JP2010184683A - スペアタイヤの収納構造 - Google Patents

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和人 福田
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Abstract

【課題】スペアタイヤパンに荷重が入力された際に、スペアタイヤを介して荷重が車体に伝達されるのを抑制することのできるスペアタイヤの収納構造を得る。
【解決手段】フロアパネル1(車体)に設けられたスペアタイヤパン2に、荷重が入力された際に破断可能な脆弱部Vを形成し、該脆弱部Vを破断させることでスペアタイヤ3を介して荷重Fが車体に伝達されるのを抑制した。
【選択図】図3

Description

本発明は、スペアタイヤの収納構造に関する。
従来のスペアタイヤの収納構造として、車体のフロアパネル後部(リヤフロアパネル)に開口部を形成するとともに、該開口部に樹脂製のスペアタイヤパンを床下部分に突出するように嵌め込むことで、このスペアタイヤパンの内側にスペアタイヤを収納するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
実開昭62−82288号公報
しかしながら、上記従来のスペアタイヤの収納構造では、スペアタイヤパンは、スペアタイヤを強固に収納しておくため高剛性に形成されており、スペアタイヤの移動が抑制されるため、後面衝突等により荷重が車体後部に入力されると、スペアタイヤを介して荷重が車体前方へ伝達されてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、スペアタイヤパンに荷重が入力された際に、スペアタイヤを介して荷重が車体に伝達されるのを抑制することのできるスペアタイヤの収納構造を得ることを目的とする。
本発明は、スペアタイヤパンに、荷重が入力された際に破断可能な脆弱部を形成したことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、スペアタイヤパンに破断可能な脆弱部を形成し、スペアタイヤパンに荷重が入力された際に該脆弱部を破断させるようにしたため、スペアタイヤの移動が促進され、スペアタイヤを介して荷重が車体に伝達されるのを抑制することができる。
本発明の第1実施形態にかかるスペアタイヤパンの取り付け状態を透視して概略的に示す斜視図である。 本発明の第1実施形態にかかるスペアタイヤパンの取り付け部分を透視して概略的に示す分解斜視図である。 本発明の第1実施形態にかかるスペアタイヤの収納状態を模式的に示す側断面図である。 本発明の第1実施形態にかかる後面衝突初期のスペアタイヤパンの状態を模式的に示す側断面図である。 本発明の第1実施形態にかかる後面衝突後期のスペアタイヤパンの状態を模式的に示す側断面図である。 本発明の第2実施形態にかかるスペアタイヤパンの取り付け部分を概略的に示す分解斜視図である。 本発明の第2実施形態にかかるスペアタイヤの収納状態を模式的に示す側断面図である。 本発明の第2実施形態にかかる後面衝突時のスペアタイヤパンの状態を模式的に示す側断面図である。 本発明の第3実施形態にかかるスペアタイヤパンの取り付け部分を概略的に示す分解斜視図である。 本発明の第3実施形態にかかるスペアタイヤの収納状態を模式的に示す側断面図である。 本発明の第3実施形態にかかる後面衝突時のスペアタイヤパンの状態を模式的に示す側断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、車両後面衝突によりスペアタイヤパンに後方から荷重が入力される場合を例示する。また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。なお、本明細書では、前方は車両前方、後方は車両後方、左右方向は車幅方向を意味するものとする。
[第1実施形態]
図1〜図5は、本発明の第1実施形態を示しており、図1はスペアタイヤパンの取り付け状態を透視して概略的に示す斜視図、図2はスペアタイヤパンの取り付け部分を透視して概略的に示す分解斜視図、図3はスペアタイヤの収納状態を模式的に示す側断面図、図4は後面衝突初期のスペアタイヤパンの状態を模式的に示す側断面図、図5は後面衝突後期のスペアタイヤパンの状態を模式的に示す側断面図である。
本実施形態のスペアタイヤの収納構造は、図1に示すように、車体のフロアパネル1後部、つまり、リヤフロアパネル1Rの床下部分に樹脂製のスペアタイヤパン2を設置して、該スペアタイヤパン2の内側にスペアタイヤ3を収納させるようになっている。スペアタイヤパン2は、合成樹脂を素材として略矩形の容器状を成すように、例えば、射出成形などにより一体成形されている。このスペアタイヤパン2は、前・後壁部21、22と左・右壁部23、24と底壁部25とからなり、前・後壁部21、22および左・右壁部23、24の上端にはフランジ部26が形成されている。
