JP2010190397A - タッチダウン軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】空転停止性能に優れたタッチダウン軸受を提供する。
【解決手段】磁気軸受とともに用いられる、内輪61と、外輪62と、内輪61及び外輪62の間で転動可能に配置された転動体63とを有する転がり軸受のタッチダウン軸受であって、内輪61及び外輪62のそれぞれの対向面の一方に半硬質磁性材料からなる半硬質磁性部材64が設けられている。円環状をなす一以上の磁石部材65が、半硬質磁性部材64に対向するように内輪61又は外輪62に設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気軸受とともに設置され、磁気軸受の制御不能時に軸受として機能するタッチダウン軸受に関する。
タッチダウン軸受は、磁気軸受とともに設置される転がり軸受であり、通常時には、回転輪(内輪又は外輪)が、回転部材(軸又はハウジング)と接触しない構成となっている。一方、前記磁気軸受が何らかのトラブルで制御不能になった時には、回転輪の回転部材との対向面が、前記回転部材に接触(タッチダウン)し、軸受として機能することにより、前記磁気軸受及び回転部材を保護する構成となっている。
このようなタッチダウン軸受としては、例えば、特許文献1〜6に記載されたタッチダウン軸受が提案されている。
特許文献1に開示されたタッチダウン軸受は、転動体を高速度工具鋼製とすることにより、内輪や外輪に用いられるステンレス鋼や軸受鋼と比較して、タッチダウン時に予想される温度(200〜300℃)下における硬さを高くするものである。このようなタッチダウン軸受であれば、転動体の発熱による早期損傷を防止することが可能となり、軸受の耐久性を向上させることが可能となる。
また、特許文献2に開示されたタッチダウン軸受は、ボール(転動体)と内輪に透磁率1.4以下の材料を使用する構成を有するものである。
また、特許文献3に開示されたタッチダウン軸受は、軸受のレース溝のR値を規定して、回転性能を向上させるものである。
特開2006−153240号公報 特開2002−221226号公報 実開平3−88024号公報
タッチダウン軸受には、その特有の性能として、「タッチダウン時の回転性能(以下、回転性能と呼ぶ)」及び「ロータ軸接触時の空転停止性能(以下、空転停止機能と呼ぶ)」が求められる。
前記回転性能は、タッチダウン時に回転を円滑に行う回転性能である。この回転性能が高いと、不慮の断線やモータの損傷が原因でロータ軸がタッチダウンした時に、ロータ軸が振れ回ってステータ部材に接触して破損するのを防ぎ、ロータ軸を安全に着陸させることができる。
前記空転停止機能は、タッチダウン軸受がロータ軸と接触し空転したとき、その空転を長く続けることなく、軸受を早い時期に停止させる性能である。タッチダウン軸受には、ターボ分子ポンプが回転中に地震や周辺機器の振動でロータ軸が接触することがある。その後、ロータ軸は、上記、不慮の断線やモータの損傷が原因でロータ軸がタッチダウンした時とは異なり、すぐに磁気的安定を取戻して定常位置に復帰するので、タッチダウン軸受とは一瞬接触するだけで、その後は非接触状態に戻る。このとき、ロータ軸から回転力を受けてタッチダウン軸受は空転(通常内輪)を始めるが、空気抵抗がないため、タッチダウン軸受はそのまま空転し続けることになる。このとき、大きな回転音を生じたり、コーティングされている固体潤滑剤が摩耗して膜厚が減少し、本来のタッチダウン時に上記回転性能を十分に発揮できなかったり、温度が急上昇して焼き付きを生じてしまうという不具合を発生しかねない。したがって、タッチダウン軸受には、空転時に早期に自転を停止する性能が必要なのである。
しかしながら、特許文献1及び引用文献3に記載のタッチダウン軸受では、耐熱性改善によるタッチダウン時の耐久性の向上には効果があるが、空転停止性能を向上させる構成について開示されていない。
また、特許文献2に記載されたタッチダウン軸受では、軸受近傍にある磁気軸受やモータからの漏洩磁界の影響を小さくして、外部磁界による連れ回りを防止することによってタッチダウン時の回転性能を向上させる効果があるが、空転停止性能を向上させる構成について開示されていない。
