JP2010187949A - 医療用チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む、カテーテル部材との溶着安定性、カテーテル操作性に優れた医療用チューブとその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなり、真空サイジングにより賦形されたことを特徴とする医療用チューブ11、更には、該樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で1時間加熱した際の外径維持率が、95%以上であることを特徴とする医療用チューブを提供した。
【選択図】図4

Description

本発明は、病院などの医療機関で好適に用いられる医療用カテーテル、或いはこれに用いられる医療用チューブに関し、更には末梢血管成形、冠状動脈成形及び弁膜成形等を実施する際の経皮的血管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty,PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)において使用される血管拡張用バルーンカテーテル、或いはこれに用いられる医療用チューブに関するものである。
患者の肉体的・時間的負担を軽減するために、経皮的に血管内にカテーテルを挿入して血管病変の治療を行う低侵襲の血管内手術が近年主流となっている。例えば、血管などの脈管において狭窄あるいは閉塞が生じた場合、脈管の狭窄部位あるいは閉塞部位を拡張して、血管末梢側への血流を改善するために行う脈管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty、PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplastyなど)は、多くの医療機関において多数の術例があり、この種の症例における手術としては一般的になっている。バルーンカテーテルは、主に冠状動脈や末梢血管の狭窄部位を拡張するために、ガイドカテーテルとガイドワイヤーとのセットで使用される。このバルーンカテーテルを用いた脈管形成術は、まずガイドカテーテルを大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈等の穿刺部位から挿入して大動脈を経て冠状動脈の入口に先端を位置させた後、バルーンカテーテルを貫通させたガイドワイヤーを冠状動脈の狭窄部位を超えて前進させ、その後バルーンカテーテルをガイドワイヤーに沿って前進させ、バルーンカテーテルのバルーン(以下バルーンとする)を狭窄部位に位置させた状態で膨張させて狭窄部位を拡張する手順で行い、そしてバルーンを収縮させて体外に除去する。しかし、バルーンカテーテルは、動脈狭窄の治療だけに限定されず、血管の中への挿入、ならびに種々の体腔への挿入を含む多くの医療的用途に有用である。
一方、バルーンカテーテルを大別すると、一般に、一術者で一通りの手技が可能となるシングルオペレータータイプ(RX,図1参照)とカテーテル先端からコネクタまで貫通しているオーバー・ザ・ワイヤタイプ(OTW,図2参照)の2つに分類される。バルーンカテーテルの構成として、いずれもシャフト1はバルーン2と連通し、ガイドワイヤを連通させるルーメン4を有している。シャフト1の近位部には、マニホールド3が設けられている。シングルオペレータータイプでは、一般にガイドワイヤのポート部5を先端から20cm〜35cmの部位に有していることが多く、またオーバー・ザ・ワイヤタイプでは、マニホールド3にガイドワイヤのポート部5と加圧流体供給口6を備えている場合が多い。
上記の血管内手術に使用されるカテーテルは、体内への挿入時において血管壁等を傷つけることなく迅速かつ正確に生体内の病変部まで到達できるような高い操作性と安全性が要求される。更に近年、心臓冠動脈を始めとした石灰化病変に対する治療に対し、カテーテル通過性及びバルーン拡張性に対する要求は、より高水準なものになりつつある。
具体的には、血管内等への挿入、引出しなど、術者の微細な操作が基部から先端部に確実に且つスムーズに伝達されるための位置調節性が上記いずれのタイプにも要求される。
この位置調節性にはカテーテルが伸びにくいという特性が必要である。またカテーテルの基部で加えられた押込力が確実に伝達されるための押込力伝達性が必要である。加えて病変部でバルーンを拡張させた際のカテーテルの耐圧性が必要となる。これらを満足させるために、柔軟なバルーン材料と接合し得る、樹脂および/またはエラストマーを熱処理することにより強度向上させたチューブを有するカテーテル構造が開発されている。
その強度向上の手法として、例えば特許文献1では、機械的特性、肉厚が規定された熱可塑性樹脂を用いて、温度範囲を規定した熱処理によりチューブ耐圧強度を向上させたものが開示されている。しかしながら熱処理によりチューブ耐圧強度は満足するものの、設備の状態、或いは樹脂ロットによって熱処理後のチューブの収縮率が異なる場合があり、生産収率の観点で問題があった。
またバルーン材料と接合する手法として、例えば特許文献2では、バルーン近位側のスリーブとスリーブと同径或いは小径のチューブを突当溶着されていることを特徴とする医療用バルーンカテーテルが開示されている。突当溶着により、バルーンとの極端な剛性変化、接合段差がなくなることが特徴として挙げられているが、上記により収縮率が異なる熱処理チューブを突当溶着に適応させる上で、精密な部品検査が必要になる等、生産コストの増大が問題であった。
さらに強度向上を実現するカテーテル構造として、例えば特許文献3では、内層チューブ上に縦糸と横糸を交互に交差させた編物から形成する補強層を備えたカテーテルチューブが開示されている。これによりカテーテルチューブの耐圧性と剛性を向上させるが、該チューブをバルーンカテーテルへ適応した場合、該チューブとバルーン部材とを接合させる際に編物を形成している糸の飛び出しが生じる可能性があり、カテーテルの品質保証上、精密な検査を行う必要があり、生産性が劣るという問題があった。
