以下、本発明の第一実施形態であるテープ印刷装置1について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、特に特徴的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
まず、図1乃至図3を参照して、テープ印刷装置1の概略構成について説明する。なお、以下の説明において、図1の右斜め上側を、テープ印刷装置1の前端側とし、左斜め下側を、テープ印刷装置1の後端側とし、右斜め下側を、テープ印刷装置1の右側とし、左斜め上側を、テープ印刷装置1の左側とする。
図1に示すように、テープ印刷装置1は略直方体状に形成されている。その上面の前端側には、印刷データや、設定画面等を表示するための液晶表示部4が設けられている。その後端側には、テープ印刷装置1を操作するためのキーボード部3が設けられている。キーボード部3には、文字等やコマンド等を入力するための複数のキー31、数字を入力するためのテンキー32、液晶表示部4に表示されるカーソル(図示省略)を上下左右に移動させるためのカーソルキー8等が各々設けられている。さらに、液晶表示部4とカーソルキー8との間には、電源ボタン7が設けられている。液晶表示部4とテンキー32との間には、印刷指示を行う印刷ボタン9が設けられている。また、テープ印刷装置1の前端側の側面には、印刷済みのラベルテープ80(図4及び図5参照)が排出されるテープ排出口19(図3参照)が設けられている。テープ印刷装置1の左側面の前端側には、印刷済みのラベルテープ80を幅方向に切断するためのカットボタン5が設けられている。
一方、図2に示すように、テープ印刷装置1の底面の前端側には、本実施形態であるテープカセット50を着脱するために凹状に形成された平面視矩形状のカセット装着部12が設けられている。カセット装着部12は、ラベルテープ80(図4及び図5参照)の幅がそれぞれ異なる複数種類のテープカセット50(図4参照)を装着することができる。このカセット装着部12の後方には、乾電池を収納するための電池収納部13が隣接して設けられている。これら各部位が設けられたテープ印刷装置1の底面側には、図示省略のカバーが着脱可能に取り付けられる。
次に、カセット装着部12について説明する。なお、以下の説明においては、図3の左斜め上側を、カセット装着部12の前側とし、右斜め下側を、カセット装着部12の後側とし、右斜め上側を、カセット装着部12の右側とし、左斜め下側を、カセット装着部12の左側とする。図3に示すように、カセット装着部12の底板14の中央よりもやや前側(図3の左上側)には、矩形状の放熱板であるヒートシンク16が立設されている。そして、ヒートシンク16の前側の面には、発熱体を有するサーマルヘッド11(図13参照)が設けられている。また、ヒートシンク16の前方には、プラテンローラ22が、透明フィルムテープ81(図6参照)を挟むようにサーマルヘッド11に対向配置されている。透明フィルムテープ81は、プラテンローラ22によってサーマルヘッド11に圧接されながら、サーマルヘッド11によって文字、図形、記号等が印刷されて、ヒートシンク16の右方に設けられたテープ排出口19へ送出される。
底板14の略中央には、インクリボン84(図5参照)を巻き取るためのリボン巻き取り軸15が回動可能に立設されている。また、ヒートシンク16とテープ排出口19との間には、ラベルテープ80を搬送するための搬送駆動軸20が回動可能に立設されている。搬送駆動軸20の後側(図3の右下側)には、位置決め突起21が立設されている。この位置決め突起21が、後述するテープカセット50の凹部91(図7及び図8参照)に挿入されることで、カセット装着部12の上下方向、すなわち、ラベルテープ80の幅方向でのテープカセット50の位置決めが行われる。詳細は後述するが、本実施形態では、いずれの種類のテープカセット50が装着された場合でも、ラベルテープ80の幅方向における中心が、サーマルヘッド11の上下方向(高さ方向)の中心に位置するように、位置決め突起21がテープカセット50を位置決めする。なお、図示しないが、位置決め突起21は底板14の四隅に配設されており、テープカセット50を4箇所で位置決めすることで装着安定性を向上させている。
リボン巻き取り軸15の左側(図3中左下側)には、透過型光学センサであるマーク位置検出装置100が配設されている。このマーク位置検出装置100は、透明フィルムテープ81(図6参照)に付された位置検出用マーク82の幅方向における位置(以下の説明では、位置検出用マーク82の位置とする)を検出する。マーク位置検出装置100は、赤外光を発する発光部110と、発光部110から発せられた赤外光を受ける受光部120とからなる。
カセット装着部12にテープカセット50が正常に装着されると、発光部110及び受光部120が、テープカセット50のセンサ挿入口541、542(図4参照)にそれぞれ挿入される。そして、透明フィルムテープ81が、発光部110及び受光部120の間を搬送される(図9参照)。発光部110は、透明フィルムテープ81に向けて光を照射し、受光部120は、透明フィルムテープ81を透過した光を受ける。なお、マーク位置検出装置100の構造、及びマーク位置検出装置100による位置検出用マーク82の位置の検出方法については後述する。
また、カセット装着部12の底板14における左後方の角部には、カセット識別部10(図8参照)が設けられている。カセット識別部10は、テープカセット50の種類に応じて異なる形状に形成されたテープカセット50の被識別部66(図8参照)を、識別スイッチ6(図8参照)によって識別することで、テープカセット50の種類を識別する。テープカセット50の種類の識別方法については後述する。
次に、図4および図5を参照して、テープ印刷装置1のカセット装着部12に装着されるテープカセット50について説明する。テープカセット50は、所謂ラミネート型のラベルテープ800(図6参照)を排出するものである。なお、テープカセット50の説明については、図4の右斜め下側を、テープカセット50の前側とし、左斜め上側を、テープカセット50の後側とし、右斜め上側をテープカセット50の右側とし、左斜め下側をテープカセット50の左側とする。
はじめに、テープカセット50の外部構造について説明する。図4に示すように、テープカセット50は、上ケース52と下ケース53とから構成されている。テープカセット50には、リボン巻き取りスプール71(図5参照)を回動可能に支持する支持孔55、両面粘着テープスプール168を回動可能に支持する支持孔56、テープスプール164(図5参照)を回動可能に支持する支持孔57が設けられている。なお、図4には、上ケース52に形成された各支持孔55,56,57のみしか図示されていないが、下ケース53についても同様に、上ケース52の各支持孔55,56,57に対向する各支持孔55,56,57が形成されている。
また、テープカセット50には、平面視長方形状のセンサ挿入口541、542が設けられている。テープカセット50がカセット装着部12に正常に装着されると(図2参照)、センサ挿入口541に発光部110が挿入され、センサ挿入口542に受光部120(図3参照)が挿入される。なお、図4には、上ケース52に形成されたセンサ挿入口541、542のみしか図示されていないが、下ケース53についても同様に、上ケース52のセンサ挿入口541、542に対向するセンサ挿入口541、542が形成されている。
また、下ケース53の右後縁には、被識別部66が形成されている。被識別部66は、テープカセット50がカセット装着部12に装着されると、カセット識別部10(図9参照)に接触する。被識別部66には、被識別孔661が複数穿設されている。この被識別孔661の数、および設けられる位置は、テープカセット50の種類ごとに異なる。
また、図4に示すように、テープカセット50の前側(図中右下側)にはアーム部58が設けられている。アーム部58は、テープスプール164から引き出された透明フィルムテープ81、及びリボンスプール70(図5参照)から引き出されたインクリボン84を案内し、開口581から送出する。なお、透明フィルムテープ81、テープスプール164、インクリボン84、及びリボンスプール70については、図5を参照して後述する。
アーム部58の後方には、サーマルヘッド11(図13参照)を備えたヒートシンク16が装着されるヘッド装着部59が設けられている。そして、透明フィルムテープ81及びインクリボン84の搬送方向におけるヘッド装着部59の下流側には、後述するテープ送りローラ62を回動可能に支持する支持孔63が設けられている。テープ送りローラ62は、それに対向する圧接ローラ17との協働により、テープスプール164から透明フィルムテープ81を引き出すものである。また、テープ送りローラ62の近傍位置には、上下一対の規制部材64,65が設けられている。規制部材64,65は、文字が印刷された透明フィルムテープ81を、サーマルヘッド11の下流側で幅方向に規制する。
次に、図5を参照して、テープカセット50の内部構造について説明する。図5に示すように、下ケース53の右後部(図中右上部)には、透明フィルムテープ81を巻回したテープスプール164が回動可能に配置されている。また、下ケース53の左後部(図中左上部)には、両面粘着テープ83を巻回した両面粘着テープスプール168が、回動可能に配置されている。
また、下ケース53の右前部(図中右下部)には、インクリボン84を巻回したリボンスプール70が回動可能に配置されている。さらに、テープスプール164とリボンスプール70との間には、リボン巻き取りスプール71が、回動可能に配置されている。リボン巻き取りスプール71は、リボンスプール70からインクリボン84を引き出すとともに、文字等の印刷で消費されたインクリボン84を巻き取る。なお、リボン巻き取りスプール71の下部にはクラッチバネ76が取り付けられている。このクラッチバネ76は、リボン巻き取りスプール71が逆転することを防ぎ、巻き取ったインクリボン84が緩んでしまうことを防止する。
