JP2010186570A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体燃料を用いた燃料電池において、例えば風の強い環境下での温度低下に基づくクロスオーバーの発生等を抑制し、出力特性や長期的な出力の安定性等を向上させる。
【解決手段】燃料電池1は、MEA12を備える起電部2と、MEA12の空気極10に自然吸気により空気を取り込む空気取入れ部と、燃料収容部4と、燃料供給機構3とを具備する。燃料電池1は燃料制御部31および温度調整部33を具備する。燃料制御部31はMEA12の温度を測定する温度センサ32を備え、温度センサ32による測定温度がMEA12の制御温度となるように燃料供給量を制御する。温度調整部33は空気取入れ部から取り込まれる空気の速度を測定する風速センサ34を備え、風速センサ34による測定値に応じてMEA12の制御温度を変化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は液体燃料を用いた燃料電池に関する。
直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であるため、携帯用電子機器の電源や充電器として有望視されている。DMFCにおける液体燃料の供給方式としては、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式、燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させる内部気化型等のパッシブ方式が知られている。さらに、パッシブ方式に準じた方式として、燃料供給ポンプ等を用いて燃料収容部から電池内部に液体燃料を供給し、液体燃料を電池内部で気化させる方式(セミパッシブ方式)等も知られている。
DMFCは燃料極、電解質膜および空気極を有する膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を起電部として備えている。このようなDMFCにおいて、燃料極(アノード)側に供給されるメタノール等の燃料は電極中に含まれる触媒で分解されて水素イオンを生じさせる。水素イオンはプロトン伝導性電解質膜を経由して空気極(カソード)側に移動し、空気中の酸素と結合して水を生成する。この反応における水素イオンの燃料極から空気極への移動に基づいて発電が行われる。
DMFCの出力等を安定化させる上で、MEAの温度を制御することが重要となる。すなわち、MEAの温度を上げることで触媒層の過電圧が低下して出力が向上する。ただし、MEAの温度が高くなりすぎると電解質膜中の水分等が蒸発し、プロトン伝導性が低下して出力が低下する。MEAの温度は基本的には発電に伴って発生する熱に起因するため、燃料極への燃料の供給量を変動させることによって、MEAの温度を制御することができる。このように、MEAの温度は最適な温度に制御することが重要となる。
ところで、DMFCを携帯用電子機器の電源や充電器に適用した場合、様々な環境下で使用されることが想定される。DMFCの空気極側では自然吸気により空気が取り込まれることから、例えば風の強い環境下では空気極側から熱が奪われてMEAの温度が低下する。すなわち、風の強い環境下では発電反応に基づくMEAの温度よりMEAの実温度が低下してしまう。このため、MEAの実温度に基づいて燃料の供給量を変動させると、過剰の燃料が燃料極に供給されることになる。過剰に供給された燃料はクロスオーバーの発生原因となり、種々の不都合を引き起こすおそれがある。
クロスオーバーは燃料の消費量を増大させるだけでなく、電極間の電圧を低下させるため、DMFCの出力の低下要因となる。また、クロスオーバーによって電解質膜を通過して空気極に流れ込んだ燃料が燃焼して発熱させる。さらに、燃料極側にメタノール等の燃料が過剰に供給されると、燃料極の触媒層中のアイオノマーが溶解してプロトンパスが切断される。このように、燃料極への燃料の過剰供給はMEAの不可逆的な劣化を引き起こし、DMFCの長期的な出力の低下要因となる。
特許文献1には大気が取り込まれる取入口や水蒸気が放出される放出口に風速センサを設けた燃料電池が記載されている。ここでは風速センサで測定した風速を燃料電池の運転に利用しているものの、ブロアによる取入口や放出口への吹き付け量を風速が大きい場合(風が吹いて大気の流通性が十分にある場合)に調整(低下)しているものであり、風によるMEAの温度低下やそれに基づく燃料の過剰供給については考慮されていない。
特開2006−108028号公報
本発明の目的は、例えば風の強い環境下での温度低下に基づくクロスオーバーの発生等を抑制することによって、出力特性や長期的な出力の安定性等を向上させることを可能にした燃料電池を提供することにある。
本発明の態様に係る燃料電池は、燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体を備える起電部と;前記空気極に自然吸気により空気を取り込む空気取入れ部と;液体燃料を収容する燃料収容部と;前記燃料収容部から前記燃料極に燃料を供給する燃料供給機構と;前記膜電極接合体への前記燃料の供給量を制御する燃料制御部と;前記空気取入れ部から取り込まれる前記空気の速度を測定する風速センサを備え、前記風速センサによる測定値に応じて前記膜電極接合体の制御温度を変化させる温度調整部と;を具備することを特徴としている。