特開平11−244385号公報 特開2003−175110号公報 特開2000−225195号公報
上記現状に鑑み、本発明の課題は、寸法安定性が高いために接合安定性等に優れ、更に、押込力伝達性に優れるために、カテーテルに使用した際にカテーテルの操作性を向上可能な医療用チューブと、その製造方法を提供することである。
かかる状況に鑑み、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなり、真空サイジングにより賦形されたことを特徴とする医療用チューブを提供した。従来、ポリアミド系樹脂においては、所望の寸法のチューブを比較的容易に作成することが可能であったことから、余計な設備が必要となりコストがかかる点、製造が煩雑になる点、特に医療用チューブの製造においては汚染の原因となる工程を削減する点から真空サイジングによる賦形は行われていなかった。しかし、本発明者は、特にポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなる系において、真空サイジングにより賦形を行うことで、その後のチューブ加工時における寸法変化、特に熱処理を受けた際の寸法変化を大きく低減することが可能であること、更には押込力伝達性を飛躍的に高めることが可能となることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明によれば、寸法安定性が高いために接合安定性等に優れ、更に、押込力伝達性に優れるために、カテーテルに使用した際にカテーテルの操作性を向上することが可能となる。
また、真空サイジングによる賦形の後に、構成する樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で加熱して得られたことを特徴とする前記医療用チューブを提供した。これによれば、更に押込力伝達性等を高めることが可能となる。尚、この医療用チューブを医療用カテーテルに用いる際に、該医療用チューブを事前に別途加熱しておくことも考えられるが、例えば溶着工程などの様に、医療用カテーテルに組み込む際に必要となる加熱を利用して行うことも考えられる。
また、ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなり、該樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で1時間加熱した際の外径維持率が、95%以上であることを特徴とする医療用チューブ、更には、前記加熱を行った際の内径維持率が、95%以上であることを特徴とする医療用チューブを提供した。
また、ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなり、チューブの長手方向に対しEnd ViewでX線回折測定した際の、(200)面のピーク高さに対する(020)面のピーク高さの割合が、0.15以上であることを特徴とする医療用チューブを提供した。
また、15mmの長さのチューブの一端を固定された荷重計に固定し(固定端)、他端(荷重端)を駆動可能な荷重計に固定した状態で、荷重端を駆動可能な荷重計により2mm押し込んで荷重を加えた際の、下記式で表される押込力伝達率(A1)が、0.50以上であることを特徴とする、前記医療用チューブを提供した。
押込力伝達率(A1)=(固定端に発生した荷重(D1))/(荷重端に加えた荷重(P1))
また、医療用チューブの肉厚が、0.03mm以上、0.50mm以下であることを特徴とする、前記医療用チューブを提供した。
更に、金属素線及び/または樹脂素線からなる補強層を内層、外層、或いは中間層から選ばれる何れかの形態として有していることを特徴とする、前記医療用チューブを提供した。
また、前記医療用チューブを使用して形成したことを特徴とする医療用カテーテルを提供した。これによれば、接合部等の段差の小さい医療用カテーテルを安定して製造することが可能となる。また、この様にして形成された医療用カテーテルは、押込力伝達性に優れることとなる。
また、前記医療用チューブをパリソンとして用いて形成したことを特徴とする医療用バルーンカテーテルを提供した。
また、ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物を溶融し、真空サイジング型により賦形することを特徴とする医療用チューブの製造方法を提供した。これによれば、寸法安定性が高いために接合安定性等に優れ、更に、押込力伝達性に優れるために、カテーテルに使用した際にカテーテルの操作性を向上可能な医療用チューブを製造することが可能となる。
また、前記真空サイジング型による賦形が、押出直後に行われることを特徴とする前記医療用チューブの製造方法を提供した。
本発明の医療用チューブは、寸法安定性が高いために接合安定性等に優れ、更に、押込力伝達性に優れるために、カテーテルに使用した際にカテーテルの操作性を向上可能である。また、その為に優れた医療用カテーテル、医療用バルーンカテーテルを提供することが可能となる。
シングルオペレータータイプのバルーンカテーテルの側面図である。 オーバー・ザ・ワイヤタイプのバルーンカテーテルの側面図である。 押込力伝達率を測定する為の装置の側面図である。 接合安定性を評価する為のバルーンスリーブとチューブを溶着したサンプルの側面図である。 カテーテルの操作性を評価する為の、心臓冠動脈を模擬した評価プレート16を有する模擬血管回路の図である。 心臓冠動脈を模擬した評価プレート16の図である。 本発明の医療用チューブを成形する装置の概略図である。 本発明の実施例1に係る医療用チューブのX線回折チャートである。 比較例1に係る医療用チューブのX線回折チャートである。