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、空転停止性能に優れたタッチダウン軸受を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、磁気軸受と共に設置され、通常時には内輪又は外輪からなる回転輪が軸又はハウジングからなる回転部材と接触せず、前記磁気軸受の制御不能時に前記回転輪が前記回転部材と接触して軸受として機能するタッチダウン軸受において、
半硬質磁性材料からなる円環状の半硬質磁性部材が、前記内輪又は外輪に対向するように前記外輪又は内輪に設けられたことを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明に係るタッチダウン軸受は、請求項1に記載のタッチダウン軸受において、円環状をなす一以上の磁石部材が、前記半硬質磁性部材に対向するように前記外輪又は内輪に設けられたことを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明に係るタッチダウン軸受は、請求項1又は2に記載のタッチダウン軸受において、前記内輪及び外輪の間に転動自在に配設された複数の転動体が、セラミックスからなることを特徴としている。
本発明の請求項1に係るタッチダウン軸受によれば、半硬質磁性部材が設置された内輪又は外輪の回転によってヒステリシストルクを生じさせ、それが回転抵抗となる。それにより内輪又は外輪が回転抵抗を受けながら回転するため、回転運動は長く続くことなく、半硬質磁性部材が設置された内輪又は外輪が早い時期に停止し、結果として、空転停止性能に優れたタッチダウン軸受を提供することができる。
ここで、タッチダウン軸受には近傍に位置する磁気軸受やモータからの漏洩磁束が入り込んでいて、それが半硬質磁性部材と対向する面との接近した部位のエアギャップを経て通過している。それらのタッチダウン軸受を通る磁束は、発生している元の磁石部材(電磁石を含む)の円周方向の配置の違いにより、円周方向での磁束密度の分布を持つのが普通である。つまり、あたかも単一磁石を軸受の内輪又は外輪の円周方向に複数配置したのと似た磁力分布となる。
したがって、例えば、半硬質磁性部材と対向する面に磁石部材が設けられていなくても、タッチダウン軸受の回転によってヒステリシストルクを生じさせることができる。そして、ヒステリシストルクの発生によって空転停止性能に優れたタッチダウン軸受を提供することができる。
また、本発明の請求項2に係るタッチダウン軸受によれば、半硬質磁性部材と磁石部材とが相対回転することによって生じるヒステリシストルクが、タッチダウン軸受が、軸との接触により空転した際に回転抵抗となって軸受の回転を停止させる。
その結果、軸受空転時の摩耗も防ぎ、タッチダウン軸受の耐久性を向上させる効果もある。
また、本発明の請求項3に係るタッチダウン軸受によれば、内輪から外輪に通る磁束が、非磁性体であるセラミックからなる転動体を通りにくくなるため、磁束を半硬質磁性部材に集中的に通過させることが可能となる。そのため、本発明のヒステリシストルクが効率良く生じるため、磁石部材及び半硬質磁性部材をより小さくすることが可能となり、軸受搭載の自由度が向上する。
本発明に係るタッチダウン軸受を備えた磁気浮上式ターボ分子ポンプを示す断面図である。 本発明に係るタッチダウン軸受の第1の実施形態における構成を示す図である。 本発明に係るタッチダウン軸受の第2の実施形態における構成を示す図である。 本発明に係るタッチダウン軸受の第2の実施形態における構成を示す図である。 本発明に係るタッチダウン軸受の第3の実施形態における構成を示す断面図である。 本発明に係るタッチダウン軸受の第3の実施形態における構成を示す図である。 本発明に係るタッチダウン軸受の実施例における試験装置の構成を示す断面図である。 本発明に係るタッチダウン軸受の実施例における試験装置の構成を示す断面図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明に係るタッチダウン軸受の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の2種類のタッチダウン軸受を備えた磁気浮上式ターボ分子ポンプを示す縦断面図である。図2は本実施形態のタッチダウン軸受の構成を示す図であり、図2(a)は一方のタッチダウン軸受の構成を示す縦断面図、図2(b)は図2(a)の2b−2b線に沿う断面図、図2(c)は、他方のタッチダウン軸受の構成を示す縦断面図である。
