JP2010189787A - ヘルメット - Google Patents

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Abstract

【課題】シールド板の着脱を簡単に行うことができるヘルメットを提供する。
【解決手段】ヘルメット本体2の固定軸基部材5に係合部を介して回動自在かつ着脱可能に支持されたシールド板4を備える。前記係合部は、シールド板4を全開位置と全閉位置との間の常用範囲の中で回動させる場合は係合状態になり、シールド板4を前記常用範囲の外に回動させた場合は非係合状態になる係止片(第1〜第3の係止片26,27,36、係止片43、上側係止片54、下側係止片55および係合用突起52の係止片)を備える。前記係止片の一部は、シールド板4を常用範囲の中の所定の取付位置に位置付けて固定軸基部材5にヘルメット外側から押し付けることにより弾性によって係合が解除される方向に移動する爪片24によって形成されている。
【選択図】 図12

Description

本発明は、前面開口部を有するヘルメット本体と、このヘルメット本体に対して着脱可能に取付けられたシールド板とを備えたヘルメットに関するものである。
自動二輪車を運転するときに被るヘルメットは、ヘルメット本体の前面開口部を開閉するシールド板を備えている。このシールド板は、工具を使うことなく簡単に交換できることが望ましい。シールド板を交換する理由は、自動二輪車の走行状況(昼と夜、晴天と雨天等)に応じてシールド板の色を変えるためであったり、表面に傷が付いたシールド板を新品と換えるためである。
シールド板を簡単に交換できる従来のヘルメットとしては、例えば特許文献1〜特許文献3に記載されているものがある。
特許文献1に開示されたヘルメットは、前面開口部を有するヘルメット本体と、このヘルメット本体の左右両側部に取付けられた固定軸基部材と、この固定軸基部材に回動自在かつ着脱可能に取付けられたシールド板とを備えている。このシールド板は、前記前面開口部を開閉するためのものである。
前記固定軸基部材には、シールド板を回動自在に支持する軸を構成する固定側係合部と、シールド板を前記固定側係合部と協働して支持する円弧状係合部とが設けられている。この円弧状係合部は、前記軸を中心として円弧状に延在するように形成されている。
一方、シールド板には、前記固定側係合部に係合する可動側係合部と、前記円弧状係合部にヘルメットの前側から係合可能な係合用突起とが設けられている。
これらの可動側係合部と係合用突起とは、シールド板の左右方向の両側部にそれぞれ設けられている。
前記固定側係合部と前記可動側係合部とは、シールド板を前面開口部が全開になる位置よりさらに上に開いて所定の着脱位置に位置付けることによって、係合が解除されるように構成されている。
前記シールド板をヘルメット本体に取付けるためには、以下の(1)〜(5)に記載した手順で行う。
(1)シールド板を着脱位置に位置付けて左右方向の一方に位置する係合用突起を左右方向の一方に位置する円弧状係合部に係合させる。
(2)左右方向の一方に位置する可動側係合部を左右方向の一方に位置する固定側係合部にヘルメットの側方から挿入する。
(3)左右方向の他方に位置する係合用突起を左右方向の他方に位置する円弧状係合部に係合させる。
(4)左右方向の他方に位置する可動側係合部を左右方向の他方に位置する固定側係合部にヘルメットの側方から挿入する。
(5)シールド板を閉じる。このようにシールド板を閉じることによって、固定側係合部と可動側係合部とが係合状態になり、シールド板を固定軸基部材(ヘルメット本体)に取付けることができる。
シールド板をヘルメット本体から取外すためには、シールド板を前記着脱位置まで開いて前記固定側係合部と前記可動側係合部との係合を解除し、その後、シールド板の両側部を側方に引いて二つの可動側係合部をそれぞれ固定側係合部からヘルメットの側方へ外す。そして、シールド板をヘルメット本体に対してヘルメットの前方へ移動させて左右一対の係合用突起と円弧状係合部との係合を解除することによって、シールド板をヘルメット本体から取外すことができる。
特許文献2と特許文献3とに記載されているヘルメットは、特許文献1に示すヘルメットと同様にヘルメット本体、固定軸基部材およびシールド板を備えている。特許文献2,3に示す固定軸基部材の固定側係合部には、スライド式の爪片および小突起が設けられている。
この爪片は、シールド板側の可動側係合部がヘルメット外側から押し付けられることによって、圧縮コイルばねの弾発力に抗して係合が解除される方向へ移動するように構成されている。
また、この爪片には、可動側係合部との係合が解除される方向へ人為的にスライドさせることができるように、指掛け用の突起が設けられている。
特許文献2,3に記載のヘルメットにおいて、シールド板をヘルメット本体に取付けるためには、シールド板を所定の着脱位置に位置付けた状態で可動側係合部を固定側係合部にヘルメット外側から押し付けることによって行う。
この押圧により、前記爪片が圧縮コイルばねの弾発力に抗してスライドし、小突起と干渉する可動側係合部が変形することによって固定側係合部に係合してシールド板が固定軸基部材(ヘルメット本体)に取付けられる。
一方、シールド板をヘルメット本体から取外すためには、シールド板を前記着脱位置に位置付けた状態で前記爪片を係合が解除される方向へ人為的にスライドさせ、可動側係合部が小突起と係合している状態でシールド板の両側部を変形させながらヘルメットの側方へ引くことによって強制的に行う。
特開2007−92244号公報 特公平7−35601号公報 特公平6−47762号公報
特許文献1に記載されているヘルメットにおいては、シールド板を取付けるときの作業が煩雑であるという問題があった。これは、シールド板のヘルメット本体に取付けるときの位置と、ヘルメット本体から取外すときの位置とが同じ位置だからである。
すなわち、特許文献1に記載されているヘルメットのシールド板をヘルメットに取付けるに当たっては、シールド板の左右方向の一方の係合用突起や可動側係合部を可動側係合部に仮に係合させて外れることがないように片手で保持しながら、他方の手で他方の係合用突起や可動側係合部を固定軸基部材に係合させなければならないからである。