本発明は、ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなり、真空サイジングにより賦形されたことを特徴とする医療用チューブ、更には、真空サイジングによる賦形の後に、構成する樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で加熱して得られた医療用チューブに関するものである。これによれば、該樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で1時間加熱した際の外径維持率が95%以上、更には、内径維持率が95%以上などと、寸法安定性の高い医療用チューブが形成でき、例えば、チューブを接合する際、特に溶着等の加熱を伴う接合を行う際に接合安定性に優れることとなる。尚、ここで外径維持率、内径維持率は、それぞれ以下の式によりもとめられる値を意味する。
外径維持率(%)=(熱処理後チューブ外径)/(熱処理前のチューブ外径)×100
内径維持率(%)=(熱処理後チューブ内径)/(熱処理前のチューブ内径)×100
特に最近になり、カテーテルの小径化に伴う要求精度の向上、或いは、接合部分の段差減少による患者への負担低減等の目的から、より高度な寸法安定性が求められる様になってきており、該外径維持率及び内径維持率は、それぞれ95%以上であることが好ましく、さらには96%以上、特に97%以上であることが好ましい。例えば、チューブの外径維持率、或いは内径維持率を上記範囲内にすることで、バルーンスリーブとの突当溶着に際しても、溶着後のスリーブ−チューブ間の外径段差低減、或いは溶着後の内径低減等を抑えることができ、生産収率の向上が期待できる。一方、外径維持率、或いは内径維持率が上記範囲を下回ると、突き当て溶着時の外径段差発生、及び加工時の芯材引き抜きができないといった生産上の問題に繋がり、好ましくない。
尚、真空サイジングによる賦形の後に、構成する樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で加熱することで、寸法安定性、接合安定性、押込力伝達性、ひいては使用して作成したカテーテルの操作性を更に高めることが可能であるが、一方でこの様な熱処理により寸法変化が生じることから(但し、本発明の医療用チューブにおいては、従来の医療用チューブに比べその変化量は低減されている。)、安定して目的の寸法の医療用チューブを生産することが特に重要な場合には、真空サイジングによる賦形の後に熱処理を行うことなしに、医療用チューブとして使用することが好ましい。
また、前記医療用チューブは、15mmの長さのチューブの一端を固定された荷重計に固定し(固定端)、他端(荷重端)を駆動可能な荷重計に固定した状態で、荷重端を駆動可能な荷重計により2mm押し込んだ際の、下記式で表される押込力伝達率(A1)が、0.50以上などと押込力伝達性に優れる医療用チューブが形成でき、これを各種カテーテルに使用した際にそのカテーテルの操作性を向上することが可能となる。
押込力伝達率(A1)=(固定端に発生した荷重(D1))/(荷重端に加えた荷重(P1))
特に、本発明における医療用チューブの押込力伝達率は、0.50以上であることが好ましく、さらには0.55以上、特に0.60以上であることが好ましい。一方、押込力伝達率が上記範囲を下回ると、カテーテル操作の際に、カテーテル先端部に十分な荷重を伝達することができないために手技が難渋する可能性が高まり、好ましくない。
また、前記医療用チューブは、チューブの長手方向に対しEnd ViewでX線回折測定(チューブを輪切りして得られる断面に対し測定)を行った際に、(200)面のピーク高さに対する(020)面のピーク高さの割合が、0.15以上となる新規な医療用チューブを構成することが可能となる。特に、ピーク高さの割合は、従来の方法で賦形した場合に対し特に顕著に物性の差が現れる点から、0.30以上であることが好ましく、特に0.40以上であることが好ましい。
尚、Journal of Polymer Science: PartB : Polymer Physics, Vol.40,1189−1200(2002)によれば、それぞれチューブの長手方向、径方向に寄与する回折面(020)面、(200)面の回折ピークがいずれも顕著になることは、チューブの長手方向及び径方向の両方向に大きく配向していることを表す様である。本発明者の推測によれば、長手方向のみならず径方向にもポリマー鎖が配向することによって、熱処理時におけるポリマー鎖の緩和が拘束され、前記外径維持率、内径維持率が向上するなど、当該チューブの寸法安定性が向上し、更に押込力伝達性に優れることに繋がっていると考えている。
尚、本発明の医療用チューブは、特定の方法で形成されたものに限定されるものでなく、上述の各々の特徴を有する新規な医療用カテーテルに関するものである。
1.医療用チューブの材質
一般に医療用チューブの材質として各種樹脂材料が用いられるが、本発明の医療用チューブでは、特にポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物から構成されていることが必要である。特に効果の発現が顕著な点から、樹脂組成物中のポリアミド樹脂、或いはその骨格の占める割合が大きいことが好ましく、樹脂組成物中のポリアミド樹脂骨格の重量分率が、80重量%以上(ショア硬度63D相当)、更には90重量%以上(ショア硬度70D相当)、特に100%(ポリアミド)であることが好ましい。また、使用可能なポリアミド骨格としては、寸法安定性と関連する低吸水性のポリアミド12、ポリアミド11、芳香族ポリアミドなどが挙げられるが、特にポリアミド12が好ましい。
2.医療用チューブの肉厚
本発明における医療用チューブの肉厚は、例えば0.03mm以上、0.50mm以下であることが好ましく、さらに0.04mm以上、0.30mm以下、特に0.05mm以上、0.10mm以下であることが好ましい。特に、真空サイジング法により肉厚を上記範囲内のように薄いものとして得ることができるので、例えば、チューブの細径化においても内径を比較的広くすることができ、バルーンデフレ−ション時間の短縮や、曲路血管中での追従性向上が期待できる(特に、本発明では、押込力伝達性が向上することから、キンク等の発生を低減しつつ、従来よりも薄肉化を進めることが可能となる。)。ただしチューブの肉厚が上記範囲を下回ると、真空サイジング法による賦形の際に、サイジング金型への密着性が増大し賦形ができなくなる可能性があり、好ましくない。また肉厚が大きすぎると溶着時間の増大といった生産上の問題や、デフレーション時間の増加、剛性アップに伴うカテーテルの挿入性等の性能低下に繋がり、好ましくない。
