JPH10193078A - 金属成形部品とその製造方法 - Google Patents

金属成形部品とその製造方法

Info

Publication number
JPH10193078A
JPH10193078A JP69397A JP69397A JPH10193078A JP H10193078 A JPH10193078 A JP H10193078A JP 69397 A JP69397 A JP 69397A JP 69397 A JP69397 A JP 69397A JP H10193078 A JPH10193078 A JP H10193078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating material
layer
alloy
molded body
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP69397A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Nishikawa
幸男 西川
Takao Inoue
孝夫 井上
Naohiro Yomo
直広 四方
Yoshiaki Kondo
義明 近藤
Takeshi Meguro
赳 目黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP69397A priority Critical patent/JPH10193078A/ja
Publication of JPH10193078A publication Critical patent/JPH10193078A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害物質を用いることなく、低コストで実用
上十分な耐食性と塗装材層の密着性とを有するMg又は
Mg合金を主材料とする金属成形部品を提供する。 【解決手段】 Mg又はMg合金の成形体2と、この成
形体2表面に形成されこの成形体2内部より酸素量の多
い表面層3と、この表面層3の上の過半部分に形成され
た塗装材層4とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電製品等の外装
ケース等に用いられるMg(マグネシウム)又はMg合
金を主材料とする金属成形部品とその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保全の観点から、樹脂部
品に代えて、使用中及び焼却において無害でかつ廃棄後
には土に還る材料が求められるようになってきた。この
用途に、特に軽量なMg又はMg合金の成形部品の適用
が検討されている。このMg又はMg合金の多くは、融
点が600℃以下と低いので、樹脂のように射出成形に
より成形することにより、複雑形状の成形体を得ること
ができる。そして、主に装飾のため、この成形体の表面
の過半部分を塗装して金属成形部品が得られる。
【0003】従来、このMg又はMg合金は、一般に耐
食性が低いので、成形体の耐食性向上と塗装材層の密着
性向上とのため、塗装前に成形体の全面にクロム酸処理
を施し、成形体の表面に化学的に安定な酸化クロムの緻
密な皮膜を形成していた。図11に示すように、クロム
酸処理に必要な工程は、弱アルカリ処理による脱脂、温
水洗浄、酸処理によるスケール除去、水洗、クロム酸処
理及び水洗が、この順序で行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法では、有害なクロム酸溶液を用いるため、周辺
環境対策に多大なコストを要するという問題がある。
又、図10に示すように、工程数が多く、コスト高にな
るという問題がある。
【0005】本発明は、上記の問題に鑑み、有害物質を
用いることなく、低コストで実用上十分な耐食性と塗装
材層の密着性とを有するMg又はMg合金を主材料とす
る金属成形部品とその製造方法を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の第1発明の金属成
形部品は、上記目的を達成するため、Mg又はMg合金
の成形体と、この成形体表面に形成されこの成形体内部
より酸素量の多い表面層と、この表面層の上の過半部分
に形成された塗装材層とからなることを特徴とする。
【0007】この第1発明の金属成形部品によれば、こ
の成形体の表面の過半部分に、酸素量の多い表面層が形
成されているので、この表面層の多量の酸素原子の存在
