JPH11244385A - 医療用バルーンカテーテルシャフト及びその製造方法 - Google Patents

医療用バルーンカテーテルシャフト及びその製造方法

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JPH11244385A
JPH11244385A JP10050732A JP5073298A JPH11244385A JP H11244385 A JPH11244385 A JP H11244385A JP 10050732 A JP10050732 A JP 10050732A JP 5073298 A JP5073298 A JP 5073298A JP H11244385 A JPH11244385 A JP H11244385A
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JP
Japan
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tube
balloon catheter
shaft
less
pressure resistance
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JP10050732A
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English (en)
Inventor
Hiromi Maeda
博巳 前田
Shogo Miki
章伍 三木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 外径が小さく薄肉の柔軟性のあるチューブで
もPTCAカテーテルとして必要な高耐圧を実現できる
医療用バルーンカテーテルシャフト及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 耐圧が要求されるルーメン(内腔)を有
するバルーンカテーテル先端側用シャフトを形成する為
に、曲げ弾性率が15000kg/cm2 以下で、かつ
引っ張り強度が1500kg/cm2 以下の熱可塑性樹
脂を用いて、ルーメンの外周を形成する壁の肉厚が、最
も小さくなる箇所において0.03mm以上、0.09
mm以下になるようなチューブを押し出し加工により成
形し、その後、5℃/分以上の温度立ち上がり勾配を有
する加熱装置を使用して、ガラス転移温度以上、融点以
下の温度を、チューブに一定時間加えることからなる熱
処理を行い、シャフトの耐圧性が少なくとも21ATM
以上を満足するバルーンカテーテルシャフトを構成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐圧を要求される
医療用バルーンカテーテルシャフト及びその製造方法に
関し、特に血管形成術に使われる医療用PTCAバルー
ンカテーテルのシャフトに適用するものである。
【0002】
【従来の技術】最近のPTCA術(経皮経管冠動脈形成
術)の傾向は、より高度な病変、例えば石灰化病変、屈
曲病変にもバルーンカテーテルを使用することである。
石灰化病変は一般的に硬く、バルーン拡張するのに高圧
を必要とする。更に最近は冠動脈に留置する目的で使わ
れる金属コイル状のステントを拡張させる目的でバルー
ンカテーテルが積極的に使用される。この目的で使用さ
れるバルーンカテーテルのバルーンには高圧拡張性が要
求される。この耐圧性を実現する為にバルーンを高圧に
耐える材質、構造にさせる必要がある。これらに関し
て、新規のバルーン材質を使用し、ある条件で成形する
ことが特開昭63−192456号公報、特開平3−5
7462号公報等に開示されている。
【0003】バルーンを拡張する為の加圧流体が通るイ
ンフレーションルーメン(内腔)を有するチューブに関
して、通常は、バルーンの耐圧以上の耐圧をもつように
設計される。これはチューブが万一破裂した時の破裂部
分の形状が部分的に膨らんだようになる為である。この
ように膨らんで破裂すると、破裂した時に血管壁を傷つ
けたり、小径血管内を通してカテーテルシャフトを引き
抜く際、破裂部が障害となり引き抜くことが非常に困難
になるという問題が生じるのである。従って、シャフト
でも特にインフレーションルーメンチューブは特に耐圧
性が要求されるのである。その為、必要とされる耐圧性
