JP3177680U - 薄膜形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上に薄膜を、インクジェット方式によって、成膜した場合、膜厚変動を抑え、材料使用効率と生産タクトの向上を図り、環境を配慮した薄膜形成装置を提供する。
【解決手段】複数のノズル9を搭載した、単一若しくは複数のインクジェット・ヘッド2が配置されたヘッド支持構造体5と面方向に相対的な移動を可能とする基板搬送機構50とで構成された薄膜形成装置を用いる。基板搬送テーブル8と、基板1に噴射塗布を行う部分とを噴射塗布成膜室としての真空槽14で閉じ、真空ポンプによる減圧環境下で、インクジェット方式により成膜することで、膜厚変動の少ない薄膜を得る。所要に応じて、圧力調整予備室を設けて、減圧環境を作り、さらに排気系統に揮発性有機溶剤の回収装置を設けてもよい。特に配向膜の成膜に適している。
【選択図】図1

Description

この考案は、インクジェット・ヘッドを用いて基板上に噴射塗布成膜する装置および方法に関する。
各種の表示素子や半導体装置などでは、色々の種類の薄膜が用いられて構成されている。これらの薄膜のうち、以下、液晶表示素子における配向膜を一例に挙げて説明する。
薄型軽量、低消費電力という商品として大きな長所を持つ液晶表示装置は、携帯電話、パーソナルコンピュータ、最近では薄型テレビの主流として大きな発展を遂げている。液晶表示素子は、電極が形成された二枚の基板の間に液晶組成物を挟持し、両者の電極間での電圧印加により、液晶が捩れた分子配列を起し、光を直進させたり、遮ったりする現象を利用し、偏光板との組合せにより、画像を表示している。この動作の際、配向膜は、液晶が分子配列の変化を生じるためのトリガの役割をする。すなわち、液晶分子にプレチルト角(液晶分子の分子軸と配向膜表面とのなす角)を予め与える際、配向膜の薄膜表面が重要な役割をもち、薄膜形成後、布などで軽く摩擦すること(ラビング処理)によって、両電極間に電圧を印加すれば、一定方向の液晶の分子配列が実現する。均一な表示をする上でも、配向膜の役割は重要で、膜厚や組成の均一性が要求されている。また、液晶の分子配列の状況は、明るさや視野角等の表示性能と深い関係があり、これらの特性改善のために、横電界方式配向(IPS)や垂直配向(VA)が提案され、それに応じた配向膜材料が開発され、これを薄く、均一に成膜することが重要な課題となっている。
従来、液晶表示素子における配向膜の形成は、オフセット印刷(フレキソ印刷)による方法が殆どであった。この方法は、図17に示すように、まず、アニロックスローラ37上に注入ノズル38を介して、配向膜材料、例えばポリイミドを滴下し、ドクターローラ39をアニロックスローラ37に押し付けることによって、滴下されたポリイミドの厚さが均一になるように伸ばしている。そしてこの均一になるように伸ばされたポリイミド膜を版胴40上に設けられた印刷版41上に転写し、さらにこれを基板1の表面に転写し、乾燥、焼成を経て、液晶表示素子の配向膜44ができあがる(特許文献1)。
最近、液晶表示素子を製造する基板の大型化や配向膜材料の節約動向に対して、配向膜溶液をノズルから噴射して、基板の表面に塗布し、これを展開し、乾燥、焼成というプロセスを経て配向膜を形成する方法がある。いわゆるインクジェット方式の配向膜形成装置である(特許文献2)。
この方法は図18に示すように、基板1を搬送する搬送テーブル8を有しており、この搬送テーブル8の上方には、複数のノズル9を有したインクジェット・ヘッド2が複数用意され、基板1の搬送方向とほぼ直交する方向に沿って設置されている。インクジェット・ヘッド2および搬送テーブル8は、演算装置4で、お互いに関係付けながら制御される。各インクジェット・ヘッド2には、供給管12を介して接続された配向膜溶液を入れた溶液タンク11から溶液が供給される。それから、所定方向に所定の速度で搬送される基板1の上面に各ノズル9から噴射された溶液が球形のドットとして、基板1上に塗布され、これを展開、乾燥、焼成して配向膜44ができあがる。また、成膜の過程で、基板1が固定され、インクジェット・ヘッド2が移動する場合もある。
一方、インクジェット方式で形成するドットに関しては、その厚みは位置ずれなどについての制御方法が提案されている(特許文献3)。
特開昭54−21862号公報 特開2003−80130号公報 特開2005−721号公報
オフセット印刷(フレキソ印刷)によって配向膜を形成する方法は、印刷版上に一様に塗布された配向膜溶液を基板表面に転写することにより形成するため、膜厚の均一性は良い。しかし、ドクターローラとアニロックスローラに配向膜溶液を塗布する必要があるため、この部分に材料が滞留し、最終的には廃棄になるため、材料の使用効率が低いという課題がある。また、最近の基板大型化にともない、装置が設置されるクリーンルーム内では、重量物である版胴の交換が容易でないという課題もある。
このような背景から登場した、複数のインクジェット・ヘッドを用いた非接触方式の配向膜形成方法においては、材料の使用効率や版替えに関する課題は解決されている。しかしながら、従来の非接触方式の配向膜形成方法は、常圧すなわち大気圧下で行われている。そして、この従来方法では、ノズルから噴射塗布される配向膜溶液の液滴は、極めて微量(現状のインクジェット・ヘッドにおける1ノズルの液滴量は5〜80ピコリットル程度)であるため、液滴量が、ノズルの加工誤差、駆動回路の抵抗変動誤差、インクジェット・ヘッドに接続された溶液の供給管の接続位置や長さ等の変動によって、大きな影響を受け、基板塗布後の膜厚変動の要因になる。
また、前述したような極微量の液滴では、当然、体積も小さく、噴射後の液滴の飛行軌跡が周囲雰囲気の気流の影響を受け易く、基板への着弾位置のばらつきに直結する。このため、現状では、インクジェット・ヘッドと基板との間隔(ギャップ)を出来るだけ狭くして、噴射時の運動エネルギが減衰しない領域で対応している。着弾の位置精度という視点からは改善されるが、大型の基板に対するギャップに裕度がなくなり、結果として、基板上に形成される配向膜の膜厚変動の要因となる。
次に、着弾位置精度はインクジェット・ヘッドと基板との相対移動速度(インクジェット・ヘッドが固定の場合には基板の搬送速度)が変動した場合や、一定であってもノズルの噴射タイミングがずれた場合にも、最終的な膜厚変動の要因となる。フレキソ印刷の場合には、版胴の回転速度のみが影響因子であるが、膜厚変動は、無視できるほど小さい。インクジェット・ヘッドを用いた非接触形成法は基板上にドットという点を塗布し、これを拡散展開して配向膜という面を作る手法であるため、このドットの位置ずれは、膜厚変動の大きな要因となり、ドットの離し方、重なり方、タイミングのずらし方等の制御方法で対処しているのが現状である(特許文献3)。
次に、材料面から見て、インクジェット法なるが故の課題について説明する。インクジェット法のキーデバイスであるインクジェット・ヘッドは、一例を図19に示すような構造をしており、半導体と同様な微細プロセスによって作られている。ヘッドの主要な部分は圧電素子をベースにした駆動部(圧電素子駆動回路)42とノズル9である。全体が微細な流路をなしており、この流路43を溶液が円滑に移動するためには、流体の特性として、粘度の制約がある。また、ノズルから液滴として噴射するためには、表面張力の制約がある。現状のインクジェット・ヘッドの実力値では、粘度が1〜15mPa・s程度、表面張力としては、25〜45mN/m程度である。配向膜の場合、一例を挙げると、主成分であるポリイミドは、非常に安定な高分子材料であるため、溶解し難く、溶剤として、γブチルラクトンやN−メチルピロリドンあるいはブチルセルソルブ等を大量に用い、低粘度で噴射塗布をする。このような溶液が基板上に着弾すると、これらの溶剤の蒸発と流体としての拡散展開が同時に起り、最終的に半乾燥の状態になったところで物質の移動は止まる。この移動の過程は、非常に複雑で、一概に表現することができないが、この移動の過程で、相対的に比重が大きいポリイミドの分子は、拡散端部に置かれ、この部分が図20に模式的に示すように膜厚が非常に大きくなる。ドット単位でもこのような挙動になるが、全面に塗布した場合には、図21に示すように、端部が円弧状の線のつながりで形成され、端部が飛び抜けて膜厚が大きくなる。これは‘コーヒーステイン(Coffee Stain)’現象と呼ばれるもので、低粘度の溶液で時々見かける現象である。液晶表示素子の配向膜では致命的となる、解決しなければならない重要な課題である。
