JP2010181536A - 乾燥装置及びそれを用いた乾燥方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コーヒーステイン現象を低減或いは解消できる、単純な構造で小型の乾燥装置及びそれを用いた乾燥方法を提供する。
【解決手段】溶質が溶媒に含まれた液体材料2が塗布された基板1を載せるための試料台200と、液体材料2が塗布された部分を覆うように対向して配置され、溶媒と同種の溶媒を保持するための溶媒保持面14とを備え、溶媒保持面14上の溶媒液膜16により形成される溶媒蒸気雰囲気15により液体材料2からの溶媒の蒸発量分布を制御する乾燥装置及びそれを用いた乾燥方法。
【選択図】図1
【解決手段】溶質が溶媒に含まれた液体材料2が塗布された基板1を載せるための試料台200と、液体材料2が塗布された部分を覆うように対向して配置され、溶媒と同種の溶媒を保持するための溶媒保持面14とを備え、溶媒保持面14上の溶媒液膜16により形成される溶媒蒸気雰囲気15により液体材料2からの溶媒の蒸発量分布を制御する乾燥装置及びそれを用いた乾燥方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶質が溶媒に含まれた液体材料を乾燥する乾燥装置及び乾燥方法に関する。
液晶表示(Liquid Crystal Display(LCD))パネルは、軽量、省エネ等の特長により陰極線管(Cathode Ray Tube(CRT))を用いたTVに替わり、大型TVの主流になりつつある。このため、さらなるLCDパネル製造の低コスト化が求められている。低コストのための一つの方法として、不良パネルとして廃棄される基板を修正によって救済して歩留まりを上げるための修正工程がある。LCDパネルの製造過程においては各種薄膜を基板上に成膜して、これら薄膜に対してフォトリソグラフィ法を用いてパターニングして配線を形成することがおこなわれている。薄膜の種類としては、金属薄膜、透明導電膜や、各種有機薄膜などがある。これらの薄膜、或いはパターニングされた薄膜においては、各種欠陥が発生しLCDパネルの機能を阻害する原因となる。欠陥の種類としては、異物付着、膜の欠損などがある。欠陥の修正方法としては、異物付着などの場合は、レーザ等を用いたエネルギー照射による異物除去と除去に伴う膜の欠損部に対する局所成膜による修正が行なわれ、欠損欠陥に対しても欠損部への局所成膜による修正が行なわれる。局所成膜の一つの方法としてインクジェットを用いた液体材料を用いた塗布による方法がある。
インクジェットによる成膜方法は、まず液体材料を基板上に滴下し液膜を形成する。液体材料の多くは、膜材料である溶質を溶媒中に溶かした形になっている。このため液膜を形成した後は、乾燥工程として溶媒を蒸発させ溶質のみの膜にする。次にこの溶質の膜を加熱処理などにより所望の性能を有する膜に変換する。
インクジェット法では、液体材料を微小液滴として吐出するために、液体材料として低粘度のものが要求されることが多い。液体材料で成膜するために、低粘度の液体材料で液膜を形成すると、液膜において溶媒の蒸発量分布が発生し、液膜の周辺部に溶媒が集積し、周辺部で膜厚が厚くなる現象(以下コーヒーステイン現象と称す)が発生し膜厚ムラが生ずる。このようなコーヒーステイン現象を抑制する方法として例えば特許文献1,2がある。
まずコーヒーステイン現象について説明する。図14にコーヒーステイン現象の説明図を示す。図14(a)に、基板1上に液体材料2を塗布し、液膜を形成した状態を示す。液体材料中の溶質を黒点3で表す。このような液膜2が乾燥する時の状態を図14(b)に示す。溶媒の蒸発量4は、液膜の周辺近傍5において多くなる。この作用によって、液膜中には液膜周辺部に向かう流れ6が生じ、この流れによって溶質3が周辺部に移動する。この結果図14(c)に示すように、液膜周辺部5に溶質3が集まり周辺部で膜が厚くなる。このような膜厚分布の発生は、フォトリソグラフィを用いたパターニング、形成された素子などにおいて種々の不具合を生じる原因となる。