本発明の態様に係る燃料電池においては、空気取入れ部から取り込まれる空気の速度を風速センサで測定し、この風速の測定値に応じて膜電極接合体の制御温度を変化させているため、風速に基づいて膜電極接合体の温度が低下した場合においても燃料の過剰供給を防止することができる。従って、クロスオーバーの発生やそれに起因する出力特性の低下、長期的な出力安定性の低下等を抑制した燃料電池を提供することが可能となる。
本発明の実施形態による燃料電池の構成を示す図である。 図1に示す燃料電池の燃料供給部の一例を示す斜視図である。 図2に示す燃料供給部の平面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態による燃料電池の構成を示す図である。図1に示すDMFC等の燃料電池1は、膜電極接合体(MEA)を備える起電部2と、起電部2に燃料を供給する燃料供給機構3と、液体燃料を収容する燃料収容部4とから主として構成されている。
起電部2は、アノード触媒層5とアノードガス拡散層6とを有するアノード(燃料極)7と、カソード触媒層8とカソードガス拡散層9とを有するカソード(空気極/酸化剤極)10と、アノード触媒層5とカソード触媒層8とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜11とから構成される膜電極接合体(MEA)12を備えている。電解質膜11はアノード触媒層5およびカソード触媒層8と接触している。
電解質膜11は、例えばプロトン(水素イオン)伝導性の高分子膜により構成される。プロトン伝導性の高分子材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料が挙げられる。プロトン伝導性の高分子膜は例えば20〜130μmの範囲の厚さを有する。
アノード触媒層5やカソード触媒層8に含有される触媒としては、Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層5にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有し、かつメタノールから水素を引き抜く脱水素反応を生じさせやすいPt−RuやPt−Mo等のPt合金を用いることが好ましい。カソード触媒層8にはPt、Pt−Ni等のPt合金、Pd、Pd−Pt等のPd合金を用いることが好ましい。触媒は炭素材料等の導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
アノード触媒層5に積層されるアノードガス拡散層6は、アノード触媒層5に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層5の集電機能を有するものである。カソード触媒層8に積層されるカソードガス拡散層9は、カソード触媒層8に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層8の集電機能を有するものである。アノードガス拡散層6やカソードガス拡散層9は、例えばカーボンペーパーやカーボンクロス等の導電性を有する多孔質基材で構成されている。
MEA12をアノード集電体13とカソード集電体14とで挟み込むことによって、燃料電池1の起電部2が構成されている。アノードガス拡散層6はアノード集電体13と積層され、カソードガス拡散層9はカソード集電体14と積層される。集電体13、14にはAuやNi等の導電性金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)や箔体、ステンレス鋼のような導電性金属材料にAu等の良導電性金属を被覆した複合材等が用いられる。集電体13、14は燃料や空気を流通させる貫通孔を有している。起電部2はOリング等のシール部材15でシールされている。
起電部2は燃料拡散室16を形成する容器17上に配置されている。容器17は上部が開口された箱状の形状を有している。このような容器17の開口部側にMEA12のアノード7が位置するように起電部2が配置されている。容器17内には燃料拡散材18が配置されている。燃料拡散材18は板状の多孔質材料等で形成されており、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等からなる樹脂製多孔質板が用いられる。燃料拡散室16および燃料拡散材18は、アノード7の面方向に燃料を分散並びに拡散させつつ供給する燃料供給部19を構成するものである。
そして、燃料拡散材18が配置された容器17上に起電部2と保湿層20とを積層し、さらにその上から例えばステンレス製のカバープレート21を被せて全体を保持することによって、実施形態の燃料電池(DMFC)1の発電ユニットが構成されている。保湿層20はカソード触媒層8で生成された水の一部が含浸されて水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層8への空気の均一拡散を促進するものである。
カバープレート21は空気取入れ用の開口部22を有している。カソード(空気極)10には開口部22を介して自然吸気により空気が取り込まれる。カバープレート21の開口部22は空気取入れ部を構成するものである。なお、保湿層20とカバープレート21との間には必要に応じて表面層が配置される。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、自然吸気による空気の取入れ量に応じて個数や大きさが調整された複数の空気導入口を有する。この場合、表面層も空気取入れ部の一部を構成する。
