JP2010175452A - 膵臓癌の検出法 - Google Patents
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Abstract
【課題】膵臓癌の診断法の提供。
【解決手段】哺乳動物における膵臓癌の存否を検出する方法であって、
(a)前記哺乳動物から得られた被験血液サンプルにおいて、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度を測定する工程、および
(b)工程(a)で得られた濃度を、正常な対照血液サンプルにおける16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度と比較する工程、
を含んでなり、前記対照血液サンプルに対して前記被験血液サンプルにおける、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度が増加していた場合に、前記哺乳動物に膵臓癌が存在することが示される、方法が提供される。
【選択図】図2
【解決手段】哺乳動物における膵臓癌の存否を検出する方法であって、
(a)前記哺乳動物から得られた被験血液サンプルにおいて、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度を測定する工程、および
(b)工程(a)で得られた濃度を、正常な対照血液サンプルにおける16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度と比較する工程、
を含んでなり、前記対照血液サンプルに対して前記被験血液サンプルにおける、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度が増加していた場合に、前記哺乳動物に膵臓癌が存在することが示される、方法が提供される。
【選択図】図2
Description
本発明は、膵臓癌の検出法、該検出法の指標となる血中タンパク質、およびこれを測定するためのキットに関する。
膵臓癌は難治性癌の一つであり、外科的手術以外の有効な治療法は確立されていないため、早期治療が重要となる。膵臓癌の診断手法としては、既存の血清腫瘍マーカーであるCA19−9が用いられることが知られている(非特許文献1:腫瘍マーカー臨床マニュアル、大倉 久直、医学書院、p88〜89、p124〜127)。また、最近では、膵臓癌の診断において、ヘリカルCT、磁気共鳴装置(MRI)、内視鏡的超音波検査法(EUS)などが用いられている。しかしながら、膵臓癌は、早期の段階においてその症状に乏しく、発見の時点では進行癌となっており、治療は困難となっていることが依然として多い。したがって、膵臓癌を早期において、的確かつ簡易に発見することが可能な診断技術の開発が望まれるといえる。
一方、アポリポタンパク質は、血漿リポタンパク質上に特異的に存在する一群のタンパク質である。アポリポタンパク質としては10種以上のタンパク質が知られており、これらの主な機能は、リポタンパク質の構造の安定化、リポタンパク質代謝に関与する酵素の活性化、細胞表面に存在するリポタンパク質受容体に対するリガンドとしての作用などである。
アポリポタンパク質ファミリーのメンバーであるアポリポタンパク質AIIは、アポリポタンパク質AIIは76アミノ酸からなり、そのN末端にアラニン残基、その75番目にスレオニン残基、その76番目のC末端にグルタミンを有しており、高比重リポタンパク質(HDL)の主要アポリポタンパクの一つとして知られている。
また、血漿中には、アポリポタンパク質AIIの二量体と、質量の異なる3種類の翻訳後修飾物が存在することが報告されている(非特許文献2: Pankhurst, G., et al. Characterization of specifically oxidized apolipoproteins in mildly oxidized high density lipoprotein. J Lipid Res 44, 349-355 (2003).)。蛋白質構造データバンク(PDB, Protein Data Bank;http://www.pdbj.org/index_j.html)に登録されているApo AIIタンパク質の立体構造データ(PDB ID:1L6L)に基づく解析によれば、アポリポタンパク質AIIの二量体は、アポリポタンパク質AIIのN末端が結合して形成されているとされている(図1A)。また、その翻訳後修飾物としては、片側C末端のグルタミン欠失したApo AII二量体(図1B:Apo AII ATQ/AT)、両側C末端のグルタミンを欠失したアポリポタンパク質AII二量体(図1C:Apo AII AT/AT)、片側C末端のグルタミンと、他の片側C末端のグルタミン・スレオニンを欠失したアポリポタンパク質AII二量体(図1D:Apo AII AT/A)がある。
WO2006/098087号公報(特許文献1)において、本発明者らは、17253±9(m/z)の質量を有する血中タンパク質は、健常者に比べて統計学的な高度に有意差を持って減少することを見出し、この血中タンパク質を膵臓癌マーカーとして活用できることを報告している。さらに、この血中タンパク質は、アポリポタンパク質AIIの二量体の翻訳後修飾物のうち、上記の図1Bで示されるApo AII ATQ/ATに当たることが、本発明者らの研究によって明らかとなった。しかしながら、WO2006/098087号公報には、17253±9(m/z)の質量を有する血中タンパク質に関する記載を除き、アポリポタンパク質AIIの二量体の翻訳後修飾物に対応する血中タンパク質と、膵臓癌との関連について、何ら記載されていない。