このような従来方法で形成された配向膜の膜厚状態を見ると、膜の厚い部分は、膜の薄い部分に対して少なくとも2倍から3倍以上の厚みとなっており、膜自体が凹凸の差の激しい膜となっている。
液晶表示素子における配向膜をインクジェット法によって形成する場合には、インクジェット・ヘッドの噴射性能を確保するために、前述のように、大量のしかも環境に対して大きな負荷となる溶剤を使う。昨年度より、我が国でも、揮発性有機化合物(VOC)の排出規制が立法化され、生産機械でも考慮しなければならない重要な課題となってきており、この対応も大きな課題である。
最後に、製造プロセスにおける生産タクトについて述べる。オフセット印刷(フレキソ印刷)では版胴の一回転で、基板一枚が転写されるため、実際の塗布時間は極めて短く、むしろ版胴交換や清掃といった段取り時間に多くを要している。これに対してインクジェット法では、ライン型のインクジェット・ヘッドを用いても一個一個のドットを並べて配向膜を形成するため、一般的には、どうしても塗布時間はかかることになる。そのため、段取り等の準備時点から乾燥に至るまでのトータル時間でオフセット印刷法に対して、同等以上に生産タクトを上げる必要がある。
この考案の第一の目的は、インクジェット・ヘッドを用いて基板上に噴射塗布成膜して薄膜を形成する場合、局部的な部分も含めて膜厚の均一性を高めることが出来る薄膜形成装置及びその方法を提供することにある。
この考案の第二の目的は、薄膜形成用の溶液材料の使用効率をあげることが出来る薄膜形成装置及びその方法を提供することにある。
この考案の第三の目的は、段取り時間の低減も含めた生産タクトの向上、その上、環境への配慮もした薄膜形成装置及びその方法を提供することにある。
このため、請求項1および11の考案は、一定間隔で配列された複数のノズルをそれぞれ有する、単一若しくは複数のインクジェット・ヘッドを備えるヘッド支持構造体と、これらノズルの配列方向と直交する方向に、これらノズルとの間で、相対的に移動できる基板搬送テーブルを有する基板搬送機構とを含み、これらノズルから薄膜形成用溶液を基板搬送テーブルに搭載された基板の表面上に噴射して塗布して薄膜を形成する非接触方式の薄膜形成装置およびこの装置を用いて薄膜を形成する方法に関するものであって、以下の構成に特徴を有する。すなわち、この薄膜形成装置に、少なくとも基板搬送テーブル、インクジェット・ヘッド、およびヘッド支持構造体を内部に含む真空槽と、この真空槽の内部を減圧にする減圧手段とを設ける。この真空槽は、噴射塗布成膜室である。この減圧手段によって、噴射塗布成膜室内において減圧雰囲気下で基板表面に噴射塗布成膜を行う。
また、請求項2および11の考案によれば、基板搬送テーブルに温度調節部を設けて、これにより基板搬送テーブルの温度調節を行って基板の温度を制御する構成を特徴とする。
また、請求項3および11の考案によれば、噴射塗布成膜室の前段及び後段のいずれか一方もしくは双方に、基板搬送テーブルを有する基板搬送機構を含む圧力調整予備室を設け、圧力調整予備室と噴射塗布成膜室との間での基板の搬入または搬出のために、圧力調整予備室に対して予備的に圧力調整を行う構成を特徴とする。
また、請求項4および11の考案によれば、圧力調整予備室の基板搬送機構および噴射塗布成膜室の基板搬送機構には、基板共通搬送駆動系をそれぞれ設けると共に、圧力調整予備室と噴射塗布成膜室との間に、ゲートバルブを設け、このゲートバルブを、それぞれの基板共通搬送駆動系間で基板の受け渡しを連携して行えるタイミングで開閉する構成を特徴とする。
また、請求項5および11の考案によれば、減圧手段を、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記噴射塗布成膜室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成し、真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、噴射塗布成薄室内に蒸発した汚染物質の回収装置を取付け、この回収装置により、噴射塗布成膜中に発生する汚染物質を回収する構成を特徴とする。
また、同様に、請求項6および11の考案によれば、減圧手段を、真空ポンプと、真空ポンプおよび噴射塗布成膜室の後段に設けられている圧力調整予備室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成し、真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、圧力調整予備室内に蒸発した汚染物質の回収装置を取付け、この回収装置により、汚染物質を回収する構成を特徴とする。
また、請求項7および11の考案によれば、噴射塗布成膜室の前段に設けられている圧力調整予備室に、噴射塗布成膜される基板の表面を改質するための表面改質手段を設け、この表面改質手段によって、基板表面の改質を行う構成を特徴とする。
請求項8および11の考案によれば、インクジェット・ヘッドの斜め上方から、基板に接地した薄膜形成用溶液の液滴に対し、レーザ照射するレーザ照射手段を設け、基板に接地した液滴にレーザ照射する構成を特徴とする。
請求項9および11の考案によれば、複数のノズルから噴射されて空中飛行している薄膜形成用溶液の液滴に対して、横方向からレーザ照射するレーザ照射手段を設け、この飛行中の液滴に横方向からレーザ照射することを特徴としている。
請求項10および11の考案によれば、以上述べてきた薄膜を液晶表示素子の配向膜として形成した場合の液晶表示素子に関する。
即ち、
(1)
一定間隔で配列された複数のノズルをそれぞれ有する、単一若しくは複数のインクジェット・ヘッドを備えるヘッド支持構造体と、複数の該ノズルの配列方向と直交する方向に、複数の該ノズルとの間で、相対的に移動できる基板搬送テーブルを有する基板搬送機構とを含み、複数の前記ノズルから薄膜形成用溶液を前記基板搬送テーブルに搭載された基板の表面上に噴射して塗布して薄膜を形成する非接触方式の薄膜形成装置において、
少なくとも前記基板搬送テーブル、インクジェット・ヘッド、および前記ヘッド支持構造体を内部に含む噴射塗布成膜室としての真空槽と、減圧雰囲気下で噴射塗布成膜を行うために前記真空槽の内部を減圧にする減圧手段とを備えることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(2)
(1)に記載の薄膜形成装置において、
前記基板搬送テーブルは、該基板搬送テーブルの温度調節を行って前記基板の温度を制御するための温度調節部を含んでいることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(3)
(1)又は(2)に記載の薄膜形成装置において、
前記噴射塗布成膜室の前段及び後段のいずれか一方もしくは双方に、基板搬送テーブルを有する基板搬送機構を含む圧力調整予備室を設けてあることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(4)
(3)に記載の薄膜形成装置において、
前記圧力調整予備室の基板搬送機構および前記噴射塗布成膜室の基板搬送機構は、基板共通搬送駆動系をそれぞれ有しており、
前記圧力調整予備室と前記噴射塗布成膜室との間に、それぞれの基板共通搬送駆動系間で基板の受け渡しを連携して行えるタイミングで開閉するゲートバルブを具えていることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(5)
(1)または(2)に記載の薄膜形成装置において、
前記減圧手段は、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記噴射塗布成膜室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成されており、
前記真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、前記噴射塗布成膜室内に蒸発した汚染物質の回収装置を取付けてあることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(6)
