JP2010180322A - 樹脂被覆金属顔料の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆金属顔料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗料用顔料として使用したとき、優れた金属光沢、意匠性を維持しながら密着性、耐薬品性においても優れたメタリック塗膜を与える金属顔料を製造する方法を提供する。
【解決手段】金属顔料100重量部に対して0.1〜50重量部の樹脂が該金属顔料の表面に付着している樹脂被覆金属顔料の製造方法において反応槽での樹脂被覆処理中に、該金属顔料を含むスラリー液の一部を外部循環型容器に循環させ、該外部循環型容器に対して超音波による振動処理を付加することを含む、上記方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂被覆金属顔料の新たな製造方法に関し、さらに詳しくは、塗料用顔料として使用したとき、これまでにない優れた金属光沢、意匠性を維持しながら密着性、耐薬品性においても優れたメタリック塗膜を与える金属顔料の製造方法に関する。
従来からメタリック塗料用、印刷インキ用、プラスチック練り込み用等に、メタリック感を重視する美粧効果を得る目的で金属顔料が使用されている。ただし、表面に何らの処理も施していないアルミニウム顔料は、金属感や意匠性が高い反面、塗料及び印刷インキの樹脂系によっては塗膜中での樹脂との密着性が劣るため、セロハンテープ剥離による密着性試験を行った場合に多量に剥離してしまうこと、また、薬品に対する保護機能もないことという欠点を有していた。
これはアルミニウム顔料表面と塗料及び印刷インキの樹脂との相溶性、及び濡れ性が不十分であるためと考えられるが、この改善策として、アルミニウム顔料の表面処理を行う方法が提案されている。
特許文献1には、アルミニウム顔料であるフレーク状アルミニウム粉末、又はフレーク状アルミニウム粉末のペーストを有機溶媒中に分散し、はじめに該粉末にラジカル重合性不飽和カルボン酸等を吸着せしめ、次いでラジカル重合性二重結合を3個以上有する単量体から生成される重合体によって該粉末の表面を被覆する方法が提案されている。しかしこの方法は、密着性は改善されるものの、本来の主な目的であるメタリック塗膜の耐薬品性を実現するために、被覆させる単量体を相当量添加することが必要となり、このとき同時に金属感の低下をもたらし、意匠性が著しく低下してしまうという問題点を有している。
特許文献2には、樹脂被覆金属顔料の色調低下を防止し、かつ更に耐薬品性、耐候性を改良するために、表面被覆の方法を改良し、均一で高度に三次元架橋した被覆膜を形成させる方法が提案されている。しかしこの方法でも、金属感、意匠性の低下はある程度改善されるものの、表面被覆処理を施していない金属顔料の色調よりはかなり劣り、十分でない。
また、最近特に高意匠性が求められている平均粒径が10μm以下の領域では、樹脂被覆処理後の平均粒径が処理前と比較して著しく大きくなり、塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの色調が著しく低下してしまうという問題点を有している。
特公平1−49746号公報 国際公開公報WO96/38506
本発明は、上記のような従来技術の欠点を排除した樹脂被覆金属顔料の新製法を提供すること、すなわち、樹脂被覆したことによる光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの色調低下が少なく、かつ優れた密着性、耐薬品性を有する樹脂被覆金属顔料の新たな製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来検討されたことのない樹脂被覆処理中に超音波照射といった外的作用を付加することにより優れた色調、密着性、耐薬品性とを兼ね備えた樹脂被覆金属顔料を得ることが可能となる製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の通りである。
(1)金属顔料100重量部に対して0.1〜50重量部の樹脂が該金属顔料の表面に付着している樹脂被覆金属顔料の製造方法において、反応槽での樹脂被覆処理中に、該金属顔料を含むスラリー液の一部を外部循環型容器に循環させ、該外部循環型容器に対して超音波による振動処理を付加することを含む、上記方法。