図1に示すように、磁気浮上式ターボ分子ポンプ1は、ロータ翼10と、ロータ軸20と、磁気軸受30,40,50と、タッチダウン軸受60,70とを有する。ロータ翼10と一体に回転するロータ軸20は、一組のアキシアル磁気軸受30と二組のラジアル磁気軸受40,50とにより、非接触状態で回転自在に支持されている。また、ラジアル荷重を受ける総玉タイプの深溝玉軸受60と、アキシアル荷重を受ける組み合わせアンギュラ玉軸受70が、タッチダウン軸受として設置されている。ロータ軸20は鉛直方向に延びる回転軸であって、ロータ軸20の下部にはフランジ21が一体に形成されている。アキシアル磁気軸受30は、このフランジ21を、対をなす電磁石30a,30bで挟むように配置されている。深溝玉軸受60はロータ軸20の上部に設置され、アンギュラ玉軸受70はロータ軸20の下部のフランジ21の直上に設置されている。
図1に示す磁気浮上式ターボ分子ポンプ1は、その他に、上部ケーシング80A、下部ケーシング80B、電動モータ90、及びハウジング81を備えている。電動モータ90は、ロータ軸20を高速回転させる動力源である。ハウジング81は、上部ケーシング80Aの一部をなす部材であって、ラジアル磁気軸受40,50及び深溝玉軸受60のハウジングとして機能する。
次に、図2(a)及び図2(b)に示すように、深溝玉軸受60は、内輪61と、外輪62と、内輪61と外輪62との間で転動可能に配設された複数の転動体63とを有する。内輪61及び外輪62には、それぞれ転動体63側に突出して互いに対向するフランジ61a,62aが形成されている。フランジ61aには、該フランジ61aのフランジ62a側の面に相当する円筒状をなし、半硬質磁性材料からなる半硬質磁性部材64が設けられている。また、フランジ62aには、該フランジ62aのフランジ61a側の面に相当する円筒状をなす磁石部材65が設けられている。深溝玉軸受60の内輪(回転輪)61とロータ軸20との間には、半径方向に所定の隙間60Aが設けられている。この隙間60Aは、ラジアル磁気軸受40,50のロータ軸20に対する半径方向の隙間(図1参照)より小さい。
同様に、図2(c)に示すように、アンギュラ玉軸受70は、内輪(回転輪)71と、外輪72と、内輪71と外輪72との間で転動可能に配設された複数の転動体73とを有する。内輪71及び外輪72には、それぞれ転動体73側に突出して互いに対向するフランジ71a,72aが形成されている。フランジ71aには、該フランジ71aのフランジ72a側の面に相当する円筒状をなし、半硬質磁性材料からなる半硬質磁性部材74が設けられている。また、フランジ72aには、該フランジ72aのフランジ71a側の面に相当する円筒状をなす磁石部材75が設けられている。内輪71とロータ軸20との間にも、半径方向に所定の隙間70Aが設けられている。この隙間70Aも、ラジアル磁気軸受40,50のロータ軸20に対する半径方向の隙間(図1参照)より小さい。アンギュラ玉軸受70の外輪72は、アキシアル磁気軸受30のハウジング31に取り付けられている。
したがって、ロータ軸20は、通常時には、ラジアル磁気軸受40,50とアキシアル磁気軸受30とにより、回転自在に支持される。また、これらの磁気軸受30,40,50が制御不能となった時に、深溝玉軸受60の内輪61及びアンギュラ玉軸受70の内輪71がタッチダウンして、軸受として機能するようになる。
ここで、半硬質磁性部材64,74に用いられる半硬質磁性材料としては、Fe−Cu系(主組成:Fe−14Cu)、Fe−Mn系(主組成:Fe−14Mn−lMo−2.8Ti、Fe−13Mn−5Co)、Fe−Cr−Co系(主組成:Fe−25Cr−8Co、Fe−30Cr−10Co、Fe−32Cr−14Co−3Mo)等が用いられる。半硬質磁性材料64,74は、ヒステリシストルクが小さすぎても空転停止性能が乏しくなり、また、大きすぎても回転性能を阻害することになる。したがって、特に保磁力が小さすぎず、大きすぎないFe−Mn系が半硬質磁性材料として好適である。
また、磁石部材65,75の材料としては、一般的には多極着磁が容易なフェライト系磁石が好ましいが、単一磁化磁石を複数配置する場合は、サマリウムコバルト系磁石やネオジウム磁石等を用いてもよい。サマリウムコバルト系磁石やネオジウム磁石は保磁力が大きいので、磁石部材65,75を小型化、薄肉化することが可能となり、取り付けスペースを小さくできる。