(3)または(4)に記載の薄膜形成装置において、
前記減圧手段は、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記圧力調整予備室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成されており、
前記真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、前記圧力調整予備室内に蒸発した汚染物質の回収装置を取付けてあることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(7)
(3)または(4)に記載の薄膜形成装置において、
前記噴射塗布成膜室の前段に設けられている前記圧力調整予備室は、噴射塗布成膜される基板の表面を改質するための表面改質手段を具えていることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(8)
(1)から(7)のいずれかに記載の薄膜形成装置において、
前記インクジェット・ヘッドの斜め上方から、前記基板に接地した薄膜形成用溶液の液滴に対し、レーザ照射するレーザ照射手段を具えることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(9)
(1)から(7)のいずれかに記載の薄膜形成装置において、
複数の前記ノズルから噴射されて空中飛行している薄膜形成用溶液の液滴に対して、横方向からレーザ照射するレーザ照射手段を具えることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(10)
(1)〜(9)のいずれかに記載の薄膜形成装置において、
前記薄膜を液晶表示素子の配向膜とすることを特徴とする薄膜形成装置の構成とした。
(11)
一定間隔で配列された複数のノズルをそれぞれ有する、単一若しくは複数のインクジェット・ヘッドを備えるヘッド支持構造体と、複数の該ノズルの配列方向に直交する方向に、複数の該ノズルとの間で、相対的に移動できる基板搬送テーブルを有する基板搬送機構とを含み、複数の前記ノズルから薄膜形成用溶液を前記基板搬送テーブルに搭載された基板の表面上に噴射して塗布して薄膜を形成する非接触方式の薄膜形成装置を用いて、
薄膜を形成するにあたり、
基板搬送テーブルと、前記インクジェット・ヘッドと、前記ヘッド支持構造体とを噴射塗布成膜室としての真空槽で囲み、前記基板上に、減圧雰囲気下で、噴射塗布成膜を行って形成した薄膜、
又は、
前記噴射塗布成膜を、基板搬送テーブルの温度調節を行って前記基板の温度を制御しながら行って形成した薄膜、
又は、
前記噴射塗布成膜室の前段及び後段のいずれか一方若しくは双方に圧力調整予備室を設け、該圧力調整予備室と前記噴射塗布成膜室との間での基板の搬入または搬出のために、該圧力調整予備室に対して予備的に圧力調整を行って形成した薄膜、
又は
前記圧力調整予備室と前記噴射塗布成膜室との間にゲートバルブを設け、前記圧力調整予備室の基板搬送機構および前記噴射塗布成膜室の基板搬送機構のそれぞれに、基板共通搬送駆動系を設け、それぞれの基板共通搬送駆動系間で基板の受け渡しを連携して行えるタイミングで前記ゲートバルブを開閉して形成した薄膜、
又は
前記減圧手段を、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記噴射塗布成膜室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成し、前記真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、前記噴射塗布成膜室内に蒸発した汚染物質の回収装置を設けて、該回収装置により、噴射塗布成膜中に発生する前記汚染物質を回収して形成した薄膜、
又は
前記減圧手段を、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記圧力調整予備室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成し、前記真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、回収装置を設けて、該回収装置により、該圧力調整予備室内に蒸発した汚染物質を回収して形成した薄膜、
又は
前記噴射塗布成膜室の前段に設けられている前記圧力調整予備室内で、表面改質手段を用いて、噴射塗布成膜される基板の表面に対し、表面改質処理を行って形成した薄膜、
又は、
前記インクジェット・ヘッドの斜め上方から、前記基板に接地した薄膜形成用溶液の液滴に対し、レーザ照射して形成した薄膜、
又は、
複数の前記ノズルから噴射されて空中飛行している薄膜形成用溶液の液滴に対して、横方向からレーザ照射して形成した薄膜、
を用いて作られたことを特徴とする液晶表示素子の構成とした。
請求項1または11の考案の構成によれば、少なくとも基板搬送テーブルと、該基板に噴射塗布を行う部分を構成するインクジェット・ヘッドおよびヘッド支持構造体とを内部に含んでいて、減圧雰囲気下で噴射塗布成膜を行うための噴射塗布成膜室としての真空槽を備えた構成にしたので、減圧状態を調整することにより薄膜形成溶液例えば配向膜溶液を構成している溶剤の蒸発温度の制御が可能となる。その結果、蒸発に伴う溶液中の固形分の流動を制御することができるので、大気圧で成膜する場合よりも、膜厚分布を均一化できる。
したがって、請求項1または11の考案は、薄膜形成の際、従来のオフセット印刷(フレキソ印刷)に比べ大型の基板に好適であるばかりでなく、基板上に形成される薄膜の膜厚分布を基板全体で、大気圧で成膜する場合よりも、均一にできる。とくに、塗布領域の端部に起こる盛り上がりを、大気圧で成膜する場合よりも、防止できる。
さらに、薄膜形成用の膜材料の使用効率の大幅な向上、段取り時間の低減も含めた生産タクトの向上が実現できる。
また、請求項2または11の考案の構成によれば、減圧雰囲気下で噴射塗布成膜を行うための噴射塗布成膜室として真空槽を備え、基板搬送テーブルに温度調節部を設けて基板温度の制御を行う構成としたので、減圧状態の調整によって薄膜形成用溶液例えば配向膜溶液を構成している溶剤の蒸発温度の制御が可能になることに加えて、基板温度の調整により基板表面における溶液の拡散を制御することが可能になる。その結果、溶液中の固形分の流動をさらに精密に制御することができるので、膜厚精度をさらに向上させることができる。
さらに、請求項3または11の考案によれば、前段に圧力調整予備室を設けた構成とすることにより、大気中にある基板を、圧力調整予備室に搬入し、内部の圧力が噴射塗布成膜室と等しくなるまで圧力調整予備室を減圧した後、基板を噴射塗布成膜室に搬入することが可能になる。その結果、厳密な圧力の制御が必要な噴射塗布成膜室の真空槽の圧力を変動させることが不要になる。また、厳密な圧力の制御が必要なため、圧力調整予備室よりも時間を要する噴射塗布成膜室の真空槽の減圧時間を短縮することができる。また、圧力調整予備室の容積を噴射塗布成膜室の真空槽よりも小さくすることにより、減圧時間を短縮することができる。これにより、生産能率を向上させることができる。
また、後段に圧力調整予備室を設けた構成とすることにより、
噴射塗布成膜室にある基板を、噴射塗布成膜室と等しい圧力まで減圧した圧力調整予備室に搬出した後、圧力調整予備室を大気解放して、基板を搬出することが可能になる。その結果、上記と同様に、厳密な圧力の制御が必要な噴射塗布成膜室の真空槽の圧力を変動させることが不要になる。また、厳密な圧力の制御が必要なため、圧力調整予備室よりも時間を要する噴射塗布成膜室の真空槽の減圧時間を短縮することができる。また、圧力調整予備室の容積を噴射塗布成膜室の真空槽よりも小さく設計することにより、減圧時間を短縮することができる。これにより、生産能率をさらに向上させることができる。
また、前段、後段に圧力調整予備室を設けた構成とすることにより、上記の作用、効果があることに加えて、基板の搬入、搬出のタイミングチャートを適切に設定することにより、常に噴射塗布成膜室に基板を配置しておくことができる。その結果、常に基板の塗布を行うことができるので、生産能率を向上させることができる。
