bは、それぞれ、略一様の厚みを有することによって、凹凸形状を有するように構成されている。
また、n型GaAs基板20の上面上には、n側電極25が形成されている。このn側電極25は、赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22に共通して用いられるように構成されている。また、n型GaAs基板20およびn側電極25の上面のY側の両端部には、それぞれ、段差部20bおよび25aが形成されている。この段差部20bおよび25aは、それぞれ、後述する製造プロセスにおいて、バー状態の半導体レーザ素子300をX方向に沿って素子分割(チップ化)する際の素子分割溝60bが、分割後にn型GaAs基板20およびn側電極25に残された部分である。
また、p側電極24aおよび24bは、それぞれ、Au−Sn半田からなる融着層26aおよび26b(図2参照)を介して、パッド電極12aおよび12bの上面上に接合されている。また、n型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11に形成されている段差部10aおよび11eは、それぞれ、赤色半導体レーザ素子部21または赤外半導体レーザ素子部22が形成されている位置の下方(Z2方向)まで延びるように形成されている。
また、第1実施形態では、図5に示すように、青紫色半導体レーザ素子部11、赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22のX側の両端部には、それぞれ、リッジ11d、21fおよび22fと垂直な平面(Y方向、かつ、Z方向によって形成される平面)となるように一対の共振器面11j、21gおよび22gが形成されている。また、X1側の共振器面11j、21gおよび22gは、互いに同一平面上に形成されているとともに、X2側の共振器面11j、21gおよび22gは、互いに同一平面上に形成されている。また、共振器面11j、21gおよび22gには、それぞれ、製造プロセスにおける端面コート処理により、Al2O3膜などからなる反射率制御の機能を兼ねる誘電体多層膜31および32が形成されている。なお、図1では、図面の都合上、上記誘電体多層膜31および32を省略した状態で半導体レーザ素子100を示している。
ここで、X1側の共振器面11j、21gおよび22gに形成される誘電体多層膜31は、共振器面11j、21gおよび22g上に形成された約330nmの厚みを有するAl2O3膜により構成される。また、X2側の共振器面に形成される誘電体多層膜32は、共振器面から外部に向かって、約120nmの厚みを有するSiO2膜および約75nmの厚みを有するTiO2膜が交互に2層づつと、約70nmの厚みを有するSiO2膜および約43nmの厚みを有するTiO2膜が交互に3層づつと、約70nmの厚みを有するSiO2膜および約40nmの厚みを有するTiO2膜が交互に1層づつ積層された合計で約839nmの厚みを有する多層反射膜とによって構成される。なお、この場合、半導体レーザ素子100のX1側の共振器面11j、21gおよび22gは、出射されるレーザ光の強度が相対的に大きい光出射面として機能し、X2側の共振器面11j、21gおよび22gは、出射されるレーザ光の強度が相対的に小さい光反射面として機能する。
次に、図1、図2および図5〜図14を参照して、第1実施形態による半導体レーザ素子100の製造プロセスについて説明する。
まず、図6に示すように、減圧MOCVD法を用いて、ウェハ状態のn型GaN基板210の上面上に、n型クラッド層211a、活性層211b、p型クラッド層211cを順次積層して青紫色半導体レーザ素子部211を形成する。なお、n型GaN基板210は、本発明の「第1基板」の一例であり、青紫色半導体レーザ素子部211は、本発明の「第1半導体素子層」の一例である。また、n型GaN基板210と青紫色半導体レーザ素子部211とによって、本発明の「第1半導体レーザ素子基板」が構成されている。
ここで、第1実施形態による半導体レーザ素子100の製造プロセスでは、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、青紫色半導体レーザ素子部211のp型クラッド層211c側(青紫色半導体レーザ素子部211側)から、Z2方向に約5μmの深さを有する第1劈開溝40aをY方向に延びるように形成する。この第1劈開溝40aは、Z1側から見て、リッジ11dと垂直に延びるとともに、略長方形形状を有している。ここで、第1劈開溝40aを略長方形形状を有するように形成することにより、複雑な形状のマスクを形成する必要がないので、第1劈開溝40aを容易に形成することが可能である。この際、第1劈開溝40aは、半導体レーザ素子100の青紫色半導体レーザ素子部211のリッジ11dが形成される領域(図7参照)とその近傍の領域とを除くように破線状に形成されるとともに、青紫色半導体レーザ素子部211のみならず、ウェハ状態のn型GaN基板210の上部に到達するように形成される。これにより、一般的に劈開が困難な窒化物系半導体であるn型GaN基板210および青紫色半導体レーザ素子部211を、より確実に劈開することが可能である。なお、第1劈開溝40aは、本発明の「第1溝」の一例である。
その後、図7に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、p型クラッド層211cの所定の領域を除去することによって、リッジ11dをX方向に延びるように形成する。この際、第1劈開溝40aの深さ(約5μm)を、リッジ11dの高さよりも大きくすることによって、第1劈開溝40aは、リッジ11dの形成後においても青紫色半導体レーザ素子部211に残される。
その後、図8に示すように、プラズマCVDを用いて、p型クラッド層211cのリッジ11dの側面および平坦部の上面上に、第1絶縁層211fを形成する。この際、第1劈開溝40aの内部にも第1絶縁層211fが積層される。そして、リッジ11dの上面上に形成された第1絶縁層211fを除去した後、真空蒸着法を用いて、チップ化された半導体レーザ素子100におけるn型GaN基板10の形状に対応するように、リッジ11dの上面上と第1絶縁層211fの上面上とに金属層(図示せず)を積層する。そして、約400℃の熱処理によって、金属層を合金化してp側電極11gを等間隔で形成する。
続いて、プラズマCVDを用いて、複数のp側電極11gの上面上と第1絶縁層211fの上面上とに、第2絶縁層211hを形成する。この際、第1劈開溝40aの内部の第1絶縁層211fの上面上にも、第2絶縁層211hが積層される。その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、第2絶縁層211hの所定の領域を除去することにより、複数のp側電極11gの一部を露出させてワイヤボンド部11iを形成する。
その後、フォトリソグラフィおよび真空蒸着法を用いて、チップ化された半導体レーザ素子100におけるn型GaN基板10の形状に対応するように、第2絶縁層211hの所定の領域の上面上に、ワイヤボンド可能なようにパッド電極12aおよび12bを形成する。そして、パッド電極12aおよび12bの上面上に、それぞれ、融着層26aおよび26bを形成する。
また、図9に示すように、フォトリソグラフィおよび減圧MOCVD法を用いて、ウェハ状態のn型GaAs基板220の上面上の所定の領域に、n型クラッド層222a、活性層222b、p型クラッド層222cを順次積層して、赤外半導体レーザ素子部222を形成する。その後、ウェハ状態のn型GaAs基板220の上面上の赤外半導体レーザ素子部222が形成されていない領域に、赤外半導体レーザ素子部222と接しないように、n型クラッド層221a、活性層221b、p型クラッド層221cを順次積層して、赤色半導体レーザ素子部221を形成する。この際、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222の間に複数の溝部220aが形成されるとともに、チップ化された半導体レーザ素子100を構成しない部分である除去部分50も同時に形成される。なお、n型GaAs基板220は、本発明の「第2基板」の一例であり、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222は、それぞれ、本発明の「第2半導体素子層」の一例である。また、n型GaAs基板220と赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222とによって、本発明の「第2半導体レーザ素子基板」が構成されている。
そして、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、赤色半導体レーザ素子部221のp型クラッド層221c側および赤外半導体レーザ素子部222のp型クラッド層222c側から、X方向に延びる素子分割溝60aを形成する。この際、素子分割溝60aは、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222のみならず、ウェハ状態のn型GaAs基板220の上部に到達するように形成されるとともに、複数の溝部220aと略同じ深さになるように形成される。
その後、図10に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、p型クラッド層221cの所定の領域を除去することによって、リッジ21fをX方向に延びるように形成するとともに、p型クラッド層222cの所定の領域を除去することによって、リッジ22fをX方向に延びるように形成する。また、リッジ21fおよび22fを形成すると同時に、p型クラッド層221cおよび222cの所定の領域を除去することによって、リッジ21fおよび22fの両側に形成された凹部21dおよび22dを形成するとともに、凹部21dおよび22dの両側に延びる平坦部21eおよび22eをそれぞれ形成する。
その後、プラズマCVDを用いて、p型クラッド層221cおよび222cの上面上と、ウェハ状態のn型GaAs基板220の上面上とに、一様の厚みを有する絶縁層223を形成する。この際、溝部220aおよび素子分割溝60aの内部にも、絶縁層223は積層されるとともに、平坦部21eおよび22eの上面上に平坦部23aが形成される。その後、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、リッジ21fおよび22fの上面上に形成された絶縁層223を除去する。これにより、複数の平坦部23aは、それぞれ、リッジ21fおよび22fの上面よりも上方(Z3方向)に位置する。