このような不具合は、特許文献2,3に開示されているように、可動側係合部を固定側係合部に押し付けることによりこれら両者が係合状態になる構成を採ることによって、解消することができる。
しかし、特許文献2,3に示すヘルメットでは、シールド板をヘルメット本体から取外すときに爪片を係合が解除される方向へスライドさせなければならず、可動側係合部と小突起との係合を解除するためにシールド板の両端部を変形させなければならない。このため、この構造を採用すると、シールド板を簡単にヘルメット本体から取外すことができなくなってしまう。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、シールド板の着脱を簡単に行うことができるヘルメットを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に記載した発明のヘルメットは、前面開口部を有するヘルメット本体と、前記ヘルメット本体の左右両側部に固定されたシールド板支持用の固定軸基部材と、前記固定軸基部材に係合部を介して回動自在かつ着脱可能に支持されたシールド板とを備えたヘルメットにおいて、前記係合部は、シールド板を前記前面開口部が全開になる全開位置と前記前面開口部が全閉になる全閉位置との間の常用範囲の中で回動させる場合は係合状態になり、かつシールド板を前記常用範囲の外に回動させた場合は非係合状態になる係止片を備え、前記係止片の一部は、シールド板を前記常用範囲の中の所定の取付位置に位置付けて固定軸基部材にヘルメット外側から押し付けることにより弾性によって係合が解除される方向に移動する爪片によって形成されているものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したヘルメットにおいて、前記係合部が非係合状態になるシールド板の位置は、シールド板が前記全開位置より開いた位置であるものである。
請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に記載したヘルメットにおいて、前記係合部は、シールド板の回動軸部に位置する固定軸基部材の固定側係合部およびシールド板の可動側係合部と、前記回動軸部とは離間した位置において円弧状に延在する固定軸基部材の円弧状係合部およびこれに係合するシールド板の係合用突起とから構成され、前記爪片は、前記固定側係合部と円弧状係合部とのうちいずれか一方に設けられているものである。
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載したヘルメットにおいて、前記爪片は、前記固定軸基部材に移動自在に支持されたスライダと、このスライダと前記固定軸基部材との間に設けられたばね部材とによって構成されているものである。
請求項5に記載した発明は、請求項3に記載したヘルメットにおいて、前記爪片は、前記固定軸基部材に一体成形により一体に形成されているものである。
請求項6に記載した発明は、請求項3ないし請求項5のうちいずれか一つに記載したヘルメットにおいて、前記円弧状係合部の一部であって、前記シールド板が前記固定側係合部と前記可動側係合部との係合が解除される位置に位置している状態で前記係合用突起と対応する部分には、前記係合用突起が挿通可能な第1の切り欠き部が設けられているものである。
請求項7に移載した発明は、請求項3ないし請求項6のうちいずれか一つに記載したヘルメットにおいて、前記円弧状係合部の一部には、前記係合用突起との係合が解除される第2の切り欠き部が形成されているものである。
本発明によれば、シールド板を前記取付位置に位置付けて固定軸基部材に押し付けることによって、爪片が弾性に抗して係合が解除される方向に移動し、係合部が係合状態になる。すなわち、シールド板は、固定側係合部に押し付ける操作によって、ヘルメット本体に取付けることができる。
シールド板の回動軸部分をヘルメット本体から取外すためには、シールド板を前記常用範囲の外に回動させて前記係合部の係合を解除させ、この状態でシールド板の両側部を側方に引くことによって行う。
すなわち、このヘルメットは、シールド板のヘルメット本体に取付けるときの位置と、ヘルメット本体から取外すときの位置とが互いに異なっているから、シールド板をヘルメット本体に取付けるときの位置において、取付けが容易な構造を採ることができ、シールド板をヘルメット本体から取外すときの位置において、取外しが容易な構造を採ることができる。
この結果、本発明によれば、シールド板の着脱が容易なヘルメットを提供することができる。
本発明に係るヘルメットの側面図である。 固定軸基部材の側面図である。 固定軸基部材のヘルメット本体側から見た側面図である。 固定軸基部材の断面図で、同図(A)は図2におけるA−A線断面図、同図(B)は図2におけるB−B線断面図、同図(C)は図2におけるC−C線断面図、同図(D)は図2におけるD−D線断面図である。 固定軸基部材のスライダを組み付けた状態を示す側面図である。 図5におけるVI−VI線断面図である。 スライダを示す図で、同図(A)は平面図、同図(B)は側面図、同図(C)は(A)図におけるC−C線断面図である。 固定軸基部材の斜視図である。なお、図8は、固定軸基部材の板状部に成形時に形成される開口部分を省略して描いてある。 シールド板の一部を示す図で、同図(A)はヘルメット本体側から見た斜視図、同図(B)は側面図である。 図9(B)におけるX−X線断面図である。 図9(B)におけるXI−XI線断面図である。 シールド板を取付位置に位置付けたときの係止片と係合用突起の位置を説明するための固定軸基部材の側面図である。 図12におけるA−A線断面図で、同図(A)は係合用突起を円弧状係合部内に挿入した状態を示し、同図(B)はスライダが移動している途中の状態を示し、同図(C)はシールド板が固定軸基部材に取付けられた状態を示す。 