また、下ケース53のセンサ挿入口541と542との間には、センサ挿入口541、542の間を搬送される透明フィルムテープ81の面方向(面に直交する方向)への移動を規制するガイド部545、546が設けられている。ガイド部545、546は、それぞれテープカセット50の幅方向に延びる2本の円柱部材からなる。2本の円柱部材は、透明フィルムテープ81が挿入される僅かな間隙を形成するように並んで配設されている。透明フィルムテープ81は、この2本の円柱部材の間を搬送される。透明フィルムテープ81は、ガイド部545,546を経由して搬送されることにより、センサ挿入口541、542にそれぞれ挿入された発光部110及び受光部120に対して平行に搬送される。
次に、テープカセット50におけるラベルテープ80の送出経路について簡単に説明する。テープ印刷装置1のテープ送りモータ37(図14)が駆動されると、プラテンローラ22と、圧接ローラ17と、テープ送りローラ62とがそれぞれ回転する。これによって透明フィルムテープ81は、テープスプール164から引き出されて、両面粘着テープ83は、両面粘着テープスプール168から引き出される。
引き出された透明フィルムテープ81の印刷面には、サーマルヘッド11によって、文字等の印刷が行われる。透明フィルムテープ81の印刷面は、テープ送りローラ62と圧接ローラ17との間において、両面粘着テープスプール168から引き出された両面粘着テープ83の粘着層に圧接される。そして、透明フィルムテープ81と両面粘着テープ83とからなる積層テープは、ラベルテープ80として、テープ排出口27からテープカセット50の外部に排出される。
次に、図6を参照して、テープカセット50から排出されるラベルテープ80について説明する。ラベルテープ80は、所謂ラミネート型のテープである。
図6に示すように、ラベルテープ80は一定幅に形成された長尺状のテープであり、透明フィルムテープ81及び両面粘着テープ83によって構成されている。透明フィルムテープ81及び両面粘着テープ83は、その幅方向における中心が、テープカセット50の厚み方向の中心に位置するように、それぞれテープカセット50に配置されている。
透明フィルムテープ81は、自身の印刷面とは反対側の面に、長手方向に連続した帯状の位置検出用マーク82を備えている。第一実施形態では、位置検出用マーク82の幅は、透明フィルムテープ81の想定される幅方向における最大ずれ幅と同一である。第一実施形態では、具体的には1mmである。また、位置検出用マーク82の幅方向一端部821は、透明フィルムテープ81の幅方向における中心に位置する。位置検出用マーク82は、赤外光のみを選択的に吸収する吸収型赤外インクを用いて、透明フィルムテープ81に予め印刷されている。この位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置が、マーク位置検出装置100(図2参照)によって検出されることにより、透明フィルムテープ81の幅方向における位置が検出される。
両面粘着テープ83は、剥離テープ184及び基材テープ185によって構成されている。基材テープ185には、その両面に粘着剤186,187が塗布されており、一方の面にはあらかじめ剥離テープ184が剥離可能に貼り付けられている。そして、他方の面は、透明フィルムテープ81の印刷面に接着されて、印刷面に印刷された文字、図形、記号等の背景となる。両面粘着テープ83は、基材テープ185が内側、剥離テープ184が外側となるように両面粘着テープスプール168に巻回されている。
次に、図7及び図8を参照して、テープカセット50の種類の識別方法について説明する。図7に示すように、テープカセット50の被識別部66には被識別孔661が穿設されている。この被識別孔661の形成パターンは、各テープカセット50の種類に応じて異なるパターンとされている。そして、被識別部66の隣には、カセット装着部12に対するテープカセット50の位置決めを行うための凹状の凹部91が形成されている。そして、ラベルテープ80の幅方向において、凹部91の底面92の位置wと、テープカセット50の中心位置hとの間の距離dが、テープカセット50の厚み(収納されたラベルテープ80の幅)に関わらず同一の距離となるように凹部91が形成されている。
テープカセット50が、カセット装着部12に装着されると、図8に示すように、カセット識別部10の識別センサ基板67に配設された識別スイッチ6の各スイッチ端子軸61が、各被識別孔661に挿入される。図中、左から2番目の識別スイッチ6のように、被識別孔661が設けられている箇所に対向した識別スイッチ6はオフとなる。一方、図中、一番左の識別スイッチ6のように、被識別孔661が設けられていない箇所に対向した識別スイッチ6は、被識別部66の基板によってスイッチ端子軸61が押し込まれることになるため、オンとなる。これら複数の識別スイッチ6のオン・オフの組み合わせに基づいて、テープカセット50の種類が識別される。カセット識別部10及び被識別部66によって識別されるテープカセット50の種類には、テープカセット50が備えるラベルテープ80の幅、ラベルテープ80の種別(レセプター型又はラミネート型)等がある。
次に、位置決め突起21及び凹部91によるテープカセット50の厚み方向(ラベルテープ80の幅方向)の位置決めについて説明する。図8に示すように、テープカセット50がカセット装着部12に装着されると、位置決め突起21が凹部91に挿入される。そして、位置決め突起21の先端が、凹部91の底面92に接触し、テープカセット50が位置決めされる。上述したように、ラベルテープ80の幅方向、すなわち、テープカセット50の厚み方向(図中上下方向)においては、凹部91の奥側にある底面92の位置wと、テープカセット50の中心位置hとの間の距離dが、テープカセット50の厚みに関わらず同一の距離となっている。従って、テープカセット50の厚み方向の中心位置hは、テープカセット50に収納されたラベルテープ80の幅に関わらず、所定位置に位置する。
本実施形態では、テープカセット50の中心位置hが、サーマルヘッド11の高さ方向の中心に位置するように、位置決め突起21の高さ、及び凹部91の形状が決められている。そして、ラベルテープ80の幅方向の中心位置は、テープカセット50に対するラベルテープ80のずれが生じていなければ、テープカセット50の厚み方向の中心に位置している。従って、ラベルテープ80のずれ、テープカセット50の歪み、カセット装着部12に対するテープカセット50の装着不良等が生じていなければ、ラベルテープ80の幅方向の中心位置はサーマルヘッド11の高さ方向の中心に位置する。
そこで、本実施形態では、ラベルテープ80の幅方向の中心位置がサーマルヘッド11の高さ方向の中心位置にある状態を、ラベルテープ80が基準位置にある状態(ずれがない状態)とする。そして、ラベルテープ80を構成する透明フィルムテープ81の幅方向における中心位置が、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置にある状態を、透明フィルムテープ81が基準位置にある状態(ずれがない状態)とする。そして、被印刷媒体である透明フィルムテープ81について、実際の位置と基準位置との差分(ずれ量)に応じて印刷位置を補正している。この詳細については後述する。
次に、図9乃至図12を参照して、テープカセット50の内部を搬送される透明フィルムテープ81の幅方向における位置の検出方法について説明する。透明フィルムテープ81の幅方向における位置の検出は、透明フィルムテープ81に付された位置検出用マーク82の位置を、マーク位置検出装置100によって検出することにより行われる。
はじめに、マーク位置検出装置100の構造について説明する。図9及び図10に示すように、マーク位置検出装置100は、透過型光学センサである。このマーク位置検出装置100は、赤外光を透明フィルムテープ81に向けて発する発光部110と、透明フィルムテープ81を透過した赤外光を受ける受光部120とを備える。
図9に示すように、発光部110は、底板14に立設された板状の支持部材111と、支持部材111に支持され、発光源となる発光素子112と、発光素子112を駆動する駆動回路113(図12参照)とを備える。発光素子112の高さ方向(図中上下方向)における中心位置は、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置と一致する。
受光部120は、支持部材111に対向して位置する板状の支持部材121と、支持部材121に支持され、光を受ける受光素子122と、受光素子からの電流信号を電圧信号に変換する受光回路123(図12参照)とを備える。受光素子122の高さ方向(図中上下方向)における中心位置は、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置と一致する。この受光部120における受光量に基づいて、位置検出用マーク82の位置の検出が行われる。
次に、マーク位置検出装置100を用いた、位置検出用マーク82の幅方向における位置の検出方法について説明する。ここでは、透明フィルムテープ81の想定される幅方向における最大ずれ幅を上下にそれぞれ0.5mmに設定し、実際のずれ幅が下側に0.2mmの場合を例に挙げて説明する。なお、透明フィルムテープ81の幅方向と、サーマルヘッド11の高さ方向と、発光部110及び受光部120の高さ方向とは、いずれも同一である。
テープカセット50が、カセット装着部12に正常に装着されると、発光部110がテープカセット50に形成されたセンサ挿入口541に挿入され、受光部120がセンサ挿入口542に挿入される。センサ挿入口541、542に挿入された発光部110と受光部120とは、テープカセット50の内部を搬送される透明フィルムテープ81を挟んで対向するように位置する。
