JP2010174126A - 樹脂フィルム - Google Patents

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剛志 森口
Tomoki Kojima
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】耐吸湿失透性に優れ、かつ、輻射線を効率良く遮断する樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】下記(1)を満たす輻射線遮断剤aと、aとは異なる化学組成を有し、下記(2)を満たす輻射線遮断剤bと、ポリオレフィン系樹脂とを含み、かつ、下記(3)を満たす樹脂フィルム。
(1)輻射線遮断剤aの、60℃50%RH下で24hr経過後の吸湿水分量をβa重量%とした時、βa ≦ 5。
(2)輻射線遮断剤bの単位重量あたりの輻射線透過指数をαbとした時、αb≦2。
(3)輻射線遮断剤aと輻射線遮断剤bの配合重量比が、3:1〜8:1。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂フィルムに関する。
近年、自動車資材、建築資材、農業資材等、屋外で用いられる樹脂の需要量は飛躍的に増加している。例えば、農業資材としては、ハウス、トンネル等の施設の被覆に用いられる農業用フィルムが挙げられる。農業用フィルムとしては、従来、ポリ塩化ビニルフィルムや、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが汎用的に使用されている。中でも最近では、軽量で、焼却時に有毒ガスが発生し難いポリオレフィン系樹脂フィルムが施設園芸用に広く普及している。施設園芸において良好な作物生育性を発現するため、これら農業用フィルムに要求される重要な性能として、透明性、および、夜間の温度低下を防ぐために、夜間の施設内面から天空への輻射線の透過を阻止する輻射線遮断性が挙げられる。
フィルムに輻射線遮断性を付与する方法としては、無機フィラーを練り込む方法が一般的である。無機フィラーを練り込んだ樹脂フィルムの例としては、特許文献1に開示されているような、リチウム・アルミニウム・マグネシウム及び/又は亜鉛複合水酸化物縮合ケイ酸塩とハイドロタルサイト類化合物の配合重量比率が30/70〜70/30である配合物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物層を有する農業用ポリオレフィン系樹脂多層フィルムが開示されている。
特開2001−16995
しかしながら、特許文献1に記載されているようなフィルムは、フィルムが水に長時間晒された場合、吸湿により、透明性が悪化するという課題があった。
本発明は、水に長時間晒されても、透明性が悪化しない、即ち、耐吸湿失透性に優れ、かつ、輻射線を効率良く遮断する樹脂フィルムを提供することにある。
すなわち本発明は、下記(1)を満たす輻射線遮断剤aと、aとは異なる化学組成を有し、下記(2)を満たす輻射線遮断剤bと、ポリオレフィン系樹脂とを含み、かつ、下記(3)を満たす樹脂フィルムである。
(1)輻射線遮断剤aの、60℃50%RH下で24hr経過後の吸湿水分量をβa重量%とした時、βa ≦ 5。
(2)輻射線遮断剤bの単位重量あたりの輻射線透過指数をαbとした時、αb≦2。
(3)輻射線遮断剤aと輻射線遮断剤bの配合重量比が、3:1〜8:1。
本発明は、耐吸湿失透性と輻射線遮断性のバランスに優れるフィルムである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の樹脂フィルムは、少なくとも2種の輻射線遮断剤を有する。輻射線とは、黒体(例えば、地面)から、放射される波長2〜25μmの領域の赤外線であり、輻射線遮断剤とはこの輻射線を吸収または反射する性質を有するものである。
輻射線遮断剤としては、例えば、赤外線吸収剤や赤外線反射剤が挙げられる。赤外線反射剤とは上記波長領域の中の少なくともいずれかの波長の赤外線を反射するものであれば、特に制限はない。
本発明において用いられる輻射線遮断剤aは、60℃50%下で、24hr経過後の吸湿水分量をβa重量%とした時、βa≦5を満たすものであり、βa≦2が好ましく、βa≦0.5がより好ましい。このような輻射線遮断剤aを用いることにより、耐吸湿失透に優れるフィルムを得ることができる。
好ましい輻射線遮断剤aとしては、下記式(I)で示されるハイドロタルサイト類化合物が挙げられる。
2+ 1-xAlx(OH)(An-X/n・mH2O 式(I)
式中、M2+は2価の金属イオンであり、An-はn価のアニオンであり、xおよびmは、
0<x<0.5および0≦m<2という条件を満たす。
2+としては、Mg2+、Ca2+およびZn2+などが例示される。n価のアニオンは特に限定されず、例えばCl-、Br-、I-、NO3 -、ClO4 -、SO4 2-、CO3 2-、HPO4 3-、HBO4 3-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe(CN)6 4-、CH3COO-、C64(OH)COO-、(COO)2 2-、テレフタル酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン等のアニオンが挙げられる。具体的には、例えば、天然ハイドロタルサイトや、スタビエースHT−P(堺化学工業株式会社製)、DHT−4A(協和化学工業株式会社製)などの合成ハイドロタルサイト等が挙げられる。なお式(I)中のnは、1以上4以下であることが好ましい。
本発明において用いられる輻射線遮断剤bは、単位重量あたりの輻射線透過指数をαbとした時、αb≦2を満たすものであり、αb≦1.5が好ましく、αb≦1.2がより好ましい。このような輻射線遮断剤bを用いることにより、輻射線遮断性能に優れるフィルムを得ることができる。