次に、フォトリソグラフィおよび真空蒸着法を用いて、チップ化された半導体レーザ素子100におけるn型GaAs基板20の形状に対応するように、複数のリッジ21fおよび22fの上面上と絶縁層223の所定の領域の上面上とに、それぞれ、金属層(図示せず)を積層する。
その後、エッチングを用いて、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222が形成されている側とは反対側(Z4側)からのウェハ状態のn型GaAs基板220を薄くすることによって、ウェハ状態のn型GaAs基板220の厚みを約100μmにする。そして、真空蒸着法を用いて、ウェハ状態のn型GaAs基板220の赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222が形成されている側とは反対側の面(Z4側の面)に金属層(図示せず)を積層する。そして、約400℃の熱処理を行う。これによって、複数のリッジ21fおよび22fの上面上の金属層を合金化してp側電極24aおよび24bをそれぞれ形成するとともに、ウェハ状態のn型GaAs基板220のZ4側の面上の金属層を合金化してn側電極225を形成する。これにより、複数のリッジ21fとp側電極24aとをオーミック接触させることが可能であるとともに、複数のリッジ22fとp側電極24bとをオーミック接触させることが可能である。また、ウェハ状態のn型GaAs基板220とn側電極225とをオーミック接触させることが可能である。
その後、第1実施形態による製造プロセスでは、図11に示すように、ウェハ状態のn型GaN基板210の表面上に形成された複数の融着層26aおよび26bと、ウェハ状態のn型GaAs基板220の表面上に形成された複数のp側電極24aおよび24bとを接合する。この際、約200℃以上約350℃以下の熱を加えることにより、複数の融着層26aおよび26bを融解させて、ウェハ状態のn型GaN基板210の表面上に形成された複数のパッド電極12aおよび12bと複数のp側電極24aおよび24bとをそれぞれ接合する。この際、素子分割溝60aがそれぞれ複数のパッド電極12aおよび12b上に位置するように、複数のパッド電極12aおよび12bと複数のp側電極24aおよび24bとをそれぞれ接合する。次に、ウェハ状態のn型GaN基板210の下面(Z2側の面)を研磨することによって、ウェハ状態のn型GaN基板210の厚みを約100μmにする。その後、真空蒸着法を用いて、ウェハ状態のn型GaN基板210の下面にn側電極213を形成する。この際、n側電極213を形成するための熱処理は行わない。これにより、ウェハ状態の半導体レーザ素子200が形成される。
また、第1実施形態による製造プロセスでは、図12に示すように、ダイヤモンドポイントを用いて、ウェハ状態のn型GaAs基板220のn側電極225を形成した面のY側の両端部に、第2劈開溝40bを形成する。この際、第2劈開溝40bは、ウェハ状態のn型GaN基板210に形成された第1劈開溝40aに対応するように、ウェハ状態のn型GaN基板210およびウェハ状態のn型GaAs基板220と垂直な面(YZ面)上で重なるように形成されるとともに、ウェハ状態のn型GaAs基板220のY側の両端部にのみ形成される。つまり、第2劈開溝40bは、ウェハ状態のn型GaAs基板220のY側の両端部以外の領域には形成されない。なお、第2劈開溝40bは、本発明の「第2溝」の一例である。
この状態で、ウェハ状態のn型GaN基板210の下面(Z2側の面)から刃状治具70を押し当てることにより、ウェハ状態の半導体レーザ素子200を劈開する。これにより、図13に示すように、バー状態の半導体レーザ素子300が形成されるとともに、青紫色半導体レーザ素子部311、赤色半導体レーザ素子部321および赤外半導体レーザ素子部322のX側の両端部に、それぞれ、一対の共振器面11j、21gおよび22g(図5参照)が形成される。また、バー状態のn型GaN基板310および青紫色半導体レーザ素子部311のX側の両端部に、第1劈開溝40aの一部が残ることによって、段差部10aおよび11eが形成される。この際、段差部10aおよび11eは、それぞれ、n型GaN基板10(青紫色半導体レーザ11)と赤色半導体レーザ素子部21または赤外半導体レーザ素子部22との間に延びるように、n型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11に形成される。そして、製造プロセスにおける端面コート処理によって、バー状態の半導体レーザ素子300のX側の両端部に、劈開面に誘電体多層膜31および32(図5参照)を形成する。
その後、図14に示すように、ダイヤモンドポイントを用いて、バー状態のn型GaAs基板320のn側電極325側に素子分割溝60bをX方向に延びるように形成するとともに、バー状態のn型GaN基板310のn側電極313側に素子分割溝60cをX方向に延びるように形成する。この際、1つの素子分割溝60cに対して、2波長半導体レーザ素子部30には2つの素子分割溝60bが形成される。また、この2つの素子分割溝60bに挟まれた赤色半導体レーザ素子部321および赤外半導体レーザ素子部322を含まない領域が、後述する素子分割(チップ化)の際に除去される2波長半導体レーザ素子部30の除去部分50となる。
この状態で、バー状態のn型GaN基板310の青紫色半導体レーザ素子部311のn側電極313を形成した側(Z2側)から刃状治具70を押し当てることにより、バー状態の半導体レーザ素子300を素子分割する。この際、融着層26aおよび26bにより接合されていない部分である除去部分50が同時に除去される。これにより、青紫色半導体レーザ素子部11のワイヤボンド部11i(図8参照)が外部に露出する。また、n型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11のY側の両端部に、素子分割溝60cの一部が残ることによって、段差部10bおよび13a(図1参照)が形成されるとともに、n型GaAs基板20およびn側電極25のY側の両端部に、素子分割溝60bの一部が残ることによって、段差部20bおよび25a(図1参照)が形成される。このようにして、第1実施形態による半導体レーザ素子100(図1参照)が形成される。
第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記のように、第1劈開溝40aが形成された青紫色半導体レーザ素子部211に対して、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222を接合する工程の後に、青紫色半導体レーザ素子部211およびウェハ状態のn型GaN基板210と、赤色半導体レーザ素子部221、赤外半導体レーザ素子部222およびウェハ状態のn型GaAs基板220とに劈開面を形成するために、第1劈開溝40aおよび第2劈開溝40bに沿って劈開するように構成することによって、青紫色半導体レーザ素子部211に対して赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222を接合した状態で、青紫色半導体レーザ素子部211と、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222とを同時に劈開するので、青紫色半導体レーザ素子部211と赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222とに、それぞれ、劈開面からなる共振器面11j、21gおよび22gを同時に形成することができる。これにより、容易に、青紫色半導体レーザ素子部211の共振器面11jと赤色半導体レーザ素子部221の共振器面21gおよび赤外半導体レーザ素子部222の共振器面22gとを同一面上に揃えることができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、第1劈開溝40aが設けられた青紫色半導体レーザ素子部211を赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222と貼り合わすことによって、第1劈開溝40aを設けた側である青紫色半導体レーザ素子部211側を加圧して劈開する必要がないので、青紫色半導体レーザ素子部211に良好な複数の共振器面11jを形成することができるとともに、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222を青紫色半導体レーザ素子部211側に位置させることができるので、青紫色半導体レーザ素子部211の発光点と赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222の発光点とを近づけることができる。また、第1劈開溝40aによって、青紫色半導体レーザ素子部211およびウェハ状態のn型GaN基板210の厚みが大きくても容易に劈開することができる。さらに、第1劈開溝40aおよび第2劈開溝40bに沿って、青紫色半導体レーザ素子部211およびウェハ状態のn型GaN基板210と、赤色半導体レーザ素子部221、赤外半導体レーザ素子部222およびウェハ状態のn型GaAs基板220とを劈開することができるので、第1劈開溝40aのみが形成されている場合と比べて、ウェハ状態の半導体レーザ素子200をより確実に劈開することができる。これにより、青紫色半導体レーザ素子部211のみならず赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222においてもより良好な共振器面21gおよび22gをそれぞれ得ることができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、青紫色半導体レーザ素子部211に第1劈開溝40aを形成する工程において、青紫色半導体レーザ素子部211の複数のリッジ11dとその近傍とを除く領域に破線状に第1劈開溝40aを形成することによって、第1劈開溝40aは、発光部である青紫色半導体レーザ素子部211の複数のリッジ11dとその近傍との領域から離れた位置に形成されるので、第1劈開溝40aを形成した場合にも、青紫色半導体レーザ素子部211のリッジ11dが損傷するのを抑制することができる。