また、請求項4または11の考案の構成によれば、ゲートバルブの開閉により、圧力予備室と噴射塗布成膜室の圧力調整を独立に行うことが可能になる。また、圧力調整予備室と噴射塗布成膜室の間の基板搬送を、それぞれの基板共通搬送駆動系を連携させるように各室の圧力状態を考慮したタイミングチャートにしたがって、自動的に行うことが可能になる。
請求項5、6、11の考案の構成によれば、回収装置により、汚染物質、例えば、外部から侵入する不要成分とか、各室の壁から蒸発する不要成分とか、表面改質の際に発生するガス成分とか、配向膜溶液が固化して配向膜を形成する際に蒸発した溶剤成分とかを吸着すること、あるいは、分解することができる。したがって、揮発性有機化合物(VOC)の排出を極力低減できるので、VOC規制等に対応できる環境対策上有益である。
請求項7または11の考案の構成によれば、基板表面を表面改質することにより、基板の表面に付着した化学物質が分解し清浄化される。また、基板の表面エネルギーが変化し、濡れ性などの表面特性が改善される。この表面改質処理を、例えば、紫外線照射手段によって基板表面に紫外線を当てて表面の励起処理を行うのが好適である。
請求項8、9、11の考案の構成によれば、いずれも、レーザの照射により、薄膜形成用溶液例えば配向膜溶液の液滴の急速な温度上昇、あるいは、化学変化を生じさせることが可能になり、溶剤の蒸発を加速することができる。これにより、液滴の拡散状態を制御することが可能になる。
請求項10または11の考案の構成によれば、このような薄膜形成装置を用いて配向膜を形成することにより、液滴のコーヒーステイン現象などによる配向膜材料の偏在による凹凸を抑制し、配向膜の膜厚を均一にすることができる。これにより、配向膜の膜厚の不均一に起因した画面の濃淡や筋のない液晶表示素子を製造することができる。
この考案の一実施形態である減圧環境下のインクジェット方式による薄膜形成装置の構成図。 基板幅方向対応インクジェット・ヘッドの配列の説明図。 減圧環境下での液晶用配向膜の硬化後の膜厚分布測定の結果を示す図。 成膜形状パラメータの説明に供する図であって、塗布により形成される配向膜の膜厚分布を模式的に示す図。 図3に示した実験結果から得られた、減圧雰囲気が成膜形状パラメータ(te/tc)に及ぼす影響を説明するための曲線図。 減圧下での薄膜形成装置としてのインクジェット塗布装置のシステム全体の構成を概略的に示すブロック図。 減圧制御の具体的な実施形態を説明するための構成図。 この考案の一実施形態である基板温度制御、減圧環境下のインクジェット方式による薄膜形成装置の構成図。 この考案の一実施形態である薄膜形成プロセスにおける前段予備室、インクジェット方式による薄膜噴射塗布装置本体、後段予備室よりなる実際の生産ラインの構成図。 図8の実施形態における各チャンバ圧力と各ゲートバルブ動作のタイムチャート説明図。 この考案の一実施形態である薄膜形成プロセスにおける実際の簡略生産ラインの一構成例。 この考案の一実施形態である薄膜形成プロセスにおけるクリーン化を考慮した減圧環境下のインクジェット噴射塗布装置の構成図。 この考案の一実施形態である薄膜形成プロセスにおける環境対策を考慮した減圧環境下のインクジェット噴射塗布装置の構成図である。 この考案の一実施形態である薄膜形成プロセスにおける前段で基板表面改質手段を設けている減圧下のインクジェット噴射塗布装置の構成図。 この考案の一実施形態である薄膜形成プロセスにおける、レーザ走査系による溶剤蒸発促進手段を設けた減圧下のインクジェット噴射塗布装置の構成図。 この考案の一実施形態である薄膜形成プロセスにおける、レーザ走査系による薄膜液滴の溶剤蒸発促進手段を設けた減圧下のインクジェット噴射塗布装置の構成図。 従来のオフセット印刷(フレキソ印刷)法による薄膜形成装置の説明図。 従来のインクジェット法による薄膜形成装置の説明図。 インクジェット・ヘッドの構造例。 薄膜形成用の溶液1ドットの乾燥膜厚分布の説明図。 薄膜塗布基板全体の膜厚分布の説明図。
以下、図を参照しながら、この考案の実施の形態を説明する。なお、以下説明する実施の形態は、単なる好適例を説明するに過ぎず、従って、この考案は、これらの実施形態のみに何ら限定されるものではない。また、各図は、この考案を理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎない。
以下の説明では、薄膜として液晶表示素子の配向膜を一例として説明する。そのために、薄膜形成用の溶液を配向膜溶液とする。
<第1の実施形態>
まず、この考案による液晶表示素子における配向膜の形成方法における第1の実施形態につき説明する。図1(A)および1(B)は、本実施形態のインクジェット方式による配向膜の形成方法を説明するための装置の構成を示す一部分を切り欠いて示す内部の正面図および図1(A)中の矢印Aの方向から見た内部構成図(A矢視図)である。図2(A)、2(B)および2(C)は、インクジェット・ヘッドおよびノズルの説明に供する図であって、図2(A)は、ヘッド支持構造体とヘッドの関係の説明図であり、図2(B)は、図2(A)中に矢印Bで示した方向からインクジェット・ヘッドとノズルの配置関係を説明するための図(B矢視図拡大図)であり、図2(C)は、図2(B)に示した配置のノズルで溶液を噴射塗布した場合に形成される液滴の状態を示す図である。
インクジェット方式による薄膜形成装置である配向膜形成装置は、ヘッド支持構造体5と、基板搬送機構50とを備えていて、これらは、共通の台座60上に配設されている。ヘッド支持構造体5は、溶液タンク11と、これと供給管12で連通しているインクジェット・ヘッド2を備えていて、台座に設けたガイドレール52上を駆動用アクチュエータ7aで案内移動される。インクジェット・ヘッド2の先端には、ノズル9が設けられている。この図2(B)に示す構成例では、複数のヘッド2を2列互い違いに平行に配列してある。各ヘッド2の端面形状は一方の方向に長尺の長方形である。各ヘッド2の端面に、複数のノズル9が一定間隔をもって一列に配列している。したがって、一方のヘッド列のノズルは、全て同一の直線上に配列されている。他方のヘッド列のノズルは、同様に、一方のヘッド列の直線と平行な直線上に配列されている。
一方、基板搬送機構50は、距離検出手段6と、駆動用アクチュエータ7bと、基板搬送テーブル8と、ガイドレール54とを含む。ガイドレール54は、台座60に設けられていて、基板搬送テーブルは、複数のノズルの配列方向に対して直交する方向に、このレール54上を案内駆動される。
配向膜形成装置においては、機構的に基板搬送テーブル8上に、静電チャック等の保持手段10によって基板1が保持されている。基板搬送テーブル8とヘッド支持構造体5とは、互いに相対的に移動可能とされている。したがって、ヘッド支持構造体5によって拘束されたインクジェット・ヘッド2が動く場合と、インクジェット・ヘッド2が固定され、基板搬送テーブル8が動く場合とがあるが、それぞれ、長所、短所を有している。ここでは、前者について述べるが、後者の場合でも全く同様に考えることができる。
この運用について説明する。この動作は、周知の通り、従来と同様にコンピュータ(以下、単に、マイコンあるいはPCと称する。)で制御される。まず、パソコンの操作パネルなどの設定入力手段3を用いて、所定の噴射塗布間隔と塗布パターン情報(塗布開始位置と終了位置およびパターン形状)を演算装置(CPUで構成される。)4に与える。演算装置4は、予めパソコンに読み込ませておいたプログラムによる所定の制御アルゴリズムに従って、塗布開始信号を生成し、ヘッド支持構造5に供給する。
この塗布開始信号に同期して、ヘッド支持構造5が定められた速度で移動する。この移動は、厳密かつ正確に行う必要があり、基板1上に形成された位置検出マーク等で絶対位置を決定した後、リニアスケール等の距離検出手段6の検出信号を演算装置4に与え、リニアモータ等の駆動用アクチュエータ7aにフィードバックされる。また、同時に距離検出手段6にて検出した値と、従来と同様にして予め算出したインクジェット・ヘッドのノズル9の噴射すべき距離との比較を行い、一致したタイミングで塗布開始信号をインクジェット・ヘッドのノズル9に与える。配向膜溶液は、これを蓄えておく溶液タンク11から供給管12を通してインクジェット・ヘッド2に供給され、塗布開始信号によってノズル9から噴射される。以下同様な動作をインクジェットの支持構造5を移動させながら、演算装置4での算出値と距離検出手段6での検出値の比較を連続的に繰返し行い、噴射塗布することで所定の塗布間隔の図2(C)に示すようなドット群13が得られる。以上の動作制御は、従来と同様であり、しかも、当業者ならば容易に実現可能であるので、その詳細な説明は省略する。