図12におけるB−B線断面図で、同図(A)は係合用突起がストッパーに当接している状態を示し、同図(B)は係合用突起がストッパーを乗り越えるときの状態を示す。 シールド板を全閉位置に位置付けたときの係止片と係合用突起の位置を説明するための固定軸基部材の側面図である。 シールド板を取外し位置に位置付けたときの係止片と係合用突起の位置を説明するための固定軸基部材の側面図である。 図16におけるXVII−XVII線断面図で、同図(A)は取外し操作を開始するときの状態を示し、同図(B)は可動側係合部を固定側係合部から引き出した状態を示し、同図(C)は係合用突起と円弧状係合部との係合を解除させた状態を示す。 円弧状係合部に切り欠きを形成する他の実施例を示す固定軸基部材の側面図である。 円弧状係合部に切り欠きを形成する他の実施例を示す固定軸基部材の側面図である。 円弧状係合部に切り欠きを形成する他の実施例を示す固定軸基部材の側面図である。 円弧状係合部に切り欠きを形成する他の実施例を示す固定軸基部材の側面図である。 固定側係合部の他の実施例を説明するための固定軸基部材の側面図である。 図22におけるAーA線断面図である。
以下、本発明に係るヘルメットの一実施例を図1〜図17によって詳細に説明する。
図1に示すヘルメット1は、自動二輪車(図示せず)などの乗員が被るもので、ヘルメット本体2の前面開口部3を開閉するためにシールド板4を備えている。シールド板4は、透明な合成樹脂材料によって所定の形状に成形されており、ヘルメット本体2に設けられている固定軸基部材5に回動自在かつ着脱可能に取付けられている。シールド板4は、無色透明に形成する他に、着色させて半透明に形成することもできる。
この実施例によるシールド板4は、図1に示すように、前記前面開口部3が全閉になる全閉位置P1と、前面開口部3が全開になる全開位置P2との間を常用範囲Aとして使用される。このシールド板4は、前記全開位置P2においてヘルメット本体2に取付けられ、前記全開位置P2より開いた取外し位置P3に移動させた状態でヘルメット本体2から取外される。
前記固定軸基部材5は、ヘルメット本体2の左右方向の両側部にそれぞれ設けられており、後述する固定側係合部11(図2参照)と円弧状係合部12とによってシールド板4の両端部を回動自在かつ着脱可能に支持している。
固定軸基部材5は、プラスチック材料によって所定の形状に成形されており、2本の固定用ボルト(図1参照)13,14によってヘルメット本体2に固定されている。
この実施例による固定軸基部材5は、図2、図5および図8に示すように、ヘルメット本体2の外表面に重ねることができるように形成された板状部15と、この板状部15におけるヘルメット本体2とは反対側に設けられた固定側係合部11および円弧状係合部12とによって構成されている。
板状部15には、前記固定用ボルト13,14を通すための二つの円形穴16,17が穿設されている。この実施例によるヘルメット1は、前記二つの円形穴16,17のうち上側に位置する円形穴16の中心Cがシールド板4の回動中心になるように構成されている。
前記固定側係合部11は、前記上側に位置する円形穴16の周囲近傍に設けられている。詳述すると、この固定側係合部11は、図2、図5および図8に示すように、前記円形穴16を囲むように板状部15と一体成形された突壁21と、この突壁21に接続されたスライダ22と、このスライダ22を前記円形穴16の内側に向けて付勢する圧縮コイルばね23とから構成されている。スライダ22と圧縮コイルばね23とによって、本発明でいう爪片24が構成され、圧縮コイルばね23によって、請求項4記載の発明でいうばね部材が構成されている。
前記突壁21は、図2に示すように、前記円形穴16と同一軸線上に位置する略円筒状に形成された軸受部21aと、この軸受部21aの下端部からヘルメット1の斜め前下方に向けて延在する第1、第2のガイド部21b,21cと、後述する円弧状係合部12に接続される第1〜第3の連結部21d〜21fとによって構成されている。
軸受部21aには、図2に示す側面視において、C字状を呈する形状に軸孔25が形成されている。
前記軸受部21aの突出側端部には、図4(B)に示すように、軸受部21aの内側(軸孔25内)に延在する第1、第2の係止片26,27が設けられている。これらの第1、第2の係止片26,27は、図2に示すように、前記中心Cを挟んで互いに対向する位置に位置付けられており、図2に示す側面視において、中心Cを中心として所定の長さだけ周方向に延在する円弧状に形成されている。
第1の係止片26は、中心Cよりヘルメット1の斜め前上方に形成され、第2の係止片27は、中心Cよりヘルメット1の斜め後下方に形成されている。これらの第1、第2の係止片26,27の先端部(軸孔25内に臨む部分)であって、ヘルメット1の側方を指向する部分には、図4(B)に示すように、傾斜面28が形成されている。この傾斜面28は、中心Cに向かうにしたがって第1、第2の係止片26,27の厚みが漸次薄くなるように形成されている。
この実施例による固定軸基部材5を成形する金型(図示せず)は、図2の紙面と直交する方向に型締めする構造が採られている。この金型のうち、第1、第2の係止片26,27の内面(ヘルメット本体2側を指向する面)を成形する金型は、板状部15を貫通することになる。このため、板状部15には、図3に示すように、金型挿通用の穴29が形成されている。
この種の穴29は、突壁21の第1、第2のガイド部21b,21cと対応する位置と、後述する円弧状係合部12と対応する位置にも同様に形成されている。板状部15には、前記金型挿通用の穴29の他に、前記圧縮コイルばね23との干渉を避けるための穴30と、円弧状係合部12に所定の弾性をもたせるための穴31とが形成されている。
前記軸受部21aにおける前記第1の係止片26から下方に延在する部分と、一対のガイド部21b,21cのうちヘルメット1の前側に位置する第1のガイド部21bと、3箇所の連結部21d〜21fのうち中央に位置する第2の連結部21eとは、図4(B)および図8に示すように、板状部15から側方に突出する寸法が相対的に短く(低く)なるように形成されている。すなわち、前記突壁21における前記軸孔25の斜め前下側には、相対的に低い段差部32が形成されている。