燃料拡散材18は容器17に設けられた燃料注入部23と接している。燃料注入部23は配管のような液体燃料の流路24を介して燃料収容部4と接続されている。燃料収容部4にはMEA12に応じた液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料はこれに限られるものではない。液体燃料はエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。
流路24にはポンプ25が介在されている。ポンプ25は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部4から燃料供給部19に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。燃料供給部19からMEA12に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部4に戻されることはない。燃料電池1は燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。液体燃料の供給にポンプ25を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。燃料電池1はセミパッシブ型と呼称される方式を適用したものである。
ポンプ25の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。
燃料供給部19から放出された燃料はMEA12のアノード(燃料極)7に供給される。MEA12内において、燃料はアノードガス拡散層6を拡散してアノード触媒層5に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層5で下記の式(1)に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層8で生成した水や電解質膜11中の水をメタノールと反応させて式(1)の内部改質反応を生起させる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は集電体13を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、集電体14を経由してカソード(空気極)10に導かれる。式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜11を経てカソード10に導かれる。カソード10には酸化剤として空気が供給される。カソード10に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層8で空気中の酸素と下記の式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
上述した実施形態の燃料電池1では燃料を面方向に分散させつつ供給する燃料供給部19として、燃料拡散室16内に配置した燃料拡散材18を適用しているが、燃料供給部19の構成はこれに限られるものではない。燃料供給部19は例えば図2および図3に示すように、燃料注入口26と複数の燃料排出口27とを細管28のような燃料通路で接続した燃料分配板29で構成することも可能である。
図2および図3に示す燃料供給部19は、液体燃料が流入する少なくとも1個の燃料注入口26と、液体燃料もしくはその気化成分を排出する複数個の燃料排出口27とを有する燃料分配板29を備えている。燃料分配板29の内部には、液体燃料の通路として機能する細管28が形成されている。細管28の一端(始端部)には燃料注入口26が設けられている。細管28は途中で複数に分岐しており、これら分岐した細管28の各終端部に燃料排出口27がそれぞれ設けられている。
この実施形態の燃料電池1は、MEA12の温度に基づいてアノード(燃料極)7への燃料の供給量を制御する燃料制御部31を具備している。燃料制御部31はMEA12の温度を測定する温度センサ32を備え、この温度センサ32による測定温度がMEA12の制御温度となるように、燃料供給機構3によるアノード(燃料極)7への燃料の供給量を制御するものである。MEA12の制御温度は、第1に風速が零の場合を基準として設定される。風速が零の場合のMEA12の制御温度α(℃)は、MEA12が燃料電池1の出力等に対して最適な動作状況となるように設定される。
前述したように、MEA12の温度を上げることによって、アノード(燃料極)7およびカソード(空気極)10の触媒層5、8の過電圧が低下して出力が向上する。ただし、MEA12の温度が高くなりすぎると電解質膜11や触媒層5、8中の水分が蒸発し、プロトン伝導性が低下して出力が低下する。このような点を考慮して、風速が零の場合のMEA12の制御温度α(℃)が設定される。燃料制御部31はMEA12の制御温度α(℃)を基準とし、温度センサ32による測定温度(MEA12の実温度)Tが制御温度α(℃)となるようにアノード(燃料極)7への燃料の供給量を制御する。
すなわち、MEA12の温度は基本的には発電に伴って発生する熱に起因するため、アノード(燃料極)7への燃料の供給量を変動させることによって、MEA12の温度を制御することができる。燃料制御部31による燃料供給量の具体的な制御方法は以下の通りである。まず、温度センサ32によるMEA12の実測温度T(℃)をMEA12の制御温度α(℃)と比較し、実測温度T(℃)が制御温度α(℃)より低い場合には燃料の供給量を増加させる。また、実測温度T(℃)が制御温度α(℃)より高い場合には、燃料の供給量を低下させる。これによって、MEA12の実温度をMEA12の制御温度α近傍に制御し、燃料電池1の出力特性等を向上させることができる。
