JP2010190038A - 既製杭の接合方法、既製杭の接合金物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接やボルト締め、上下杭の位置合わせ作業を不要として、上下杭の接合作業を簡略化かつ確実化する。特に大口径杭の接合に適する。
【解決手段】上杭27Bに嵌合凸部7を有する円形断面の第1接合金物1を固定し、下杭27Aに嵌合凹部12取付ける円形断面の第2接合金物12を固定する(a)。杭孔31内に下杭27Aを埋設し、上方から下杭27Bを下降する(a)。嵌合凸部7と嵌合凹部12とが嵌合することにより、断面半円形の環状溝10と環状溝21とが対向して、断面円形の環状孔25が形成される(b)。第2接合金物12の導入孔23連結棒34を挿入し(c)、環状孔25内に密着挿入して上下杭27A、27Bの接合を固定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、主にコンクリート系の既製杭で、既製杭を連結して所定深度の杭孔に対応した連結既製杭を構成するために用いる既製杭の接合方法、及びこの接合方法に使用する既製杭の接合金物に関する。
コンクリート系の基礎杭では、使用する既製杭は上下に鋼板製の端板を取り付けてあり、上下の既製杭の端板を付け合わせて、重ねて、端板を利用して接合していた。
一般的には、付け合わせた端板の当接面を溶接して、上下の既製杭を接合していた。この方法は、長年使用されているので、評価が固まっており、かつ安価にできるので、今まで多く採用されていた(非特許文献1)。
しかし、溶接による方法では、溶接作業者の技能と経験により、溶接品質のばらつきがあり、施工管理が煩雑となる問題点があった。また、溶接は天候により施工条件が左右し、工期が伸びる要因の一つになっていた。
そこで、このような溶接の不都合を解消するために、種々の機械的な継手が提案されていた。例えば、端板の外周側にねじ孔を形成し、上下端板の外周側に、円弧状の接続片を並べて、接続片からボルトを、ねじ孔に螺合緊結して、上下杭を接続片を介して、一体に接続する方法も提案されていた(特許文献1)。
特開2000−328556号公報 財団法人土質工学会 杭基礎の設計法とその解説 1985年12月20日 615〜617頁
前記従来の端板の外周に接続片を当てて、外周側からボルトを締める方法では、確実に接合できるが、接続片及びボルトの頭部が多少外周側に突出する問題点があった。また、外径120cmを越えるような大径の既製杭の場合、接続片の材厚を厚くし、更に、ボルトの本数を多くする必要があり、取付作業が煩雑となる問題点があった。
然るにこの発明は、貫通孔片を有する接合端部を重ねて、貫通孔を形成して、貫通孔内に穴埋め部材を密着挿入したので、前記問題点を解決した。
即ちこの発明は、上杭と下杭とを接合部で接合する円形断面の既製杭の接合方法であって、前記上杭及び下杭の内周面側及び外周面側のいずれの面にも突出する部分を生じさせないで、以下の工程で接合することを特徴とする既製杭の接合方法である。
(1) 上下一方の杭の接合端部で、基部に、該基部より縮径した筒状の嵌合凸部を形成して第1嵌合部を形成し、前記嵌合凸部の外周面に第1貫通孔片を形成する。
上下他方の杭の接合端部に、内周面に第2貫通孔片を有する嵌合凹部を形成し、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とを嵌合可能に形成する。前記両嵌合部は、同一の外径D及び同一の内径Dを有する。
(2) 前記下杭に、上杭を重ね、前記第1嵌合部と第2嵌合部とを嵌合し、前記第1嵌合部の基部の接合面に前記嵌合凹部の先端の接合面を当接し、前記嵌合凹部の底面に前記嵌合凸部の先端面を当接する。
(3) 前記第1嵌合部と第2嵌合部とを嵌合することにより、前記第1貫通孔片と第2貫通孔片とが協働して、貫通孔を形成する。
(4) 前記嵌合凹部に、前記貫通孔に連通し、かつ貫通孔から嵌合凹部の接線方向で外方に貫通する導入孔が形成され、該導入孔から穴埋め部材を挿入して、前記貫通孔に該穴埋め部材を密着挿入する。
また、他の発明は、上杭と下杭とを接合部で接合する円形断面の既製杭の接合方法であって、前記上杭及び下杭の内周面側及び外周面側のいずれの面にも突出する部分を生じさせないで、以下の工程で接合することを特徴とする既製杭の接合方法である。
(1) 前記上下一方の杭の接合端部で、基部に、該基部より縮径した筒状の嵌合凸部を形成し、該嵌合凸部の外周に第1環状溝を形成した第1嵌合部を形成する。
前記他方の杭の接合端部に、前記嵌合凸部と嵌合できる嵌合凹部を形成し、該嵌合凹部の内周に、前記第1環状溝に対応した第2環状溝を形成する。
前記一方の環状溝に、径を変化させて該環状溝から出没できる弾性リングを取付る。
(2) 前記下杭に、上杭を重ね、前記嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌合開始すると、前記弾性リングは、前記他方の嵌合部の表面に当接して、一方の環状溝に収容される。
(3) 嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合完了した状態で、前記両環状溝は一致となり貫通孔を形成し、前記基部の接合面に前記嵌合凹部の先端の接合面を当接し、前記嵌合凹部の底面に前記嵌合凸部の先端面を当接する。
(4) 前記弾性リングは、前記一方の環状溝から突出した一部が、前記他方の環状溝内に位置し、前記貫通孔内に密着挿入される。
また、接合金物の発明は、円形断面の上杭に固定できる筒状の基部を有する第1接合金物と、円形断面の下杭に固定できる筒状の基部を有する第2接合金物とからから構成され、前記上杭と前記下杭とを接合するための接合金物であって、前記上杭及び下杭の内周面側及び外周面側のいずれの面にも突出する部分を生じさせないで接合でき、以下の特徴を有する既製杭の接合金物である。