前記スライダ22は、図5および図6に示すように、前記第1、第2のガイド部21b,21cどうしの間に嵌挿され、これらのガイド部21b,21cに移動自在に支持されている。この実施例によるスライダ22は、前記板状部15における前記一対のガイド部21b,21cどうしの間に形成された凹部33の中に挿入され、この凹部33内で移動自在に保持されている。スライダ22が移動する方向は、ガイド部21b,21cが延在する方向であって、前記円形穴16や軸孔25の軸線方向とは略直交する方向である。
スライダ22における後述する円弧状係合部12と対向する一端部であって、幅方向の中央部には、図7に示すように、円形凸部34が形成されている。この円形凸部34は、前記圧縮コイルばね23の一端部が嵌合する寸法に形成されている。圧縮コイルばね23の他端部は、図5および図13に示すように、後述する円弧状係合部12に突設された円形凸部35に嵌合している。
この圧縮コイルばね23は、スライダ22と円弧状係合部12との間に弾装されており、スライダ22を軸孔25内に向けて(図5において上方に)付勢している。スライダ22は、軸孔25側に位置する一端部が前記凹部33の端面33a{図4(A)および図13参照}に当接する状態でガイド部材21b,21c間に保持されている。
また、スライダ22における前記円形凸部34とは反対側の端部は、前記軸孔25の孔壁面の一部を構成するように円弧状に形成されている。
さらに、スライダ22における前記第1のガイド部21bに保持される一側部{図7(A)において左側の端部}は、図6および図7(B)に示すように、前記段差部32と同じ厚みとなるように、他の部位に較べて薄く形成されている。
このスライダ22における相対的に厚みが厚くなるように形成された部分であって、前記軸孔25の孔壁面を構成する端部には、図5および図7(A)に示すように、第3の係止片36が軸孔25内に臨むように突設されている。この第3の係止片36は、図5に示すように、前記軸孔25の孔壁面に沿う円弧状(中心Cを中心とする円弧状)であって、かつスライダ22が圧縮コイルばね23の弾発力によって前記凹部33の端面に押し付けられている状態(ガイド部21b,21c間に保持されている状態)において、前記第2の係止片27と並ぶように形成されている。
また、この第3の係止片36の先端部には、図7(C)に示すように、傾斜面37が形成されている。この傾斜面37は、第3の係止片36におけるヘルメット1の側方を指向する側面を傾斜させることによって形成されている。この傾斜面37は、中心Cに向かうにしたがって第3の係止片36の厚みが漸次薄くなるように形成されている。
固定軸基部材5の円弧状係合部12は、シールド板4が不必要に開閉することを規制するとともに、シールド板4の取付位置と取外し位置とを定めるためのものである。この円弧状係合部12は、図2、図5および図8に示すように、前記中心Cを中心とする円弧状のガイド溝41を形成するための突壁42と、この突壁42にガイド溝41内へ臨むように一体成形された係止片43と、前記ガイド溝41内の上部に設けられたストッパー44とによって構成されている。
前記突壁42は、図4(A)に示すように、前記固定側係合部11の突壁21と同じ高さとなるように形成されており、前記突壁21に前記第1〜第3の連結部21d〜21fを介して接続されている。前記ガイド溝41は、ヘルメット1の側方に向けて開口し、かつ板状部15の上端部から下端部まで円弧状に延在するように形成されている。
ガイド溝41の上部には、図2に示すように、ガイド溝41からヘルメット1の斜め前下方に延在する横溝45が一体に形成されている。この横溝45は、ガイド溝41を形成する突壁42に接続する一対の縦壁45a,45bによって形成されている。また、この横溝45は、前記中心Cから前記段差部32を通って斜め前下方へ延びる仮想線(図示せず)に沿って延在し、固定軸基部材5の前端縁から前下方に向けて開放されるように形成されている。この実施例によるガイド溝41の上端部には、他の部位より溝幅が広い幅広部41aが形成されている。
円弧状係合部12の係止片43は、ガイド溝41の上端部から下端部までガイド溝41に略沿う円弧状に形成されている。この円弧状の係止片43における径方向外側の端縁部分には、複数の凹部46〜49が形成されている。これらの凹部46〜49のうち、図2において最も上に位置する第1の凹部46は、前記幅広部41aと対応する位置に形成されている。この第1の凹部46は、係止片43の幅(図2において左右方向の幅であって、ヘルメット1の前後方向の幅)が所定寸法だけ狭くなるように形成されている。
四箇所の凹部46〜49のうち、上から二番目に位置する第2の凹部47は、前記横溝45と対応する位置に形成されている。この第2の凹部47は、後述するシールド板4を全開位置P2に保持するためのものである。前記凹部46〜49のうち、上から三番目に位置する第3の凹部48は、シールド板4を僅かに開いた位置に保持するためのものであり、最も下に位置する第4の凹部49は、シールド板4を全閉位置P1に保持するためのものである。第2〜第4の凹部47〜49は、係止片43の前記端縁部分を円弧状に凹ませたような形状に形成されている。
前記ストッパー44は、シールド板4を全開位置P2に止めるためのもので、前記ガイド溝41における横溝45が接続される部分と幅広部41aとの間に設けられている。このストッパー44は、図4(D)に示すように、ガイド溝41の底が部分的に高くなるように前記底に突設されている。このストッパー44には、前記横溝45の一方の縦壁45aに連なる規制面44aと、ガイド溝41の前記幅広部41aに接続する傾斜面44bとが形成されている。前記規制面44aは、ガイド溝41の底からガイド溝41の開口側(ヘルメット1の側方)に向けて起立するように形成されている。前記傾斜面44bは、前記幅広部41aに向かうにしたがってストッパー44の高さが漸次低くなるように形成されている。
