JP2003251680A - 押出成形用ダイ、積層管状体の製造方法および積層管状体 - Google Patents

押出成形用ダイ、積層管状体の製造方法および積層管状体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】チューブ円周方向へのポリマー配向を達成し、
液晶ポリマーなどの特殊ポリマーを用いなくても押し込
み性、トルク伝達性、追随性、耐キンク性等を改善しう
る押出成形ダイ、および多層管状体、その製造方法を提
供する。 【解決手段】少なくとも2層以上の管状積層体の共押出
成形において、各ポリマー層の管状流路合流部で、ダイ
スまたはマンドレルポイント部の少なくとも一方を回転
させることが可能な多層押出成形ダイ。特に中間層に内
外層材料よりも溶融粘度の低い材料を用いた共押出成形
による管状積層体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円周方向へのポリ
マー配向を押出成形と同時に行なうことができる積層管
状体押出成形用ダイおよびこれを用いる積層管状体の製
造方法、さらにはカテーテルなどの医療用複合チューブ
として好適な積層管状体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリマー材料からなる管状体は、一般
に、内部に横断面環状の空隙からなる流路を有するダイ
(サーキュラーダイとも通称される)内に、押出機から
溶融ポリマー流を圧入して該流路内を通過させ、管形状
に賦形し、これを固化する押出成形法により製造され
る。管状体は、従来、広範な用途で使用されており、目
的に応じた性能が要求される。たとえば医療分野におい
て、カテーテルなどのチューブとして使用される場合に
は、押し込み性、トルク伝達性、追随性、耐キンク性等
の操作性が要求される。
【0003】上記のような特性を付与するために、編組
(ブレード)等の補強体を含ませた管状体が製造されて
いる。一方、ポリマー材料からなる成形品の強度を高め
るには、材料ポリマーを配向させることが有効であるこ
とも知られている。管状体成形における材料ポリマーの
配向方法としては、管状体径を大きい径から小さい径に
強制的に縮径(引き落とし)する方法が知られており、
径の引き落とし倍率により配向度合を調整することがで
きる。また冷間引き落としによるネッキング延伸方法で
管状体を縮径する方法も知られている。これら縮径によ
る方法では、管状体長手方向へのポリマーの配向は可能
であるが、後者のネッキング延伸方法であっても円周方
向へはほとんど配向されない。
【0004】ポリマー管状体、特に医療用途に使用され
る上記カテーテルなどは、トルク操作性、フープ強度な
どが求められ、管状体のこれら性能を向上させるために
は、ポリマーを円周方向にも配向させる必要がある。管
状体円周方向にポリマーを配向させる従来一般的な方法
としては、押出成形で得たパリソンをブロー成形等の後
加工により延伸・拡径する方法が知られている。しかし
後加工時に寸法を大きく変化させなければならないこ
と、また成形工程が二度手間となりやすいという問題が
ある。
【0005】近年、外型または/および内型を回転させ
る、いわゆる回転ダイを用いて、管状体成形時にポリマ
ー材料に円周方向のせん断応力をかけ、配向させること
が試みられている。例えば、米国特許5,156,78
5号では、液晶ポリマーの管状体を押出成形する際に、
成形ダイの押出オリフィス部材(外型)とマンドレル
(内型)とを相対回転させ、内部流路を通過する液晶ポ
リマーに強烈なせん断力をかけることが提案されてい
る。この提案によれば、押出流れ方向のせん断力と径の
引き落としによる管状体の軸長手方向への配向ととも
に、外型と内型との相対回転によるせん断力により、管
状体円周方向にも配向させ、製品管状体のポリマー鎖を
螺旋状に配向させることができる。
【0006】また液晶ポリマーの3層フィルム成形する
際に、3ローターマンドレル式のサーキュラダイを用
い、各層のマンドレルを相対的に相互に回転方向を変え
て回転させ、強烈なせん断力をかける液晶ポリマーの多
層配向フィルムを得る方法も報告されている(R.W.Lusi
gneaの学会発表“Extrusion of Oriented LCP Film and
Tubing ”Conference on Applications of High Temper
ature Polymers p.41-59 (1997);Clearwater Beac
h)。しかしながら上記方法は、いずれも特殊で高価な
ポリマーである液晶ポリマーを用いることが必須であ
る。また3つのマンドレルを相対的に回転させる方法で
は、非常に複雑な構造となり、装置が大型化する。複数
のマンドレルを用いる多層管状体成形に、マンドレル部
の回転により大きなせん断力を得る技術を適応すること
は難しい。
【0007】また特開2001−162675号にも、
外型と内型とを相対回転させて多層ブローボトル用パリ
ソンを押出成形する方法が提案されている。該方法で
は、2種以上のポリマー材料をブレンド溶融して実質的
に均一ブレンド物としてポリマー流路に供給し、ダイの
回転により環状流路面に発生するせん断応力の差により
多層構造を形成している。しかしながらこのような方法