Bondarenko et al. J. Lipid Res. 40: 543.1999
Pankhurst, G., et al. Characterization of specifically oxidized apolipoproteins in mildly oxidized high density lipoprotein. J Lipid Res 44, 349-355 (2003)
本発明者らは、今般、膵臓癌患者の血液中において、16922(D:ダルトン)の質量のペプチドピークのイオン強度が健常者に比べて顕著に増加していることを見出した。さらに、本発明者らは、上記ペプチドピークに対応する新規タンパク質を見出した。本発明は、これら知見に基づくものである。
従って、本発明は、膵臓癌の検出法およびこの検出法に利用しうる新規タンパク質を提供することを目的とする。
そして、本発明による検出法は、哺乳動物における膵臓癌の存否を検出する方法であって、
(a)前記哺乳動物から得られた被験血液サンプルにおいて、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度を測定する工程、および
(b)工程(a)で得られた濃度を、正常な対照血液サンプルにおける16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度と比較する工程、
を含んでなり、前記対照血液サンプルに対して前記被験血液サンプルにおける、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度が増加していた場合に、前記哺乳動物に膵臓癌が存在することが示される。
(a)前記哺乳動物から得られた被験血液サンプルにおいて、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度を測定する工程、および
(b)工程(a)で得られた濃度を、正常な対照血液サンプルにおける16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度と比較する工程、
を含んでなり、前記対照血液サンプルに対して前記被験血液サンプルにおける、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度が増加していた場合に、前記哺乳動物に膵臓癌が存在することが示される。
本発明によるタンパク質は、16922(D)の質量を有するタンパク質であって、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるサブユニットの二量体である。
本発明によれば、膵臓癌を正確かつ早期に発見することが可能となる。
本発明の診断(検出)の指標となる「16922(D)の質量を有するタンパク質」(以下、「マーカータンパク質」ともいう。)は、健常者に比べて膵臓癌患者における発現レベルが高いことを一つの特徴とする。かかる分子量を有するタンパク質が膵臓癌の検出の指標となることは意外な事実である。したがって、本発明の一つの態様によれば、上記タンパク質からなる膵臓癌マーカーが提供される。また、別の態様によれば、上記タンパク質の膵臓癌マーカーとしての使用が提供される。
また、マーカータンパク質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるサブユニットの二量体として表される新規タンパク質である。また、マーカータンパク質は、アポリポタンパク質AII二量体の翻訳後修飾物に相当し、図1EのApo AII A/Aに示される通り、両サブユニットでのAIIのC末端のグルタミン・スレオニンがいずれも欠失している。
このように、マーカータンパク質は、アポリポタンパク質AII二量体の翻訳後修飾物に当たるにもかかわらず、公知の翻訳後修飾物(図1B:Apo AII ATQ/AT)とは逆相関して、膵臓癌患者において発現する。この技術状況の下、本発明によるタンパク質は、Apo AII ATQ/ATとともに膵臓癌の検出に用いる場合、膵臓癌を正確かつ早期に発見する上で特に有利に利用することができる。
本発明において検出の対象とする膵臓癌には、膵臓において形成される全ての癌が含まれる。すなわち、診断の対象となる膵臓癌としては、腺房、膵管、ランゲルハンス島などの部位から発生したものであってもよく、また、浸潤性膵管癌、膵管内管状腺癌、腺房細胞癌、内分泌癌等のタイプであってもよい。
また、本発明において「被験血液サンプル」とは、診断の対象となる哺乳動物から得られる血液サンプルを意味する。また、「対照血液サンプル」とは、膵臓癌に罹患していない同種の哺乳動物、好ましくは膵臓癌に罹患した経歴のない哺乳動物から得られる血液サンプルを意味する。診断に用いられる血液サンプルは、哺乳動物から採取された血液であればよいが、好ましくはその血液から固形物を除いた血漿サンプルとされる。
また、本発明において診断の対象となる哺乳動物は、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウスなどのいずれの哺乳動物であってもよいが、好ましくはヒトとされる。
また、マーカータンパク質の濃度の測定には、当技術分野において公知の標準的な方法を用いることができる。例えば、マーカータンパク質の化学構造は、化学構造は図1Bに示す通りである。従って、当業者であればこの化学構造を参照することによって適切にマーカータンパク質の量を測定することが可能である。