また、第1劈開溝40aを青紫色半導体レーザ素子部211の複数のリッジ11dとその近傍とを除いて略全域に延びるように形成することができるので、ウェハ状態のn型GaN基板210および青紫色半導体レーザ素子部211をより確実に劈開することができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、青紫色半導体レーザ素子部211に第1劈開溝40aを形成する工程において、複数のリッジ11dの延びる方向(X方向)と略直交する素子の幅方向(Y方向)に第1劈開溝40aを形成することによって、第1劈開溝40aにより、青紫色半導体レーザ素子部211と、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222とをリッジ11dの延びる方向と略直交するY方向(素子の幅方向)に沿って劈開することができるので、リッジ11d(導波路)に対して略垂直な劈開面からなる共振器面11j、21gおよび22g(図5参照)を容易に形成することができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、第1劈開溝40aを、青紫色半導体レーザ素子部211のみならずウェハ状態のn型GaN基板210の上部に到達する深さを有するように形成することによって、ウェハ状態の半導体レーザ素子200を一般的に劈開が困難なn型GaN基板210により形成した場合であっても、n型GaN基板210まで到達する深さを有する第1劈開溝40aによって、第1劈開溝40aが形成されていないn型GaN基板210の厚みがより小さく(薄く)なる分、窒化物系半導体からなるn型GaN基板210をより容易に劈開することができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、ウェハ状態のn型GaAs基板220に第2劈開溝40bを形成する工程において、平面的に見て、第1劈開溝40aが形成された領域と重なる位置におけるn型GaAs基板220に第2劈開溝40bを形成した状態で、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子部211、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222を、第1劈開溝40aおよび第2劈開溝40bに沿って同時に劈開することによって、第1劈開溝40aのみに沿って劈開する場合と比べて、貼り合わされたウェハをより確実に劈開することができる。これにより、青紫色半導体レーザ素子部211のみならず赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222においてもより良好な共振器面(劈開面)を得ることができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、ウェハ状態のn型GaAs基板220に第2劈開溝40bを形成する工程において、第2劈開溝40bを、青紫色半導体レーザ素子部211に貼り合わされる側とは反対側の表面(図12に示すZ1側の面)に、第1劈開溝40aに対応するように第2劈開溝40bを形成することによって、第2劈開溝40bの位置を外部から容易に認識することができるので、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子部211、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222を刃状治具70を用いて同時に劈開する際の押圧力を、第2劈開溝40bの位置を参照しながら適切に加えることができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、ウェハ状態のn型GaAs基板220に第2劈開溝40bを形成する工程において、第2劈開溝40bをウェハ状態のn型GaAs基板220の赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222が形成されている側とは反対側の面のY側の両端部近傍に形成することによって、ウェハ状態のn型GaAs基板220、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222を劈開しやすくすることができるとともに、第2劈開溝40bをウェハ状態のn型GaAs基板220の全域に亘って形成した場合に、第1劈開溝40aと第2劈開溝40bとがずれることに起因して、青紫色半導体レーザ素子部211の共振器面11jと赤色半導体レーザ素子部221の共振器面21gおよび赤外半導体レーザ素子部222の共振器面22gとが共振器方向(X方向)にずれるのを抑制することができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子部211、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222を劈開する工程の後に、貼り合わされた赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222側のウェハの一部(図14に示す2波長半導体レーザ素子部30の除去部分50)を除去することによって、後の工程において除去部分50が除去されたウェハをチップ状に素子分割する際、除去部分50が存在しない青紫色半導体レーザ素子部211のみの部分で共振器方向(X方向)に沿って素子分割を行うことができるので、半導体レーザ素子100のチップを容易に得ることができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子部211、赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222を劈開する工程の後に、除去部分50を除去する工程に先立って、劈開面(共振器面11j、21gおよび22g)に誘電体多層膜からなる保護膜を形成することによって、青紫色半導体レーザ素子部211と赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222とが貼り合わされたウェハは、ウェハの厚みが略一様な状態で共振器面11j、21gおよび22g(劈開面)に保護膜(絶縁膜)が形成される。これにより、たとえば、保護膜を形成する前に除去部分50を除去して青紫色半導体レーザ素子部211側のパッド電極12aおよび12bを露出させた後に保護膜を形成する場合と異なり、保護膜が、露出したパッド電極12aおよび12b(図5参照)の表面上にまで回り込んで覆うことによりパッド電極12aおよび12bを絶縁する不都合が生じないので、チップ化後に接合されるワイヤとパッド電極12aおよび12bとの電気的な接続(ワイヤボンディング)を確実に行うことができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、青紫色半導体レーザ素子部211と赤色半導体レーザ素子部221および赤外半導体レーザ素子部222とが貼り合わされたウェハをチップ状に素子分割する際に、同時に、除去部分50を除去することによって、チップ化と同時に除去部分50が除去されるので、製造プロセスを簡素化させることができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、ウェハのチップ化に先立って、バー状態のn型GaN基板310の表面に素子分割溝60cを形成し、かつ、バー状態のn型GaAs基板320の表面に、除去部分50を除去するための素子分割溝60bを形成することによって、バーを素子分割する際、素子分割溝60cの部分でn型GaN基板310が分割されるのに合わせて、素子分割溝60bが形成された位置でn型GaAs基板320もチップに残される領域とチップから除去される領域(除去部分50)とに分離させることができる。これにより、ウェハのチップ化と同時に、除去部分50を容易に除去することができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子部211に赤色半導体レーザ素子部221(赤外半導体レーザ素子部222)を貼り合わせる工程に先立って、素子分割溝60bが形成された側とは反対側の表面に、素子分割溝60bに対応するように素子分割溝60aを形成することによって、バー状態のn型GaAs基板320は、素子分割溝60bのみならず素子分割溝60aによってウェハ(基板)の一部が分割されやすくなるので、除去部分50をより容易に除去することができる。
また、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、パッド電極12aおよび12bを、除去部分50を除去することにより露出するように構成することによって、除去部分50の除去により、容易に、バー状態の青紫色半導体レーザ素子部211の表面に露出されたパッド電極12aおよび12bの部分にワイヤをボンディングすることができる。
(第1実施形態の変形例)
図15〜図17を参照して、第1実施形態の変形例について説明する。この第1実施形態の変形例では、上記第1実施形態の製造プロセスと異なり、n型GaAs基板220のn側電極225側に形成される第2劈開溝40cが、Y方向に沿って破線状に形成される場合について説明する。
図15〜図17を参照して、第1実施形態の変形例について説明する。この第1実施形態の変形例では、上記第1実施形態の製造プロセスと異なり、n型GaAs基板220のn側電極225側に形成される第2劈開溝40cが、Y方向に沿って破線状に形成される場合について説明する。
すなわち、第1実施形態の変形例における製造プロセスでは、図15に示すように、ダイヤモンドポイントを用いて、ウェハ状態のn型GaAs基板220のn側電極225を形成した面に、Y方向に沿って約200μmの長さを有する溝部が約200μmの間隔で形成された破線状の第2劈開溝40cを形成する。この際、第2劈開溝40cは、n型GaN基板210に形成された第1劈開溝40aに対応するように、n型GaN基板210およびn型GaAs基板220と垂直な面(YZ面)上で重なるように形成される。
また、破線状の第2劈開溝40cの各々は、後の工程で除去される除去部分50に対応する領域に形成される。なお、第2劈開溝40cは、本発明の「第2溝」の一例である。
この状態で、図16に示すように、ウェハ状態のn型GaN基板210の下面(Z2側の面)から刃状治具70を押し当てることにより、ウェハ状態の半導体レーザ素子200を劈開する。この際、破線状の第2劈開溝40cに沿ってウェハが劈開される。