の分だけチューブの肉厚を大きくすることを余儀なくさ
れていた。
【0004】最近は、大腿動脈からではなく上腕動脈か
ら冠動脈狭窄部にバルーンカテーテルを挿入する例も増
えてきており、この場合、上腕動脈は大腿動脈より内腔
が小さい為、径の小さいガイディングカテーテルを使う
ことを余儀なくされる為、当然バルーンカテーテルの径
もそれに応じて小さくする必要がある。バルーンカテー
テル径が大きいと、それが障害となり、ガイディングカ
テーテル内での造影剤が流れる通路断面積が減少し、狭
窄部造影診断上、充分なコントラストが得られなく、不
都合が生じる。又、屈曲し、且つ、開口直径が小さい冠
動脈血管内をバルーンカテーテルを前進させていく場合
も多く、スムーズに前進させていく為には、血管壁との
摩擦抵抗軽減の為、カテーテルシャフトの冠動脈に入る
部分、つまり先端側15cm〜30cmの部分には、径
が小さく、しかも屈曲に追従できる柔軟性を有するシャ
フトチューブを使用することが要求される。
【0005】特開平5−137793号公報等には同軸
状構造のバルーンカテーテルについて、内管外周面と外
管内周面を円周上の一部で接着することにより結果的に
シャフトを減径化できる構造が開示されている。又、特
開平7−194707号公報にはステンレス鋼線ブレー
ド補強層をシャフトチューブの内側と外側間に配置し
て、薄肉化を実現する方法が開示されている。更に、特
開平7−132147号公報には同軸状構造ではなくガ
イドワイヤールーメンチューブとインフレーションルー
メンチューブを隣同士に接触するように配置し、しかも
インフレーションルーメンチューブに引っ張り強度の大
きいポリイミド等の材質を使うことによりシャフトの減
径化を実現する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の通り、医療用バ
ルーンカテーテル、特に医療用PTCAバルーンカテー
テルの先端側シャフトに要求される特性として、耐圧と
柔軟性、小径化のすべてを満足するものが強く望まれて
いる。上述の特開昭63−192456号公報、特開平
3−57462号公報等はバルーンの耐圧を向上させる
技術に関するものであり、シャフトの耐圧向上、小径化
に関しては一切言及していない。つまり、上述の方法で
は、シャフトチューブに耐圧性を持たせる為に、要求さ
れる耐圧性の分だけチューブの肉厚を大きくして強度を
持たせるので、シャフトの小径化を犠牲にすることにな
る。
【0007】特開平5−137793号公報は同軸状構
造のバルーンカテーテルについて内管外周面と外管内周
面を円周上の一部を互い接着する構造を用いることによ
り、シャフトの減径化する技術であり、接着することに
より柔軟性は失われる結果となる。又、耐圧向上に関し
ては言及されていない。
【0008】特開平7−194707号公報はステンレ
ス鋼線ブレード補強層をシャフトチューブの内側と外側
間に配置することによりシャフトの小径化を実現するも
のであるが、結果的に耐圧向上を実現できるかもしれな
い。しかし、ステンレス鋼線ブレード補強層はシャフト
自体を非常に硬くしてしまい、柔軟性を犠牲にし、医療
用バルーンカテーテルシャフトの先端側シャフトとして
は使用不可能である。
【0009】特開平7−132147号公報も特殊な構
造、材料によりシャフトの小径化を実現するものである
が、結果的に耐圧向上を実現できるかもしれないが、ポ
リイミド材料をシャフト材料として使うことによりシャ
フト自体を非常に硬くしてしまう、又ポリイミド材料で
あるがゆえ折れやすい等の不都合点が生じる。
【0010】本発明は上述のすべての不都合点、問題点
を解決し、現在、PTCAバルーンカテーテルの先端側
シャフトに望まれる耐圧性、柔軟性、小径化を同時に向
上させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】PTCAバルーンカテー
テルの場合、設計上、インフレーションルーメンの流路
抵抗を小さくしなければならない。これは流路抵抗が大
きすぎると、バルーンを造影剤で膨張させた後、収縮さ
せるまでに非常に時間がかかり、患者に苦痛を与える為
である。ガイドワイヤーが通過するガイドワイヤールー
メンチューブが内側に、バルーンを拡張する為のインフ
レーションルーメンチューブを外側に配置する同軸構造
のバルーンカテーテルの場合、外側チューブの内径はあ
