JP2010181691A - 塗膜除去方法 - Google Patents

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信昭 小林
Koichi Sugama
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Abstract

【課題】浸漬塗布により基体に形成されたカーボンブラック等の粒子を含有する樹脂層のうち現像ローラ端部に形成された樹脂層をレーザ照射によりムラなく効率よく除去する塗膜除去方法を提供する。
【解決手段】現像ローラ用のシャフトにカーボンブラックを含有する塗布液を浸漬塗布して塗膜を形成した後、シャフトを回転させながら、シャフト端部に形成された塗膜にレーザを照射して塗膜除去を行う塗膜除去方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用される現像ローラのうち、トナーを担持して感光体に供給するための樹脂層を導電性のシャフト(以下、基体ともいう)上に直接配置させたベースレスタイプの現像ローラを作製する際に行う塗膜除去方法に関する。具体的には、現像ローラを構成するシャフトに浸漬塗布により塗膜を形成した後、シャフト上の塗膜が不要な領域の塗膜をレーザ照射により除去する塗膜除去方法に関する。
電子写真方式の画像形成方法の1つに、キャリアを使用せず、トナーを現像ローラ面に押し当てる等により帯電させてトナー画像を形成する非磁性一成分現像方式と呼ばれる画像形成方法がある。この非磁性一成分現像方式に使用される現像ローラには、摩擦帯電性やトナー搬送性を制御するため、あるいは、画像欠陥の発生を防止するためにカーボンブラックや酸化チタン等の無機粒子を含有した樹脂層が形成されているものがある(たとえば、特許文献1参照)。最近では、トナーを担持して感光体に供給するための樹脂層を導電性の基体上に直接配置したベースレスと呼ばれるタイプの現像ローラが登場している。
ベースレスローラに形成する樹脂層は、樹脂層形成用塗布液を用意し、エアスプレイ法やロールコート法、浸漬塗布法等の公知の塗布法で現像ローラ用の基体上に塗膜を形成することにより、作製することができる。これら塗布法の中でも、浸漬塗布法は装置構成が簡便で高い生産性が得られる等の理由から広く使用されている(たとえば、特許文献2参照)。
ところで、浸漬塗布法では基体を塗布液槽に浸漬させて樹脂層を形成するため、基体上に樹脂層が形成され、基体端部等の樹脂層が不要な領域では樹脂層を除去する必要が出てくる。電子写真方式の画像形成装置に用いられる有機電子写真感光体では、レーザ光を用いて円筒状の導電性基体からその表面状態をあらさずに塗膜を除去する方法と、中心部の塗膜に影響を与えることなく端部の塗膜を除去する方法が検討された(たとえば、特許文献3参照)。
特開2003−195601号公報 特開2005−295052号公報 特開2000−93887号公報
前記特許文献では、有機電子写真感光体を対象とし、浸漬塗布により形成された樹脂層(塗膜)にレーザ光を照射して塗膜除去を行う技術が開発されていた。しかし、本発明で対象とするシャフト上の塗膜が不要な領域の塗膜として、現像ローラの保持部の塗膜を前記特許文献と同様の手順で除去したところ、部分的に塗膜除去がなされなかったり、または必要十分に除去した場合にはシャフトの保持部表面が部分的にあらされていた。このことより、現像ローラの保持部にバイアス電圧を印加またはアースする場合、導通が不安定となり現像ムラと呼ばれる画像不良が発生した。また、シャフトの回転ムラにより段ムラと呼ばれる画像不良が発生した。
この様に、特許文献に開示された有機電子写真感光体を対象にした技術を用いて現像ローラ上の不要な塗膜にレーザ照射を行って除去しても良好な結果が得られなかった。また、前記特許文献における有機電子写真感光体は、レーザの照射エネルギーを吸収し易いカーボンブラックを含有せず、樹脂層の厚さも均一であり、基体の直径が大きいのでその曲率も現像ローラよりもはるかに大きなものであった。
一方、本発明で対象とするベースレスタイプの現像ローラは、トナーへの適正な帯電付与性能を得るためにカーボンブラックを含有している。この様な現像ローラでは、カーボンブラックが照射エネルギーを吸収して燃焼や昇華、さらにはアブレーションを起こして必要な部分の樹脂層まで部分的に除去して、除去にムラを発生させる原因になった。
また、本発明で対象とするベースレスタイプの現像ローラは、現像ローラ表面でのトナー搬送性を得るために樹脂層中に樹脂等の粒子を含有している。この様な現像ローラでは、現像ローラの樹脂層に凹凸が存在するため、樹脂層の厚さが部分的に異なるので不要な樹脂層のみを除去しきれず、除去にムラを発生させる原因になった。
さらに、樹脂層の除去にムラが生じた場合、基体をあらさぬ程度にレーザ照射したのでは除去できない部分が残ってしまう。また、必要十分に除去した場合、シャフトの保持部表面が部分的にあらされてしまうことも懸念された。この様な影響により作製した現像ローラ保持部にバイアス電圧を印加またはアースすると、導通が不安定になって現像ムラと呼ばれる画像不良を発生させ、また、シャフトの回転ムラにより段ムラと呼ばれる画像不良を発生させた。
本発明は、現像ローラを作製する際、浸漬塗布により基体上に形成されたカーボンブラックや粗さを付与する粒子を含有する樹脂層のうち、保持部と呼ばれる現像ローラ端部の本来樹脂層が不要な領域に形成された樹脂層をレーザ照射によりムラなく除去できる塗膜除去方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上述した課題が以下に記載されるいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『電子写真方式の画像形成装置に使用される現像ローラ用のシャフトに、カーボンブラックを含有する塗布液を浸漬塗布して塗膜を形成し、
前記塗膜を形成した後、
前記シャフトを回転させながら、シャフト端部に形成された塗膜にレーザを照射して前記塗膜を除去することを特徴とする塗膜除去方法。』というものである。