(1) 前記第1接合金物は、前記基部に、その基部より縮径した筒状の嵌合凸部を連設してなり、該嵌合凸部の外周側に第1環状溝を形成する。
(2) 前記第2接合金物は、前記基部に、前記第1接合金物の嵌合凸を嵌挿できる嵌合凹部を連設してなる。前記第2嵌合凹部の内周側に、前記第1環状溝と対向して、協働して環状の貫通孔を形成できる第2環状溝を形成した。前記第2嵌合凹部に、前記第2環状溝に連通し、前記嵌合凹部の外周側に、接線方向に開口する導入孔を形成した。
(3) 前記両嵌合部は、同一の外径D及び同一の内径Dを有する。前記第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合した際に、前記第1嵌合部の基部の接合面に前記嵌合凹部の先端の接合面を当接し、前記嵌合凹部の底面に前記嵌合凸部の先端面を当接するように、前記第1嵌合部と第2嵌合部を構成する。
更に、他の接合金物の発明は、円形断面の上杭に固定できる筒状の基部を有する第1接合金物と、円形断面の下杭に固定できる筒状の基部を有する第2接合金物とからから構成され、前記上杭と前記下杭とを接合するための接合金物であって、前記上杭及び下杭の内周面側及び外周面側のいずれの面にも突出する部分を生じさせないで接合でき、以下の特徴を有する既製杭の接合金物である。
(1) 前記第1接合金物は、前記基部に、その基部より縮径した筒状の嵌合凸部を連設してなり、該嵌合凸部の外周側に第1環状溝を形成する。
(2) 前記第2接合金物は、前記基部に、前記第1接合金物の嵌合凸を嵌挿できる嵌合凹部を連設してなる。前記第2嵌合凹部の内周側に、前記第1環状溝と対向して、協働して環状の貫通孔を形成できる第2環状溝を形成した。
(3) 前記第1環状溝又は第2環状溝の一方に、弾性リングを取り付け、通常状態で、前記弾性リングは前記一方の環状溝から突出し、押圧状態で、前記弾性リングは環状溝内に収容できるように形成した。
(4) 前記嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合した際に、前記基部の接合面に前記嵌合凹部の先端の接合面を当接し、前記嵌合凹部の底面に前記嵌合凸部の先端面を当接するように、前記嵌合凹部及び嵌合凸部を形成した。
前記における穴埋め部材の挿入は、押し入れ、押し込み、引き抜き等いずれの方法によっても可能である。
また、前記における穴埋め部材と貫通孔片(環状溝)との大きさの好ましい関係は、
(1)上下杭の各々の嵌合部を互いに嵌合させた後に、いわゆる事後に穴埋め部材を取り付ける場合には、第1第2各嵌合部の貫通孔片(環状溝)の断面形状が、穴埋め部材の半断面と略同一の形状寸法で、比較的変形し易い穴埋め部材の場合には環状溝の断面形状が小さい方が密着・固着性の点から望ましい。しかし、剛性の強い高強度の穴埋め部材の場合には、変形し難いので、強引に押し込む等して挿入するので、貫通孔片(環状溝)の断面形状が大きく、余裕がある方が装着性が良く、かつ固定性も良好となる。
(2)上下杭を各々の嵌合部を互いに嵌合させる前に、貫通孔片に、環状の穴埋め部材を取り付けておき、縮径しておき、嵌合後に縮径を解除して拡径化させる場合には、穴埋め部材を縮径して、取付ける貫通孔片(環状溝)は、穴埋め部材がちょうど収容できる程度の断面形状寸法を有し、嵌合する相手側の貫通孔片は、穴埋め部材の弾力性が解除・拡径化された時に、その穴埋め部材の判断面分がちょうど収容できる判断面分の寸法形状であることが望ましい。接合強度が最も効率的に実現できるからである。
(1) 一方の既製杭に固定した第1接合金物の第1嵌合部と、他方の既製杭の第2嵌合部を嵌合し、嵌合により形成される貫通孔内に穴埋め部材を密着挿入するので、溶接を使用しないので、熟練した溶接工を不要とし、天候に左右されずに施工ができ、連結工事が確実かつ安定化する。また、上杭を下杭に落とし込めて固定するだけで、両嵌合部が嵌合して、貫通孔が形成されるので、ボルトを使用した従来の方法のように、ボルト孔の位置合わせ、既製杭を回転しての位置合わせなど面倒な調節制御作業を不要にできる。従って、総じて、既製杭の接合作業を簡略化して、工期の短縮に貢献できる。
(2) また、第1第2接合金物間の応力伝達は、密着された貫通孔と穴埋め部材との間で成されるので、隙間がほとんど無い状態で接合され、確実に接合される。貫通孔と穴埋め部材との挿入長さ、あるいは、貫通孔径(即ち貫通孔片の径)、穴埋め部材の太さ等を調節することにより、既製杭の接合強度を容易に調節できるので、各建造物あるいは基礎杭毎に必要な接合強度を容易に設定できる。
また、ボルトでの締付けなど連結材料を使用せず、貫通孔に穴埋め部材を挿入密着するだけで、連結できるので、押し入れ、押し込み、引き抜き等の方法で連結作業ができ、作業を簡略化し、更に経年変化により連結が緩むおそれもない。また、可動部分が無いので、土砂等による汚れ等の影響も少ない。
(3) また、穴埋め部材の挿入は、上下の既製杭の第1第2接合金物を嵌合した後に、行なうので、連結がずれるおそれもない。また、第1第2接合金物を製造する際に、ボルトねじ込みのような高い加工精度も要求されない。
(4) 一方の既製杭に固定した第1接合金物の第1嵌合部と、他方の既製杭の第2嵌合部を嵌合し、嵌合により形成される貫通孔内に穴埋め部材を密着挿入するので、嵌合部の内周側、外周側に突起物が生じない効果がある。従って、接合金物の横断面を、既製杭の横断面と同一に形成すれば、接合金物に既製杭の内周面側、外周面側のいずれの面にも突出する部分が無いので、既製杭の外径に応じた杭孔を掘削すれば、施工計画に影響を与えることが無い。
特に、大径の既製杭の場合には、肉厚も厚いので、本発明は、肉厚内に貫通孔片を形成して、肉厚内で容易に連結できるので、特に大径(例えば120cm以上)の杭の連結に特に有効である。