リヤフロアパネル1Rには、図2に示すように、スペアタイヤパン2の平面形状に沿った略矩形の開口部11が形成されており、この開口部11に上方からスペアタイヤパン2を嵌め込んで、フランジ部26を開口部11の周縁に固定するようにしている。このスペアタイヤパン2は、底壁部25がリヤフロアパネル1Rから4面の壁部21〜24の高さ分だけ床下に下がって取り付けられており、図4に示すように、車両の後面衝突時にはその衝突荷重Fが後壁部22から前方へと入力される。なお、図4、図5中、Kは後続車両や障害壁などの後面衝突物である。また、図3〜図5に示すように、床下に配置されるスペアタイヤパン2の前方近傍には、サスペンションメンバS・Mが配設されるとともに、そのサスペンションメンバS・Mの更に前方近傍には燃料タンクF・Tが取り付けられている。
ここで、本実施形態では、スペアタイヤパン2の前側下部(図2中、2点鎖線で囲む部分)Aに、荷重が入力された際に破断可能な脆弱部Vを形成して、この脆弱部Vを車両の後面衝突時に破断(図4参照)させるようにした。
具体的には、本実施形態の脆弱部Vは、スペアタイヤパン2の一部に補強部材27を取り付けることで形成されており、この脆弱部Vが後面衝突時に破断されて、スペアタイヤ3を該脆弱部Vからスペアタイヤパン2の前方かつ下方に突出させるようにしている。
補強部材27は、ガラスの長繊維で補強された熱可塑性プラスチック(Glass mat reinforced thermoplastic sheet)を素材として、横板部27aと縦板部27bとによって略T字状に形成され、その補強部材27がスペアタイヤパン2の内側に沿って取り付けられている。横板部27aは、底壁部25の前後方向略中央部の若干前寄り位置で左右方向に延び、底壁部25、左・右壁部23、24および左・右両壁部23、24のフランジ部26に沿って配置される。縦板部27bは、底壁部25の左・右方向中央部位置で横板部27aから後方に延び、底壁部25、後壁部22および後壁部22のフランジ部26に沿って配置される。
したがって、スペアタイヤパン2は、補強部材27を取り付けた部分で剛性が高くなり、それ以外の部分で剛性が低くなるが、後面衝突時に入力される前方への衝突荷重Fに対しては、スペアタイヤパン2の後部に対して前部の剛性が小さくなる。特に、前方移動するスペアタイヤ3が干渉した場合に、スペアタイヤパン2の前側下部Aのコーナー部に応力が集中して、その部分が脆弱部Vとなる。本実施形態では、後面衝突により前方移動したスペアタイヤ3によって、スペアタイヤパン2の前側下部Aと補強部材27との端縁である脆弱部Vの破断部V1を破断させ、該スペアタイヤ3をスペアタイヤパン2の外側へ突出させるようにしている。そして、スペアタイヤパン2の外側には、スペアタイヤ3を支持する支持部材4が設けられており、スペアタイヤ3が該スペアタイヤパン2から脱落するのが抑制されている。
支持部材4は、図2に示すように、帯板材をクランク状に折曲した取付部41と、この取付部41の先端部から二股状に分岐して突出して脱落するスペアタイヤ3を受け止めるタイヤ保持部42と、によって形成される。取付部41は、スペアタイヤパン2の底壁部25の左右方向略中央部において、その底壁部25の下側と後壁部22の後側とフランジ部26の下側に沿って配置され、その取付部41の前端部がボルトB1およびナットN1によって底壁部25のほぼ中央部に固定されるとともに、後端部がボルトB2およびナットN2によって後壁部22のフランジ部26に固定される。また、タイヤ保持部42は、二股部分が底壁部25の略中央部から前壁部21の左右両側部に配置され、その分岐した各先端部がボルトB3およびナットN3によって前壁部21のフランジ部26に固定される。また、この支持部材4は、スペアタイヤパン2の外面に変形可能に取り付けられている。
以上の構成を備える本実施形態のスペアタイヤの収納構造によれば、フロアパネル1後部に設けられたスペアタイヤパン2の前方下部(前部)Aに、破断可能な脆弱部Vを形成し、スペアタイヤパン2に衝突荷重(荷重)Fが入力された際に該脆弱部Vを破断させるようにしたため、スペアタイヤパン2を介して衝突荷重(荷重)Fが車体前方に伝達されるのを抑制することができる。
また、図4に示すように、後面衝突により前方移動したスペアタイヤ3によって脆弱部Vを破断させるようにすることで、脆弱部Vの剛性をあまり低く設定する必要がなくなるため、通常時におけるスペアタイヤパン2の剛性を容易に確保できるようになるという利点もある。