で溶融ブレンド物から多層構造を形成するためには、粘
度差のあるポリマー材料を用いる必要があり、特殊なポ
リマー材料の組合せでなければ所望構成の多層構造を得
ることは困難である。
【0008】また特開平10−29237号には、二種
類のポリマーを回転スパイラルダイに分配供給し、マン
ドレル部を回転させ、緻密な多層積層構造を形成する多
層インフレーションフィルム成形法が開示されている。
この方法では、上記多層パリソンの押出成形方法ほどは
ポリマーの組合せが限定されないが、回転スパイラルダ
イにより本質的に強力なせん断応力をかけるため、法線
応力効果(ワイセンベルグ効果)による縮径が避けられ
ない。このため寸法制御などの運転条件の設定・安定化
が極めて困難となる。
【0009】法線応力効果は、ポリマー溶融体(粘性流
体)中に棒を挿入し、回転させると棒の周りの溶融体が
棒に巻き付く様に盛りあがってくる現象である。この現
象が回転ダイを用いる管状体成形においては管状体の縮
径現象として現れることは、たとえば単層ダイで回転マ
ンドレルを用いるグプタらの文献(A.Gupta et,al.“In
fluence of a Rotating Tip on the Properties of Tub
ing Made Using a Cross-Head Tubing Die", Intern. P
olymer Processing XIV p.51-56 (1999))に報告されて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
なポリマー材料からなる管状体の現況に鑑みて、特に押
し込み性、トルク伝達性、追随性、耐キンク性等の操作
性に優れ、医療用管状体として好適に使用しうる押出成
形品を、液晶ポリマーあるいはポリマーの限定的なブレ
ンド等の特殊なポリマーを用いなくても容易に得ること
を目的になされたものであって、このような管状体を製
造しうる単純な構造の押出成形用ダイ、これを用いる積
層管状体の製造方法および多層の強化ポリマー製管状体
などの積層管状体を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多層積層
管状体の押出成形における上記課題を解決すべく検討
し、回転ダイ技術を多層管状体成形に応用する事を発想
し、複数の環状ポリマー流路から先端部で合流積層する
マニホールド構造の多層押出ダイの先端部(ポリマー合
流積層部)において内型(マンドレル)および/または
外型を回転させる新規な構造のダイを創作した。該ダイ
は単一マンドレルを有する単純な構造であるが、環状ポ
リマー流を構成するポリマーを軸方向および円周方向に
配向させ得ることを確認した。
【0012】さらに本発明のダイを用いて3層以上の積
層管状体を製造する際に、中間層として最外層および最
内層よりも溶融粘度の低いポリマー材料を用いる態様が
好ましい態様であり、中間層材料を円周方向に均質に配
向しうることを見出した。この中間層に機能性フィラー
を含ませれば、該フィラーが円周方向において均質に配
向した構造の管状体を容易に得ることができる。またワ
イセンベルグ効果による縮径を避けることができ、成形
時の寸法調整が容易であることを見出した。したがって
たとえば液晶ポリマーなどの特殊かつ高価なポリマー材
料を使用しなくても、汎用ポリマーから高品位の多層管
状体を容易に得ることができる。
【0013】これにより特に、生体内に挿入して使用す
るために管状体の押し込み性、トルク伝達性、追随性、
耐キンク性等が要求されるカテーテルなどの医療用複合
管状体として好適な多層管状体を容易にかつ寸法精度よ
く得ることができる。勿論、上記ダイを用いる本発明の
積層管状体の製造方法は、本発明の好適な態様例として
開示される上記カテーテルなどの医療分野の管状体にの
みに限定されるものではなく、積層管状体を製造するた
めの一般産業用の技術として有用な新規成形法を提案す
るものであり、一般産業用の各種チューブ、ボトル、フ
ィルム、バッグなど、サーキュラダイを用いて製造しう
る積層構造管状体の製造に適用することができ、また製
造法に用いられるポリマー積層体の成形加工にも広く応
用可能である。
【0014】すなわち上記技術課題は以下の本発明によ
り解決される。 (1)2以上のポリマー入口と、押出方向下流の合流部
と、内部に、上記各ポリマー入口から上記合流部に独立
に連通し、かつ該合流部において合流する分岐路を有す
るダイ本体と、該ダイ本体内に貫通して配置されたマン
ドレルであって、その押出方向下流側先端に、上記合流
部よりも突出し、かつ円筒状の外周面を有するポリマー
接触部を有するマンドレルと、上記ダイ本体の押出方向
下流側先端に、かつ上記マンドレルと同心に配置された
ダイスであって、内部に上記マンドレルの外周面よりも
大径の内周面により形成される円筒状空間を有し、該円
筒状空間の少なくとも押出方向上流端が上記ダイ本体の
上記合流部端と同径で連通するダイスとを有し、上記マ
ンドレルの外周面と上記ダイスの内周面とにより、上記
ダイスの空間内には、横断面環状に形成された空隙より
なる合流ポリマーの流路が形成されるとともに、上記マ
ンドレルおよび上記ダイスの少なくとも一方が、押出方
向を軸方向として回転可能に構成されてなる積層管状体
