JP2010190272A - 転がり軸受用保持器 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下での早期の劣化を防止し、長期に亘って一定の強度を維持することが可能な耐油性に優れた転がり軸受用保持器を提供する。
【解決手段】軸受内部において複数の転動体8を回転自在に保持しながら、これら複数の転動体と共に軸受内部に沿って公転する転がり軸受用保持器2であって、当該保持器は、全体が合成樹脂材料で形成された保持器本体2aと、保持器本体の表面に形成された撥水撥油膜2bとを備えて構成されている。この場合、撥水撥油膜は、保持器本体の表面に金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層の表面に撥水撥油層を形成して構成されており、保持器本体は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンを重縮合させて作られるポリアミド系樹脂、又は、アジピン酸とジアミノブタンを重縮合させて作られるポリアミド系樹脂で形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、転がり軸受に用いられる保持器であって、その表面に撥水撥油膜が形成された転がり軸受用保持器に関する。
従来、例えば自動車のトランスミッション等に用いられる転がり軸受には、金属製のものに比べて軽量で、機械的特性に優れた樹脂製の保持器が多用されている。このような樹脂製保持器は、高温の潤滑油(ギヤオイル)中で使用されるため、かかる使用環境下における耐油性を向上させる各種の技術的方策が施されている。その一例として特許文献1では、樹脂製保持器の母材として用いられるポリアミド樹脂に、炭化水素系ポリマーを分散させる技術的方策が示されている。これによれば、高温の潤滑油環境下での使用に際し、炭化水素系ポリマーがポリアミド樹脂よりも先に劣化(酸化)することで、保持器内部への潤滑油の浸入(浸透)を防止するようになっている。
しかしながら、ポリアミド樹脂に分散された炭化水素系ポリマーは、上記したように早期に劣化(酸化)され易く、その耐油性も低いため、高温の潤滑油環境下に晒されている樹脂製保持器の表面が早期に劣化し易いといった問題がある。そして、樹脂製保持器の表面が劣化した場合、その劣化の程度によっては、当該劣化した部分から例えばクラックが発生し、その結果、保持器の強度を長期に亘って一定に維持することができなくなってしまう虞がある。そうなると、このような保持器を用いた転がり軸受の性能(例えば、回転性能、潤滑性能など)を長期に亘って一定に維持することができなくなってしまう。
特開平7−190069号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、高温環境下での早期の劣化を防止し、長期に亘って一定の強度を維持することが可能な耐油性に優れた転がり軸受用保持器を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、軸受内部において複数の転動体を回転自在に保持しながら、これら複数の転動体と共に軸受内部に沿って公転する転がり軸受用保持器であって、当該保持器は、全体が合成樹脂材料で形成された保持器本体と、保持器本体の表面に形成された撥水撥油膜とを備えて構成されている。
本発明において、前記撥水撥油膜は、保持器本体の表面に金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層の表面に撥水撥油層を形成して構成されている。また、前記保持器本体は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンを重縮合させて作られるポリアミド系樹脂、又は、アジピン酸とジアミノブタンを重縮合させて作られるポリアミド系樹脂で形成されている。
本発明によれば、高温環境下での早期の劣化を防止し、長期に亘って一定の強度を維持することが可能な耐油性に優れた転がり軸受用保持器を実現することができる。
(a)は、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受用保持器の仕様を一部拡大して示す断面図、(b)は、同図(a)に示された保持器の外観構成を示す斜視図、(c)は、保持器本体の表面に撥水撥油膜が形成された状態を示す断面図。