特許文献1には、コーヒーステイン現象を回避するために、基板と液体材料の接触角を調整する方法と溶媒の蒸発条件を制御するが記載されている。しかしながら、基板上で液体材料の接触角を制御するには、基板の表面状態に合わせた適切な表面張力を有する溶媒の選定が必要になる。このため溶媒材料の汎用性が失われるという欠点がある。また本文献には、溶媒の蒸発条件を制御するための具体的方法は記述されていない。
特許文献2には、溶媒の揮発を抑制する方法が述べられている。しかし、基板全体を覆う構造と雰囲気を制御するガス流制御手段により乾燥制御するものであり装置が大型化、し、高コスト化する。
本発明の目的は、コーヒーステイン現象を抑制或いは解消できる、単純な構造で小型の乾燥装置及びそれを用いた乾燥方法を提供することにある。
上記目的を達成するための一形態として、溶質が溶媒に含まれた液体材料が塗布された基板を載せるための試料台と、前記液体材料が塗布された部分を覆うように対向して配置される、前記溶媒と同種の溶媒を保持するための溶媒保持面とを有することを特徴とする乾燥装置とする。
また、溶質が溶媒に含まれた液体が塗布された基板を載せるための試料台と、前記液体材料が塗布された部分を覆うように対向して配置される、前記溶媒と同種の溶媒を保持するための溶媒保持面と前記溶媒保持面へ前記溶媒と同種の溶媒を供給するための溶媒タンクとを有することを特徴とする乾燥装置とする。
また、上記乾燥装置を用い、溶質が溶媒に含まれた液体が塗布された基板を試料台に載せる工程と、前記溶媒と同種の溶媒が保持された前記溶媒保持面と前記基板とを対向させる工程と、前記基板から溶媒を蒸発させて乾燥する工程とを有する乾燥方法とする。
コーヒーステイン現象を抑制或いは解消できる。
以下、実施例により本発明を説明する。
第1の実施例を図1〜図3を用いて説明する。図1において、基板1上には、薄膜10が形成されており、薄膜10には欠損部11が生じている。欠損部11に対して、欠損部を修復するための液体材料2を、欠損部11を覆うように塗布する。欠損部11に対向するように乾燥装置12を配置する。乾燥装置12は、液体材料2に含まれる溶媒13と、溶媒13が塗布された溶媒保持面14と、試料台200を有する。溶媒13が塗布された溶媒液膜16が形成された溶媒保持面14は、欠損部11に対向する位置に配置する。ここで、溶媒保持部面14と塗布する溶媒13の表面エネルギーの関係を
溶媒保持面14の表面エネルギー>溶媒13の表面エネルギー
とすることによって溶媒保持面14を溶媒が濡れ広がる。溶媒保持面14に塗布された溶媒液膜16は、対向する液体材料2が占める液膜の範囲に対して十分な広さで全体を覆う平面的広さを持つように設定する。このような構成とすることによって、溶媒保持面14の溶媒液膜16から、溶媒蒸気が放出され、基板1と溶媒保持面14の間で溶媒蒸気雰囲気15が形成される。前述したように、コーヒーステイン現象は基板1上に塗布された液体材料2から放出される溶媒蒸気が分布を持つことによって発生するが、溶媒雰囲気15で覆われることによって、溶媒蒸気は一様な状態に近づき溶媒の蒸発速度分布が抑制される。このため、コーヒーステイン現象が抑制され膜厚均一性が向上する。なお、溶媒13は、液体材料中の溶媒と同種のものであれば用いることが出来るが、同一であることが最も望ましい。
溶媒保持面14の表面エネルギー>溶媒13の表面エネルギー
とすることによって溶媒保持面14を溶媒が濡れ広がる。溶媒保持面14に塗布された溶媒液膜16は、対向する液体材料2が占める液膜の範囲に対して十分な広さで全体を覆う平面的広さを持つように設定する。このような構成とすることによって、溶媒保持面14の溶媒液膜16から、溶媒蒸気が放出され、基板1と溶媒保持面14の間で溶媒蒸気雰囲気15が形成される。前述したように、コーヒーステイン現象は基板1上に塗布された液体材料2から放出される溶媒蒸気が分布を持つことによって発生するが、溶媒雰囲気15で覆われることによって、溶媒蒸気は一様な状態に近づき溶媒の蒸発速度分布が抑制される。このため、コーヒーステイン現象が抑制され膜厚均一性が向上する。なお、溶媒13は、液体材料中の溶媒と同種のものであれば用いることが出来るが、同一であることが最も望ましい。
次に、本実施例の乾燥プロセスと、条件について図2、図3により説明する。図2に基板欠損部11に対する液体材料の塗布から乾燥装置12を用いた乾燥までのプロセスを示す。