る値以下に小さくできない。外側チューブの内径を小さ
くしすぎると流路抵抗が大きくなる為である。従って、
肉厚の方を薄くしなければならない。しかし、肉厚を薄
くすると耐圧が低下するという不都合点が生じる。又、
一般に柔軟な樹脂は引っ張り強度等の強度物性が弱く、
これより作られたチューブは耐圧が弱い傾向にある。本
発明は、相対的に柔軟で、しかも薄肉のチューブであっ
ても耐圧を向上させる為の技術であることを特徴とす
る。
【0012】即ち、本発明は、前述の課題解決のため
に、耐圧が要求されるルーメン(内腔)を有するバルー
ンカテーテル先端側用シャフトを形成する為に、AST
M D790試験法による曲げ弾性率が15000kg
/cm2 以下で、かつASTMD638試験法による引
っ張り強度が1500kg/cm2 以下の熱可塑性樹脂
を用いて、該ルーメンの外周を形成する壁の肉厚が、最
も小さくなる箇所において0.03mm以上、0.09
mm以下になるようなチューブを押し出し加工により成
形し、その後、5℃/分以上の温度立ち上がり勾配を有
する加熱装置を使用して、ガラス転移温度以上、融点以
下の温度を、該チューブに一定時間加えることからなる
熱処理を行うことにより、シャフトの耐圧性が少なくと
も21ATM(気圧)以上を満足すると同時に、柔軟
性、小径化の先端側シャフトに要求されるすべての特性
が総合的に改善された医療用バルーンカテーテルシャフ
トを構成し、並びにその製造方法を提供する。
【0013】ここで、前記チューブのルーメンの外周を
形成する壁の肉厚が最も小さくなる箇所において0.0
4mm以上、0.07mm以下で、前記熱処理した後の
特性として28ATM以上の耐圧を有することが好まし
い。また、前記熱処理した後のシャフトチューブの耐圧
が、熱処理する前のチューブの耐圧に比べ1.3倍以上
になっていることがより好ましい。特に、血管形成術に
使われる医療用PTCAバルーンカテーテルのシャフト
として用いる場合には、前記熱処理された先端側シャフ
ト径の最も小さい部位の外径が0.9mm以下であるこ
とが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて更に詳しく説明する。本実施形態では同
軸状のシャフト構造を採用したPTCAバルーンカテー
テルを例に説明する。図1はバルーンカテーテルの簡略
説明図であり、図2はそれを模試的に表し、各構成部材
の位置関係を明確にしたものである。
【0015】本発明に係るバルーンカテーテルの基本構
造は、図1及び図2に示すように、カテーテルシャフト
1の手元側(近位側)に分岐ハブ2を接続するととも
に、先端側(遠位側)にバルーン3を設けた構造を有し
ている。また、前記カテーテルシャフト1は、少なくと
も先端側を外側チューブ4の内部に内側チューブ5を配
した二重管構造とし、内側チューブ5の内部は図示しな
いガイドワイヤーを挿通するガイドワイヤールーメンと
なり、外側チューブ4と内側チューブ5の間の空間はバ
ルーン3を拡張、収縮させるための加圧流体を供給する
インフレーションルーメンとなっている。そして、前記
内管5の先端側は外管4の先端側よりも前方へ延びてお
り、前記外管4の先端部外周面にバルーン3の基端側の
スリーブ6を同軸状に接続するとともに、前記内側チュ
ーブ5の先端部外周面にバルーン3の先端側のスリーブ
7を同軸状に接続し、内側チューブ5の先端は開放させ
ている。また、前記分岐ハブ2には、加圧流体用注入口
8とガイドワイヤー用導入口9を有している。そして、
前記外側チューブ4は、基端側外側チューブ10とそれ
よりも直径が小さい先端側外側チューブ11とから構成
されており、互いに内外同軸状に接着又は溶着して連結
している。
【0016】ガイドワイヤールーメンチューブとなる内
側チューブ5は、ガイドワイヤーのすべり性を最重視し
て、高密度ポリエチレンを使用し、外側チューブ4の材
料としては、先端側15cm〜30cmの先端側外側チ
ューブ11に柔軟な材質を、手元側(基端側)100c
m〜130cmの基端側外側チューブ10に硬い材質が
一般的に使われる。これは基端側外側チューブ10は屈
曲の少ない血管内を通り、かつ血管内追従性よりも血管
内の押し伝達性であるプッシャビリティが要求され、先
端側外側チューブ11は屈曲血管内を通り、従って血管
内プッシャビリティよりも血管内追従性が要求されるか