本発明において測定されるマーカータンパク質の濃度は、所定量のサンプルに含まれるタンパク質の重量やモル数などの絶対的な数値として表されるものでなくてもよく、被験血液サンプルと対照血液サンプルとの間での比較を可能とする相対的な数値で表されるものであってもよい。
マーカータンパク質の濃度は、その質量を指標として好適に測定することができる。例えば、マーカータンパク質の濃度は、16922(m/z)の質量を有するペプチドピークのイオン強度として測定される。本発明の好ましい態様によれば、マーカータンパク質の測定は、飛行時間型質量分析によって行われる。
また、マーカータンパク質の濃度は、同タンパク質に結合する抗体を用いるアッセイによって測定することもできる。このような抗体は、好ましくはマーカータンパク質に特異的な抗体とされる。マーカータンパク質に対する抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよいが、好ましくはモノクローナル抗体とされる。特異的抗体は、モノクローナル抗体の結合性断片、ScFv(一本鎖Fv断片)、dAb(単一ドメイン抗体)または最小認識単位としてもよい。抗体を用いる濃度測定においては、マーカータンパク質と抗体との複合体の濃度を反映するシグナル発生手段、例えば、一次抗体または二次抗体に結合した蛍光色素などを利用することにより、被験血液サンプルと対照血液サンプルとの間での比較可能な測定値を得ることができる。
上述のようなアッセイに用いられる抗体は、当技術分野において公知の標準的な方法によって作製することができる。例えば、モノクローナル抗体の製造法として、”Monoclonal Antibodies:A manual of techniques”,H.Zola(CRC Press,1988)および”Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications”,J.G.R.Hurrell(CRC Press,1982)に記載の方法が挙げられる。さらに、適切に作製された非ヒト抗体は、公知の手法により、例えばヒト抗体のフレームワーク中へマウス抗体のCDR領域を挿入することにより、「ヒト化」することもできる。マーカータンパク質に結合する抗体の特異性は、その抗体が血液中に存在する他のタンパク質に結合しないこと、特に、アポリポタンパク質AII二量体(Apo AII ATQ/ATQ)およびその公知の修飾物(Apo AII ATQ/AT、Apo AII AT/ATおよびApo AII AT/A)のいずれにも結合しないことを確認することにより評価することができる。すなわち、16922(D)の質量のペプチドピークを示すタンパク質に結合する抗体の特異性は、その抗体が血液中に存在する他のタンパク質に結合しないこと、特に、17380m/z、17252m/z、17124m/zおよび16922m/zのペプチドピークを示すタンパク質のいずれにも結合しないことを確認することにより評価することができる。
比較対照となる正常な対照血液サンプルにおけるマーカータンパク質の濃度は、被験血液サンプルについての濃度測定の前に、予め測定しておくこともできる。また、異なる複数の個体からの正常な対照血液サンプルについてマーカータンパク質の濃度を測定し、その平均値を比較対照としてもよい。さらに、予め測定された複数の正常な対照血液サンプルにおけるマーカータンパク質濃度のデータから、平均値−標準偏差などの適正値を設定しておき、被験血液サンプルにおけるマーカータンパク質濃度がその適正値よりも高い場合にマーカータンパク質濃度の増加があるものと判断してもよい。また、この適正値の下限(閾値)は、マーカータンパク質についてのROC曲線を作成することによって適切に決定することもできる。
本発明による検出法では、対照血液サンプルに対して被験血液サンプルにおけるマーカータンパク質の濃度が増加していた場合に、その哺乳動物に膵臓癌が存在するものと判定することができる。
以上のような本発明による検出法を実施するために、必要な試薬をまとめてキットとすることができる。従って、本発明によれば、哺乳動物における膵臓癌の診断のためのキットが提供され、該キットは、血液サンプル中のマーカータンパク質の濃度を測定するための試薬を含んでなる。このような試薬は、実施しようとする具体的方法に応じて選択される。
本発明によるキットに含まれる検出用試薬としては、マーカータンパク質に特異的に結合するものが挙げられ、特に、ELISA等に用いられる特異的抗体とすることが好ましい。このような特異的抗体は、モノクローナル抗体もしくはその結合性断片、ScFv(一本鎖Fv断片)、dAb(単一ドメイン抗体)または抗体の最小認識単位としてもよい。
本発明によるキットはさらに、実施しようとする具体的方法に応じて、他の試薬類、反応容器、説明書等を含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
例1:16922m/zの質量を有するタンパク質の血漿濃度と膵臓癌との関連
80例の膵臓癌患者と71例の健常者から、血漿サンプルを得た。
次いで、WO2006/098087号公報(特許文献1)の実験1と同様の手法に従い、SELDI-QqTOF-MS(surface-enhanced laser desorption/ionization high-resolution performance hybrid quadrupole time of flight mass spectrometry)法を用いて、16922m/zの質量を有するペプチドピークのイオン強度を調べた。併せて、17380、17252、17124および17023の質量を有するペプチドピークのイオン強度も測定した。
