JP2022070167A - 樹脂被覆金属顔料 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム顔料の優れた光沢、意匠性を維持しながら、塗料、印刷インキ用顔料として使用したとき、金属感、意匠性に優れ、かつ密着性、貯蔵安定性においても優れたメタリック塗膜を与えることができるアルミニウム顔料及びその製造方法を提供する。【解決手段】樹脂がフレーク状金属アルミニウム粉末表面全体に付着した樹脂被覆アルミニウム顔料であって、当該樹脂の平均膜厚が2~30nmであり、XPSで測定した時のアルミニウムの割合が15原子%以下である樹脂被覆アルミニウム顔料。【選択図】なし
Description
本発明は、新規なアルミニウム顔料に関し、さらに詳しくは、塗料用顔料として使用したとき、これまでにない優れた金属光沢、意匠性を維持しながら密着性、貯蔵安定性においても優れたメタリック塗膜を与えるアルミニウム顔料およびその製造方法に関するものである。また、上記アルミニウム顔料、塗料用樹脂、および希釈剤からなる新規なメタリック塗料、さらにこれまでにない優れた金属光沢、意匠性を維持しながら密着性においても優れたメタリック塗膜を与える塗料及びメタリックインキに関するものである。
従来より、メタリック塗料用、印刷インキ用、プラスチック練り込み用等に、メタリック感を重視する美粧効果を得る目的でアルミニウム顔料が使用されている。ただし、表面に何らの処理も施していないアルミニウム顔料は、金属感や意匠性が高い反面、塗料及び印刷インキの樹脂系によっては塗膜中での樹脂との密着性が劣るため、セロハンテープ剥離による密着性試験を行った場合に多量に剥離してしまうという欠点を有していた。
これはアルミニウム顔料表面と塗料及び印刷インキ樹脂との相溶性、濡れ性が不十分であるためと考えられるが、この改善策として、アルミニウム顔料の表面処理を行う方法が提案されている。
ブロンズ粉、鉄粉、アルミニウム顔料であるフレーク状アルミニウム粉末のペーストを有機溶媒中に分散し、まずはじめにラジカル重合性不飽和カルボン酸等を吸着せしめ、次いでラジカル重合性二重結合を有する単量体から生成される重合体によって表面被覆する方法が提案されている(特開昭62-81460号公報)。しかしこの方法は、密着性は改善されるもののメタリック塗膜の耐汚染性、耐薬品性の実現を主な目的としているため、被覆させる樹脂の膜厚が厚くなることで、金属感の低下をもたらし、意匠性が著しく低下してしまうという問題点を有している。
アルミニウム顔料の意匠性を維持したまま密着性を付与する方法として、炭素数1~5の低級脂肪酸を添加する方法が提案されている(特許第4684429号公報)。しかしこの方法によって得られたアルミニウム顔料は貯蔵安定性が劣り、十分でないという問題を有している。
アルミニウム顔料の意匠性を維持したまま密着性を付与する方法として、使用されるラジカル重合性二重結合を有する単量体の使用量を規定する方法が提案されている(特許第4684429号公報)。しかし、アルミ表面に形成される樹脂の膜厚は、使用されるラジカル重合性二重結合を有する単量体の使用量で一意的に決まるのではなく、使用される原料粉の表面積によっても大きく変わる。この方法によって得られたアルミニウム顔料は、形成される樹脂層の膜厚が薄すぎる為、樹脂被覆されないアルミニウムの割合が多くなっている。その為、空気中の水分との接触が多く腐食が進みやすく貯蔵安定性が劣るという問題を有している。
アルミニウム顔料の意匠性を維持したまま密着性を付与する方法として、使用されるラジカル重合性二重結合を有する単量体の使用量を規定する方法が提案されている(特許第4684429号公報)。しかし、アルミ表面に形成される樹脂の膜厚は、使用されるラジカル重合性二重結合を有する単量体の使用量で一意的に決まるのではなく、使用される原料粉の表面積によっても大きく変わる。この方法によって得られたアルミニウム顔料は、形成される樹脂層の膜厚が薄すぎる為、樹脂被覆されないアルミニウムの割合が多くなっている。その為、空気中の水分との接触が多く腐食が進みやすく貯蔵安定性が劣るという問題を有している。
樹脂被覆処理中に超音波照射といった外的作用を付加する方法が提案されている(特許第5224561号公報)。しかしこの方法では超音波照射によってアルミニウム顔料表面に微細な傷がつくことによって金属感、意匠性が低下するという問題を有している。
本件出願の発明は、アルミニウム顔料の優れた光沢、意匠性を維持しながら、塗料、印刷インキ用顔料として使用したとき、金属感、意匠性に優れ、かつ密着性、貯蔵安定性においても優れたメタリック塗膜を与えることができるアルミニウム顔料及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、前記したような従来のアルミニウム顔料が有する問題点を解決するべく鋭意研究を続けた結果、樹脂がフレーク状金属アルミニウム粉末表面全体に付着した樹脂被覆アルミニウム顔料であって、当該樹脂の平均膜厚が2~30nmであり、XPSで測定した時のアルミニウムの割合が15原子%以下である樹脂被覆アルミニウム顔料を製造したところ、得られたアルミニウム顔料が上記の目的を達成し得る事実を見い出して本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)~(6)である。
(1)
樹脂がフレーク状金属アルミニウム粉末表面全体に付着した樹脂被覆アルミニウム顔料であって、当該樹脂の平均膜厚が2~30nmであり、XPSで測定した時のアルミニウムの割合が15原子%以下である樹脂被覆アルミニウム顔料。
(2)
フレーク状金属アルミニウム粉末の平均粒子長径が1~100μmであり、平均厚みが0.3μm以下である(1)に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
(3)
フレーク状アルミニウム金属粉末の水面拡散面積が2.5m2/g以上である(1)または(2)に記載のアルミニウム顔料。
(4)
フレーク状アルミニウム金属粉末が、平均表面粗さRaが20nm以下、または、平均表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcが80nm以下である(1)~(3)のいずれかに記載のアルミニウム顔料。
(5)
前記樹脂が、ラジカル重合性二重結合を4個以上有する単量体を少なくとも1種含む単量体から形成された(共)重合体である(1)~(4)のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
樹脂がフレーク状金属アルミニウム粉末表面全体に付着した樹脂被覆アルミニウム顔料であって、当該樹脂の平均膜厚が2~30nmであり、XPSで測定した時のアルミニウムの割合が15原子%以下である樹脂被覆アルミニウム顔料。
(2)
フレーク状金属アルミニウム粉末の平均粒子長径が1~100μmであり、平均厚みが0.3μm以下である(1)に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
(3)
フレーク状アルミニウム金属粉末の水面拡散面積が2.5m2/g以上である(1)または(2)に記載のアルミニウム顔料。
(4)
フレーク状アルミニウム金属粉末が、平均表面粗さRaが20nm以下、または、平均表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcが80nm以下である(1)~(3)のいずれかに記載のアルミニウム顔料。
(5)
前記樹脂が、ラジカル重合性二重結合を4個以上有する単量体を少なくとも1種含む単量体から形成された(共)重合体である(1)~(4)のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
(6)
フレーク状金属アルミニウム粉末を、1次粒子になるように解する工程(混錬工程);
上記混錬工程で得られた金属アルミニウム粒子を、有機溶剤中に分散させる工程(分散工程);
その後加温し、攪拌しながら、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加し、混合する工程(第一工程);次いで
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加して、第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着した成分と当該ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体とを重合させて、樹脂層を形成させる工程(第二工程)、
を含む、樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。
フレーク状金属アルミニウム粉末を、1次粒子になるように解する工程(混錬工程);
上記混錬工程で得られた金属アルミニウム粒子を、有機溶剤中に分散させる工程(分散工程);
その後加温し、攪拌しながら、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加し、混合する工程(第一工程);次いで