により塗装材層の密着性が増す。又、この成形部品表面
の塗装していない部分や塗装材層が剥離した部分におい
ても、その表面層の多量の酸素原子の存在により、大気
中での放置によってこの表面層が大気中の水分及び炭酸
ガスと反応し、炭酸水酸化マグネシウム等の大気中で安
定な皮膜が比較的速やかに形成されるので、実用上十分
な耐食性を得ることができる。又、その表面層は、成形
体の表面が酸素と反応したものであり、クロム酸等の有
害な重金属を使用する必要がないので、大きなコストを
要せず好適である。
【0008】本願の第1発明の金属成形部品において、
表面層の厚さを10nm以上となるように構成すると、
大気中での放置によって得られる炭酸水酸化マグネシウ
ム等の皮膜が、Mg又はMg合金の成形体を大気から遮
断するのに十分な厚さになるので、より確実な耐食性を
得ることができる。
【0009】本願の第2発明の金属成形部品の製造方法
は、Mg又はMg合金の成形体を、酸素を含む雰囲気中
で100〜400℃に加熱して冷却した後、その表面の
過半部分に塗装材を塗布することを特徴とする。
【0010】この第2発明の金属成形部品の製造方法に
よれば、成形体が酸素を含む雰囲気中で100〜400
℃に加熱されるため、酸素量の多い表面層が速やかに形
成されるので、上記第1発明と同様の作用効果を、成形
体を加熱するといった簡単な工程で得ることができる。
又、成形体の表面に付着した油脂等の塗装材層の密着性
を阻害する異物が蒸発されたり燃焼されたりして除去さ
れるので、塗装材層の密着性を更に増すことができる。
【0011】本願の第2発明の金属成形部品の製造方法
において、加熱処理を、水蒸気を含む雰囲気中で行うよ
うに構成すると、成形体の表面が、水蒸気と反応して水
酸化マグネシウムの表面層が速やかに形成され、その後
の大気中での放置によってこの表面層が、大気中の炭酸
ガスと速やかに反応し、炭酸水酸化マグネシウム等の大
気中で安定な皮膜を速やかに形成することができるの
で、実用上十分な耐食性を確実に得ることができる。
【0012】本願の第2発明の金属成形部品の製造方法
において、加熱中に、Mg又はMg合金の成形体の表面
に、この表面に吸着されている酸素の一部がオゾンに変
換する程度に、紫外線を照射するように構成すると、成
形体の表面上に生成されたオゾンにより、酸素量の多い
表面層が速やかに形成されるので、上記第1発明と同様
の作用効果を得ることができる。又、前記の紫外線やオ
ゾンにより、成形体の表面に付着した油脂等の塗装材層
の密着性を阻害する異物が分解されたり酸化されたりし
て除去されるので、塗装材層の密着性を更に増すことが
できる。
【0013】本願の第3発明の金属成形部品の製造方法
は、Mg又はMg合金の成形体を、80℃以上の水に浸
漬して、次いでこれを乾燥した後、その表面の過半部分
に塗装材を塗布することを特徴とする。
【0014】この第3発明の金属成形部品の製造方法に
よれば、成形体の表面が、80℃以上の水と反応して水
酸化マグネシウムの表面層が速やかに形成され、その後
の大気中での放置によってこの表面層が、大気中の炭酸
ガスと速やかに反応し、炭酸水酸化マグネシウム等の大
気中で安定な皮膜を速やかに形成することができるの
で、実用上十分な耐食性を確実に得ることができる。
【0015】本願の第4発明の金属成形部品の製造方法
は、Mg又はMg合金の成形体を、pH8〜11の水溶
液に浸漬して、次いでこれを乾燥した後、その表面の過
半部分に塗装材を塗布することを特徴とする。
【0016】この第4発明の金属成形部品の製造方法に
よれば、成形体の表面が、pH8〜11の水溶液と反応
して水酸化マグネシウムの表面層が速やかに形成され、
その後の大気中での放置によってこの表面層が、大気中
の炭酸ガスと速やかに反応し、炭酸水酸化マグネシウム
等の大気中で安定な皮膜を速やかに形成することができ
るので、実用上十分な耐食性を確実に得ることができ
る。
【0017】本願の第5発明の金属成形部品の製造方法
は、Mg又はMg合金の成形体の表面に、この表面に直
径5〜100μmの多数の凹部又は凸部が形成される程
度に、酸素を含む雰囲気中で固体粒子を吹き付けた後、
その表面の過半部分に塗装材を塗布することを特徴とす
る。
【0018】この第5発明の金属成形部品の製造方法に
よれば、固体粒子の衝突部位が、局部的に温度上昇を起
こして雰囲気中の酸素と反応して、酸素量の多い表面層
が形成されるので、上記第1発明と同様の作用効果を得
ることができる。それと共に、成形体の表面に付着した