その後、上記第1実施形態の製造プロセスと同様に、図17に示すように、バー状態のn型GaAs基板320のn側電極325側に素子分割溝60bをX方向に延びるように形成するとともに、バー状態のn型GaN基板310のn側電極313側に素子分割溝60cをX方向に延びるように形成する。
この状態で、バー状態のn型GaN基板310の青紫色半導体レーザ素子部311のn側電極313を形成した側(Z2側)から刃状治具70を押し当てることにより、バー状態の半導体レーザ素子300を素子分割する。この際、融着層26aおよび26bにより接合されていない部分である除去部分50が除去される。
第1実施形態の変形例による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記のように、ウェハ状態のn型GaAs基板220に第2劈開溝40cを形成する工程において、第2劈開溝40cをY方向に沿って破線状に形成することによって、第2劈開溝40cを第1劈開溝40aの延びる方向に沿ってウェハ状態のn型GaAs基板220のn側電極225を形成した面の略全域に破線状に形成することができるので、第2劈開溝40cの形成領域が多くなる分、n型GaAs基板220をより容易に劈開することができる。
また、第1実施形態の変形例による半導体レーザ素子の製造プロセスでは、n型GaAs基板220に形成される第2劈開溝40cを、n型GaAs基板220の除去部分50に対応した位置に形成することによって、n型GaAs基板220のチップに残された領域に第2劈開溝40cが残される場合と異なり、n型GaAs基板220のチップに残された領域には、除去部分50とともに除去される破線状の第2劈開溝40cの端部をクラックの起点とした劈開面からなる共振器面21gおよび22gのみを容易に形成することができる。
(第2実施形態)
図18を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子400のn型GaN基板10に形成された青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部に、n型GaAs基板20に形成された赤外半導体レーザ素子部22を接合する場合について説明する。
図18を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子400のn型GaN基板10に形成された青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部に、n型GaAs基板20に形成された赤外半導体レーザ素子部22を接合する場合について説明する。
本発明の第2実施形態による製造方法を用いて形成した半導体レーザ素子400では、図18に示すように、第2絶縁層11hの上面上には、n型GaN基板10に設けられた青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部に対応する位置に、パッド電極412bが形成されている。また、パッド電極412bの上面上には、融着層426bを介して、n型GaAs基板20に設けられた赤外半導体レーザ素子部22が接合されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子部11の発光点と赤外半導体レーザ素子部22の発光点との間隔を小さくすることが可能である。なお、半導体レーザ素子400のその他の構造、製造プロセスおよび効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図19を参照して、この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子500のn型GaN基板10に形成された青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部にn型GaAs基板20が位置しない場合について説明する。
図19を参照して、この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子500のn型GaN基板10に形成された青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部にn型GaAs基板20が位置しない場合について説明する。
本発明の第3実施形態による製造方法を用いて形成した半導体レーザ素子500では、図19に示すように、n型GaN基板10に設けられた青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dは、Y2側に形成されているとともに、第2絶縁層11hの上面上のリッジ11dのY1側には、n型GaAs基板20に設けられた赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22を接合可能なように、パッド電極512aおよび512bがそれぞれ形成されている。また、パッド電極512aおよび512bの上面上には、それぞれ、融着層26aおよび26bを介して、n型GaAs基板20に設けられた赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22が接合されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部に、n型GaAs基板20が位置しないように構成されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子部11において容易に放熱することが可能である。なお、半導体レーザ素子500のその他の構造、製造プロセスおよび効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図20を参照して、この第4実施形態では、上記第2実施形態と異なり、半導体レーザ素子600が、n型GaN基板10に形成された青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部に、n型GaAs基板620に形成された赤色半導体レーザ素子部21を接合した、2波長の半導体レーザ素子である場合について説明する。
図20を参照して、この第4実施形態では、上記第2実施形態と異なり、半導体レーザ素子600が、n型GaN基板10に形成された青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部に、n型GaAs基板620に形成された赤色半導体レーザ素子部21を接合した、2波長の半導体レーザ素子である場合について説明する。
本発明の第4実施形態による製造方法を用いて形成した半導体レーザ素子600では、図20に示すように、第2絶縁層11hの上面上には、n型GaN基板10に設けられた青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部に対応する位置に、パッド電極612aが形成されている。また、パッド電極612aの上面上には、融着層626aを介して、n型GaAs基板620に設けられた赤色半導体レーザ素子部21が接合されている。また、n型GaAs基板620に第2実施形態における赤外半導体レーザ素子部22は形成されていない。これにより、青紫色半導体レーザ素子部11の発光点と赤外半導体レーザ素子部22の発光点との間隔を小さくすることが可能であるとともに、半導体レーザ素子600のチップのサイズを小さくすることが可能である。なお、半導体レーザ素子600のその他の構造、製造プロセスおよび効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図21を参照して、この第5実施形態では、上記第3実施形態と異なり、半導体レーザ素子700が、n型GaN基板10に形成された青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部にn型GaAs基板720および赤色半導体レーザ素子部21が位置しない、2波長の半導体レーザ素子である場合について説明する。
図21を参照して、この第5実施形態では、上記第3実施形態と異なり、半導体レーザ素子700が、n型GaN基板10に形成された青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部にn型GaAs基板720および赤色半導体レーザ素子部21が位置しない、2波長の半導体レーザ素子である場合について説明する。
本発明の第5実施形態による製造方法を用いて形成した半導体レーザ素子700では、図21に示すように、n型GaN基板10に設けられた青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dは、Y2側に形成されているとともに、第2絶縁層11hの上面上のリッジ11dのY1側には、n型GaAs基板720に設けられた赤色半導体レーザ素子部21を接合可能なように、パッド電極712aが形成されている。また、パッド電極712aの上面上には、融着層26aを介して、n型GaAs基板720に設けられた赤色半導体レーザ素子部21が接合されている。すなわち、青紫色半導体レーザ素子部11のリッジ11dの上部に、n型GaAs基板720およびn型GaAs基板720に形成された赤色半導体レーザ素子部21が位置しないように構成されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子部11において容易に放熱することが可能であるとともに、半導体レーザ素子700のチップのサイズを小さくすることが可能である。なお、半導体レーザ素子700のその他の構造、製造プロセスおよび効果は、上記第3実施形態と同様である。
(第6実施形態)
図22を参照して、この第6実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子800のn型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11にそれぞれ形成された段差部810aおよび811eが、n型GaN基板10(青紫色半導体レーザ11)と赤色半導体レーザ素子部21または赤外半導体レーザ素子部22との間に位置しない場合について説明する。
図22を参照して、この第6実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子800のn型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11にそれぞれ形成された段差部810aおよび811eが、n型GaN基板10(青紫色半導体レーザ11)と赤色半導体レーザ素子部21または赤外半導体レーザ素子部22との間に位置しない場合について説明する。