まず、図2(a)に示すように、基板1に成膜された薄膜10の欠損部11に対して、図示しないインクジェットノズルから液体材料2を基板1に対して吐出する。吐出された液体材料2によって、図2(b)に示すように、欠損部11を覆うように液体材料2を塗布する。塗布直後から基板上の液体材料2において溶媒の蒸発が発生する。次に、この状態の液体材料2に対して図2(c)に示す様に乾燥装置12を液体材料2に対向して配置する。これによって、液体材料2の周囲に溶媒雰囲気15が形成され液体材料2からの溶媒の蒸発が抑制される。なお、本処理は常温(15〜25℃)で行なった。このようなプロセスにおいて、液体材料2中の溶質3に形成される膜の状態は、(1)溶媒の蒸気圧、(2)液体材料2の液膜厚h、(3)液体材料のサイズa、(4)液体材料2の塗布から、乾燥装置12の配置までの時間、(5)溶媒保持面14における溶媒液膜16のサイズb、(6)乾燥装置12の溶媒保持面14と基板1間の距離G、により左右される。
実験結果によれば、液体材料2に用いる主溶媒の蒸気圧(1)は、0.13kPa以下の溶媒(デカリン、テトラデカン、テトラヒドロナフタレン等の比較的蒸気圧の小さい溶媒)が好ましく、また(2)の液膜厚hが1〜5μmでかつ、液体材料が円形に広がるとして、(3)液体材料の広がりaが直径φ100μm〜φ1000μmであれば、基板1上に塗布された液体材料2は30秒程度の間、液体状態を保つ。従って基板1への液体材料2の塗布後、乾燥装置12を配置することが可能である。
次に、乾燥後溶質3により形成される膜の状態について図3により説明する。図3は、図2(c)の状態において、基板1と溶媒保持面14の間隔Gと液体材料2からの溶媒の蒸発速度の関係を表し、21にそのグラフを示す。ここで、溶媒保持面14における溶媒液膜16のサイズbは円形で直径φ10mm程度とし、基板上の液体材料2の直径aに対して十分広くする。その他の条件(1)〜(4)は上記実験結果で得られた条件としている。
このような条件で、間隔Gが4mm以上の場合、溶媒保持部と基板の間隔Gと蒸発速度との関係を示す曲線21が平坦になっており、基板表面近傍では溶媒保持部による溶媒雰囲気が形成されず通常の蒸発速度になっている。このとき液体材料3は60秒程度で乾燥し、成膜22の形状は(c)に示すように成膜端部23が盛り上がった状態にありコーヒーステイン現象が発生する。次に、間隔Gの値が1から3mmの場合は溶媒の蒸発速度は小さくなり、乾燥には5分以上を要する。このときの成膜状態は、(a)に示すように、薄く広がる。このときの直径eは、初期の塗布経aに比べ2〜3倍に広がる。これは、基板1表面近傍の溶媒蒸気濃度が高まることによって、基板表面に溶媒の液膜が形成され、これによって親液性高まり、濡れ広がるためである。間隔Gの値が3から4mmの条件では、基板1の表面近傍において適度に溶媒雰囲気が形成されるため、(b)に示すようにオウトツが抑制された均一な膜が形成される。
本実施例によれば、基板上に塗布され、溶質が溶媒に含まれた液体材料(塗布液)に対し、溶媒が保持された溶媒保持面を対向配置し、溶媒保持面上の溶媒液膜から蒸発した溶媒蒸気雰囲気により液体材料からの溶媒の蒸発量分布を制御し、コーヒーステイン現象に起因する膜厚変動を抑えることができることが分かった。これにより、単純な構造で小型の乾燥装置及びそれを用いた乾燥方法を提供できる見通しが得られた。
第2の実施例について図4を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1と同様である。図4(a)に、本実施例の乾燥装置40を示す。乾燥装置40において14は溶媒保持面、溶媒保持面14には、流路42と繋がった溶媒タンク43が設けられており、内部には溶媒13が入っている。
本構造において、溶媒保持面14と溶媒13の表面エネルギーの関係は下記の状態で構成する。
溶媒保持面14の表面エネルギー>溶媒13の表面エネルギー