油脂等の塗装材層の密着性を阻害する異物が固体粒子に
より機械的に除去され、かつこの表面に直径5〜100
μmの多数の凹部又は凸部が形成されて塗装材層との接
着面積が増えるので、塗装材層の密着性を更に増すこと
ができる。又、成形体に固体粒子を吹き付けるといった
簡単な方法で前記作用を営むことができるので、有害物
質を用いることなく、工程が少なく低コストで、実用上
十分な耐食性と塗装材層の密着性とを得ることができ
る。
【0019】本願の第5発明の金属成形部品の製造方法
において、固体粒子を金属粒子で構成すると、金属粒子
は比較的比重が大きいため、この金属粒子の衝突部位の
局部的な温度上昇が大きくなるので、酸素量の更に多い
表面層が形成されて、耐食性を更に向上させることがで
きる。
【0020】本願の第5発明の金属成形部品の製造方法
において、固体粒子を酸化物粒子で構成すると、酸化物
粒子は硬く衝突においても潰れないため、この酸化物粒
子の衝突部位の凹部又は凸部が比較的深くあるいは鋭く
なるので、塗装材層との接着面積が更に増えて、塗装材
層の密着性を更に向上させることができる。
【0021】本願の第6発明の金属成形部品の製造方法
は、Mg又はMg合金の成形体の表面に、この表面に直
径5〜100μmの多数の凹部又は凸部が形成される程
度に、酸素を含む雰囲気中でレーザ光を照射した後、そ
の表面の過半部分に塗装材を塗布することを特徴とす
る。
【0022】この第6発明の金属成形部品の製造方法に
よれば、レーザ光を照射した部位が、大きな温度上昇を
起こして雰囲気中の酸素と反応して、酸素量の多い表面
層が形成され、又成形体の表面に付着した油脂等の塗装
材層の密着性を阻害する異物がレーザ光により蒸発され
て除去され、かつこの表面に直径5〜100μmの多数
の凹部又は凸部が形成されて塗装材層との接着面積が増
えるので、上記第5発明と同様の作用効果を得ることが
できる。又、レーザ光を照射する範囲を制御し易いの
で、例えば塗料の剥離し易い成形部品のコーナー部分に
重点的にレーザ光を照射する等して、効率よく塗料の密
着性を向上させることができ、好適である。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づい
て以下に説明する。
【0024】本発明の金属成形部品の製造方法の第1の
実施形態は、図1〜図4に示すように、Mg又はMg合
金の成形体2を、加熱炉6内の大気雰囲気中で、紫外線
ランプ9で強い紫外線を照射しながら、赤外線ヒータ7
で200℃に加熱して冷却した後、その表面の過半部分
に塗装材16を塗布する。
【0025】加熱炉6は、図1に示すように、その入口
6aと出口6bとが大気に開放された簡単な構造の炉体
を有し、その内部に赤外線ヒータ7と紫外線ランプ9と
チェーンコンベヤ8とを設けている。
【0026】成形体2は、チェーンコンベヤ8によって
入口6aから炉中に入って200℃に加熱処理されて、
出口6bから出て大気中で自然に冷却される。この加熱
処理によって、図4に示すように、成形体2の表面の全
面に酸素量の多い表面層3が速やかに形成されるので、
この表面層3の多量の酸素原子の存在により塗装材層4
の密着性が増す。又、この成形部品1表面の塗装してい
ない部分やその後の使用で塗装材層4が剥離した部分に
おいても、その表面層3の多量の酸素原子の存在によ
り、大気中での放置によってこの表面層3が大気中の水
分及び炭酸ガスと反応し、炭酸水酸化マグネシウム等の
大気中で安定な皮膜が比較的速やかに形成される。又、
紫外線ランプ9による強い紫外線の照射により、成形体
2の表面に付着した油脂等の塗装材層4の密着性を阻害
する異物が蒸発されたり燃焼されたりして除去されるの
で、塗装材層4の密着性を強いものにすることができ
る。しかも、図3に示すように、成形体2を加熱すると
いった簡単な工程で得ることができるので、有害物質を
用いることなく、低コストで、実用上十分な耐食性と塗
装材層4の密着性とを有するMg又はMg合金を主材料
とする金属成形部品1を得ることができる。
【0027】塗装装置10は、図2に示すように、密閉
された塗装箱11と、その内部にこの塗装箱11に対し
て電気的に絶縁されて配された電極台12と、塗装箱1
1内に粉体塗料16を供給する供給装置14と、その電
極台12と塗装箱11及び供給装置14との間に直流電
圧を印加する直流電源13と、被塗装体に粉体塗料16
を焼き付けるための加熱装置15とからなる。
【0028】加熱処理の済んだMg合金の成形体2を、
電極台12の上に電極台12と導通するように載せて、
