JP2010185249A - トンネル構築方法および型枠バイブレータ - Google Patents

トンネル構築方法および型枠バイブレータ Download PDF

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【課題】打設コンクリートの締め固め作業を簡易に行いかつ高品質施工を行うことを可能としたトンネル構築方法および型枠バイブレータを提供する。
【解決手段】掘削孔内にスライドセントル1を据え付ける工程と、掘削孔の内壁面とスライドセントル1との間に生コンクリートを打設する工程と、スライドセントル1に複数段設置されたバイブレータ21の振動により生コンクリートを締め固める工程とを備えるトンネル構築方法であって、これに使用するスライドセントル1は、型枠本体10と、型枠本体10の側面に複数段設置されたバイブレータ21と、バイブレータ21の作動時間を制御するタイマー制御装置と、バイブレータ21の作動周波数を制御するインバータ22とを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、トンネル構築方法および型枠バイブレータに関する。
コンクリート構造物の構築では、打設された生コンクリートにバイブレータによる振動を与えることで締め固めるのが一般的である。
例えば、トンネルの覆工コンクリートの施工では、掘削孔の内壁面とセントルとの間に打設された生コンクリートに、棒状のバイブレータを挿入して振動を与えることで締め固めている。
トンネルの覆工コンクリートのように、型枠の背面に打設されたコンクリートの締め固めを行う場合は、型枠の側面に形成された確認孔から目視しつつ、作業員が型枠の上部または確認孔から棒状バイブレータを挿入することにより行う必要があった。そして、コンクリートの打設に伴って、順次上側の確認孔に移動して作業を行う必要があった。
そのため、特に大断面のコンクリート構造物の施工等では、作業効率が悪かった。
また、鉄筋が過密配筋されたコンクリート部材の締め固めについては、棒状バイブレータを挿入して適切な位置に配置することが困難であった。
そのため、例えば特許文献1や特許文献2に示すように、コンクリート締め固め作業の作業効率の向上を図ることを目的として、型枠の側面に複数のバイブレータを設置し、このバイブレータの操作を機械的に行う型枠バイブレータが開発されており、実用化に至っている。
特開平5−156811号公報 特開平7−48994号公報
ところが、コンクリートの締め固めは、コンクリート部材の断面形状や施工箇所(コンクリートの深さ等)に応じて適宜バイブレータを制御する必要があるものの、従来の型枠バイブレータは、打設されたコンクリートに対して、同じ能力のバイブレータにより所定時間振動を与えることで締め固めるのに留まっていた。
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、打設コンクリートの締め固め作業を簡易に行いかつ高品質施工を行うことを可能としたトンネル構築方法および型枠バイブレータを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、掘削孔内にスライドセントルを据え付ける工程と、前記掘削孔の内壁面と前記スライドセントルとの間に生コンクリートを打設する工程と、前記スライドセントルに複数段設置されたバイブレータの振動により前記生コンクリートを締め固める工程と、を備えるトンネル構築方法であって、前記バイブレータの作動周波数を段毎に変化させることを特徴としている。
かかるトンネル構築方法によれば、高さに応じてバイブレータの周波数を変化させるため、覆工コンクリートの高品質施工を行うことができる。さらに、バイブレータの作動時間を制御すれば、締め固めにむらが生じることなく、一定の品質による施工を行うことができる。
また、前記複数段のバイブレータを複数列備えており、前記バイブレータの作動時間を列毎に変化させることにより、トンネル軸方向に対して、一定の品質を維持した状態で施工を行うことができる。
また、本発明の型枠バイブレータは、型枠本体と、前記型枠本体の側面に複数段設置されたバイブレータと、前記バイブレータの作動時間を制御するタイマー制御装置と、前記バイブレータの作動周波数を制御するインバータと、を備えることを特徴としている。
かかる型枠バイブレータによれば、鉄筋が過密に配筋された構造物の施工を簡易かつ高品質に行うことが可能となる。
また、型枠バイブレータは、型枠本体と、前記型枠本体の側面に設置された複数列のバイブレータ列と、タイマー制御装置と、を具備するものであって、前記各バイブレータ列は、トンネル周方向に並べられた複数のバイブレータと、前記複数のバイブレータの作動周波数を設定するインバータと、を備えており、前記タイマー制御装置は、前記バイブレータの作動時間を制御することを特徴としていてもよい。
本発明のトンネル構築方法および型枠バイブレータによれば、打設コンクリートの締め固め作業を簡易かつ高品質に行うことが可能となる。
本発明の好適な実施の形態に係る型枠バイブレータの系統図である。 同型枠バイブレータを示す正面図である。 バイブレータの配置を示す展開図である。
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