本発明の第6実施形態による製造方法を用いて形成した半導体レーザ素子800では、図22に示すように、n型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11には、n型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11のX側の両端部で、かつ、Y側の両端部に、それぞれ、段差部810aおよび811eが形成されている。つまり、段差部810aおよび811eは、それぞれ、n型GaN基板10(青紫色半導体レーザ11)と赤色半導体レーザ素子部21または赤外半導体レーザ素子部22との間には位置しないように、n型GaN基板10および青紫色半導体レーザ素子部11に形成されている。これにより、製造プロセスにおいて、誤ってウェハ状態の半導体レーザ素子が第1劈開溝から割れるのを抑制することが可能である。なお、半導体レーザ素子800のその他の構造、製造プロセスおよび効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第7実施形態)
図5および図23〜図25を参照して、本発明の第7実施形態による光ピックアップ装置900について説明する。なお、光ピックアップ装置900は、本発明の「光装置」の一例である。
図5および図23〜図25を参照して、本発明の第7実施形態による光ピックアップ装置900について説明する。なお、光ピックアップ装置900は、本発明の「光装置」の一例である。
本発明の第7実施形態による光ピックアップ装置900は、図23に示すように、上記第1実施形態による半導体レーザ素子100(図25参照)が実装された半導体レーザ装置910と、半導体レーザ装置910から出射されたレーザ光を調整する光学系920と、レーザ光を受光する光検出部930とを備えている。
また、半導体レーザ装置910は、図24および図25に示すように、導電性材料からなるベース911と、ベース911の前面に配置されたキャップ912と、ベース911の後面に取り付けられたリード913、914、915および916とを有している。また、ベース911の前面には、ヘッダ911a(図25参照)がベース911と一体的に形成されている。ヘッダ911aの上面には、半導体レーザ素子100が配置されており、Cuなどの導電性を有する材料からなるサブマウント(基台)101(図25参照)と、ヘッダ911aとは、Au−Sn半田からなる接合層917(図25参照)により固定されている。また、キャップ912の前面には、半導体レーザ素子100から出射されるレーザ光を透過する光学窓912a(図24参照)が取り付けられており、キャップ912によって、キャップ912が被されているベース911の内部の半導体レーザ素子100が封止されている。
また、図25に示すように、リード913〜915は、ベース911を貫通するとともに、絶縁部材918を介して、互いに電気的に絶縁するように固定されている。また、リード913は、ワイヤ901を介してパッド電極12aと電気的に接続されており、リード915は、ワイヤ902を介してパッド電極12bと電気的に接続されている。また、リード914は、ワイヤ903を介してp側電極11gのワイヤボンド部11i(平面的な位置は、図5を参照)と電気的に接続されている。また、n側電極25aとサブマウント101上の接続電極102とがワイヤ904を介して電気的に接続されている。また、リード916は、ベース911と一体的に形成されている。これにより、リード916と、青紫色半導体レーザ素子部11のn側電極13および赤色半導体レーザ素子21(赤外半導体レーザ素子22)のn側電極25aとが共に電気的に接続されており、青紫色半導体レーザ素子部11および赤色半導体レーザ素子部21(赤外半導体レーザ素子部22)のカソードコモンの結線が実現されている。
また、光学系920は、図23に示すように、偏光ビームスプリッタ(PBS)921、コリメータレンズ922、ビームエキスパンダ923、λ/4板924、対物レンズ925、シリンドリカルレンズ926および光軸補正素子927を有している。
また、PBS921は、半導体レーザ装置910から出射されるレーザ光を全透過するとともに、光ディスク935から帰還するレーザ光を全反射する。コリメータレンズ922は、PBS921を透過した半導体レーザ素子100からのレーザ光を平行光に変換する。ビームエキスパンダ923は、凹レンズ、凸レンズおよびアクチュエータ(図示せず)から構成されている。アクチュエータは後述するサーボ回路からのサーボ信号に応じて、凹レンズおよび凸レンズの距離を変化させることにより、半導体レーザ装置910から出射されたレーザ光の波面状態を補正する機能を有している。
また、λ/4板924は、コリメータレンズ922によって略平行光に変換された直線偏光のレーザ光を円偏光に変換する。また、λ/4板924は光ディスク935から帰還する円偏光のレーザ光を直線偏光に変換する。この場合の直線偏光の偏光方向は、半導体レーザ装置910から出射されるレーザ光の直線偏光の方向に直交する。これにより、光ディスク935から帰還するレーザ光は、PBS921によって略全反射される。対物レンズ925は、λ/4板924を透過したレーザ光を光ディスク935の表面(記録層)上に収束させる。なお、対物レンズ925は、対物レンズアクチュエータ(図示せず)により、後述するサーボ回路からのサーボ信号(トラッキングサーボ信号、フォーカスサーボ信号およびチルトサーボ信号)に応じて、フォーカス方向、トラッキング方向およびチルト方向に移動可能にされている。
また、PBS921により全反射されるレーザ光の光軸に沿うように、シリンドリカルレンズ926、光軸補正素子927および光検出部930が配置されている。シリンドリカルレンズ926は、入射されるレーザ光に非点収差作用を付与する。光軸補正素子927は、回折格子により構成されており、シリンドリカルレンズ926を透過した青紫色、赤色および赤外の各レーザ光の0次回折光のスポットが後述する光検出部930の検出領域上で一致するように配置されている。
また、光検出部930は、受光したレーザ光の強度分布に基づいて再生信号を出力する。ここで、光検出部930は再生信号とともに、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号が得られるように所定のパターンの検出領域を有する。このようにして、半導体レーザ装置910を備えた光ピックアップ装置900が構成される。
この光ピックアップ装置900では、半導体レーザ装置910は、リード916と、リード913〜915との間に、それぞれ、独立して電圧を印加することによって、青紫色半導体レーザ素子部11、赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22から、青紫色、赤色および赤外のレーザ光を独立的に出射することが可能に構成されている。半導体レーザ装置910から出射されたレーザ光は、上記のように、PBS921、コリメータレンズ922、ビームエキスパンダ923、λ/4板924、対物レンズ925、シリンドリカルレンズ926および光軸補正素子927により調整された後、光検出部930の検出領域上に照射される。
ここで、光ディスク935に記録されている情報を再生する場合には、青紫色半導体レーザ素子部11、赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22から出射される各々のレーザパワーが一定になるように制御しながら、光ディスク935の記録層にレーザ光を照射するとともに、光検出部930から出力される再生信号を得ることができる。また、同時に出力されるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号により、ビームエキスパンダ923のアクチュエータと対物レンズ925を駆動する対物レンズアクチュエータとを、それぞれ、フィードバック制御することができる。
また、光ディスク935に情報を記録する場合には、記録すべき情報に基づいて、青紫色半導体レーザ素子部11および赤色半導体レーザ素子部21(赤外半導体レーザ素子部22)から出射されるレーザパワーを制御しながら、光ディスク935にレーザ光を照射する。これにより、光ディスク935の記録層に情報を記録することができる。また、上記同様、光検出部930から出力されるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号により、ビームエキスパンダ923のアクチュエータと対物レンズ925を駆動する対物レンズアクチュエータとを、それぞれ、フィードバック制御することができる。
このようにして、半導体レーザ装置910を備えた光ピックアップ装置900を用いて、光ディスク935への記録および再生を行うことができる。
第7実施形態における光ピックアップ装置900では、半導体レーザ装置910内部に半導体レーザ素子100が実装されているので、青紫色半導体レーザ素子部11の共振器面11j(図5参照)と赤色半導体レーザ素子部21の共振器面21g(図5参照)および赤外半導体レーザ素子部22の共振器面22g(図5参照)とが容易に同一面上に揃った半導体レーザ素子100を備えた光ピックアップ装置900を得ることができる。
(第8実施形態)
図5、図23および図26を参照して、本発明の第8実施形態による光ディスク装置5000について説明する。なお、光ディスク装置5000は、本発明の「光装置」の一例である。
図5、図23および図26を参照して、本発明の第8実施形態による光ディスク装置5000について説明する。なお、光ディスク装置5000は、本発明の「光装置」の一例である。
本発明の第8実施形態による光ディスク装置5000は、図26に示すように、上記第7実施形態による光ピックアップ装置900と、コントローラ5001と、レーザ駆動回路5002と、信号生成回路5003と、サーボ回路5004と、ディスク駆動モータ5005とを備えている。
コントローラ5001には、光ディスク935に記録すべき情報に基づいて生成された記録データS1が入力される。また、コントローラ5001は、記録データS1および後述する信号生成回路5003からの信号S5に応じて、レーザ駆動回路5002に向けて信号S2を出力するとともに、サーボ回路5004に向けて信号S7を出力するように構成されている。また、コントローラ5001は、後述するように、信号S5を基に再生データS10を出力する。また、レーザ駆動回路5002は、上記信号S2に応じて、光ピックアップ装置900内の半導体レーザ装置910から出射されるレーザパワーを制御する信号S3を出力する。すなわち、半導体レーザ装置910は、コントローラ5001およびレーザ駆動回路5002により駆動されるように構成されている。