前記シールド板4は、ヘルメット本体2の左右方向の一側部から他側部にわたって延在するように形成されている。シールド板4の左右方向の両端部であって、ヘルメット本体2と対向する部位には、図9に示すように、後述する可動側係合部51と係合用の突起52とがそれぞれ突設されている。これらの可動側係合部51と係合用突起52とは、シールド板4の板状本体4aに一体成形により一体に形成されている。この実施例においては、前記可動側係合部51、係合用突起52と、固定軸基部材5の固定側係合部11および円弧状係合部12とによって、本発明でいう係合部が構成されている。
シールド板4は、可動側係合部51を固定軸基部材5の固定側係合部11に係合させるとともに、前記係合用突起52を固定軸基部材5の円弧状係合部12に係合させることによって、固定軸基部材5に回動自在に支持されるように構成されている。
可動側係合部51は、図9(A)および図10、図11に示すように、シールド板4の板状本体4aからシールド板4の内側に向けて突出する円筒53と、この円筒53の先端部から径方向の外側に突出する上側係止片54および下側係止片55とから構成されている。
前記円筒53の外径は、前記第1〜第3の係止片26,27,36の径方向内側に嵌入できる寸法に形成されている。また、円筒53の軸線方向の長さは、固定側係合部11の突壁21の高さより僅かに長くなるように形成されている。
上側係止片54と下側係止片55とは、前記円筒53の軸心を中心として周方向に所定長さだけ延在する円弧状であって、前記軸孔25の孔壁面に摺動自在に嵌合できる形状に形成されている。
上側係止片54の周方向の長さは、図16に示すように、固定側係合部11の第1の係止片26よりヘルメット1の後側に形成されている上側扇状空間S1内に挿入可能な寸法に形成されている。下側係止片55は、上述したように上側係止片54が上側扇状空間S1内に挿入されている状態において、固定側係合部11の第1の係止片26と第3の係止片36との間に形成されている下側扇状空間S2内に挿入できるように形成されている。
また、これらの上側係止片54と下側係止片55の厚みは、固定側係合部11の第1〜第3の係止片26,27,36と板状部15との間に挿入できるような寸法に形成されている。
シールド板4の上側係止片54と下側係止片55とにおける径方向の外側の端縁部であって、シールド板4の板状本体4aとは反対側の部位には、図9(A)に示すように、傾斜面56が形成されている。この傾斜面56は、上側、下側係止片54,55の厚みが径方向の外側に向かうにしたがって漸次薄くなるように形成されている。なお、この傾斜面56と、固定側係合部11の第1〜第3の係止片26,27,36に形成されている傾斜面28,37は、平坦面に形成する他に断面円弧状に湾曲させて形成することもできる。
シールド板4の前記係合用突起52は、図9(A)および図10に示すように、シールド板4の板状本体4aからシールド板4の内側に向けて突出する柱状部52aと、この柱状部52aの先端部から前記可動側係合部51に向けて突出する係止片52bとから構成されている。柱状部52aの高さは、前記円筒53の高さと略同じ高さに形成され、柱状部52aの外径は、前記円弧状係合部12の係止片43に設けられている第1〜第4の凹部46〜49に挿入可能な寸法に形成されている。
この係合用突起52が形成されている位置は、図16に示すように、可動側係合部51の上側係止片54と下側係止片55とが前記上側扇状空間S1、下側扇状空間S2内に挿入される状態において、前記ガイド溝41の幅広部41a内に挿入されるような位置である。この実施例においては、前記固定側係合部11の第1〜第3の係止片26,27,36、円弧状係合部12の係止片43、可動側係合部51の上側係止片54、下側係止片55および係合用突起52の係止片52bとによって、本発明でいう係止片が構成されている。
このように構成されたヘルメット1において、シールド板4のヘルメット本体2への取付けは、シールド板4の左右方向の一方に位置する可動側係合部51と係合用突起52とをヘルメット本体2の同じ一側部に位置する固定軸基部材5に係合させ、その後、左右方向の他方に位置する可動側係合部51と係合用突起52とをヘルメット本体2の他側部に位置する固定軸基部材5に係合させることによって行う。ここで、シールド板4をヘルメット本体2に取付けるときの手順を図12と図13とによって説明する。
シールド板4をヘルメット本体2に取付けるためには、先ず、図12に示すように、シールド板4の左右方向の一側部に設けられている係合用突起52(図12においては左側の係合用突起52を示す)を前記円弧状係合部12の横溝45内にヘルメット1の前方から挿入する。そして、この係合用突起52が横溝45内を後方に移動するようにシールド板4を後方へ移動させ、係合用突起52を円弧状係合部12のガイド溝41内に進ませる。このように係合用突起52がガイド溝41内に入ることによって、係合用突起52の係止片52bが円弧状係合部12の係止片43の内側に挿入される。このとき、係合用突起52の柱状部52aは、前記係止片43に形成されている第2の凹部47に挿入される。
次に、図13(A)に示すように、シールド板4の左右方向の端部をヘルメット本体2に接近させて可動側係合部51を固定側係合部11にヘルメット1の側方から重ねる。このとき、可動側係合部51の上側係止片54は、図12に示すように、固定側係合部11の上側扇状空間S1と対向し、下側係止片55は、下側扇状空間S2および第3の係止片36と対向する。このため、このときには、可動側係合部51の下側係止片55が前記第3の係止片36に押し付けられる。
その後、下側係止片55が第3の係止片36に接触する状態でシールド板4をヘルメット本体2側にさらに押圧する。このようにシールド板4が押圧されることによって、図13(B)に示すように、下側係止片55の先端部に形成されている傾斜面56が第3の係止片36の傾斜面37を押すことになる。この結果、第3の係止片36を有するスライダ22は、図13(B)に示すように、圧縮コイルばね23の弾発力に抗して下側係止片55から離間する方向(係止片どうしの係合が解除される方向であって、第1、第2のガイド部21b,21cの延在方向に沿う方向)に移動する。言い換えれば、爪片24が弾性に抗して係合が解除される方向に移動する。