請求項2に記載の発明は、
『前記レーザが、発振波長が1064nmのYAGレーザであることを特徴とする請求項1に記載の塗膜除去方法。』というものである。
請求項3に記載の発明は、
『前記レーザを照射するときのスキャン速度が4000mm/sec以上20000mm/sec以下、平均出力が10W以上50W以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗膜除去方法。』というものである。
本発明によれば、電子写真方式の画像形成装置に使用する現像ローラを作製する際、浸漬塗布により、たとえばカーボンブラックや粗さ付与粒子を含有する樹脂層を基体上に形成したときに現像ローラ端部に形成された樹脂層をムラなく除去できる様になった。また、加熱を行いながら塗膜除去を行う必要がなくなり、生産性への影響を与えることのない効率のよい塗膜除去が行える様になった。
ベースレスの現像ローラの構成を示す概略図である。 ベースレスの現像ローラの作製に使用可能な浸漬塗布装置の模式図である。 シャフト上に塗膜を形成した状態を示す模式図である。 レーザを用いる塗膜除去装置の概略図である。 他の形態のレーザを用いる塗膜除去装置の概略図である。 比較用の塗膜除去装置の概略図である。
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用される現像ローラを構成する基体にカーボンブラックや粗さを付与する粒子を含有する塗膜(樹脂層)を形成後、樹脂層の除去が必要になるシャフト端部にレーザ照射を行って樹脂層を除去する塗膜除去方法に関する。
本発明者は、カーボンブラックを含有する樹脂層にレーザ照射を行ったとき、カーボンブラックの存在により円滑な塗膜除去が阻害されるものと懸念していた。レーザを照射したとき、照射エネルギーが樹脂層中の粒子に吸収されて、レーザ照射面におけるエネルギー強度にばらつきが発生する様になり、その結果、塗膜を均一に除去するのが難しくなると危惧していた。
しかしながら、実際にレーザを照射してみるとカーボンブラックを含有する樹脂層であってもスムーズに除去することができた。これは、照射時にレーザドット径がある程度小さく絞られていることにより、小さなレーザ照射面にはとても大きなエネルギーが局所的に得られた状態となり、その作用でカーボンブラックもいっしょに破壊しながら樹脂層の除去が行えるためと考えられる。つまり、同じ大きさの力を加えるときに作用面の面積が小さくなるほど、そこにはたらく圧力は大きくなることと同じ理由で、破壊が困難なカーボンブラック粒子が破壊されたものと考えられる。
また、粗さを付与する粒子を含有させた現像ローラについても、樹脂層をスムーズに除去できることが見出され、その理由は上述したカーボンブラックのときと同様の理由と考えられる。
本発明者は、上述した推測から、より高出力のレーザを用いると、ドット径を小さく絞らずに照射してもカーボンブラックや粒子を含有してなる樹脂層をスムーズに除去できるものと考えて検討を重ねた。そして、各種レーザの中でも発振波長が1064nmのYAGレーザが特に好ましいものであることを見出したのである。
以下、本発明について具体的に説明する。
最初に、本発明で作製される電子写真方式の画像形成装置に好ましく使用される現像ローラについて具体的に説明する。前述した様に、本発明で作製される現像ローラは、トナーを担持して摩擦帯電を行い、帯電させたトナーを感光体に供給をするための部位である樹脂層を浸漬塗布により導電性のシャフト上に直接配置させるベースレスと呼ばれるタイプのものである。したがって、本発明で作製されるベースレスの現像ローラは、以下で説明する構成の現像ローラのみに限定されるものではない。
図1はベースレスの現像ローラの概略図で、図1(a)は現像ローラの概略斜視図、図1(b)は図1(a)に示すA−A′に沿った概略断面図である。
図1において、現像ローラ1は、画像形成装置内においてトナーを担持して摩擦帯電を行う部位を有する本体部10と、本体部10の両側に設けられる保持部11より構成され、保持部11は画像形成装置内で現像ローラ1を装置内に保持させるための部位である。ここで、本発明でいう「シャフト端部」は保持部11が該当するものである。
図1(b)に示す様に、本体部10は、円筒状の基体12を有し、基体12の周面に浸漬塗布により形成される樹脂層13、すなわち、本発明でいう「塗膜」を有するものである。なお、図1(b)では、基体12上に形成される樹脂層13が複数の層から構成される多層構造のものが示され、基体12上に第1樹脂層13a、第2樹脂層13b、表面層13cの順に積層形成されている。樹脂層13を多層構造とすることにより樹脂層13内を機能分離化することができる。たとえば、図1(b)では、第1樹脂層13aに基体12への接着層としての機能を付与し、第2樹脂層13bにトナーへの帯電付与性能を付与し、さらに、表面層13cに樹脂層表面における強度保持機能を付与することが可能になる。なお、本発明で作製される現像ローラは樹脂層13が多層構造のものに限定されるものではない。
また、本発明で作製される現像ローラ1は、樹脂層13中にカーボンブラックを含有するものであるが、たとえば、図1(b)に示す多層構造の樹脂層13を有する現像ローラ1では第1樹脂層13a、第2樹脂層13b、第3樹脂層13cの全ての層にカーボンブラックを含有させる必要はない。これら樹脂層の少なくとも1つの樹脂層にカーボンブラックを含有させたものであればよい。
上述した様に、図1に示す現像ローラ1は、本体部10と保持部11より構成され、本体部10は、基体12とその周面に設けられた樹脂層13より構成されるものである。本発明でいう「シャフト14」は、本体部10を構成する基体12と保持部11より構成されるものであり、また、本発明では、「基体」という用語が前述した本体部10を構成する基体12のみを意味する場合もある。