光ピックアップ装置900では、図26に示すように、上記信号S3に応じて制御されたレーザ光を光ディスク935に照射する。また、光ピックアップ装置900内の光検出部930から、信号生成回路5003に向けて信号S4が出力される。また、後述するサーボ回路5004からのサーボ信号S8により、光ピックアップ装置900内の光学系920(ビームエキスパンダ923のアクチュエータおよび対物レンズ925を駆動する対物レンズアクチュエータ)が制御される。信号生成回路5003は、光ピックアップ装置900から出力された信号S4を増幅および演算処理して、再生信号を含む第1出力信号S5をコントローラ5001に向けて出力するとともに、上記光ピックアップ装置900のフィードバック制御および後述する光ディスク935の回転制御を行う第2出力信号S6をサーボ回路5004に向けて出力する。
サーボ回路5004は、図26に示すように、信号生成回路5003およびコントローラ5001からの第2出力信号S6および信号S7に応じて、光ピックアップ装置900内の光学系920を制御するサーボ信号S8およびディスク駆動モータ5005を制御するモータサーボ信号S9を出力する。また、ディスク駆動モータ5005は、モータサーボ信号S9に応じて、光ディスク935の回転速度を制御する。
ここで、光ディスク935に記録されている情報を再生する場合には、まず、ここでは説明を省略する光ディスク935の種類(CD、DVD、BDなど)を識別する手段により、照射すべき波長のレーザ光が選択される。次に、光ピックアップ装置900内の半導体レーザ装置910から出射されるべき波長のレーザ光強度が一定になるように、コントローラ5001からレーザ駆動回路5002に向けて信号S2が出力される。さらに、上記で説明した光ピックアップ装置900の半導体レーザ装置910、光学系920および光検出部930が機能することにより、光検出部930から再生信号を含む信号S4が信号生成回路5003に向けて出力され、信号生成回路5003は、再生信号を含む信号S5をコントローラ5001に向けて出力する。コントローラ5001は、信号S5を処理することにより、光ディスク935に記録されていた再生信号を抽出し、再生データS10として出力する。この再生データS10を用いて、たとええば、光ディスク935に記録されている映像、音声などの情報を、モニタやスピーカなどに出力することができる。また、光検出部930からの信号S4を基に、各部のフィードバック制御も行う。
また、光ディスク935に情報を記録する場合には、まず、上記同様の光ディスク935の種類(CD、DVD、BDなど)を識別する手段により、照射すべき波長のレーザ光が選択される。次に、記録される情報に応じた記録データS1に応じて、コントローラ5001からレーザ駆動回路5002に向けて信号S2が出力される。さらに、上記で説明した光ピックアップ装置900の半導体レーザ装置910、光学系920および光検出部930が機能することにより、光ディスク935に情報を記録するとともに、光検出部930からの信号S4を基に、各部のフィードバック制御を行う。
このようにして、光ディスク装置5000を用いて、光ディスク935への記録および再生を行うことができる。
第8実施形態における光ディスク装置5000では、半導体レーザ装置910(図23参照)内部に半導体レーザ素子100(図23参照)が実装されているので、青紫色半導体レーザ素子部11の共振器面11j(図5参照)と赤色半導体レーザ素子部21の共振器面21g(図5参照)および赤外半導体レーザ素子部22の共振器面22g(図5参照)とが、容易に同一面上に揃った半導体レーザ素子100を適用した光ディスク装置5000を得ることができる。
(第9実施形態)
図1、図27および図28を参照して、本発明の第9実施形態によるプロジェクタ装置6000の構成について説明する。なお、プロジェクタ装置6000では、半導体レーザ装置940を構成する個々の半導体レーザ素子が略同時に点灯される例について説明する。なお、プロジェクタ装置6000は、本発明の「光装置」の一例である。
図1、図27および図28を参照して、本発明の第9実施形態によるプロジェクタ装置6000の構成について説明する。なお、プロジェクタ装置6000では、半導体レーザ装置940を構成する個々の半導体レーザ素子が略同時に点灯される例について説明する。なお、プロジェクタ装置6000は、本発明の「光装置」の一例である。
本発明の第9実施形態によるプロジェクタ装置6000は、図28に示すように、半導体レーザ装置940と、複数の光学部品からなる光学系6020と、半導体レーザ装置940および光学系6020を制御する制御部6050とを備えている。これにより、半導体レーザ装置940から出射されたレーザ光が、光学系6020により変調された後、外部のスクリーン6090などに投影されるように構成されている。
また、半導体レーザ装置940は、図27に示すように、約530nmの緑色(G)の発振波長を有する緑色半導体レーザ素子部960および約480nmの青色(B)の波長を有する青色半導体レーザ素子部965がモノリシックに形成された2波長半導体レーザ素子部970に対して、約655nmの赤色(R)の発振波長を有する赤色半導体レーザ素子部950が接合され、RGBの3つの波長のレーザ光を出射することができるRGB3波長半導体レーザ素子980を備えている。
ここで、RGB3波長半導体レーザ素子980は、図1に示す第1実施形態の半導体レーザ素子100を参照して、青紫色半導体レーザ素子部11の代わりにn型GaAs基板20の上面上に形成された赤色半導体レーザ素子部950を備え、赤色半導体レーザ素子部21および赤外半導体レーザ素子部22がモノリシックに形成された2波長半導体レーザ素子部30の代わりに緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965がn型GaN基板10の下面上にモノリシックに形成された2波長半導体レーザ素子部970を備えている。なお、RGB3波長半導体レーザ素子980のその他の構成および製造プロセスは、上記第1実施形態の半導体レーザ素子100と同様である。
また、RGB3波長半導体レーザ素子980は、n側電極953が、Au−Sn半田などからなる接合層917を介してサブマウント101の上面上に電気的に接続されて固定されている。なお、n型GaAs基板20と赤色半導体レーザ素子部950とによって、本発明の「第1半導体レーザ素子」が構成されているとともに、n型GaN基板10と緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965からなる2波長半導体レーザ素子970とによって、本発明の「第2半導体レーザ素子」が構成されている。
また、リード913は、ワイヤ981を介して緑色半導体レーザ素子部960のp型半導体層と導通するパッド電極952aと電気的に接続されており、リード915は、ワイヤ982を介して青色半導体レーザ素子部965のp型半導体層と導通するパッド電極952bと電気的に接続されている。また、リード914は、ワイヤ983を介して赤色半導体レーザ素子部950のp側電極951g(ワイヤボンド部951i)と電気的に接続されている。また、2波長半導体レーザ素子970のn側電極975aとサブマウント101上の接続電極102とがワイヤ984を介して電気的に接続されている。これにより、リード916と、赤色半導体レーザ素子部950のn側電極953および2波長半導体レーザ素子970のn側電極975aとが共に電気的に接続されており、赤色半導体レーザ素子部950および2波長半導体レーザ素子970のカソードコモンの結線が実現されている。
また、図28に示すように、光学系6020において、半導体レーザ装置940から出射されたレーザ光は、凹レンズと凸レンズとからなる分散角制御レンズ6022により所定ビーム径を有する平行光に変換された後、フライアイインテグレータ6023に入射される。また、フライアイインテグレータ6023では、蝿の目状のレンズ群からなる2つのフライアイレンズが向き合うように構成されており、液晶パネル6029、6033および6040に入射する際の光量分布が均一となるように分散角制御レンズ6022から入射される光に対してレンズ作用を付与する。すなわち、フライアイインテグレータ6023を透過した光は、液晶パネル6029、6033および6040のサイズに対応したアスペクト比(たとえば16:9)の広がりをもって入射できるように調整されている。
また、フライアイインテグレータ6023を透過した光は、コンデンサレンズ6024によって集光される。また、コンデンサレンズ6024を透過した光のうち、赤色光のみがダイクロイックミラー6025によって反射される一方、緑色光および青色光はダイクロイックミラー6025を透過する。
そして、赤色光は、ミラー6026を経てレンズ6027による平行化の後に入射側偏光板6028を介して液晶パネル6029に入射される。この液晶パネル6029は、赤色用の画像信号(R画像信号)に応じて駆動されることにより赤色光を変調する。
また、ダイクロイックミラー6030では、ダイクロイックミラー6025を透過した光のうちの緑色光のみが反射される一方、青色光はダイクロイックミラー6030を透過する。
そして、緑色光は、レンズ6031による平行化の後に入射側偏光板6032を介して液晶パネル6033に入射される。この液晶パネル6033は、緑色用の画像信号(G画像信号)に応じて駆動されることにより緑色光を変調する。
また、ダイクロイックミラー6030を透過した青色光は、レンズ6034、ミラー6035、レンズ6036およびミラー6037を経て、さらにレンズ6038によって平行化がなされた後、入射側偏光板6039を介して液晶パネル6040に入射される。この液晶パネル6040は、青色用の画像信号(B画像信号)に応じて駆動されることにより青色光を変調する。
その後、液晶パネル6029、6033および6040によって変調された赤色光、緑色光および青色光は、ダイクロイックプリズム6041により合成された後、出射側偏光板6042を介して投写レンズ6043へと入射される。また、投写レンズ6043は、投写光を被投写面(スクリーン6090)上に結像させるためのレンズ群と、レンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズームおよびフォーカスを調整するためのアクチュエータを内蔵している。