押出成形用ダイ。
【0015】(2)上記ダイス内の流路は、上記マンド
レルの外周面および/または上記ダイスの内周面が、上
記ダイ本体の上記合流部から下流方向に漸次縮径し、か
つ流路断面積が漸次低減されたテーパ流路と、該テーパ
流路下流の押出流路とからなる上記(1)の積層管状体
押出成形用ダイ。
【0016】(3)上記(1)または(2)の押出成形
用ダイを用いて少なくとも3層からなるポリマー積層管
状体を製造する方法であって、中間層材料に、最内層ポ
リマー材料および最外層ポリマー材料よりも溶融粘度の
低いポリマーを用いるとともに、上記各分岐路からポリ
マー合流部内に送入され、そこで合流、積層される管状
ポリマー流を、ポリマー流の内外周表面が、それぞれ上
記マンドレルの上記外周面および該ダイスの上記内周面
と接触するように押出しながら、上記マンドレルおよび
上記ダイスのうちの少なくとも一方を回転させる積層管
状体の製造方法。
【0017】(4)上記中間層材料として、フィラーを
含むポリマーを用いる上記(3)の積層管状体の製造方
法。 (5)上記フィラーとして軟磁性金属扁平粉を用いる上
記(4)に記載の積層管状体の製造方法。
【0018】本発明では、上記製造方法により得られる
積層管状体の好適例として以下の積層管状体を提供する
こともできる。 (6)上記(4)または(5)の製造方法により得ら
れ、中間層中に、管状体円周方向に配向したフィラーを
含む強化ポリマー積層管状体。 (7)上記(5)の製造方法により得られる電磁干渉抑
制積層管状体。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照しなが
ら詳細に説明する。図1は、本発明の積層管状体共押出
成形用ダイ1の3層積層態様例を示す概略断面図であ
る。本発明の押出成形用ダイ1は、多層材料を共押出し
て管状体を成形するためのものであって、ダイ本体10
と、該ダイ本体10内に貫通して配置されたマンドレル
11と、ダイ本体10の押出方向下流側先端に、かつ上
記マンドレル11と同心に配置されたダイス13とを含
み、上記マンドレル11および上記ダイス13の少なく
とも一方が、押出方向を軸方向として回転可能に構成さ
れてなる回転サーキュラーダイである。本発明では、マ
ンドレル11およびダイス13のいずれかまたは両方を
回転させてもよいが、以下には主として、単純にマンド
レル11のみを回転させる態様(本明細書では以下回転
ポイント方式ともいう)を例にとって説明する。
【0020】図1に示すダイ本体10は、ポリマー入口
101a〜101cと、押出方向下流に単一の合流部1
03と、内部に、各ポリマー入口101a〜101cか
ら管状に展開した後、漸次縮径して合流部103にそれ
ぞれ独立に連通し、かつ該合流部103において合流す
る管状の分岐路102a〜102cを有する。内部にこ
のようなマニホールド構造を有するダイ本体10は、た
とえば複数の部材10a〜10dの組み立てにより構成
することができる。マンドレル11は、軸方向の内部空
隙113を有する中空構造であり、上記合流部103よ
りも押出方向下流側先端に突出した円筒状の外周面11
1aを有するポリマー接触部(以下回転ポイントともい
う)111を有する。ダイ本体10内を貫通し、マンド
レル11を回転させるための駆動部3(図2)に接続さ
れたマンドレル11のシャフト112部分すなわちポイ
ント111を除く部分は、ポリマー流と接触しない。
【0021】ダイス13は、内部にマンドレル11の外
周面111aよりも大径の内周面130aにより形成さ
れる円筒状空間130を有し、該円筒状空間130の少
なくとも押出方向上流端130bがダイ本体10の上記
合流部端103aと同径で連通する。マンドレル11の
回転ポイント外周面111aと上記ダイス13の内周面
130aとにより、上記ダイス13の空間130内に
は、横断面環状に形成された空隙よりなる合流ポリマー
の流路14、すなわちサーキュラーダイのダイス・ポイ
ントポリマー合流路が形成される。
【0022】本発明の好ましいダイス13内の流路14
は、上記分岐路102a〜102cが漸次縮径しながら
合流した合流部103に、さらに漸次縮径するテーパ流
路141をもつ態様が望ましい。具体的には上記マンド
レル11の外周面111aおよび/または上記ダイス1
3の内周面130aが、上記ダイ本体10の上記合流部
103から下流方向に漸次縮径し、すなわちマンドレル
のテーパ部111bおよび/またはダイステーパ部13
0cとにより流路断面積が漸次低減されたテーパ流路1
41が形成され、かつ該テーパ流路141下流の押出流
路142とからなる態様が好ましい。この押出流路14
2の径は、ほぼ口金131の内径であり、最終目標管状
体形状に近い寸法および形状である。ダイス13は、そ
の口金131部分が、ダイスホルダー151でダイ本体
1に固定されている。マンドレル11のシャフト112
は、ポリマー漏れを防ぐ軸シール152によりダイ本体
10の他端に保持されている。
【0023】次に、上記本発明の押出成形ダイを用いて
積層管状体を成形する方法を説明する。なお以下の各図
中、図1または互いの図と同一符号は、同一または相当
部分を示し、その重複説明を省略する。図2は、本発明
の上記回転ポイント式態様のダイ1を用いて積層管状体