らである。この時、一般的に硬い材質というのは強度が
強く、柔軟な材質は逆に強度が弱い。基端側外側チュー
ブ10として望ましい材質は、ポリイミド、PET、P
BT、ナイロン、ポリアミドエラストマー、ポリエステ
ルエラストマー、ポリウレタンエラストマーである。先
端側外側チューブ11として望ましい材質としてはPE
T、PBT、ナイロン、ポリアミドエラストマー、ポリ
エステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーであ
り、本発明ではポリアミドエラストマーを使用した。
尚、この基端側外側チューブ10と先端側外側チューブ
11とは、もし材質が互い異なる場合はシアノアクリレ
ート系、エポキシ系、もしくはウレタン系接着剤で接合
可能で、又、材質が同じ、もしくは同じ物性をもつ場合
は熱溶着等で接合できる。尚、先端側外側チューブ11
の端部にはバルーン3の基端側スリーブ6を、内側チュ
ーブ5(ガイドワイヤールーメンチューブ)の先端部付
近にバルーン3の先端側スリーブ7を柔軟な接着剤であ
るウレタンもしくはエポキシ系接着剤などで接着する。
【0017】内側チューブ5(ガイドワイヤールーメン
チューブ)の望ましい寸法は、内径が0.35mm〜
0.45mm、外径が0.50mm〜0.60mmであ
り、高密度ポリエチレンをこの寸法範囲になるように押
し出し成形することにより製造する。内側チューブ5は
ガイドワイヤーが通過するだけで耐圧性は要求されな
い。従って、内径に関してはガイドワイヤーとのクリア
ランス、外径に関してはインフレションルーメンの断面
積ということを考慮して上記寸法範囲の中から最適化を
行うべきである。本発明では内径:0.41mm、外
径:0.55mmのチューブを使用した。
【0018】外側チューブ4の外径が、カテーテルシャ
フト全体の径になるので、これを小径にするには、外側
チューブの内径を、前述のようにインフレーションルー
メン流路抵抗が大きくならない程度に小さくし、同時に
肉厚を可能な限り薄肉にした寸法のチューブを先ず押し
出し成形する。外側チューブ4の望ましい内径に関して
は、基端側外側チューブ10の場合、0.65mm〜
0.95mm、より好ましくは0.72mm〜0.90
mm、また先端側外側チューブ11の場合、0.50m
m〜0.85mm、より好ましくは0.55mm〜0.
80mmである。肉厚に関しては、容易に折れが生じな
く、かつカテーテルを引き抜く際に容易に切れない程度
の軸方向引っ張り強度が得られるのが最適である。基端
側、先端側の外側チューブの肉厚としては、それぞれ
0.06mm〜0.15mm、0.03mm〜0.09
mmが良いが、より好ましくは、それぞれ0.07mm
〜0.12mm、0.04mm〜0.07mmである。
従って、基端側外側チューブ10と先端側外側チューブ
11の適切な外径は、それぞれ0.77mm〜1.20
mm、0.58mm〜1.03mm、より好ましくは、
0.86mm〜1.04mm、0.68mm〜0.90
mmである。
【0019】インフレーションルーメンの流路抵抗は、
その長さに比例し、断面積に反比例する。バルーン拡張
後、収縮させるまでの時間であるディフレーション時間
は、この流路抵抗に比例する。従って、ディフレーショ
ン時間を短くする為に、つまり、流路抵抗を少しでも小
さくする為に、基端側外側チューブ10の内径/外径
は、先端側外側チューブ11の内径/外径よりも大きく
する。これは基端側外側チューブ10が通る大腿動脈、
上行動脈の血管径に比べ、先端側外側チューブ11が通
る冠動脈の血管系が小さい為にそのような設計になって
いる。
【0020】本発明では基端側外側チューブ10とし
て、ポリアミドエラストマーであるAtochem社の
PEBAX 7233SA00(ショアー硬度72D、
引っ張り強度650Kg/cm2 、曲げ弾性率7544
Kg/cm2 )を、先端側外側チューブ11としては、
より柔らかいグレードのPEBAX 6333SA00
(ショアー硬度63D、引っ張り強度571Kg/cm
2 、曲げ弾性率3455Kg/cm2 )を使用した。そ
して、基端側外側チューブ10として内径:0.81m
m、外径:0.99mm、肉厚:0.09mmのチュー
ブを押し出し成形により製造した。又、先端側外側チュ
ーブ11としては、バルーンの耐圧2種類に対して2寸
法、内径:0.74mm、外径:0.84mm、肉厚:
0.05mmのチューブと、内径:0.70mm、外
径:0.84mm、肉厚:0.07mmのチューブを押
し出し成形により製造した。尚、これらの基端側、先端
側の外側チューブはそれぞれ約120cm、約25cm
長に切断し、前述の公知の熱溶着、接着剤等による接合
技術により一体化され、外側カテーテルシャフトとな
る。
【0021】その後、図3に示すように、この接合され
た外側チューブ4にサポート用として芯材12を通し、
チューブ自体が真っ直ぐになるように維持し、これをオ
ーブン13の中でチューブ素材のガラス転移温度以上、
融点以下の温度で一定時間、熱処理を行う。本発明で
は、150℃、2分間という熱処理条件を使った。熱処
理を行うチューブは熱可塑性樹脂でできており、押し出
し加工により成形される。押し出し成形時、チューブ自
体の引き取り速度や、押出装置の冷却層突入によるチュ
ーブの急激な温度低下により、チューブに応力が不均一
に蓄積されることがある。薄肉のチューブであるがゆえ
にこの傾向は顕著である。高い温度による熱処理でしか
もその時間が長すぎると、熱劣化、熱変形もしくは不均
一に応力緩和が起こることにより、外径の変化、もしく
は表面状態の荒れという問題を生じさせる。又、熱処理
の時の加熱温度が低すぎると今度は充分な強度、耐圧性
が得られない。従って、目的とする強度を得ることと上
述問題が起こらないように、その押し出し成形された熱
可塑性樹脂で決まる最適な加熱温度と加熱時間を見つけ
ださなければならない。上述の問題が起こらない為に
も、熱処理用に使用するオーブンもしくは加熱装置に於
いては、熱処理対象チューブ投入後、相対的に早い時間
で目的とする温度まで上がることが重要である。すなわ
ち次の式で表される温度立ち上がり勾配が急であること
が必要である。
【0022】温度立ち上がり勾配=(目的温度−室温)
/(オーブンが室温から目的温度まで上昇するのに要す
る時間)
【0023】具体的にはこの温度立ち上がり勾配が5℃
/分以上、より好ましくは10℃/分以上のオーブンも
しくは加熱処理を使う必要がある。従って、オーブンチ
ャンバーの容積が大きすぎるオーブン、もしくは加熱能
力が小さいオーブンは適さない。尚、この熱処理は手元
側と先端側の外側シャフト同士を接合する前に行っても
良い。又、先端側外側チューブ11は特に小径化、薄肉
が要求されるのでこの先端側外側チューブ11のみ熱処
理を行っても良い。
【0024】図3に先端側外側チューブ11のみ熱処理
する場合を示す。図3の場合はオーブン13として、オ
ーブンチャンバー容積が小さく、チャンバーの周りに密
にラバーヒータ14を配置することにより、チャンバー
内の温度分布を一定にし、かつ温度立ち上がり勾配が急
になるようにしたものである。先端側外側チューブ11
にサポート用の芯材12を通し、先端側外側チューブ1
1が真っ直ぐになるようにしてから、オーブン13に入
れる。芯材12としては金属線にPTFE(ポリテトラ
フロオロエチレン)コーティング等で被膜されているも
のが好ましい。この時、先端側外側チューブ11がオー
ブンチャンバー表面に接触する可能性がある場合等は、
それを防止する為、先端側外側チューブ11の外側に耐
熱性のジャケットチューブ15を配置した方が好まし
い。尚、ここで示したオーブン構造に限らず色々な形の
加熱装置を使用できることは言うまでもない。
【0025】本発明で、熱可塑性樹脂を用いて薄肉のチ
ューブを押し出し成形し、温度立ち上がり勾配が急な加
熱装置を用いて、このチューブを熱処理することにより
耐圧が向上することが確かめられた。前述のようにイン
フレーションルーメンを有するカテーテルシャフト1に
はバルーン3の耐圧以上の耐圧性が要求されるが、バル
ーン3の破裂圧が大きくばらつくような場合、つまりそ
のような材料でバルーン3を作らなければならない場
合、特にシャフト1に大きな耐圧が必要となる。熱処理
前/後のシャフト1の耐圧は、大きければ大きい程良い
が、実現できる範囲は1.3倍以上、2.5倍以下であ
ろう。より好ましくは1.5倍以上、2.5倍以下であ
る。
【0026】本発明の製造プロセス方法は、同軸構造の
カテーテルシャフト以外にも応用可能である。例えば、
2つルーメンをもつダブルルーメンチューブあるいは、
特開平7―132147号公報に示すような2つの異な
るチューブを隣同士に配置する構造のものでも、耐圧を