また、プロジェクタ装置6000では、制御部6050によって赤色半導体レーザ素子部950の駆動に関するR信号、緑色半導体レーザ素子部960の駆動に関するG信号および青色半導体レーザ素子部965の駆動に関するB信号としての定常的な電圧が、半導体レーザ装置940の各レーザ素子に供給されるように制御される。これによって、半導体レーザ装置940の赤色半導体レーザ素子部950、緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965は、実質的に同時に発振されるように構成されている。また、制御部6050によって半導体レーザ装置940の赤色半導体レーザ素子部950、緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965の各々の光の強度を制御することによって、スクリーン6090に投写される画素の色相や輝度などが制御されるように構成されている。これにより、制御部6050によって所望の画像がスクリーン6090に投写される。
このようにして、本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置940が搭載されたプロジェクタ装置6000が構成されている。
(第10実施形態)
図27、図29および図30を参照して、本発明の第10実施形態によるプロジェクタ装置6500の構成について説明する。なお、プロジェクタ装置6500では、半導体レーザ装置940を構成する個々の半導体レーザ素子が時系列的に点灯される例について説明する。なお、プロジェクタ装置6500は、本発明の「光装置」の一例である。
図27、図29および図30を参照して、本発明の第10実施形態によるプロジェクタ装置6500の構成について説明する。なお、プロジェクタ装置6500では、半導体レーザ装置940を構成する個々の半導体レーザ素子が時系列的に点灯される例について説明する。なお、プロジェクタ装置6500は、本発明の「光装置」の一例である。
本発明の第10実施形態によるプロジェクタ装置6500は、図29に示すように、上記第9実施形態で用いた半導体レーザ装置940と光学系6520と、半導体レーザ装置940および光学系6520を制御する制御部6550とを備えている。これにより、半導体レーザ装置940からのレーザ光が、光学系6520により変調された後、スクリーン6590などに投影されるように構成されている。
また、光学系6520において、半導体レーザ装置940から出射されたレーザ光は、それぞれ、レンズ6522により平行光に変換された後、ライトパイプ6524に入射される。
ライトパイプ6524は内面が鏡面となっており、レーザ光は、ライトパイプ6524の内面で反射を繰り返しながらライトパイプ6524内を進行する。この際、ライトパイプ6524内での多重反射作用によって、ライトパイプ6524から出射される各色のレーザ光の強度分布が均一化される。また、ライトパイプ6524から出射されたレーザ光は、リレー光学系6525を介してデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)素子6526に入射される。
DMD6526は、マトリクス状に配置された微小なミラー群からなる。また、DMD6526は、各画素位置の光の反射方向を、投写レンズ6580に向かう第1の方向Aと投写レンズ6580から逸れる第2の方向Bとに切り替えることにより各画素の階調を表現(変調)する機能を有している。各画素位置に入射されるレーザ光のうち第1の方向Aに反射された光(ON光)は、投写レンズ6580に入射されて被投写面(スクリーン6590)に投写される。また、DMD6526によって第2の方向Bに反射された光(OFF光)は、投写レンズ6580には入射されずに光吸収体6527によって吸収される。
また、プロジェクタ装置6500では、制御部6550によりパルス電源が半導体レーザ装置940に供給されるように制御されることによって、半導体レーザ装置940の赤色半導体レーザ素子部950、緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965は、時系列的に分割されて1素子ずつ周期的に駆動されるように構成されている。また、制御部6550によって、光学系6520のDMD6526は、赤色半導体レーザ素子部950、緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965の駆動状態とそれぞれ同期しながら、各画素(R、GおよびB)の階調に合わせて光を変調するように構成されている。
具体的には、図30に示すように、赤色半導体レーザ素子部950(図27参照)の駆動に関するR信号、緑色半導体レーザ素子部960(図27参照)の駆動に関するG信号、および青色半導体レーザ素子部965(図27参照)の駆動に関するB信号が、互いに重ならないように時系列的に分割された状態で、制御部6550(図29参照)によって、半導体レーザ装置940の各レーザ素子に供給される。また、このB信号、G信号およびR信号に同期して、制御部6550からB画像信号、G画像信号、R画像信号がそれぞれDMD6526に出力される。
これにより、図30に示したタイミングチャートにおけるB信号に基づいて、青色半導体レーザ素子部965の青色光が発光されるとともに、このタイミングで、B画像信号に基づいて、DMD6526により青色光が変調される。また、B信号の次に出力されるG信号に基づいて、緑色半導体レーザ素子部960の緑色光が発光されるとともに、このタイミングで、G画像信号に基づいて、DMD6526により緑色光が変調される。さらに、G信号の次に出力されるR信号に基づいて、赤色半導体レーザ素子部950の赤色光が発光されるとともに、このタイミングで、R画像信号に基づいて、DMD6526により赤色光が変調される。その後、R信号の次に出力されるB信号に基づいて、青色半導体レーザ素子部965の青色光が発光されるとともに、このタイミングで、再度、B画像信号に基づいて、DMD6526により青色光が変調される。上記の動作が繰り返されることによって、B画像信号、G画像信号およびR画像信号に基づいたレーザ光照射による画像が、被投写面(スクリーン6590)に投写される。
このようにして、本発明の第10実施形態による半導体レーザ装置940が搭載されたプロジェクタ装置6500が構成されている。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第10実施形態では、第1劈開溝(図6および図7参照)を、Z1側から見て、略長方形形状を有するように形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図31に示す第1変形例のように、第1劈開溝40dの両端部を、リッジ11dと垂直な方向であるY1側およびY2側の端部にそれぞれ頂点が位置するような楔形状に形成するとともに、Y1側およびY2側の頂点以外の部分(Y方向の略中央部)は丸みを有する菱形状の形状を有するように構成してもよい。また、本発明では、図32に示す第2変形例のように、第1劈開溝40eの両端部を、リッジ11dと垂直な方向であるY1側およびY2側にそれぞれ頂点が位置するような楔形状に形成するとともに、中央部がY方向に直線的に延びる6角形形状を有するように構成してもよい。また、本発明では、図33に示す第3変形例のように、第1劈開溝40fを、リッジ11dと垂直な方向であるY1側およびY2側にそれぞれ頂点が位置する横に長い菱形形状を有するように構成してもよい。上記した第1変形例〜第3変形例のように構成すれば、ウェハ状態の半導体レーザ素子を劈開する際に、Y1側およびY2側の頂点からY方向に隣り合う第1劈開溝同士の間にクラックが形成されやすくなるので、容易にウェハ状態の半導体レーザ素子を劈開することが可能になる。なお、第1劈開溝40d、40eおよび40fは、本発明の「第1溝」の一例である。
また、上記第1〜第10実施形態では、半導体レーザ素子に、第1劈開溝および第2劈開溝と、第1素子分割溝、第2素子分割溝および第3素子分割溝とを設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、半導体レーザ素子に、第1劈開溝を除く第2劈開溝、第1素子分割溝、第2素子分割溝および第3素子分割溝のすべてを設ける必要はない。また、劈開用溝および素子分割溝を設ける箇所にパターニングを前もって行った後に、劈開用溝および素子分割溝を設けてもよい。これによって、より正確に、劈開用溝および素子分割溝を設けることが可能である。
また、上記第1〜第10実施形態では、青紫色半導体レーザ素子部を形成した後に、第1劈開溝を形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、青紫色半導体レーザ素子部の上面上に第1絶縁層を形成した後に、第1劈開溝を形成してもよいし、p側電極および第2絶縁層を形成した後に、第1劈開溝を形成してもよい。つまり、第1劈開溝は、ウェハ状態のn型GaN基板側とウェハ状態のn型GaAs基板側とを貼り合わせるまでに形成されていればよい。
また、上記第1〜第10実施形態では、第1劈開溝および第1素子分割溝をフォトリソグラフィおよびエッチングによって形成するとともに、第2劈開溝、第2素子分割溝および第3素子分割溝をダイヤモンドポイントを用いて、形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、劈開用溝および素子分割溝は、フォトリソグラフィおよびエッチング、ダイヤモンドポイントまたはレーザ光などの方法によって形成してもよい。
また、上記第4および第5実施形態では、半導体レーザ素子が、青紫色半導体レーザ素子部と赤色半導体レーザ素子部とを含む2波長の半導体レーザ素子である例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、半導体レーザ素子は、青紫色半導体レーザ素子部と赤色半導体レーザ素子部との組み合わせのみに限られず、たとえば、青紫色半導体レーザ素子部と赤外半導体レーザ素子部とを含む2波長の半導体レーザ素子でもよい。
また、上記第1〜第10実施形態では、半導体レーザ素子が、2波長または3波長の半導体レーザ素子からなる例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、半導体レーザ素子は、貼り合わされることによって形成されるのであれば、2波長または3波長の半導体レーザ素子に限られない。たとえば、単波長の半導体レーザ素子部を複数個貼り合わせてもよいし、4つ以上の異なる波長を有する半導体レーザ素子部を貼り合わせてもよい。