磁石部材65,75は、円筒状をなす1つの部材の形態でもよいし、複数の磁石片が円筒状に配列されてなる形態でもよい。磁石部材65,75が複数の磁石片に分割される数は2〜30程度がよい。磁石部材65,75を細かく分割しすぎるとヒステリシスが十分に作用しなくなる。
また、半硬質磁性部材64,74と磁石部材65,75とのクリアランスは0.1〜5mm程度であるのが望ましい。半硬質磁性部材64,74と磁石部材65,75とのクリアランスが0.1mm未満であると、半硬質磁性部材64,74と磁石部材65,75とが軸受の回転精度を極端によくする必要が生じ、加えて、磁石部材65,75からの磁束が全て半硬質磁性部材64,74に入り込むことになる。その結果、磁石部材65,75の保磁力が大きい場合等にヒステリシストルクが必要以上に大きくなり、タッチダウン軸受の回転抵抗が極端に大きくなって、本来のタッチダウン時の回転性能が損なわれてしまう。また、半硬質磁性部材64,74と磁石部材65,75とのクリアランスが5mm超であると、半硬質磁性部材64,74と磁石部材65,75との間に磁束が通りにくくなり充分な空転停止性能が得られなくなる。
このように、本実施形態では、タッチダウン軸受60,70の内輪61,71に半硬質磁性部材64,65を設置し、半硬質磁性部材64,65に対向するように磁石部材65,75を設置した外輪62,72を配置する構成とした。このような構成とすることで、磁石部材65,75には内径から外径に貫通する磁化が施されていて、円周方向に上記磁化方向が逆転するように複数の磁気領域が配置される。そして、ロータ軸20とタッチダウン軸受の内輪61,71が接触して内輪61,71が空転すると、磁石部材65,75によって磁化と反磁化とが半硬質磁性部材64,74に生じる。そして、それが磁気的ヒステリシスとなってタッチダウン軸受60,70の回転抵抗となる。それにより内輪61,71が回転抵抗を受けながら回転するため、回転運動は長く続くことなく、早い時期に内輪61,71が停止する。したがって、空転停止性能を向上させたタッチダウン軸受を提供することができる。これは、タッチダウン軸受が空転時に発生する大きな回転音や、前記固体潤滑剤の摩耗等を防止することにもつながる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明に係るタッチダウン軸受の第2の実施形態を示す図であり、図3(a)はタッチダウン軸受の縦断面図、図3(b)は磁石部材の底面図、図3(c)は図3(b)の3b−3b線に沿う断面図である。なお、図3に示す第2の実施の形態及びその変形例においては、半硬質磁性部材及び磁石部材の形状を異ならせた以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。
上述の第1の実施形態では、円環状をなす半硬質磁性部材64,74及び磁石部材65,75の一態様として、半硬質磁性部材64,74及び磁石部材65,75の形状が円筒状である例について説明した。本実施形態では、図3(a)に示すように、内輪61のフランジ61aと、外輪62のフランジ62aとを重畳するように形成し、フランジ61a及びフランジ62aのそれぞれの対向面に円環状をなす平板の半硬質磁性部材64及び磁石部材65を設けている。また、図3(b)に示すように、磁石部材65は、6分割された磁石部材片65aからなる。ここで、図3(b)及び図3(c)に示すように、隣接する磁石部材片65a同士の磁化方向は異なっている。本実施形態は、タッチダウン軸受60のサイズによっては、円環状磁石と比べて平板状の磁石の製作が容易であるため、磁石部材65が薄すぎるために製作できないという場合等にメリットがある。
また、本実施形態においては、転動体をセラミックス製としてもよい。セラミックスは、転動体に使用される材料であれば特に問題はない。窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等が用いられる。転動体をセラミックスにすることで、例えば、図2において、内輪61から外輪62に通る磁束は、非磁性体であるセラミックよりなる転動体63を通りにくくなるため、磁束を半硬質磁性部材64に集中的に通過させることが可能となる。そのため、ヒステリシストルクが効率よく生じるため、半硬質磁性部材64と磁石部材65とをより小さくすることが可能で、軸受搭載の自由度が向上する。
(第2の実施形態の変形例)
図4は、本発明に係るタッチダウン軸受の第2の実施形態の変形例を示す図であり、図4(a)はタッチダウン軸受の縦断面図、図4(b)は磁石部材の底面図、図4(c)は図4(b)の4b−4b線に沿う断面図である。