直流電源13と供給装置14とを駆動して、Mg合金の
成形体2の表面に粉体塗料16を静電気力で吸着させ、
その後加熱装置15を駆動して、Mg合金の成形体2の
表面に粉体塗料16を焼き付けて、図4に示すように、
最外層に塗装材層4が形成された金属成形部品1を得
る。この粉体塗料16による塗装は、一般に粉体塗料1
6の歩留りがよくないが、有機溶剤を用いないので、作
業環境として好ましい。
【0029】次に、本実施形態で得られた金属成形部品
1の耐食性と塗装材層4の密着性とを評価した結果を説
明する。
【0030】耐食性は、2つの試験による。一つは加湿
試験で、40℃湿度90%で500hr放置した後、目
視で外観の腐食の有無を判定する。一つは塩水噴霧試験
で、35℃の5%塩水を8hr噴霧し16hr休止する
サイクルを3サイクル実施した後、目視で外観の腐食の
有無を判定する。この2つの試験とその評価の結果、本
金属成形部品1では、腐食が認められず、耐食性が良好
であった。なお、比較のため上記の加熱処理を行わなか
った成形体2では、前記の加湿試験において大きな腐食
が見られた。
【0031】塗装材層4の密着性は、塗装部分の複数箇
所に貼付面積24×24mmのセロハンテープを貼付し
て急激に剥離した後、塗装材層4の剥離箇所数が貼付箇
所数の5%以下であれば良好、5%を越えたならば不良
と判定する。この試験とその評価の結果、本金属成形部
品1では、塗装材層4の剥離箇所数を貼付箇所数の約1
%に抑えることができ、塗装材層4の密着性が良好であ
った。
【0032】本発明の金属成形部品の製造方法の第2の
実施形態は、図5に示すように、Mg又はMg合金の成
形体2を、加熱炉17内で、水蒸気供給装置18が供給
する水蒸気19の雰囲気中で、赤外線ヒータ20で15
0℃に加熱して冷却した後、その表面の過半部分に上記
第1の実施形態と同様に粉体塗料16を塗布する。
【0033】成形体2は、この水蒸気処理によって、そ
の表面の全面に水酸化マグネシウムの表面層が速やかに
形成され、その後の大気中での放置によってこの表面層
が大気中の炭酸ガスと反応し、炭酸水酸化マグネシウム
等の大気中で安定な皮膜皮膜を速やかに形成することが
できるので、実用上十分な耐食性を確実に得ることがで
きる。このように、塗装前の処理に水を用い、有害なク
ロム酸などの水溶液を必要としないので、環境対策のコ
スト及び処理コストの点で有利である。
【0034】上記第1及び第2の実施形態において、成
形体2の加熱温度は、100〜400℃であれば同様の
作用効果を得ることができるが、100℃に満たないと
十分な厚さの表面層が形成されず、400℃を越えると
成形体2の酸化が内部へ進行して急激に発火することも
あり、好ましくない。
【0035】本発明の金属成形部品の製造方法の第3の
実施形態は、図6に示すように、Mg又はMg合金の成
形体2を、加熱ヒータ22で85℃に加熱された水21
に浸漬して、次いでこれを乾燥した後、その表面の過半
部分に上記第1の実施形態と同様に粉体塗料16を塗布
する。
【0036】成形体2は、この熱水処理によって、その
表面の全面に水酸化マグネシウムの表面層が速やかに形
成されるので、前記第2の実施形態と同様に、実用上十
分な耐食性を確実に得ることができる。
【0037】上記第3の実施形態において、水21の加
熱温度は、85℃以上であれば同様の作用効果を得るこ
とができるが、80℃に満たないと、十分な厚さの水酸
化マグネシウムの表面層が形成されず、好ましくない。
【0038】本発明の金属成形部品の製造方法の第4の
実施形態は、図に示さないが、Mg又はMg合金の成形
体2を、水酸化ナトリウムを含むpH10の室温の水溶
液に浸漬して、次いでこれを水洗してから乾燥した後、
その表面の過半部分に上記第1の実施形態と同様に粉体
塗料16を塗布する。
【0039】成形体2は、このアルカリ処理によって、
その表面の全面に水酸化マグネシウムの表面層が速やか
に形成されるので、前記第2の実施形態と同様に、実用
上十分な耐食性を確実に得ることができる。
【0040】上記第4の実施形態において、水溶液のp
Hは、pH8〜11であれば同様の作用効果を得ること
ができるが、pH8に満たないと、十分な厚さの水酸化
マグネシウムの表面層が形成されず、pH11を越える
と水溶液への成形体2の溶け出しが大きくなり、好まし
くない。
【0041】本発明の金属成形部品の製造方法の第5の
実施形態は、図7、図8に示すように、Mg又はMg合
金の成形体2に、この表面に直径20〜80μmの多数
の凹部5が形成される程度に、噴射ノズル23から粒径