溶媒タンク43には、タンク内の圧力を制御するための圧力制御装置44が繋がっており、溶媒タンク43内の圧力を制御する。このような構造の乾燥装置40において、溶媒タンク43は溶媒保持面14の上部にあるため、流路42にはタンク43内の溶媒3により圧力が加わり、溶媒13が溶媒保持面14に流出しようとするが、圧力制御手段44によってタンク43内の圧力を負圧に制御することで溶媒保持面14への溶媒の供給を調節することが可能である。本構造によって、溶媒保持面14を溶媒液膜16で濡らし、かつ溶媒が滴下しないように制御することが可能となる。図4(a)のBB矢視図に示す溶媒保持面14において、溶媒が広がる形状を、図4(b)に示す。本構造においては、溶媒保持面への流路は42の1箇所であるため円形に近い形状に広がる。この直径dは、10mm程度である。
溶媒保持面14の表面エネルギー>溶媒13の表面エネルギー
溶媒タンク43には、タンク内の圧力を制御するための圧力制御装置44が繋がっており、溶媒タンク43内の圧力を制御する。このような構造の乾燥装置40において、溶媒タンク43は溶媒保持面14の上部にあるため、流路42にはタンク43内の溶媒3により圧力が加わり、溶媒13が溶媒保持面14に流出しようとするが、圧力制御手段44によってタンク43内の圧力を負圧に制御することで溶媒保持面14への溶媒の供給を調節することが可能である。本構造によって、溶媒保持面14を溶媒液膜16で濡らし、かつ溶媒が滴下しないように制御することが可能となる。図4(a)のBB矢視図に示す溶媒保持面14において、溶媒が広がる形状を、図4(b)に示す。本構造においては、溶媒保持面への流路は42の1箇所であるため円形に近い形状に広がる。この直径dは、10mm程度である。
本実施例においても、実施例1と同様の効果が得られる。更に、本実施例ではタンクから溶媒が絶えず供給されるため、長時間にわたり安定な乾燥を行なうことができる。
第3の実施例について図5を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1、2と同様である。図5(a)に本実施例の乾燥装置50を示す。基本的な構成は第2の実施例と同じであり、溶媒保持面14の構成が異なる。溶媒保持面14は、撥液部51と親液部52によって構成される。撥液部51と親液部52と溶媒13の表面エネルギーの関係は下記の関係で構成する。
撥液部51の表面エネルギー<溶媒13の表面エネルギー
親液部52の表面エネルギー>溶媒13の表面エネルギー
例えば撥液部51の構成材料としては、表面エネルギーの小さいフッ素樹脂などを用いればよい。図5(a)のCC矢視図に示す溶媒保持面14において、溶媒液膜16が広がる形状を、図5(b)に示す。親液部52を撥液部51で囲むことによって、親液部52にのみ溶媒液膜16を形成することが可能である。また、溶媒液膜16の形状は親液面52の形状で決まるため、溶媒液膜16の形状を制御することが可能である。図5(b)には、矩形の例を示す。
親液部52の表面エネルギー>溶媒13の表面エネルギー
例えば撥液部51の構成材料としては、表面エネルギーの小さいフッ素樹脂などを用いればよい。図5(a)のCC矢視図に示す溶媒保持面14において、溶媒液膜16が広がる形状を、図5(b)に示す。親液部52を撥液部51で囲むことによって、親液部52にのみ溶媒液膜16を形成することが可能である。また、溶媒液膜16の形状は親液面52の形状で決まるため、溶媒液膜16の形状を制御することが可能である。図5(b)には、矩形の例を示す。
本実施例においても、実施例1や2と同様の効果が得られる。更に、本実施例では溶媒保持面において、撥液部と親液部との配置を変えることにより溶媒液膜の形状を制御することが可能である。
第4の実施例について図6及び図7を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1、2と同様である。図6(a)に本実施例の乾燥装置60を示す。基本的な構成は第2の実施例と同じであり、溶媒保持面の構成が異なる。溶媒保持面14は、下記の関係で示される、撥液面で構成する。
溶媒保持面14の表面エネルギー<溶媒11の表面エネルギー
さらに、溶媒タンク62から溶媒保持面14に繋がる流路63を複数個で構成する。図6(a)の流路63と溶媒保持面14の破線で囲んだ部分65の拡大図を図7(a)に示す。溶媒保持面14と溶媒13の表面エネルギーの関係は前述の通りなので、液滴は広がらず表面エネルギーの関係で決まる接触角θで欠球状の液滴66が形成される。液滴の径D1は、タンク内の圧力を制御することによってある程度制御可能である。またタンク内の圧力を調整することによって、図7(b)に示す様に保持面から突出しないようにすることも可能である。図6(a)のDD矢視図に溶媒保持面14の平面図を図6(b)に示す。液滴66を5×5個のマトリクス状に配列した状態を示す。
