本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用される現像ローラ用のシャフトに代表される金属部品表面をレーザを用いて洗浄するものである。すなわち、本発明は金属部品表面にレーザを照射して金属部品を発熱させ、その熱で部品表面に付着した汚れを燃焼あるいは蒸発させることにより、部品表面から汚れを除去するものである。
前述した様に、金属部品を浸漬させて洗浄を行う洗浄槽による洗浄方法は、洗浄槽中を浮遊する汚れや残留洗剤の金属部品表面への付着を十分に解消することができなかった。すなわち、洗浄槽による洗浄方法では、汚れが再付着し易く、また、洗剤として使用される界面活性剤が部品表面で配向する等の理由で、これらを完全に除去することは困難だったのである。したがって、洗浄槽で洗浄処理したシャフトで作製された現像ローラは、これらの影響により、画像欠陥のない安定した画像形成を行うことが困難なものであった。
たとえば、極性の強い洗剤がシャフト表面に残存すると、洗剤付着部分は電気的安定性が損なわれ部分的なリーク現象が発生する。その結果、洗剤付着部分に対応するローラ表面は電荷がたまりにくくトナーの帯電が十分に行えず、白抜けと呼ばれる画像欠陥を発生させる。また、極性の弱い洗剤が残存する場合や汚れが付着した場合では、シャフト表面と樹脂層との間にこれらの付着物が存在するので樹脂層の接着性を損なわれる。その結果、樹脂層がシャフト表面から剥離し、剥離した樹脂層では過剰に電荷が溜まり、トナーが像担持体に十分に供給されず、濃度低下等の画像欠陥を発生させた。
本発明は、上記事情を鑑みて、レーザを金属部品表面に照射し、部品表面の付着物を燃焼あるいはガス化することにより、金属部品表面の洗浄を行える様にした。その結果、本発明では、洗浄槽を用いずに金属部品表面の洗浄が行えるので、洗浄槽を用いる方法で起こった汚れの再付着や洗剤付着に起因する問題が起きず、汚れのないシャフト上に樹脂層を塗布することができる様になった。
レーザを用いた除去技術は、上記特許文献3等にも開示されているが、これらは金属部品表面に樹脂層を形成後、樹脂層の不要個所をレーザで部分的に除去するもので、樹脂層形成前の金属部品表面の洗浄にレーザを用いることは記載も示唆もない。一方、本発明は、金属部品表面にレーザを照射して金属部品を発熱させ、その熱で金属部品表面の汚れを燃焼あるいはガス化させて、部品表面の汚れを除去するものであり、前述の技術とは除去の仕組みが異なるものである。この様に、本発明は、レーザにより金属部品を発熱させ、その熱で表面に付着した汚れを燃焼、ガス化させて除去するという思想に基づくものである。以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では、金属部品表面にレーザを照射することにより、部品表面を洗浄するものである。ここで、レーザとは、誘導放出により光を電気信号の様に増幅することにより得られる、方向、位相、波長の揃った光源のことである。また、レーザという用語は、「LASER;Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の英語の頭文字をとったものである。なお、上記英文を日本語に訳すと「放射の誘導放出による光の増幅」という意味である。
レーザは、波長、周波数が1つの光源からなるいわゆる単色光より構成され、また、光源より発する光がほとんど拡がらずに進行する指向性を有する。また、光の位相が揃っていることにより良好な干渉性が得られることや、レンズ等により集光すると高エネルギー有し、かつ、高い輝度性の光が得られるといった特徴を有する。
レーザを発振形式で分類すると、連続的にレーザを発振する連続波レーザと単一のパルスまたは一連のパルス列の形で断続的にレーザを発振するパルスレーザに大別され、本発明ではパルスレーザが好ましく使用される。
また、レーザをレーザ媒質に基づいて分類すると、固体レーザ、半導体レーザ、液体レーザ、気体レーザに分類され、発振波長により分類すると、赤外線レーザと紫外線レーザに分類される。固体レーザは、非晶質や結晶等の母材に活性原子や活性分子を均一に蒸着塗布してレーザ媒質としたものである。また、気体レーザは、気体の活性原子や活性分子、または、これを含む混合気体をレーザ媒質としたものである。
レーザ媒質で分類される本発明に使用可能なレーザとしては、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、CO2レーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ等が挙げられる。この中でも、YAGレーザは、高出力のレーザが得られることや、伝送媒体として光ファイバが使用可能な様に汎用性が広いことから、特に好ましい。