燃料制御部31は、例えば燃料供給用(送液用)のポンプ25の運転動作を制御することによって、アノード(燃料極)7への燃料の供給量を変動させるものである。ポンプ25の具体的な動作制御方法としては、実測温度T(℃)が制御温度α(℃)より高くなった場合に燃料制御部31からの制御信号に基づいてポンプ25を停止または送液量を低下させ、実測温度T(℃)が制御温度α(℃)より低くなった場合に燃料制御部31からの制御信号に基づいてポンプ25の運転を再開または送液量を増加させる方法が挙げられる。ポンプ25は燃料制御部31からの制御信号に基づいて運転動作が制御される。
ここでは燃料供給機構3に燃料供給用ポンプ25を用いているため、燃料制御部31がポンプ25の運転動作を制御する場合について述べたが、燃料制御部31による燃料供給量の制御はこれに限られるものではない。例えば、ポンプ25を用いることなく燃料収容部4から燃料供給部20まで送液できる場合には、流路24に燃料制御バルブ(燃料遮断バルブ)を設置し、この燃料制御バルブの開閉動作を燃料制御部31で制御することによって、燃料供給量の増減(もしくは燃料の供給または停止)を制御することができる。
上述したMEA12の制御温度α(℃)は風速が零の場合を基準としたものである。これに対して、燃料電池1の設置環境が風の強い環境となった場合、カソード(空気極)10には自然吸気により空気が取り込まれるため、風で熱が奪われてMEA12の温度が低下する。すなわち、風の強い環境下では発電反応に基づくMEA12の温度よりMEAの実温度が低下してしまう。このため、MEA12の実温度、すなわち温度センサ32によるMEA12の実測温度T(℃)を、風速零における制御温度α(℃)と比較して燃料供給量を制御すると、アノード(燃料極)7に過剰な燃料が供給されることになる。これは前述したようにクロスオーバーやそれに基づく不都合の発生原因となる。
そこで、この実施形態の燃料電池1は、空気取入れ部(具体的にはカバープレート21の開口部22)から取り込まれる空気の速度(風速)に応じて、MEA12の制御温度を変化させる温度調整部33を具備している。温度調整部33は空気取入れ部(カバープレート21の開口部22)から取り込まれる空気の速度を測定する風速センサ34を備え、この風速センサ34による測定値(空気取入れ部の風速)に応じてMEA12の制御温度を変化させるものである。具体的には、空気取入れ部の風速が一定値以上になり、MEA12の温度が風速β(m/s)で低下する場合に、MEA12の制御温度を風速が零の場合の制御温度α(℃)から風速β(m/s)の場合の制御温度t(℃)に低下させる。
このように、空気取入れ部の風速に基づいてMEA12の制御温度を下げることによって、空気取入れ部から取り込まれる空気の速度(風速β)で低下するMEA12の温度を補正することができるため、風速で低下したMEA12の実測温度Tに基づいて燃料供給量を制御した場合の燃料の過剰供給を抑制することが可能となる。すなわち、風速で低下したMEA12の実測温度Tに応じて、MEA12の制御温度を下げることで、MEA12の発電反応に伴う温度に近い状態に基づいて、MEA12の温度を最適温度に制御することができる。従って、MEA12の温度低下に起因する燃料制御部31による燃料の過剰供給、それに基づくクロスオーバーや不都合の発生を抑制することが可能となる。
具体的には、温度調整部33は風速センサ34による測定値(空気取入れ部の風速)が一定値以上となった場合に、燃料制御部31が参照するMEA12の制御温度を適切な制御温度に低下させる。これによって、燃料制御部31による燃料の過剰供給を抑制することが可能になる。温度調整部33によるMEA12の制御温度の調整は、例えば風速センサ34の測定値が一定値以上となった場合に制御温度の所定の幅で低下させるように設定してもよいし、また風速センサ34の測定値に基づく制御温度を段階的に設定し、それぞれ風速に基づいてMEA12の制御温度を調整するようにしてもよい。
風速センサ34に基づくMEA12の制御温度の低下幅は、実際のMEA12の動作特性やそれと風速との関係等に基づいて適宜に設定されるものであるが、例えば以下の条件を満足させることが好ましい。すなわち、風速センサ34による測定値が零の場合のMEA12の制御温度α(℃)に対して、風速センサによる測定値がβ(m/s)の場合のMEAの制御温度t(℃)が[α−10β<t<α−β]の条件を満足するように、膜電極接合体12の制御温度を低下させることが好ましい。このような範囲で制御温度を低下させることによって、燃料電池1の出力特性等を安定化させることができる。
風速センサによる測定値がβ(m/s)の場合において、MEAの制御温度t(℃)が[α−β]の値以上であるとMEA12の温度低下を十分に補正することができない。風速がβ(m/s)の場合のMEAの制御温度t(℃)を[α−10β]の値以下にすると、MEA12の風速に基づく温度低下に比べての制御温度の低下幅が大きくなりすぎる。このため、MEA12の実体温度が下がりすぎることで、燃料電池1の出力特性が低下するおそれがある。上記した条件は一つの目安であり、実際にはMEA12の動作特性に基づいて風速β(m/s)のときの制御温度の低下幅を設定するものとする。
表1にMEA12の制御温度と空気取入れ部における風速との関係、およびそれが燃料電池1の出力特性に与える影響を評価するために実施した試験結果を示す。表1に示す試験1は、無風時におけるMEA12の制御温度α(℃)が50℃のDMFCを、風速2m/sの環境下においても制御温度t(℃)を50℃のままで動作させた場合である。試験2は、無風時におけるMEA12の制御温度α(℃)が45℃のDMFCを、風速1.5m/sの環境下においても制御温度t(℃)を45℃のままで動作させた場合である。これらは本発明との比較例に相当する。