以下、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受用保持器について、添付図面を参照して説明する。
なお、転がり軸受には、例えば鉄道車両や自動車、或いは、各種の産業用及び工業用の装置に設けられた回転軸を支持するものがあるが、ここでは一例として、自動車のトランスミッションに適用されて、高温の潤滑油(ギヤオイル)中で使用される転がり軸受を想定する。この場合、転がり軸受としては、ラジアル軸受やスラスト軸受を適用することができるが、ここでは一例として、互いに相対回転可能にラジアル方向に対向配置された内輪4及び外輪6とを備えたラジアル軸受(図1(a))を想定する。
図1(a)には、本実施の形態に係る転がり軸受用保持器2(以下、保持器2という)の仕様が示されており、当該保持器2は、上記した転がり軸受の軸受内部において、内外輪4,6間に組み込まれた複数の転動体8を回転自在に保持しながら、これら複数の転動体8と共に軸受内部に沿って公転するように構成されている。ここで、転動体8としては、例えばころ、玉を適用することが可能であるが、ここでは一例として、ころを想定する。また、ころの種類としては、例えば円筒ころ、針状ころ、円すいころ、球面ころなどを適用することができる。この場合、保持器2の種類としては、例えばかご形保持器、波形保持器、冠形保持器、もみぬき形保持器、合せ保持器などを適用することができるが、ここでは一例として、かご形保持器を想定する。
なお、転動体(ころ)8は、周方向に連続した転動面8m(内輪4外周に形成された軌道面4sと、この軌道面4sに対向して外輪6内周に形成された軌道面6sとに沿って摺接しながら転がる周面)と、その両側に形成された円形の側面8sとで構成されていると共に、転動面8mと側面8sとの間には、周方向に沿って連続した環状の面取り部8rが形成されている。この場合、各面取り部8rには、所定の面取りが施されており、これにより、当該転動体(ころ)8が内外輪4,6間を転動する際において、例えば内外輪4,6の軌道面4s,6sとの磨耗や摩損などを低減させることができる。なお、各面取り部8rの面取り寸法は、例えば内外輪4,6の軌道面4s,6sや転動体(ころ)8の形状や大きさ或いは材質などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に数値限定はしない。
図1(b)には、保持器(かご形保持器)2の構成が示されており、当該保持器2は、上記した転がり軸受の軸受内部に沿って周方向に連続し、互いに対向配置された円環部10,12と、円環部10,12相互間に亘って延在し、当該円環部10,12に沿って周方向に所定間隔(例えば、等間隔)で配列された複数の柱部14と、円環部10,12と複数の柱部14とによって区画され、複数の転動体(ころ)8(図1(a))を1つずつ回転自在に保持する複数のポケット16とを備えている。同図では一例として、互いに径の異なる円環部10,12が互いに同中心に所定間隔で対向配置されており、複数の柱部14は、その両端側が各円環部10,12に接合されている。
なお、円環部10,12と複数の柱部14とは、保持器成形時に一体的に成形しても良いし、或いは、複数の柱部14を別体で成形し、その両端側を円環部10,12に後付けしても良い。この場合、後付けする方法としては、各柱部14の両端側を円環部10,12に対して例えば接着、溶着、嵌合するなどの各種の方法を適用することができるため、ここでは特に限定しない。
また、上記した円環部10,12と複数の柱部14を含めた保持器2の材料としては、例えば市販されている一般的な合成樹脂材料を適用することができるが、これ以外に、例えばポリアミド系合成繊維や、ポリアミド系合成繊維を母材として繊維強化した合成樹脂材料を適用することができる。なお、ポリアミド系合成繊維としては、例えばアジピン酸とヘキサメチレンジアミンを重縮合させて作られるポリアミド系樹脂(PA66)や、当該PA66よりも耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐油性に優れた、アジピン酸とジアミノブタンを重縮合させて作られるポリアミド系樹脂(PA46)などを適用することができる。