さらに、溶媒タンク62から溶媒保持面14に繋がる流路63を複数個で構成する。図6(a)の流路63と溶媒保持面14の破線で囲んだ部分65の拡大図を図7(a)に示す。溶媒保持面14と溶媒13の表面エネルギーの関係は前述の通りなので、液滴は広がらず表面エネルギーの関係で決まる接触角θで欠球状の液滴66が形成される。液滴の径D1は、タンク内の圧力を制御することによってある程度制御可能である。またタンク内の圧力を調整することによって、図7(b)に示す様に保持面から突出しないようにすることも可能である。図6(a)のDD矢視図に溶媒保持面14の平面図を図6(b)に示す。液滴66を5×5個のマトリクス状に配列した状態を示す。
溶媒保持面14において1個の流路で構成した場合、溶媒液滴の範囲D1を広げるためには溶媒保持面14に溶媒13を供給することで液滴が大きくなるため、ある程度までは可能である。しかし、溶媒の量がある値を超えると、重力の影響により雫となり落下するため、液滴の拡大範囲に制限を生じる。しかし、本実施例によれば、流路63の数を増すことにより制限無く微小液滴を溶媒保持面14に形成できるため広い面積の溶媒保持面を構成することが可能となる。
本実施例においても、実施例1や2と同様の効果が得られる。更に、本実施例では溶媒保持面において流路の形成領域を広げることにより溶媒液膜の形成領域を任意に広げることが可能である。これにより、大面積に液体材料を塗布、乾燥するフラットパネルディスプレイ(FPD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)、電子ペーパ等の製造工程に適用が可能である。
第5の実施例について図8を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1、2と同様である。図8に本実施例の乾燥装置80を示す。基本的な構成は第2の実施例と同じであり、溶媒保持面の構成が異なる。溶媒保持面14は、溶媒13に侵されない多孔質材81で構成する。多孔質の材質としてはステンレス、アルミ合金、等の金属、或いはアルミナ、シリカ、等のセラミックなどで、毛細管現象によって溶媒は多孔質材料中を浸透するため、溶媒保持面14の広さによらず溶媒は安定して保持可能である。また本実施例の多孔質材に換えて、ガラス繊維、耐溶剤性の樹脂性の繊維によって形成された布を用いても同様な機能を持たせることが可能である。
本実施例においても、実施例1や2と同様の効果が得られる。更に、本実施例では溶媒保持面を多孔質とすることにより広さによらず溶媒を安定して保持できる。これにより、大面積に液体材料を塗布、乾燥するフラットパネルディスプレイ(FPD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)、電子ペーパ等の製造工程に適用が可能である。
第6の実施例について図9を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1、2と同様である。図9に本実施例の乾燥装置90を示す。90において14は溶媒保持面であり、ステンレス、アルミ合金、等の金属、或いはアルミナ、シリカ、等のセラミックなどの多孔質材91で構成する。92は溶媒タンクであり、93は溶媒保持面14と溶媒タンク92の中の溶媒13に繋がった多孔質体である。このような構成とすることで、溶媒タンク中の溶媒13は、多孔質体93の毛細管現象によって溶媒タンク92から溶媒保持面14に供給される。このため、溶媒タンク内の圧力を制御する必要が無く乾燥装置の構成をより簡単な物とすることが可能である。
また、本実施例の多孔質材に換えて、ガラス繊維、耐溶剤性の樹脂性の繊維によって形成された布を用いても同様な機能を持たせることが可能である。
本実施例においても、実施例1や2、5と同様の効果が得られる。更に、本実施例では溶媒タンクから溶媒保持面までを多孔質体で接続するため溶媒タンク内の圧力制御が不要であり、構成を簡略化できる。