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加して、第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着した成分と当該ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体とを重合させて、樹脂層を形成させる工程(第二工程)、
を含む、樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。
本発明によると、金属感、意匠性を維持したまま、密着性、貯蔵安定性に優れるルミニウム顔料を提供することができる。
本発明によるアルミニウム顔料は、優れた金属光沢、意匠性を維持しながら、かつ優れた密着性、貯蔵安定性を有するものである。
本発明のアルミニウム顔料の原料となるフレーク状金属アルミニウム粉末は、特にその種類を限定されるものではなく、一般的にアルミニウム顔料として使用されているもので良く、その形状は、鱗片状、角状、丸み状等の扁平状である。その製造方法についても特に限定されるものではないが、金属アルミニウムの粒状粉、又は、細片を機械的方法、例えばスタンプミル法、乾式ボールミル法、湿式ボールミル法、アトライター法、振動ボールミル法等により数%の粉砕助剤と共に粉砕することにより得られる。
原料となるフレーク状金属アルミニウム粉末の粒径は用途により異なり、塗料用、印刷インキ用としては、平均粒径(平均粒子長径)d50が1~100μm程度のものが良く、本発明に適用できる。又、最近特に高意匠性が求められる用途として、自動車用、一般家電用、携帯電話に代表される情報家電用、印刷用が挙げられ、それぞれ鉄やマグネシウム合金などの金属、あるいはプラスチック等の塗装に使用されるが、これらに使用される好ましい粒径は、5~35μmであり、更に好ましくは、5~25μmである。原料となるフレーク状金属アルミニウム粉末は、ペースト状態で市販されていることがあり、これをそのまま用いてもよいし、予め有機溶剤等で表面の脂肪酸等を除去して用いてもよい。また、アルミニウム蒸着箔(例えば、平均粒径(d50)が3~30μm、平均厚み(t)が5~50nm)も使用可能である。
本発明のアルミニウム顔料の原料として使用されるフレーク状金属アルミニウム粉末の意匠性については、特に限定されるものではないが、意匠性の高さを維持したいのであれば、高意匠性グレード(高級メタリック塗料ないしはインキ用グレード)を使用した方が本発明の効果はより発揮される。高意匠性のフレーク状金属アルミニウム粉末の製造方法としては、たとえば、国際公開公報WO99/54074に記載された方法が挙げられ、その製造方法で得られる、表面が平滑で厚みも均一なフレーク状金属アルミニウム粉末が本発明のアルミニウム顔料の原料として特に好ましく使用できる。
以下に、本発明の原料として使用されるフレーク状金属アルミニウム粉末の具体的な形状について述べる。
平均粒径(平均粒子長径)d50の好ましい範囲は5~35μmであり、更に好ましい範囲は5~25μmである。その他に定義される形状の好ましい範囲は、平均厚みtが0.3μm以下、より好ましくは0.2μm以下であり、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の好ましい比は30~90であり、平均表面粗さRaは20nm以下である。また、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcは80nm以下であることが好ましい。そして、これらの性状の範囲をすべて満たすものが最も好ましい。
フレーク状金属アルミニウム粉末の平均粒径d50(μm)、平均厚みt(μm)、水面拡散面積WCA(m2/g)、平均表面粗さRa(nm)、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcは、次の様に定義される。
<平均粒径(平均粒子長径)(d50)>
平均粒径(平均粒子長径)d50(μm)は、次の方法で測定する。
測定溶剤としてミネラルスピリットを用い、試料となるフレーク状金属アルミニウム粉末を、前処理として2分間の超音波分散を行った後に、レーザーミクロンサイザーLMS-24(セイシン企業(株)製)を用いて測定する。
平均粒径(平均粒子長径)d50(μm)は、次の方法で測定する。
測定溶剤としてミネラルスピリットを用い、試料となるフレーク状金属アルミニウム粉末を、前処理として2分間の超音波分散を行った後に、レーザーミクロンサイザーLMS-24(セイシン企業(株)製)を用いて測定する。
平均粒径d50は5~35μmであることが好ましい。更に好ましくは5~25μmである。平均粒径d50は、意図する意匠性に合わせて極細目、細目、中目、粗目、極粗目を適宜に選択すればよい。平均粒径が5μm以上のものは、塗膜中で一定方向に配向し易く、また、光の散乱が減少し望ましい光輝度が発現し易い。一方、35μm以下のものは、粒子の大きさが塗膜の膜厚を越えず粒子の一部が塗膜表面に突出しにくいため、きめ細かいメタリック塗膜が得られ易く実用的である。
<平均厚み(t)>
金属アルミニウム粒子自体の平均厚みt(μm)は、金属成分1g当たりの水面拡散面積WCA(m2/g)を測定し、下式により算出した値である。
t(μm)=0.4/[WCA(m2/g)]
金属アルミニウム粒子自体の平均厚みt(μm)は、金属成分1g当たりの水面拡散面積WCA(m2/g)を測定し、下式により算出した値である。
t(μm)=0.4/[WCA(m2/g)]
上記した平均厚みの算出方法は、例えば、Aluminium Paint and Powder,J.D.Ed-wards & R.I.Wray著、第3版、Reinhold Publishing Corp.New York(1955)の第16~22頁に記載されている。
<水面拡散面積(WCA)>
アルミニウム粒子の水面拡散面積(WCA)は、2.5m2/g以上が好ましい。水面拡散面積は、一定の予備処理を行ったのち、JIS K 5906-1991に従って求める。なお、JISに記載されている水面拡散面積の測定方法はリーフィングタイプの場合のものであるのに対し、前記国際公開公報WO99/54074に記載のものはノンリーフィングタイプである。しかし、試料を5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液で予備処理を行う以外の操作方法は、全てリーフィングタイプの場合と同様である。
アルミニウム粒子の水面拡散面積(WCA)は、2.5m2/g以上が好ましい。水面拡散面積は、一定の予備処理を行ったのち、JIS K 5906-1991に従って求める。なお、JISに記載されている水面拡散面積の測定方法はリーフィングタイプの場合のものであるのに対し、前記国際公開公報WO99/54074に記載のものはノンリーフィングタイプである。しかし、試料を5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液で予備処理を行う以外の操作方法は、全てリーフィングタイプの場合と同様である。
試料の予備処理については、塗料原料時報、第156号、第2~16頁(1980.9.1旭化成工業(株)発行)に記載されている。
<平均厚みtに対する平均粒径d50の比(扁平度)>
本発明でいう平均厚みtに対する平均粒径d50の比は、d50/tで与えられ、いわゆる、フレーク状金属アルミニウム粉末の扁平度である(以下扁平度と呼ぶことがある)。
本発明でいう平均厚みtに対する平均粒径d50の比は、d50/tで与えられ、いわゆる、フレーク状金属アルミニウム粉末の扁平度である(以下扁平度と呼ぶことがある)。
金属アルミニウム粉を媒体攪拌ミルまたはボールミルで摩砕すると、扁平度は徐々に大きくなり、ある程度まで展延されると粒子は折れ曲がり易くなる。概して、扁平度が200を越えると粒子にクラックが入り易くなり折れ曲がり易くなる。そのため扁平度d50/tは30~90であることが好ましい。扁平度が90以下では、フレーク状金属アルミニウム粉末表面が平滑であり、該表面での光の散乱が減少し正反射率が増大することにより光輝度が向上し、また、フロップ性も高くなる。また、扁平度が30以上で、アルミニウム顔料の重要な機能の一つである隠蔽力が維持され、実用に供し得る。
<平均表面粗さ(Ra)>
平均表面粗さRaは、次の方法により算出する。
アルミニウム顔料の表面形態観察法として、原子間力顕微鏡(以下AFMと略記する)TMX-2010(Topometrix製)を使用する。前処理として、試料のアルミニウム顔料を過剰のメタノール及びクロロホルムで超音波洗浄後、真空乾燥し、再度アセトンに分散後、Siウェハー上に滴下し、自然乾燥を行う。AFMによる表面粗さの定量は、フレーク状金属アルミニウム粉末が他のフレーク状金属アルミニウム粉末と重なりがないものについて、5μm四方の視野につき表面粗さ曲線(表面凹凸のラインプロファイル)を300スキャンにより測定し、粗さ曲線の算術平均粗さ(基準長さ5μm内での標高の絶対値の算術平均)を求める。
平均表面粗さRaは、次の方法により算出する。