要求されるルーメンを有する限り、本発明のプロセスが
採用可能であることは云うまでもない。又、本発明の製
造プロセス方法は、上述のガイドワイヤーが先端から近
位端(基端)まで、つまりカテーテル全長に渡ってカテ
ーテル内を通過するタイプであるオーバー・ザ・ワイヤ
ー方式のバルーンカテーテルだけでなく、先端から20
〜30cmのところでガイドワイヤーがカテーテルの外
部に出るラピッドエクスチェンジ方式のバルーンカテー
テルに対しても採用可能であることは云うまでもない。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0028】(実施例1)カテーテルシャフト1を構成
する先端側外側チューブ11の材料として、ポリアミド
エラストマーであるAtochem社PEBAX(#6
333SA00)を使用した。これを用いて、内径=
0.74mm、外径=0.84mm、肉厚=0.05m
mのチューブを押し出し成形し、その後、そのチューブ
を50cm長さに切断し、そのルーメン内にPTFE
(ポリテトラフロオロエチレン)コーティングされた外
径φ0.45mmの芯材12を挿入することにより、チ
ューブが真っ直ぐに保持できるようにした。これを温度
立ち上がり勾配が20℃/分のオーブン13の中に入
れ、ガラス転移温度以上、融点以下の温度を、数種類選
び、それぞれについて、2分間、熱処理を行い、その後
常温に戻した。その後、図4に示すような方法で各温度
につきサンプル数3で先端側外側チューブ11の破裂テ
ストを約37℃の水16をいれた水槽内17で実施し
た。つまり、熱処理後のチューブの一方の端部をクラン
プ18で挟み確実にシールし、他方の端部を加圧流体を
加える為の接続コネクタ19につなぐことにより、加圧
流体源20に接続する。そして圧力計21で確認しなが
ら、流体の圧力を0ATMから20秒毎に1ATMずつ
上昇させていき、破裂した時の圧力を記録する。尚、熱
処理後のサンプルと熱処理前のサンプルに対して、破裂
圧力評価を行った。結果は表1の通りである。
【0029】
【表1】
【0030】(実施例2)カテーテルシャフト1を構成
する先端側外側チューブ11の材料として、同じくポリ
アミドエラストマーであるAtochem社PEBAX
(#6333SA00)を使用し、内径=0.70m
m、外径=0.84mm、肉厚=0.070mmのチュ
ーブを押し出し成形し、実施例1に示すのと同じ方法
で、熱処理を行い、破裂テストを行った。その結果は表
2の通りである。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】上述の通り、ATOCHEM社のPEB
AXのような柔軟な材料、つまり曲げ弾性率が1500
0kg/cm2 以下、かつ引っ張り強度が1500kg
/cm 2 以下の熱可塑性樹脂を使用して、0.03mm
〜0.09mmの薄肉チューブを押し出し成形し、その
後5℃/分以上の温度立ち上がり勾配を有するオーブン
もしくは加熱装置を使用して、ガラス転移温度以上、融
点以下の温度で熱処理を行うことで、表1、表2に示す
ように、シャフトの耐圧性と柔軟性、小径化のすべての
特性が改善されたバルーンカテーテルを製造できる。特
に耐圧がほぼ2倍向上することが実施例1、2の実験で
確かめられた。尚、本発明の製造プロセス方法はPTC
Aバルーンカテーテル以外の耐圧が要求されるいかなる
カテーテルシャフトに応用可能であり、用途的には血管
形成、血管治療、血管診断術等にも使用できることは言
うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る同軸状のシャフト構造を有するP
TCAバルーンカテーテルの全体簡略側面図である。
【図2】同じく部品の配置状態を模試的に説明するため
の簡略側面図である。
【図3】先端側外側チューブのみのオーブン内熱処理方
法を示す簡略断面図である。
【図4】熱処理前/後のシャフトチューブの破裂テスト
を行う時のセットアップを示す簡略断面図である。
【符号の説明】
1 カテーテルシャフト 2 分岐ハブ 3 バルーン 4 外側チューブ 5 内側チューブ 6 基端側スリーブ 7 先端側スリーブ 8 加圧流体用注入口 9 ガイドワイヤー用導入口 10 基端側外側チューブ(外側チューブ) 11 先端側外側チューブ(外側チューブ) 12 サポート用芯材 13 オーブン 14 ラバーヒータ 15 ジャケットチューブ 16 水 17 水槽 18 シール用クランプ 19 接続コネクタ 20 加圧流体源 21 圧力計