(2)前記樹脂被覆金属顔料の粒子の平均粒径と樹脂被覆前の金属顔料の粒子の平均粒径が0より大きく5μm以下である、(1)に記載の方法。
(3)前記樹脂被覆金属顔料中の、2個以上の一次粒子で形成されている粒子凝集体の粒子数(A)と、凝集していない一次粒子の粒子数(B)との割合、B/(A+B)が0.3〜1である(1)又は(2)に記載の方法。
(4)金属顔料100重量部に対して0.1〜50重量部の樹脂が該金属顔料の表面に付着している樹脂被覆金属顔料の製造方法において、反応槽内で、有機溶剤中に該金属顔料を分散させ、該樹脂の原料となる分子内に一個以上の二重結合を有する単量体及び/又はオリゴマーを重合反応させて、該樹脂を形成させながら、該金属顔料を該樹脂で被覆し、該被覆処理中に、前記金属顔料を含むスラリー液の一部を外部循環型容器に循環させ、該外部循環型容器に対して超音波による振動処理を付加することを含む、上記方法。
本発明の方法により得られる樹脂被覆金属顔料は、樹脂被覆処理中に外部循環装置に超音波照射といった外的作用を付加することにより得られた、優れた色調、密着性、耐薬品性とを兼ね備えた樹脂被覆金属顔料である。本発明の樹脂被覆金属顔料を、塗料に用いた場合、その色調は、樹脂被覆前の金属顔料を用いた場合の色調とほとんど変わらず、かつ、密着性、耐薬品に優れた塗膜を得ることができる。
実施例1で用いた実験装置の概略図である。 実施例4で用いた実験装置の概略図である。 実施例7で用いた実験装置の概略図である。
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
樹脂被覆金属顔料の製造方法は、有機溶剤中に金属顔料粒子を分散させ、振動的外的作用を付加しながら、分子内に一個以上の二重結合を有する単量体及び/又はオリゴマーを加え、さらに重合開始剤を加えて重合反応を行い、樹脂を金属顔料粒子の表面に被覆させることからなる。重合反応条件は50℃〜150℃の温度で5分〜12時間の間で行うことが望ましい。重合効率を高めるために窒素、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で重合することが望ましい。重合終了は有機溶剤を濾別し、不揮発分を20〜80%に調整し、必要に応じて他の溶剤、添加剤などを加えてペースト状にしてもよい。
本発明に用いる金属顔料としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、銅、ニッケル、のような卑金属粉末、及びそれらの合金粉末を用いることが好ましい。
特に好適な金属顔料はメタリック用顔料として多用されているアルミニウム粉末である。本発明に用いるアルミニウム粉末としては、表面光沢性、白度、光輝性等メタリック用顔料に要求される表面性状、粒径、形状を有するものが適している。形状としては、粒状、板状、塊状、鱗片状、などの種々の形状がありうるが、塗膜に優れたメタリック感、輝度を与えるためには、鱗片状であることが好ましい。例えば、0.001から1μmの範囲の厚さを有し、1から100μmの範囲の長さ又は幅を有するものが好ましい。アスペクト比は、10から20000の範囲にあることが好ましい。ここで、アスペクト比とは、鱗片状アルミニウム粉末の平均長径をアルミニウム粉末の平均厚さで割った値である。また、アルミニウム粉末の純度は特に限定するものではないが、塗料用として用いられているものは純度99.5%以上である。アルミニウム粉末は、通常ペースト状態で市販されており、これを用いるのが好ましい。
本発明に用いる樹脂は、分子内に一個以上の二重結合を有する単量体及び/又はオリゴマーを重合反応させて得られるものであることが好ましい。
上記の、分子内に一個以上の二重結合を有する単量体としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。