(5) 接合部の貫通孔を複数箇所に設けて、対応する穴埋め部材も同様に複数箇所に挿入されるので、1つの穴埋め部材が負担する耐力を軽減できるので、それだけ穴埋め部材の断面を小さくできる。従って、穴埋め部材を小さくすることにより、穴埋め部材が変形し易くなり、挿入作業が容易かつ確実にでき、信頼性も向上する。
(1) 上杭27Bに取り付ける第1接合金物1は、固定上面4を有する基部3と、その下側の嵌合凸部(第1嵌合部)7とからなり(図1(a)、図2(a))、嵌合凸部7は、外周面に環状溝(第1貫通孔片)10を有する。また、下杭27Aに取付ける第2接合金物12は、固定下面15を有する基部14と、その上側に、嵌合凸部7と嵌合できる嵌合凹部(第2嵌合部)18とからなり(図1(a)、図2(b))、内周面に、環状溝(第2貫通孔片)21を有する。第1第2接合金物1、12から接合金物を構成する。
(2) 通常の方法により掘削した杭孔31内に、上端に第2接合金物12を固定した既製杭27A(下杭)を埋設し、杭頭部を地面32から突出した状態で保持する(図1(a))。上方から第2接合金物1を固定した既製杭27B(上杭)を下降して(図1(a))、既製杭27Bの第1接合金物1の嵌合凸部7を、既製杭27Aの第2接合金物12の嵌合凹部18に嵌挿する(図1(b))。
この際、第1接合金物1の断面半円形の環状溝10と第2接合金物12の断面半円形の環状溝21とが対向して、環状孔25が形成される。
続いて、第2接合金物12の導入孔23、23から、連結棒(穴埋め部材)34を挿入し(図1(c))、環状孔25内に密着挿入して、上下杭の接合が完了する。
図1、図2に基づきこの発明の接合金物の実施例を説明する。
[1]接合用金物(第1接合金物)1の構成
第1接合金物1は、上杭と同径の外径Dで、上杭の下面と接合できる固定上面4を有するドーナツ状(筒状)の基部3と、その基部3の下側に外径D(D>D)の嵌合凸部(第1嵌合部)7を突設して構成する(図1(a)、図2(a))。基部3と嵌合凸部7の内径は、上杭の内径と同径Dで、連通する中空部5、8を形成してある。
基部3は、下端に、放射方向に向けて下方に傾斜する接合面6を形成してある。
嵌合凸部7は、中間高さに、外周面に沿って、断面半円径(径D)の環状溝(第1貫通孔片)10を形成する。環状溝10は、接合面6の内周縁6aから距離Lの位置に形成する。環状溝10の上下方向の位置は、嵌合凸部7の外側面の上下方向でほぼ中間位置に配置される(即ち、Lが内周縁6aと下端面9とのほぼ中間位置となる)。
[2]接合用金物(第2接合金物)12の構成
第2接合金物12は、第1接合金物1と同じ外径Dで、下杭の上面と接合できるの固定下面15を有する基部14と、その基部14の上側に、嵌合凸部7と嵌合できる内径Dの嵌合凹部(第2嵌合部)18を突設して構成する(図1(a)、図2(b))。基部14の内径は下杭の内径と同径Dで、基部14の中空部16及び嵌合凹部18の中空部19は、下杭の中空部30と連通する。
嵌合凹部18の上面に、第1接合金物12の接合面6と同じ傾斜で放射方向に向けて下方に傾斜し、接合面6と重なるように、接合面20を形成する。嵌合凹部18は、中間高さに、内周面に沿って、断面半円径(径D)の環状溝(第2貫通孔片)21を形成する。第1接合金物1の環状溝10と同様に、環状溝21は、接合面の内周縁20aから距離Lの位置に形成してある。
嵌合凹部18には、環状溝21に連通し、環状溝21から接線方向に外方に貫通する導入孔23を形成する。導入孔23は、径Dの円形断面に形成する。
[3]接合金物
この発明の接合金物は、互いに嵌合する嵌合凸部7を有する第1接合金物1と、嵌合凹部18を有する第2接合金物12とから構成する。両接合金物1、12を接合して、嵌合凸部7と嵌合凹部18とが嵌合すると、両環状溝10、21が対向して、環状孔(貫通孔)25を形成する。
[4]他の実施例
(1) 前記実施例において、第2接合金物12を下杭に、第1接合金物1を上杭に適用したが、逆に、第1接合金物1を下杭に、第2接合金物12を上杭に適用することもできる(図示していない)
(2) 同径の上下杭を接合する接合金物について説明したが、既製杭の径が異なる場合に、互いに嵌合する嵌合凸部7の外径と嵌合凹部18の内径とが同径であれば、基部3、14の径は、既製杭の端板の径に合わせて拡径又は縮径することもできる(図示していない)。
(3) 導入孔23は、環状溝片21の接線方向に直線で形成したが、接線方向で環状溝21より緩やかな(半径が大きい)円弧状に形成することもできる(図示していない)。また、導入孔23は3つ形成したが、少なくとも1つ有れば良い(図示していない)。
いない)。
(4) 前記実施例において、環状溝10、21は1つづつ形成したが、例えば、上下方向等に2つ以上形成することもできる(図示していない)。この場合には、数に応じて接合強度を高めることができ、求める接合強度を容易に調節できる。
次に、前記実施例1の接合金物を使用した既製杭の埋設方法について説明する。
[1]既製杭の構成
(1) 中間部に位置する既製杭27は、下面に第1接合金物1の固定上面4を合わせて、重ねた外周側を溶接する。また、既製杭27の上端面29に第2接合金物12の固定下面15を合わせて、重ねた外周側を溶接する。
また、最下段の既製杭27は、上端面29に第2接合金物12のみを固定する。最上段の既製杭27は、下端面28に第1接合金物1のみを固定する。
(2) 前記において、接合金物1、12と既製杭27との固定は、予めフランジ、ねじ穴等を形成して、ボルト等で固定することもできる(図示していない)。
また、これらの接合金物1、12との固定作業は、基礎杭の施行現場でも、既製杭の製造現場(工場)でもいずれでも可能である。
また、接合金物1、12を予め端板と一体に形成することもできる(図示していない)。この場合には、既製杭を製造する際に、端板兼用の接合金物1、12を型枠に設置して既製杭用の配筋(PC鋼棒や構造鉄筋等)と連結して、通常の方法で既製杭を製造する。