図1(c)に示すように、本実施の形態の転がり軸受用保持器2は、上記したような合成樹脂材料によって保持器本体2aを形成し、その保持器本体2aの表面に撥水撥油膜2bを形成して構成されている。ここで、撥水撥油膜2bは、保持器本体2aの表面に金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層の表面に撥水撥油層を形成して構成されている。この場合、保持器本体2aの表面に撥水撥油膜2bを形成する方法としては、下記の成膜方法を適用すればよい。
かかる成膜方法では、水と少なくとも1種のアルコキシ金属塩とを必須成分とする第1の溶液と、pH11〜13のアルカリ性溶液である第2の溶液と、フッ素含有有機化合物を含む溶液である第3の溶液と、pH9〜14のアルカリ性溶液である第4の溶液とを用意する。そして、これら4つの溶液に対して、上記したような合成樹脂材料によって形成された保持器本体2aを順に接触させる。なお、pHとは、水素イオン指数又は水素イオン濃度指数を意味し、物質の酸性やアルカリ性の度合いを示す数値である。
即ち、保持器本体2aを第1の溶液に接触させた後、第2の溶液に接触させることにより、当該保持器本体2aの表面に金属酸化物層を形成する(第1の工程)。続いて、表面に金属酸化物層が形成された保持器本体2aを第3の溶液に接触させた後、第4の溶液に接触させることにより、金属酸化物層の表面に撥水撥油層を形成する(第2の工程)。
これにより、保持器本体2aの表面が撥水撥油膜2bによって被覆された保持器2(図1(c))を実現することができる。この場合、撥水撥油膜2bは、その耐熱性や耐油性に優れた特性を有しているため、上記した保持器2が高温の潤滑油(ギヤオイル)中に晒されるような環境で使用された場合でも、当該耐熱性や耐油性を一定に維持し続けることができ、早期に劣化することは無い。このため、当該潤滑油が保持器本体2aに接触するのを確実に且つ長期に亘って防止することができる。この結果、高温潤滑油中の使用環境下での早期の劣化を防止し、長期に亘って一定の強度を維持することが可能な耐油性に優れた保持器2を実現することができる。よって、かかる保持器2を用いた転がり軸受によれば、その性能(例えば、回転性能、潤滑性能など)を長期に亘って一定に維持することができる。
ここで、上記した4つの第1〜第4の溶液について、その具体的な内容について補足説明する。
上記した第1の溶液は、アルコキシ金属塩として、金属種がシリコン、チタン、若しくは、アルミニウムで、アルキル部分の炭素数が1〜6の低級アルキルであるテトラ(若しくは、トリ)アルキルアルコキシ金属塩、又は、テトラ(若しくは、トリ)ハロゲンアルコキシ金属塩を含有することが好ましい。
ハロゲンアルコキシ金属塩の場合は、ハロゲンとして塩素が好ましく、アルキル部分がメチル、エチル、プロピル、ブチル基であることが好ましく、アルコキシ金属塩の金属種としては、シリコン、チタン、アルミニウムが好ましい。
上記した第1及び第3の溶液は、炭素数1〜6の低級アルコールを更に含むことが好ましい。これにより、低級アルキル若しくはハロゲンを有するアルコキシ金属塩の溶解度を高め、より安定した溶液とすることが可能である。炭素数1〜6の低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等が好適に使用することができる。より好ましくは、エタノールを用いればよい。
この場合、上記した第1及び第3の溶液のpHは、6以下であることが好ましい。このようにpHを6以下とすることで、アルコキシ金属塩の加水分解反応が促進され、被成膜部材表面(例えば、保持器本体2aの表面)に金属酸化物層が形成され易くなる。なお、好ましくはpH1〜6、より好ましくはpH1〜5、最も好ましくはpH2〜4とする。また、第1の溶液のpHの調整は、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸を用いて行うことが好ましい。特に、塩酸を用いることが好ましい。また、各種のpH緩衝液を用いてpHの安定化を図ることも好ましい。
また、上記した第1の溶液は、平均粒径が1nm以上200nm以下である金属酸化物微粒子を0.1以上5.0重量%以下の割合で含有することが好ましい。金属酸化物の金属種としては、シリコン、チタン、アルミニウムが使用できる。即ち、上記した第1の溶液は、平均粒径が1nm以上200nm以下であるシリカ、チタニア、又は、アルミナからなる微粒子を0.1以上5.0重量%以下の割合で含有することが好ましい。