輻射線遮断剤bとしては、特に限定されるものではないが、Si−O結合を有する化合物が好ましい。地面から放射される赤外線のスペクトルは、波長=約10μmでピークを示すのに対し、Si−O結合は、波長=約10μmに吸収特性を有するため、Si−O結合を有する輻射線遮断剤は、効率よく、輻射線を吸収できる。
このような輻射線遮断剤bとしては、WO97/00828に開示された下記式(II)で表わされる複合水酸化物が挙げられる。
[(Li+ (1-x)2+ x)(Al3+)2(OH-)6]2(Siy(2y+1) 2-)(1+x)・mH2O (II)
式中、M2+は2価の金属イオンであり、m、xおよびyは、0≦m<5、0≦x<1、2≦y≦4という条件を満たす。
2+としては、Mg2+、Ca2+およびZn2+などが例示される。
上記式(II)で示される複合水酸化物の好ましいものとしては、X=0の場合に相当する、下記式(III)で示される複合水酸化物が挙げられる。
[Li+ (Al3+)2(OH-)6]2(Siy2y+1 2-)・mH2O (III)
式中、m、およびyは、0≦m<5、2≦y≦4という条件を満たす。
具体的には、例えば、OPTIMA−SS(戸田工業株式会社製)が挙げられる。
樹脂フィルムの輻射線遮断性と耐吸湿失透性のバランスの観点から、本発明の樹脂フィルムにおける輻射線遮断剤a、輻射線遮断剤bの配合重量比は、輻射線遮断剤a:輻射線遮断剤b=3:1〜8:1であり、好ましくは、4:1〜6:1である。
輻射線遮断剤a、bは、いずれも平均粒子径が5μm以下であることが好ましく、0.05〜3μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることが特に好ましい。
輻射線遮断剤には、樹脂中あるいはフィルム中での分散性を向上させるために、分散剤で表面処理を施してもよい。分散剤としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ナトリウム塩等の金属石鹸、各種リン酸エステル、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、各種ワックス等が例示できる。表面処理の方法は、上記分散剤が輻射線遮断剤表面に均一に付着する方法であればよく、例えば、輻射線遮断剤を適当な溶媒中にスラリー状にし、該スラリーと上記分散剤を混合し、攪拌する方法が挙げられる。
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体などのポリエチレン系樹脂が挙げられる。
エチレンと共重合する炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。より好ましくは、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどが挙げられる。前記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは、2種以上を組み合わせてもよく、例えば、1−ブテンと4−メチル−1−ペンテン、1−ブテンと1−ヘキセン、1−ブテンと1−オクテン、1−ブテンと1−デセンなどが挙げられる。より好ましくは、1−ブテンと4−メチル−1−ペンテン、1−ブテンと1−ヘキセンが挙げられる。
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体として好ましくは、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン共重合体が挙げられる。
透明性や強度と、輻射線遮断性能とのバランスの観点から、本発明の樹脂フィルムにおける輻射線遮断剤の全配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、好ましくは5〜15重量部、より好ましくは8〜12重量部である。
本発明の樹脂フィルムの厚みは、フィルム強度の観点から、0.01mm以上であることが好ましい。また、該樹脂フィルムを農園芸用施設の被覆フィルムとして用いる場合には、被覆作業性などの観点から、0.3mm以下が好ましく、0.03〜0.25mmの範囲がより好ましく、0.1〜0.15mmが特に好ましい。
本発明の樹脂フィルムは、単層フィルムに限定されるものではなく、多層フィルムでもよい。多層フィルムである場合、その層構成は、特に限定されず、例えば、2種2層、2種3層、3種3層、3種4層、4種4層、4種5層、5種5層等が例示できる。
多層フィルムの場合、輻射線遮断剤a、bの分布形態は特に限定されない。輻射線遮断剤a、bは同一の樹脂層のなかに含まれていてもよいし、別々の樹脂層の中に含まれていてもよい。また、多層フィルムが、輻射線遮断剤を含有する樹脂層の他に、輻射線遮断剤を含有しない樹脂層を有していてもよい。
本発明の樹脂フィルムは、樹脂に所定量の輻射線遮断剤および、必要に応じて、各種の添加剤を、混合・混練機で混合・混練して得られた樹脂組成物を用いて製造することができる。単層フィルムの製造には、インフレーション成形法、押出T−ダイキャスティング成形法およびカレンダー成形法などが用いられ、多層フィルムの製造には、共押出インフレーション成形法、共押出T−ダイキャスティング成形法、溶融コーティング成形法、押出ラミネーション成形法、ドライラミネーション成形法なども用いられる。尚、上記樹脂組成物の調製において、混合・混練機としては、例えば、リボンブレンダー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、1軸押出機、および2軸押出機などの通常使用されている装置を使用することができる。
なかでも、広幅の樹脂フィルムを効率的に製造することができるインフレーション成形法が好ましい。
本発明の樹脂フィルムの好ましい態様のひとつとして、内層、中間層、外層が順に積層された3層構成であり、中間層が、輻射線遮断剤a、輻射線遮断剤bおよびポリオレフィン系樹脂からなり、内外層が、ポリオレフィン系樹脂よりなる多層フィルムが挙げられる。このような構成とすることにより、透明性、強度、衝撃性、耐ブロッキング性などの多様な性能に優れたフィルムを得ることができる。