保持部11の形状は、現像ローラ1を取り付ける側の形式により変わるため特に限定されるものではなく、たとえば、図1に示される保持部11は、径が異なる第1保持部11aと第2保持部11bとから構成されている形状のものである。図1に示す現像ローラ1において、樹脂層13が形成される領域は円筒状の基体12の周面と両端の端面10bであり、それ以外の領域に樹脂層を設ける必要がない。前述した様に、保持部11は本発明でいう「シャフト端部」に該当する領域で、本発明では浸漬塗布により保持部11に形成された樹脂層をレーザ照射により除去して最終的には保持部11を樹脂層が存在しない領域にする。
現像ローラ1のシャフトを構成する基体12及び保持部11は、導電性の部材で構成され、画像形成により現像ローラ表面に蓄積する電荷を適度にリークさせる作用が求められている。基体12及び保持部11の具体的な材質としては、たとえば、SUS304等のステンレス鋼、鉄、アルミニウム、ニッケル、アルミニウム合金、ニッケル合金等の金属材料が好ましい。また、前述した金属の粉体物やカーボンブラック等の導電性材料を樹脂中に充填させた導電性樹脂を用いて基体101aを形成することも可能である。また、基体12及び保持部11は比抵抗が1×10Ω・cm以下のものが好ましい。また、基体12の外径は5mm〜30mmが好ましく、10mm〜20mmがより好ましい。
樹脂層13は、3μm乃至100μmの厚みを有するものが好ましく、その表面でトナー層を形成し、形成されたトナー層に対して摩擦帯電を行ってトナーを帯電させる部位である。樹脂層13表面で帯電したトナーは、像担持体に向かって飛翔(ジャンピング)することで潜像を顕像化する。
樹脂層13を構成する樹脂は、樹脂層13を形成したときに、その表面でトナー層を形成し、さらに、摩擦帯電によりトナーを帯電するとともに、トナー搬送も行えるといった性能が求められる。また、樹脂層13表面でトナーの帯電や搬送を安定して行える様にするためには、樹脂層13と基体12の間に強固な接着性を有することが求められる。
樹脂層13の形成に使用可能な樹脂としては、たとえば、ポリオールとイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン系樹脂がその代表例として挙げられる。前記ポリオールの具体例としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリプロピレングリコール等のポリウレタン用ポリオール化合物が挙げられる。これらの中でも、高温高湿環境下での画像形成時にトナーの帯電量低下の発生を防止するポリウレタン樹脂を形成するポリカーボネートポリオールが好ましい。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等の脂肪族または脂環式のポリカーボネートポリオールがより好ましい。
また、前記イソシアネートの具体例としては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、水添MDI、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネートやポリオール、さらにはポリアミンを用い、分子末端にイソシアネート基を有する様に反応させて得られるウレタンプレポリマーを用いることも可能である。
また、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、ヒドラジン等の化合物を併用することにより分子鎖の伸長を行うことも可能である。
ポリウレタン樹脂の代表的な製造方法としては一段法と二段法がある。一段法は、ポリオールとジイソシアネート化合物、及び、必要に応じて鎖伸長剤や重合停止剤を適当な溶媒中で一度に反応させることによりポリウレタン樹脂を作製する方法である。また、二段法は、ポリオールとジイソシアネート化合物をイソシアネート基が過剰な環境下で反応させることにより、ポリオール鎖の末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを調製し、次いで、これを適当な溶媒中で鎖伸長剤や重合停止剤を存在させた環境下で反応を行うものである。このうち、二段法は均一なポリマー溶液を得られ易いメリットを有する。
また、樹脂−シリカハイブリッド体と呼ばれる樹脂成分とシリカ成分とを分子結合で一体化した分子構造を有する化合物を樹脂層13に含有させることにより、樹脂層13と基体12との接着性を向上させることも可能である。樹脂−シリカハイブリッド体は、ケイ素原子と酸素原子の交互結合による網目状のシリカ構造(本発明ではシリカ骨格ともいう)を有する領域と、ポリウレタン樹脂やビニル重合体樹脂からなる有機高分子の領域とから構成されるものである。
樹脂−シリカハイブリッド体は、エポキシ基と反応性を有する官能基を有する樹脂とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物との反応によりアルコキシ基含有シラン変性樹脂を形成し、アルコキシ基含有シラン変性樹脂を縮合反応により硬化させてシリカ構造を形成するものである。
本発明で作製される現像ローラ1は、樹脂層13中にカーボンブラックを含有するものであり、その平均粒径は1μm以上30μm以下のものが好ましい。また、カーボンブラックを含有する樹脂層中におけるカーボンブラックの含有率は10質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。樹脂層13中のカーボンブラックの存在により現像ローラ表面に凹凸が付与される。この様に、現像ローラ表面を粗面化することにより現像ローラ表面におけるトナー搬送性を向上させることができる。
ここでいうカーボンブラックの平均粒径とは、個数平均1次粒径を意味するものである。具体的には、倍率が50,000倍の透過型電子顕微鏡装置(TEM)を用い、100個のカーボンブラック粒子をランダムに1次粒子として観察し、画像解析により水平方向フェレ径を算出して、その平均値を個数平均1次粒径とするものである。