第7の実施例について図10を用いて説明する。実施例1〜6に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1〜6と同様である。図10に本実施例の乾燥装置100を示す。溶媒保持面14の近傍にヒータ102を設置した構造を示す。ヒータ102は図示しない温度制御装置によって溶媒保持面の温度を制御する。乾燥装置90において上記した以外の構造は、実施例2から6までのいずれの構造の物でも良い。
このような構造の乾燥装置100を用いると、溶媒保持面101の温度を制御可能となる。溶媒の蒸発量は温度に比例するためヒータ102により、溶媒保持面14の温度を上げることで、溶媒保持面14に形成した溶媒液膜16の温度を上げ、溶媒蒸発量を増やすことで、空間103の溶媒蒸気濃度を調整することが可能となる。溶媒蒸気の濃度は溶媒図3で示されるグラフにおいて基板1と溶媒保持面14間のギャップGの値が4mmより大きくなると、溶媒蒸気濃度が下がりコーヒーステイン現象を抑制できなくなる。しかし、本実施例によれば、溶媒保持面14の温度を上げることで溶媒液膜16からの溶媒蒸発量を増やすことが出来るため、4mmより広いギャップの場合でも溶媒保持面14と基板1間で、コーヒーステイン現象を抑制可能な溶媒蒸気雰囲気の形成が可能となる。
本実施例においても、実施例1〜6と同様の効果が得られる。更に、本実施例では溶液保持面の温度を制御することにより、溶媒蒸気濃度の制御が可能となる。
第8の実施例について図11、図12を用いて説明する。図11、図12に本実施例の欠陥修正装置を示す。実施例1〜7に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1〜7と同様である。図11は、修正の対象となる基板の異物検査と異物除去の機能を有す検査除去装置1100を、図12には装置1100によって異物除去された部分に対して、液体材料2を塗布して局所成膜して補修する局所成膜装置1200を示す。
図11において、符号1101は装置のベース(試料台)、ベース1101上には、図示しない吸着手段によって基板1が固定されている。ベース1101にはガイド1102を設けており、ガイド1102にはさらに門型形状のガイド1103を設けている。ガイド1103には検査手段1104と異物除去手段1105を収めたヘッド1106を設けている。ヘッド1106は、表示しない駆動手段によってガイド1103に沿ってY軸方向に駆動する。ガイド1103はガイド1102に沿って図示しない駆動手段によってX軸方向に駆動する。図12に示す局所成膜装置1200の構成は、検査除去装置1100とほぼ同じ構成であるが、ヘッド1201の機能が異なる。ヘッド1201には、液体材料2の塗布手段1202、乾燥装置1203、乾燥後の液体材料を焼成するための加熱手段1204が設けられている。
図13には検査除去装置1100と局所成膜装置1200を用いた欠陥修正工程フロー図を示す。
以上の構成で、欠陥修正プロセスを説明する。まず、工程フローの最初のプロセスである基板1上の異物検査を行なう。検査除去装置1100に設けた検査手段1104によって図13(a)に示す基板1上の薄膜10に存在する異物1310を検出する。ここで、検査手段1104はCCDカメラと画像処理等を用いる方法、或いはレーザなどを基板上に照射して異物からの散乱光を検出する方法等を用いる。検査手段は、検査対象基板のパターン、光線反射状態などを考慮した方法を選択する。検査手段を収めたヘッド1106の検査手段1104を用い、ガイド1102、1103に設けた図示しない駆動機構により基板1全面を走査し異物1310を検出する。次に異物1310の除去を、異物除去手段1105を用いて行なう。異物除去手段1105は、レーザ光線をパルス状に照射する方法、微細径のドリル等を用いて機械的に除去する方法等を用いる。除去手段、除去条件は、異物の種類、薄膜に対する付着状態等を考慮した方法を選択する。検査手段1104にて検出した異物の位置座標に対して異物除去手段1105を用いて異物除去を行なった後の基板状態を図13(b)に示す。基板1上の薄膜10には、異物1310を除去した後の膜欠損部1311が生じる。