発光部110が、透明フィルムテープ81に向けて光を照射すると、図11に示すように、透明フィルムテープ81の面には、光照射領域160が形成される。第一実施形態においては、光照射領域160は、半径0.5mmの円形状である。
上述のように、発光素子112と受光素子122との高さ方向(透明フィルムテープ81の幅方向)における位置は、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置に一致する。よって、光照射領域160の中心位置は、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置と一致する。また、透明フィルムテープ81の幅方向における中心位置は、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置に一致する。よって、透明フィルムテープ81に幅方向のずれがない場合、光照射領域160の幅方向における中心位置は、透明フィルムテープ81の幅方向における中心位置に一致する。
ここで、位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置は、透明フィルムテープ81の幅方向における中心位置と一致する。そのため、透明フィルムテープ81に幅方向におけるずれがない場合、図11に示すように、透明フィルムテープ81に付された位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置と、光照射領域160の中心位置とが一致する。この場合、光照射領域160のうちの下側半分の領域を、位置検出用マーク82が占めている。よって、発光部110から発せられた光のうちの下側半分が、位置検出用マーク82に照射されて吸収される。そして、位置検出用マーク82に照射されなかった残りの半分の光が、透明フィルムテープ81を透過して、受光部120に到達する。よって、透明フィルムテープ81に幅方向におけるずれがない場合、受光部120における受光量は、発光部110における発光量の50%となる。
一方、図12に示すように、透明フィルムテープ81の位置が下側に0.2mmずれている場合、位置検出用マーク82の位置も、下側に0.2mmずれている。この場合、位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置は、光照射領域160の中心位置よりも、0.2mm下方になる。すなわち、位置検出用マーク82の幅方向一端部821は、光照射領域160の最下部161から0.3mm(=0.5mm−0.2mm)上方に位置する。この場合には、光照射領域160のうちの、最下部161から0.3mmまでの領域に、位置検出用マーク82が付されている。そのため、光照射領域160の最下部161から0.3mmまでの領域に照射された光が、位置検出用マーク82によって吸収され、吸収されなかった残りの光が、透明フィルムテープ81を透過して、受光部120に到達する。よって、受光部120における受光量は、発光部110における発光量の50%以上となる。
なお、透明フィルムテープ81においては、想定される下側への最大ずれ幅は、0.5mmである。光照射領域160の半径は0.5mmであるため、透明フィルムテープ81が下側に最大量ずれている場合、位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置は、光照射領域160の最下部161の位置と一致する。この場合、光照射領域160において位置検出用マーク82の占める割合は0%となり、位置検出用マーク82によって吸収される光は0となる。よって、発光部110から照射された光は、すべて透明フィルムテープ81を透過して、受光部120に到達する。そのため、受光部120における受光量は、発光部110における発光量の100%となる。
また、透明フィルムテープ81の位置が上側に0.2mmずれている場合、位置検出用マーク82の位置も、上側に0.2mmずれている。この場合、位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置は、光照射領域160の中心位置よりも、0.2mm上方になる。すなわち、位置検出用マーク82の幅方向一端部821は、光照射領域160の最下部161から0.7mm(=0.5mm+0.2mm)上方に位置する。この場合には、光照射領域160のうちの最下部161から0.7mmまでの領域を、位置検出用マーク82が占めている。そのため、最下部161から0.7mmまでの領域に照射された光が、位置検出用マーク82によって吸収され、吸収されなかった残りの光が、透明フィルムテープ81を透過して、受光部120に到達する。よって、受光部120における受光量は、発光部110における発光量の50%以下となる。
なお、透明フィルムテープ81においては、想定される上側への最大ずれ幅は、0.5mmである。光照射領域160の半径は0.5mmであるため、透明フィルムテープ81が上側に最大量ずれている場合、位置検出用マーク82の幅方向一端部821は、光照射領域160の最上部162の位置と一致する。この場合、光照射領域160において位置検出用マーク82の占める割合は100%となる。よって、発光部110から照射された光は、すべて位置検出用マーク82によって吸収される。そのため、受光部120における受光量は、発光部110における発光量の0%となる。
このように、受光部120における受光量は、透明フィルムテープ81の位置に依存する。さらに具体的には、受光部120における受光量は、透明フィルムテープ81の幅方向における基準位置からのずれ量に依存する。受光部120では、受光素子122が光を受けると受光量に応じた電流信号に変換し、受光回路123が受光素子122によって変換された電流信号を電圧信号に変換する。よって、受光回路123が出力する電圧信号は、透明フィルムテープ81の幅方向に位置に依存する。この受光回路123が出力する電圧信号を、適当な演算回路で処理することにより、透明フィルムテープ81の位置を算出することができる。
なお、本実施形態では、透明フィルムテープ81の幅方向における中心位置が、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置と一致する場合に、透明フィルムテープ81が幅方向における基準位置0にあるとする。位置検出用マーク82が基準位置にある場合には、上述のように、受光部120における受光量は、発光部110における発光量の50%となる。この場合には、位置検出用マーク82の位置が「0」として検出される。そして、受光部120における受光量が、発光部110における発光量の50%以上の場合には、位置検出用マーク82が基準位置よりも上方にあるとしてプラスの値が検出される。また、受光部120における受光量が、発光部110における発光量の50%以下となる場合には、位置検出用マーク82が基準位置よりも下方にあるとしてマイナスの値が検出される。
次に、図13乃至図16を参照して、上記構成からなるテープ印刷装置1の電気的構成について説明する。図13に示すように、テープ印刷装置1の制御構成では、制御基板上に形成される制御回路部150が核となっている。制御回路部150は、CPU151、ROM152、CGROM153、RAM154、及び入出力インターフェース155を備え、これらはバス106によって相互に接続されている。
CPU151は、ROM152に予め格納されたプログラムを読み出して実行することにより、テープ印刷装置1全体の制御を司る。ROM152には、識別スイッチ6のオンオフの組合せに対してテープカセットの種類が対応づけられたテープカセット種類テーブル(図示省略)を記憶するテープカセット種類記憶領域(図示外)や、テープ印刷装置1の動作に必要な各種プログラムを記憶するプログラム記憶領域(図示外)等が設けられている。CGROM153は、多数の文字、図形、記号等の各々に関して、印刷のためのドットパターンデータをコードデータに対応させて格納するものである。
RAM154には、図14に示すように、テープ幅記憶エリア1041、テープ種類記憶エリア1042、基準使用ドット記憶エリア1043、補正済み使用ドット記憶エリア1044、印刷データ記憶エリア1045、印刷枚数記憶エリア1046、検出マーク位置記憶エリア1047が少なくとも設けられている。テープ幅記憶エリア1041には、識別スイッチ6によって識別されたラベルテープ80の幅が記憶される。テープ種類記憶エリア1042には、識別スイッチ6によって識別されたテープ種類が記憶される。
基準使用ドット記憶エリア1043には、ラベルテープ80の幅に応じてサーマルヘッド11が使用する、ずれに応じた補正が行われる前の使用ドットである基準使用ドットが記憶される。補正済み使用ドット記憶エリア1044には、ずれに応じた補正が基準使用ドットに対して行われた結果の使用ドットである補正済み使用ドットが記憶される。印刷データ記憶エリア1045には、入力された印刷データが記憶される。印刷枚数記憶エリア1046には、印刷の残り枚数を計数するカウンタNの値が記憶される。検出マーク位置記憶エリア1047には、マーク位置検出装置100によって検出された位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置が記憶される。
入出力インターフェース155には、識別スイッチ6、キーボード部3が接続されている。また、入出力インターフェース155には、ディスプレイコントローラ(以下、LCDCという)109、及び駆動回路107,108が接続されている。LCDC107は、液晶表示部4に表示データを出力する。駆動回路107はサーマルヘッド11を駆動し、駆動回路108は、テープを搬送するためのテープ送りモータ37を駆動する。また、入出力インターフェース155には、駆動回路113、および受光回路123が接続されている。駆動回路113は、発光素子112を駆動させ、受光回路123は、受光素子122からの電流信号を電圧信号に変換する。