最初に、本発明に使用可能なレーザの代表例であるYAGレーザについて説明する。YAGレーザは、レーザ媒質がガラス(非晶質)や結晶等の固体であるいわゆる固体レーザに分類され、形成されるレーザは赤外線レーザに分類される。
YAGレーザは、レーザ媒質にネオジウム(Nd)をドープしたYAG結晶(イットリウム(Yittrium)・アルミニウム(Aluminium)・ガーネット(Garnet);Y3Al5O12結晶)を用いる。そして、YAG結晶にフラッシュランプやレーザダイオード等の強力な光を照射することにより、励起状態となり、発振波長が1064nmのレーザを形成する。
YAGレーザは、連続発振、パルス発振のいずれの発振形式からも得られ、特に、パルス発振では高いピーク出力を有するレーザが得られ、また、レーザの伝送に光ファイバが使用可能なことから、穿孔、切断、溶接等の各種加工作業に利用することが可能である。このYAGレーザの波長により、金属自体を効果的に加熱することができるので、容易に汚れの除去が行えるものと推測される。
また、YAGレーザと同様、結晶表面にネオジウムをドープしてなる構造を有するレーザ媒質を用いるものとして、YVO4レーザがある。YVO4レーザは、イットリウム・オルソバナデート(Yittrium Orthovanadate)結晶にネオジウム(Nd)をドープしたレーザ媒質を用いて形成されるものである。YAGレーザと同様、結晶にフラッシュランプやレーザダイオード等の光を照射すると、励起状態となって、発振波長が1064nmの赤外レーザを形成する。YVO4レーザは、YAGレーザよりも高出力のレーザが得られる反面、YAGレーザよりも結晶の励起寿命が短い。
CO2レーザは、レーザ媒質に二酸化炭素を用いる気体レーザで、発振波長が10.6μmの赤外線レーザを形成するものである。CO2レーザは、常時光を発している連続発振(CW)と瞬間的に光を発するパルス発振(P)のいずれの発振形式より得られ、発振効率も高いといった特徴を有し、種々のレーザ技術に使用されている。
エキシマレーザは、レーザ媒質に希ガスエキシマ、希ガスハライド、水銀ハライド等のヘテロエキシマを用いて形成されるレーザで、発振波長が150〜350nmの気体レーザで、発振波長の視点から見ると紫外線レーザに分類されるものである。エキシマレーザは、希ガスとハロゲンの混合気体中の放電、または電子ビーム照射によって生じる励起状態のエキシマが基底状態に戻るときの誘導放出により、短波長可視域、紫外または真空紫外域で光をパルス発振する。例えば、レーザ媒質がKrFの場合、発振波長が248nmのレーザが、XeClの場合、発振波長が308nmのレーザが、さらに、ArFの場合、発振波長が193nmのレーザが、数nsのパルス幅で数MW以上の先頭出力で高い繰り返し周波数で得られる。この様に、エキシマレーザは高エネルギーを有する紫外線光を取り出せることを特徴とする。なお、エキシマとは、励起状態の原子または分子と基底状態の原子または分子とが結合してなる2量体のことで、種類の異なる2個の原子または分子からなるものは特にヘテロエキシマと呼ばれる。
半導体レーザは、レーザダイオードと呼ばれる半導体を用いたダイオード構造のレーザ媒質により形成されるもので、電流印加によりレーザ発振を行って、発振波長が600〜1600nmの可視領域から近赤外領域の光が得られるものである。半導体レーザは、レーザ媒質にガリウム・ヒ素(Ga・As)結晶、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(Ga・Al・As)結晶、インジウム・ガリウム・ヒ素・リン(In・Ga・As・P)結晶が用いられ、連続発振、パルス発振のいずれの発振形式より得られる。また、半導体レーザは、光ファイバ通信、CDプレーヤ、レーザプリンタ、レーザスキャナ等に幅広く使用されており、現在最も生産量の多いレーザ発振素子である。
次に、パルスレーザを用いたシャフトの洗浄について、具体的な実施形態を用いて説明する。なお、本発明は以下に示す現像ローラ用シャフトの洗浄形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態による現像ローラ用シャフトのクリーニング方法に使用可能なシャフトクリーニング装置の概略図である。レーザ光源1、たとえばパルス発振するNd:YAGレーザ発振器から、Nd:YAGレーザの基本波(波長1064nm)が出射される。レーザビームは、光ファイバ2を伝って、筐体9に伝送される。この様に、YAGレーザではレーザの伝送に光ファイバを使用することが可能である。筐体9には、ビーム整形光学系3、貫通孔4aを有するマスク4、集光レンズ5、レンズ移動機構6、ミラー7及びミラー回転機構8が組み込まれ、側面にウィンドウ10が設けられている。
光ファイバ2により筐体9に伝送されたレーザビームは、ビーム整形光学系3に入射する。ビーム整形光学系3は、レンズを含む複数の光学部品で構成され、レーザビームを適切なビームサイズに修正し、平行光として出射する。