以下では、トンネルの覆工コンクリートの打設に本実施形態の型枠バイブレータ(スライドセントル)を使用する場合について説明する。また、本実施形態では、覆工コンクリートとして、中流動コンクリートを使用する。
スライドセントル1は、図1および図2に示すように、型枠本体10と、型枠本体10の側面に設置された複数列のバイブレータ列20と、タイマー制御装置30と、を具備している。
型枠本体10は、図2に示すように、複数枚に分割された型枠部材11,11,…を組み合わせることによりトンネルの計画断面に応じた断面形状を呈している。
型枠部材11は、背面(覆工コンクリートの打設面と反対側面)に設置された伸縮部材12によりトンネル径方向での移動が可能に構成されている。
型枠部材11には、開閉扉を備えた確認窓13を備えており、コンクリートの打設状況の確認が行えるように構成されている。
なお、確認窓13の配置や形状寸法等は、適宜設定することが可能である。
また、型枠部材11の背面側には、支持部材14が配設されている。
伸縮部材12は、一端が型枠部材11の背面に接続しており、他端が支持部材14に接続されている。本実施形態では、伸縮部材12として油圧シリンダーを使用するものとするが、伸縮部材12の構成は限定されるものではない。
支持部材14は、型枠部材11を支持する部材であって、形鋼等を適宜組み合わせることにより門型に形成された枠組み部材である。
支持部材14は、下端に車輪14aを備えている。
支持部材14は、トンネル軸方向に沿って敷設されたレール15上を走行することで、スライドセントル1が所定箇所に移動することが可能となるように構成されている。
支持部材14は作業足場16を備えており、コンクリート打設時の作業員の足場や資材機器等の仮置き場として機能する。作業足場16の配置等は限定されるものではない。
バイブレータ列20は、図2および図3に示すように、トンネル周方向に間隔をあけて並べられた複数のバイブレータ21,21,…と、複数のバイブレータ21,21,…の作動周波数を設定するインバータ22と、を備えている。
バイブレータ21は、型枠部材11の背面に固定されており、型枠部材11を介して型枠部材11の表面側に打設された生コンクリートに振動をあたえる。
バイブレータ21は、取付治具を介して型枠部材11に着脱可能に固定されている。なお、バイブレータ21の固定方法は限定されるものではなく、適宜行うことが可能である。
本実施形態のバイブレータ列20は、図1に示すように、左右6段ずつ、計12台のバイブレータ21,21,…を有している。最下段のバイブレータ21は、インバートコンクリートに隣接する領域(側壁の下端部)に配置されており、最上段のバイブレータ21は、トンネルの頂部に配置されている。バイブレータ列20が有するバイブレータ21の数は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
バイブレータ列20において、各バイブレータ21は、インバータ22に接続されており、インバータ22により作動周波数が制御される。
図2および図3に示すように、本実施形態では、バイブレータ21を型枠部材11に形成された確認窓13に隣接して設置している。確認窓13から作業員がバイブレータ21による締め固め効果の確認を行う。
タイマー制御装置30は、バイブレータ21の作動時間を制御する装置である。本実施形態では、図1に示すように、各バイブレータ列20がタイマー制御装置30に接続されており、当該タイマー制御装置30が、バイブレータ列20毎の作動時間を制御するものとする。
タイマー制御装置30は、各バイブレータ列20への送電スイッチとして配設されたマグネット盤(スイッチ盤)31に入り切りのタイミングを指示する。マグネット盤31は、タイマー制御装置30の指示に応じて各バイブレータ列20への送電の入り切りを行う。
バイブレータ列20は、マグネット盤31を介して送電された電力により作動する。
また、各バイブレータ21は手元スイッチを備えており、作業員が必要に応じてバイブレータ21の作動停止の操作を手元で行えるように構成されている。
スライドセントル1を利用したトンネルの構築方法は、掘削工程と、据付工程と、打設工程と、締固め工程と、を備えて構成されている。
掘削工程は、地山を削孔して掘削孔を形成する工程である。
地山の掘削に伴い、掘削孔の内壁面には、ロックボルトや吹付けコンクリート等による一次支保工が形成されている。一次支保工の構成は限定されるものではなく適宜設定すればよい。
また、掘削孔の周辺地山には、必要に応じて先受け工法や地盤改良等の補助工法が行われていてもよい。
据付工程は、掘削工程により形成された掘削孔内にスライドセントル1を据え付ける工程である。
スライドセントル1の据付は、掘削孔内に敷設されたレール15上を走行することにより所定の位置に型枠本体10を配設した後、伸縮部材12を伸張させることで、所定の断面形状に形成する。
打設工程は、据付工程において据え付けられたスライドセントル1と掘削孔の内壁面との間に、生コンクリートを打設する工程である。
生コンクリートの打設は、坑外から輸送された中流動コンクリート(生コンクリート)を、スライドセントル1に形成された打設口から注入することによりスライドセントル1と掘削孔の壁面との間の空間を充填するように行う。
締固め工程は、打設工程において打設された生コンクリートに対して、スライドセントル1に設置されたバイブレータ21の振動を作用させることで、生コンクリートを締め固める工程である。