次に、図15及び図16を参照して、テープ印刷装置1で行われる処理について説明する。テープ印刷装置1の電源がオンとされると、CPU151が、ROM152に記憶されたメインプログラムに従ってメイン処理を実行する。
まず、テープカセット50がカセット装着部12に装着されているか否かが判断される(S1)。装着されていないと判断された場合には(S1:NO)、この判断が繰り返し行われる。テープカセット50が装着されていると判断された場合には(S1:YES)、カセット識別部10が備える複数の識別スイッチ6のオン・オフの組み合わせに基づいて、装着されたテープカセット50の種類が識別される。そして、ROM152に記憶されたテープカセット種類テーブル(図示省略)が参照されて、ラベルテープ80の幅、及びテープの種類(レセプター型又はラミネート型)が識別される(S2)。識別されたテープ幅は、RAM154のテープ幅記憶エリア1041に記憶される。また、検出されたテープの種類は、テープ種類記憶エリア1042に記憶される。
次いで、位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置が、マーク位置検出装置100によって検出される(S3)。第一実施形態係るテープ印刷装置1では、サーマルヘッド11の高さ方向(図3における上下方向)の中心位置と、位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置とが一致する場合を、位置検出用マーク82及び透明フィルムテープ81の基準位置としている。
よって、位置検出用マーク82が基準位置にある場合には、上述のように、受光部120における受光量は、発光部110における発光量の50%となる。この場合には、位置検出用マーク82の位置が「0」として検出される。そして、受光部120における受光量が、発光部110における発光量の50%以上の場合には、位置検出用マーク82が基準位置よりも上方にあるとしてプラスの値が検出される。また、受光部120における受光量が、発光部110における発光量の50%以下となる場合には、位置検出用マーク82が基準位置よりも上方にあるとしてプラスの値が検出される。検出された位置検出用マーク82の幅方向一端部821の位置は、RAM154の検出マーク位置記憶エリア1047に記憶される(S4)。
そして、検出マーク位置記憶エリア1047に記憶された位置検出用マーク82の位置がそのまま印刷位置の補正値とされて、補正値に応じて印刷位置を補正する印刷位置補正処理が行われる(S8)。
図16に示すように、印刷位置補正処理が開始されると、はじめに、S2で識別されたテープ幅に応じて、サーマルヘッド11の基準使用ドットが決定される(S21)。基準使用ドットとは、ラベルテープ80の幅に応じてサーマルヘッド11が使用する、ずれに応じた補正が行われる前の使用ドットである。すなわち、ラベルテープ80に幅方向のずれが生じていない場合には、基準使用ドットが使用されて印刷が行われることとなる。S21の処理では、テープ幅記憶エリア1041に記憶されたテープ幅と、印刷データ記憶エリア1045に記憶された印刷データとに対応する基準使用ドットが決定されて、RAM154の基準使用ドット記憶エリア1043に記憶される。
次いで、実際の位置検出用マーク82の位置と基準位置との間の距離である補正値の単位が、サーマルヘッド11のドット数に変換される(S22)。具体的には、サーマルヘッド11のドットの中心の間隔が0.02mmである場合、補正値が+0.2mmであれば、0.2mmの幅に収まるドット数は10個であるため、補正値が+0.2mmから+10個に変換される。
次いで、補正済み使用ドットを算出する処理が行われる(S23)。上述したように、補正済み使用ドットとは、ずれに応じた補正が基準使用ドットに対して行われた結果の使用ドットである。この処理では、ドット数に変換された補正値だけ基準使用ドットをずらすことで、補正済み使用ドットが算出される。具体的には、テープ幅方向に直線状に並んだ0番〜127番のドットのうち、基準使用ドットが43番〜83番であり、ドット数に変換された補正値が+10個である場合を考える。この場合、基準使用ドットを+10だけずらした範囲である53番〜93番が補正済み使用ドットとして算出される。算出された補正済み使用ドットは、RAM154の補正済み使用ドット記憶エリア1044に記憶され、記憶された補正済み使用ドットによって実際に印刷が行われることとなる。そして、印刷処理(図15参照)へ戻る。
図15に戻り、印刷位置補正処理(S8)が終了すると、テープカセット50がカセット装着部12から外されたか否かが判断される(S11)。カセット装着部12のカバーが外されたことが検出され、テープカセット50が外されたと判断された場合には(S11:YES)、S1の判断へ戻り、印刷位置を補正するための一連の処理が再び行われる(S2〜S10)。テープカセット50が外されていない場合には(S11:NO)、印刷データ及び印刷枚数がユーザによって入力されたか否かが判断される(S12)。入力されていない場合には(S12:NO)、S11の判断へ戻る。印刷データ及び印刷枚数が入力された場合には(S12:YES)、入力された印刷データが、RAM154の印刷データ記憶エリア1045に記憶される(S13)。そして、印刷の残り枚数を計数するカウンタNに、入力された印刷枚数がセットされて、印刷枚数記憶エリア1046に記憶され(S14)、印刷指示が入力されたか否かの判断へ移行する(S15)。
ユーザによる印刷指示の入力が行われていない場合には(S15:NO)、この判断が繰り返し行われる。印刷指示が入力された場合には(S15:YES)、補正値に応じて算出された補正済み使用ドットによって印刷が行われる(S16)。そして、Nの値が1減算され(S17)、Nの値が「0」であるか否かが判断される(S18)。「0」でない場合には(S18:NO)、印刷がまだ終了していないため、S16の処理へ戻る。「0」である場合には(S18:YES)、S11の判断へ戻る。
以上説明したように、第一実施形態のテープ印刷装置1では、発光部110が、透明フィルムテープ81に向けて赤外光を照射する。受光部120が、発光部110から照射された赤外光のうちの透明フィルムテープ81を透過した赤外光を受光する。この透明フィルムテープ81には、その幅方向における一定位置に、位置検出用マーク82が付されている。この位置検出用マーク82は、赤外光を選択的に吸収する吸収型赤外インクにより形成されている。よって、受光部120における受光量は、透明フィルムテープ81の幅方向における位置に依存する。そのため、テープ印刷装置1では、受光部120における受光量に基づいて、被印刷媒体である透明フィルムテープ81の幅方向における基準位置からのずれ量を求めることができる。
そして、透明フィルムテープ81に幅方向のずれが生じていない場合の位置検出用マーク82の位置である基準位置と、検出された実際の位置検出用マーク82の位置との差分を補正量として印刷位置を補正する。従って、テープカセット50の位置ずれ、テープカセット50内での透明フィルムテープ81の幅方向の位置ずれ、テープ印刷装置1に対するテープカセット50の装着不良等によって、サーマルヘッド11に対する透明フィルムテープ81の位置が幅方向にずれている場合でも、ずれに応じて印刷位置を容易に補正して、適切な位置に印刷を行うことができる。また、透明フィルムテープ81に対して位置補正を行うのではなく、サーマルヘッド11の使用ドットを補正するため、印刷位置を、簡単に補正することができる。
このように、テープ印刷装置1では、受光部120における受光量から簡単に印刷位置の補正を行うことができる。しかも、位置検出用マーク82は、非可視性の吸収型赤外インクにより形成されているため、ラベルテープ80の視認性に影響を与えない。従って、ラベルテープ80の見栄えを維持しつつ、適正な位置に印刷を行うことができる。
また、位置検出用マーク82は、透明フィルムテープ81の幅方向における所定位置に形成されているため、透明フィルムテープ81テープの幅方向におけるずれ量と、位置検出用マーク82の幅方向におけるずれ量は一致する。従って、位置検出用マーク82の位置を検出し、予め設定された基準位置とのずれ量を求めるだけで、被印刷媒体である透明フィルムテープ81の幅方向におけるずれ量を求めることができる。すなわち、位置検出用マーク82の位置を検出することにより、簡単に、印刷位置を補正し、ずれに応じた適切な位置に印刷を行うことができる。
また、位置検出用マーク82は、幅方向に所定の幅を備えているため、位置検出用マーク82の幅方向における位置の変化に伴い、透明フィルムテープ81の面に形成される光照射領域160における位置検出用マーク82の占める割合が変化する。位置検出用マーク82は、赤外光を選択的に吸収するため、光照射領域160における位置検出用マーク82の占める割合の変化に伴い、受光部120における受光量が変化する。よって、受光部120における受光量を、透明フィルムテープ81の位置に依存させることができる。これにより、受光部120における受光量から、簡単に透明フィルムテープ81の位置を求めることができる。
また、第一実施形態においては、位置検出用マーク82の幅と光照射領域の幅方向における長さとが、透明フィルムテープ81の想定される最大ずれ幅以上である。また、透明フィルムテープ81が基準位置にある場合(ずれがない場合)において、光照射領域160における位置検出用マーク82の占める割合を50%としている。よって、透明フィルムテープ81のずれがない場合から透明フィルムテープ81のテープのずれ幅が最大となるまで、連続して光照射領域160における位置検出用マーク82の占める割合を変化させることができる。