また、金属酸化物微粒子を成す金属酸化物の金属種と、アルコキシ金属塩の金属種とは同じであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子を上記した第1の溶液に添加しておくと、アルコキシ金属塩の酸化物が被成膜部材表面(例えば、保持器本体2aの表面)に生成すると共に、その被成膜部材表面に金属酸化物粒子が結合することで、金属酸化物層が密になる。また、形成された金属酸化物層の表面に微粒子に起因する凹凸が形成されて、表面積率が増大する。金属酸化物層の表面積率が増大すると、その上の層である撥水撥油層の表面積率も増大し、密な撥水撥油層が形成されることになるため、撥水撥油膜の撥水撥油性能が向上すると共に、撥水撥油膜が被成膜部材表面に対して強固に結合される。
ここで、金属酸化物微粒子の平均一次粒径は、好ましくは2nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上80nm以下、さらに好ましくは10nm以上50nm以下である。また、平均一次粒径が異なる金属酸化物微粒子を混合して使用することも可能である。平均一次粒径が1nm未満では、表面積率の増大効果が少なく、200nmを超えると、被成膜部材表面から脱落し易くなる。
また、金属酸化物微粒子の溶液中の含有率は、0.1以上3質量%以下とすることが好ましく、0.2質量%以上〜2.5質量%以下がさらに好ましい。金属酸化物微粒子の溶液中の含有率が0.1質量%未満では、金属酸化物層を密にする効果が少なく、5質量%を超えると、被成膜部材表面に金属酸化物の微粒子が重なった状態で堆積することになり、これに伴って微粒子が脱落することで撥水撥油膜に欠陥が生じ易くなる。
なお、金属酸化物微粒子の形状は、特に限定はなく、球形、矩形、扁平形、繊維状、ウイスカー状のもの等を使用できる。例えば、繊維状のものであれば、繊維の長さを1nm以上200nm以下とすることができる。また、異なる形状のものを混合して使用してもよい。また、平均一次粒径が1nm以上200nm以下であれば、多孔質のもの等を使用することも可能である。
また、金属酸化物の微粒子の表面は、各種の疎水化処理、親水化処理が施してあってもよいが、好ましくは、親水性表面であること、若しくは、化学的な表面処理がなされていないことが望ましい。
上記した第1の溶液の組成の一例を具体的に述べると、アルコキシ金属塩が1質量%以上10質量%以下、水が1質量%以上20質量%以下、アルコールが30質量%以上95質量%以下、金属酸化物の微粒子が0.1質量%以上5質量%以下であって、塩酸によりpHが6以下に調整されているものである。
この組成の第1の溶液は、特に、金属酸化物微粒子を含有させた場合には、塩酸以外の成分を予め混合し、金属酸化物微粒子が均一になるよう数十分〜数時間攪拌した後、最後に塩酸を用いてpH調整を行うことが好ましい。使用する水、塩酸とも純度の高いものが好ましい。
上記した第2及び第4の溶液は、アルカリ金属塩(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)の水溶液であることが好ましく、特に、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等も使用できる。また、各種のpH緩衝剤を併用してもよい。また、必要に応じ、炭素数1〜6の低級アルキルアルコールと水との混合溶媒で作成してもよい。水及びこれらの成分は、純度が高いことが望ましい。
この場合、上記した第2及び第4の溶液のpHは、pH11以上pH13以下であることが好ましい。pHが11未満では、金属酸化物層の被成膜部材表面への結合、撥水撥油層の金属酸化物層への結合強度効果が少なく、pHが13以上であると、逆に結合を弱めてしまう虞がある。
上記した第3の溶液に含まれるフッ素含有有機化合物は、フッ素系界面活性剤、フッ素系カップリング剤、及び、フッ素系ポリマーのいずれか、若しくは、これらの混合物であることが好ましい。
また、上記した第3の溶液に含まれるフッ素含有有機化合物は、シリコン、チタン、又は、アルミニウムを含有するフッ素系カップリング剤であることが好ましい。更に、上記した第1の溶液で使用する金属酸化物の金属種、或いは、上記した第1の溶液で使用するアルコキシ金属塩の金属種と同じ金属種を有するものであることが好ましい。