また、従来の構造では、車両後面衝突時にはスペアタイヤパン2内に収容されたスペアタイヤ3がスペアタイヤパン2の前壁部21を押圧することによっても衝突荷重(荷重)Fが前方に伝達されていたが、本実施形態では、スペアタイヤ3を破断した脆弱部Vから前方かつ後方に突出させるようにしたため、スペアタイヤ3の移動が促進され、スペアタイヤ3を介して衝突荷重(荷重)Fが前方に伝達されるのを抑制することも可能となる。
また、本実施形態では、スペアタイヤ3を破断した脆弱部Vからスペアタイヤパン2の前方かつ下方に突出させるようにしたため、飛び出したスペアタイヤ3が、スペアタイヤパン2の前方に位置するサスペンションメンバS・Mや燃料タンクF・Tに干渉するのを抑制できる。
また、本実施形態では、スペアタイヤパン2の後壁部22、左右両壁部23、24および底壁部25に亘って(スペアタイヤパン2の一部に)補強部材27を取り付けることでスペアタイヤパン2の前側下部(前部)Aに脆弱部Vを形成しているため、比較的簡素な構成で脆弱部Vを形成することができる。
更に、スペアタイヤパン2の外側に支持部材4を設けたため、スペアタイヤ3がスペアタイヤパン2から脱落するのを抑制することができる。
また、図5に示すように、この支持部材4がスペアタイヤパン3の外面に変形可能に取り付けられているため、脆弱部Vの破断により突出されるスペアタイヤ3の衝撃を支持部材4の変形により吸収しながら受け止めることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。図6〜図8は本発明の第2の実施形態を示しており、図6はスペアタイヤパンの取り付け部分を概略的に示す分解斜視図、図7はスペアタイヤの収納状態を模式的に示す側断面図、図8は後面衝突時のスペアタイヤパンの状態を模式的に示す側断面図である。
図6、図7に示すように、本実施形態のスペアタイヤの収納構造は、基本的に第1実施形態と同様であり、リヤフロアパネル1Rの開口部11に樹脂製のスペアタイヤパン2Aを嵌め込んで床下部分に設置して、このスペアタイヤパン2Aの内側にスペアタイヤ3を収納させるようになっている。そして、スペアタイヤパン2Aの前側下部Aに、後面衝突時にスペアタイヤ3をスペアタイヤパン2Aの前方かつ下方に突出させる脆弱部Vが設けられている。
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、脆弱部Vを、スペアタイヤパン2Aの底壁部25の前部および左右両壁部23、24に亘って左右方向に延びる溝部(薄肉部)V2を設けることで形成したことにある。
そして、以上の構成とすることで、図8に示すように、スペアタイヤパン2Aに収納したスペアタイヤ3が車両の後面衝突により前方移動した際に、該スペアタイヤ3によってスペアタイヤパン2Aを左右方向に延びる溝部V2で破断させ、その破断部分よりスペアタイヤ3を前方下方に突出させるようにしている。したがって、本実施形態によっても上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態では、脆弱部Vを溝部V2によって形成したので、スペアタイヤパン2Aの成型時にその溝部V2を型成形により簡単に形成できるので、スペアタイヤパン2Aの製作がより簡素化される。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。図9〜図11は本発明の第3実施形態を示しており、図9はスペアタイヤパンの取り付け部分を概略的に示す分解斜視図、図10はスペアタイヤの収納状態を模式的に示す側断面図、図11は後面衝突時のスペアタイヤパンの状態を模式的に示す側断面図である。
図9、図10に示すように、本実施形態のスペアタイヤの収納構造は、基本的に上記第1実施形態と同様であり、リヤフロアパネル1Rの床下部分に設置した樹脂製のスペアタイヤパン2Bの前側下部Aに、後面衝突時にスペアタイヤ3をスペアタイヤパン2Bの前方かつ下方に突出させる脆弱部Vが設けられている。
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、スペアタイヤパン2Bの一部に補強ビード29が一体に設けられることで脆弱部Vが形成されていることにある。
補強ビード29は、スペアタイヤパン2Bの後壁部22の上部から底壁部25の後部に亘って延設されるとともに、例えば、射出成形などにより一体成形されている。そして、図9に示すように、スペアタイヤパン2Bの壁面に沿って複数本(本実施形態では3つ)の補強ビード29が左右方向に適宜間隔を介在させて配置されている。