アルミニウム顔料の表面形態観察法として、原子間力顕微鏡(以下AFMと略記する)TMX-2010(Topometrix製)を使用する。前処理として、試料のアルミニウム顔料を過剰のメタノール及びクロロホルムで超音波洗浄後、真空乾燥し、再度アセトンに分散後、Siウェハー上に滴下し、自然乾燥を行う。AFMによる表面粗さの定量は、フレーク状金属アルミニウム粉末が他のフレーク状金属アルミニウム粉末と重なりがないものについて、5μm四方の視野につき表面粗さ曲線(表面凹凸のラインプロファイル)を300スキャンにより測定し、粗さ曲線の算術平均粗さ(基準長さ5μm内での標高の絶対値の算術平均)を求める。
基準長さは、平均粒径d50によるが、5μmを基準とする。そして、算術平均粗さを3視野以上測定し、更に算術平均した値を「平均表面粗さRa(nm)」として定義する。「表面粗さ」という用語は、JIS B0660:1998に基づくものである。平均表面粗さRaは好ましくは20nm以下、より好ましくは15nmである。20nm以下の時、表面での光の正反射率が大きいため、極めて優れた光輝度を示すと共にフロップ性も良好である。
<表面粗さ曲線の凹凸の平均高さ(Rc)>
フレーク状金属アルミニウム粉末の表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcは、前記で測定した表面粗さ曲線において、表面粗さ曲線の山頂の高さの絶対値の平均値と表面粗さ曲線の谷底の深さの絶対値の平均値の和で表される。具体的には、表面粗さ曲線の算術平均高さを3視野以上測定し、さらにそれを算術平均した値をいう。Rcは80nm以下であることが好ましい。平均高さRcが80nm以下であると、極めて優れた高輝度を示すと共にフロップ性も良好であった。
フレーク状金属アルミニウム粉末の表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcは、前記で測定した表面粗さ曲線において、表面粗さ曲線の山頂の高さの絶対値の平均値と表面粗さ曲線の谷底の深さの絶対値の平均値の和で表される。具体的には、表面粗さ曲線の算術平均高さを3視野以上測定し、さらにそれを算術平均した値をいう。Rcは80nm以下であることが好ましい。平均高さRcが80nm以下であると、極めて優れた高輝度を示すと共にフロップ性も良好であった。
上記で述べたような条件をすべて満たすフレーク状金属アルミニウム粉末表面は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察でも、表面の凹凸が少なく、また、表面に極微粉等の付着も少なく、また、粒子の中央から端部に至るまで均一な厚みを有するアルミニウム顔料粒子をかなり多く含む。
<樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法>
本発明の製造方法は、下記のものである。
フレーク状金属アルミニウム粉末を、1次粒子になるように解する工程(混錬工程);
上記混錬工程で得られた金属アルミニウム粒子を、有機溶剤中に分散させる工程(分散工程);
その後加温し、攪拌しながら、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加し、混合する工程(第一工程);次いで
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加して、第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着した成分と当該ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体とを重合させて、樹脂層を形成させる工程(第二工程)、
を含む、樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。
本発明の樹脂被覆アルミニウム顔料は、本発明の製造方法によって製造することができる。
好ましくは、本発明の樹脂被覆アルミニウム顔料は、混錬工程として未処理の上記のフレーク状金属アルミニウム粉末をニーダーミキサーにて1次粒子になるように解し、分散工程として有機溶剤中に分散させ、その後加温し、攪拌しながら第一工程としてラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加しフレーク状金属アルミニウム粉末の表面を処理し、次いで第二工程としてラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加して第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着した成分とラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体とを重合させて樹脂層を形成させることによって得られる。
次に、各工程の詳細について述べる。
本発明の製造方法は、下記のものである。
フレーク状金属アルミニウム粉末を、1次粒子になるように解する工程(混錬工程);
上記混錬工程で得られた金属アルミニウム粒子を、有機溶剤中に分散させる工程(分散工程);
その後加温し、攪拌しながら、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加し、混合する工程(第一工程);次いで
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加して、第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着した成分と当該ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体とを重合させて、樹脂層を形成させる工程(第二工程)、
を含む、樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。
本発明の樹脂被覆アルミニウム顔料は、本発明の製造方法によって製造することができる。
好ましくは、本発明の樹脂被覆アルミニウム顔料は、混錬工程として未処理の上記のフレーク状金属アルミニウム粉末をニーダーミキサーにて1次粒子になるように解し、分散工程として有機溶剤中に分散させ、その後加温し、攪拌しながら第一工程としてラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加しフレーク状金属アルミニウム粉末の表面を処理し、次いで第二工程としてラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加して第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着した成分とラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体とを重合させて樹脂層を形成させることによって得られる。
次に、各工程の詳細について述べる。
<フレーク状金属アルミニウム粉末の混錬工程について>
未処理のフレーク状金属アルミニウム粉末をニーダーミキサーにて混錬する。この混錬工程で、軟凝集していたアルミニウム粒子を予め1次粒子になるように解すことにより、金属アルミニウム表面を樹脂で一様に被覆することができ、貯蔵安定性を向上させることができる。この混錬工程により樹脂被覆工程の前に軟凝集を解くことができ、1次粒子を樹脂被覆することができるので、貯蔵安定性に優れる。
ニーダーミキサー混錬時の回転数は、10rpm~100rpmが好ましく、更に好ましくは20rpm~70rpmが好ましい。回転数は、混錬性の観点から10rpm以上が好ましく、折れ曲がりの観点から70rpm以下が好ましい。
混錬時間は、30分~2時間が好ましく、更に好ましくは40分~1時間が好ましい。混錬時間は、1次粒子に解すという観点から30分以上が好ましく、折れ曲がりの観点から2時間以下が好ましい。
混錬時の温度は30℃~60℃が好ましく、更に好ましくは40℃~50℃が好ましい。混錬時の温度は、1次粒子に解すという観点から40℃以上が好ましく、アルミニウム粒子の劣化を抑える観点から60℃以下が好ましい。
羽根形状は特に限定されないが、アルミニウム粒子を均一に混錬し、1次粒子に解すという観点からシグマ型であることが好ましい。
未処理のフレーク状金属アルミニウム粉末をニーダーミキサーにて混錬する。この混錬工程で、軟凝集していたアルミニウム粒子を予め1次粒子になるように解すことにより、金属アルミニウム表面を樹脂で一様に被覆することができ、貯蔵安定性を向上させることができる。この混錬工程により樹脂被覆工程の前に軟凝集を解くことができ、1次粒子を樹脂被覆することができるので、貯蔵安定性に優れる。
ニーダーミキサー混錬時の回転数は、10rpm~100rpmが好ましく、更に好ましくは20rpm~70rpmが好ましい。回転数は、混錬性の観点から10rpm以上が好ましく、折れ曲がりの観点から70rpm以下が好ましい。
混錬時間は、30分~2時間が好ましく、更に好ましくは40分~1時間が好ましい。混錬時間は、1次粒子に解すという観点から30分以上が好ましく、折れ曲がりの観点から2時間以下が好ましい。
混錬時の温度は30℃~60℃が好ましく、更に好ましくは40℃~50℃が好ましい。混錬時の温度は、1次粒子に解すという観点から40℃以上が好ましく、アルミニウム粒子の劣化を抑える観点から60℃以下が好ましい。