第一実施形態では、具体的には、透明フィルムテープ81が基準位置にあるとき、受光部120における受光量は、発光部110における発光量の50%である。そして、透明フィルムテープ81が下側に最大量ずれている場合に、受光量が最大(発光量の100%)となり、透明フィルムテープ81上側に最大量ずれている場合に、受光量は最小(発光量の0%)となる。よって、受光量に基づいて、簡単、かつ確実に透明フィルムテープ81のずれ量をもとめることができる。
また、カセット装着部12にテープカセット50を装着された状態において、ラベルテープ80及びラベルテープ80を構成する透明フィルムテープ81の幅に関わらず、位置検出用マーク82の幅方向一端部821が基準位置に位置する。そして、発光素子112及び受光素子122の配置位置は、ラベルテープ80の幅方向において、基準位置と同一位置である。従って、検出範囲の広い光学センサを用いたり、ラベルテープ80の幅に応じて複数の光学センサを用いたりする必要なく、位置検出用マーク82の位置を検出することができる。
しかも、マーク位置検出装置100は、透過型光学センサであるため、位置検出用マーク82を検出する際、散乱光の影響を小さくすることができる。よって、精度よく、位置検出用マーク82の位置を検出することができる。
さらに、センサ挿入口541と542との間には、透明フィルムテープ81の面方向への移動を規制するガイド部545、546が設けられている。よって、透明フィルムテープ81を、発光部110及び受光部120に対して平行に搬送することができるとともに、透明フィルムテープ81の面方向における位置のばらつきを小さくすることができる。そのため、透明フィルムテープ81の面に形成される光照射領域のばらつきを小さくすることができる。よって、位置検出用マーク82の位置を精度よく検出することができる。
尚、上記第一の実施形態の透明フィルムテープ81が、本発明の「印刷テープ」に相当する。サーマルヘッド11、及び図15のS16でサーマルヘッド11による印刷の動作を制御するCPU151が、本発明の「印刷手段」に相当する。発光部110が、本発明の「光照射手段」に相当する。受光部120が、本発明の「受光手段」に相当する。S3及びS4の処理を行うCPU151が「テープずれ量決定手段」に相当する。図16に示す印刷位置補正処理を行うCPU151が、本発明の「補正手段」に相当する。
次に、本発明の第二実施形態のテープ印刷装置102について、図17及び図18を参照して説明する。第二実施形態のテープ印刷装置102が備えているマーク位置検出装置200は、反射型光学センサである点で、第一実施形態のテープ印刷装置1とは異なる。なお、このテープ印刷装置102は、一部の構成以外は第一実施形態に係るテープ印刷装置1と同じである。よって、同一の構成や処理については同一の番号を付し、説明を省略又は簡略化する。
はじめに、図17を参照して、テープ印刷装置102の構造について説明する。テープ印刷装置102では、サーマルヘッド11及びプラテンローラ22よりもテープ搬送方向上流側に、テープ搬送経路に対向して、マーク位置検出装置200が配設されている。このマーク位置検出装置200は、第一実施形態のマーク位置検出装置100よりも、サーマルヘッド11の近傍に配設されている。
マーク位置検出装置200は、透明フィルムテープ281に向けて光を照射する発光素子210と、透明フィルムテープ281において反射した光を受ける受光素子220と、発光素子210及び受光素子220を支持する支持部材230とを備える反射型の光学センサである。
板状の支持部材230は、サーマルヘッド11及びプラテンローラ22よりもテープ搬送方向上流側に、テープ搬送経路に対向して立設されている。支持部材230のテープ搬送経路に対向する面には、発光素子210及び受光素子220が水平方向に並んで支持されている。発光素子210及び受光素子220は、カセット装着部12の上下方向(高さ方向)の中心位置、すなわち、サーマルヘッド11の高さ方向の中心と同じ高さに配設されている。従って、発光素子210及び受光素子220は、透明フィルムテープ281の幅方向の略中心に対向することとなる。
発光素子210は、透明フィルムテープ281の幅方向の中心近傍に赤外光を照射し、受光素子220は、透明フィルムテープ281において反射された反射光を受ける。テープ印刷装置102では、受光素子220における受光量を検出することで、透明フィルムテープ281の位置を検出する。
次に、図18を参照して、第二実施形態のテープ印刷装置102に装着されるテープカセット250について説明する。テープカセット250においては、アーム部58の前側の根元部分に、厚み方向(図中上下方向)の中心位置に2つの開口部543,544が水平方向に並んで設けられている。開口部543,544は、それぞれ直径1.5mmの円形状に形成されている。テープカセット250がカセット装着部12に正常に装着されると、開口部543は、マーク位置検出装置200の発光素子210に対向する。開口部544は、マーク位置検出装置200の受光素子220に対向する。これにより、発光素子210によって照射された光は、開口部543を通過し、透明フィルムテープ281に到達する。そして、透明フィルムテープ281に付された位置検出用マーク282において反射した光が、受光素子220に到達する。よって、マーク位置検出装置200は、受光素子220における受光量に基づいて、マーク位置を検出できる。よって、テープ印刷装置102は、サーマルヘッド11による印刷が行われる直前の位置検出用マーク282の基準位置からのずれを検出し、検出したずれに応じて印刷位置を補正することが可能となる。よって、より適切な位置に印刷を行うことができる。なお、テープカセット250のその他の構造は、第一実施形態のテープカセット50の構造と同様である。
次に、図18を参照して、テープカセット250に収納されているラベルテープ280について説明する。ラベルテープ280は、第一実施形態のラベルテープ80と同様に、ラミネート型のラベルテープである。ラベルテープ280は、透明フィルムテープ281と、両面粘着テープ83とから構成されている。透明フィルムテープ281は、自身の印刷面とは反対側の面に、長手方向に連続した帯状の位置検出用マーク282を備えている。第二実施形態における位置検出用マーク282は、赤外光のみを選択的に反射する反射型赤外インクを用いて形成されている。この位置検出用マーク282の幅及び位置は、第一実施形態と同様である。この位置検出用マーク282の幅方向一端部の位置が、マーク位置検出装置200(図17参照)によって検出されることにより、透明フィルムテープ281の幅方向における位置(基準位置からのずれ量)が検出される。両面粘着テープ83の構成は第一実施形態と同様である。
次に、マーク位置検出装置200を用いた、位置検出用マーク282の幅方向における位置の検出方法について説明する。第二実施形態におけるテープ印刷装置102では、発光素子210が、透明フィルムテープ281の幅方向の中心近傍に赤外光を照射し、受光素子220が、透明フィルムテープ281において反射された赤外光を受ける。ここで、位置検出用マーク282は、赤外光のみを選択的に反射する反射型赤外インクを用いて形成されているため、位置検出用マーク282に照射された赤外光が反射する。よって、受光素子220における受光量は、位置検出用マーク282の幅方向における位置に依存する。第一実施形態と同様に、位置検出用マーク282は、透明フィルムテープ281の幅方向における一定位置に付されている。従って、受光素子220における受光量を検出することで、透明フィルムテープ281の幅方向における位置(基準位置からのずれ量)を検出することができる。
以上説明したように、第二実施形態のテープ印刷装置102では、位置検出用マーク282において反射された赤外光を受光素子220が受ける。そして、受光素子220における受光量に基づき、位置検出用マーク282の位置(基準位置からのずれ量)が検出される。そして、検出されたずれ量に基づいて、印刷位置の補正が行われる。よって、簡単に印刷位置の補正を行うことができる。
しかも、第二実施形態においては、マーク位置検出装置200は、反射型光学センサであるため、小さく設計することができる。よって、マーク位置検出装置200をテープ印刷装置102内に配置する場合に、広いスペースを必要としない。
また、サーマルヘッド11の近傍に、マーク位置検出装置200を設け、且つ、装着されるテープカセット250には、マーク位置検出装置200に対向する位置に開口部543を設けた。よって、テープ印刷装置102は、サーマルヘッド11による印刷が行われる直前の位置検出用マーク282の位置を検出することができる。よって、サーマルヘッド11による印刷が行われる直前の透明フィルムテープ281の基準位置からのずれを検出し、検出したずれに応じて印刷位置を補正することが可能となる。よって、より適切な位置に印刷を行うことができる。
次に、本発明の第三実施形態のテープ印刷装置について、図19及び図20を参照して説明する。第三実施形態のテープ印刷装置は、マーク位置検出装置の構成が、第一実施形態とは異なる。具体的には、発光部310によって、ラベルテープ380の面に形成される光照射領域360が、第一実施形態における光照射領域160よりも広い点で、第一実施形態とは異なる。また、テープ印刷装置内を搬送される透明フィルムテープ381に付される位置検出用マーク382の幅が、第一実施形態よりも狭い点で、第一実施形態とは異なる。なお、このテープ印刷装置は、一部の構成以外は第一実施形態に係るテープ印刷装置1と同じである。よって、同一の構成や処理については同一の番号を付し、説明を省略又は簡略化する。
はじめに、マーク位置検出装置の構成について説明する。第三実施形態のテープ印刷装置には、第一実施形態のテープ印刷装置1において、マーク位置検出装置100が設けられていた位置に、第三実施形態におけるマーク位置検出装置が設けられている。このマーク位置検出装置は、透過型光学センサである。