次に、膜欠損部1311に対して、液体材料2を用いて膜欠損部の修復を行なう。
まず、検査除去装置1100から、局所成膜装置1200に基板を移送し、図示しない吸着手段で基板1をベース上1101の所定の位置に固定する。このとき、基板1上の膜欠損部1311からの位置情報は、局所成膜装置1200に転送される。なお、図12に示したヘッド1201及び門型形状ガイド1205は、図11のヘッド1106及び門方形状ガイド1103とガイド1102を共用することにより、基板1を移動することなく検査除去処理と局所成膜処理とを行なうことができる。
まず、検査除去装置1100から、局所成膜装置1200に基板を移送し、図示しない吸着手段で基板1をベース上1101の所定の位置に固定する。このとき、基板1上の膜欠損部1311からの位置情報は、局所成膜装置1200に転送される。なお、図12に示したヘッド1201及び門型形状ガイド1205は、図11のヘッド1106及び門方形状ガイド1103とガイド1102を共用することにより、基板1を移動することなく検査除去処理と局所成膜処理とを行なうことができる。
局所成膜装置1200において、図13(c)に示すように欠損部1311に対して液体材料2を塗布する。液体材料の種類は、溶媒にAg、Au、等金属微粒子を分散させたもの透明導電材料であるITO等の微粒子を分散させたものなどを用いることが出来、修正対象の薄膜10の種類と機能に応じて液体材料2の種類を選定する。液体材料2の塗布方法はインクジェット、ディスペンサ、ピン転写等の方法を用いることが出来、塗布量、塗布精度、基板への接触の有無等によって塗布方法を選択する。欠損部1311に液体材料2を塗布した後、液体材料2からは溶媒3の蒸発が始まり、乾燥か進行する。液体材料2塗布後、30秒以内に図13(d)に示すように、乾燥装置1203を液体材料2に対向する位置に配置する。乾燥装置1203は前記実施例1から8に示す構造のいずれかを選択する。液体材料2と乾燥装置1203における溶媒保持面14と基板1の間は、3〜4mmの距離離す。液体材料2の溶媒が蒸発し、乾燥するまで1〜5分程この状態を維持する。次に、乾燥が終了した後、図13(e)に示すように液体材料2から溶媒が蒸発した溶質薄膜1312に対して加熱手段1204により溶質薄膜1312を含む局所領域に対して加熱処理を行ない、所定の機能を有する薄膜に変換する。
加熱方法としては、空気、窒素などの加熱気体を吹付ける方法、レーザ光線照射による方法等を用いることが出来る。加熱温度、基板の材質、耐熱性、加熱面積などを考慮して加熱方法を選択する。
上記プロセスによって異物欠陥を除去した後の局所への液体材料2の塗布と乾燥制御手段によって欠陥修正箇所の平坦性を確保した局所成膜が可能となり、品質の良好な修正を行なうことが可能となる。
本実施例に拠れば、実施例1〜7に示した乾燥手段を用いることによりコーヒーステイン現象が抑制され、高品質の欠陥修正装置を提供できる。
1…基板、2…液体材料、3、13…溶媒、4…蒸発量、5…液膜周辺部、6…液体材料の流れ、10…薄膜、11…欠損部、12,40,50、60,80,90,100、1203…乾燥装置、14…溶媒保持面、15…溶媒蒸気雰囲気、16…溶媒液膜、22…成膜、23…成膜端部、42、63…溶媒の流路、43、62、92…溶媒タンク、44…圧力制御手段、51…撥液部、52…親液部、66…液滴、81、91…多孔質材、93…多孔質体、102…ヒータ、200、1101…試料台、1100…検査除去装置、1102…ガイド、1103、1205…門型形状ガイド、1104…検査手段、1105…異物除去手段、1200…局所成膜装置、1201…ヘッド、1202…塗布手段、1204…加熱手段。
Claims (14)
- 溶質が溶媒に含まれた液体材料が塗布された基板を載せるための試料台と、前記液体材料が塗布された部分を覆うように対向して配置される、前記溶媒と同種の溶媒を保持するための溶媒保持面とを有することを特徴とする乾燥装置。
- 請求項1記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面に保持される溶媒は、前記基板に塗布される液体材料中の溶媒と同一であることを特徴とする乾燥装置。 - 溶質が溶媒に含まれた液体材料が塗布された基板を載せるための試料台と、前記液体材料が塗布された部分を覆うように対向して配置される、前記溶媒と同種の溶媒を保持するための溶媒保持面と前記溶媒保持面へ前記溶媒と同種の溶媒を供給するための溶媒タンクとを有することを特徴とする乾燥装置。