具体的には、現像ローラ1より厚さ80乃至〜200nmの測定用切片試料を作製し、これを透過型電子顕微鏡装置(TEM)で観察して、得られた顕微鏡写真を解析することによりカーボンブラックの平均粒径を算出する。透過型電子顕微鏡装置(TEM)の具体例としては、「H−9000NAR」(日立製作所社製)、「JEM−200FX」(日本電子社製)等がある。
透過型電子顕微鏡による観察方法は、現像ローラ断面測定を行う際に行われる通常の方法で行われる。たとえば、以下の様な手順で行うことが可能である。先ず、観察用試料を作製する。常温硬化性のエポキシ樹脂中に現像ローラを包埋、硬化させてブロックを作製する。作製したブロックをダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い、厚さ80〜200nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製する。
次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて現像ローラの断面構造を写真撮影する。当該写真より現像ローラの断面構造を目視で確認することができる。また、「ルーゼックスF(ニレコ社製)」等の画像処理装置を透過型電子顕微鏡装置に接続し、得られた画像情報を演算処理することで、カーボンブラック粒子の平均粒径が算出される。また、測定用試料は場合によっては四酸化ルテニウム、または四三酸化オスミウム等で染色してもよい。
次に、ベースレスタイプの現像ローラの製造方法について説明する。前述した様に、本発明では、トナー層を形成して摩擦帯電を行って感光体にトナーを供給する樹脂層13をシャフト上に直接設けるベースレスの現像ローラを作製する際、浸漬塗布によりシャフト上に形成された樹脂層のうち現像ローラ端部に形成された樹脂層をレーザ照射により除去する。
本発明で作製されるベースレスの現像ローラは、導電性のシャフトの周りに、樹脂とカーボンブラックを含有させた塗布液を浸漬塗布し、塗布後、加熱処理を行って塗布液を乾燥させる工程を経て作製することが可能である。また、図1(b)に示す多層構造の樹脂層を有する現像ローラは、1つの樹脂層を形成後、さらに塗布液を塗布して、先に作製した樹脂層を作製したときと同じ加熱処理を行うことにより作製が可能である。
ここで、ベースレスの現像ローラの作製手順について説明する。
先ず、導電性のシャフトの周りに形成するカーボンブラックを含有する樹脂層を形成する材料を有機溶剤に混合、溶解させて樹脂層形成用塗布液を作製する。ここでシャフトは、たとえば前述の図1に示した様に、基体12と保持部11とを一体化したもので、樹脂層13を形成することにより現像ローラ1になるものである。また、塗布液を作製する際には、塗布液中の成分が均一になることが好ましく、カーボンブラックを樹脂とともに添加して塗布液を調製する際、カーボンブラックが均一分散する様に調製する必要がある。
塗布液を調製する手段としては、たとえば、「ダイノーミルTILAB(シンマルエンタープライセス社製)」に代表されるサンドグラインダ型の分散装置等が挙げられる。サンドグラインダ型の分散装置では、たとえば、直径0.5mmガラスビーズ等を使用して分散処理を行う。この様に分散処理を行って、カーボンブラックを均一分散させた樹脂層形成用塗布液を調製する。
ベースレスの現像ローラを作製する際、樹脂層用の塗布液に使用可能な溶剤は、カーボンブラックの性能に影響を与えるものでなければ、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤等が好ましい。
ケトン系溶剤としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、アルコール系溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
また、エステル系溶剤としては、たとえば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、エーテル系溶剤としては、たとえば、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。さらに、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤やジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらの有機溶剤を単独または混合して使用することが可能である。
次に、導電性シャフト上に前述の樹脂層形成用塗布溶液を浸漬塗布する。樹脂層形成用塗布溶液の粘度は、浸漬塗布を行うのに最適なものになる様、公知の方法により調整しておくことが好ましい。浸漬塗布は、シャフトを塗布液槽に向けて降下させ、塗布液槽内にシャフトを所定時間浸漬させて行うものである。そして、塗布液槽内での浸漬開始から所定時間経過後、樹脂層が塗布された状態のシャフトを塗布液槽より取り出して塗布を終了させる。
図2は、ベースレスの現像ローラの作製に使用可能な浸漬塗布装置の一例を示す模式図である。図中、2は浸漬塗布装置を示す。浸漬塗布装置2は、塗布部20と、シャフト(基体)14を供給する供給部21から構成される。塗布部20は、塗布液を満たした塗布槽201、塗布槽201の開口部から溢れる塗布液を受けるため塗布槽201の上部に配設されたオーバーフロー受け槽202、塗布液供給タンク203、送液ポンプ204より構成される。
塗布槽201は、底部と、底部の周面から立ち上げられた側壁を有し、上部が開口した構造になっており、送液ポンプ204から送られてくる塗布液が底部より供給される。また、塗布槽201の形状は、特に限定されるものではなく、たとえば、円筒形状、逆円錐台形状等の形状が挙げられる。図2では円筒形状のものを示している。
オーバーフロー受け槽202は、開口した上部に中央に孔を有する蓋がかぶせられている。オーバーフロー受け槽202には、塗布槽201より溢れてきた塗布液を塗布液供給タンク203に戻せる様に塗布液戻し口を有する。また、塗布液供給タンク203には、撹拌用の羽根が設けられ、塗布液中に含有されるカーボンブラックや樹脂成分の均一分散を維持する上で効果的である。また、送液ポンプ204には、たとえば、ベーンポンプ、ロータリーポンプ、スクリュウポンプ、ギアポンプ等の公知のポンプを使用することができる。