具体的には、1H,1H,2H,2H,−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H,−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H,−パーフルオロデシルトリクロロシラン−3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H,−パーフルオロドデシルトリエトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン等が使用できる。
また、本実施の形態の転がり軸受用保持器2において、被成膜部材表面(例えば、保持器本体2aの表面)に撥水撥油膜2bを形成する方法には、当該被成膜部材(保持器本体2a)を、シリコン、チタン、又はアルミニウムを含有するフッ素系カップリング剤と、水と、炭素数1〜6の低級アルコールとを含有し、pHが6以下である液体に接触させる工程と、この工程の後に、アルカリ金属塩を含有し、pHが11〜13である溶液に接触させる工程とが含まれる。
なお、かかる成膜方法が適用可能な被成膜部材としては、樹脂を含む固体であれば特に制限はないが、被成膜部材表面が酸化物系の物質で覆われていることが好ましい。具体的には、無機系物質(金属含む)である。無機系材料の中でも、ガラス、セラミックスが好ましい。ガラスは、主成分がシリカであり、セラミックス、金属は、微視的に見れば最表面層酸化物層である。この中でも、ガラス、金属であることが好ましい。金属の中では、鉄系の金属が好ましい。中でも、軸受鋼、ステンレス鋼等の鉄鋼であることが好ましい。特に、不動態化処理を施されたステンレス鋼であることが好ましい。
また、上記した成膜方法では、平均表面粗さ(Ra)が0.001μm以上4μm以下である被成膜部材表面に対して上記した第1の工程を行うことが好ましい。また、表面積率が1.1以上の被成膜部材表面に対して上記した第1の工程を行うことが好ましい。これにより、平均表面粗さ(Ra)が0.001μm未満の場合、及び、表面積率が1.1未満の場合と比較して、形成された撥水撥油膜の撥水撥油性能を向上させることができる。また、上記した第1の溶液に金属の微粒子を含有させた場合は、上記したような表面性状の効果との相乗作用により、撥水撥油性能のより一層の向上が期待できる。なお、平均表面粗さ(Ra)が4μmRaを超えると、各種用途の部材としての適用範囲が限られる。
通常は、被成膜部材表面を上記した範囲とするために、機械加工、化学的加工、光学的加工等の各種加工方法を行うが、機械加工としては、研削、切削、プレス、バレル、ショットブラスト等が挙げられる。化学的加工としては、電解研磨、化学研磨、各種めっき、各種表面化処理などが挙げられる。光学的加工としては、フェムト秒レーザー等を使用することが可能である。また、これら加工を組み合わせてもよい。
また、表面積率は、幾何学的に求められる表面積と、表面の粗さ、うねりも含めて測定した表面積の比であり、いわゆる鏡面に近くなるほど1に近づき、表面に無数の微小な凹凸等がある場合は1を超える。なお、表面積率は、被成膜部材表面を走査型プローブ顕微鏡(SPM)や、SPMの一種である原子間力顕微鏡(AFM)で測定することにより求めることが可能である。
また、上記した成膜方法において、第1の工程で被成膜部材(保持器本体2a)を第1の溶液に接触させるが、その前に予め被成膜部材を洗浄すること等により、被成膜部材表面に付着している異物を除去しておくことが好ましい。
この場合、被成膜部材を第1の溶液に接触させる方法としては、浸漬法、スプレー法、スピンコート法等の一般的な手法が使用できる。浸漬法においては、被成膜部材表面の粗さの奥まで第1の溶液が行き渡るように、超音波を使用したり、溶液中で被成膜部材を動かしたり、或いは、大気圧よりも減圧する等の方法を併用することができる。また、特に第1の溶液に金属の微粒子が含まれている場合は、微粒子が溶液中に均一に分散するように、第1の溶液を攪拌しながら被成膜部材を浸漬することが好ましい。