3.補強層
本発明の医療用チューブに補強層を設ける際(例えば、内層、外層、或いは中間層から選ばれる何れかの形態として配置することが可能である。)、その形態は特に限定されるものではないが、例えば編組、コイル、或いはこれらの組合せで形成することができる。編組或いはコイルに使用される材質としては、特に限定されるものではないが、金属素線、合成樹脂素線が適宜使用される。
金属素線としては、ステンレス鋼、バネ鋼、オイルテンパー線、銅、タングステン、ニッケル、チタン、ピアノ線、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−Al合金、Cu−Zn合金、Cu−Zn−X合金(例えば、X=Be,Si,Sn,Al,Ga)のような超弾性合金、アモルファス合金等の各種金属素線が用いられる。これらの材料のうち、加工性、経済性、毒性がないこと等の理由から、ステンレス鋼の使用が好ましい。
また金属素線の線形状としては、丸線、平角線、楕円形状、三角線からなる異形線等が適宜使用される。素線の厚みは、5μm以上、100μm以下とするのが、補強層を安定的に加工する上で好ましい。
合成樹脂素線としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリオキシメチレン、高張力ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニルケン化物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ケブラーに代表される芳香族ポリアラミドなど、これらのうちのいずれかを含むポリマーアロイ、カーボンファイバー、グラスファイバーが挙げられる。また線形状としては、丸線、平角線、楕円形状、三角線からなる異形線等が適宜使用される。素線の厚みは、5μm以上、100μm以下とするのが、補強層を安定的に加工する上で好ましい。
4.多層構造
本発明の医療用チューブは、その一部に上記各特徴を有する層を配置すると共に、更に補強層等の他の層を設けるなどして、多層構造とすることが可能である。例えば、補強層の内側、外側の何れか一方、或いはその両方に配置することが可能である。尚、このような医療用チューブを形成する方法としては、例えば接着剤を介して被覆する方法、熱収縮チューブを用いて加熱融着により外層を被覆する方法、気密な状態で外層を被覆する方法が挙げられる。或いは、上記チューブを内層として内腔に芯線を通した後、上記素線を用いての編組或いはコイルを付与し補強層を形成する方法などが適宜選択される。
5.製造方法
本発明の医療用チューブは、ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物を溶融し、真空サイジング型により賦形することにより、好適に製造することが可能である。例えば、ダイを通して押出された中空状の溶融物を、水槽の手前に配設された真空サイジング型(通称:キャリブレーター)を経由してチューブ形状に冷却賦形することが可能である。真空サイジング型は、チューブ外面が減圧状態に保持できるよう、多数のキャビテイが設けられていてもよい。またサイジング型の断面は、円形状や、楕円形状、異形状等が適宜選定されてもよい。また型の長手方向に対して、スリットを有するものや、リングを重ね合わせたものであってもよい。
6.評価方法
(外径、内径の測定)
キーエンス株式会社製レーザー外径測定機LS−3100を用い、得られた医療用チューブの外径を計測した。また前記チューブの内径は、株式会社アイゼン製ピンゲージを用いて計測した。また、この様にして計測した外径、内径を元に、上述の式を用いて、外径維持率及び内径維持率を算出した。
(押込力伝達性試験)
図3に示すように、2個の荷重計7、8(株式会社日本電産製)を対称に配置すると共に、15mmの長さのチューブ9の一端を固定された荷重計7に固定し(固定端)、他端(荷重端)を駆動可能な荷重計8に固定し、荷重端の駆動可能な荷重計をダイアルゲージにて0.2mm毎押し込んだ際の荷重端に加えた荷重(P/gf)及び固定端に発生した荷重(D/gf)を計測した。2.0mm押し込んだ際の固定端に発生した荷重(D1/gf)を荷重端に加えた荷重(P1/gf)で割ったもの(D1/P1)を押込力伝達率(A1)として、押込力伝達性の指標とした。押込力伝達率(A1)の値が大きいほど、カテーテルの押込力伝達性、即ち手元部の力が先端部に十分伝わることから操作性に優れると判断した。なお、本試験は外径2.0mm以下、肉厚0.25mm以下、更には外径1.2mm以下、肉厚0.15mm以下、特に外径1.0mm以下、肉厚0.10mm以下のチューブに適用することが好ましい。
(溶着性試験)
作成したチューブ11と別途準備したバルーンスリーブ10を、芯材を通して図4に示した突合せ配置とし、更にその上に熱収縮チューブを被覆後、熱風により突合せ溶着を行って図4の構造を有するバルーンカテーテルを作成した。また、作成したバルーンカテーテルにおけるバルーンスリーブ10とチューブ11との間の溶着段差有無を触感にて確認した。触感で段差のあるものを×、段差のないものを○として判定した。
(操作性試験)
操作性試験として、図5に示すように、37℃の生理食塩水を満たした水槽12中に大動脈弓模擬管13及びガイドカテーテル14を配置し、Y型コネクタ15をガイドカテーテル14に固定した。ガイディングカテーテル14の先端は心臓冠動脈を模擬した評価プレート16に接続し、ガイドカテーテル14の内部には0.014”インチのガイドワイヤを予め挿通した。図6に拡大して示す評価プレート16は、φ4.0mmの溝19になっており、屈曲部18を有する。屈曲部18の曲率半径はそれぞれ10mmとした。また、実施例及び比較例のカテーテル17をY型コネクタ15を通じてガイドカテーテル14内のガイドワイヤに沿って挿入したときの操作時における座屈性有無を評価した。