この際、インクジェット塗布を実現する領域を真空槽14で覆い、真空ポンプ15で槽内を減圧して噴射塗布するのがこの考案の最大の特長である。そのために、少なくとも基板搬送テーブル8と、インクジェット・ヘッド2と、ヘッド支持構造体5とを真空槽14内に収容するのが好適である。当然ながら、この装置を構成する他の構成要素、例えばガイドレール52および54や距離検出手段6もこの真空槽14内に収容させてある。その他の所要の構成要素を真空槽14内に必要に応じて収容しても良い。
このように、配向膜溶液の基板表面への噴射塗布を減圧環境下で実施することにより、塗布後の拡散展開において、配向膜溶液を構成している溶剤の蒸発温度の制御が可能となる。その結果、溶液中の固形分の流動を一元化でき、膜厚分布を、大気圧で成膜する場合よりも、均一化できる。
なお、ここで減圧とは、この考案の装置が設置される装置周囲の大気圧よりも低い圧力にすることを言う。通常は、大気圧は1気圧であるので、その場合には、減圧とは1気圧よりも低い圧力すなわち真空にすることである。
ここで、配向膜形成に適用した例を以下説明する。実験は、基板としてガラス基板を用いた。このガラス基板上に直接、配向膜溶液の液滴を塗布し、10mm角の正方形塗布領域を形成した。配向膜材料として、可溶性のポリイミドを用い、溶剤として、N−メチルピロリドン(NMP)を12重量%、γプチルラクトンを38重量%、残りをブチルセルソルブとした場合の例である。この際の粘度は、約10mPa・sであり、また、表面張力は、約32mN/mであった。
図3に減圧環境下での液晶用配向膜の硬化後の膜厚分布測定の結果を示す。図3において、横軸に正方形塗布領域の中心点を通る中心軸上の一辺から対向する他方の一辺までの距離(単位:mm)をとって示してあり、縦軸に膜厚(単位:nm)をとって示してある。膜厚測定には、接触段差計(アルバック社製の商品名「DEKTAK」)を使用した。成膜は、大気中と、真空の圧力が0.5atm、0.1atm、0.01atm、0.005atm、および0.003atmの場合につき行った。但し、1atmは、1.01×10N/m(7.6×10Torr)である。
大気中で成膜した場合には、中心部の膜厚(約7nmである。)に比べて端部の膜厚が盛り上がる(150nm以上である。)、いわゆる、コーヒーステイン現象が極端に見られる。真空の圧力が0.5atm、0.1atm、0.01atm、0.005atm、および0.003atmの場合の中心部での膜厚は、それぞれ、約16nm、29nm、39nm、52nmおよび64nmであり、端部の膜厚は、それぞれ、89nm、64nm、38nm、16nmおよび0nmであった。
この実験結果から判断すると、塗布後の環境を減圧していくにつれて、端部への流体拡散は抑えられていき、端部の盛り上がりは抑えられ、その分、中心近傍の膜厚は増加する傾向にある。さらに、減圧程度を上げていくと、配向膜溶液を構成している各種の溶媒の沸点降下が加速され、蒸発が活発となる結果、溶液液滴の着弾位置からの流体拡散が抑制され、端部の膜厚よりも中心部近傍の膜厚の方が大きくなるという逆転現象が見られる。そして、さらに減圧程度を上げると、着弾点から、ほとんど流体拡散を見せずに、その場で乾燥固化する様子が見受けられる。
図4は、成膜形状パラメータの説明に供する図であって、塗布により形成される配向膜の膜厚分布を模式的に示す図である。横軸に正方形塗布領域の中心を通る中心線上の位置座標を任意の単位(無記名)で示してあり、縦軸に膜厚を任意の単位(無記名)で示してある。図4中、記号tcは、中心部、ここでは着弾位置近傍の膜厚を表し、記号teは、流体拡散端での膜厚を表すものとする。ここでは、te/tcを成膜形状パラメータと呼ぶことにして、以下、このパラメータについて考察する。
常温常圧下では、このパラメータの値は3〜10となり、一方、減圧程度を上げる、すなわち真空度を上げれば上げるほど、拡散が不活発になり、この値は限りなく0に近くなる。このパラメータの値が1に近くなれば、中心部と端部との間の中間部における領域では膜厚に若干の凹凸はあるにせよ、常温常圧下の場合よりも、より平坦な膜厚分布が得られ、良好な配向膜が得られる。また、この値が1より小さな領域では、薄膜領域が繋がらない恐れが出てきて、大面積の薄膜形成には不適であり、このパラメータの値1の近傍が減圧程度の下限値を示すと考えてよい。
図5は、図3に示した実験結果から得られた、減圧雰囲気が成膜形状パラメータ(te/tc)に及ぼす影響を説明するための曲線図である。図5において、横軸に圧力レベル(単位:atm)を採って対数表示で示してあり、縦軸は、成膜形状パラメータ(te/tc)をとって示してある。真空の圧力が0.5atm、0.1atm、0.01atm、0.005atm、および0.003atmの場合のパラメータ値は、それぞれ、4.7、2.5、1、0.3、0.2程度の値である。この実験結果から、真空の圧力が0.01atm(1.01×10N/m)程度で、パラメータ値がほぼ1になり、これより真空度が上がると、中心部で膜厚が大となり、端部で膜厚が極端に薄くなるか成膜されないので、基板面全体にわたって連続膜にならない場合がでてくる。
配向膜の場合、インクジェットによる成膜では、粘度、表面張力等の安定吐出の条件が一意的に決まり、溶媒の成分も一意的に決定されるため、0.01atmというこの下限値は大きく変動しない。この近傍の圧力値に制御することにより全体の膜厚のバラツキを±5%以内に抑えることが出来た。
以上の実験結果を考慮すると、噴射塗布による成膜の真空度の条件として、成膜形状パラメータの値を3より小さくかつ1以上とするような圧力範囲とすることにより、大気圧中で成膜する場合よりも、より均一な膜厚分布の膜を成膜することができることが理解できる。成膜形状パラメータ値が1またはその近傍値であると、多少の凹凸はあるが、中心部から端部にわたって、さらに均一な膜厚の膜として成膜できることが理解できる。
次に、図6を参照して、減圧下での薄膜形成装置としてのインクジェット塗布装置のシステム全体の構成につき簡単に説明する。このシステムは、従来のインクジェット塗布装置と同様なXYステージ位置決め部70、インクジェット・ヘッド位置決め部72、インクジェット・ヘッド制御系74、基板/ヘッドアライメント補正用光学系76、操作盤78、およびパーソナルコンピュータ(PC或はパソコンとも称し、当然ながら、表示部や、キーボードその他の入力手段を備えている(図1の設定制御入力手段3に対応する)。)80を備えた構成であるが、この考案では、それらに加えて、新たに減圧システム82を装備してある。各部分70、72、74、76、78は、パソコン80に格納されている所要のプログラムの制御アルゴリズムに従って、駆動制御される。この点に関しては、従来周知であり、当業者も実施できるので、詳細な説明は省略する。なお、図6に、パソコン80によりプログラムを実行することによって実現する機能手段として、位置決め制御手段92、ヘッド制御手段94、画像処理部を含むアライメント制御手段96などの制御をコントロールする駆動制御手段90と、さらに、減圧システム82の制御を行う圧力調整手段98とを示してある。この駆動制御手段90および圧力調整手段98は、図1の演算装置4に対応する。
以下、図1(A)および1(B)と図6を参照して、このシステムの動作制御について説明する。
図6に示すシステムは、設定入力手段3と演算装置4を兼ねたパソコン80により、位置決め系、インクジェット・ヘッド制御系、アライメント補正用光学系、減圧システムをコントロールする。基板1のセッティングに関しては、基本的に人手で行う。大気中でゲートバルブ102を開口して、基板1を基板搬送テーブル8にセットし、再びゲートバルブ102を閉口して、噴射塗布室の真空槽14を密閉することにより、基板1のセッティングが完了する。
基板1のセッティング完了後、操作盤78の運転開始スイッチ(1)を押す。運転開始信号がパソコン80へ入力され、この信号により、予め定められた制御アルゴリズムにしたがって装置が動作する。