[2]接合方法
(1) 所定の外径の杭孔31を、通常の方法により掘削して造成する。
(2) 最下段の既製杭27A(下杭)を杭孔31内に埋設し、杭頭部を地面32から突出した状態で、通常の方法により保持する(図1(a))。
(3) 続いて、上方から次の既製杭27B(中間部に位置する既製杭。既製杭27Aとの関係では上杭)を下降して(図1(a))、既製杭27Bの第1接合金物1の嵌合凸部7を、既製杭27Aの第2接合金物12の嵌合凹部18に嵌挿する(図1(b))。第1接合金物1の下端面9が、第2接合金物12の基部14の上面17(嵌合凹部18の底)に当接して、接合面6と接合面20とが当接し、その内周縁6a、20aが当接して、両接合して装着され、全体が密着する。
また、第1接合金物1の断面半円形の環状溝10と第2接合金物12の断面半円形の環状溝21とが対向して、外径Dの断面略円形の環状孔25が形成される。第2接合金物の導入孔23は、環状孔25に連通する(図1(b)、図1(c))。
(4) 続いて、第2接合金物12の3箇所の各導入孔23、23から、連結棒(穴埋め部材)34を矢示方向に挿入する(図1(c))。連結棒34は多少の柔軟性を有する鋼材からなり、打ち込むことにより、環状孔25の約「3分の1」周分に密着嵌挿される(図1(d))。連結棒34、34を挿入する際に、各種治具により、押し込み、または打ち込んで、あるいは、先端に予備ワイヤー等を付けて引き抜き等して、連結棒34を環状孔25内に密着挿入する。尚、導入孔23の部分に、連結棒34を挿入して固定する方が、連結棒34の抜け等も容易に確認でき、挿入状態のチャックにも便利である。
ここで、連結棒34の挿入作業は、既製杭27Aの第2連結金物12側の導入孔23、23から行い、環状溝10は回転対称(軸対称)に形成されており、第2接合金物12と第1連結金物1の相対位置は任意であるので、従来の接合金物のような既製杭27(上杭)Bを回動して位置合わせをする等の調節作業が省略できる。
また、環状溝10、21の溝寸法は(形状・大きさ)は両者がほぼ同一であることが、接合力の確実性、安定性の観点から望ましい。
また、連結棒34は、環状孔25に沿って嵌挿できるような若干の柔軟性と、上下既製杭27A、27Bに押し込み力又は引抜力が生じた場合に、せん断力に抗して既製杭27A、27Bの接合を保持できる強度を要する。
(5) 続いて、既製杭27Aの保持を解除して、連結した既製杭27A、27Bを下降する。この際、接合金物1、12は、既製杭27A、27Bから外方に突出しないので、既製杭27A、27Bの埋設作業に影響を与えることがなく、掘削する杭孔も通常の既製杭の外径に対応した杭孔径で良い。
以下、同様に、既製杭27Bを、その杭頭部を地面32から出した状態で、保持する。同様に、その上方に既製杭を連結する(図示していない)。以下順に既製杭を接合しながら埋設して、基礎杭構造を構成する。
[3]他の実施例
(1) 前記実施例において、連結棒34は環状孔25の「3分の1」周程度に挿入したが、求める接合強度が小さい場合には、「4分の1」周程度等、短い連結棒34を使用することもできる(図示していない)。
(2) また、前記実施例では、先掘工法について説明したが、連結する既製杭27A、27Bでは、中空部30、30は径Dで形成され、接合金物1、12の中空部5、8、16、19もDで形成されるので、連結による突起物等が内方にも生じないので、掘削ロッドの挿通が容易となり、中掘工法においても使用することができる(図示していない)。
次に図3、図4に基づきこの発明の他の実施例を説明する。
[1]接合用金物(第1、第2接合金物)1、12の構成
(1) 第1接合金物1は、既製杭(上杭)27Bの外径と同径のD、内径(中空部径)と同径のDで、既製杭(上杭)27Bの下端面28と接合できる固定上面4を有するドーナツ状(筒状)の基部3と、基部3の下面側に、嵌合凸部36と嵌合凹部38とを交互に形成して構成する(図3(a)(d))。
嵌合凸部36は、全周を円周方向に12等分して、嵌合凸部36、嵌合凹部38を交互に形成してある。
各嵌合凸部36の先端面(下面)37は、中心に向けて上がり勾配に傾斜して形成され、嵌合凹部38の底面(基部3の下面)39は中心に向けて下がり勾配に傾斜して形成され、両面での応力の伝搬がバランス良くなされるように形成ている(図3(a))。
前記において、連続する嵌合凸部36、嵌合凹部38から第1嵌合部51を構成する(図3(a))。
(2) 第2接合金物12も、第1接合金物1とほぼ同一外形状である。即ち、既製杭(下杭)27Aの外径と同径のD、内径(中空部径)と同径のDで、既製杭(下杭)27Aの上端面29と接合できる固定下面15を有するドーナツ状(筒状)の基部14と、基部14の上面側に、嵌合凸部42と嵌合凹部44を交互に形成して構成する(図3(a)(c))。
嵌合凸部42は、第1接合金物1の嵌合凸部36と同じで、全周を円周方向に12等分して、嵌合凸部42、嵌合凹部44を交互に形成してある。各嵌合凸部42の先端面(上面)43は、中心に向けて下がり勾配に傾斜して形成され、嵌合凹部44の底面(基部の上面)45は中心に向けて上がり勾配に傾斜して形成されている。
前記において、連続する嵌合凸部42、嵌合凹部44から第2嵌合部52を構成する(図3(a))。
(3) 第2接合金物12の一の嵌合凸部42A、42Aから一側に隣接する嵌合凸部42B、42Bに向けて、水平方向の貫通孔片46A、46Bを形成する。貫通孔片46A、46Bは、直線上に配置される。一の嵌合凸部42A、42Aは直径対称な位置に配置されている。嵌合凸部42A、42Aの両貫通孔片46A、46Aの交点付近に導入孔47を形成する(図3(c))。接合部に作用する応力をバランス良く伝搬するために、接合突部42A、42B等は直径対称でかつ回転対称に形成されている。