評価法は、カテーテル17を50mm/secの速度でプレートに挿入し、120mm挿入した際の本体部における座屈の有無を目視にて確認した。カテーテル本体部のいずれも座屈しなかったものを○、カテーテル本体部のいずれかが座屈したものを×とした。
(広角X線回折測定)
チューブを径方向ならびに長手方向にカットし、これらをスライドガラス上に夫々セットし、広角X線回折装置((株)スペクトリス製,使用X線:Cu・Kα線)を用いて、走査速度0.10°/sec、角度域3〜70°にて測定を実施した。
以下に本発明に係る具体的な実施例及び比較例について詳説するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリアミドエラストマー(商品名:Pebax7233SA01、アルケマ社製融点174℃)を使用し、図7に示した押出機20、真空サイジング型を有する冷却水槽21、引取機22からなる装置を用い、水槽中の真空度を−0.4barに調整し、チューブの押出成形を実施した。作成したチューブの外径及び内径は、夫々0.89mm、0.76mmであった。
この様にして押出成形して得られたチューブを、100℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフトの外径及び内径は、夫々0.87mm、0.73mmであり、これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々98%、96%であった。
また、押出成形して得られたチューブを、120℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフトの外径及び内径は、夫々0.86mm、0.72mmであった。これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々97%、95%であった。
また、押出成形して得られたチューブを、140℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフトの外径及び内径は、夫々0.85mm、0.72mmであった。これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々96%、95%であった。
また、押出成形して得られたチューブと、別途準備したバルーン(バルーン直管部の外径3.0mmφ、スリーブ外径0.88mmφ、スリーブ内径0.73mmφ)を用い、溶着性試験を実施した。実際には、先ず0.73mmφの芯材を上記チューブに通し、更にバルーンの近位側スリーブに通し、これらを図4に示した突合せ配置とし(芯材は省略)、更にその上に熱収縮チューブを被覆後、熱風溶着機の設定値を260℃、5L/minに設定し、突合せ溶着を行い、実施例1のサンプル(バルーンカテーテル)を作製した。このバルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
さらに、このバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、カテーテル本体の座屈は確認されず、判定は○であった。
また、別途取っておいた上記押出成形して得られたチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.50であった。
(実施例2)
実施例1において100℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、実施例2のチューブとした。実施例2のチューブを更に100、120、140℃で1時間熱処理した場合、外径維持率及び内径維持率共に、その値は実施例1より更に高い値であった。
また、0.70mmφの芯材を用いる以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、カテーテル本体の座屈は確認されず、判定は○であった。
また、別途取っておいた実施例2のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.52であった。
(実施例3)
実施例1において120℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、実施例3のチューブとした。実施例3のチューブを更に100、120、140℃で1時間熱処理した場合、外径維持率及び内径維持率共に、その値は実施例1より更に高い値であった。
また、0.70mmφの芯材を用いる以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、カテーテル本体の座屈は確認されず、判定は○であった。
また、別途取っておいた実施例3のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.61であった。
(実施例4)
実施例1において140℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、実施例4のチューブとした。実施例4のチューブを更に100、120、140℃で1時間熱処理した場合、外径維持率及び内径維持率共に、その値は実施例1より更に高い値であった。
また、0.70mmφの芯材を用いる以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、カテーテル本体の座屈は確認されず、判定は○であった。
また、別途取っておいた実施例4のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.66であった。
(実施例5)