まず、減圧用ポンプのスイッチをON(動作状態)にする信号がパソコンから出力され、減圧用真空ポンプ84が起動する。これによって、真空槽14内の圧力が低下し始める。真空槽14内には圧力センサ86が設けてあり、このセンサの出力信号はパソコン80へ入力されて、常時、圧力がモニタされている。パソコンの演算装置4は、圧力調整手段98において、この圧力センサ86の圧力値を予め基準値としてメモリ(図示せず)に登録してある設定値と比較し、その比較に基づいて真空槽14に設けた圧力調整弁88に指令を送り、開度を調整する。すなわち、真空槽14内の圧力が設定値より高い場合には、圧力調整弁の開度を小さくして減圧を進行させ、真空槽内の圧力が設定値より低くなった場合には、開度を大きくして、減圧の程度を緩和する。このような制御により、真空槽14内を一定の減圧環境にする。
上述した減圧制御の具体的な実施例につき、図1(A)および(B)と、図6と、図7を参照して説明する。
真空シールを施した減圧室、すなわち真空槽で形成される噴射塗布成膜室14内に圧力センサ(例えばキーエンス社製の耐環境小型圧力センサ負圧型:商品名AP−51A)86を設置する。減圧室14の圧力は、減圧用真空ポンプ84(図1の真空ポンプ15に対応する。)で真空引きを行う。減圧室14の真空シールが万全でリークが少ない場合には、どんどん減圧され、一定の圧力に制御するのが難しくなる。とくに、0.1atmや0.01atm程度の圧力レベルでは、通常の真空に至る遷移状態の領域であり、一定の圧力状態を維持するのが極めて難しい。このため、減圧用真空ポンプ84(図1の15)は、常に稼動状態にある。そこで、減圧室14と減圧用真空ポンプ84との間にバリアブルコンスタントバルブ(圧力調整弁)88を設け、ここで、微小な圧力変動に対する制御を可能としている。すなわち、リーク等の原因で、減圧室14の圧力が上がると、これを圧力センサ86で検知し、検知信号が基幹制御システムであるパソコン80に入力される。パソコン80が、この検知信号を受信すると、圧力調整手段98は、予め設定された制御アルゴリズムによってバリアブルコンダクタンスバルブ88の開口を制御する開口制御信号をモータMにフィードバックする。その結果、減圧室14の圧力は一定に保たれる。
一方、減圧室14の圧力が設定値に到達すると、これに応答して圧力調整手段98からの指令により、バリアブルコンダクタンスバルブ88が閉じ、かつ減圧用真空ポンプ84(15)との間に設けられているリーク弁106を開放して、減圧室14の圧力を設定値に維持する。このようにして、減圧レベルの遷移状態における圧力を精度良く制御できる。
このように、制御アルゴリズムは、真空槽14内が設定された圧力に到達すると、その後も常時、減圧室14内の真空度を精度良く制御しながら、次の塗布動作へ移る。
図1、図6及び図7を参照して塗布動作に関する部分を説明する。パソコン80は各駆動系の位置決め制御手段92を有しており、制御アルゴリズムにしたがった演算結果に基づいて各駆動系(70、72)のサーボアンプに座標値および移動指令を送信し、基板搬送テーブル8、インクジェット・ヘッド2を移動させる。基板/ヘッドアライメント補正用光学系76には、基板1の位置検出のためにCCDカメラが設けてあり、パソコン内部のアライメント制御手段96の画像処理部によって基板1の位置検出用のマークの座標を測定して、基板1が決められた位置に来るように基板搬送テーブル8を移動させる。基板1が塗布開始位置へ到達すると、パソコン80のヘッド制御手段94からインクジェット・ヘッド制御系74のヘッドコントローラへ塗布開始の信号を送ると同時に、基板搬送テーブル8の移動指令を発し、塗布が始まる。配向膜溶液の噴出塗布の詳細は、既に説明したので、省略する。このようなシステム構成により、減圧下でインクジェットによる塗布を行う。
配向膜溶液を基板1に噴射塗布した後は、基板1を所定の温度と時間で乾燥させ、さらに、所定の温度と時間で加熱焼成することにより、配向膜溶液中の溶剤成分を除去し、連続的な配向膜44を形成することができる。また、ヘッド支持構造体5が固定され、静電チャック等の基板保持手段10で基板1が拘束された搬送テーブル8が移動しながら、配向膜溶液を噴射塗布する場合も同様な効果がある。何れの場合にも、相対移動方向に対して直角な方向は一度に噴射塗布するほうが、何回かに分割して塗布する時間差塗布よりも配向膜の表面性状は遥かに優れているため、図2に一例を示すようなインクジェット・ヘッド2の配列方法で移動に対する幅方向の噴射を実現している。インクジェット・ヘッド2の噴射幅は有限であり、有効な噴射幅が基板1の幅方向を覆うようにノズル9を配列したインクジェット・ヘッドをヘッド支持構造体5に取付けている。
<第2の実施形態>
この考案による液晶表示素子における配向膜形成方法の第2の実施形態につき、図8を参照して説明する。第1の実施形態の説明の中でも示してきたが、液晶表示素子における配向膜はインクジェット・ヘッドのノズル9から噴射された液滴が基板1上に着弾し、ドット群13(図2(C)参照)を形成する。その後、溶液中の溶剤成分を蒸発しながら基板面に沿って拡散し、基板1とのせん断抵抗が拡散のエネルギーに打ち勝って止まる。この際、蒸発の加速は減圧で実現するが、これを厳密に制御し、その後の表面拡散を制御するためには、基板1の温度管理が必要である。
このため、図8に示すように、基板搬送テーブル8に温度調整装置16を設けてこの課題を解決している。通常、基板の拘束には、静電チャック等の基板保持手段10が採用されるため、この部分にヒータを埋め込むことは有り得ないことではないが、真空に近い減圧下で、断熱状態になることが予想されるため、真空槽14の外側から所定の温度の温水を循環させる方式が適していると考えられる。この方法でさらに膜厚精度が高い配向膜が得られる。
一方、ヒータでの基板の温度制御について、以下、簡単に説明する。
基板搬送テーブル8の温度調整装置16は、ヒータと、ヒータ電源と、温度センサと、温度コントローラから構成される(以上、図示せず)。ヒータに関しては、基板搬送テーブル8の内部にテーブル面に平行な貫通穴を設け、その貫通穴にヒータを挿入して、テーブル面を下側から加熱する。ヒータを挿入する貫通穴を複数設ける場合には、テーブル面に対して対称かつ間隔が均等になるように配置する。これにより、テーブル面の温度分布を均一化することができる。テーブルの例えば中央部に、例えば熱電対のような温度センサを設け、この出力を温度コントローラへ入力して温度をモニタする。温度コントローラはフィードバック制御により、すなわち、テーブルの温度と設定温度を比較し、その結果に基づいて、ヒータ電源の電流値の増減を行う。これにより、テーブルの温度が設定温度になるように調整する。
温水パイプを使用する場合は、上記と同様に、テーブルに貫通穴を設け、ヒータの代わりに温水パイプを挿入して、テーブルを加熱する。この場合には、ポンプを設けて、パイプ内の温水を常時循環させる。また、温水パイプの任意の箇所にパイプを加熱するパイプ加熱用ヒータを設けて、温水の温度を調整する。制御方法は、上記の場合と同様に、テーブルの任意の箇所に設けた温度センサの出力をモニタし、この温度と設定温度の比較結果に基づいて、温度コントローラがパイプ加熱用ヒータの電流値を制御し、テーブルの温度が設定温度になるように調整する。
<第3の実施形態>
この考案による第3の実施形態を、図9を参照して、説明する。インクジェット方式による液滴噴射塗布から配向膜を減圧雰囲気下で形成する場合、最も懸念される事項は生産能率である。従来のオフセット印刷(フレキソ印刷)による方法では、大気中でのプロセスである上、版胴の一回転によって基板上に転写するため、処理速度が高く、これに対応するためには、インクジェット・ヘッドの噴射速度を上げるばかりではなく、すばやく所定の減圧条件を作ることが必要である。そのためには、基板1に噴射塗布をする噴射塗布成膜室としての本体装置17の前段に、圧力調整予備室としての減圧予備室18を、また、後段に、圧力調整予備室としての後段予備室19を備えることで対応できる。まず、大気中で搬送されてきた基板1を、最初のゲートバルブ20を開け、前段の減圧予備室18に搬入する。この部屋は基板1一枚分の容積を持ち、ゲートバルブ20を閉め、ここでひとまず、前段予備室用の真空ポンプ21により所定の圧力まで下げる。また、前段予備室18には次の基板搬入に対応し、直ぐに大気圧に戻せるように、リークバルブ22も設けられている。本体装置17は常に専用の真空ポンプ15で所定の圧力まで下げてあり、前段予備室18の圧力が本体装置17の圧力にまで下がったところで、両装置を仕切っている二番目のゲートバルブ23を開け、基板1を前段予備室18から本体装置17に搬入する。搬入完了後、ゲートバルブ23を閉じ、基板1を位置合せした後、インクジェット噴射塗布を行う。塗布完了後、今度は本体装置17と後段予備室19の間を仕切っている三番目のゲートバルブ24を開け、基板1を後段予備室19へ移送後、閉める。それから、後段予備室用のリークバルブ25を開け、大気の状態にして四番目のゲートバルブ26を開けて通常の搬送に戻すことで一連の動作が終了する。