図4に示すように、磁石部材65は円筒状や円環状をなす平板でなくとも、単一磁化された複数の磁石部材片65aを、環状をなすようにフランジ61a上に配置してもよい。
円環状磁石の同一面内で多極に着磁することは、設備的及び工程的にコストがかかる方式であるが、単一着磁磁石(例えば円板状磁石)の場合は、面方向に垂直に着磁した磁石を隣接する磁石同士の磁力線が逆向きとなるように配置すれば、前述の多極着磁磁石と変わらない作用が得られ、多極磁石に比べてコストを低くできる。
(第3の実施形態)
図5は、本発明のタッチダウン軸受の第3の実施形態を示す縦断面図である。なお、図5に示す第3の実施の形態及びその変形例においては、磁石部材を用いない以外は、前述した第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。図5に示すように、タッチダウン軸受60の内輪61のフランジ61aには、外輪62のフランジ62aに対向するように円筒状の半硬質磁性部材64が設けられている。半硬質磁性部材64が対向する外輪62のフランジ62aには磁石部材が設けられていない。
ここで、図1に示すように、タッチダウン軸受60には近傍に位置する磁気軸受40や電動モータ90からの漏洩磁束が入り込んでいて、それが外輪62から内輪61へ両者の接近した部位のエアギャップを経て通過している。タッチダウン軸受60を通るそれらの磁束は、発生している元の磁石(電磁石を含む)の円周方向の配置の違いにより、円周方向での磁束密度の分布を持つのが普通である。つまり、あたかも単一磁石を軸受外輪円周方向に複数配置したのと似た磁力分布となる。
そのため、外輪62に磁石部材が設けられなくても、内輪61に半硬質磁性部材64が設けられていれば、タッチダウン軸受60の回転によりヒステリシストルクが生じ、上述の第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(第3の実施形態の変形例)
図6は、本発明に係るタッチダウン軸受の第3の実施形態の変形例を示す図であり、図6(a)はタッチダウン軸受の縦断面図、図6(b)は図6(a)の6b−6b線に沿う断面図である。
図6(a)及び図6(b)に示すように、タッチダウン軸受60の外輪62のフランジ62aには、内輪61のフランジ61aに対向するように円筒状の半硬質磁性部材64が設けられている。半硬質磁性部材64が対向する内輪61のフランジ61aには磁石部材が設けられていない。また、内輪61のフランジ61aにおける半硬質磁性部材64に対向する外周面には、円周方向に繰り返される凹凸形状が形成されている。内輪61の外周面に形成された凹凸形状のうち、凸部を半硬質磁性部材64に極力近づけるように配置すると、磁束がその凸部に集中して、半硬質磁性部材64に流入するようになる。本実施形態の構成は、元々の漏洩磁力が小さかったり、円周方向の磁力分布が小さかったりする場合において、あたかも磁石部材を分布して配置した構成と同様の効果を奏するので好適である。
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、上述した第1の実施形態、及び図2に示す構成のタッチダウン軸受60について、内輪61が空転し始めてから停止するまでの回転数を計測した。
試験対象となるタッチダウン軸受60は、半硬質磁性部材64及び磁石部材65を設けた実施例1〜3と、実施例1〜3と同一寸法で半硬質磁性部材64及び磁石部材65を設けない比較例1〜3とを用意した。
実施例1〜3及び比較例1〜3は、それぞれ個体差を考慮して3個ずつ用意した。なお、各試験軸受のその他の諸元は同一としている。試験軸受の諸元及び試験条件を以下に示す。
(試験軸受)
サイズ :φ42×φ25×9
材質: 外輪:SUS440C相当
内輪:SUS440C相当
ボール:Si34
磁石部材:フェライト磁石(6分割多極着磁)
半硬質磁性材料:Fe−Mn系
潤滑:MoS2コーティング
コート部位:内輪、ボール
個数:実施例1〜3:3個
比較例1〜3:3個
(試験条件)
軸受初期回転速度:1000[min-1
圧力 :10-4[Pa]
温度 :常温成り行き
(試験装置)