押出成形して得られたチューブの外径及び内径を、夫々0.91mm、0.76mmとした以外は、実施例1と同一の方法で、チューブを作成した。
この様にして押出成形して得られたチューブを、140℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフトの外径及び内径は、夫々0.88mm、0.74mmであり、これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々97%、97%であった。
また、押出成形して得られたチューブを用いて、実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、カテーテル本体の座屈は確認されず、判定は○であった。
また、別途取っておいた上記押出成形して得られたチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.58であった。
(実施例6)
実施例5において140℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、実施例6のチューブとした。実施例6のチューブを更に140℃で1時間熱処理した場合、外径維持率及び内径維持率共に、その値は実施例5より更に高い値であった。
また、0.73mmφの芯材を用いる以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、カテーテル本体の座屈は確認されず、判定は○であった。
また、別途取っておいた実施例6のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.72であった。
(実施例7)
ポリアミド12(商品名:RilsanA AESNOTL、アルケマ社製、融点178℃)を用いて、実施例1と同様の方法でチューブの押出成形を実施した(水槽中の真空度を−0.4barに調整した。)。作成したチューブの外径及び内径は、夫々0.89mm、0.76mmであった。
この様にして押出成形して得られたチューブを、140℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフト外径及び内径は、夫々0.86mm、0.72mmであり、これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々97%、95%であった。
また、押出成形して得られたチューブを用いて、実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、カテーテル本体の座屈は確認されず、判定は○であった。
また、別途取っておいた上記押出成形して得られたチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.60であった。
(実施例8)
実施例7において140℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、実施例8のチューブとした。実施例8のチューブを更に140℃で1時間熱処理した場合、外径維持率及び内径維持率共に、その値は実施例7より更に高い値であった。
また、0.70mmφの芯材を用いる以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、カテーテル本体の座屈は確認されず、判定は○であった。
また、別途取っておいた実施例8のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.69であった。
(比較例1)
実施例1と同じポリアミドエラストマー(商品名:Pebax7233SA01、アルケマ社製、融点174℃)を用い、真空サイジング機構を使用せずにエア吹き込みにてチューブ押出成形を実施した。作成したチューブの外径及び内径は、夫々0.89mm、0.76mmであった。
この様にして押出成形して得られたチューブを、100℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフトの外径及び内径は、夫々0.84mm、0.70mmであり、これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々94%、93%であった。
また、押出成形して得られたチューブを、120℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフトの外径及び内径は、夫々0.84mm、0.69mmであった。これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々94%、92%であった。
また、押出成形して得られたチューブを、140℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフトの外径及び内径は、夫々0.82mm、0.68mmであった。これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々92%、91%であった。
また、押出成形して得られたチューブを用いて、実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間に段差が生じ判定は×であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間溶着箇所で座屈が生じ、判定は×であった。
また、別途取っておいた上記押出成形して得られたチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.41であった。
(比較例2)
比較例1において100℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、比較例2のチューブとした。比較例2のチューブを更に100、120、140℃で1時間熱処理したところ、外径維持率及び内径維持率共に、その値は比較例1より高い値となり、95%以上となった。