また、後段予備室には次の基板に対応できるように、専用の真空ポンプ27が設置されている。これら四つのゲートバルブ20、23、24および26の開閉、さらに前段予備室18、本体17、後段予備室19における圧力動作について図10にタイムチャートとして示す。
図10は、前段予備室18、本体装置である塗布室17および後段予備室19の各室の圧力の状態と、これら各室のゲートバブル20、23、24、および26の開閉のタイミングと、基板No.1からNo.5までの基板の搬送状態を示している。
このタイムチャートに従って三つのチャンバすなわち前段予備室18、本体装置である噴射塗布成膜室17、および後段予備室19を連動させれば、生産能率も向上できる。すなわち、三つのチャンバに常に基板1が納まっているような運用をすれば生産タクトも大幅に向上する。
この三つのチャンバの間で、基板搬送を連続して行わせる動作につき説明する。
前後する二つの室(一方を前室18とし、他方を後室17とする。)の基板搬送テーブル8は、それぞれ、前室18および後室17間のゲートバルブ23の近傍にまでそれぞれ移動可能である。それぞれの基板搬送テーブル8の上面には図示しない基板共通搬送駆動系29を設けてある。これら基板共通搬送駆動系29として、例えば、基板送り用ローラーを設ける。前室18から後室17へ基板1を移動させるには、前室、後室双方の搬送テーブル8をゲートバルブ23の近傍まで移動させ、ゲートバルブ23を開口した状態で、前室の搬送テーブル8の基板保持を解除して、基板送り用ローラー29により、後室の搬送テーブル8上へ基板1を移動させる。同様に、前室17および後室19間の基板搬送を、基板送り用ローラーによって、ゲートバルブ24の開閉に合わせて、行う。このように、それぞれの室18と17、および17と19間での基板の受け渡しは、基板共通搬送駆動系29を用いて行い、しかも、これら基板共通搬送駆動系間で、ゲートバルブの開閉のタイミングに合わせて、連携して行う。
図9に示した三チャンバ方式は理想的ではあるが、高価な上に設置面積も大きくなる。生産タクトをやや落としても、低価格で設置面積が小さい装置が要求される場合には、図11に示すような構成、すなわち二チャンバ方式がある。この方式は三チャンバ方式における前段予備室と後段予備室を一つの予備室、すなわち、搬入/搬出兼用予備室28で兼ねるもので、一連の動作アルゴリズムは三チャンバ方式と同様である。基板1は搬入/搬出兼用予備室28を経て、本体装置17に入り、噴射塗布完了後、再び搬入/搬出兼用予備室28に戻され、大気中のラインに排出される。
<第4の実施形態>
次にこの考案の第4の実施形態について図12を参照して説明する。この実施形態は、配向膜成膜時のクリーン化を実現する際、装置の小型化も同時に得るための具体的な構成である。クリーン化を意図する場合にはヘッド支持構造体5を固定して、基板1を搭載している基板搬送テーブル8を所定の速度で動かし、噴射塗布する方が基板1上への塵埃(パーティクル)の落下は少ない。ところが、インクジェット・ヘッド2が固定され、基板1が動いて全面噴射塗布する場合には、最低でも基板二枚分の領域が必要である。
このため、図9や図11における搬入/搬出兼用予備室を本体装置17と兼用するのがこの考案であり、予備室28と本体装置17との基板搬送テーブル8の搬送駆動系29を共通にし、連続的に制御するところに特徴がある。予備室28と本体装置17を初めから一体化した一チャンバ方式とは異なり、図12に示す実施例では、両者の間には二つのチャンバを仕切るゲートバルブ30が存在する。これによって減圧時間の短縮が図れる。この考案の具体的な構成実施例では、インクジェット・ヘッド2は本体装置17のゲートバルブ30の近くにおかれ、噴射塗布を行っている。
<第5の実施形態>
この考案の第5の実施形態について図13を参照して説明する。基板搬入、予備減圧、噴射塗布、大気戻し、基板排出という工程を経るのは、図9を参照して説明した第3の実施形態の場合と同様であるが、前段予備室18、本体装置17、後段予備室19のそれぞれの減圧のための真空排気系統に汚染物質、例えば、配向膜溶液に含まれる溶剤等の揮発性有機化合物(VOC)や、室の壁から蒸発した不所望成分や、外部から侵入した不所望成分や、その他の不所望成分の回収装置31、32、33を取付けている。VOCの回収装置は活性炭等を利用した吸着方式や炭化水素化合物をプラズマ触媒の力を借りて分解する方式等が考えられる。配向膜溶液の溶剤成分によっては真空排気に用いられる、それぞれのチャンバ対応の真空ポンプ21、15、27の構造材料を侵食するおそれがあり、この場合にはVOCの回収装置は真空ポンプの前に設置する必要がある。そうでない場合には最終段の設置が望ましい。
<第6の実施形態>
この考案の第6の実施形態について図14を参照して説明する。この実施形態では前段予備室18に真空ポンプやリークバルブ等の圧力調整手段に加えて、紫外線照射等の基板表面改質手段34を備えている。これまで、重ねて述べてきたが、インクジェット方式による配向膜の形成は、配向膜液滴の噴射塗布、基板着弾、基板表面拡散展開、乾燥、焼成というプロセスを経て行われる。とくに、基板上の拡散展開においては基板表面の濡れに大きな影響を持つ、基板表面の汚染、水分等を出来るだけ除去し、一定の拡散条件を作る必要がある。そのため配向膜液滴が基板1上に着弾する直前に、紫外線照射等の基板表面改質を行うと膜厚ばらつきが小さい配向膜44が得られる。
<第7の実施形態>
この考案の第7の実施形態につき図15を参照して説明する。図15に示すように、インクジェット・ヘッド2が支持されている方向に、基板1の斜め上方から、レーザ光源35とレーザを基板面内に走査する光学走査系36とを含むレーザ照射手段110を設けてある。このレーザ照射手段110から、着弾した配向膜溶液のドット13に対し、レーザを照射することで、配向膜溶液中の溶剤成分の揮発を加速させ、着弾後の基板表面拡散が円滑にいくことを意図しており、その結果、膜厚ばらつきが小さい配向膜の形成が可能となる。
<第8の実施形態>
同様に、この考案の第8の実施形態につき図16を参照して説明する。この考案は、第7の実施形態と同様に、レーザ光源35とレーザを基板面内に走査する光学走査系36とを含むレーザ照射手段110を備えている。この実施形態では、図16に示すようにインクジェット・ヘッド2の各ノズル9から噴射され、飛行している配向膜液滴に対し、レーザ照射手段110から、レーザ35で横方向から直接照射する仕組みとなっている。配向膜溶液中の溶剤成分の揮発を加速することで、基板表面上での拡散展開の円滑化を図ったものである。
以上述べてきた減圧環境下のインクジェット方式による薄膜形成技術は、面発光型の有機EL(OLED)の発光層や正孔輸送層の薄膜形成や半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)等一般のプロセスで多用される薄膜レジストの形成にも適用可能であり、良好な膜厚分布を得ることができる。
1 基板
2 インクジェット・ヘッド
3 設定入力手段
4 演算装置
5 ヘッド支持構造体
6 距離検出手段
7a 駆動用アクチュエータ
7b 駆動用アクチュエータ
8 基板搬送テーブル
9 ノズル
10 基板保持手段
11 溶液タンク
12 供給管
13 ドット群
14 真空槽(噴射塗布成膜室、減圧室)
15 (本体用)真空ポンプ
16 温度調整装置
17 (噴射塗布成膜室としての)本体装置
18 前段予備室(減圧予備室)
19 後段予備室
20 ゲートバルブ(搬入用)
21 (前段予備室用)真空ポンプ
22 (前段予備室用)リークバルブ
23 ゲートバルブ(前段/本体)
24 ゲートバルブ(本体/後段)
25 後段予備室用リークバルブ
26 ゲートバルブ(排出用)