ビーム整形光学系3を出射したレーザビームは、たとえば四角形または六角形の貫通孔4aを有するマスク4で、その断面形状を四角形または六角形に整形される。
マスク4を出射したレーザビームは、集光レンズ5に入射する。集光レンズ5は、マスク4の貫通孔4aをビーム照射面上に結像させる。集光レンズ5は、レンズ移動機構6に保持されている。レンズ移動機構6は、集光レンズ5をレーザビームの光軸方向に移動させることができる。集光レンズ5を出射したレーザビームは、ミラー7で反射され、たとえば平板な石英ガラスで形成されたウィンドウ10を通過して、シャフト13表面に入射する。
ミラー回転機構8は、ミラー7を回転させ、シャフト13表面に入射するレーザビームの入射位置を変えることができる。ミラー回転機構8は、筐体9のウィンドウ10から出射するレーザビームの出射方向を、ウィンドウ10と垂直にすることができる。また、レーザビームの出射方向を、筐体9の長さ方向(図1における左右方向)及び幅方向(図1における紙面の表裏方向)のそれぞれに沿って、ウィンドウ10に垂直な方向から両側に、少なくとも各40°以上変えることができる。また、筐体駆動系11は、筐体9を、所望の速度で、シャフト13に沿って移動させ、レーザビームの入射位置を変えることができる。制御装置12は、レンズ移動機構6による集光レンズ5の移動、ミラー回転機構8によるミラー7の回転、及び筐体駆動系11による筐体9の移動を制御する。シャフト13の表面には、たとえば、油脂等の有機化合物系の汚れ14が、たとえば皮膜状に付着している。レーザビームは、シャフト13表面に入射する。
貫通孔4aにより四角形または六角形状に整形されたレーザビームは、汚れ14上で、たとえば5mm2程度の面積を有する。残渣14に、レーザビーム、たとえばNd:YAGレーザの基本波が入射すると、汚れ14は、Nd:YAGレーザの基本波の多くを透過し、シャフト13は、これを40〜90%反射する。リフティング現象により、レーザビームが入射した位置の汚れ14は、シャフト13表面から剥離、分離し、汚れ14に除去部分14aが形成される。除去部分14aは、レーザビームの結像面積とほぼ同じ面積の汚れ14が、シャフト13表面から除去された結果、形成されたものである。
シャフト13上をビーム入射位置が移動するように、パルスレーザビームを走査すると、シャフト13上の異なる位置に、次々と除去部分14aが形成される。ビームの入射位置の調整は、筐体駆動系11による筐体9の移動、及びミラー回転機構8によるミラー7の回転で行う。
レーザビームの照射位置が変わると、集光レンズ5からシャフト13のビーム照射位置に至るレーザビームの光路長も変化し、貫通孔4aがビーム照射面に結像しなくなる。レンズ移動機構6は、集光レンズ5からビーム照射位置までの光路長が一定となるように、集光レンズ5をレーザビームの光軸方向に移動し、貫通孔4aがビームの入射位置に常に結像するようにする。
シャフト13には、その端部にたとえば6〜15°ほどのテーパ加工を施したものがある。このテーパ部分の汚れ14を除去する場合、ミラー回転機構8によりミラー7を回転させ、シャフト13の他の部分に入射するレーザビームの入射角に比べてなるべく小さな入射角になる様に、テーパ部分にレーザビームを入射させることが好ましい。これは、シャフト13に入射するレーザビームの入射角が大きくなるとビーム照射面におけるビームスポットが大きくなり、その結果、入射するビームのフルエンスが小さくなって、汚れ14の剥離及び分離が十分に行えなくなるおそれがあるためである。また、シャフト13にレーザビームを走査し、ビームの入射位置を変化させるに当たっては、レンズ5をレンズ移動機構6によって移動させながら、筐体駆動系11によって筐体9を移動させ、また、ミラー回転機構8によりミラー7を回転させる。
筐体駆動系11による筐体9の移動、ミラー回転機構8によるミラー7の回転、レンズ移動機構6による集光レンズ5の移動は、すべて制御装置12で制御される。制御装置12には、あらかじめシャフト13の形状が入力されており、ビームを入射させる位置にしたがって、貫通孔4aがシャフト13上に結像するように、これらを制御する。
レーザビームを照射し、リフティング現象を用いて、汚れ14をシャフト13から分離、除去する際、シャフト13表面には損傷がほとんど加わらない。したがって、レーザビームの重ね撃ち(同一位置に複数ショットのパルスレーザビームを入射させること。)が可能である。1ショットで分離が困難な汚れ14も、重ね撃ちにより、分離、除去が可能である。また、レーザビームを走査しながら、重ね撃ちを行うことで、汚れ14を全て、高速で簡便に、除去することができる。
また、四角形または六角形の貫通孔4aを有するマスク4を用いて、シャフト13に入射するレーザビームのビームスポット(貫通孔4aの像)を四角形または六角形に形成するのは、シャフト13表面に存在する汚れを効率よく除去する上で好ましいためである。