シールド板4をさらに押圧し、下側係止片55が第3の係止片36を超えて板状部15側に移動すると、スライダ22が圧縮コイルばね23の弾発力によって初期の位置に復帰し、図13(C)に示すように、第3の係止片36が下側係止片55の内側に進入する。このように可動側係合部51の下側係止片55の内側に第3の係止片36が挿入されることによって、可動側係合部51が固定側係合部11に係合することになる。
シールド板4の一側部は、上述したように可動側係合部51と固定側係合部11とが係合することによって、ヘルメット本体2に支持される。このようにシールド板4の一側部をヘルメット本体2に支持させた後、前記同様の手順によってシールド板4の他側部をヘルメット本体2に支持させることによって、シールド板4のヘルメット本体2への取付け作業が完了する。
したがって、この実施例によるヘルメット1によれば、シールド板4の可動側係合部51を固定軸基部材5の固定側係合部11に押し付けることによって、シールド板4をヘルメット本体2に取付けることができる。この取付作業は、一方の手でヘルメットの左右方向の一側部を支えながら他方の手で他側部を操作することが必要な従来のヘルメットに較べると、簡単に行なうことができる。
シールド板4は、通常は上述した取付位置が全開位置P2となるように使用される。このシールド板4は、ヘルメット本体2に取付けられた後に下方または上方に押されることによって、可動側係合部51の円筒53を軸として回動(開閉)する。シールド板4が回動するときは、可動側係合部51の上側係止片54と下側係止片55とが固定側係合部11の軸孔25の孔壁面に沿って移動するとともに、シールド板4の前記係合用突起52が円弧状係合部12のガイド溝41内を上下方向に移動する。
この係合用突起52の柱状部52aは、シールド板4が前記取付位置(全開位置P2)にある状態で前記第2の凹部47に入るような位置に形成されているために、シールド板4が前記取付位置から下または上に移動すると、円弧状係合部12の係止片43の外周側の端面に押し付けられるようになる。このため、シールド板4を開閉するときは、柱状部52aと係止片43との摩擦による抵抗が付与される。
ガイド溝41内を上下方向に移動するときの係合用突起52は、その係止片52bが円弧状係合部12の係止片43の内側に挿入されていることと、柱状部52aが係止片43とガイド溝41のヘルメット前側の突壁42(図12参照)との間に挟まれていることとによって、ガイド溝41内に保持される。
シールド板4は、図15に示すように、係合用突起52がガイド溝41の最下部まで移動し、その柱状部52aが係止片43の第4の凹部49に挿入されることによって、全閉位置P1に保持される。シールド板4が前記取付位置(全開位置P2)から全閉位置P1まで移動することによって、可動側係合部51の上側係止片54と下側係止片55とは、図12に示した位置から同図において反時計方向に回り、図15に示す位置まで移動する。
可動側係合部51の上側係止片54は、シールド板4が全開位置P2にあるときは係合が解除された状態にあり、シールド板4が全開位置P2から閉じることによって、固定側係合部11の第1の係止片26の内側に挿入されて係合状態になる。
また、可動側係合部51の下側係止片55は、シールド板4が全開位置P2にあるときは固定側係合部11の第3の係止片36に係合された状態にあり、シールド板4が閉じることによって、図15に示すように、前記第3の係止片36のみならず第2の係止片27にも係合するようになる。このように可動側係合部51の上側係止片54と下側係止片55とが固定側係合部11の第1〜第3の係止片26,27,36に係合することによって、シールド板4の両端部をヘルメット本体2から取外すことはできなくなる。
また、シールド板4は、前記係合用突起52の柱状部52aが前記第3の凹部48に挿入されることによって、全閉位置P1より僅かに開いた換気位置に保持される。シールド板4の開く方向への移動は、図14(A)に示すように、係合用突起52が前記ストッパー44の規制面44aに当接することにより規制される。シールド板4は、このように移動が規制されることによって、係合用突起52の柱状部52aが第2の凹部47に挿入されて全開位置P2に保持される。
シールド板4をヘルメット本体2から取外すときは、先ず、シールド板4を全開位置P2まで開き、その後、図14(B)に示すように、シールド板4の両端部をヘルメット1の側方に向けて引く。この操作により、係合用突起52がストッパー44に当接する状態が解除される。
そして、このようにシールド板4を側方に引きながら全開位置P2よりさらに開き、図16に示すように、係合用突起52をガイド溝41の幅広部41a内に移動させる。係合用突起52が幅広部41a内に入ることによって、シールド板4が取外し位置P3に移動する。
この状態において、可動側係合部51の上側係止片54は、固定側係合部11の第1の係止片26よりヘルメット1の後方に移動し、上側扇状空間S1内に位置するようになる。また、可動側係合部51の下側係止片55は、固定側係合部11の第3の係止片36より上方に移動し、下側扇状空間S2内に位置するようになる。すなわち、シールド板4が取外し位置P3に移動することによって、図17(A)に示すように、可動側係合部51と固定側係合部11との係合状態が解除される。
次に、図17(B)に示すように、シールド板4の左右方向の両端部をヘルメット本体2から両側方に離間するように引き、可動側係合部51を固定側係合部11の外に引き出す。そして、図17(C)に示すように、シールド板4を全体的にヘルメット1の前方へ移動させ、シールド板4の係合用突起52と円弧状係合部12との係合を解除する。しかる後、シールド板4の両側部をさらにヘルメット本体2から離れるように引くことによって、シールド板4を固定軸基部材5(ヘルメット本体2)から取外すことができる。