27 (後段予備室用)真空ポンプ
28 搬入/搬出兼用予備室
29 基板共通搬送駆動系
30 ゲートバルブ
31 VOC回収装置(前段)
32 VOC回収装置(本体)
33 VOC回収装置(後段)
34 基板表面改質手段
35 レーザ光源
36 光学走査系
37 アニロックスローラ
38 注入ノズル
39 ドクターローラ
40 版胴
41 印刷版
42 圧電素子駆動回路(駆動部)
43 流路
44 配向膜
50 基板搬送機構
52 ガイドレール
54 ガイドレール
60 台座
70 XYステージ位置決め部
72 インクジェット・ヘッド位置決め部
74 インクジェット・ヘッド制御系
76 基板/ヘッドアライメント用光学系
78 操作盤
80 パソコン
82 減圧システム
84 減圧用真空ポンプ
86 圧力センサ
88 圧力調整弁
90 駆動制御手段
92 位置決め制御手段
94 ヘッド制御手段
96 アライメント制御手段
98 圧力調整手段
102 ゲートバルブ
106 リーク弁
110 レーザ照射手段

Claims (11)

  1. 一定間隔で配列された複数のノズルをそれぞれ有する、単一若しくは複数のインクジェット・ヘッドを備えるヘッド支持構造体と、複数の該ノズルの配列方向と直交する方向に、複数の該ノズルとの間で、相対的に移動できる基板搬送テーブルを有する基板搬送機構とを含み、複数の前記ノズルから薄膜形成用溶液を前記基板搬送テーブルに搭載された基板の表面上に噴射して塗布して薄膜を形成する非接触方式の薄膜形成装置において、
    少なくとも前記基板搬送テーブル、インクジェット・ヘッド、および前記ヘッド支持構造体を内部に含む噴射塗布成膜室としての真空槽と、減圧雰囲気下で噴射塗布成膜を行うために前記真空槽の内部を減圧にする減圧手段とを備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 請求項1に記載の薄膜形成装置において、
    前記基板搬送テーブルは、該基板搬送テーブルの温度調節を行って前記基板の温度を制御するための温度調節部を含んでいることを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載の薄膜形成装置において、
    前記噴射塗布成膜室の前段及び後段のいずれか一方もしくは双方に、基板搬送テーブルを有する基板搬送機構を含む圧力調整予備室を設けてあることを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 請求項3に記載の薄膜形成装置において、
    前記圧力調整予備室の基板搬送機構および前記噴射塗布成膜室の基板搬送機構は、基板共通搬送駆動系をそれぞれ有しており、
    前記圧力調整予備室と前記噴射塗布成膜室との間に、それぞれの基板共通搬送駆動系間で基板の受け渡しを連携して行えるタイミングで開閉するゲートバルブを具えていることを特徴とする薄膜形成装置。
  5. 請求項1または2に記載の薄膜形成装置において、
    前記減圧手段は、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記噴射塗布成膜室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成されており、
    前記真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、前記噴射塗布成膜室内に蒸発した汚染物質の回収装置を取付けてあることを特徴とする薄膜形成装置。
  6. 請求項3または4に記載の薄膜形成装置において、
    前記減圧手段は、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記圧力調整予備室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成されており、
    前記真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、前記圧力調整予備室内に蒸発した汚染物質の回収装置を取付けてあることを特徴とする薄膜形成装置。
  7. 請求項3または4に記載の薄膜形成装置において、
    前記噴射塗布成膜室の前段に設けられている前記圧力調整予備室は、噴射塗布成膜される基板の表面を改質するための表面改質手段を具えていることを特徴とする薄膜形成装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記インクジェット・ヘッドの斜め上方から、前記基板に接地した薄膜形成用溶液の液滴に対し、レーザ照射するレーザ照射手段を具えることを特徴とする薄膜形成装置。
  9. 請求項1から7のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    複数の前記ノズルから噴射されて空中飛行している薄膜形成用溶液の液滴に対して、横方向からレーザ照射するレーザ照射手段を具えることを特徴とする薄膜形成装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記薄膜を液晶表示素子の配向膜とすることを特徴とする薄膜形成装置。
  11. 一定間隔で配列された複数のノズルをそれぞれ有する、単一若しくは複数のインクジェット・ヘッドを備えるヘッド支持構造体と、複数の該ノズルの配列方向に直交する方向に、複数の該ノズルとの間で、相対的に移動できる基板搬送テーブルを有する基板搬送機構とを含み、複数の前記ノズルから薄膜形成用溶液を前記基板搬送テーブルに搭載された基板の表面上に噴射して塗布して薄膜を形成する非接触方式の薄膜形成装置を用いて、
    薄膜を形成するにあたり、
    基板搬送テーブルと、前記インクジェット・ヘッドと、前記ヘッド支持構造体とを噴射塗布成膜室としての真空槽で囲み、前記基板上に、減圧雰囲気下で、噴射塗布成膜を行って形成した薄膜、
    又は、
    前記噴射塗布成膜を、基板搬送テーブルの温度調節を行って前記基板の温度を制御しながら行って形成した薄膜、
    又は、
    前記噴射塗布成膜室の前段及び後段のいずれか一方若しくは双方に圧力調整予備室を設け、該圧力調整予備室と前記噴射塗布成膜室との間での基板の搬入または搬出のために、該圧力調整予備室に対して予備的に圧力調整を行って形成した薄膜、
    又は
    前記圧力調整予備室と前記噴射塗布成膜室との間にゲートバルブを設け、前記圧力調整予備室の基板搬送機構および前記噴射塗布成膜室の基板搬送機構のそれぞれに、基板共通搬送駆動系を設け、それぞれの基板共通搬送駆動系間で基板の受け渡しを連携して行えるタイミングで前記ゲートバルブを開閉して形成した薄膜、
    又は
    前記減圧手段を、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記噴射塗布成膜室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成し、前記真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、前記噴射塗布成膜室内に蒸発した汚染物質の回収装置を設けて、該回収装置により、噴射塗布成膜中に発生する前記汚染物質を回収して形成した薄膜、
    又は
    前記減圧手段を、真空ポンプと、該真空ポンプおよび前記圧力調整予備室間を連通させる真空排気管とを含む真空排気系で構成し、前記真空ポンプの前段若しくは後段のいずれかに、回収装置を設けて、該回収装置により、該圧力調整予備室内に蒸発した汚染物質を回収して形成した薄膜、
    又は
    前記噴射塗布成膜室の前段に設けられている前記圧力調整予備室内で、表面改質手段を用いて、噴射塗布成膜される基板の表面に対し、表面改質処理を行って形成した薄膜、
    又は、
    前記インクジェット・ヘッドの斜め上方から、前記基板に接地した薄膜形成用溶液の液滴に対し、レーザ照射して形成した薄膜、
    又は、
    複数の前記ノズルから噴射されて空中飛行している薄膜形成用溶液の液滴に対して、横方向からレーザ照射して形成した薄膜、
    を用いて作られたことを特徴とする液晶表示素子。
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