図19に示すように、このマーク位置検出装置は、赤外光を透明フィルムテープ381に向けて発する発光部310と、透明フィルムテープ381を透過した赤外光を受ける受光部320とを備える。発光部310は、円形状の発光素子312と、発光素子312を支持する板状の支持部材311とを備える。受光部320は、円形状の受光素子322と、受光素子322を支持する板状の支持部材321とを備える。発光素子312及び受光素子322の高さ方向(図中上下方向)における中心位置は、テープ印刷装置内を搬送される透明フィルムテープ381の幅方向における中心位置の想定される最上端位置と一致する。ここで、透明フィルムテープ81に幅方向におけるずれがない場合、透明フィルムテープ381の幅方向における中心位置と、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置と一致する。よって、例えば、透明フィルムテープ381の想定される上側への最大ずれ幅が0.5mmであったとすると、発光素子312及び受光素子322の高さ方向の中心位置は、サーマルヘッド11の高さ方向の中心位置よりも、0.5mm上方に位置する。
次に、テープ印刷装置内を搬送される透明フィルムテープ381の構造について説明する。透明フィルムテープ381には、自身の印刷面とは反対側の面に、長手方向に連続した帯状の位置検出用マーク382が付されている。第一実施形態における位置検出用マーク82の幅が、透明フィルムテープ81の想定される最大ずれ幅と同一幅であったのに対し、第三実施形態における位置検出用マーク382の幅は、想定される最大ずれ幅よりも狭い。具体的には、第一実施形態における位置検出用マーク82の幅が1mmであったのに対し、第三実施形態における位置検出用マーク82の幅は、0.3mmである。
次に、第三実施形態におけるマーク位置検出装置を用いた位置検出用マーク382の幅方向における位置の検出方法について、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、透明フィルムテープ381の幅方向と、サーマルヘッド11の高さ方向と、発光素子312及び受光素子322の高さ方向とは、いずれも同一である。
テープカセットが、カセット装着部12に正常に装着された状態で、発光素子312が、透明フィルムテープ381に向けて赤外光を照射すると、図20に示すように、透明フィルムテープ381(図19参照)の面には、円形状の光照射領域360が形成される。第一実施形態における光照射領域160の直径が、透明フィルムテープ381の想定される最大ずれ幅と同一であったのに対し、第三実施形態における光照射領域360の直径は、透明フィルムテープ381の想定される最大ずれ幅の2倍である。具体的には、透明フィルムテープ381の想定される最大ずれ幅が、上下にそれぞれ0.5mmとすると、光照射領域360の直径は2mm((0.5mm+0.5mm)×2)である。
上述のように、発光素子312と受光素子322との高さ方向(透明フィルムテープ381の幅方向)における中心位置は、透明フィルムテープ381の幅方向中心位置の想定される最上端位置と一致する。よって、光照射領域360の中心位置は、透明フィルムテープ81の幅方向中心位置の想定される最上端位置と一致する。また、透明フィルムテープ381の幅方向中心位置には、位置検出用マーク382が付されている。
よって、図20に示すように、透明フィルムテープ381が上方向に最大量ずれている場合、位置検出用マーク382の幅方向における位置は光照射領域360の中心位置と一致する(位置a)。また、透明フィルムテープ381に幅方向のずれがない場合、位置検出用マーク382の幅方向における位置は、光照射領域360の中心位置よりも、0.5mm下方に位置する(位置b)。そして、透明フィルムテープ381が下方向に最大量ずれている場合、位置検出用マーク382の幅方向における位置は、光照射領域360の最下部361の位置と一致する(位置c)。
光照射領域360は円形であるため、位置検出用マーク382の幅方向における位置が、光照射領域360の中心位置と一致する場合に、光照射領域360における位置検出用マーク382の占める割合は最大となる。そして、位置検出用マーク382の幅方向における位置が、光照射領域360の中心位置から離れるのに伴い、光照射領域360における位置検出用マーク382の占める割合は小さくなる。
位置検出用マークは、赤外光を吸収する吸収型赤外インクにより形成されているため、受光素子322における受光量は、光照射領域360における位置検出用マーク382の占める割合に依存する。よって、受光素子322における受光量は、透明フィルムテープ81の幅方向における位置に依存する。そのため、第一実施形態で説明した場合と同様に、受光素子322における受光量に基づいて、透明フィルムテープ381の位置を検出し、印刷位置の補正を行うことができる。
第三実施形態におけるテープ印刷装置においては、被印刷媒体となるテープに付す位置検出用マーク382の幅を狭くすることができる。よって、位置検出用マーク382を形成する赤外インクの使用量を減らすことができる。そのため、テープ印刷装置に装着されるテープカセットに収納されるテープを安価に製造することができる。
次に、本発明の第四実施形態のテープ印刷装置について、図21乃至23を参照して説明する。第四実施形態のテープ印刷装置は、マーク位置検出装置400の構成が第一実施形態と異なる。また、テープ印刷装置の内部を搬送される透明フィルムテープ481について、その幅方向両端部に位置検出用マーク482,483がそれぞれ付されている点で、第一実施形態とは異なる。なお、このテープ印刷装置は、マーク位置検出装置400の構成以外は第一実施形態に係るテープ印刷装置1と同じである。よって、同一の構成や処理については同一の番号を付し、説明を省略又は簡略化する。
はじめに、テープ印刷装置に着脱されるテープカセットに収納されるラベルテープ480について説明する。テープ印刷装置には、テープ幅6mmのラベルテープ480を収納するテープカセット、テープ幅12mmのラベルテープ480を収納するテープカセット、テープ幅24mmのラベルテープ480を収納するテープカセットのいずれかが装着される。このラベルテープ480は、透明フィルムテープ481と、両面粘着テープとから構成されるラミネート型のラベルテープである。第一実施形態における透明フィルムテープ81には、その幅方向における中心位置に位置検出用マーク82が付されていたのに対し、第四実施形態における透明フィルムテープ481には、その幅方向両端部に位置検出用マーク482、483がそれぞれ付されている。
位置検出用マーク482、483は、吸収型赤外インクによりそれぞれ形成されている。また、位置検出用マーク482、483の幅は、それぞれ、透明フィルムテープ481の想定される幅方向における最大ずれ幅と同一である。
次に、第四実施形態のテープ印刷装置に設けられるマーク位置検出用装置400について説明する。マーク位置検出用装置400は、第一実施形態のテープ印刷装置1において、マーク位置検出装置100が設けられた位置と同じ位置に設けられている。マーク位置検出装置400は、第一実施形態と同様に、透過型光学センサである。図21に示すように、このマーク位置検出装置400は、赤外光を透明フィルムテープ481に向けて発する発光部410と、透明フィルムテープ481を透過した赤外光を受ける受光部420とを備える。発光部410は、発光源である六つの発光素子441、442、443、444、445、446と、発光素子441、442、443、444、445、446を駆動させる駆動回路413(図13参照)と、発光素子441、442、443、444、445、446を支持する板状の支持部材411とを備える。受光部420は、受光体である六つの受光素子451、452、453、454、455、456と、受光素子451、452、453、454、455、456からの電流信号を電圧信号に変換する受光回路(図13参照)と、受光素子451、452、453、454、455、456を支持する板状の支持部材421とを備える。
ここで、発光素子441、442、443、444、445、446及び受光素子451、452、453、454、455、456の配置について説明する。発光素子441、442、443、444、445、446は、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置よりも、12mm上方、6mm上方、3mm上方、及び、3mm下方、6mm下方、12mm下方に、それぞれ配置されている。六つの受光素子451、452、453、454、455、456は、六つの発光素子441、442、443、444、445、446に対して、透明フィルムテープ481を挟んで互いに対向する位置にそれぞれ配置されている。
上述のように、透明フィルムテープ481に幅方向におけるずれがない場合、透明フィルムテープ481の幅方向における中心位置は、サーマルヘッドの高さ方向における中心位置と一致する。よって、透明フィルムテープ481に幅方向におけるずれがない場合、テープ幅24mmの透明フィルムテープ481の幅方向一端部は、サーマルヘッド11の高さ方向における中心位置よりも12mm上方に位置し、他端部は、当該中心位置よりも12mm下方に位置する。よって、当該中心位置よりも12mm上方に位置する発光素子441から照射された光は、テープ幅24mmの透明フィルムテープ481の幅方向一端部に到達する。また、よって、当該中心位置よりも12mm下方に位置する発光素子446から照射された光は、テープ幅24mmの透明フィルムテープ481の幅方向他端部に到達する。この透明フィルムテープ481の幅方向両端部には、位置検出用マーク482、483がそれぞれ付されているため、発光素子441から照射された光は、位置検出用マーク482に到達する。また、発光素子446から照射された光は、位置検出用マーク483に到達する。