また、筐体9には、1つの面と、それに向かい合う面とに、ウィンドウ10が、1つずつ設けられている。それらが、それぞれ、シャフト13に対向するように、シャフトクリーニング装置は設置される。この様に設置することにより、図1に示すシャフトクリーニング装置は、シャフト13表面を効率よく洗浄することが可能である。
なお、シャフト13表面におけるレーザビームのビームスポット内の強度分布が均一に近いほど良好に汚れ14を除去することができるので、ビーム照射面におけるビームの強度を均一に近づけるホモジナイザを、ビーム整形光学系3に加入することもできる。
また、レーザ光源1から筐体9までビームを伝送するのに光ファイバ2を用いるのは、筐体駆動系11によって2次元方向に変位する筐体9に、ビームを導入するのに適しているからである。光ファイバ2は、筐体9が移動しても、レーザ光源1と筐体9との光学的な結合を確保することができる。
さらに、レーザ光源1と光ファイバ2とを別々に設けるかわりに、双方の機能をもつファイバレーザを使用することもできる。
なお、マスク4を通過した後のレーザビームの干渉が無視できる場合には、図1に示したシャフトクリーニング装置から、集光レンズ5及びレンズ移動機構6を除いても、良好な汚れ除去処理を行うことが可能である。
次に、図2(a)は、第2の実施形態におけるシャフトクリーニング装置の概略図である。図2(a)に示すシャフトクリーニング装置は、図1に示すシャフトクリーニング装置から、集光レンズ5、レンズ移動機構6、ミラー7及びミラー回転機構8を除き、新たに筐体揺動系15を加えたものである。筐体揺動系15は、レーザビームの出射方向を2次元方向に振るように、筐体9を揺動させることが可能である。なお、図2(a)に示すシャフトクリーニング装置では、ウィンドウ10が筐体9の一面に筐体揺動系15と向かい合う様に1つだけ設けられている。そのウィンドウ10が汚れ14を除去しようとするシャフト13に対向する様に、シャフトクリーニング装置が設置される。また、制御装置12は、筐体駆動系11による筐体9の2次元方向への変位、及び、筐体揺動系15による筐体9の揺動を制御する。なお、図2(a)に示すシャフトクリーニング装置は、集光レンズ5及びレンズ変位機構6を含んでいないため、マスク4を通過した後のレーザビームの干渉が無視できる場合に使用することが好ましい。
また、マスク4とウィンドウ10との間に、シャフト13上に貫通孔4aを結像させる集光レンズ5、及び、集光レンズ5をレーザビームの光軸方向に変位させるレンズ変位機構6を加えることも可能である。この場合、制御装置12は、上記制御に加えて、レーザビームの入射位置が変化しても、常に、シャフト13上に貫通孔4aが結像するようにレンズ変位機構6による集光レンズ5の変位を制御する。
次に、図2(b)は、筐体揺動系15により筐体9が揺動された、図2(a)に示す金型クリーニング装置の概略図である。筐体9が揺動することにより、ビームの出射方向を変え、シャフト13表面へのビームの入射角を変化させることができる。たとえば、シャフト13の端部にテーパ部分に設けられたものの場合、テーパ部分に向けてレーザビームを出射する際、筐体9を揺動させてビームの出射方向を変え、シャフト13上をビーム入射位置が移動するように、パルスレーザビームを走査する。テーパ部分へはシャフト13の他の部分に入射するレーザビームの入射角に比べ、入射角の変動がなるべく小さくなる様にレーザビームを入射させることが可能である。
図3(a)は、図2に示した金型クリーニング装置から、筐体駆動系11、筐体揺動系15及び制御装置12を除いたシャフトクリーニング装置の概略図である。このシャフトクリーニング装置は、筐体9を人間の手で任意の方向に移動させたり傾けたりし、レーザビームの出射方向を変化させ、ビームをシャフト13の所望の位置に入射させることができる。このため、筐体9をシャフト13の面内方向(2次元方向)に移動させる筐体駆動系11、筐体9を回転させる筐体揺動系15及びそれらを制御する制御装置20が除かれてある。光ファイバ2は、筐体9を変位させ、筐体9から出射するパルスレーザビームの出射方向が変化しても、レーザ光源1と筐体9との光学的な結合を確保する。また、図3(a)はシャフト13を立ててクリーニングを行っていることを示している。
図3(b)は、図1に示す金型クリーニング装置から筐体駆動系11を除いたものに、マジックハンド20に組み込んだシャフトクリーニング装置を示す概略図である。マジックハンド20は、シャフト13に取り付ける部品を搬送、設置し、また、シャフトを組み立てる際に不要になった部品を取り出す等の作業を行うのに使用することが可能である。制御装置12は、マジックハンド20の動きに同期させて、レンズ移動機構6による集光レンズ5の変位、ミラー回転機構8によるミラー7の回転を制御して、シャフト13表面の洗浄を効率よく行う様に制御する。