また、上記第1〜第10実施形態では、融着層がAu−Sn半田からなる例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Au、Sn、In、Pb、Ge、Ag、CuまたはSiなどの半田材料またはその合金材料からなるように構成してもよい。また、半田を用いない他の接合方法を用いてもよい。
また、上記第1〜第10実施形態では、複数の融着層と複数のp側電極とを接合する前に、熱処理によって合金化することによりp側電極とn型GaAs基板側のn側電極とをそれぞれ形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、p側電極とn型GaAs基板側のn側電極とは、それぞれ、合金化により形成しなくてもよい。また、合金化が不要である場合または合金化の際の熱処理の温度が融着層の融解温度よりも小さい場合などにおいては、複数の融着層と複数のp側電極とを接合した後に、n型GaAs基板側のn側電極を形成してもよい。
また、上記第1〜第10実施形態では、赤色半導体レーザ素子部または赤外半導体レーザ素子部のp型クラッド層を、それぞれ、凸部と、凸部の両側に形成された凹部と、凹部の両側に延び、凸部の下面よりも下方に位置する平坦部とを有する例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、赤色半導体レーザ素子部または赤外半導体レーザ素子部のp型クラッド層を、それぞれ、凸部と、凸部の両側に延びる平坦部とを有するように構成してもよい。つまり、赤色半導体レーザ素子部および赤外半導体レーザ素子部に、それぞれ、凹部を設けなくてもよい。
また、上記第1〜第10実施形態では、基板としてn型GaN基板およびn型GaAs基板を用いた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、GaP基板およびSi基板などの他の基板を用いてもよい。
また、上記第1〜第10実施形態では、n型GaAs基板の第1素子分割溝と溝部とを略同じ深さを有するように形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1素子分割溝と溝部との深さは異なっていてもよい。
また、本発明の「第2溝」については、上記第1〜第10実施形態で用いた破線状に形成された溝、または、ウェハ状態のn型GaAs基板220のY側の両端部にのみ形成された溝だけでなく、図34に示す第5変形例のように、直線状に第2劈開溝40gを連続して形成してもよく、さらには、図35に示す第6変形例ように、第2劈開溝40hの長さおよび間隔が第2劈開溝40c(図15参照)よりもさらに短い点線状に形成してもよい。図35の場合、たとえば、約50μmの長さを有する溝部を約50μmの間隔で形成することができる。また、第2劈開溝40hの長さと間隔とは、等しくする必要はなく、それぞれ独立に変更するようにしてもよい。
また、上記第9および第10実施形態で用いたRGB3波長半導体レーザ素子980に対しては、第2実施形態の半導体レーザ素子400と同様に、赤色半導体レーザ素子部950のリッジの上部に緑色半導体レーザ素子部960または青色半導体レーザ素子部965を接合してもよく、あるいは、第3実施形態の半導体レーザ素子500と同様に、赤色半導体レーザ素子部950のリッジの上部に緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965のn型GaN基板10が位置しないように接合してもよい。
また、上記第9および第10実施形態で用いたRGB3波長半導体レーザ素子980に代えて、本発明の「第1半導体レーザ素子」として、緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965からなる2波長半導体レーザ素子部970を用いるとともに、本発明の「第2半導体レーザ素子」として、赤色半導体レーザ素子部950を用いてもよい。この場合、製造プロセスにおいて、赤色半導体レーザ素子部950の間の除去部分が除去されるので、緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965からなる2波長半導体レーザ素子部970のワイヤボンド部が外部に露出する。これにより、半導体レーザ装置への実装時には、赤色半導体レーザ素子部950を上方に向けるとともに緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965からなる2波長半導体レーザ素子部970側をサブマウントに接合することが適したRGB3波長半導体レーザ素子として構成することができる。
これにより、緑色半導体レーザ素子部960および青色半導体レーザ素子部965からなる2波長半導体レーザ素子部970については、サブマウントへ直接放熱することができるとともに、赤色半導体レーザ素子部950についても、熱伝導性のよい窒化物系半導体から構成される2波長半導体レーザ素子部970を介してサブマウントへ放熱することができる。その結果、RGB3波長半導体レーザ素子の放熱特性をさらに向上させることができる。
11e、811e 段差部
40a、40c、40d、40e、40f 第1劈開溝(第1溝)
40b、40c、40g、40h 第2劈開溝(第2溝)
100、400、500、600、700、800 半導体レーザ素子
210 n型GaN基板(第1基板)
211 青紫色半導体レーザ素子部(第1半導体素子層)
220 n型GaAs基板(第2基板)
221 赤色半導体レーザ素子部(第2半導体素子層)
222 赤外半導体レーザ素子部(第2半導体素子層)
900 光ピックアップ装置(光装置)
920 光学系
980 RGB3波長半導体レーザ素子(半導体レーザ素子)
5000 光ディスク装置(光装置)
6000、6500 プロジェクタ装置(光装置)
40a、40c、40d、40e、40f 第1劈開溝(第1溝)
40b、40c、40g、40h 第2劈開溝(第2溝)
100、400、500、600、700、800 半導体レーザ素子
210 n型GaN基板(第1基板)
211 青紫色半導体レーザ素子部(第1半導体素子層)
220 n型GaAs基板(第2基板)
221 赤色半導体レーザ素子部(第2半導体素子層)
222 赤外半導体レーザ素子部(第2半導体素子層)
900 光ピックアップ装置(光装置)
920 光学系
980 RGB3波長半導体レーザ素子(半導体レーザ素子)
5000 光ディスク装置(光装置)
6000、6500 プロジェクタ装置(光装置)
Claims (8)
- 劈開のための第1溝を表面に有する第1半導体レーザ素子基板を形成する工程と、
前記第1溝を有する前記表面に第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程と、
その後、前記第1半導体レーザ素子基板上および前記第2半導体レーザ素子基板上に劈開面を形成するために、前記第1半導体レーザ素子基板と前記第2半導体レーザ素子基板とを少なくとも前記第1溝に沿って劈開する工程とを備える、半導体レーザ素子の製造方法。 - 前記第1半導体レーザ素子基板を形成する工程は、前記第1半導体レーザ素子基板の導波路とその近傍とを除く領域に前記第1溝を破線状に形成する工程を含む、請求項1に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
- 前記第1半導体レーザ素子基板は、第1基板と前記第1基板の表面上に形成された第1半導体素子層とを含み、
前記第1半導体レーザ素子基板を形成する工程は、前記第1半導体素子層の表面から前記第1基板まで到達する深さを有する前記第1溝を形成する工程を含む、請求項2に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 前記第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程の後に、平面的に見て、前記第1溝が形成された領域と重なる位置における前記第2半導体レーザ素子基板に第2溝を形成する工程をさらに備え、
前記第1溝に沿って劈開する工程は、前記第1溝および前記第2溝に沿って、前記第1半導体レーザ素子基板と前記第2半導体レーザ素子基板とを同時に劈開する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 前記第2溝を形成する工程は、前記第2半導体レーザ素子基板の端部近傍に前記第2溝を形成する工程を含む、請求項4に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
- 前記第2半導体レーザ素子基板は、第2基板と第2半導体素子層とを含み、
前記第2半導体レーザ素子基板を貼り合わせる工程は、前記第2半導体レーザ素子基板の前記第2半導体素子層の表面を、前記第1溝を有する前記表面に貼り合わせる工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 第1半導体レーザ素子を含む第1半導体レーザ素子基板と、
第2半導体レーザ素子を含む第2半導体レーザ素子基板とを備え、
前記第1半導体レーザ素子の表面に前記第2半導体レーザ素子が貼り合わされており、
前記第1半導体レーザ素子は、前記第1半導体レーザ素子基板と前記第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされた状態で劈開されるための溝の一部であった部分からなる段差部を、前記第1半導体レーザ素子の前記表面に含む、半導体レーザ素子。 - 第1半導体レーザ素子を含む第1半導体レーザ素子基板および第2半導体レーザ素子を含む第2半導体レーザ素子基板を有する半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子の出射光を制御する光学系とを備え、
前記第1半導体レーザ素子の表面に前記第2半導体レーザ素子が貼り合わされており、
前記第1半導体レーザ素子は、前記第1半導体レーザ素子基板と前記第2半導体レーザ素子基板とが貼り合わされた状態で劈開されるための溝の一部であった部分からなる段差部を、前記第1半導体レーザ素子の前記表面に有する、光装置。
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