を製造するための押出成形ラインを模式的に説明する図
であり、主として熱可塑性ポリマー材料からなる3層積
層チューブを製造する態様について説明する。ダイ1以
外の個々の装置については、市販品を使用することがで
き、必要に応じて押出機シリンダー、スクリューなど
を、耐腐食性材料、耐磨耗性材料等の特別な金属材料・
材質で形成することも適宜に変更できる範囲のうちであ
る。また管状体生産の目的に応じて押出機の大きさある
いは可塑化の能力等スペックを適宜に選択すればよい。
【0024】図2には、3台の押出機2a、2b、2c
を用いて3層管状体を製造する態様例を示す。なおたと
えば2種のポリマーから3層共押出して3層積層管状体
を製造する場合には、押出機を3台使用して、3層それ
ぞれを別々の押出機からの材料で形成することもでき、
また内外層が同一材料である場合には、押出機を2台使
用して、一つの押出機から内外層材料を供給し、中間層
材料を別の押出機から供給することもできる。内外層材
料を同一ポリマーで形成する場合であっても、押出機を
3台使用し、各層別々の押出機から材料を供給する方
が、ポリマーを所望量分配して内層および外層をそれぞ
れ所望厚みに調整することが容易であり好ましい。
【0025】上記各押出機2a〜2c内の各材料は、そ
れぞれアダプター21a〜21cを介して、ポリマー入
口101a〜101cからダイ1内に圧入される。また
ギアポンプ22a、22b、22cは、あってもなくて
もよいが、製品の寸法精度を要求される場合はあったほ
うが好ましい。ダイ1を構成する上記マンドレル11の
シャフト112基端は、駆動部3に接続されている。
【0026】ダイ1内に圧入されたポリマーは、ダイ1
内で積層管状体に賦形され、ダイ1から連続的に押出さ
れる。口金151から押出された積層管状体4は、凝固
槽5で固化した後、引き取り機6により連続的に引き取
られ、レーザー外径測定器61により寸法測定した後、
巻き取り機(または裁断機)62などにより集積され
る。
【0027】凝固槽5の方式は、押出された積層管状体
を形成する材料が熱可塑性ポリマーであるか溶媒を用い
たポリマー溶液あるいは熱硬化性ポリマーであるかによ
っても異なるが、冷却による固化、薬剤による固化また
は加熱による固化の方式などを採用することができる。
熱可塑性ポリマーの場合には、水冷による固化が一般的
であり水槽が用いられる。水槽を使用する場合には、管
状体の真円度を良くするために、必ずしも必要ではない
が、低圧サイジングや真空水槽等の補助装置を用いるこ
ともできる。これらのうちでも低圧サイジングの併用が
好ましい。
【0028】また管状体の押出成形では、芯材7とし
て、銅線などの固体芯材、液体または気体などを用いる
ことができる。固体の芯材7を用いれば、上記口金15
1から押出され、賦形されたばかりの柔らかく変形しや
すいポリマーの内径を容易に維持することができるが、
安価である事と芯金抜去の手間がないことから、芯材に
空気や窒素ガスが用いられる事が多い。芯材供給方法お
よび駆動部3の接続配置、および駆動部3から回転ポイ
ント111に回転伝達する方法は、芯材の種類あるいは
供給方法等により適宜選択することができる。
【0029】駆動部3から回転ポイント111に回転伝
達する方法は、芯材の種類により、通常ダイレクトカッ
プリング方式またはオフセットカップリング方式を採用
することができる。図3は、芯材7として気体あるいは
液体を用いた場合に適用しうるダイ1と、駆動部3と芯
材供給手段とをダイレクトカップリングした配置例を示
す部分断面図である。なお以下には、駆動部3のモータ
ー31として、ESサーボモーターを使用する態様を示
す。ESサーボモーターは、マンドレル11先端のポリ
マー接触部(回転ポイント)111の回転精度および制
御の観点から好ましく、市販品として入手可能である。
ESサーボモーター31は、通常、供給すべき回転数に
調節するための減速機32を取り付ける。減速機32は
モーター性能と制御回転数により目的にあった減速比を
与える組合せを適宜選択出来る。
【0030】モーター31の回転駆動は、ドライブシャ
フト33からカップリング部34を介して、マンドレル
11のシャフト112に伝達される。カップリング部3
4は単に径の異なるシャフト同士の接合の役目を果たす
だけでなく、適宜接合部で滑らすことや安全ピンを入れ
るなどすれば、回転異常時の安全装置として、駆動部3
やポイント111が過負荷となり損傷するのを防ぐのに
役立たせることもできる。なお上記には、ドライブシャ
フト33を有するESサーボモーター31の態様を示し
たが、マンドレル11のシャフト112を駆動部3に直
結することもでき、この場合にはカップリング部34は
不要となる。
【0031】また図3の態様では、シャフト112は、
液体または気体の芯材供給用気密接合部品(回転シー
ル)8を介して駆動部3のカップリング部34に接続さ
れている。回転シール8および芯材供給パイプ81自体
は、内部のシール材およびボールベアリング構造により
回転せず、回転シール8内部に貫通配置されたシャフト
112のみが回転する。回転シール8内部に位置するシ
ャフト112には、シャフト112外側から中空部11
3に連通するための穴が1〜2箇所空けられている。な