また、図1〜図3に示したシャフトクリーニング装置では、Nd:YAGレーザ発振器を用いたが、Nd:YVO4レーザ発振器やCO2レーザ発振器、エキシマレーザ用発振器、半導体レーザ用発振器を使用することも可能である。
本発明では、特に、YAGレーザの反射率が40%以上95%以下となる金属材料を洗浄する際に、表面に存在する油脂等の有機物の汚れの除去が確実に行える。すなわち、YAGレーザに対する反射率が40%未満の金属材料では、レーザ照射を行うと材料の表面状態に影響を与えることが懸念され、反射率が95%を超えると、レーザを照射しても汚れを十分に除去できなくなることが懸念される。上記反射率を有する金属材料では、YAGレーザの照射により、表面状態を損ねずに十分な汚れの除去が行えるので、照射後にそのまま材料表面に塗布等の処理を行うことが可能である。
レーザに対する反射率は、反射分光光度計に代表される市販の反射率測定装置により測定、算出が可能である。図6はYAGレーザを照射した金属材料の反射率測定の一例を示す概略図である。図6中、レーザ光源1から供給されるパルスレーザをY型の光ファイバ2を介してシャフト13表面に照射する。図6では、パルスレーザのシャフト面への照射はシャフト面の法線方向より入射させている。そして、シャフト13表面で反射したレーザをY型の光ファイバ2を介して反射率測定装置30に送ることにより、金属材料表面における反射率を測定、算出するものである。反射率測定装置30はシャフト13上のレーザ照射個所で生じた反射光を全て集められる様に設定されている。反射率測定装置の具体例としては、たとえば、反射測定システムMCPD−5000(大塚電子(株)製)等が挙げられる。
なお、反射率は、特定波長(たとえば、1064nm)のパルスレーザをシャフト13に照射したとき、照射面上で吸収され洗浄に使用されたレーザの量を除いた残りのレーザの比率を表す。反射率は、照射面で吸収されたレーザの比率、すなわち、吸収率との間に以下の関係が成立するものである。すなわち、
反射率(%)=1−吸収率(%)
という関係を有する。
次に、本発明に係る現像ローラ用シャフト洗浄方法を経て作製される現像ローラについて説明する。本発明に係る洗浄方法を経て作製される現像ローラは、本発明により洗浄処理した導電性を有するシャフト13の周りに樹脂層17が設けられた構造を有するものである。図4に本発明に係る洗浄方法を経て作製された現像ローラの代表的な断面構成を示す。なお、本発明に係る洗浄方法を経て作製される現像ローラは図4に示す断面構成のみに限定されるものではない。
図4に示す現像ローラ18は、導電性のシャフト13と、シャフト13上にカーボンブラックを含有する導電性の樹脂層17より構成される。導電性樹脂層17(以下、単に樹脂層17ともいう)は樹脂からなり、樹脂中にカーボンブラックを分散させた構造を有する。この様に、樹脂層17中にカーボンブラックを含有させることにより、樹脂層17にある程度の導電性が付与されローラ表面に発生した残留電荷が導電性のシャフト13にリークし易くなるものと推測される。
シャフト13は、導電性の部材で構成され、具体的には、SUS304等のステンレス鋼、鉄、アルミニウム、ニッケル、アルミニウム合金、ニッケル合金等の金属材料が好ましい。また、前述した金属の粉体物やカーボンブラック等の導電性材料を樹脂中に充填させた導電性樹脂も使用可能である。上記導電性部材は、いずれも発振波長1064nmのYAGレーザに対する反射率を40〜90%に制御することが可能なものである。
現像ローラ18を構成する樹脂層17は、その表面にトナー層を形成して摩擦帯電によりトナーを帯電するものである。また、樹脂層17はシャフト13との間に強固な接着力を発現させることが求められる。
この性能を発現させる樹脂の例として、たとえば、ポリオールとイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン系樹脂が挙げられる。また、前記ポリウレタン系樹脂の作製時に、ポリオールとイソシアネートに加えて鎖伸長剤を必要に応じて添加することも可能である。
前記ポリオールの具体例としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリプロピレングリコール等のポリウレタン用ポリオール化合物が挙げられる。これらの中でも、高温高湿環境下での画像形成時にトナーの帯電量低下の発生を防止するポリウレタン樹脂を形成するポリカーボネートポリオールが好ましい。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等の脂肪族または脂環式のポリカーボネートポリオールがより好ましい。