- 請求項3記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面は、
前記溶媒保持面の表面エネルギー>前記溶媒と同種の溶媒の表面エネルギー
の関係を満たす部分で覆われていることを特徴とする乾燥装置。 - 請求項3記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面は、
前記溶媒保持面の表面エネルギー>前記溶媒と同種の溶媒の表面エネルギー
前記溶媒保持面の表面エネルギー<前記溶媒と同種の溶媒の表面エネルギー
の関係を満たす部分を有することを特徴とする乾燥装置。 - 請求項3記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面は、
前記溶媒保持面の表面エネルギー<前記溶媒と同種の溶媒の表面エネルギー
の関係にあり、かつ、複数の孔を有することを特徴とする乾燥装置。 - 請求項3記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面は、多孔質材料で主に構成されていることを特徴とする乾燥装置。 - 請求項7記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面と前記溶媒タンクとは前記多孔質材で連結され、前記溶媒タンクから前記溶媒保持面へは毛細管現象にて前記溶媒と同種の溶媒が供給されることを特徴とする乾燥装置。 - 請求項3記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面は前記溶媒と同種の溶媒に対して耐性のある繊維で作られた布で主に構成することを特徴とする乾燥装置。 - 請求項9記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面と前記溶媒タンクとは前記布で連結され、前記溶媒タンクから前記溶媒保持面へは毛細管現象にて前記溶媒と同種の溶媒が供給されることを特徴とする乾燥装置。 - 請求項3記載の乾燥装置において、
前記溶媒保持面の温度を制御するための温度制御手段を有することを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1乃至11記載の乾燥装置を用い、溶質が溶媒に含まれた液体材料が塗布された基板を試料台に載せる工程と、前記溶媒と同種の溶媒が保持された前記溶媒保持面と、前記基板とを対向させる工程と、前記基板から溶媒を蒸発させて乾燥する工程とを有することを特徴とする乾燥方法。
- 溶質が溶媒に含まれた液体材料を基板へ塗布する工程と、その後請求項1乃至11記載の乾燥装置を用い、液体が塗布された基板を試料台に載せる工程と、前記溶媒と同種の溶媒が保持された前記溶媒保持面と、前記基板とを対向させる工程と、前記基板から溶媒を蒸発させて乾燥する工程とを有することを特徴とする成膜方法。
- 欠陥修正材料となる、溶質が溶媒に含まれた液体材料を用いて欠け欠陥を修正する欠陥修正装置であって、被修正基板を載せる試料台と、前記被修正基板上の欠陥検査部と、前記欠陥検査部で見出された欠陥部分に前記液体材料を塗布する塗布部と、請求項1乃至11記載の乾燥装置とを有することを特徴とする欠陥修正装置。
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JP2009023495A JP2010181536A (ja) | 2009-02-04 | 2009-02-04 | 乾燥装置及びそれを用いた乾燥方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2009
- 2009-02-04 JP JP2009023495A patent/JP2010181536A/ja active Pending
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