おシャフト112に空ける穴の大きさや個数は回転ポイ
ント111やシャフト112の強度を損なわない範囲で
自由に設定できる。
【0032】シャフト112のダイ本体10貫通部は、
前記したようにポリマー漏れを防ぐ軸シール152によ
り保持されている。回転シール8と駆動部3との間のシ
ャフト112の中空部113内には、シリコンゴムや金
属等の詰め物(図示せず)により気密性および耐熱性を
確保することができる。回転シール8に接続された気体
または液体の芯材供給パイプ81は、中空内部の一方が
外部と連通し、他方は回転シール8、シャフト112内
を介して、回転ポイント111の中空部113に連通す
る。該連通路にたとえば芯材7流体を供給し管状体の芯
材とする事が出来る。芯材が空気の場合、エアカップリ
ングとなる。
【0033】図4は、芯材7として銅線71などの固体
芯材を用いる場合に適用しうるダイ1と駆動部3とをオ
フセットに配置した例である。芯材繰出装置(図示せ
ず)から繰出された銅線71はシャフト112から回転
ポイント111までマンドレル11内の中空部113を
貫通して導入される。オフセット方式の具体例として
は、モーター31の回転は、ベルトプリー方式(図4
(a)参照)や歯車方式(図4(b))により、回転ポ
イント111に伝達することができる。
【0034】図4(a)に示すベルトプリー方式では、
駆動部3の回転は、ドライブシャフト33と同軸の回転
プリー35から、ベルト36を介してシャフト112と
同軸の回転プリー37を回転させ、回転ポイント111
に伝達される。図4(b)に示す歯車方式では、ドライ
ブシャフト33と同軸の歯車38と、これと係合するシ
ャフト112と同軸の歯車39とにより、回転ポイント
111に伝達される。なおダイレクトカップリング方
式、オフセットカップリング方式は、上記態様に限定さ
れるものではない。
【0035】本発明では、積層管状体の押出成形に際し
て、一般的なポリマー材料である熱可塑性ポリマー、ゴ
ムなどの熱硬化または熱架橋性ポリマーを広く用いるこ
とができる。このようなポリマー材料としては、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメ
ントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、
ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレ
フィンエラストマー、ポリオレフィン系共重合体、ポリ
塩化ビニル、PVDC、PVDFなどのビニル系ポリマ
ー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラス
トマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、SEB
S樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、A
BS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボ
ネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルア
ルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、
PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン
−コポリ−ビニルアルコール、エチレンビニルアセテー
テート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、セルロースアセテート、ビニルポリスルホン、液晶
ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PE
S)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ
フェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスル
フィド(PPS)などの各種熱可塑性ポリマーおよびポ
リマー誘導体、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹
脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化または架
橋性ポリマーが挙げられる。
【0036】上記の熱可塑性ポリマーおよび熱硬化・架
橋性ポリマーのうちいずれかを含むポリマーアロイも利
用可能であり、成形材料として溶媒にポリマーを溶解し
たポリマー溶液を用いてもよい。このような材料を2種
以上用いて3層以上積層させる場合には、各層がそれぞ
れ別異な材料からなる積層管状体を製造してもよく、同
一材料層を有する積層管状体を製造してもよい。上記の
ような押出成形ラインにより、熱可塑性ポリマーを用い
る積層管状体4の製造プロセス例を、芯材が空気である
場合を想定した図3、またこの際のダイ1内のポリマー
流の積層過程および積層後の管断面を模式的に示す図5
を参照しながらより詳細に説明する。
【0037】一定圧で空気が、芯材供給パイプ(空気の