また、前記イソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、水添MDI、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネートやポリオール、さらにはポリアミンとを用い、分子末端にイソシアネート基を有する様に反応させて得られるウレタンプレポリマーを用いることも可能である。
前記鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、ヒドラジン等が挙げられる。
上記現像ローラ18は、以下の様な手順で作製することが可能である。すなわち、本発明に係るシャフトの洗浄方法により洗浄処理されたシャフト13の周りに、たとえば、カーボンブラック等を含有する樹脂からなる塗布液を塗布し、塗布後、加熱処理を行って、樹脂層を形成する。また、前述したカーボンブラックを含有した導電性樹脂層以外に別の塗布液を塗布し、乾燥及び加熱処理を行うことにより、図4(b)に示す多層構造を有する現像ローラを作製することも可能である。現像ローラの作製手順についてさらに説明する。
先ず、本発明に係るシャフトの洗浄方法により洗浄処理されたシャフト13の周りに形成する樹脂層17を形成する材料を有機溶剤に混合、溶解させて樹脂層形成用塗布溶液を作製する。たとえば、カーボンブラックを含有する塗布溶液を調製する。また、前述した様に、必要に応じて、樹脂層形成用溶液中に無機・有機の微粒子を含有させることも可能で、この場合、微粒子が塗布溶液中で分散状態を形成する様に調製する。この様にして、樹脂層形成用塗布溶液を用意する。
次に、シャフト13上に前述の樹脂層形成用塗布溶液を塗布する。塗布方法は、樹脂層形成用塗布溶液の粘度等に応じて種々の方法を選択することが可能である。具体的な塗布方法としては、具体的にはディッピング法、スプレー法、ロールコート法または刷毛塗り法等の方法が挙げられ、本発明ではこれらの塗布方法を限定するものではない。
そして、シャフト13上に樹脂層形成用塗布液を塗布後は乾燥及び加熱処理(温度;120〜200℃、処理時間;20〜90分)を行って樹脂層形成用塗布溶液中の溶剤を除去することにより樹脂層17を形成する。
また、前述したカーボンブラックを含有する樹脂層の形成前後に、例えば、シリコーン共重合体樹脂を含有する塗布溶液等の別の塗布溶液を塗布する等により、図4(b)に示す様な多層構造の現像ローラ18を作製することも可能である。
次に、前述の現像ローラ18を搭載することが可能な現像装置について説明する。
図5は図4に示した現像ローラ18を搭載することが可能な現像装置20の断面図である。図5に示す現像装置20は、非磁性1成分系トナー(非磁性1成分現像剤)を用いて現像を行うことが可能である。現像装置20は、図示しないモータにより図中反時計回り方向に回転駆動され、画像形成装置に組み込んだ状態で図示しない像担持体に接触または近接する本発明に係る現像ローラ18と、現像ローラ18の左側に設けられたバッファ室22と、バッファ室22に隣接するホッパ23とを有する。
現像ローラ18は、本発明により洗浄処理が行われた導電性のシャフト13と、シャフト13の外周にポリウレタン樹脂等の物質を用いて形成された樹脂層17を有する。
バッファ室22にはトナー規制部材であるブレード24が現像ローラ18に圧接させた状態で配置されている。ブレード24は、現像ローラ18上のトナーの帯電量及び付着量を規制するものである。また、現像ローラ18の回転方向に対してブレード24の下流側に、現像ローラ18上のトナー帯電量・付着量の規制を補助するための補助ブレード25をさらに設けることも可能である。
現像ローラ18には供給ローラ26が押圧されている。供給ローラ26は、図示しないモータにより現像ローラ18と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動する。供給ローラ26は、導電性の円柱基体と基体の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層を有する。
ホッパ23には一成分現像剤であるトナーTが収容されている。また、ホッパ23にはトナーTを攪拌する回転体27が設けられている。回転体27には、フィルム状の搬送羽根が取付けられており、回転体27の矢印方向への回転によりトナーTを搬送する。搬送羽根により搬送されたトナーTは、ホッパ23とバッファ室22を隔てる隔壁に設けられた通路28を介してバッファ室22に供給される。なお、搬送羽根の形状は、回転体27の回転に伴い羽根の回転方向前方でトナーTを搬送しながら撓むとともに、通路28の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻るようになっている。このように羽根はその形状を湾曲状態を経て真っ直ぐに戻るようにすることでトナーTを通路28に供給している。