また、第1接合金物1で、前記第2嵌合金物12の貫通孔片46A、46Bを形成した嵌合凸部42A、42B間の嵌合凹部44Aに嵌挿される嵌合凸部36Aに、貫通孔片46A、46Bと直線上に連通する貫通孔片40を形成する(図3(d))。
(4) この発明の接合金物は、互いに嵌合する第1嵌合部51(嵌合凸部36、嵌合凹部38)を有する第1接合金物と、第2嵌合部52(嵌合凸部42、嵌合凹部44)を有する
第2接合金物12とから構成する。第1接合金物1と第2接合金物12とを、嵌合凸部36と嵌合凹部44とを嵌合させて、嵌合凹部38と嵌合凸部42とが嵌合すると、貫通孔片40、46A、46Bが連通して、貫通孔49を形成する(図4(a))。
[2]既製杭27、27の接合方法
(1) 前記実施例2と同様に、中間部に位置する既製杭27は、下端面28に第1接合金物1の固定上面4を合わせて、重ねた外周側を溶接あるいはボルト等で固定する。また、既製杭27の上端面29に第2接合金物12の固定下面15を合わせて、重ねた外周側を溶接あるいはボルト等で固定する。また、最下段の既製杭27は、上端面4に第2接合金物12のみを固定する。最上段の既製杭27は、下端面28に第1接合金物1のみを固定する。
(2) 前記実施例と同様に、杭孔31内に杭頭部を地面から突出した状態で、通常の方法により既製杭(下杭)27Aを保持する(図3(a))。続いて、上方から次の既製杭(上杭)27Bを下降して(図3(a))、既製杭27Bの第1接合金物1の第1接合部51を、既製杭27Aの第2接合金物12の第2接合部52を重ねて、接合凸部36と嵌合凹部44と、嵌合凹部38と嵌合凸部42とを、互いに嵌合する(図3(b))。この際、第1接合金物1の嵌合凸部36の先端面37が、第2接合金物12の嵌合凹部44の底(基部の上面)45に当接して、また、第1接合金物1の嵌合凹部38の底面39が、第2接合金物12の嵌合凸部42の先端面43に当接して、全体が密着する。
また、第1接合金物1の貫通孔片40と第2接合金物12の貫通孔片46A、46Bとが直線上に連通して、貫通孔49を形成する(図4(a))。
(4) 続いて、第2接合金物12の導入孔47から、矢示方向に連結棒34を挿入する(図4(a))。連結棒34は剛性を有する鋼材からなり、押し込み又は打ち込に、あるいは引出用の予備ワイヤーを付して引き抜きすること等により、第2接合金物12の貫通孔片46A、隣接する嵌合凸部36Aの貫通孔40を貫通して、嵌合凸部42Bの貫通孔片46Bまで到達し、貫通孔49内に嵌挿される(図4(b))。また、連結棒34は、上下既製杭27A、27Bに引抜力又は水平力が作用した場合に、生じる各応力に抗して既製杭27A、27Bの接合を保持できる強度を要する。
[3]他の実施例
前記実施例において、貫通孔49(貫通孔片40、46A、46B)及びこれに嵌挿される連結棒34を直線状に形成したが、曲線状に形成することもできる(図5)。この場合、貫通孔49を、水平面で外方に向けて凸となるように(外周又は内周の円に沿って)円弧状に形成する(図5(a))。このように、貫通孔49及び連結棒34を円弧状に形成することにより、貫通孔49に嵌挿した連結棒34が抜けるおそれが無く、安定した結合力が維持できる。
次にこの発明の他の実施例を説明する。前記実施例1〜3では、連結棒34を既製杭27A、27Bを連結した後、即ち嵌合凸部7と嵌合凹部18とを嵌合した後に形成された環状孔25、49に連結棒を嵌挿したが、予め一方の環状孔片に連結棒を取り付けておく実施例である(図6〜図10)。
[1]接合金物(第1接合金物)1の構成
(1) 第1接合金物1は、上杭と同径の外径Dで、上杭の下面と接合できる固定上面4を有するドーナツ状(筒状)の基部3と、その基部3の下側に外径D(D>D)の嵌合凸部(第1嵌合部)7を突設して構成する(図6(a)、図7)。基部3と嵌合凸部7の内径は、上杭の内径と同径Dで、連通する中空部5、8を形成してある。
基部3は、下端に、放射方向に向けて下方に傾斜する接合面6を形成してある。
嵌合凸部7は、その外側面の中間高さで、その外周面に沿って、断面半円径(径D)で開口側を深く形成した環状溝(第1貫通孔片)10を形成する。従って、環状溝10の断面は、開口側の長方形部分10aと底側の半円形部分10bとからなり(図8)、環状溝10は、径Dの連結棒34が収容される大きさとなっていれば良い(図6、図7、図8(b))。
また、環状溝10は、接合面6の内周縁6aから距離Lの位置に形成し、内周縁6aから下端面9迄の距離のほぼ中間に位置している。
(2) 環状溝10に、環状の一部を切断した形状の連結棒(弾性リング)34を取付ける。
連結棒34は、環状溝(第1貫通孔片)10にちょうど収容できる形状寸法かつ断面が径Dの円形である環状の棒材を、所定長さ寸法に切断して、構成する。連結棒34は、通常位置で、外径がDより大きく内径がDより小さくなるように形成されている。また、連結棒34は、切断位置に間隙部35が形成されるので(図7)、弾性を保って縮径可能であり、縮径した状態で、外径はDより小さくなり、環状溝10内に収容できる。
[2]接合金物(第2接合金物)12の構成
第2接合金物12は、第1接合金物1と同じ外径Dで、下杭の上面と接合できる固定下面15を有する基部14と、その基部14の上側に、嵌合凸部7と嵌合できる内径Dの嵌合凹部(第2嵌合部)18を突設して構成する(図6(a))。基部14の内径は下杭の内径と同径Dで、基部14の中空部16及び嵌合凹部18の中空部19は、下杭の中空部30と連通する。
嵌合凹部18の上面に、第1接合金物1の接合面6と同じ傾斜で放射方向に向けて下方に傾斜し、接合面6と重なるように、接合面20を形成する。嵌合凹部18は、中間高さに、内周面に沿って、断面半円径(径D)の環状溝(第2貫通孔片)21を形成する。環状溝21は、第1嵌合部1の環状溝10と同様の寸法に形成され、接合面の内周縁20aから距離Lの位置に形成してある。