0.4mmの亜鉛粒子24を圧縮空気によって吹き付け
た後、その表面の過半部分に上記第1の実施形態と同様
に粉体塗料16を塗布する。
【0042】成形体2は、この粒子吹付け処理によっ
て、その亜鉛粒子24の衝突部位が、局部的に温度上昇
を起こして雰囲気中の酸素と反応して、酸素量の多い表
面層3が形成されるので、上記第1の実施形態発明と同
様の作用効果を得ることができる。それと共に、成形体
2の表面に付着した油脂等の塗装材層4の密着性を阻害
する異物が、この亜鉛粒子24により機械的に除去さ
れ、かつこの表面に直径20〜80μmの多数の凹部5
が形成されて塗装材層4との接着面積が増えるので、塗
装材層4の密着性を更に増すことができる。
【0043】なお、上記第5の実施形態では、成形体2
の表面に吹き付ける固体粒子を、亜鉛粒子24とした
が、本発明はこれに限定されず、代わりにアルミナやガ
ラスの粒子を吹き付けてもよい。これらの評価の結果、
亜鉛粒子24を用いた場合には、特に成形部品1の耐食
性が、アルミナやガラスの粒子を用いた場合には、特に
塗装材層4の密着性が、夫々大幅に向上した。
【0044】本発明の金属成形部品の製造方法の第6の
実施形態は、図9に示すように、Mg又はMg合金の成
形体2に、この表面に直径10〜50μmの多数の凹部
5が形成される程度に、大気中において、レーザ発振素
子25からQスイッチ26によって断続的に出射される
レーザ光27を、移動テーブル28で移動させられる成
形体2の表面に集光するように照射する。その後、その
表面の過半部分に上記第1の実施形態と同様に粉体塗料
16を塗布する。
【0045】成形体2は、このレーザ照射処理によっ
て、レーザ光27の照射部位が、局部的に温度上昇を起
こして雰囲気中の酸素と反応して、酸素量の多い表面層
3が形成されるので、上記第1の実施形態発明と同様の
作用効果を得ることができる。
【0046】それと共に、成形体2の表面に付着した油
脂等の塗装材層4の密着性を阻害する異物が、このレー
ザ光により蒸発されて除去され、かつこの表面に直径1
0〜50μmの多数の凹部5が形成されて塗装材層4と
の接着面積が増えるので、塗装材層4の密着性を更に増
すことができる。
【0047】上記第5及び第6の実施形態において、成
形体2の表面に形成される凹部5の直径は、5〜100
μmであれば同様の作用効果を得ることができるが、5
μmに満たないと塗装材層4がこの凹部5の底まで十分
入り込まず、100μmを越えると塗装材層4との接着
面積の増加量が十分でなく、好ましくない。
【0048】なお、上記第1〜第6の実施形態では、塗
装工程において、図2に示すような塗装装置10を用い
て、成形体2に粉体塗料16を電着させたが、これに代
えて図10に示すように、スプレーガン30を用いて成
形体2に塗料31を吹き付けて塗装材層32を形成して
もよい。
【0049】
【発明の効果】本願の第1発明の金属成形部品によれ
ば、この成形体の表面の過半部分に、酸素量の多い表面
層が形成されているので、この表面層の多量の酸素原子
の存在により塗装材層の密着性が増す。又、この成形部
品表面の塗装していない部分や塗装材層が剥離した部分
においても、その表面層の多量の酸素原子の存在によ
り、大気中での放置によってこの表面層が大気中の水分
及び炭酸ガスと反応し、炭酸水酸化マグネシウム等の大
気中で安定な皮膜が比較的速やかに形成されるので、実
用上十分な耐食性を得ることができる。又、その表面層
は、成形体の表面が酸素と反応したものであり、クロム
酸等の有害な重金属を使用する必要がないので、大きな
コストを要せず好適である。
【0050】本願の第1発明の金属成形部品において、
表面層の厚さを10nm以上となるように構成すると、
大気中での放置によって得られる炭酸水酸化マグネシウ
ム等の皮膜が、成形体を大気から遮断するのに十分な厚
さになるので、より確実な耐食性を得ることができる。
【0051】本願の第2発明の金属成形部品の製造方法
によれば、成形体が酸素を含む雰囲気中で100〜40
0℃に加熱されるため、酸素量の多い表面層が速やかに
形成されるので、上記第1発明と同様の作用効果を、成
形体を加熱するといった簡単な工程で得ることができ
る。又、成形体の表面に付着した油脂等の塗装材層の密
着性を阻害する異物が蒸発されたり燃焼されたりして除
去されるので、塗装材層の密着性を更に増すことができ
る。
【0052】本願の第2発明の金属成形部品の製造方法
において、加熱処理を、水蒸気を含む雰囲気中で行うよ
うに構成すると、成形体の表面が、水蒸気と反応して水