また、0.67mmφの芯材を用いると共に、バルーンスリーブの外径、内径をそれぞれ0.84mmφ、0.70mmφとする以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
しかし、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間溶着箇所で座屈が生じ、判定は×であった。
また、別途取っておいた比較例2のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.43であった。
(比較例3)
比較例1において120℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、比較例3のチューブとした。比較例3のチューブを更に100、120、140℃で1時間熱処理したところ、外径維持率及び内径維持率共に、その値は比較例1より高い値となり、95%以上となった。
また、0.67mmφの芯材を用いると共に、バルーンスリーブの外径、内径をそれぞれ0.84mmφ、0.70mmφとする以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間溶着箇所で座屈が生じ、判定は×であった。
また、別途取っておいた比較例3のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.45であった。
(比較例4)
比較例1において140℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、比較例4のチューブとした。比較例4のチューブを更に100、120、140℃で1時間熱処理したところ、外径維持率及び内径維持率共に、その値は比較例1より高い値となり、何れも95%以上となった。
また、0.67mmφの芯材を用いると共に、バルーンスリーブの外径、内径をそれぞれ0.84mmφ、0.70mmφとする以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間溶着箇所で座屈が生じ、判定は×であった。
また、別途取っておいた比較例4のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.49であった。
(比較例5)
押出成形して得られたチューブの外径及び内径を、夫々0.91mm、0.76mmとした以外は、比較例1と同一の方法(エア吹き込み)で、チューブを作成した。
この様にして押出成形して得られたチューブを、140℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフトの外径及び内径は、夫々0.85mm、0.70mmとなり、熱処理前後での外径維持率及び内径維持率は、夫々93%、92%であった。
(比較例6)
比較例5において140℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、比較例6のチューブとした。比較例6のチューブを更に140℃で1時間熱処理した場合、外径維持率及び内径維持率共に、その値は比較例5より高い値となり、何れも95%以上となった。
また、0.67mmφの芯材を用いると共に、バルーンスリーブの外径、内径をそれぞれ0.84mmφ、0.70mmφとする以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブとシャフト間に段差はなく、溶着性試験の判定は○であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間溶着箇所で座屈が生じ、判定は×であった。
また、別途取っておいた比較例6のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.49であった。
(比較例7)
ポリアミド12(商品名:RilsanA AESNOTL、アルケマ社製、融点178℃)を用いて、比較例1と同様の方法(エア吹き込み)で、チューブの押出成形を実施した。作成したチューブの外径及び内径は、夫々0.89mm、0.76mmであった。
この様にして押出成形して得られたチューブを、140℃X1hrの条件で熱処理したところ、熱処理後のシャフト外径及び内径は、夫々0.81mm、0.67mmであり、これを元に熱処理前後の外径維持率及び内径維持率を算出すると、夫々91%、88%であった。
(比較例8)
比較例7において140℃X1hrの条件で熱処理したチューブを、比較例8のチューブとした。比較例8のチューブを更に140℃で1時間熱処理した場合、外径維持率及び内径維持率共に、その値は比較例7より更に高い値となり、何れも95%以上となった。
また、0.64mmφの芯材を用いると共に、バルーンスリーブの外径、内径をそれぞれ0.84mmφ、0.70mmφとする以外は実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間に段差が生じ判定は×であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間溶着箇所で座屈が生じ、判定は×であった。
また、別途取っておいた比較例8のチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.49であった。
(比較例9)
ポリウレタン(商品名:Tecoflex EG65D Lubrizol社製)を用いて、実施例1と同様の方法(水槽中の真空度は−0.4barに調整した。)でチューブの押出成形を実施した。作成したチューブの外径及び内径は、夫々0.89mm、0.76mmであった。
また、このチューブを用いて、実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間に段差が生じ判定は×であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間溶着箇所で座屈が生じ、判定は×であった。