具体例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロトン酸、マレイン酸又は無水マレイン酸)、リン酸又はホスホン酸のモノ、又はジエステル(例えば2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジ−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、トリ−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジ−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、トリ−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、2−メタクリロイロキシプロピルホスフェート、ビス(2−クロロエチル)ビニルホスホネート、ジアリルジブチルホスホノサクシネート、2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、2−アクロイロキシエチルホスフェート)、カップリング剤(例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、ジルコアルミネート)、不飽和カルボン酸のニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル)、又は不飽和カルボン酸のエステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸シクロヘキシル、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ−ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジ−ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジ−ペンタエリスリトールペンタアクリレートモノプロピオネート、トリアクリルホルマール、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル)、などを好適に使用できる。
さらには、環式不飽和化合物(例えば、シクロヘキセン)や、芳香族系不飽和化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、シクロヘキセンビニルモノオキシド、ジビニルベンゼンモノオキシド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アリルベンゼン又はジアリルベンゼン)も好適に使用できる。
上記の、分子内に一個以上の二重結合を有するオリゴマーとしては、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、アクリル変性ポリエステル、アクリル変性ポリエーテル、アクリル変性ウレタン、アクリル変性エポキシ、アクリル変性スピラン等が挙げられ、その一種又は二種以上を混合して使用することができる。
本発明における二重結合を一個以上有する単量体及び/又はオリゴマーの使用量は、金属顔料の金属分100重量部に対して0.1重量部から50重量部であることが好ましい。
金属顔料を有機溶剤中に分散させるのに使用する有機溶剤は、金属顔料に対して不活性であればよく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤中の金属顔料の濃度は0.1〜40重量%が好ましく、更に好ましくは1〜35重量%である。金属顔料への樹脂被覆を効率的に行う点において、有機溶剤中の金属顔料の濃度は0.1重量%以上であることが好ましい。また、金属顔料の分散状態を均一に保つ点において、有機溶剤中の金属顔料の濃度は40重量%以下であることが好ましい。
なお、本発明において上記有機溶剤は、上記の分子内に一個以上の二重結合を有する単量体及び/又はオリゴマーを重合反応させて樹脂を形成する際の反応溶媒としても用いられる。
本発明に用いられる重合開始剤は、一般にラジカル発生剤として知られるものであり、その種類は特に制限されない。重合開始剤としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート等のペルオキシド類、及び2,2′−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。その使用量は、重合性モノマーの反応速度によってそれぞれ調整されるため特に限定されないが、金属顔料100重量部に対して、0.1重量部〜25重量部であることが好ましい。
樹脂被覆金属顔料を製造する際には、外的作用としてせん断的外的作用と振動的外的作用との併用が重要である。せん断的外的作用とは、金属顔料を有機溶剤中に分散させる際に、また、その分散液に単量体を添加する際に、高いせん断力を付加して分散を促進する作用をいう。そのための方法としては、たとえばディスパーや撹拌機を用いて金属顔料や単量体を分散させる方法がある。振動的外的作用とは、超音波発生装置を用いて、上記分散液や重合反応中のスラリー液を、機械的に強力に振動させ、分散を促進する作用のことである。