次に試験装置の構成について説明する。図7及び図8は試験装置の構成を示す断面図である。図7に示すように、試験装置100は、密封容器110の底部に形成された貫通孔111の上部に試験軸受200が外輪202を固定した状態で取り付けられている。また、密封容器110の天井側のビューポート112から試験軸受200を観察することができるようになっている。ビューポート112の上方には2つの光学センサ120,120が配置されている。これら光学センサ120,120は、試験軸受200の内輪201の回転速度と、回転開始から停止までの総回転数を記録できるようなっている。
貫通孔111には、密封容器110の外部から回転軸130が挿入されていて、回転軸130の一方の端部130aが内輪201に嵌合されている。貫通孔111と回転軸130の周面とは、回転軸シール140によってシールされている。そのため、回転軸130を内輪201に嵌合させた後に密封容器110の内部を真空状態にしても貫通孔111から空気が流入しないようになっている。
回転軸130は、試験軸受200の内輪201が固定された一方の端部130aと反対側の他方の端部130bにモータ150が結合されている。このモータ150を回転させることで試験軸受200の内輪201を回転させることができる。回転軸130とモータ150とは一台の台車160に固定されている。この台車160にはエアシリンダ(図示せず)が連結され、このエアシリンダによって密封容器110の底部から遠ざかる方向に移動させることができる。台車160を後退(密封容器110の底部から遠ざかる方向に移動)させると、試験軸受200に嵌合していた回転軸130の他方の端部130aが内輪201から外れるため、試験軸受200と回転軸130とは機械的にフリーとなる。そのときの状態を図8に示す。
(試験方法)
次に試験方法について説明する。まず、回転軸130を内輪201に嵌合させて、モータ150によって回転軸130を回転させる。内輪201が所定の回転速度に到達したら、すぐに台車160を後退させて、回転軸130を内輪201から引き抜く。その時点から内輪201は空転を開始することになるので、内輪201の回転回数を光学センサ120,120で計数し始めて、内輪201の回転速度が零になるまで累計し、それを試験軸受200の回転から停止までの総回転数とする。これを1つの試験軸受200に対して3回繰返し、3回の総回転数の平均値をその試験軸受200の試験結果とする。試験結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜3の停止までの総回転数は、比較例1〜3の停止までの総回転数のおおよそ5割から7割程度となった。これにより、真空での軸受空転時において、比較例1〜3より早く停止する実施例1〜3は、空転停止性能に優れていることが分かる。
Figure 2010190397
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。例えば、上述の実施形態では、タッチダウン軸受の内輪に半硬質磁性部材を設置し、タッチダウン軸受の外輪に磁石部材を設置したが、タッチダウン軸受の外輪に半硬質磁性部材を設置し、タッチダウン軸受の内輪に磁石部材を設置してもよい。
10 ロータ翼
20 ロータ軸
30 アキシアル磁気軸受
40,50 ラジアル磁気軸受
60 深溝玉軸受
61 内輪(回転輪)
62 外輪
64 半硬質磁性部材
65 磁石部材
70 アンギュラ玉軸受
71 内輪(回転輪)
72 外輪
74 半硬質磁性部材
75 磁石部材

Claims (3)

  1. 磁気軸受と共に設置され、通常時には内輪又は外輪からなる回転輪が軸又はハウジングからなる回転部材と接触せず、前記磁気軸受の制御不能時に前記回転輪が前記回転部材と接触して軸受として機能するタッチダウン軸受において、
    半硬質磁性材料からなる円環状の半硬質磁性部材が、前記内輪又は外輪に対向するように前記外輪又は内輪に設けられたことを特徴とするタッチダウン軸受。
  2. 円環状をなす一以上の磁石部材が、前記半硬質磁性部材に対向するように前記外輪又は内輪に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のタッチダウン軸受。
  3. 前記内輪及び外輪の間に転動自在に配設された複数の転動体が、セラミックスからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチダウン軸受。
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