同様に、当該中心位置よりも6mm上方の発光素子442から照射された光は、テープ幅12mmの透明フィルムテープ481の幅方向一端部に到達する。当該中心位置よりも6mm下方の発光素子445から照射された光は、テープ幅12mmの透明フィルムテープ481の幅方向他端部に到達する。よって、発光素子442、445から照射された赤外光は、テープ幅12mmの透明フィルムテープ481に付された位置検出用マーク482、483にそれぞれ到達する。
そして、当該中心位置よりも3mm上方の発光素子443から照射された光は、テープ幅6mmの透明フィルムテープ481の幅方向一端部に到達する。当該中心位置よりも3mm下方の発光素子444から照射された光は、テープ幅6mmの透明フィルムテープ481の幅方向他端部に到達する。よって、発光素子443、444から照射された赤外光は、テープ幅6mmの透明フィルムテープ481に付された位置検出用マーク482、483にそれぞれ到達する。
第四実施形態においても、第一実施形態において説明したように、テープ印刷装置は、受光素子422における受光量に基づいて、位置検出用マーク482の位置を、基準位置からのずれ量として検出することができる。ここで、位置検出用マーク482の基準位置とは、透明フィルムテープ481の幅方向中心位置と、サーマルヘッド11の高さ方向中心位置とが一致する状態における位置検出用マーク482の位置をさす。よって、テープ印刷装置は、透明フィルムテープ481の幅方向両端部の位置を検出することができ、検出された幅方向両端部の位置から、印刷位置を補正することができる。
次に、第四実施形態のテープ印刷装置の電気的構成について説明する。テープ印刷装置の制御構成は、第一実施形態のテープ印刷装置1と同様である。このテープ印刷装置のRAM154には、テープ幅記憶エリア1041、テープ種類記憶エリア1042、基準使用ドット記憶エリア1043、補正済み使用ドット記憶エリア1044、印刷データ記憶エリア1045、印刷枚数記憶エリア1046の他に、第一マーク位置記憶エリア1048、第二マーク位置記憶エリア1049、平均値記憶エリア1050が少なくとも設けられている。テープ幅記憶エリア1041、テープ種類記憶エリア1042、基準使用ドット記憶エリア1043、補正済み使用ドット記憶エリア1044、印刷データ記憶エリア1045、印刷枚数記憶エリア1046は、第一実施形態と同様である。第一マーク位置記憶エリア1048には、マーク位置検出装置400によって検出され透明フィルムテープ841の幅方向一端部に付された位置検出用マーク482の位置(基準位置からのずれ量)が記憶される。第二マーク位置記憶エリア1049には、マーク位置検出装置400によって検出され透明フィルムテープ841の幅方向一端部に付された位置検出用マーク482の位置(基準位置からのずれ量)が記憶される。平均値記憶エリア1050には、第一マーク位置記憶エリア1048に記憶されたずれ量と、第二マーク位置記憶エリア1049に記憶されたずれ量との平均値が記憶される。
次に、図23を参照して、テープ印刷装置で行われるメイン処理について説明する。テープ印刷装置の電源がオンとされると、CPU151が、ROM152に記憶されたメインプログラムに従ってメイン処理を実行する。
まず、テープカセット50がカセット装着部12に装着されているか否かが判断される(S1)。装着されていないと判断された場合には(S1:NO)、この判断が繰り返し行われる。テープカセット50が装着されていると判断された場合には(S1:YES)、カセット識別部10が備える複数の識別スイッチ6のオン・オフの組み合わせに基づいて、装着されたテープカセット50の種類が識別される。そして、ROM152に記憶されたテープカセット種類テーブル(図示省略)が参照されて、ラベルテープ80の幅、及びテープの種類(レセプター型又はラミネート型)が識別される(S2)。識別されたテープ幅は、RAM154のテープ幅記憶エリア1041に記憶される。また、検出されたテープの種類は、テープ種類記憶エリア1042に記憶される。
次いで、位置検出用マーク482の位置が、マーク位置検出装置400によって検出される(S43)。具体的には、まず、RAM154のテープ幅記憶エリア1041に記憶されたテープ幅が参照されて、複数の発光素子412の中から、いずれの発光素子412を駆動させるかが決定される。たとえば、テープ幅記憶エリア1041に「テープ幅6mm」であることが記憶されている場合、サーマルヘッド11の高さ方向中心位置から、3mm上方の発光素子412、及び3mm下方の発光素子412を駆動することが決定される。そして、駆動回路413によって、サーマルヘッド11の高さ方向中心位置から、3mm上方の発光素子412、及び3mm下方の発光素子412が駆動される。
第一実施形態で説明したように、位置検出用マーク482が基準位置にある場合には、上述のように、受光部420における受光量は、発光素子412における発光量の50%となる。この場合には、位置検出用マーク482の位置が「0」として検出される。そして、受光部420における受光量が、発光素子412における発光量の50%以上の場合には、位置検出用マーク842が基準位置よりも上方にあるとしてプラスの値が検出される。また、受光部420における受光量が、発光素子412における発光量の50%以下となる場合には、位置検出用マーク482が基準位置よりも下方にあるとしてプラスの値が検出される。
マーク位置が検出されると(S43)、サーマルヘッド11よりも上方の受光素子422における受光量に基づいて検出された位置検出用マーク482の位置は、RAM154の第一マーク位置記憶エリア1048に記憶される。また、サーマルヘッド11よりも下方の受光素子422における受光量に基づいて検出された位置検出用マーク482の位置は、RAM154の第二マーク位置記憶エリア1049に記憶される(S44)。
そして、第一マーク位置記憶エリア1048、第二マーク位置記憶エリア1049に記憶された値の平均値が算出される(S45)。たとえば、第一マーク位置記憶エリア1048に「+0.1mm」が記憶され、第二マーク位置記憶エリア1049に「+0.2mm」が記憶されている場合、平均値は「+0.15mm」となる。そして、算出された平均値が、RAM154の平均値記憶エリア1050に記憶される(S46)。そして、平均値記憶エリア1050に記憶された値が補正値とされて、補正値に応じて印刷位置を補正する印刷位置補正処理が行われる(S10)。
印刷位置補正処理(S10)は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。印刷補正処理(S10)が終了すると、メイン処理に戻り、第一実施形態と同様の処理が行われる(S11〜S18)。
以上説明したように、第四実施形態のテープ印刷装置によれば、搬送される透明フィルムテープ481の幅方向両端部に、位置検出用マーク482が付されている。よって、幅方向両端部の位置(基準位置からのずれ量)を検出することができる。そして、検出された幅方向両端部の基準位置からのずれ量から、透明フィルムテープ481の基準位置からのずれ量を算出する。よって、たとえば、透明フィルムテープ481の幅のばらつきも考慮して、印刷位置の補正を行うことができる。さらに、発光素子412及び受光素子422の特性にばらつきがあった場合にも、平均化して、精度よくずれ量を求めることができる。
次に、本発明の第五実施形態のテープ印刷装置105について、図24乃至図27を参照して説明する。テープ印刷装置105は、装着されるテープカセット550が所謂レセプター型のラベルテープ580である点で、第一実施形態のテープ印刷装置1とは異なる。また、テープ印刷装置105は、配設されているマーク位置検出装置500が反射型光学センサである点で、第一実施形態のテープ印刷装置1とは異なる。なお、このテープ印刷装置105は、一部の構成以外は第一実施形態に係るテープ印刷装置1と同じである。よって、同一の構成や処理については同一の番号を付し、説明を省略又は簡略化する。
はじめに、第五実施形態のテープ印刷装置105に装着されるテープカセット550の構成について説明する。図24に示すように、テープカセット550の内部には、インクリボン84と、ラベルテープ580とがそれぞれ巻回されて収納されている。テープカセット550の前側(図14における下側)に設けられているアーム部58の開口581からは、インクリボン84とラベルテープ580とが送出される。送出されたラベルテープ580に、サーマルヘッド11によって、印刷が行われる。
以下、テープカセット550に収納されているラベルテープ580について、図25を参照して説明する。第五実施形態のテープカセット550が備えているラベルテープ580は、所謂レセプター型のテープである。
ラベルテープ580は一定幅に形成された長尺状のテープであり、基材テープ585及び剥離テープ586によって構成されている。基材テープ585の一方の面は、サーマルヘッド11による印刷が行われる印刷面となり、他方の面は、粘着剤が塗布された接着面となっている。そして、基材テープ585の接着面に剥離テープ586が剥離可能に貼り付けられている。このラベルテープ580は、剥離テープ586が外側となるようにテープスプール68(図25参照)に巻回されている。
第五実施形態における剥離テープ586は、黒色である。そのため、剥離テープ586に照射された光は、剥離テープ586に吸収される。また、剥離テープ586の外側の面(基材テープ585に接着している面と反対の面)には、長手方向に連続した帯状の位置検出用マーク582が形成されている。第五実施形態における位置検出用マーク582は、第二実施形態における位置検出用マーク182と同様に、赤外光のみを選択的に反射する反射型赤外インクを用いて形成されている。よって、剥離テープ586に照射された光のうち、位置検出用マーク582に照射された光が反射され、位置検出用マーク582の付されていない部分に照射された光は吸収される。