[3]接合金物
この発明の接合金物は、互いに嵌合する嵌合凸部7を有する第1接合金物1と、嵌合凹部18を有する第2接合金物12とから構成する。両接合金物1、12を接合して、嵌合凸部7と嵌合凹部18とが嵌合すると、両環状溝10、21が対向して、環状孔(貫通孔)25を形成する。
[4]既製杭の構成
(1) 中間部に位置する既製杭27は、下面に第1接合金物1の固定上面4を合わせて、重ねた外周側を溶接する。また、既製杭27の上端面29に第2接合金物12の固定下面15を合わせて、重ねた外周側を溶接する。
また、最下段の既製杭27は、上端面29に第2接合金物12のみを固定する。最上段の既製杭27は、下端面28に第1接合金物1のみを固定する。
(2) 前記において、接合金物1、12と既製杭27との固定は、予めフランジ、ねじ穴等を形成して、ボルト等で固定することもできる(図示していない)。
また、これらの接合金物1、12との固定作業は、基礎杭の施行現場でも、既製杭の製造現場(工場)でもいずれでも可能である。
また、接合金物1、12を予め端板と一体に形成することもできる(図示していない)。この場合には、既製杭を製造する際に、端板兼用の接合金物1、12を型枠に設置して既製杭用の配筋(PC鋼棒や構造鉄筋等)と連結して、通常の方法で既製杭を製造する。
[5]接合方法
(1) 所定の外径の杭孔31を、通常の方法により掘削して造成する。
(2) 最下段の既製杭27A(下杭)を杭孔31内に埋設し、杭頭部を地面32から突出した状態で、通常の方法により保持する(図6(a))。
(3) 続いて、上方から次の既製杭27B(中間部に位置する既製杭。既製杭27Aとの関係では上杭)を下降する(図6(a))。この状態で、連結棒34の外周側が嵌合凸部7の外周面7aから突出し、内周側が環状溝10内に収容されている(図6(a)、図8(a))。
続いて、既製杭27Bを下降すれば、既製杭27Bの第1接合金物1の嵌合凸部7を、既製杭27Aの第2接合金物12の嵌合凹部18に挿入する。この際、嵌合凸部7の外周面7aが、環状凹部18の内周面18aが当接し、環状溝10に取り付けた連結棒34は、環状凹部18の内周面18aにより押圧されて縮径して、環状溝10内に収容される(図8(b))。
(4) 更に既製杭27Bの下降を続けると、連結棒34は、嵌合凹部18の環状溝21に至り、弾性復原力により拡径して、外周側34aが環状溝21内に嵌挿される(図8(c))。同時に、第1接合金物1の下端面9が、第2接合金物12の基部14の上面17(嵌合凹部18の底)に当接して、接合面6と接合面20とが当接し、その内周縁6a、20aが当接して、全体が密着し、第1接合金物1と第2接合金物12とが連結される。
また、第1接合金物1の環状溝10と第2接合金物12の環状溝21とが対向して、環状孔25が形成される(図6(b)。
この際、従来の接合金物のような既製杭27(上杭)Bを回動してボルト孔の位置合わせをする等の複雑な調節作業を省略でき、上側の既製杭27Bを落とし込め固定するだけで、容易に接合作業ができる。
(5) 続いて、既製杭27Aの保持を解除して、連結した既製杭27A、27Bを下降する。この際、接合金物1、12は、既製杭27A、27Bから外方に突出しないので、既製杭27A、27Bの埋設作業に影響を与えることがなく、掘削する杭孔も通常の既製杭の外径に対応した杭孔径で良い。
以下、同様に、既製杭27Bを、その杭頭部を地面32から出した状態で、保持する。同様に、その上方に既製杭を連結する(図示していない)。以下順に既製杭を接合しながら埋設して、基礎杭構造を構成する。
[6]他の実施例
(1) また、前記実施例において、嵌合凹部18の環状溝21から外周面に開口する操作孔(導入孔)54を形成することもできる(図6(a)鎖線図示54)。この操作孔54に対応させて、連結棒34の間隙35を位置させれば、操作孔54から連結棒34を押圧等して、縮径して、一旦嵌合した嵌合凸部7と嵌合凹部18の嵌合を解くこともできる。
(2) 前記実施例において、環状溝10、連結棒34は1組形成したが、上下に多数段に配置することもできる。この場合、各環状溝10、連結棒34の径を違えることもできる。 例えば3段に形成し、嵌合凸部7に上から順に「径D41の環状溝10A、連結棒34A」「径D42の環状溝10B、連結棒34B」「径D43の環状溝10C、連結棒34C」を形成する。これに対応して、嵌合凹部18に上から順に「径D41の環状溝21A」「径D42の環状溝21B」「径D43の環状溝21C」を形成する(図9(a)。この場合、D41<D42<D43 としてある。各環状溝10、連結棒34、環状溝21の構造は前記同様である。
従って、第2接合金物を取り付けた既製杭27A上方から、第1接合金物1を取り付けた既製杭27Bを下降させた場合、嵌合凸部7が嵌合凹部18に挿入され、まず連結棒34Cが、嵌合凹部18の環状溝21A、21Bと対応するが、D41<D42<D43 であるので、連結棒34Cは環状溝21A、21Bを通過する。同様に、連結棒34Bも環状溝21Aを通過できる。更に既製杭27Bを下降させると、連結棒34A、34B、34Cは夫々、拡大して、環状溝21A、21B、21Cに嵌挿され、嵌合凸部7と嵌合凹部18とが嵌合して、既製杭27A、27Bの接合が完了する(図9(b))。
この場合には、3つの連結棒34A、34B、34Cにより分割して連結が保たれるので、1つの連結棒34での負担が軽減され、接合強度を高めることができる。また、同じ接合強度であれば、各連結棒34の径D41、D42、D43を小さくできる。
また、この場合には、比較的小径の連結棒34は変形し易いので、環状溝内での密着性が良いため、接合部のがたつきを防止する機能を担わせ、比較的大径の連結棒34に大応力を負担する機能を担わせる等、連結棒34を使い分けることが有効である。