本発明の製造方法において、振動的外的作用を付加する装置には、1)超音波振動子から発生する超音波を、超音波ホーンを介して外部循環型容器内のスラリー液に直接的に付加するものや、2)外部循環型容器の外側に直接超音波振動子を貼付し、外部循環型容器の壁を通して内部のスラリー液に超音波を付加するもの、3)外部循環型容器の外側に直接超音波振動子を貼付し、内部を適切な溶剤で満たし、そこをスラリー液が循環している配管を通すことで、スラリー液に超音波を付加するもの、などが挙げられる。以下、このように超音波振動子を取り付けた外部循環型容器を、循環式超音波分散機という。外部循環型容器の容量に制限はないが、接続する反応槽容量の0.0001倍〜10倍が好ましく、0.001倍〜2倍が更に好ましい。
本発明における振動的外的作用の付加の方法としては、反応槽で重合反応中のスラリー液の一部を外部循環型容器に循環させて、その外部循環型容器に間欠的に付加する方法、連続的に付加する方法、間欠的付加と連続的付加を組み合わせる方法、などの種々の方法をとることができる。
本発明において、循環式超音波分散機の設置台数について特に制限はないが、複数台設置されていることが望ましい。複数台の循環式超音波分散機を同時に使用した場合には、反応槽との接続方式について直列式又は並列式を適用することが可能である。生産効率の観点からは、並列式が好ましく、金属顔料の分散効率の観点からは、直列式が好ましい。
本発明に使用される外的作用の超音波は弾性体を伝わる弾性振動の一種であり、通常は波の進行方向に圧縮、膨張が伝わる縦波であるが、外部循環型容器壁及びその接触面等においては横波が存在することもある。なお、直接聞くことを目的としない音波も技術的な定義として超音波に含まれ、また、液体や固体の表面や内部を伝わる音波も全て超音波に含まれる。超音波としては、周波数15〜10000kHz、好ましくは20〜3000kHz、特に好ましくは30〜1000kHzの超音波が望ましい。出力は、5〜20000W、好ましくは10〜10000W、特に好ましくは12〜6000Wである。
本発明の製造方法によって得られる樹脂被覆金属顔料は、樹脂被覆前の金属顔料と比べて塗膜の光輝性及び隠蔽性の低下がほとんどないことが特徴である。これは、金属顔料粒子のこれまでにない好適な分散状態下では、金属顔料粒子の表面に、樹脂をより一層均一に被覆させることできるためと考えられる。
本発明の樹脂被覆金属顔料は自動車用、一般家電用、携帯電話に代表される情報家電用、印刷用、鉄やマグネシウム合金などの金属、あるいは、プラスチック等の基材の塗装用に好適に使用でき、高い意匠性を発揮できる。
次に、本発明の実施例を挙げて詳細な説明をする。なお、以下の記載における%は重量%を示す。
[実施例1]
20L反応槽に、
市販のアルミペースト 1500g
(旭化成ケミカルズ株式会社製、GX−5060「平均粒径6μm、不揮発分72%」)、及び
ミネラルスピリット 8300g
を投入した。そして、窒素ガスを導入しながら攪拌し、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、アクリル酸4.3gを添加し、30分間攪拌を続けた。
その後、市販の循環式超音波分散機に接続し、定量ポンプにより反応槽内のスラリー液を約1l/minの速度で循環させた。この循環式超音波分散機は、その容器内のスラリー液に、超音波ホーンを介して直接超音波を照射する型である。実施例1で用いた実験装置の概略図を図1に示す。容器内には常時100mlのスラリー液が保持されており、容器内に循環しているスラリー液に、直接、周波数20kHz、出力200Wの超音波を60分間照射した。
次いで、
トリメチロールプロパントリメタクリレート 110.2g、
ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート 48.6g、
2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル 29.2g、及び
ミネラルスピリット 1200g