そして、以上の構成とすることで、図11に示すように、スペアタイヤパン2Bに収納したスペアタイヤ3が車両の後面衝突により前方移動した際に、該スペアタイヤ3によってスペアタイヤパン2Bを前側下部Aと補強ビード29との端縁である脆弱部Vの破断部V3で破断させ、その破断部分よりスペアタイヤ3を前方下方に突出させるようにしている。したがって、本実実施形態によっても上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態では、脆弱部Vを、スペアタイヤパン2Bの後壁部22の上部から底壁部25の後部に亘って車両前後方向に延びる補強ビード29を設けて形成したので、比較的簡素な構成で、スペアタイヤパン2の後部に対して前部を脆弱とすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、本実施形態では脆弱部をスペアタイヤパンの前部に設ける構成としたが、脆弱部をスペアタイヤパンの後部に設けたり、スペアタイヤパンの側部に設けるなど本発明の技術的思想に基づき種々に変形することが可能である。また、本実施形態では、脆弱部をスペアタイヤパンに収納したスペアタイヤの前方移動により破断させるようにしたが、脆弱部をスペアタイヤを介さずに破断させるようにしても勿論よい。また、上記第1、第3実施形態では、スペアタイヤパンの一部に補強部材を取り付けることで脆弱部を形成したが、この脆弱部を破断させ易くするために、上記第2実施形態の溝部をさらに設ける構成としてもよい。
1 フロアパネル(車体)
2、2A、2B スペアタイヤパン
21 前壁部
22 後壁部
23 左壁部
24 右壁部
25 底壁部
27 補強部材
29 補強ビード
3 スペアタイヤ
4 支持部材
A スペアタイヤパンの前側下部(前部)
F 衝突荷重(荷重)
V 脆弱部
V2 溝部(薄肉部)

Claims (11)

  1. 車体に設けられたスペアタイヤパンにスペアタイヤを収納するスペアタイヤの収納構造であって、
    前記スペアタイヤパンに、荷重が入力された際に破断可能な脆弱部を形成したことを特徴とするスペアタイヤの収納構造。
  2. 前記脆弱部を、前記スペアタイヤパンの前部に形成して車両の後面衝突時に破断させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のスペアタイヤの収納構造。
  3. 前記脆弱部を、車両の後面衝突により前方移動した前記スペアタイヤによって破断させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のスペアタイヤの収納構造。
  4. 前記スペアタイヤを、破断した前記脆弱部から前記スペアタイヤパンの前方かつ下方に突出させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載のスペアタイヤの収納構造。
  5. 前記スペアタイヤパンの一部に補強部材を取り付けることで前記脆弱部を形成したことを特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項に記載のスペアタイヤの収納構造。
  6. 前記スペアタイヤパンは、前壁部、後壁部、左右両壁部および底壁部を備えており、
    前記補強部材を、前記スペアタイヤパンの後壁部、左右両壁部および底壁部に亘って取り付けたことを特徴とする請求項5に記載のスペアタイヤの収納構造。
  7. 前記補強部材は、前記スペアタイヤパンに一体に形成された補強ビードであることを特徴とする請求項5に記載のスペアタイヤの収納構造。
  8. 前記スペアタイヤパンは、前壁部、後壁部、左右両壁部および底壁部を備えており、
    前記補強ビードを、前記スペアタイヤパンの後壁部の上部から底壁部の後部に亘って延設したことを特徴とする請求項7に記載のスペアタイヤの収納構造。
  9. 前記スペアタイヤパンに薄肉部を設けることで前記脆弱部を形成したことを特徴とする請求項1〜8のうち何れか1項に記載のスペアタイヤの収納構造。
  10. 前記スペアタイヤパンの外側に、前記スペアタイヤを支持して該スペアタイヤがスペアタイヤパンから脱落するのを抑制する支持部材を設けたことを特徴とする請求項1〜9のうち何れか1項に記載のスペアタイヤの収納構造。
  11. 前記支持部材は、前記スペアタイヤパンの外面に変形可能に取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載のスペアタイヤの収納構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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