(3) 前記(2) の場合で、更に、環状溝10A、10B、10Cを設けた嵌合凸部の外径Dとしたが、対応した外径を変化させ、段々状に形成することもできる。
この場合、嵌合凸部7に上から順に「外径D31の外周面に、径D41の環状溝10A、連結棒34A」「外径D32の外周面に径D42の環状溝10B、連結棒34B」「外径D33の外周面に径D43の環状溝10C、連結棒34C」を形成する。これに対応して、嵌合凹部18に上から順に「径D31の内周面に、径D41の環状溝21A」「径D32の内周面に、径D42の環状溝21B」「径D33の内周面に、径D43の環状溝21C」を形成する(図10(a))。この場合、D31>D32>D33 としてあり、嵌合凸部7は下方に向けて縮径し、嵌合凹部も下方に向けて縮径した形状に形成される。
このように形成した場合には、挿入する際に、環状凸部7の連結棒34Cは、環状凹部18の環状溝21B、21Aに当接することなく、環状溝21Cに至るので、また、連結棒34Bも環状溝21Aに当接することなく環状溝21Bに至るので、連結作業をスムースに行うことができる。また、各環状溝10、21の径(即ち、各連結棒34の径)を独立に設定できるので、設計の自由度を拡大できる。
(4) また、前記実施例において、施工中、嵌合凸部7、嵌合凹部18に粉塵が付着することを防止するために、夫々カバー56、57を取付けることもできる(図6(a)鎖線図示)。カバー56、57は連結作業時に取り外す。
(5) また、前記実施例において、連結棒34は、嵌合凸部7の環状溝10に予め嵌挿したので、掘削泥土が付着することが少なく好ましいが、嵌合凹部18の環状溝21に予め嵌挿することもできる(図示していない)。
(6) また、前記実施例(実施例4)は、連結棒34(穴埋め部材)を拡径、縮径して第1接合金物1の嵌合凸部7と第2接合金物12の嵌合凹部18との間に位置させるため、装着後に連棒34が移動又は変形して接合が緩み、いわゆるがたつきが生じる場合もあり得る。従って、前記実施例において、これを防止して、より確実かつ安定した接合を実現するために、接合棒34を嵌合溝10又は嵌合溝21内に固定することもできる(図示していない)。
例えば、環状溝10及び/又は環状溝21で、環状の連結棒34の一端の位置に突起(例えば、ナイフ状)を形成することができる。この場合には、連結棒34の縮径が解除され、連結棒が環状溝21内に収容され、上下杭の接合された状態で、連結棒を取り付けてある側、即ち突起を形成した環状溝10、21のある側の第1又は第2接合金物を若干回転して、連結棒34を回転方向に強引に押し付け、押さえ込み、加え込むように固定して連結棒34を塑性変形させる。従って、ロックされた状態となり、接合部のがたつきがなくなり、環状溝10、21内で連結棒34は確実に固着され、かつ経時変化の無い安定した固定を実現できる。
また、前記のような押し付けにより、連結棒34を縮径、取付の解除、拡径とを併せて、そのまま更に回転して、ねじ込み押し付け、同様に、ロックして連続して固着させることも可能である。
また、環状溝10、21を螺旋状に形成しておくこともでき、この場合には、ボルト締めと同様に、少し連結棒34をねじ込むだけで、容易に接合が固定され、接合が安定する。この接合を、確実かつ安定化する前記方法、即ち、連結棒34の縮径・解除と押し付け・固着は環状溝10、21に変形させ、同様に実現できる。
(7) その他の他の実施例は前記実施例1と同様である。
この発明の実施例で、(a)は接合前の上下既製杭の縦断面図、(b)は接合後の上下既製杭の縦断面図、(c)(d)は図1(b)のC−C線における断面図で、(c)は連結棒の取付前、(d)は同じく連結棒の取付後を夫々表す。 (a)は図1(a)のA−A線における断面図、(b)は図1(a)のB−B線における断面図である。 この発明の実施例3で、(a)は接合前の上下既製杭の縦断面図、(b)は接合後の上下既製杭の縦断面図、(c)は図3(a)のD−D線における断面図、(d)は図3(a)のE−E線における断面図を表す。 同じく図3(b)のF−F線における拡大断面図で、(a)は連結棒を取付前、(b)は連結棒の取付後を夫々表す。 同じく貫通孔を曲線状に形成した実施例で、図3(b)のF−F線における拡大断面図で、(a)は連結棒を取付前、(b)は連結棒の取付後を夫々表す。 この発明の実施例4で、(a)は接合前の上下既製杭の縦断面図、(b)は接合後の上下既製杭の縦断面図を夫々表す。 図6のG−G線における拡大断面図である。 同じく実施例4で、第1第2接合金物の嵌合過程を表す概略した一部縦断面図で、(a)は嵌合前、(b)は嵌合中、(c)は嵌合完了後を夫々表す。 同じく実施例4の他の例で、(a)は接合前の上下既製杭の縦断面図、(b)は接合後の上下既製杭の縦断面図を夫々表す。 同じく実施例4の他の例で、(a)は接合前の上下既製杭の縦断面図、(b)は接合後の上下既製杭の縦断面図を夫々表す。
1 第1接合金物
3 基部(第1接合金物)
4 固定上面(第1接合金物)
5 基部の中空部(第1接合金物)
6 基部の接合面(第1接合金物)
7 嵌合凸部(第1接合金物)
7a 嵌合凸部の外側面
8 中空部(第1接合金物)
10 環状溝(第1接合金物)
12 第2接合金物
14 基部(第2接合金物)
15 固定下面(第2接合金物)
16 基部の中空部(第2接合金物)
17 基部の上面(第2接合金物)
18 嵌合凹部(第2接合金物)
18a 嵌合凹部の内側面
19 嵌合凹部の中空部(第2接合金物)
20 接合面(第2接合金物)
21 環状溝(第2接合金物)
23 導入孔
25 環状孔
27、27A、27B 既製杭
28 既製杭の下端面
29 既製杭の上端面
30 既製杭の中空部
31 杭孔
32 地面
34 連結棒
34a 連結棒の外周側
34b 連結棒の内周側
35 連結棒の間隙
36、36A 嵌合凸部(第1接合金物)
38 嵌合凹部(第1接合金物)