位置検出用マーク582は、幅方向一端部823の位置がラベルテープ580(剥離テープ586)の幅方向における中心位置と一致するようにラベルテープ580に付されている。また、位置検出用マーク582の幅は、ラベルテープ580の想定される幅方向における最大ずれ量以上である。この位置検出用マーク582の幅方向一端部の位置が、マーク位置検出装置500によって検出されることにより、ラベルテープ580の幅方向における位置が検出される。なお、ラベルテープ580は、その幅方向における中心がテープカセット550の厚み方向の中心に位置するように、テープカセット550に配置されている。
次に、図26を参照して、第五実施形態に係るテープ印刷装置105の構成について説明する。図26に示すように、テープ印刷装置105では、第一実施形態のテープ印刷装置1において、マーク位置検出装置100が設けられた位置と同様の位置に、マーク位置検出装置500が設けられている。
このマーク位置検出装置500は、後述するラベルテープ580に向けて光を照射する発光部510と、ラベルテープ580において反射した光を受ける受光部520と、発光部510及び受光部520を支持する支持部材530とを備える反射型の光学センサである。板状の支持部材530は、第一実施形態において支持部材111が立設されていた位置に立設されている。
支持部材530のテープ搬送経路に対向する面には、発光部510及び受光部520が並んで支持されている。発光部510及び受光部520は、カセット装着部12(図3参照)の上下方向(高さ方向)の中心位置、すなわち、サーマルヘッド11の高さ方向の中心と同じ高さに配設されている。従って、発光部510及び受光部520は、ラベルテープ580の幅方向の略中心に対向することとなる。発光部510は、ラベルテープ580の幅方向の中心近傍に光を照射し、受光部520は、ラベルテープ580において反射された反射光を受ける。テープ印刷装置105では、受光部520における受光量を検出することで、ラベルテープ580の位置を検出する。なお、テープ印刷装置105については、マーク位置検出装置500以外の構成は、第一実施形態のテープ印刷装置1の構成と同様である。よって、その他の構成については説明を省略する。
なお、第五実施形態に係るテープ印刷装置105の電気的構成は、第一実施形態に係るテープ印刷装置1と同じである(図8及び図9参照)。また、テープ印刷装置105が行うメイン処理についても、上述した第一実施形態のメイン処理と同じである(図15及び図16参照)。
第五実施形態におけるテープ印刷装置105では、発光部510が、ラベルテープ580の幅方向の中心近傍に光を照射し、受光部520が、ラベルテープ580において反射された反射光を受ける。ここで、位置検出用マーク582は、赤外光のみを選択的に反射する反射型赤外インクを用いて形成されているため、位置検出用マーク582に照射された光が反射する。よって、受光部520における受光量は、位置検出用マーク582の幅方向における位置に依存する。第一実施形態と同様に、位置検出用マーク582は、ラベルテープ580の幅方向における一定位置に付されているため、受光部520における受光量を検出することで、ラベルテープ580の幅方向における位置を検出することができる。よって、レセプター型のラベルテープ580を対象としても、印刷位置の補正を行うことができる。
しかも、第五実施形態においては、マーク位置検出装置500は、反射型光学センサであるため、小さく設計することができる。よって、マーク位置検出装置500を、テープ印刷装置105内に設置する場合に、広いスペースを必要としない。
なお、上記実施形態は、発明を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは、言うまでもない。例えば、光照射領域160の直径は、想定される透明フィルムテープ81の最大ずれ幅以上であればよく、第一実施形態で説明したように同一でなくても良い。第一実施形態においては、照射領域160の直径と想定される透明フィルムテープ81の最大ずれ量とが同一であったため、透明フィルムテープ81が、下側に最大量ずれた場合に、受光部120における受光量が発光部110における発光量の100%であった。しかし、照射領域160の直径を大きくすることにより、たとえば、下側に最大量ずれた場合の受光量を発光量の80%と設定することができる。この場合、受光量が発光量の80%以上となれば、想定される最大ずれ量よりも下側にずれていることが検出できる。この場合に、液晶表示部4に「テープカセットが正しく装着されていません」等のエラーメッセージを表示させるようにすれば、ユーザに、テープカセット50が正しく装着されていないことを知らせることができる。これにより、ユーザは、テープカセット50装着をやり直すことができるため、テープカセット50が正しく装着されないまま印刷が行われることを防止することができる。
また、上述の実施形態においては、位置検出用マークは、赤外線を選択的に吸収する吸収型赤外インク、または赤外線を選択的に反射する反射型赤外インクにより形成されていた。しかし、例えば、所定波長の光照射により励起して赤外光を発光する発光型の赤外インクを用いて位置検出用マークを形成しても良い。
また、第一実施形態においては、位置検出用マーク82の幅は、透明フィルムテープ81の想定される幅方向における最大ずれ幅と同一であったが、最大ずれ幅以上であればよく、同一でなくても良い。
また、発光部110および受光部120の少なくともいずれかに、直径1mm程度の貫通孔を設けた散乱光を防止する遮光カバーを設けても良い。発光部110に遮光カバーを設けた場合、発光部110から発せられた光のうち、貫通孔を通過し、かつ透明フィルムテープ81を透過した光のみが、受光部120に到達する。受光部120に遮光カバーを設けた場合、発光部110から発せられた光のうち、透明フィルムテープ81を透過し、かつ貫通孔を通過した光のみが、受光部120に到達する。このような構成にすることにより、光の散乱による検出精度の悪化を防止することができ、検出精度をいっそう向上させることができる。
また、第三実施形態および第四実施形態においては、マーク位置検出用装置として、透過型光学センサを用いていたが、反射型光学センサを用いてもよい。マーク位置検出用装置として、反射型光学センサを用いた場合には、レセプター型のラベルテープを対象としても、印刷位置の補正が可能となる。
また、第三実施形態においては、光照射領域360の直径は、想定される透明フィルムテープ381の最大ずれ幅の2倍以上であればよく、第三実施形態で説明したように2倍でなくても良い。
また、第五実施形態においては、位置検出用マーク582を剥離テープ586に付したが、剥離テープ585に付しても良い。この場合、マーク位置検出装置の設置位置を、第五実施形態におけるマーク位置検出装置500の設置位置とは、ラベルテープ580を挟んで対向する位置にすれば、マーク位置検出装置は、位置検出用マーク582の位置を検出することができる。
また、第五実施形態においては、赤外光の吸収率の高い(反射率の低い)剥離テープ586に、反射型赤外インクにより形成された位置検出用マーク582が付されていたが、赤外光の反射率の高い(吸収率の高い)テープに吸収型赤外インクにより形成された位置検出用マークを付しても良い。この場合、テープに照射された光のうち、位置検出用マークに照射された光のみが反射するため、受光部520における受光量は、位置検出用マークの位置に依存する。よって、受光部520における受光量に基づいて、ラベルテープ580の位置を検出し、印刷位置の補正を行うことができる。
さらに、マーク位置検出装置100の配設位置は、実施形態に限定されない。たとえば、位置検出用マーク82をラベルテープの幅方向端部に設けた場合や、ラベルテープを構成する剥離テープに設けた場合には、位置検出用マーク82とサーマルヘッド11によって印刷された文字、記号等とが重ならないため、印刷処理が行われた後に、位置検出用マークの位置を検出することができる。この場合には、位置検出用マークの位置を検出するタイミングを印刷処理の前に制限する必要がない。さらに、マーク位置検出装置100をテープ印刷装置1のテープ排出口19近傍に設けることができる。この場合には、テープカセット50から排出されたラベルテープ80の位置を検出するため、テープカセット50のケースに専用の開口を設ける必要がない。
また、光照射領域160は、テープ幅方向に所定の長さを有していればよく、円形に限定されない。
また、上記実施形態の位置検出用マーク82は実線であるが、破線、あるいは点線のマークであってもよい。さらに、上記実施の形態の位置検出用マーク82は、テープの長手方向に連続しているが、断続的に設けられていてもよい。例えば、所定形状に形成された被印刷媒体であるラベルが、長尺状の剥離紙上に、長手方向に断続的に複数配置されて形成された、所謂「ダイカットテープ」について考える。ダイカットテープに印刷を行う印刷装置では、印刷後にテープを停止させる位置は決まっている。このような印刷装置を用いる場合、テープを停止させた際に光学センサに対向するテープの所定位置にマークが付されていれば、マークが連続していなくても、テープを停止させる毎にマークの位置を検出することができる。すなわち、テープの幅方向の一定の位置にマークが付されていれば、本発明は実現できる。
さらに、上記実施形態においては、テープ印刷装置1に配設されたマーク位置検出装置100は1つであったが、1つに限定されない。たとえば、反射型光学センサを備えたマーク位置検出装置と、透過型光学センサとを備えたマーク位置検出装置とを2つ配設し、カセット識別部10によって検出されたテープカセットの種類に応じて、2つのマーク位置検出装置のうちのいずれかが、動作するように構成しても良い。