第1の溶液と被成膜部材とを接触させている時間については、被成膜部材の形状、表面積等により適宜調整できる。また、第1の溶液と被成膜部材とを接触させる際の、第1の溶液の温度は、0℃以上100℃以下であって、接触処理中の変化が少ないことが好ましい。0℃を下回ると、第1の溶液の粘度が高くなり、被成膜部材表面の粗さの奥まで第1の溶液が行き渡り難くなる。100℃を超えると、第1の溶液の成分の蒸発が多くなり、成分比率が変化する虞がある。
なお、被成膜部材表面の一部に撥水撥油膜を形成する場合には、成膜しない部分に予めマスクをしてから上記した成膜方法を実施すればよい。その場合のマスクとしては、各種のレジストが使用できる。
また、上記した成膜方法において、被成膜部材を第1の溶液に所定方法で所定時間接触させた後、速やかに、被成膜部材を第2の溶液に接触させることが好ましい。ここで、被成膜部材を第2の溶液に接触させる前に、被成膜部材表面に付着した液を取り除く工程を設けてもよい。付着した液を取り除く方法としては、遠心力を用いて液切りする方法、清浄エアーや不活性ガスを使用して液切りする方法等が使用できる。なお、被成膜部材表面に固形物を直接接触させる清拭等の方法は好ましくない。
また、被成膜部材を第2の溶液に接触させる方法、温度、時間等の接触条件は、上記した第1の溶液との接触の場合と同様である。
ここで、第2の溶液と接触させた後の被成膜部材を、速やかに、上記した第2の工程の最初の工程である第3の溶液と接触させてもよいが、第2の溶液との接触後に乾燥工程を設けることが好ましい。第2の溶液との接触により、被成膜部材表面に強固な金属酸化物層が形成されているため、一旦乾燥させることで、被成膜部材表面に金属酸化物層をより一層強固に固着させることができる。ただし、乾燥する前に、被成膜部材表面に付着した第2の溶液を取り除くことが好ましい。なお、付着した液を取り除く方法としては、アルコール等による洗浄、或いは、遠心力を用いて液切りする方法、清浄エアーや不活性ガスを使用して液切りする方法等が使用できる。また、これらの方法で、付着した液を取り除いた後、乾燥させるため、加熱することも可能である。好ましくは、50〜100℃程度の温度で数分から数時間保持する。
なお、被成膜部材は、上記した第2の溶液と接触させた後に、上記した第3の溶液と接触させる。この場合、第3の溶液との接触方法、温度、時間等の接触条件は、上記した第1の溶液との接触の場合と同様である。
また、被成膜部材は、上記した第3の溶液と接触させた後に、上記した第4の溶液と接触させる。この場合、第2の工程における第3の溶液及び第4の溶液との接触方法と、第3の溶液との接触から第4の溶液との接触への移行方法、温度、時間等の条件は、上記した第1の溶液との接触から上記した第2の溶液との接触への移行方法及び条件と同様である。
そして、被成膜部材を上記した第4の溶液と接触させることで、保持器本体2a上において金属酸化物層の表面に撥水撥油層が強固に形成された撥水撥油膜2bを有する保持器2(図1(c))を実現することができる。この後、液切り若しくは洗浄工程と、乾燥工程を行うことが好ましい。なお、これらの工程の具体的な方法、温度、時間等の条件は、第2の溶液との接触から第3の溶液との接触への移行方法及び条件と同様である。
2 転がり軸受用保持器
2a 保持器本体
2b 撥水撥油膜
4 内輪
6 外輪
8 転動体

Claims (3)

  1. 軸受内部において複数の転動体を回転自在に保持しながら、これら複数の転動体と共に軸受内部に沿って公転する転がり軸受用保持器であって、
    当該保持器は、全体が合成樹脂材料で形成された保持器本体と、保持器本体の表面に形成された撥水撥油膜とを備えて構成されていることを特徴とする転がり軸受用保持器。
  2. 前記撥水撥油膜は、保持器本体の表面に金属酸化物層を形成し、この金属酸化物層の表面に撥水撥油層を形成して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
  3. 前記保持器本体は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンを重縮合させて作られるポリアミド系樹脂、又は、アジピン酸とジアミノブタンを重縮合させて作られるポリアミド系樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の転がり軸受用保持器。
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