配管パイプ)81から回転シール8を介してマンドレル
11の回転ポイント111内中空部113に供給され
る。押出機2a〜2cから送出される溶融ポリマー4a
〜4cは、ポリマー入口101a〜101cからダイ本
体10内に管状に展開するポリマー流路102a〜10
2c内にそれぞれ圧入され、ダイス・ポイントポリマー
合流路14において、最終目標管状体形状に近い寸法お
よび形状に賦形され、内層4a、中間層4bおよび外層
4cが積層された3層管状体4として連続的に押出され
る。
【0038】上記回転ポイント111から受ける回転の
摩擦によるせん断力を受けるのは図5中の中間層4bで
あり、内層4aおよび外層4cはほとんどせん断力を受
けない。このとき中間層の溶融粘度を内外層の溶融粘度
より相対的に低くして、中間層の流動性を高めると中間
層が滑り層となる現象が見られる。つまり、中間層はあ
たかもボールベアリングの如く滑り積極的に配向する現
象が見られる。より詳しくは、図5中、各ポリマー層4
a〜4cが積層された後、マンドレルのテーパ部111
bと接触する内層4aが回転されるが、このとき中間層
4bの流動性が良く滑りやすいと、中間層4bが回転の
せん断力を受ける。そのせん断力は外層4cにまでほと
んど影響しない。従って、相対的に溶融粘度が高くリジ
ッドな内層・外層は回転のせん断力の影響を受けず相対
的に溶融粘度が低く流動性に富む中間層がせん断力をう
け配向する。
【0039】上記のように中間層が内外層よりも相対的
に粘度の低い材料を3層積層した積層管状体の各層のポ
リマー配向を、図6に模式的に示す。図6(a)は管状
体外観図および内部の部分断面図であり、図6(b)は
管状体断面図であり、図6(c)は積層・配向状態の模
式図である。図6に示すように、上記した本発明の押出
成形ダイを用いて、中間層に内外層よりも相対的に溶融
粘度の低い(メルトインデックスの高い)材料を用いる
と、得られる積層体では実質的に中間層4bのみが円周
方向にも配向する。
【0040】材料を円周方向に配向させるに必要な回転
ポイント111の回転数は各層の溶融粘度によっても異
なる。中間層の円周方向への配向を得るためのポイント
の回転数は、機械的に実現可能な回転数で、溶融粘度と
成形時の管状体ライン速度、巻き取り速度などを考慮し
て0rpm 以上で設定する事ができる。
【0041】熱可塑性ポリマーの場合には、実質的に管
状体成形に好適な溶融粘度は内層外層ポリマー4a、4
cがメルトインデクス値MI=0.1〜200g/10
分程度(ASTM−D570に記載の試験法、オリフィ
ス径2.0mm、荷重10kgで測定)であり、より好
ましくはMI=1〜50程度のテープやフィルムの押出
に用いられる押出グレードである。中間層4bの溶融粘
度は内外層の溶融粘度の1.5倍以上、より好ましくは
2倍から50倍のMI値を有する事が好ましい。通常、
3層の押出成形積層体では、これほどの溶融粘度が異な
る場合は低粘度ポリマーの包み込み込み現象が起こり管
状体界面の乱れや、ひどい場合は中間層が飛び出しが見
られ成形品とならない。しかし、本発明の回転ダイを用
いた押出成形では成形品を得る事が可能である。
【0042】上記のような各層材料中には、管状体の目
的に応じて種々の材料を含ませることができる。たとえ
ば中間層にはフィラーを含ませる態様が好ましい。フィ
ラーとしては、軟磁性金属扁平粉を好ましく使用するこ
とができる。具体的には、たとえばカルボニル鉄、Fe
−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、
Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr系合金、Fe−C
r−Si系合金、Fe−Cu−Nb−Si−B系合金な
どのFeを母金属とするものを好適に含ませることがで
きる。
【0043】内外層よりも相対的に溶融粘度の低い中間
層に上記のようなフィラーを含ませると、円周方向に均
質にフィラーの配向した中間層を有する強化ポリマー積
層管状体が容易に得られる。また該フィラーが上記軟磁
性金属扁平粉である場合には、該強化ポリマーからなる
電磁干渉抑制積層管状体が容易に得られる。特に軟磁性
扁平粉も円周方向に均質に配向するため、落葉効果(ま
たは迷路効果ともいう)が表れ、軟磁性扁平粉の電磁波
の遮蔽効果を充分に発揮することができる。このような
強化ポリマー積層管状体は、電磁干渉抑制性能を付与し
たものを含め、生体内に挿入して使用するために管状体
の押し込み性、トルク伝達性、追随性、耐キンク性等が
要求されるカテーテルなどの医療用複合管状体として好
適である。
【0044】勿論、本発明で得られる積層管状体は、上
記カテーテルなどの医療用途に限定されるものではな
く、一般産業用の各種チューブ、ボトル、フィルム、バ
ッグなど広範な用途に利用すうることができる。本発明
の管状体の各層の厚み、形状などは、所望用途に応じて
適宜選択することができる。
【0045】
【実施例】次に本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。 (実施例および比較例) <材料>図1に示すダイを用いて、マンドレルのポイン
トを回転数を種々変えて回転させ、下記2種の材料から