このため、この実施例によるヘルメット1において、シールド板4の取外しは、シールド板4を前記取外し位置P3に回動させ、シールド板4の両側部を側方と前方とに引くことによって簡単に行うことができる。この実施例によるヘルメット1においては、特許文献2と特許文献3とに記載されているような操作、すなわち爪片を指で押して係合を解除する操作およびシールド板の可動側係合部と固定軸基部材の小突起との係合を解除する操作は不要である。
したがって、この実施例によるヘルメット1は、ヘルメット本体2に取付けるときのシールド板4の位置(全開位置P2)と、ヘルメット本体2から取外すときのシールド板4の位置(取外し位置P3)とが互いに異なっているから、シールド板4をヘルメット本体2に取付けるときの位置において、取付けが容易な構造を採ることができ、シールド板4をヘルメット本体2から取外すときの位置において、取外しが容易な構造を採ることができた。
この結果、この実施例に示したように、シールド板4の着脱が容易なヘルメット1を提供することができる。
この実施例によるヘルメット1においては、シールド板4が常用範囲Aの外で最大まで開くことによって取外し位置P3に移動する。このため、シールド板4を取外すときの位置に容易に位置付けることができるから、シールド板4をヘルメット本体2から取外す作業をより一層簡単に行うことができる。
前記取外し位置P3としては、この実施例で示した位置、すなわちシールド板4を全開位置P2よりさらに開いた位置に位置付ける他に、シールド板4を全閉位置P1よりさらに閉じた位置に位置付けることも可能である。
また、シールド板4をヘルメット本体2に取付けるときの取付位置は、全開位置P2に限定されることはなく、全閉位置P1と全開位置P2との間であればどこでもよく、適宜変更することができる。
この実施例による前記爪片24は、固定軸基部材5に移動自在に支持されたスライダ22と、このスライダ22と前記固定軸基部材5との間に弾装された圧縮コイルばね23とによって構成されている。このため、圧縮コイルばね23によって爪片24に弾性を付与することができるから、爪片24を初期位置(係合位置)に付勢する付勢力を設定するうえで自由度が高くなる。
したがって、この実施例によれば、可動側係合部51の下側係止片55が爪片24の第3の係止片36に押し付けられたときに爪片24が容易に移動するように前記付勢力を設定することができるから、前記下側係止片55と爪片24との摩擦接触部分が磨耗し難いヘルメットを提供することができる。
前記圧縮コイルばね23の周辺には、図5中に二点鎖線で示すように緩衝材61を設けることができる。この緩衝材61は、たとえば発泡プラスチックによって形成され、圧縮コイルばね23にその一部が接触する状態で固定軸基部材5に接着されている。このように緩衝材61を備えることによって、シールド板4をヘルメット本体2に取付ける際に圧縮コイルばね23が振動することにより発生する異音を小さく抑えることができる。
固定軸基部材5の円弧状係合部12には、図18〜図20に示すように、係合用突起52(図示せず)を挿通可能な切り欠き62を形成することができる。この切り欠き62は、前記係合用突起52の係止片52bが円弧状係合部12の係止片43に係合することができないように、係合用突起52の係止片52bより大きく開口するように形成されている。
図18に示す切り欠き62は、シールド板4を取外し位置P3に位置付けたときに係合用突起52と対応する位置に形成されている。言い換えれば、この切り欠き62は、円弧状係合部12の係止片43の一部であって、シールド板4が固定側係合部11と可動側係合部51との係合が解除される位置に位置している状態でシールド板4の係合用突起52と対応する部位に形成されている。
この図18に示す切り欠き62によって、本発明の請求項6記載の発明でいう第1の切り欠き部が構成されている。
このように取外し位置P3に切り欠き62を設けることにより、シールド板4を取外し位置P3に移動させただけで係合用突起52と円弧状係合部12との係合が解除されるようになる。このため、この実施例によれば、シールド板4をヘルメット本体2から取外すときに前方へ移動させる必要がなく、シールド板4の両端部を側方へ移動させるだけでよい。したがって、この実施例によれば、シールド板4をヘルメット本体2からさらに簡単に取外すことが可能なヘルメットを提供することができる。
図19に示す切り欠き62は、シールド板4を取付位置(全開位置P2)に位置付けたときに係合用突起52と対応する位置に形成されている。このようにシールド板4の取付位置に切り欠き62を設けることにより、シールド板4をヘルメット本体2に取付けるときにシールド板4をヘルメット1の後方に向けて平行移動させる必要がなくなり、シールド板4の取付けをより一層簡単に行うことができる。
図20に示す切り欠き62は、シールド板4を全閉位置P1と全開位置P2との間の中間位置に移動させたときに係合用突起52と対応する位置に形成されている。言い換えれば、図20に示す切り欠き62は、円弧状係合部12の長手方向の中間部に形成されている。
この実施例においては、係合用突起52が切り欠き62まで移動するようにシールド板4を移動させることによって、係合用突起52と円弧状係合部12との係合を解除することができる。
係合用突起52と円弧状係合部12との係合を円弧状係合部12の中間部で解除する場合の例としては、例えば、シールド板4をヘルメット本体2に取付けたときに可動側係合部51が固定側係合部11に正しく係合されていないことを気付かずにシールド板4を取付位置から閉じてしまった場合が挙げられる。シールド板4は、プラスチック製で容易に撓むから、可動側係合部51の上側係止片54と下側係止片55とのうちいずれか一方が固定側係合部11に正しく係合していない状態であっても閉じることが可能である。