これら17380、17252、17124、17023および16922m/zのペプチドピークは、少なくともヒトの血漿中では、アポリポタンパク質AIIまたはその翻訳後修飾物に特有のものである。
80例の膵臓癌患者と71例の健常者から、血漿サンプルを得た。
次いで、WO2006/098087号公報(特許文献1)の実験1と同様の手法に従い、SELDI-QqTOF-MS(surface-enhanced laser desorption/ionization high-resolution performance hybrid quadrupole time of flight mass spectrometry)法を用いて、16922m/zの質量を有するペプチドピークのイオン強度を調べた。併せて、17380、17252、17124および17023の質量を有するペプチドピークのイオン強度も測定した。
これら17380、17252、17124、17023および16922m/zのペプチドピークは、少なくともヒトの血漿中では、アポリポタンパク質AIIまたはその翻訳後修飾物に特有のものである。
図2は、任意に選択した健常者および膵臓癌患者における17380、17252、17124、17023および16922m/zの発現をゲルイメージで表したグラフである。図2によれば、健常者血漿中には、Apo AII ATQ/ATQ、Apo AII ATQ/AT、Apo AII AT/ATが確認できるが、Apo AII A/Aは確認されない。一方、膵臓癌患者ではApo AII ATQ/ATのピークは大幅に低下し、Apo AII A/Aが高発現していることがわかる。
図3は、健常者80例および膵臓癌患者71症例における、Apo AII A/Aに対応する16922m/zのイオン強度、ならびにApo AII ATQ/ATQ、Apo AII ATQ/AT、Apo AII AT/AT Apo AII AT/Aに対応する17380、17252、17124および17023m/zのイオン強度を示すグラフである。図3において、グラフ中の実線は中央値を示している。また、グラフ上側の数値はStudent’s t 検定によるP値である。図3によれば、膵臓癌患者からの血漿サンプルにおけるApo AII A/Aのイオン強度は、健常者からの血漿サンプルに比べて有意に高いことがわかる(t検定 p=0.0277)。
図4は、Apo AII ATQ/ATおよびApo AII A/Aのイオン強度の相関を示した図である。縦軸にApo AII ATQ/ATのイオン強度、横軸にApo AII A/Aのイオン強度を各症例ごとにプロットした。ここで、健常者は◆であり、膵臓癌患者は×である。
この結果、Apo AII A/Aのイオン強度はApo AII ATQ/ATと逆相関することが見出され、その相関係数は-0.2152であった。
この結果、Apo AII A/Aのイオン強度はApo AII ATQ/ATと逆相関することが見出され、その相関係数は-0.2152であった。
Claims (14)
- 哺乳動物における膵臓癌の存否を検出する方法であって、
(a)前記哺乳動物から得られた被験血液サンプルにおいて、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度を測定する工程、および
(b)工程(a)で得られた濃度を、正常な対照血液サンプルにおける16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度と比較する工程、
を含んでなり、前記対照血液サンプルに対して前記被験血液サンプルにおける、16922(D)の質量を有するタンパク質の濃度が増加していた場合に、前記哺乳動物に膵臓癌が存在することが示される、方法。 - 前記タンパク質が、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるサブユニットの二量体である、請求項1に記載の方法。
- 前記タンパク質の濃度が、該タンパク質のイオン強度として測定される、請求項1に記載の方法。
- 前記測定が、飛行時間型質量分析によって行われる、請求項3に記載の方法。
- 前記タンパク質の濃度が、特異的抗体を用いるアッセイによって測定される、請求項2に記載の方法。
- 正常な対照血液サンプルにおける前記の濃度が、予め測定されたものである、請求項1に記載の方法。
- 前記血液サンプルが血漿サンプルである、請求項1に記載の方法。
- 前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
- 16922(D)の質量を有するタンパク質であって、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるサブユニットの二量体である、タンパク質。
- 請求項9に記載のタンパク質からなる、膵臓癌マーカー。
- 請求項9に記載のタンパク質に対する、抗体。
- 哺乳動物における膵臓癌の診断のためのキットであって、請求項9に記載のタンパク質の血液サンプル中の濃度を測定するための試薬を含んでなる、キット。
- 前記血液サンプルが血漿サンプルである、請求項12に記載のキット。
- 前記哺乳動物がヒトである、請求項12に記載のキット。
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