3層管状体成形を行なった。ポイントを回転させないも
の(回転数0rpm )を比較例とした。 外層および内層:ポリウレタン樹脂(日本ミラクトラン
社製 グレードE−998、以下E−998と略記す
る) 中間層:軟磁性金属扁平粉を76mass%含有したポリウ
レタン樹脂コンパウンド(株式会社メイト製サンプル、
以下M80PUと略記する) 上記各材料のASTM−D570に準拠して205℃お
よび215℃で測定した各MI値を下表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】<成形>各材料を3台の押出機に投入し、
ポリマー温度(成形温度)205℃として押出機および
ダイの温度設定し本発明の回転ダイに圧入して管状体成
形を行なった。外径×内径、2.0×1.3mmの管状
体を成形したが、各層の寸法は外径×内径で外層2.0
×1.7mm、中間層1.7×1.5mm、内層1.5
×1.3mmに設定した。このとき管状体の引き取り速
度は毎分12mとなった。ポイントの回転数を徐々に上
げると0rpm 時に見られた中間層の乱れは50rpm 以上
で顕著に改善され、100rpm では非常にきれいな層構
造が観察された。100rpm 以上させても外観上の変化
はほとんどなくなった。
【0048】<積層環状体>上記で得られた積層管状体
の100rpm 時の管状体断面写真(×50)およびその
一部拡大写真(×200)をそれぞれ図8(a)、
(b)に、0rpm (回転なし)時の管状体断面写真(×
50)およびその一部拡大写真(×200)(比較例)
をそれぞれ図9(a)、(b)に示す。また管状体成形
品の断面模式図を図7に示す。ポイントがライン速度に
対し十分回転した場合、図7(a)に示すような均質な
断面となるが、0rpm では図7(b)に示すように中間
層の界面が乱れる。
【0049】本実施例での管状体内外径寸法と管状体界
面の改善効果の関係を表2に示す。
【表2】
【0050】表2から明らかなように、管状体の内径と
外径は本発明の実施例では誤差範囲内でほとんど変化し
なかった。つまりワイゼンベル効果による管状体径の縮
径はほとんど見られなかった。これは溶融粘度の低い中
間層が内層と外層の間で滑り現象を起こし法線応力効果
を吸収し縮径せず配向したためと考えられる。
【0051】次に本実施例の管状体の耐圧強度の測定を
試みたが比較例の0rpm では数気圧でほとんどの管状体
がピンホール破裂を起こしたの対し、50rpm 以上では
ピンホール破裂の割合はほとんどなくなり20気圧以上
の加圧にも耐え格段に耐圧強度(フープ強度)が向上し
た。また、軟磁性扁平粉も円周方向に好適に配向したの
で電磁波の遮蔽性能が向上した。耐圧強度は、窒素ボン
ベからの内圧供給により、チューブの破裂する圧力を測
定した。
【0052】
【発明の効果】本発明の押出成形ダイは機械的に単純な
構造であるが、積層管状体のポリマーの中間層を押出成
形時に円周方向に配向させることができ、特殊なポリマ
ーたとえば液晶ポリマーあるいは特殊なポリマーブレン
ド等を用いなくても、たとえば機能性フィラーを含ませ
るなどの簡便な方法により改良された特性を有する積層
管状体を得ることができる。したがって本発明によれ
ば、たとえば管状体の押し込み性、トルク伝達性、追随
性、耐キンク性等の操作性など医療用管状体に要求され
る性能の向上に寄与することができる。また実施例で示
したように機能性フィラーを配合した例ではこれまで困
難であった円周方向へのフィラーの配向を達成できるの
で例えば管状体の電磁波遮蔽性能を格段に向上するなど
の効果が得られた。また本発明に係る積層管状体の製造
法は、管状構造を有するものの成形に広く適用すること
ができ、一般産業用のチューブ、ボトル、フィルム、バ
ッグの製造法に用いられるサーキュラダイを用いるポリ
マー積層体の成形加工にも広く応用可能である。本明細
書の発明開示例のみに限定されるものではなく、一般産
業用の技術としても有用な新規成形法を提案するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層管状体共押出成形用ダイの態様
例を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の押出成形ダイを含む積層管状体押出
成形ライン例を模式的に説明する図である。
【図3】 ダイレクトカップリング方式の配置例を示す
部分断面図である。
【図4】 オフセットカップリング方式の回転ダイ駆動
部の配置図であり、(a)はベルトプリーの態様、
(b)は歯車の態様を示す。
【図5】 本発明の押出成形用ダイ内部でのポリマー積
層過程断面および積層後の管断面を示す図である。
【図6】 積層管状体の層構成を模式的に示す図であ
り、(a)は多層チューブ外観および部分断面図であ
り、(b)は多層チューブ横断面図であり、(c)はチ
ューブ展開平面図である。
【図7】 本発明の回転効果を説明する断面図であり、
(a)実施例積層チューブの断面図であり、(b)は比
較例(不良チューブ)の断面図である。
【図8】 本発明の回転効果を説明するための100rp
m 時のチューブ断面の光学顕微鏡で撮影した映像をコン
ピュータで取り込み印刷した写真であり、(a)は50
倍、(b)は200倍拡大した光学顕微鏡写真である。