羽根形状は特に限定されないが、アルミニウム粒子を均一に混錬し、1次粒子に解すという観点からシグマ型であることが好ましい。
<フレーク状金属アルミニウム粉末の分散工程について>
フレーク状金属アルミニウム粉末を有機溶剤中に分散させる。
使用する有機溶剤は、フレーク状金属アルミニウム粉末に対して不活性であればよく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類が挙げられる。
フレーク状金属アルミニウム粉末を有機溶剤中に分散させる。
使用する有機溶剤は、フレーク状金属アルミニウム粉末に対して不活性であればよく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類が挙げられる。
有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度は、使用される該フレーク状金属アルミニウム粉末の種類と特性、特にそのWCAによって異なるが、0.1~40%が好ましく、更に好ましくは1%~35%である。0.1%以上では取り扱う溶剤量が過大とならず後で取り除くための労力を要せず、40%以下ではフレーク状金属アルミニウム粉末の分散性の観点から好ましい。
金属アルミニウム粉のWCAが異なる場合は、WCAに応じた有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度に適宜調整する必要がある。WCAが大きくなると有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末が凝集し易くなる為、有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度を低くし均一な分散状態にしておくことで、金属アルミニウム表面を樹脂で一様に被覆することができ、本発明の効果である貯蔵安定性を向上させることができる。
<第一工程について>
第一工程では、フレーク状金属アルミニウム粉末を分散させた有機溶剤中に、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸のモノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加する。
<第一工程について>
第一工程では、フレーク状金属アルミニウム粉末を分散させた有機溶剤中に、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸のモノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加する。
ラジカル重合性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が例示され、その一種または二種以上を混合して使用することができる。使用される量は該フレーク状金属アルミニウム粉末の種類と特性、特にそのWCA及び有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度によって異なるが、本発明ではフレーク状金属アルミニウム粉末100重量部に対して0.1~5.0重量部の間であり、更に好ましくは0.2重量部~3.0重量部である。0.1重量部以上では、フレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われ、本発明の効果である密着性と貯蔵安定性を十分満足させることができ、5.0質量部以下では本発明の効果である金属感と意匠性の低下を抑えることができ好ましい。
金属アルミニウム粉末のWCAが異なる場合は、WCAに応じたラジカル重合性不飽和カルボン酸の使用量を適宜調整する必要がある。WCAが大きくなった場合、使用するラジカル重合性不飽和カルボン酸の使用量も多くすることで、フレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われる。その為、金属アルミニウム粉末が直接空気中の水分との接触することが少なく腐食が進みにくい為、貯蔵安定性に優れ、本発明の効果を実現することができる。
有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度が高い場合は少量のラジカル重合性不飽和カルボン酸量でも十分であるが、有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度が低い場合はラジカル重合性不飽和カルボン酸量を増やすことで、フレーク状金属アルミニウム粉末表面にラジカル重合性不飽和カルボン酸を十分に吸着させることができる。その為、フレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われ、本発明の効果である密着性と貯蔵安定性が実現することができる。
金属アルミニウム粉末のWCAが異なる場合は、WCAに応じたラジカル重合性不飽和カルボン酸の使用量を適宜調整する必要がある。WCAが大きくなった場合、使用するラジカル重合性不飽和カルボン酸の使用量も多くすることで、フレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われる。その為、金属アルミニウム粉末が直接空気中の水分との接触することが少なく腐食が進みにくい為、貯蔵安定性に優れ、本発明の効果を実現することができる。
有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度が高い場合は少量のラジカル重合性不飽和カルボン酸量でも十分であるが、有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度が低い場合はラジカル重合性不飽和カルボン酸量を増やすことで、フレーク状金属アルミニウム粉末表面にラジカル重合性不飽和カルボン酸を十分に吸着させることができる。その為、フレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われ、本発明の効果である密着性と貯蔵安定性が実現することができる。
ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸のモノまたはジエステルとしては、2-メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジ-2-メタクリロイロキシエチルホスフェート、トリ-2-メタクリロイロキシエチルホスフェート、2-アクリロイロキシエチルホスフェート、ジ-2-アクリロイロキシエチルホスフェート、トリ-2-アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル-2-メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル-2-アクリロイロキシエチルホスフェート、2-メタクリロイロキシプロピルホスフェート、ビス(2-クロロエチル)ビニルホスホネート、ジアリルジブチルホスホノサクシネート等が挙げられ、その一種または二種以上を混合して使用することができる。
好ましいものとしてはリン酸モノエステルを挙げることができる。これはリン酸基の持つOH基が2個あるため、より強固にフレーク状金属アルミニウム粉末表面に固定されるためであると推定される。
より好ましいリン酸モノエステルとして、メタクリロイロキシ基およびアクロイロキシ基を有したモノエステルが挙げられ、例えば、2-メタクリロイロキシエチルホスフェート、2-アクロイロキシエチルホスフェートが挙げられる。その使用量は、該フレーク状金属アルミニウム粉末の種類と特性、特にその表面積によって異なるが、本発明ではフレーク状金属アルミニウム粉末100重量部に対して0.1~2.0重量部の間であり、更に好ましくは0.2重量部~1.5重量部である。0.1重量部以上ではフレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われ、本発明の効果である密着性と貯蔵安定性を十分満足させることができ、2.0質量部以下では本発明の効果である金属感と意匠性の低下を抑えることができ好ましい。
ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤の例としては、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β-メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤の例としては、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等が挙げられる。
アルミニウム系カップリング剤の例としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、ジルコアルミネート等が挙げられる。
使用されるラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤の量は、該フレーク状金属アルミニウム粉末の種類と特性、特にその表面積によって異なるが、本発明ではフレーク状金属アルミニウム粉末100重量部に対して0.1~2.0重量部の間であり、更に好ましくは0.2重量部~1.5重量部である。0.1重量部以上ではフレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われ、本発明の効果である密着性と貯蔵安定性を十分満足させることができ、2.0質量部以下では本発明の効果である金属感と意匠性の低下を抑えることができ好ましい。
ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステル、又は、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤(以下、「ラジカル重合性不飽和カルボン酸等」とする)の添加は40℃~150℃の温度で加温、攪拌しながら行うことが望ましい。40℃以上では、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体及び重合開始剤の重合温度(第二工程)まで昇温するのに要する時間が短く、150℃以下では有機溶剤の蒸気の発火等に対する危険性が少ないため好ましい。ラジカル重合性不飽和カルボン酸等の添加終了後、40℃~150℃の温度で引き続き5分~10時間程度攪拌を続けることが好ましい。この時間にすることで、ラジカル重合性不飽和カルボン酸等の有機溶剤中の拡散およびフレーク状金属アルミニウム粉末表面への吸着が十分となる。
<第二工程について>
第二工程では、前記第一工程を経た有機溶剤中にラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加する。
第二工程では、前記第一工程を経た有機溶剤中にラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加する。
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体としては、例えば、トリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ-ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジ-ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジ-ペンタエリスリトールペンタアクリレートモノプロピオネート等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を混合して使用する。特にラジカル重合性二重結合を4個以上有する単量体を使用すると樹脂層がより緻密となり、金属アルミニウム粉末が直接空気中の水分との接触することが少なく腐食が進みにくい為、貯蔵安定性に優れ、本発明の効果を実現することができる。
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体の使用量は、該フレーク状金属アルミニウム粉末の種類と特性、特にそのWCAによって異なるが、フレーク状金属アルミニウム粉末100重量部に対して1.5~14.0重量部の間であり、更に好ましくは、1.5~10.0重量部である。1.5重量部以上ではフレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われ、本発明の効果である密着性と貯蔵安定性を十分満足させることができ、14.0質量部以下では本発明の効果である金属感と意匠性の低下を抑えることができ好ましい。
金属アルミニウム粉のWCAが異なる場合は、WCAに応じたラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体の使用量を適宜調整する必要がある。WCAが大きくなった場合、使用するラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体の使用量も多くすることで、フレーク状金属アルミニウム粉末表面への樹脂層の形成が十分に行われる。その為、金属アルミニウム粉末が直接空気中の水分との接触することが少なく腐食が進みにくい為、貯蔵安定性に優れ、本発明の効果を実現することができる。
重合開始剤は、一般にラジカル発生剤として知られるものであり、その種類は特に制限されない。重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ビス-(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキサイド類、および2,2’-アゾビス-イソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。その使用される量は、重合性モノマーの反応速度と特に有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度によってそれぞれ調整され、フレーク状金属アルミニウム粉末100重量部に対して、0.1重量部~25重量部程度である。有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度が高い場合は少量の重合開始剤量でも十分であるが、有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度が低い場合は重合開始剤量を増やすことで、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体同士の重合および第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着したラジカル重合性不飽和カルボン酸への重合が十分となり本発明の効果である密着性と貯蔵安定性が実現することができる。
重合開始剤は、一般にラジカル発生剤として知られるものであり、その種類は特に制限されない。重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ビス-(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキサイド類、および2,2’-アゾビス-イソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。その使用される量は、重合性モノマーの反応速度と特に有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度によってそれぞれ調整され、フレーク状金属アルミニウム粉末100重量部に対して、0.1重量部~25重量部程度である。有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度が高い場合は少量の重合開始剤量でも十分であるが、有機溶剤中のフレーク状金属アルミニウム粉末の重量濃度が低い場合は重合開始剤量を増やすことで、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体同士の重合および第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着したラジカル重合性不飽和カルボン酸への重合が十分となり本発明の効果である密着性と貯蔵安定性が実現することができる。
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体及び重合開始剤の添加の態様としては、両方を同時に一括で添加する態様、両方を同時に徐々に添加する態様、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体を先に添加後重合開始剤のみを徐々に添加する態様、などの種々の態様をとることができるが、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体は、一括で添加することが望ましい。一括で添加することにより、有機溶剤中での濃度を高くでき、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体同士の重合および第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着したラジカル重合性不飽和カルボン酸への重合効率を高めることができる。その為、より少ないラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体量で樹脂被覆することができ、金属感と意匠性の低下を抑えるという本発明の効果を実現できる。
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体及び重合開始剤の添加は、攪拌しながら、加温された状態で添加するのが望ましい。添加する際の温度は、重合が生ずればよく特に限定されないが60℃~150℃が好ましい。また、重合効率を高めるために窒素、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で添加、重合することが望ましい。