また、別途取っておいた上記押出成形して得られたチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.30であった。
(比較例10)
比較例9と同じポリウレタンを用い、比較例1と同じくエア吹き込みにてチューブの押出成形を実施した。作成したチューブの外径及び内径は、夫々0.89mm、0.76mmであった。
また、このチューブを用いて、実施例1と同じ方法で溶着性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間に段差が生じ判定は×であった。
また、溶着性試験で作成したバルーンカテーテルを用いて操作性試験を実施したところ、バルーンスリーブ−シャフト間溶着箇所で座屈が生じ、判定は×であった。
また、別途取っておいた上記押出成形して得られたチューブを用いて押込力伝達性試験を行ったところ、押込力伝達率は0.29であった。
比較例9と10の比較から、ポリウレタンでは、ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーとは異なり、真空サイジングによる賦形によっても、寸法安定性、接合安定性、押込力伝達性等の特性が変化しないことが確認される。
(広角X線回折評価)
図8に実施例1のX線回折チャート、図9に比較例1のX線回折チャートを示した。真空サイジング型により賦形を行った実施例1のみに、長手方向の配向に関連する(200)面に加え、径方向の配向に関連する(020)面のピークが確認され、チューブの長手方向及び径方向の両方向に大きく配向していることが確認できる。尚、チャート上にベースラインをひき、その上のピーク高さをもとめ、(200)面のピーク高さに対する(020)面のピーク高さの割合を算出したところ、実施例1は0.44、比較例1は0.07であった。
また、表1に各実験結果を纏めたが、本発明の医療用チューブに該当する実施例は、従来の方法で形成された比較例に比べ、何れも寸法安定性が高く、溶着時に段差を生じにくいことに加え、更に押込力伝達性に優れ、これに伴いカテーテルの操作性が優れていることが確認できる。
1.シャフト
2.バルーン
3.マニホールド
4.ルーメン
5.ガイドワイヤのポート部
6.加圧流体供給口
7.荷重計測機(先端側)
8.荷重計測機(手元側)
9.,11.チューブ
10.バルーンスリーブ
12.水槽
13.大動脈弓模擬管
14.ガイドカテーテル
15.Y型コネクタ
16.評価プレート
17.カテーテル
18.屈曲部
19.溝
20.押出機
21.冷却水槽
22.引取機

Claims (12)

  1. ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなり、真空サイジングにより賦形されたことを特徴とする医療用チューブ。
  2. 真空サイジングによる賦形の後に、構成する樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で加熱して得られたことを特徴とする、請求項1に記載の医療用チューブ。
  3. ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなり、該樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で1時間加熱した際の外径維持率が、95%以上であることを特徴とする医療用チューブ。
  4. 構成する樹脂組成物の融点より30℃〜80℃低い範囲のいずれかの温度で1時間加熱した際の内径維持率が、95%以上であることを特徴とする、請求項3に記載の医療用チューブ。
  5. ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物からなり、チューブの長手方向に対しEnd ViewでX線回折測定した際の、(200)面のピーク高さに対する(020)面のピーク高さの割合が、0.15以上であることを特徴とする医療用チューブ。
  6. 15mmの長さのチューブの一端を固定された荷重計に固定し(固定端)、他端(荷重端)を駆動可能な荷重計に固定した状態で、荷重端を駆動可能な荷重計により2mm押し込んで荷重を加えた際の、下記式で表される押込力伝達率(A1)が、0.50以上であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の医療用チューブ。
    押込力伝達率(A1)=(固定端に発生した荷重(D1))/(荷重端に加えた荷重(P1))
  7. 医療用チューブの肉厚が、0.03mm以上、0.50mm以下であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の医療用チューブ。
  8. 更に、金属素線及び/または樹脂素線からなる補強層を内層、外層、或いは中間層から選ばれる何れかの形態として有していることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の医療用チューブ。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の医療用チューブを使用して形成したことを特徴とする医療用カテーテル。
  10. 請求項1〜8の何れか1項に記載の医療用チューブをパリソンとして用いて形成したことを特徴とする医療用バルーンカテーテル。
  11. ポリアミド及び/またはポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物を溶融し、真空サイジング型により賦形することを特徴とする医療用チューブの製造方法。
  12. 前記真空サイジング型による賦形が、押出直後に行われることを特徴とする請求項11に記載の医療用チューブの製造方法。
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