また、通路28には通路28を閉鎖する弁281が設けられている。この弁はフィルム状の部材で、一端が隔壁の通路28右側面上側に固定され、トナーTがホッパ23から通路28に供給されると、トナーTからの押圧力により右側に押されて通路28を開けるようになっている。その結果、バッファ室22内にトナーTが供給される。
また、弁281の他端には規制部材282が取り付けられている。規制部材282と供給ローラ26は、弁281が通路28を閉鎖した状態でも僅かな隙間を形成する様に配置される。規制部材282は、バッファ室22の底部に溜まるトナー量が過度にならないように調整するもので、現像ローラ18から供給ローラ26に回収されたトナーTがバッファ室22の底部に多量に落下しないように調整される。
現像装置20では、画像形成時に現像ローラ18が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ26の回転によりバッファ室22のトナーが現像ローラ18上に供給される。現像ローラ18上に供給されたトナーTは、ブレード24、補助ブレード25により帯電、薄層化された後、像担持体との対向領域に搬送され、像担持体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかったトナーは、現像ローラ18の回転に伴ってバッファ室22に戻り、供給ローラ26により現像ローラ18から掻き取られ回収される。
また、現像装置20に設けられる現像バイアス電源装置29は、図示していないが、現像バイアス電圧を出力する直流電圧電源と交番電界を形成する交流電源装置より構成される。
画像形成時、図示しない静電潜像担持体は、図示しない帯電装置により一様に帯電され、その後、所定部分がレーザ等の光学ヘッドにより露光されると、静電潜像担持体上の電位が減衰され静電潜像が形成される。
現像領域では、現像バイアス電源装置29から印加される現像バイアス電圧と交番電圧により形成される電界の作用により、現像ローラ18上で薄層を形成していたトナーが現像ローラ18周面から飛翔してパウダクラウド化する。そして、静電潜像が形成されている静電潜像担持体上にトナー供給が行われ、静電潜像を現像してトナー像を形成する。
現像ローラ18上に形成されるトナー層の厚さは、例えば静電潜像担持体の周速を100mm/sec、現像ローラ18の周速を200mm/sec、トナー規制部材24が現像ローラ18を押圧する押圧力を10〜100N/mとすると、1.5層程度(トナー粒子1.5個分程度)の厚みを形成することができる。
なお、図4に示す現像ローラ18が搭載可能な現像装置は、図5に示すものに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実験その1)
以下に示す条件に設定したレーザ洗浄装置を用い、各種シャフトの洗浄性能と表面状態について以下の手順により評価を行った。先ず、表1に示す反射率と材質(銅、アルミニウム、ステンレス(SUS303)、及び、ニッケル)のシャフト(直径16mm、長さ300mm)を用意し、レーザ洗浄装置Clean Lasersysteme CL120Q(クリーンレーザ社製)を用いて洗浄処理を行った。
なお、洗浄処理前の各シャフトは、油とほこり、及び、作業者の指紋で、いずれも表面の光沢が認められないほど汚れていたものであり、各種シャフトの反射率は、公知の方法による表面処理で得たものである。
シャフト表面に照射するレーザは、発振波長が1064nmのYAGレーザを、以下の特性を有する様に変換させて断続照射を行うパルスレーザとし、パルス強度を下記に示す4点のパルス強度における反射率と洗浄性能を測定、評価した。
スポット径 :400μm
照射スポット面積:0.00126cm2
オーバーラップ率:50%
パルス強度(W/cm2):
8.3×106、1.3×107、6.4×107、1.7×108
ここでいうオーバーラップ率とは、断続的に照射されるレーザの照射スポットの重なりを百分率で表したものである。また、パルス強度とは、レーザ1回の照射によりシャフト上に付与される単位面積あたりの仕事量のことをいうものである。
洗浄処理は、シャフト面の法線方向よりレーザを照射し、シャフト軸方向にレーザをスキャニングして、シャフト全面の洗浄を60秒間で完了させる様に、シャフトを回転させながら行った。
また、各シャフトの反射率は、前述の反射測定システムMCPD−5000(大塚電子(株)製)を用い、シャフト表面より生ずる全ての反射光をカウントする様に設定し、測定、算出したものである。各パルス強度のレーザ照射後のシャフト表面の反射率を測定することにより、レーザ照射に伴うシャフトの表面状態変動を評価した。
また、後述する表1中に示す各種シャフトの当初反射率は、発振波長が1064nmで、パルス強度が2.5×106W/cm2のYAGレーザを、各種シャフトに照射した時に得られるものである。