からなる溶液を作製した。そして、定量ポンプにより約7.9g/min.の速度で反応槽にこの溶液を添加し、系内の温度を70℃に保ちながら合計6時間重合した。なお、重合中、反応槽内のスラリー液を循環式超音波分散機に継続循環し、上記超音波照射は6時間連続実施した。重合終了後にサンプリングしたろ液中のトリメチロールプロパントリメタクリレートの未反応量をガスクロマトグラフィで分析したところ、添加量の99%以上が反応していた。重合終了後、自然冷却し、スラリーを濾過し、樹脂被覆アルミペーストを得た。JIS−K−5910によるこのペーストの不揮発分は50.1重量%であった。
[実施例2]
実施例1で、超音波出力を400Wに変更した以外は実施例1と同様にして樹脂被覆アルミペーストを得た。JIS−K−5910によるこのペーストの不揮発分は50.3重量%であった。
[実施例3]
実施例1で、超音波出力を600Wに変更した以外は実施例1と同様にして樹脂被覆アルミペーストを得た。JIS−K−5910によるこのペーストの不揮発分は50.0重量%であった。
[実施例4]
実施例1で用いた循環式超音波分散機の代わりに、外部循環型容器の外側に直接超音波振動子を貼付し、外部循環型容器の壁を通して内部のスラリー液に超音波を付加する型の循環式超音波分散機を用いた。この循環式超音波分散機には常時約1.5lのスラリー液の保持が可能な容器があり、この容器の底面に直接超音波振動子が貼付されている。この循環式超音波分散機を用い、アクリル酸添加30分後から60分間、及び重合中において周波数40kHz、出力12Wの超音波を照射した以外は実施例1と同様にして樹脂被覆アルミペーストを得た。JIS−K−5910によるこのペーストの不揮発分は50.1重量%であった。本実施例で用いた実験装置の概略図を図2に示す。
[実施例5]
実施例4で、超音波出力を90Wに変更した以外は実施例4と同様にして樹脂被覆アルミペーストを得た。JIS−K−5910によるこのペーストの不揮発分は50.0重量%であった。
[実施例6]
実施例4で、超音波出力を150Wに変更した以外は実施例4と同様にして樹脂被覆アルミペーストを得た。JIS−K−5910によるこのペーストの不揮発分は50.1重量%であった。
[実施例7]
実施例1で用いた循環式超音波分散機の代わりに、外部循環型容器の外側に直接超音波振動子を貼付し、容器内部を水で満たし、そこをスラリー液が循環している外部循環ラインを通すことで、スラリー液に超音波を間接的に付加する型の循環式超音波分散機を用いた。本実施例で用いた実験装置の概略図を図3に示す。アクリル酸添加30分後から60分間、及び重合中において周波数42kHz、出力180Wの超音波を照射した以外は実施例1と同様にして樹脂被覆アルミペーストを得た。JIS−K−5910によるこのペーストの不揮発分は49.9重量%であった。
[実施例8]
スラリー液の循環速度を0.25l/minにし、周波数42kHz、出力180Wの超音波を照射した以外は実施例7と同様にして樹脂被覆アルミペーストを得た。JIS−K−5910によるこのペーストの不揮発分は50.1重量%であった。
[比較例1]
振動的外的作用を一切行わない以外は実施例1と同様にして樹脂被覆アルミペーストを得た。この濾過液の不揮発分及びペーストの不揮発分は、それぞれ1.9重量%と50.0重量%であった。
[評価1(平均粒径差の算出)]
(株)島津製作所製;SALD−2200を用いて、実施例1から8、及び比較例1で得られた樹脂被覆金属顔料の平均粒径を測定し、樹脂被覆前の金属顔料との平均粒径差を算出した。
[評価2(金属顔料の分散状態)]
実施例1から8、及び比較例1で得られた樹脂被覆金属顔料を、下記の組成でマイクロスパチュラを用いて手動により、シンナーに分散させた。目視で分散液に金属顔料の塊がないことを確認した後、先端毛細管付ピペットを用いて一滴の分散液をマイクログラスカバーの上に滴下し、60℃のオーブンで30分乾燥し、光学顕微鏡を用いて金属顔料の分散状態を観察し、粒子数を数えることで評価した。本評価では、株式会社ハイロックス製;デジタルマイクロスコープ KH−7700を用いて3500倍の倍率で観察した。
樹脂被覆金属顔料: 0.25g
(実施例1から8、比較例1、アルミニウム分として)
シンナー: 25g
(酢酸ブチル30%、トルエン45%、イソプロピルアルコール20%、エチルセロソルブ5%を混合したもの)
観察結果に応じて2個以上の一次粒子から形成されている粒子凝集体粒子数(A)と、凝集していない一次粒子数(B)との割合、B/(A+B)を算出し、下記のように評価した。(数値が大きいほど良好。実用上0.3以上が好ましい。)