供給部21は、ボールネジ211、ボールネジ211を回転させる駆動部212、ボールネジ211の回転速度を制御する制御部213と、ボールネジ211に螺合されている昇降部材214、ボールネジ211の回転に伴い昇降部材214を上下方向(図中の矢印方向)に移動させるガイド部材215、及び、昇降部材214にシャフト14を取り付ける取付部材216より構成される。
なお、取付部材216を介して昇降部材214に取り付けられているシャフト14は、前述した様に、図1に示す現像ロール1を構成する基体12(樹脂層13を有さない本体部10)と、基体12の両端に設けられている保持部11より構成されている。
取付部材216は、シャフト14の両端に設けられている保持部11のいずれかを保持し、保持したシャフト14が塗布槽201のほぼ中央の位置になる様に昇降部材214に取り付けられている。取付部材216に保持されているシャフト14は、ボールネジ211の回転に伴って昇降部材214が上下方向に移動することにより、昇降部材214の直下に設けられている塗布槽201内に出入りできる。そして、塗布層201に充填されている塗布液中に浸漬され、その後引き上げられることにより、シャフト14表面に塗布液が塗布される。図2の浸漬塗布装置2では、塗布槽201内の塗布液によりシャフト14がムラなく塗布される様、制御部213により昇降部材214の移動が制御される。
次に、塗布の完了したシャフトを乾燥処理して樹脂層中より溶剤を除去する。乾燥処理は、クリーンルームの様に、空気清浄度が確保され、かつ、空気の流れ(フロー)を有する環境下で行うことが好ましい。たとえば、空気の流れは天井部より床に向かうダウンフローと呼ばれる流れが好ましい。また、天井部の送風部分にフィルタを設けて乾燥空気の精密濾過を行う等により空気清浄度を確保することができる。
この様な乾燥処理により、シャフト14上に形成された樹脂層中より有機溶剤が効率よく除去されるとともに、樹脂層表面へのゴミ等の付着を回避することができる。そして、強固な塗膜(樹脂層)がシャフト上に形成される。
本発明では、シャフト上に形成した樹脂層のうち、画像形成装置内に配置後はトナーを担持して摩擦帯電を行い、感光体へのトナー供給を行う領域以外の領域の樹脂層にレーザを照射して除去を行うものである。このレーザ照射により現像ローラ端部に形成された樹脂層を除去する工程(塗膜除去工程)を経て、導電性基体上に樹脂層を直接形成してなるベースレスタイプの現像ローラが完成する。
本発明では、現像ローラ用のシャフトにカーボンブラックを含有する塗布液を浸漬塗布して塗膜(樹脂層)を形成し、樹脂層のうちシャフト端部に形成された樹脂層(塗膜)にレーザ照射を行って塗膜除去を行うものである。
ここで、シャフト端部、すなわち、図1の現像ローラ1を構成する保持部に形成された樹脂層(塗膜)について説明する。図3は、図2の浸漬塗布装置中のPで示される部分で塗膜(樹脂層)が形成された状態を拡大して説明した模式図、すなわち、シャフト14に塗膜を形成した状態を示す模式図である。図中、13は塗膜(樹脂層)を示す。図2に示す浸漬塗布装置を使用してシャフト14上に浸漬塗布を行ったとき、図3に示す様にシャフト14上に塗膜(樹脂層)13が形成される。すなわち、すなわち、基体12表面、保持部11を構成する第1保持部11a表面、第1保持部11aの端面11a1、第2保持部11b表面、第2保持部11bの端面11b1に塗膜(樹脂層)13が形成される。この様に、浸漬塗布により現像ローラ用の基体12上に塗膜(樹脂層)13を形成する。
ところで、図1や図3に示す現像ローラを画像形成装置に装填して画像形成を行う際、本体部10(図1参照)表面でトナーが担持されて摩擦帯電が行われる。そして、本体部10表面で摩擦帯電されたトナーはジャンピングして感光体に移動して感光体表面に形成された潜像を顕像化する。この様に、現像ローラでは本体部10でトナーを担持、摩擦帯電が行われ、本体部10以外の領域、すなわち、図3に示す保持部11表面、詳細には第1保持部11a表面、第1保持部11aの端面11a1、第2保持部11b表面、第2保持部11bの端面11b1の部位ではトナーの担持、摩擦帯電は行われない。つまり、本発明でいうシャフト端部に形成された塗膜(樹脂層)13上ではトナーの摩擦帯電は行われないので、これらの部位に形成した塗膜(樹脂層)をレーザにより除去することになる。
次に、塗膜除去装置について具体的に説明する。図4は、本発明でいうシャフト端部に形成された塗膜(樹脂層)13を除去する塗膜除去装置の概略図で、図4(a)は塗膜除去装置3の概略斜視図、図4(b)は塗膜除去装置3の概略正面図である。図4の塗膜除去装置3は、載置部31とレーザ照射部32とを有するものである。
図4の塗膜除去装置3を構成する載置部31は、第1載置部311、第2載置部312、駆動部313を有する。第1載置部311は架台311a上に2つのローラ311b1とローラ311b2が互いに接触する状態で配設されている。第2載置部312も同様に架台312a上に2つのローラ312b1とローラ312b2が互いに接触する状態で配設されている。ローラ311b1とローラ312b1とは軸314で連結しており、軸314は駆動部313のモータ313Mの回転軸313a1に連結治具(不図示)を介して繋がっている。図4の塗膜除去装置3はローラ311b1とローラ312b1とが駆動用のローラとなっている。また、ローラ311b2とローラ312b2は、ローラ311b1とローラ312b1と同様に軸により繋がっている。軸の両端は回転可能にそれぞれ架台311aと架台312aとに配設されている。また、モータ313Mは架台313b上に配設されている。