酸化マグネシウムの表面層が速やかに形成され、その後
の大気中での放置によってこの表面層が、大気中の炭酸
ガスと速やかに反応し、炭酸水酸化マグネシウム等の大
気中で安定な皮膜を速やかに形成することができるの
で、実用上十分な耐食性を確実に得ることができる。
【0053】本願の第2発明の金属成形部品の製造方法
において、加熱中に、成形体の表面に、この表面に吸着
されている酸素の一部がオゾンに変換する程度に、紫外
線を照射するように構成すると、成形体の表面上に生成
されたオゾンにより、酸素量の多い表面層が速やかに形
成されるので、上記第1発明と同様の作用効果を得るこ
とができる。又、前記の紫外線やオゾンにより、成形体
の表面に付着した油脂等の塗装材層の密着性を阻害する
異物が分解されたり酸化されたりして除去されるので、
塗装材層の密着性を更に増すことができる。
【0054】本願の第3発明の金属成形部品の製造方法
によれば、成形体の表面が、80℃以上の水と反応して
水酸化マグネシウムの表面層が速やかに形成され、その
後の大気中での放置によってこの表面層が、大気中の炭
酸ガスと速やかに反応し、炭酸水酸化マグネシウム等の
大気中で安定な皮膜を速やかに形成することができるの
で、実用上十分な耐食性を確実に得ることができる。
【0055】本願の第4発明の金属成形部品の製造方法
によれば、成形体の表面が、pH8〜11の水溶液と反
応して水酸化マグネシウムの表面層が速やかに形成さ
れ、その後の大気中での放置によってこの表面層が、大
気中の炭酸ガスと速やかに反応し、炭酸水酸化マグネシ
ウム等の大気中で安定な皮膜を速やかに形成することが
できるので、実用上十分な耐食性を確実に得ることがで
きる。
【0056】本願の第5発明の金属成形部品の製造方法
によれば、固体粒子の衝突部位が、局部的に温度上昇を
起こして雰囲気中の酸素と反応して、酸素量の多い表面
層が形成されるので、上記第1発明と同様の作用効果を
得ることができる。それと共に、成形体の表面に付着し
た油脂等の塗装材層の密着性を阻害する異物が固体粒子
により機械的に除去され、かつこの表面に直径5〜10
0μmの多数の凹部又は凸部が形成されて塗装材層との
接着面積が増えるので、塗装材層の密着性を更に増すこ
とができる。又、成形体に固体粒子を吹き付けるといっ
た簡単な方法で前記作用を営むことができるので、有害
物質を用いることなく、工程が少なく低コストで、実用
上十分な耐食性と塗装材層の密着性とを得ることができ
る。
【0057】本願の第5発明の金属成形部品の製造方法
において、固体粒子を金属粒子で構成すると、金属粒子
は比較的比重が大きいため、この金属粒子の衝突部位の
局部的な温度上昇が大きくなるので、酸素量の更に多い
表面層が形成されて、耐食性を更に向上させることがで
きる。
【0058】本願の第5発明の金属成形部品の製造方法
において、固体粒子を酸化物粒子で構成すると、酸化物
粒子は硬く衝突においても潰れないため、この酸化物粒
子の衝突部位の凹部又は凸部が比較的深くあるいは鋭く
なるので、塗装材層との接着面積が更に増えて、塗装材
層の密着性を更に向上させることができる。
【0059】本願の第6発明の金属成形部品の製造方法
によれば、レーザ光を照射した部位が、大きな温度上昇
を起こして雰囲気中の酸素と反応して、酸素量の多い表
面層が形成され、又成形体の表面に付着した油脂等の塗
装材層の密着性を阻害する異物がレーザ光により蒸発さ
れて除去され、かつこの表面に直径5〜100μmの多
数の凹部又は凸部が形成されて塗装材層との接着面積が
増えるので、上記第5発明と同様の作用効果を得ること
ができる。又、レーザ光を照射する範囲を制御し易いの
で、例えば塗料の剥離し易い成形部品のコーナー部分に
重点的にレーザ光を照射する等して、効率よく塗料の密
着性を向上させることができ、好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の加熱処理工程を示す
概略図。
【図2】本発明の第1の実施形態の塗装工程を示す概略
図。
【図3】本発明の第1の実施形態の製造工程を示すフロ
ーチャート。
【図4】本発明の金属成形部品の一実施形態を示す部分
拡大断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態の水蒸気処理工程を示
す概略図。
【図6】本発明の第3の実施形態の熱水処理工程を示す
概略図。
【図7】本発明の第5の実施形態の粒子吹付け処理工程
を示す概略図。
【図8】本発明の金属成形部品の別の実施形態を示す部