40 貫通孔片(第1接合金物)
42、42A、42B 嵌合凸部(第2接合金物)
44 嵌合凹部(第2接合金物)
46 貫通孔片(第2接合金物)
47 導入孔
49 貫通孔
51 第1嵌合部(第1接合金物)
52 第2嵌合部(第2接合金物)
54 操作孔

Claims (4)

  1. 上杭と下杭とを接合部で接合する円形断面の既製杭の接合方法であって、前記上杭及び下杭の内周面側及び外周面側のいずれの面にも突出する部分を生じさせないで、以下の工程で接合することを特徴とする既製杭の接合方法。
    (1) 上下一方の杭の接合端部で、基部に、該基部より縮径した筒状の嵌合凸部を形成して第1嵌合部を形成し、前記嵌合凸部の外周面に第1貫通孔片を形成する。
    上下他方の杭の接合端部に、内周面に第2貫通孔片を有する嵌合凹部を形成し、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とを嵌合可能に形成する。前記両嵌合部は、同一の外径D及び同一の内径Dを有する。
    (2) 前記下杭に、上杭を重ね、前記第1嵌合部と第2嵌合部とを嵌合し、前記第1嵌合部の基部の接合面に前記嵌合凹部の先端の接合面を当接し、前記嵌合凹部の底面に前記嵌合凸部の先端面を当接する。
    (3) 前記第1嵌合部と第2嵌合部とを嵌合することにより、前記第1貫通孔片と第2貫通孔片とが協働して、貫通孔を形成する。
    (4) 前記嵌合凹部に、前記貫通孔に連通し、かつ貫通孔から嵌合凹部の接線方向で外方に貫通する導入孔が形成され、該導入孔から穴埋め部材を挿入して、前記貫通孔に該穴埋め部材を密着挿入する。
  2. 上杭と下杭とを接合部で接合する円形断面の既製杭の接合方法であって、前記上杭及び下杭の内周面側及び外周面側のいずれの面にも突出する部分を生じさせないで、以下の工程で接合することを特徴とする既製杭の接合方法。
    (1) 前記上下一方の杭の接合端部で、基部に、該基部より縮径した筒状の嵌合凸部を形成し、該嵌合凸部の外周に第1環状溝を形成した第1嵌合部を形成する。
    前記他方の杭の接合端部に、前記嵌合凸部と嵌合できる嵌合凹部を形成し、該嵌合凹部の内周に、前記第1環状溝に対応した第2環状溝を形成する。
    前記一方の環状溝に、径を変化させて該環状溝から出没できる弾性リングを取付る。
    (2) 前記下杭に、上杭を重ね、前記嵌合凹部と嵌合凸部とを嵌合開始すると、前記弾性リングは、前記他方の嵌合部の表面に当接して、一方の環状溝に収容される。
    (3) 嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合完了した状態で、前記両環状溝は一致となり貫通孔を形成し、前記基部の接合面に前記嵌合凹部の先端の接合面を当接し、前記嵌合凹部の底面に前記嵌合凸部の先端面を当接する。
    (4) 前記弾性リングは、前記一方の環状溝から突出した一部が、前記他方の環状溝内に位置し、前記貫通孔内に密着挿入される。
  3. 円形断面の上杭に固定できる筒状の基部を有する第1接合金物と、円形断面の下杭に固定できる筒状の基部を有する第2接合金物とからから構成され、前記上杭と前記下杭とを接合するための接合金物であって、前記上杭及び下杭の内周面側及び外周面側のいずれの面にも突出する部分を生じさせないで接合でき、以下の特徴を有する既製杭の接合金物。
    (1) 前記第1接合金物は、前記基部に、その基部より縮径した筒状の嵌合凸部を連設してなり、該嵌合凸部の外周側に第1環状溝を形成する。
    (2) 前記第2接合金物は、前記基部に、前記第1接合金物の嵌合凸を嵌挿できる嵌合凹部を連設してなる。
    前記第2嵌合凹部の内周側に、前記第1環状溝と対向して、協働して環状の貫通孔を形成できる第2環状溝を形成した。
    前記第2嵌合凹部に、前記第2環状溝に連通し、前記嵌合凹部の外周側に、接線方向に開口する導入孔を形成した。
    (3) 前記両嵌合部は、同一の外径D及び同一の内径Dを有する。
    前記第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合した際に、前記第1嵌合部の基部の接合面に前記嵌合凹部の先端の接合面を当接し、前記嵌合凹部の底面に前記嵌合凸部の先端面を当接するように、前記第1嵌合部と第2嵌合部を構成する。
  4. 円形断面の上杭に固定できる筒状の基部を有する第1接合金物と、円形断面の下杭に固定できる筒状の基部を有する第2接合金物とからから構成され、前記上杭と前記下杭とを接合するための接合金物であって、前記上杭及び下杭の内周面側及び外周面側のいずれの面にも突出する部分を生じさせないで接合でき、以下の特徴を有する既製杭の接合金物。
    (1) 前記第1接合金物は、前記基部に、その基部より縮径した筒状の嵌合凸部を連設してなり、該嵌合凸部の外周側に第1環状溝を形成する。
    (2) 前記第2接合金物は、前記基部に、前記第1接合金物の嵌合凸を嵌挿できる嵌合凹部を連設してなる。
    前記第2嵌合凹部の内周側に、前記第1環状溝と対向して、協働して環状の貫通孔を形成できる第2環状溝を形成した。
    (3) 前記第1環状溝又は第2環状溝の一方に、弾性リングを取り付け、通常状態で、前記弾性リングは前記一方の環状溝から突出し、
    押圧状態で、前記弾性リングは環状溝内に収容できるように形成した。
    (4) 前記嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合した際に、前記基部の接合面に前記嵌合凹部の先端の接合面を当接し、前記嵌合凹部の底面に前記嵌合凸部の先端面を当接するように、前記嵌合凹部及び嵌合凸部を形成した。
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