図3に示す様にシャフト14上に塗膜(樹脂層)13が形成された現像ローラ1は、第1載置部311のローラ311b1とローラ311bの間と、第2載置部312のローラ312b1とローラ312b2の間に、現像ローラ1両端に設けられた保持部11の第2保持部11bを載置させることで、載置部31への載置を可能にしている。
レーザ照射部32は、光源部321、駆動部322、固定部材323を有する。光源部321は光源(不図示)を収納した筐体321aを有している。駆動部322は、モータ322M、モータ322Mに直結している可動ネジ322aを有し、可動ネジ322aの回転により、筐体321aを固定部材323に配設された2本のガイドレール323aに沿って移動(図中の矢印方向)できる様にしている。図4で示される光源部321の移動は現像ローラ1の軸と平行となっている。また、駆動部322は、可動ネジ322aを回転させるモータ322Mを配設する架台322bを有する。
図4の塗膜除去装置3は、上記構成により現像ローラ1のシャフト端部、すなわち、第1保持部11aと第2保持部11bに形成された塗膜(樹脂層)を除去することができる。また、光源部321の移動距離を増やすことにより、現像ローラ表面の塗膜(樹脂層)を除去することも可能である。
また、図5は現像ローラ1のシャフト端部に形成された塗膜(樹脂層)13を除去する他の塗膜除去装置の概略図で、図5(a)は塗膜除去装置の概略斜視図、図5(b)は塗膜除去装置の概略正面図である。
図5に示す塗膜除去装置3は、図4の塗膜除去装置3と同様に、載置部31とレーザ照射部32を有する。載置部31は図4に示す載置部31と同じなので説明は省略する。また、図5に示す塗膜除去装置3のレーザ照射部32は、図4と同様の駆動部322を有するとともに、照射するレーザ光が保持部11表面に対して角度を変化させながら照射できる様に配置された光源部321′を有するものである。したがって、図5の塗膜除去装置3は、図4の塗膜除去装置3に比べて保持部11の端面、すなわち第1保持部11aの端面11a1と第2保持部11bの端面11b1に形成された塗膜を除去するのに有利な構造となっている。
前述した図4や図5に示す塗膜除去装置により、浸漬塗布により現像ローラ用のシャフト上に形成したカーボンブラックを含有する塗膜(樹脂層)のうち、シャフト端部に形成された樹脂層(塗膜)にレーザ照射を行って塗膜除去を行うことができる。
ここで、レーザとは、誘導放出により光を電気信号の様に増幅することにより得られる、方向、位相、波長の揃った光源のことである。また、レーザという用語は、「LASER;Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の英語の頭文字をとったものである。なお、上記英文を日本語に訳すと「放射の誘導放出による光の増幅」という意味である。
レーザは、波長、周波数が1つの光源からなるいわゆる単色光より構成され、また、光源より発する光がほとんど拡がらずに進行する指向性を有する。また、光の位相が揃っていることにより良好な干渉性が得られることや、レンズ等により集光すると高エネルギー有し、かつ、高い輝度性の光が得られるといった特徴を有する。
レーザを発振形式で分類すると、連続的にレーザを発振する連続波レーザと単一のパルスまたは一連のパルス列の形で断続的にレーザを発振するパルスレーザに大別され、本発明ではパルスレーザが好ましく使用される。
また、レーザをレーザ媒質に基づいて分類すると、固体レーザ、半導体レーザ、液体レーザ、気体レーザに分類され、発振波長により分類すると、赤外線レーザと紫外線レーザに分類される。固体レーザは、非晶質や結晶等の母材に活性原子や活性分子を均一に蒸着塗布してレーザ媒質としたものである。また、気体レーザは、気体の活性原子や活性分子、または、これを含む混合気体をレーザ媒質としたものである。
レーザ媒質で分類される本発明に使用可能なレーザとしては、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、COレーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ等が挙げられる。この中でも、YAGレーザは、高出力のレーザが得られることや、伝送媒体として光ファイバが使用可能な様に汎用性が広いことから、特に好ましい。
最初に、本発明に使用可能なレーザの代表例であるYAGレーザについて説明する。YAGレーザは、レーザ媒質がガラス(非晶質)や結晶等の固体であるいわゆる固体レーザに分類され、形成されるレーザは赤外線レーザに分類される。
YAGレーザは、レーザ媒質にネオジウム(Nd)をドープしたYAG結晶(イットリウム(Yttrium)・アルミニウム(Aluminium)・ガーネット(Garnet);YAl12結晶)を用いる。そして、YAG結晶にフラッシュランプやレーザダイオード等の強力な光を照射することにより、励起状態となり、発振波長が1064nmのレーザを形成する。
YAGレーザは、連続発振、パルス発振のいずれの発振形式からも得られ、特に、パルス発振では高いピーク出力を有するレーザが得られ、また、レーザの伝送に光ファイバが使用可能なことから、穿孔、切断、溶接等の各種加工作業に利用することが可能である。このYAGレーザの波長により、金属自体を効果的に加熱することができるので、容易に汚れの除去が行えるものと推測される。
また、YAGレーザと同様、結晶表面にネオジウムをドープしてなる構造を有するレーザ媒質を用いるものとして、YVOレーザがある。YVOレーザは、イットリウム・オルソバナデート(Yttrium Orthovanadate)結晶にネオジウム(Nd)をドープしたレーザ媒質を用いて形成されるものである。YAGレーザと同様、結晶にフラッシュランプやレーザダイオード等の光を照射すると、励起状態となって、発振波長が1064nmの赤外レーザを形成する。YVOレーザは、YAGレーザよりも高出力のレーザが得られる反面、YAGレーザよりも結晶の励起寿命が短い。
COレーザは、レーザ媒質に二酸化炭素を用いる気体レーザで、発振波長が10.6μmの赤外線レーザを形成するものである。COレーザは、常時光を発している連続発振(CW)と瞬間的に光を発するパルス発振(P)のいずれの発振形式より得られ、発振効率も高いといった特徴を有し、種々のレーザ技術に使用されている。