分拡大断面図。
【図9】本発明の第6の実施形態のレーザ照射処理工程
を示す概略図。
【図10】本発明の実施形態における塗装工程の別形態
を示す概略図。
【図11】従来の製造工程の一例を示すフローチャー
ト。
【符号の説明】
1 金属成形部品 2 Mg又はMg合金の成形体 3 表面層 4 塗装材層 5 凹部 16 粉体塗料(塗装材) 19 水蒸気 21 水 24 亜鉛粒子(金属粒子) 27 レーザ光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 義明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 目黒 赳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg又はMg合金の成形体と、この成形
    体表面に形成されこの成形体内部より酸素量の多い表面
    層と、この表面層の上の過半部分に形成された塗装材層
    とからなることを特徴とする金属成形部品。
  2. 【請求項2】 表面層の厚さが10nm以上である請求
    項1記載の金属成形部品。
  3. 【請求項3】 Mg又はMg合金の成形体を、酸素を含
    む雰囲気中で100〜400℃に加熱して冷却した後、
    その表面の過半部分に塗装材を塗布することを特徴とす
    る金属成形部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱処理を、水蒸気を含む雰囲気中で行
    う請求項3記載の金属成形部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 加熱中に、Mg又はMg合金の成形体の
    表面に、この表面に吸着されている酸素の一部がオゾン
    に変換する程度に、紫外線を照射する請求項3記載の金
    属成形部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 Mg又はMg合金の成形体を、80℃以
    上の水に浸漬して、次いでこれを乾燥した後、その表面
    の過半部分に塗装材を塗布することを特徴とする金属成
    形部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 Mg又はMg合金の成形体を、pH8〜
    11の水溶液に浸漬して、次いでこれを乾燥した後、そ
    の表面の過半部分に塗装材を塗布することを特徴とする
    金属成形部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 Mg又はMg合金の成形体の表面に、こ
    の表面に直径5〜100μmの多数の凹部又は凸部が形
    成される程度に、酸素を含む雰囲気中で固体粒子を吹き
    付けた後、その表面の過半部分に塗装材を塗布すること
    を特徴とする金属成形部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 固体粒子が金属粒子である請求項8記載
    の金属成形部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 固体粒子が酸化物粒子である請求項8
    記載の金属成形部品の製造方法。
  11. 【請求項11】 Mg又はMg合金の成形体の表面に、
    この表面に直径5〜100μmの多数の凹部又は凸部が
    形成される程度に、酸素を含む雰囲気中でレーザ光を照
    射した後、その表面の過半部分に塗装材を塗布すること
    を特徴とする金属成形部品の製造方法。
JP69397A 1997-01-07 1997-01-07 金属成形部品とその製造方法 Pending JPH10193078A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP69397A JPH10193078A (ja) 1997-01-07 1997-01-07 金属成形部品とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP69397A JPH10193078A (ja) 1997-01-07 1997-01-07 金属成形部品とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10193078A true JPH10193078A (ja) 1998-07-28