洗浄性能の評価は、目視によりシャフトの表面状態を評価するとともに、洗浄処理を行ったシャフトを用いて現像ローラを作製し、これを画像形成装置に搭載してベタ画像の評価を行ったものである。
現像ローラは以下の手順で作製した。先ず、ウレタン樹脂「ニッポラン5120(日本ポリウレタン社製)」100質量部、ファーネスブラック 30質量部、アクリル樹脂粒子(平均1次粒径15μm)20質量部を、メチルエチルケトン(MEK)400質量部に混合分散させて樹脂層用塗布液を作製する。次に、この樹脂層用塗布液を乾燥時の厚さが10μmとなる様に各シャフト上に塗布し、130℃の加熱処理を行ってシャフトの材質の異なる現像ローラを作製した。
作製した現像ローラを、市販のカラーレーザプリンタ「Magicolor 2430DL(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に搭載し、常温常湿環境(20℃、55%RH)下でA4サイズの黒色ベタ画像を出力して評価を行った。
洗浄性能の評価内容は、以下に示す様に、シャフト上における汚れの発生と黒色ベタ画像上における画像欠陥(白抜けと濃度低下)の発生を評価したものである。
〈洗浄性能〉
◎:シャフト上に汚れは全く見られず、画像欠陥(白抜け、及び、濃度低下)のない良好なベタ画像が得られた
○:シャフト上に若干の汚れが見られたが、画像欠陥(白抜け、及び、濃度低下)のない良好なベタ画像が得られた
△:シャフト上に汚れが見られ、また、ベタ画像上にかすかな白抜けが見られたが、実用上問題なしと判断した
×:シャフト上の汚れとベタ画像上での画像欠陥(白抜け、及び、濃度低下)が顕著にあらわれ、実用上問題ありと判断した
結果を表1に示す。
表1に示す様に、上記レーザ洗浄装置におけるパルス強度が高くなるにしたがって、洗浄性能が向上していく結果が得られ、反射率が低い材質のシャフトほど、パルス強度が低い条件下でも良好な洗浄性能が得られることが確認された。特に、パルス強度を1.3×107W/cm2以上に設定した時、いずれの材質のシャフトに対して良好な洗浄性能が発現されることを確認した。この様に、現像ローラ用シャフト表面にパルスレーザを照射することで良好な洗浄性能が得られ、従来技術の様な洗浄槽を用いずに良好な洗浄性能が得られることが、実施例の結果からも確認された。
また、ベタ黒画像出力後に連続で3000枚のプリント作成を行い、プリント作成後の現像ローラを目視で観察したが、現像ローラはいずれも評価前の状態が維持されていることが確認された。なお、3000枚のプリント作成では、画素率が6%となる画像(細線画像、フルカラー人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分となっている画像)をA4判の用紙上に出力してプリント作成を行った。
(実験その2)
実験その1と同様の処理を行った試料を用い、照射レーザを下記波長を有するパルスレーザに変更し、レーザのパルス強度を6.4×107(W/cm2)のみとした他は実験その1と同様の条件でレーザ照射を行って、表面状態と洗浄性能の評価を行った。また、比較例として、市販の洗濯用石鹸を1リットルの水に10g溶解した洗浄液を満たした洗浄槽を用いて処理を行い、表面状態と洗浄性能を評価した。
(1)発振波長が1342nmのNd:YVO4(ネオジウム ドープト イットリウム オルソバナデート)レーザ
(2)発振波長が1047nmのNd:YLFレーザ
なお、後述する表2中に示す各種シャフトの反射率は、前述した様に、発振波長1064nmのYAGレーザ、及び、上記(1)、(2)に示すレーザのパルス強度を6.4×107W/cm2に設定して、各種シャフトに照射した時に得られるものである。
また、後述する表2中に示す各種シャフトの当初反射率は、前述した様に、発振波長が1064nmで、パルス強度が2.5×106W/cm2のYAGレーザを、各種シャフトに照射した時に得られるものである。
結果を表2に示す。
表2に示す様に、上記(1)及び(2)のレーザにおいても、各シャフトでは良好な反射率と洗浄性能が得られることが確認された。一方、比較例である石けん水を満たした洗浄槽で処理を行ったものは、パルスレーザで処理を行ったもので得られた洗浄性能を得ることができなかった。
また、ベタ黒画像出力後に連続で3000枚のプリント作成を行い、プリント作成後の現像ローラを目視で観察した。その結果、(1)及び(2)のレーザ処理を経て作製された現像ローラは、実験その1と同様、何も変化は見られなかったが、洗浄槽での処理を経て作製された現像ローラは樹脂層端部が僅かに剥離しかかっているものがあることが観察された。なお、3000枚のプリント作成では、画素率が6%となる画像(細線画像、フルカラー人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分になっている画像)をA4の用紙上に出力して、プリント作成を行った。