打設工程と締固め工程は並行して行ってもよく、生コンクリートの打設が所定の深さに達した時点で締固め工程を開始してもよい。
生コンクリートの締め固めは、段毎にバイブレータ21の作動周波数を変化させることにより、打設箇所に対応した振動を作用させながら行う。
バイブレータ21の作動周波数の設定は、バイブレータ列20毎にインバータ22を介して行うものとし、本実施形態では、側壁部に配設されたバイブレータ21(21a、21b)の周波数を100〜200Hz,肩部に配設されたバイブレータ21(21c、21d)の周波数を150〜200Hz、天端部に配設されたバイブレータ21(21e、21f)の周波数を200〜250Hzに設定して、締め固め作業を行った。つまり、本実施形態では、エアの抜けにくい下段(側壁部)については、低い周波数で締め固めを行い、エアが抜けやすい上部(天端部)では下段よりも高い周波数で締め固めを行うものとした。
なお、バイブレータの周波数は前記の範囲に限定されるものではなく、トンネル断面形状、コンクリートの流動性等に応じて適宜設定すればよい。
また、本実施形態では、バイブレータ21の作動時間は、5〜20秒運転、15〜30秒停止を繰り返すことにより行う。バイブレータ21の作動時間は、バイブレータ列20毎に行われるため、一のバイブレータ列20に含まれる複数のバイブレータ21は、同じタイミングで作動、停止がなされる。なお、バイブレータ21の作動時間は、バイブレータ列20毎にずらしてもよい。また、バイブレータ21の作動時間は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
以上、スライドセントル1によれば、複数段設置されたバイブレータ21の作動周波数および作動時間を一括管理しているため、作業員の手動により行われていた従来の施工方法に比べて、施工誤差が生じる可能性が低く、高品質施工を行うことが可能となる。
また、バイブレータ21の作動周波数は、バイブレータ21の位置に応じて変化させているため、トンネルの断面形状等に応じて施工条件が変化する場合であっても、適切に対応することができ、高品質施工が可能となる。
また、バイブレータ21を複数段、複数列配設しているため、バイブレータ21の移動等の手間を省略することができ、作業性に優れている。
タイマー制御装置やインバータ等を介して機械制御により複数のバイブレータを作動させるため、細かな設定と施工を行うことができ、高品質施工を安定して実施することができる。
また、人力に頼らないため、施工時の安全性を確保することができる。
さらに、広範囲の締め固め施工を同時に行うことができるため、作業効率が向上し、工事の短縮化を図ることが可能となる。
型枠に設置された複数のバイブレータを使用するため、過密鉄筋が配筋されたコンクリート部材に対しても効果的に締め固め作業を行うことができる。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、トンネルの覆工コンクリートの打設に本実施形態の型枠バイブレータを使用する場合について説明したが、型枠バイブレータにより構築されるコンクリート部材はトンネルの覆工コンクリートに限定されるものではない。
また、前記実施形態では、バイブレータ列を複数列備える型枠バイブレータについて説明したが、バイブレータ列の数は限定されるものではない。
また、前記実施形態では、バイブレータ列毎に作動を管理するものとしたが、バイブレータの作動の管理は段毎に行ってもよい。
また、前記実施形態では、覆工コンクリートとして、中流動コンクリートを打設する場合について説明したが、覆工コンクリートとして使用されるコンクリートの種類は限定されるものではなく、例えば高強度コンクリート、繊維補強コンクリート、普通コンクリート等、あらゆる種類のコンクリートが採用可能である。
1 スライドセントル(型枠バイブレータ)
10 型枠本体
20 バイブレータ列
21 バイブレータ
22 インバータ
30 タイマー制御装置

Claims (4)

  1. 掘削孔内にスライドセントルを据え付ける工程と、
    前記掘削孔の内壁面と前記スライドセントルとの間に生コンクリートを打設する工程と、
    前記スライドセントルに複数段設置されたバイブレータの振動により前記生コンクリートを締め固める工程と、を備えるトンネル構築方法であって、
    前記バイブレータの作動周波数を段毎に変化させることを特徴とする、トンネル構築方法。
  2. 前記複数段のバイブレータを複数列備えており、前記バイブレータの作動時間を列毎に変化させることを特徴とする、請求項1に記載のトンネル構築方法。
  3. 型枠本体と、
    前記型枠本体の側面に複数段設置されたバイブレータと、
    前記バイブレータの作動時間を制御するタイマー制御装置と、
    前記バイブレータの作動周波数を制御するインバータと、を備えることを特徴とする、型枠バイブレータ。
  4. 型枠本体と、前記型枠本体の側面に設置された複数列のバイブレータ列と、タイマー制御装置と、を具備する型枠バイブレータであって、
    前記各バイブレータ列は、トンネル周方向に並べられた複数のバイブレータと、前記複数のバイブレータの作動周波数を設定するインバータと、を備えており、
    前記タイマー制御装置は、前記バイブレータの作動時間を制御することを特徴とする、型枠バイブレータ。
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