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体及び重合開始剤の添加後の重合は、攪拌を連続、もしくは断続的に行い、分散を維持した状態で、60℃~150℃の温度で引き続き5分~10時間の間で行うのが望ましい。この時間にすることで、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体同士の重合および第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着したラジカル重合性不飽和カルボン酸への重合が十分となる。
ここにいう重合時間とは、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体及び重合開始剤のラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とが反応系中に同時に存在した時点から、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体の未反応物が1%未満になるまでの時間をいう。
本発明のアルミニウム顔料を含有するメタリック塗料及びメタリックインキは、溶剤型、水性型等、何れの形態でも使用可能である。また、このメタリック塗料及びメタリックインキは主として3つの基本成分、即ち(a)塗料用樹脂、(b)アルミニウム顔料、(c)希釈剤から適宜選択して作製すればよい。
溶剤型塗料及びインキで使用する塗料用樹脂としては、従来メタリック塗料及びメタリックインキで用いられている塗料用樹脂の中の任意のものを用いることができる。その樹脂としては、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、オイルフリーアルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし混合して用いてもよい。
溶剤型塗料及びインキとして使用する場合の本発明のアルミニウム顔料の使用量は、塗料用樹脂100重量部に対して0.1重量部~300重量部であることが好ましく、更に0.2重量部~200重量部用いることが好ましい。0.1重量部以上ではメタリック塗料及びメタリックインキとして必要な金属光沢が十分であり、また、300重量部以下では塗装及び印刷作業性が良く、かつ、塗膜物性に優れ実用的である。
溶剤型塗料及びインキにおいて使用できる希釈剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系化合物、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族系化合物、エタノール、プタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン等のケトン類、トリクロロエチレン等の塩素化合物、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類が挙げられ、これらの希釈剤は単独または二種以上混合して使用できる。その組成は塗料用及びインキ用樹脂に対する溶解性、塗膜形成特性、塗装作業性等を考慮して適宜決定すればよい。
さらに、メタリック塗料及びメタリックインキには、塗料業界で一般に使用されている顔料、染料、湿潤剤、分散剤、色分れ防止剤、レベリング剤、スリップ剤、皮張り防止剤、ゲル化防止剤、消泡剤等の添加剤を加えることができる。
また、メタリック塗料及びメタリックインキは、水性塗料用樹脂を用いることにより水性塗料としても使用可能である。ただし、本発明のアルミニウム顔料が水性塗料及びインキ中で水と反応するような場合には、反応阻害剤の添加が必要となる。ここで水性塗料用及びインキ用の樹脂とは、水溶性樹脂または水分散性樹脂であって、これらの単独または混合物であってもよい。その種類は目的、用途により千差万別であり、特に限定されるものではないが、塗料用では、一般にはアクリル系、アクリル-メラミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の水性塗料用樹脂が挙げられ、中でもアクリルーメラミン系が最も汎用的に使用されている。
水性塗料及びインキに使用される本発明のアルミニウム顔料は、塗料用樹脂100重量部に対して0.1重量部~300重量部である。特に0.2重量部~200重量部用いることが好ましい。0.1重量部以上ではメタリック塗料及びメタリックインキとして必要な金属光沢が十分であり、また、300重量部以下では塗装及び印刷作業性が良く、かつ、塗膜物性に優れ実用的である。
また、各種添加剤としては、例えば、分散剤、増粘剤、タレ防止剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、成膜助剤、界面活性剤、その他の有機溶剤、水等、当該分野に於いて通常使用され得るものであって、本発明の効果を損なわないものが使用でき、また、本発明の効果を損なわない程度の量であれば、添加しても差し支えない。
<XPS測定によるアルミニウムの割合>
樹脂被覆されたアルミニウム顔料をXPS測定すると、樹脂由来の元素が検出される他に、アルミニウム元素も検出される。高い意匠性を維持する為に樹脂被覆が薄膜になりすぎると、薄樹脂被覆の欠陥が生じ基材のアルミニウムが露出する割合が多くなり、貯蔵安定性が悪くなる。
アルミニウムの相対元素濃度は、貯蔵安定性の観点から15原子%以下であり、好ましくは9原子%以下、より好ましくは6原子%以下、もっとも好ましくは3原子%以下である。アルミニウム割合の下限は、0.1原子%が好ましい。
アルミニウムの割合は、樹脂被覆前に混錬することにより、15原子%以下とすることができる。すなわち、樹脂被覆前に、フレーク状金属アルミニウム粉末を、例えばニーダーミキサーにて混錬することによって、軟凝集していたアルミニウム粒子を予め1次粒子になるように解すことにより、金属アルミニウム表面を樹脂で一様に被覆することができ、アルミニウムの割合を低めにすることができる。樹脂被覆前に混錬しないと、アルミニウムの割合が15原子%を超えてしまうことがある。
樹脂被覆されたアルミニウム顔料をXPS測定すると、樹脂由来の元素が検出される他に、アルミニウム元素も検出される。高い意匠性を維持する為に樹脂被覆が薄膜になりすぎると、薄樹脂被覆の欠陥が生じ基材のアルミニウムが露出する割合が多くなり、貯蔵安定性が悪くなる。
アルミニウムの相対元素濃度は、貯蔵安定性の観点から15原子%以下であり、好ましくは9原子%以下、より好ましくは6原子%以下、もっとも好ましくは3原子%以下である。アルミニウム割合の下限は、0.1原子%が好ましい。
アルミニウムの割合は、樹脂被覆前に混錬することにより、15原子%以下とすることができる。すなわち、樹脂被覆前に、フレーク状金属アルミニウム粉末を、例えばニーダーミキサーにて混錬することによって、軟凝集していたアルミニウム粒子を予め1次粒子になるように解すことにより、金属アルミニウム表面を樹脂で一様に被覆することができ、アルミニウムの割合を低めにすることができる。樹脂被覆前に混錬しないと、アルミニウムの割合が15原子%を超えてしまうことがある。
本発明のアルミニウム顔料は自動車用、一般家電用、携帯電話に代表される情報家電用、印刷用に、それぞれ鉄やマグネシウム合金などの金属、あるいはプラスチック等の基材の塗装用、印刷用途に好適に使用でき、高い意匠性を発揮できる。
次に、本発明の実施例を示す。また、本実施例で用いる試験方法および測定方法を以下に詳述する。
[メタリック塗料(I)の調製]
実施例1~3及び比較例1~4で作成されたアルミニウム顔料組成物(樹脂被覆アルミニウム顔料)を使用して、メタリック塗料(I)を以下の配合量で作製した。
アルミニウム顔料組成物:不揮発分として5g、
シンナー(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエースシンナーNo.2726」):50g、
アクリル樹脂(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエースNo.7160」):33g
そして、作製したメタリック塗料(I)を用いて、以下の評価を行った。
作製したメタリック塗料(I)を、エアスプレー装置を用いてABS樹脂板に乾燥膜厚が10μmになるように塗装し、60℃のオーブンで30分乾燥し、評価用塗板を得た。
上記の評価用塗板を用いて、以下の評価(評価1(密着性)及び評価2(光沢保持率))を行った。
[評価1(密着性)]
セロテープ(登録商標:ニチバン株式会社製、CT-24)を、上記の評価用塗板の塗膜に密着させ、45度の角度で引っ張り、アルミニウム顔料粒子の剥離度合いを目視で観察した。判定方法は以下の通りである。
○:剥離なし
△:やや剥離あり
×:剥離あり
実施例1~3及び比較例1~4で作成されたアルミニウム顔料組成物(樹脂被覆アルミニウム顔料)を使用して、メタリック塗料(I)を以下の配合量で作製した。
アルミニウム顔料組成物:不揮発分として5g、
シンナー(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエースシンナーNo.2726」):50g、
アクリル樹脂(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエースNo.7160」):33g
そして、作製したメタリック塗料(I)を用いて、以下の評価を行った。
作製したメタリック塗料(I)を、エアスプレー装置を用いてABS樹脂板に乾燥膜厚が10μmになるように塗装し、60℃のオーブンで30分乾燥し、評価用塗板を得た。