【図9】 本発明の回転効果を説明するための回転なし
のチューブ(比較例)断面の光学顕微鏡で撮影した映像
をコンピュータで取り込み印刷した写真であり、(a)
は50倍、(b)は200倍拡大した光学顕微鏡写真で
ある。
【符号の説明】
1:押出成形用ダイ 10:ダイ本体 10a〜10d:ダイ部材 101a〜101c:ポリマー入口 102a〜102c:分岐路 103:合流部 103a:合流部端 11:マンドレル 111:ポリマー接触部(ポイント) 111a:外周面 111b:テーパ部 112:シャフト 113:中空部 13:ダイス 130:空間 130a:内周面 130b:押出方向上流端 130c:ダイステーパ部 131:口金 14:ダイス・ポイントポリマー合流路 141:テーパ流路 142:押出流路 151:口金 152:軸シール 2a〜2c:押出機 21a〜21c:アダプター 22a〜22c:ギアポンプ 3:駆動部 31:サーボーモーター 32:減速器 33:ドライブシャフト 34:カップリング 35:回転プリー 36:ベルト 37:回転プリー 38:歯車 39:歯車 4:積層管状体 5:凝固槽 6:引き取り装置 61:レーザー外径測定器 62:巻き取り機または裁断機 7:芯材 71:銅線 8:回転シール 81:芯材供給パイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚本 秀樹 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 松浦 信一郎 岡山県和気郡佐伯町佐伯526番3号 株式 会社メイト内 (72)発明者 赤岩 修次 岡山県和気郡佐伯町佐伯526番3号 株式 会社メイト内 Fターム(参考) 4F207 AA31 AB13 AB16 AC04 AG03 AG08 AH63 KA01 KA17 KF02 KL57 KL65 KL80 KL88

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2以上のポリマー入口と、押出方向下流の
    合流部と、内部に、前記各ポリマー入口から前記合流部
    に独立に連通し、かつ該合流部において合流する分岐路
    を有するダイ本体と、 該ダイ本体内に貫通して配置されたマンドレルであっ
    て、その押出方向下流側先端に、前記合流部よりも突出
    し、かつ円筒状の外周面を有するポリマー接触部を有す
    るマンドレルと、 前記ダイ本体の押出方向下流側先端に、かつ前記マンド
    レルと同心に配置されたダイスであって、内部に前記マ
    ンドレルの外周面よりも大径の内周面により形成される
    円筒状空間を有し、該円筒状空間の少なくとも押出方向
    上流端が上記ダイ本体の前記合流部端と同径で連通する
    ダイスとを有し、 上記マンドレルの外周面と上記ダイスの内周面とによ
    り、上記ダイスの空間内には、横断面環状に形成された
    空隙よりなる合流ポリマーの流路が形成されるととも
    に、上記マンドレルおよび上記ダイスの少なくとも一方
    が、押出方向を軸方向として回転可能に構成されてなる
    積層管状体押出成形用ダイ。
  2. 【請求項2】前記ダイス内の流路は、前記マンドレルの
    外周面および/または前記ダイスの内周面が、前記ダイ
    本体の前記合流部から下流方向に漸次縮径し、かつ流路
    断面積が漸次低減されたテーパ流路と、該テーパ流路下
    流の押出流路とからなる請求項1に記載の積層管状体押
    出成形用ダイ。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の押出成形用ダイ
    を用いて少なくとも3層からなるポリマー積層管状体を
    製造する方法であって、 中間層材料に、最内層ポリマー材料および最外層ポリマ
    ー材料よりも溶融粘度の低いポリマーを用いるととも
    に、 前記各分岐路からポリマー合流部内に送入され、そこで
    合流、積層される管状ポリマー流を、ポリマー流の内外
    周表面が、それぞれ上記マンドレルの前記外周面および
    該ダイスの前記内周面と接触するように押出しながら、
    前記マンドレルおよび前記ダイスのうちの少なくとも一
    方を回転させる積層管状体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記中間層材料として、フィラーを含むポ
    リマーを用いる請求項3に記載の積層管状体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記フィラーとして軟磁性金属扁平粉を用
    いる請求項4に記載の積層管状体の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項4または5に記載の製造方法により
    得られ、中間層中に、管状体円周方向に配向したフィラ
    ーを含む強化ポリマー積層管状体。
  7. 【請求項7】請求項5に記載の製造方法により得られる
    電磁干渉抑制積層管状体。
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