Family

ID=11480849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP69397A Pending JPH10193078A (ja) 1997-01-07 1997-01-07 金属成形部品とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10193078A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008083129A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Konica Minolta Business Technologies Inc 現像ローラ用シャフトの洗浄方法
JP2010007147A (ja) * 2008-06-27 2010-01-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology マグネシウム合金材、およびマグネシウム合金の表面処理方法
JP2014125639A (ja) * 2012-12-25 2014-07-07 Shibaura Institute Of Technology 高耐食性マグネシウム系材料及びその製造方法、並びに、マグネシウム系材料の表面処理方法
JP2019063875A (ja) * 2016-09-02 2019-04-25 ダイセルポリマー株式会社 金属成形体の粗面化方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008083129A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Konica Minolta Business Technologies Inc 現像ローラ用シャフトの洗浄方法
JP2010007147A (ja) * 2008-06-27 2010-01-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology マグネシウム合金材、およびマグネシウム合金の表面処理方法
JP2014125639A (ja) * 2012-12-25 2014-07-07 Shibaura Institute Of Technology 高耐食性マグネシウム系材料及びその製造方法、並びに、マグネシウム系材料の表面処理方法
JP2019063875A (ja) * 2016-09-02 2019-04-25 ダイセルポリマー株式会社 金属成形体の粗面化方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100426455C (zh) 图案形成方法、装置及半导体器件、电路、显示体模件和发光元件
ES2222976T3 (es) Proceso para recubrir superficies de sustratos metalicos y superficie recubierta.
JPH10193078A (ja) 金属成形部品とその製造方法
WO2005023437A3 (en) Multi-stage processes for drying and curing substrates coated with aqueous basecoat and a topcoat
ES2380156T3 (es) Método para recubrir parcialmente componentes complejos con componentes catalíticamente activos
US4863375A (en) Baking method for use with liquid or powder varnishing furnace
JP2007038081A (ja) 電気絶縁性基材の静電塗装方法
JPS5898340A (ja) ポリオレフイン系樹脂成形体のポリウレタン系樹脂塗料の塗装方法
KR100345925B1 (ko) 자외선 조사에 의한 재료의 표면 개질 및 세정방법
CN110799687A (zh) 非织造制品及其制备方法
JP2001513024A (ja) ポリアルキレン上に被覆を設ける方法
JPS56142856A (en) Manufacture of copper or copper alloy product
JPS6279235A (ja) ポリプロピレン系樹脂成形体の表面処理方法
JPH04247862A (ja) カラー金属板の製法
US7897087B2 (en) Method of manufacturing a molded article
JPS61233400A (ja) 基板上にパターン化粒子層を製造する方法
CN109304839A (zh) 应用大气电浆表面处理的金属纳米塑料注塑方法
JP2000328228A (ja) 真空成膜システム
MXPA02006950A (es) Metodo para producir pinturas de capas multiples, que tienen color y/o efecto sobre cuerpos de automoviles.
JP2835423B2 (ja) 脱臭灯及びその製造方法
JPH1028943A (ja) 水の溜り部分に近赤外線を照射し、効率的に水切乾燥を行う方法
FR2826883B1 (fr) Procede de mise en peinture de pieces de carrosserie
JPH10319185A (ja) 機器類の汚染防止方法ならびに除染方法
KR950023612A (ko) 유리용기 표면의 유기고분자분체 피복법
JPH04292668A (ja) 水溶性被膜組成物を利用した塗料剥離方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Effective date: 20031211

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A621 Written request for application examination

Effective date: 20031211

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070227

A521 Written amendment

Effective date: 20070427

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070605

A521 Written amendment

Effective date: 20070730

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070911

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02