上記の評価用塗板を用いて、以下の評価(評価1(密着性)及び評価2(光沢保持率))を行った。
[評価1(密着性)]
セロテープ(登録商標:ニチバン株式会社製、CT-24)を、上記の評価用塗板の塗膜に密着させ、45度の角度で引っ張り、アルミニウム顔料粒子の剥離度合いを目視で観察した。判定方法は以下の通りである。
○:剥離なし
△:やや剥離あり
×:剥離あり
[評価2(光沢保持率)]
光沢計(スガ試験機(株)製、デジタル変角光沢計UGV-5D)を用いて60度光沢(入射角、反射角とも60度)を測定する。上記で作製した塗板の60度光沢の測定値をG’、未処理フレーク状金属アルミニウム粉末を用いて同様に作製した塗板の60度光沢の測定値をGとし、光沢保持率Rを下式によって求める。
R=(G’/G)×100
判定方法は以下の通りである。
◎:95以上
〇:90以上
×:90未満
光沢計(スガ試験機(株)製、デジタル変角光沢計UGV-5D)を用いて60度光沢(入射角、反射角とも60度)を測定する。上記で作製した塗板の60度光沢の測定値をG’、未処理フレーク状金属アルミニウム粉末を用いて同様に作製した塗板の60度光沢の測定値をGとし、光沢保持率Rを下式によって求める。
R=(G’/G)×100
判定方法は以下の通りである。
◎:95以上
〇:90以上
×:90未満
[メタリック塗料(II)の調製]
実施例1~3及び比較例1~4で作成されたアルミニウム顔料組成物(樹脂被覆アルミニウム顔料)240gを、容器容量が300mlの金属缶にそれぞれ入れた後、蓋をして密閉した缶を20℃の恒温室に90日間静置した(A)。同様に作成したものを50℃の乾燥機に90日間静置した(B)。これらを使用してメタリック塗料(II)を以下の配合量で作成した。
アルミニウム顔料組成物:5g、
シンナー(関西ペイント株式会社製、商品名「アクリックNo.2000GLシンナー」):8g、
アクリル樹脂(関西ペイント株式会社製、商品名「アクリックNo.2026GLクリアー」):97g)
そして、作製したメタリック塗料(II)を用いて、以下の評価(評価3(貯蔵安定性評価))を行った。
実施例1~3及び比較例1~4で作成されたアルミニウム顔料組成物(樹脂被覆アルミニウム顔料)240gを、容器容量が300mlの金属缶にそれぞれ入れた後、蓋をして密閉した缶を20℃の恒温室に90日間静置した(A)。同様に作成したものを50℃の乾燥機に90日間静置した(B)。これらを使用してメタリック塗料(II)を以下の配合量で作成した。
アルミニウム顔料組成物:5g、
シンナー(関西ペイント株式会社製、商品名「アクリックNo.2000GLシンナー」):8g、
アクリル樹脂(関西ペイント株式会社製、商品名「アクリックNo.2026GLクリアー」):97g)
そして、作製したメタリック塗料(II)を用いて、以下の評価(評価3(貯蔵安定性評価))を行った。
[評価3(貯蔵安定性評価)]
貯蔵安定性評価は上記(A)と(B)の輝度の差異の大きさによって判定する。輝度は、関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR-200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と-35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角-35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:(A)と(B)の差異が0.7未満のもの
〇:(A)と(B)の差異が1.0未満のもの
×:(A)と(B)の差異が1.0以上のもの
貯蔵安定性評価は上記(A)と(B)の輝度の差異の大きさによって判定する。輝度は、関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR-200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と-35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角-35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:(A)と(B)の差異が0.7未満のもの
〇:(A)と(B)の差異が1.0未満のもの
×:(A)と(B)の差異が1.0以上のもの
[評価4(樹脂の膜厚)]
前処理として、樹脂被覆金属顔料を過剰のメタノール及びクロロホルムで超音波洗浄をして、その後、真空乾燥し、再度アセトンに分散・洗浄後、自然乾燥を行った。これにプラチナを2nm程度コーティング、その後エポキシ樹脂で包埋し完全硬化させた。トリミングとウルトラミクロトームで切片切り出しを行い、その断面の走査型透過電子顕微鏡(以下STEMと略記する)で、観察を行い、樹脂被覆層の膜厚を観察した。1視野1μm幅の観察を10視野行い、各視野毎ランダムに10点の膜厚を測定し、その平均値を平均膜厚とした。本発明の樹脂被覆アルミニウム顔料における樹脂の平均膜厚は2~30nmであり、好ましくは、3~28nmである。
前処理として、樹脂被覆金属顔料を過剰のメタノール及びクロロホルムで超音波洗浄をして、その後、真空乾燥し、再度アセトンに分散・洗浄後、自然乾燥を行った。これにプラチナを2nm程度コーティング、その後エポキシ樹脂で包埋し完全硬化させた。トリミングとウルトラミクロトームで切片切り出しを行い、その断面の走査型透過電子顕微鏡(以下STEMと略記する)で、観察を行い、樹脂被覆層の膜厚を観察した。1視野1μm幅の観察を10視野行い、各視野毎ランダムに10点の膜厚を測定し、その平均値を平均膜厚とした。本発明の樹脂被覆アルミニウム顔料における樹脂の平均膜厚は2~30nmであり、好ましくは、3~28nmである。
[評価5(XPS:アルミニウムの割合)]
本発明のアルミニウム顔料0.1gを15mlサンプル缶に採取し、ヘキサンを加え分散させた。これを遠心分離(8,000rpm×3min.)にかけアルミニウム粉を沈降させ、上澄み液を除去した。このヘキサン分散、遠心分離、上澄み液除去を3回繰り返し、アルミニウム粉を洗浄した。風乾し、アルミニウム粉をサンプル管から取り出して薬包紙上に載せ、両面テープが付いたSiウェハー片(約3mm四方)を押し付けてSiウェハー片にアルミニウム粉を転写させ、XPS(アルバックファイ Versa probeII)測定を実施した。
本発明のアルミニウム顔料0.1gを15mlサンプル缶に採取し、ヘキサンを加え分散させた。これを遠心分離(8,000rpm×3min.)にかけアルミニウム粉を沈降させ、上澄み液を除去した。このヘキサン分散、遠心分離、上澄み液除去を3回繰り返し、アルミニウム粉を洗浄した。風乾し、アルミニウム粉をサンプル管から取り出して薬包紙上に載せ、両面テープが付いたSiウェハー片(約3mm四方)を押し付けてSiウェハー片にアルミニウム粉を転写させ、XPS(アルバックファイ Versa probeII)測定を実施した。
次に、本発明の実施例を挙げて詳細な説明をする。なお、以下の記載における%は重量%を示す。
アルミニウムペースト(フレーク状金属アルミニウム粉末を含むもの)700gをニーダー(ダルトン KDH(J)-2)に入れ、25℃、42rpmで60分混錬した。
使用したアルミニウムペーストは、加熱残分75重量%であり、含まれるフレーク状金属アルミニウム粒子は、平均粒径10μm、WCA:2.5m2/g、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の比は50で、平均表面粗さRa:15nm、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRc:60nmであった。
容積1リットルの四つ口フラスコに上記の混錬後のアルミニウムペースト100gを入れ、ミネラルスピリット500gを加え、窒素ガスを導入しながら撹拌し、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、アクリル酸0.37gを添加し70℃で30分撹拌を続けた。
次にトリメチロールプロパントリメタクリレート1.12gと2、2’-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(重合開始剤)2.0gを一括添加し、系内の温度を70℃に保ちながら合計6時間重合した。この時点でサンプリングしたろ液中のトリメチロールプロパントリメタクリレートの未反応量をガスクロマトグラフィで分析したところ、添加量の99%以上が反応していた。重合終了後、自然冷却し、ペースト状の本願発明のアルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、74.1重量%であった。
アルミニウムペースト(フレーク状金属アルミニウム粉末を含むもの)700gをニーダー(ダルトン KDH(J)-2)に入れ、25℃、42rpmで1時間混錬した。
使用したアルミニウムペーストは、加熱残分75重量%であり、含まれるフレーク状金属アルミニウム粒子は、平均粒径10μm、WCA:3.5m2/g、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の比は50で、平均表面粗さRa:15nm、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRc:60nmであった。