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐圧が要求されるルーメンを有するバル
    ーンカテーテル先端側用シャフトを形成する為に、AS
    TM D790試験法による曲げ弾性率が15000k
    g/cm2 以下で、かつASTM D638試験法によ
    る引っ張り強度が1500kg/cm2 以下の熱可塑性
    樹脂を用いて、該ルーメンの外周を形成する壁の肉厚
    が、最も小さくなる箇所において0.03mm以上、
    0.09mm以下になるようなチューブを押し出し加工
    により成形し、その後、5℃/分以上の温度立ち上がり
    勾配を有する加熱装置を使用して、ガラス転移温度以
    上、融点以下の温度を、該チューブに一定時間加えるこ
    とからなる熱処理を行うことにより、シャフトの耐圧性
    が少なくとも21ATM以上を満足すると同時に、柔軟
    性、小径化の先端側シャフトに要求される特性が総合的
    に改善されたことを特徴とする医療用バルーンカテーテ
    ルシャフト。
  2. 【請求項2】 前記チューブのルーメンの外周を形成す
    る壁の肉厚が最も小さくなる箇所において0.04mm
    以上、0.07mm以下で、前記熱処理した後の特性と
    して28ATM以上の耐圧を有する請求項1記載の医療
    用バルーンカテーテルシャフト。
  3. 【請求項3】 前記熱処理した後のシャフトチューブの
    耐圧が、熱処理する前のチューブの耐圧に比べ1.3倍
    以上になっている請求項1又は2記載の医療用バルーン
    カテーテルシャフト。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3何れかに記載の前記医療用
    バルーンカテーテルシャフトが血管形成術に使われるバ
    ルーンカテーテルに用いるものであり、前記熱処理され
    た先端側シャフト径の最も小さい部位の外径が0.9m
    m以下であることを特徴とする医療用PTCAバルーン
    カテーテルシャフト。
  5. 【請求項5】 耐圧が要求されるルーメンを有するバル
    ーンカテーテル先端側用シャフトを形成する為に、AS
    TM D790試験法による曲げ弾性率が15000k
    g/cm2 以下で、かつASTM D638試験法によ
    る引っ張り強度が1500kg/cm2 以下の熱可塑性
    樹脂を用いて、該ルーメンの外周を形成する壁の肉厚
    が、最も小さくなる箇所において0.03mm以上、
    0.09mm以下になるようなチューブを押し出し加工
    により成形し、その後、5℃/分以上の温度立ち上がり
    勾配を有する加熱装置を使用して、ガラス転移温度以
    上、融点以下の温度を、該チューブに一定時間加えるこ
    とからなる熱処理を行うことにより、シャフトの耐圧性
    が少なくとも21ATM以上を満足すると同時に、柔軟
    性、小径化の先端側シャフトに要求される特性が総合的
    に改善されたことを特徴とする医療用バルーンカテーテ
    ルシャフトの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007301062A (ja) * 2006-05-10 2007-11-22 Kaneka Corp ステントデリバリーカテーテルおよびステントデリバリーカテーテル用バルーン
JP2010187949A (ja) * 2009-02-18 2010-09-02 Kaneka Corp 医療用チューブ
US8376992B2 (en) 2008-07-29 2013-02-19 Olympus Medical Systems Corp. Balloon catheter and sheath fabrication method
WO2024074156A1 (zh) * 2022-12-05 2024-04-11 上海心玮医疗科技股份有限公司 球囊导管内腔结构及其制作方法、制作工装和球囊导管

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