エキシマレーザは、レーザ媒質に希ガスエキシマ、希ガスハライド、水銀ハライド等のヘテロエキシマを用いて形成されるレーザで、発振波長が150〜350nmの気体レーザで、発振波長の視点から見ると紫外線レーザに分類されるものである。エキシマレーザは、希ガスとハロゲンの混合気体中の放電、または電子ビーム照射によって生じる励起状態のエキシマが基底状態に戻るときの誘導放出により、短波長可視域、紫外または真空紫外域で光をパルス発振する。たとえば、レーザ媒質がKrFの場合、発振波長が248nmのレーザが、XeClの場合、発振波長が308nmのレーザが、さらに、ArFの場合、発振波長が193nmのレーザが、数nsのパルス幅で数MW以上の先頭出力で高い繰り返し周波数で得られる。この様に、エキシマレーザは高エネルギーを有する紫外線光を取り出せることを特徴とする。なお、エキシマとは、励起状態の原子または分子と基底状態の原子または分子とが結合してなる2量体のことで、種類の異なる2個の原子または分子からなるものは特にヘテロエキシマと呼ばれる。
半導体レーザは、レーザダイオードと呼ばれる半導体を用いたダイオード構造のレーザ媒質により形成されるもので、電流印加によりレーザ発振を行って、発振波長が600〜1600nmの可視領域から近赤外領域の光が得られるものである。半導体レーザは、レーザ媒質にガリウム・ヒ素(Ga・As)結晶、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(Ga・Al・As)結晶、インジウム・ガリウム・ヒ素・リン(In・Ga・As・P)結晶が用いられ、連続発振、パルス発振のいずれの発振形式より得られる。また、半導体レーザは、光ファイバ通信、CDプレーヤ、レーザプリンタ、レーザスキャナ等に幅広く使用されており、現在最も生産量の多いレーザ発振素子である。
次に、本発明で行うレーザ照射条件について説明する。本発明では、レーザ照射時のスキャン速度を4000mm/sec以上20000mm/sec以下、平均出力を10W以上50W以下に設定して、現像ローラのシャフト端部に形成された不要な塗膜を除去することが好ましい。スキャン速度及び平均出力を上記範囲にすることにより、適度な強度のレーザ光がシャフト端部に照射されて不要な塗膜を確実にかつ効率よく除去できるので好ましい。レーザ光のスキャン方式は、公知の方式を採用することができ、特にガルバノスキャニング方式が好ましい。
現像ローラを構成するシャフト端部へレーザ照射するときのレーザスポット径は、50μm〜130μmが好ましく、80μm〜120μmがより好ましい。現像ローラのシャフト端部へレーザ照射する際のレーザ照射部より塗膜面までの距離、すなわち、ワークディスタンスは150mm〜410mmが好ましい。たとえば、スキャニング速度4000mm/sec、平均出力10W、レーザスポット径80μmのYAGレーザでワークディスタンス168mm±2mmに設定して、焦点深度2.5mmの照射光が得られて塗膜除去を効率よく行える。また、スキャニング速度と平均出力が前記と同じ条件でレーザスポット径120μmのYAGレーザでワークディスタンス335mm±3mmに設定して、焦点深度2.5mmの照射光による塗膜除去が行える。
また、レーザ照射に伴う発熱を考慮してレーザ照射部を公知の方法で冷却することが好ましく、たとえば、空冷方式やチラー冷却方式等によりレーザ照射部を冷却することが好ましい。さらに、レーザ照射を行っているとき、現像ローラを回転させておくことが好ましく、たとえば、10rpm〜60rpm、好ましくは15rpm〜50rpmに設定してレーザ照射を行うことが好ましい。また、レーザ照射時間は特に限定されるものではないが、上記条件下では1sec〜15secとすることが好ましく、2.5sec〜11.5secがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明は下記に記載の実施態様のみに限定されるものではない。
1.現像ローラの作製
以下の手順により、現像ローラを作製した。
(1)「樹脂層形成用塗布液」の作製
ファーネスブラック 30質量部
アナターゼ型酸化チタン粒子(平均粒径35nm、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理) 2.0質量部
メチルエチルケトン(MEK) 400質量部
を、上記順番にメディアタイプの分散機「ダイノーミルTILAB(シンマルエンタープライセス社製)」に投入し、さらに、直径0.5mmのガラスビーズ100質量部を投入して、1000rpmで2時間の分散処理を行って1次分散液を調製した。
次いで、
ポリウレタン樹脂「ニッポラン5120(日本ポリウレタン社製)」
100質量部
を分散機に投入し、1000rpmで分散処理を行って2次分散液を調製した。
さらに、上記2次分散液中に、架橋アクリル樹脂粒子(平均粒径15μm)20質量部を投入し、架橋アクリル樹脂粒子が破砕しない程度の回転数に設定して分散処理を行い、「樹脂層形成用塗布液」を作製した。
(2)塗布、乾燥処理
前記「樹脂層形成用塗布液」を図2に示す浸漬塗布装置2の塗布槽201に投入し、浸漬塗布装置2による浸漬塗布が実施可能な状態にした。
次に、図1(a)に示す基体と保持部から構成されるSUS303製シャフト(直径16mm)を用意した。そして、前記SUS303製シャフトを前記浸漬塗布装置にセットし、乾燥時の厚さが14μmになる様に前記「樹脂層形成用塗布液」をシャフト上に塗布した。塗布後、130℃で加熱処理を1時間行って乾燥処理した。この様にして、前記シャフト上に単層構造の厚さ14μmの樹脂層を形成した。
2.シャフト端部の樹脂層除去作業
次に、以下の装置を用いてシャフト上に樹脂層が形成されている現像ローラの保持部(シャフト端部)より樹脂層の除去作業を行った。
(1)レーザ照射装置による除去作業