◎(優):0.9以上
○(良):0.6以上〜0.9未満
△(可):0.3以上〜0.6未満
×(不可):0.3未満
[評価3(塗膜の密着性、耐薬品性、光沢保持率の評価)]
実施例1から8、及び比較例1で得られた樹脂被覆金属顔料を使用して、下記の組成でメタリック塗料を作製した。
樹脂被覆金属顔料: 5g
(実施例1から8、比較例1、アルミニウム分として)
シンナー: 50g
(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエースシンナー No.2726」)
アクリル樹脂: 33g
(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエース No.7160」)
エアスプレー装置を用いて上記塗料をABS樹脂板に乾燥膜厚が20μmになるように塗装し、60℃のオーブンで30分乾燥し、評価用塗板を得た。
上記の評価用塗板を用いて、密着性、耐薬品性、光沢保持率の評価を行った。
(塗膜の密着性)
上記で作製した塗板を用い、セロテープ(登録商標:ニチバン(株)製、CT405AP−18)を塗膜に密着させ、45度の角度で引っ張り、金属顔料粒子の剥離度合いを目視で観察した。観察結果に応じて、下記のように評価した。
○(良):剥離なし
△(可):やや剥離あり
×(不可):剥離あり
(塗膜の耐薬品性)
上記で作製した塗板の下半分を2.5N−NaOH水溶液を入れたビーカーに浸漬し、23℃で24時間放置した。試験後の塗板を水洗、乾燥したのち、浸漬部と未浸漬部を、JIS−Z−8722(1982)の条件d(8−d法)により測色し、JIS−Z−8730(1980)の6.3.2により色差ΔEを求める。色差ΔEの値に応じて、下記のように評価した。(値が小さいほど良好。)
○(良):1.0未満
△(可):1.0以上〜2.0未満
×(不可):2.0以上
(塗膜の光沢保持率)
光沢計(スガ試験機(株)製、デジタル変角光沢計UGV−5D)を用いて60度光沢(入射角、反射角とも60度)を測定する。上記で作製した塗板の60度光沢の測定値をG’、樹脂を被覆していないアルミニウム粉末を用いて同様に作製した塗板の60度光沢の測定値をGとし、光沢保持率Rを下式によって求める。
R=(G’/G)×100
光沢保持率Rの値に応じて、下記のように評価した。(数値が大きいほど良好。実用上70以上が好ましい。)
◎(優):90以上
○(良):90未満〜80以上
△(可):80未満〜70以上
×(不可):70未満
評価1、2及び3の結果を表1に示す。
本発明の樹脂被覆金属顔料は、メタリック塗料用、印刷インキ用、プラスチック練り込み用途に好適に使用可能であり、塗膜にしたときの密着性、耐薬品性に優れ、色調の低下が少ないので、自動車用、家電用等の塗料として利用性が高い。

Claims (4)

  1. 金属顔料100重量部に対して0.1〜50重量部の樹脂が該金属顔料の表面に付着している樹脂被覆金属顔料の製造方法において、反応槽での樹脂被覆処理中に、該金属顔料を含むスラリー液の一部を外部循環型容器に循環させ、該外部循環型容器に対して超音波による振動処理を付加することを含む、上記方法。
  2. 前記樹脂被覆金属顔料の粒子の平均粒径と樹脂被覆前の金属顔料の粒子の平均粒径が0より大きく5μm以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記樹脂被覆金属顔料中の、2個以上の一次粒子で形成されている粒子凝集体の粒子数(A)と、凝集していない一次粒子の粒子数(B)との割合、B/(A+B)が0.3〜1である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 金属顔料100重量部に対して0.1〜50重量部の樹脂が該金属顔料の表面に付着している樹脂被覆金属顔料の製造方法において、反応槽内で、有機溶剤中に該金属顔料を分散させ、該樹脂の原料となる分子内に一個以上の二重結合を有する単量体及び/又はオリゴマーを重合反応させて、該樹脂を形成させながら、該金属顔料を該樹脂で被覆し、該被覆処理中に、前記金属顔料を含むスラリー液の一部を外部循環型容器に循環させ、該外部循環型容器に対して超音波による振動処理を付加することを含む、上記方法。
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