このような状態を正常な状態に戻すためは、シールド板4を取外し位置まで開いて前記係合部の係合を解除する必要がある。しかし、このような場合、シールド板4が正常な状態に較べて傾くために係合用突起52が通常より強く円弧状係合部12に押し付けられており、シールド板4を容易に開くことはできない。この実施例によれば、円弧状係合部12の中間部に形成されている切り欠き62に係合用突起52を通すことによって係合用突起52を円弧状係合部12の外に出すことができるから、シールド板4を容易に取外し位置まで開くことができ、簡単に正常な状態に戻すことができる。なお、特許文献3に記載されている円弧状係合部の切り欠きは、シールド板の係合用突起を円弧状係合部に係合させるためのものであるから、この実施例で示す切り欠き62とは異なるものである。
図21に示す切り欠き62は、円弧状係合部12の突壁42における長手方向の中間部に形成されている。このように突壁42に切り欠き62を設けることによって、シールド板4の係合用突起52を円弧状係合部12からヘルメット1の前方へ出すことができる。このため、この実施例においても前記図20に示す実施例と同等の効果を奏する。なお、突壁42に切り欠き62を設けるに当たっては、切り欠き62の位置は、円弧状係合部12の中間部分の他に、シールド板4が取外し位置P3に位置しているときに係合用突起52と対応する位置でもよい。図19ないし図21に示す切り欠き62によって、本発明の請求項7記載の発明でいう第2の切り欠き部が構成されている。
図1〜図21に示す実施例においては、固定軸基部材5の爪片24をスライダ22と圧縮コイルばね23とによって構成する例を示したが、爪片24は、図22および図23に示すように形成することができる。これらの図において、前記図1〜図21によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図22、図23に示す爪片71は、固定軸基部材5に一体成形により一体に形成されている。この爪片71によって、請求項5記載の発明でいう爪片が構成されている。詳述すると、この実施例による爪片71は、固定側係合部11の突壁21に軸孔25の孔壁面の一部を構成するように突設された腕部72と、この腕部72の先端からヘルメット1の側方に向けて延在する柱状部73(図23参照)と、この柱状部73の先端部に設けられた第3の係止片36とから構成されている。
前記腕部72は、第3の係止片36に押圧力が加えられたときに軸孔25の中心から離間する方向へ容易に弾性変形できるように形成されている。
柱状部73と第3の係止片36とは、図示してはいないが、シールド板4を取付位置(全開位置P2)に位置付けた状態で可動側係合部51の下側係止片55(例えば図12参照)と対向する位置に形成されている。
この実施例によれば、図1〜図21に示す実施例に較べて固定軸基部材5に爪片24を組み付ける作業が不要になるとともに部品数が減少してヘルメット1の組立工数が低減するから、組立が容易なヘルメットを提供することができる。
図1〜図23に示した実施例においては、本発明でいう爪片を固定側係合部11に設ける例を示したが、爪片は、円弧状係合部12に設けることができる。この場合、係止片43の一部を構成するようにスライダ22または柱状部73を形成し、固定軸基部材5に移動自在に支持させる。このスライダ22または柱状部73を設ける位置は、第2の凹部47が形成されている位置である。
1…ヘルメット、2…ヘルメット本体、4…シールド板、5…固定軸基部材、11…固定側係合部、12…円弧状係合部、21,42…突壁、22…スライダ、23…圧縮コイルばね、24…爪片、26…第1の係止片、27…第2の係止片、36…第3の係止片、43…係止片、51…可動側係合部、52…係合用突起、54…上側係止片、55…下側係止片、71…爪片、P1…全閉位置、P2…取付位置(全開位置)、P3…取外し位置。

Claims (7)

  1. 前面開口部を有するヘルメット本体と、
    前記ヘルメット本体の左右両側部に固定されたシールド板支持用の固定軸基部材と、
    前記固定軸基部材に係合部を介して回動自在かつ着脱可能に支持されたシールド板とを備えたヘルメットにおいて、
    前記係合部は、シールド板を前記前面開口部が全開になる全開位置と前記前面開口部が全閉になる全閉位置との間の常用範囲の中で回動させる場合は係合状態になり、かつシールド板を前記常用範囲の外に回動させた場合は非係合状態になる係止片を備え、
    前記係止片の一部は、シールド板を前記常用範囲の中の所定の取付位置に位置付けて固定軸基部材にヘルメット外側から押し付けることにより弾性によって係合が解除される方向に移動する爪片によって形成されているヘルメット。
  2. 請求項1記載のヘルメットにおいて、前記係合部が非係合状態になるシールド板の位置は、シールド板が前記全開位置より開いた位置であるヘルメット。
  3. 請求項1または請求項2記載のヘルメットにおいて、前記係合部は、シールド板の回動軸部に位置する固定軸基部材の固定側係合部およびシールド板の可動側係合部と、前記回動軸部とは離間した位置において円弧状に延在する固定軸基部材の円弧状係合部およびこれに係合するシールド板の係合用突起とから構成され、
    前記爪片は、前記固定側係合部と円弧状係合部とのうちいずれか一方に設けられているヘルメット。
  4. 請求項3記載のヘルメットにおいて、前記爪片は、前記固定軸基部材に移動自在に支持されたスライダと、このスライダと前記固定軸基部材との間に設けられたばね部材とによって構成されているヘルメット。
  5. 請求項3記載のヘルメットにおいて、前記爪片は、前記固定軸基部材に一体成形により一体に形成されているヘルメット。
  6. 請求項3ないし請求項5のうちいずれか一つに記載のヘルメットにおいて、前記円弧状係合部の一部であって、前記シールド板が前記固定側係合部と前記可動側係合部との係合が解除される位置に位置している状態で前記係合用突起と対応する部分には、前記係合用突起が挿通可能な第1の切り欠き部が設けられているヘルメット。
  7. 請求項3ないし請求項6のうちいずれか一つに記載のヘルメットにおいて、前記円弧状係合部の一部には、前記係合用突起との係合が解除される第2の切り欠き部が形成されているヘルメット。
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