図4及び図5に示すレーザ照射装置を用いて保持部11に形成された樹脂層を除去した。除去作業は、最初に図4に示す塗膜除去装置を用いて第1保持部11a表面と第2保持部11b表面の樹脂層を除去し、続いて、図5に示す塗膜除去装置を用いて第1保持部11aの端面11a1と第2保持部11bの端面11b1の樹脂層を除去した。
塗膜除去装置のレーザ照射部32に、以下に示す市販の各種レーザ光源を装填して樹脂層の除去を行い、各レーザ光源に基づき「実施例1〜3」とした。すなわち、
・実施例1:YAGレーザ(発振波長=1064nm)
・実施例2:YVOレーザ(発振波長=532nm)
・実施例3:炭酸ガスレーザ(発振波長=10.6μm)
また、下記レーザ出力条件を揃える様に設定して評価を行った。すなわち、
・平均出力;10W
・レーザスポット径;100μm
・スキャン方式;ガルバノスキャニング
・オーバーラップ率;50%
ここでいうオーバーラップ率とは、断続的に照射されるレーザの照射スポットの重なりを百分率で表したものである。さらに、除去作業時のシャフトの回転条件と除去作業時間を以下の様に設定した。すなわち、
・図4の塗膜除去装置
シャフト回転数=20rpm、除去作業時間=15秒/本
・図5の塗膜除去装置
シャフト回転数=50rpm、除去作業時間=10秒/本
(2)比較用樹脂層除去装置
比較例1、2として、図4及び図5に示す樹脂層除去装置において、レーザ照射部に代えて市販のベルト形状の研磨シートを用いて樹脂層の除去作業を行った。図6は比較用の塗膜除去装置の概略図である。研磨シートは、載置部の周囲に図6(a)及び(b)に示す様に配置させ、図6(a)の条件で行ったものを「比較例1」、図6(b)の条件で行ったものを「比較例2」とした。
さらに、図4及び図5に示す樹脂層除去装置において、レーザ照射部に代えて市販のステンレス製カッターを用いて樹脂層の除去作業を行ったものを「比較例3」とした。これら「比較例1〜3」で行った樹脂層除去作業におけるシャフトの回転条件と除去作業時間は、レーザを使用したときと同じ条件にした。
3.評価実験
樹脂層除去作業は1種類につき50本のシャフトについて行い、除去作業を終えたシャフト端部を目視観察するとともに、除去作業したシャフトを現像ローラとして市販の画像形成装置に装填して画像形成を行い、現像ムラと段ムラの発生の有無を評価した。評価は、第1保持部及び第2保持部の表面と端面における樹脂層の残存状況及びキズの発生状況を目視観察し、下記に示すランクA〜Cに該当するシャフトの比率を算出した。「樹脂層残存状況」及び「キズの発生状況」のいずれも、ランクCが存在せず、かつ、ランクAとランクBの合計が90%以上になるものを合格とし、このうち、ランクAが85%以上を占めるものは特に好ましいものとした。各評価項目のランクの内容は以下のとおりである。すなわち、
〈樹脂層除去状況〉
ランクA:保持部の表面及び端面の両方とも樹脂層が残存していないレベル
ランクB:保持部の表面及び端面のいずれかにわずかな樹脂層の残存が確認されるが問題ないレベル
ランクC:保持部の表面及び端面のいずれかに顕著な樹脂層の残存(スポット状あるいはスジ状)が確認されるレベル
〈キズの発生状況〉
ランクA:保持部の表面及び端面の両面にキズが存在しないレベル
ランクB:保持部の表面及び端面のいずれかにキズがかすかに確認されるレベル
ランクC:保持部の表面及び端面のいずれかにキズが顕著に確認されるレベル
また、画質評価は、市販のカラーレーザプリンタ「Magicolor 2430DL(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に作製した現像ローラを搭載し、常温常湿環境(20℃、55%RH)下で行った。具体的には、2ドットからなる画素率30%のハーフトーン画像を出力して、「現像ムラ」と「段ムラ」を評価した。評価は目視にて判定し、これらの発生の有無を評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2010181691
表1に示す様に、本発明の構成を満たす「実施例1〜3」はいずれも第1保持部と第2保持部の表面及び端面より樹脂層が十分除去されている結果になった。また、除去作業を行っても端部表面や端面へのキズの発生が抑えられている結果が得られた。一方、「比較例1〜3」では樹脂層が十分除去されたものが少なかった。また、ステンレスカッターを使用した「比較例3」はキズの発生が顕著に顕れた。この様に、本発明の構成を有する「実施例1〜3」と本発明の構成外のものである「比較例1〜3」では顕著な除去作業後の端部の仕上がりに顕著な差がみられた。
1 現像ローラ
10 本体部
11 保持部
12 基体
13 樹脂層
14 シャフト(基体)(基体12+保持部11)
2 浸漬塗布装置
20 塗布部
201 塗布槽
202 オーバーフロー受け槽
203 塗布液供給タンク
204 送液ポンプ
21 供給部
211 ボールネジ
212 駆動部
213 制御部
214 昇降部材
215 ガイド部材
216 取付部材
3 塗膜除去装置
31 載置部
311 第1載置部
312 第2載置部
313 駆動部
32 レーザ照射部
321 光源部
322 駆動部
323 固定部材

Claims (3)

  1. 電子写真方式の画像形成装置に使用される現像ローラ用のシャフトに、カーボンブラックを含有する塗布液を浸漬塗布して塗膜を形成し、
    前記塗膜を形成した後、
    前記シャフトを回転させながら、シャフト端部に形成された塗膜にレーザを照射して前記塗膜を除去することを特徴とする塗膜除去方法。
  2. 前記レーザが、発振波長が1064nmのYAGレーザであることを特徴とする請求項1に記載の塗膜除去方法。
  3. 前記レーザを照射するときのスキャン速度が4000mm/sec以上20000mm/sec以下、平均出力が10W以上50W以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗膜除去方法。
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