表1における試験3〜10は、無風時におけるMEA12の制御温度α(℃)が50℃または45℃のDMFCを、風速2m/sの環境下または風速1.5m/sの環境下で動作させるにあたって、MEA12の制御温度を風速β時の制御温度t(℃)に変えて燃料供給量を制御しながら動作させた場合である。これらは本発明の実施例に相当する。各試験において、DMFCの初期出力と5000時間動作させた後の出力を測定した。各試験における設定条件およびDMFCの出力の測定結果を表1に示す。
Figure 2010186570
表1から明らかなように、風速に応じてMEA12の制御温度を下げることによって、DMFCの初期出力を向上させることができ、さらに長期運転後の出力も良好に維持することが可能となる。風速に応じてMEA12の制御温度を下げた試験3〜10(実施例相当)は、無風時の制御温度のままで動作させた試験1〜2(比較例相当)に比べて、初期出力および長期運転後の出力がいずれも高い。特に、風速がβ時の制御温度tを[α−10β<t<α−β]の範囲内に設定した試験3〜6は初期出力および長期運転後の出力に優れており、DMFCの環境依存性の改善に有効であることが分かる。
上述したように、この実施形態の燃料電池1は、風が強いような環境下で動作させる場合においても、風によるMEA12の温度低下を補正することができ、これによってMEA12の温度低下に伴う燃料の過剰供給、それに起因するクロスオーバーや各種不都合の発生を抑制することが可能となる。従って、風が強いような環境下で動作させる場合においても、燃料電池1の出力特性や長期的な出力の安定性等を向上させることができる。言い換えると、各種の環境下での使用が想定される燃料電池1の環境依存性を改善し、出力特性や長期出力の安定性等を向上させた燃料電池1を提供することが可能となる。
なお、本発明は液体燃料を使用した各種の燃料電池に適用することができる。また、燃料電池の具体的な構成や燃料の供給状態も特に限定されるものではなく、MEAに供給される燃料の全てが液体燃料の蒸気、全てが液体燃料、または一部が液体状態で供給される液体燃料の蒸気等、種々形態に本発明を適用することができる。実施段階では本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。さらに、上記実施形態に示される複数の構成要素を適宜に組合せたり、また実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除する等、種々の変形が可能である。

Claims (5)

  1. 燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体を備える起電部と;
    前記空気極に自然吸気により空気を取り込む空気取入れ部と;
    液体燃料を収容する燃料収容部と;
    前記燃料収容部から前記燃料極に燃料を供給する燃料供給機構と;
    前記膜電極接合体への前記燃料の供給量を制御する燃料制御部と;
    前記空気取入れ部から取り込まれる前記空気の速度を測定する風速センサを備え、前記風速センサによる測定値に応じて前記膜電極接合体の制御温度を変化させる温度調整部と
    を具備することを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、
    前記燃料制御部は前記膜電極接合体の温度を測定する温度センサを備え、かつ前記温度センサによる測定温度が前記膜電極接合体の制御温度となるように、前記燃料供給機構による前記燃料の供給量を制御することを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1または請求項2記載の燃料電池において、
    前記温度制御部は前記風速センサによる測定値に基づいて前記膜電極接合体の制御温度を低下させることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項3記載の燃料電池において、
    前記風速センサによる測定値が零の場合の前記膜電極接合体の制御温度α(℃)に対して、前記風速センサによる測定値がβ(m/s)の場合の前記膜電極接合体の制御温度t(℃)が[α−10β<t<α−β]の条件を満足するように、前記膜電極接合体の制御温度を低下させることを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の燃料電池において、
    前記燃料供給機構は、前記燃料収容部に接続された燃料供給部と、前記燃料収容部と前記燃料供給部との間に介在された燃料供給ポンプとを備え、前記燃料制御部は前記燃料供給ポンプの運転動作を制御することを特徴とする燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012064528A (ja) * 2010-09-17 2012-03-29 Fujikura Ltd 温度制御装置を備えている燃料電池
CN106941271A (zh) * 2017-04-10 2017-07-11 孔祥贵 通过气道结合冷风、热风调节并保持恒温状态的充电器结构

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JP2012064528A (ja) * 2010-09-17 2012-03-29 Fujikura Ltd 温度制御装置を備えている燃料電池
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