容積2リットルの四つ口フラスコに上記の混錬後のアルミニウムペースト100gを入れ、ミネラルスピリット1475gを加え、窒素ガスを導入しながら撹拌し、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、アクリル酸1.5gを添加し70℃で30分撹拌を続けた。
次にトリメチロールプロパントリメタクリレート3.75gと2、2’-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(重合開始剤)3.0gを一括添加し、系内の温度を70℃に保ちながら合計6時間重合した。この時点でサンプリングしたろ液中のトリメチロールプロパントリメタクリレートの未反応量をガスクロマトグラフィで分析したところ、添加量の99%以上が反応していた。重合終了後、自然冷却し、ペースト状の本願発明のアルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、73.6重量%であった。
次にトリメチロールプロパントリメタクリレート3.75gと2、2’-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(重合開始剤)3.0gを一括添加し、系内の温度を70℃に保ちながら合計6時間重合した。この時点でサンプリングしたろ液中のトリメチロールプロパントリメタクリレートの未反応量をガスクロマトグラフィで分析したところ、添加量の99%以上が反応していた。重合終了後、自然冷却し、ペースト状の本願発明のアルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、73.6重量%であった。
実施例2で使用したモノマーをトリメチロールプロパントリメタクリレート2.25gとジトリメチロールプロパンテトラアクリレート1.5gとしたこと以外は実施例2と同様にしてアルミニウム顔料を作製した。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、74.1重量%であった。
実施例2のトリメチロールプロパントリメタクリレート添加量を9.75gとしたこと以外は実施例2と同様にしてアルミニウム顔料を作製した。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、74.2重量%であった。
[比較例1]
実施例1のニーダーよる混錬をしなかったこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム顔料を作製した。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、73.9重量%であった。
実施例1のニーダーよる混錬をしなかったこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム顔料を作製した。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、73.9重量%であった。
[比較例2]
フレーク状金属アルミニウム粒子(加熱残分75重量%、平均粒径10μm、WCA:2.5m2/g、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の比は50で、平均表面粗さRa:15nm、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRc:60nm)100gを容積1リットルの四つ口フラスコに入れ、ミネラルスピリット500gを加え、窒素ガスを導入しながら撹拌し、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、アクリル酸0.3gを添加し70℃で30分撹拌を続けた。
フレーク状金属アルミニウム粒子(加熱残分75重量%、平均粒径10μm、WCA:2.5m2/g、平均厚みt(μm)に対する平均粒径d50(μm)の比は50で、平均表面粗さRa:15nm、表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRc:60nm)100gを容積1リットルの四つ口フラスコに入れ、ミネラルスピリット500gを加え、窒素ガスを導入しながら撹拌し、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、アクリル酸0.3gを添加し70℃で30分撹拌を続けた。
次にトリメチロールプロパントリメタクリレート11.2gと2、2’-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(重合開始剤)2.0g、及びミネラルスピリット85gからなる溶液を作製し、定量ポンプにより約0.55g/min.の速度で反応槽にこの溶液を添加し、系内の温度を70℃に保ちながら合計6時間重合した。この時点でサンプリングしたろ液中のトリメチロールプロパントリメタクリレートの未反応量をガスクロマトグラフィで分析したところ、添加量の99%以上が反応していた。重合終了後、自然冷却し、ペースト状の本願発明のアルミニウム顔料を得た。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、74.0重量%であった。
[比較例3]
実施例1のニーダーよる混錬時間を10分としたこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム顔料を作製した。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、73.9重量%であった。
実施例1のニーダーよる混錬時間を10分としたこと以外は実施例1と同様にしてアルミニウム顔料を作製した。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、73.9重量%であった。
[比較例4]
実施例2のトリメチロールプロパントリメタクリレート添加量を1.12gとしたこと以外は実施例2と同様にしてアルミニウム顔料を作製した。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、74.2重量%であった。
実施例2のトリメチロールプロパントリメタクリレート添加量を1.12gとしたこと以外は実施例2と同様にしてアルミニウム顔料を作製した。このアルミニウム顔料の加熱残分(JIS-K-5910による)は、74.2重量%であった。
これを用いて、上記試験方法および測定方法に基づいて性能評価を行った結果を表1に示す。
Claims (6)
- 樹脂がフレーク状金属アルミニウム粉末表面全体に付着した樹脂被覆アルミニウム顔料であって、当該樹脂の平均膜厚が2~30nmであり、XPSで測定した時のアルミニウムの割合が15原子%以下である樹脂被覆アルミニウム顔料。
- フレーク状金属アルミニウム粉末の平均粒子長径が1~100μmであり、平均厚みが0.3μm以下である請求項1に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
- フレーク状アルミニウム金属粉末の水面拡散面積が2.5m2/g以上である請求項1または請求項2に記載のアルミニウム顔料。
- フレーク状アルミニウム金属粉末が、平均表面粗さRaが20nm以下、または、平均表面粗さ曲線の凹凸の平均高さRcが80nm以下である請求項1~請求項3のいずれかに記載のアルミニウム顔料。
- 前記樹脂が、ラジカル重合性二重結合を4個以上有する単量体を少なくとも1種含む単量体から形成された(共)重合体である請求項1~請求項4のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
- フレーク状金属アルミニウム粉末を、1次粒子になるように解する工程(混錬工程);
上記混錬工程で得られた金属アルミニウム粒子を、有機溶剤中に分散させる工程(分散工程);
その後加温し、攪拌しながら、ラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸モノまたはジエステル、及び、ラジカル重合性二重結合を有するカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を添加し、混合する工程(第一工程);次いで
ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体と重合開始剤とを添加して、第一工程でフレーク状金属アルミニウム粉末表面に吸着した成分と当該ラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体とを重合させて、樹脂層を形成させる工程(第二工程)、
を含む、樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。
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