内外層の厚みは、それぞれ10〜50μmが好ましい。中間層は、内外層より厚く、好ましくは、内外層の2〜4倍である。
前記樹脂フィルムの少なくとも片面に防曇性被膜を有する積層フィルムとして使用してもよい。かかる防曇性被膜としては、無機酸化物ゾルのコーティング膜、無機酸化物と有機化合物からなるコーティング膜が挙げられる。無機酸化物ゾルとしては、例えば、コロイダルシリカやアルミナゾルが挙げられ、有機化合物としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの高分子樹脂バインダーや、界面活性剤が挙げられる。樹脂フィルムに防曇性被膜を積層する方法は、塗布による方法でもよいし、予め作製した防曇性被膜を樹脂フィルムに積層する方法でもよい。また、防曇性被膜は単層でも2層以上でもよい。
塗布による方法を用いる場合には、グラビアコーティング、バーコーティングなどの公知の塗工手段を用いることができる。
本発明の樹脂フィルムは必要に応じて、輻射線遮断剤以外に公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防霧剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、顔料等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジアルキルフェノール誘導体や2−アルキルフェノール誘導体などのいわゆるヒンダードフェノール系化合物、フォスファイト系化合物、フォスフォナイト系化合物などの3価のリン原子を含むリン系エステル化合物が挙げられる。これら酸化防止剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。特に色相安定化の観点から、ヒンダードフェノール系化合物とリン系エステル化合物を併用して用いることが好ましい。また酸化防止剤は、各層の重量を100%とするとき、それぞれの層に0.01〜1重量%含まれることが好ましく、0.03〜0.5重量%含有されることがより好ましい。
光安定剤としては、例えば、特開平8−73667号公報に記載の構造を有するヒンダードアミン系化合物が挙げられ、具体的には、商品名チヌビン622−LD、キマソーブ944−LD(以上チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ホスタビンN30、VP Sanduvor PR−31(以上クラリアント社製)、サイヤソーブUV3529、サイヤソーブUV3346(以上サイテック社製)などが挙げられる。さらには、特開平11−315067号公報に記載の構造を有する立体障害性アミンエーテル化合物が挙げられ、具体的には、商品名チヌビンNOR371(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。各層に含まれる光安定剤の量は、0.01〜3重量%が好ましく、0.05〜2重量%がより好ましく、特に0.1〜1重量%が好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。各層に含まれる紫外線吸収剤の量は、耐候性付与効果とフィルム表面へのブリード抑制の観点から、0.01〜3重量%が好ましく、0.03〜2重量%がより好ましい。
防霧剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基、ω−ヒドロフルオロアルキル基等を有するフッ素化合物(特にフッ素系界面活性剤)、またアルキルシロキサン基を有するシリコン系化合物(特にシリコン系界面活性剤)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、ダイキン工業(株)製のユニダインDS−403、DS−406、DS−401(商品名)、セイミケミカル(株)製のサーフロンKC−40(商品名)等が挙げられ、シリコン系界面活性剤としては、東レダウコーニングシリコン(株)社製のSH−3746(商品名)が挙げられる。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。防霧剤の含有量は、0.01〜3重量%が好ましく、0.02〜2重量%がより好ましく、0.05〜1重量%が特に好ましい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお実施例及び比較例中の試験方法は次の通りである。
(1)輻射線遮断剤の吸湿水分量
輻射線遮断剤を、60℃50%RH下に48hr暴露し、吸湿水分量(β)=((暴露後の重量−暴露前の重量)/暴露前の重量)×100 を算出した。
(2)フィルムの耐吸湿失透性
約3cm×約5cmのフィルム片を水に浸漬させ、60℃下に4週間保管し、その後、水中よりフィルム片を取り出し、23℃50%RH下で、1.5hr自然乾燥させた。
水に浸漬する前のヘイズ、自然乾燥後のヘイズを測定し、ΔHaze=(水に浸漬する前のヘイズ)−(自然乾燥後のヘイズ)を求め、耐吸湿失透性の指標とした。ΔHazeが0に近い程、耐吸湿失透性に優れる。なお、ヘイズの測定は、JIS K7105に準拠し、直読式ヘーズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機株式会社製;測定光 C光)を用いて行った。
(3)フィルムの輻射線遮断性
フーリエ変換赤外分光光度計(株式会社島津製作所製 FTIR−8700)を用いて、以下の方法により、輻射線透過指数を求め、輻射線遮断性の尺度とした。
波数4400〜330cm-1の範囲でフィルムの赤外線吸収スペクトル(透過法)を温度23℃にて測定し、波数νでの透過率T(ν)%の値を得た。一方、プランクの法則から得られる下記式(IV)に従い、23℃における波数νでの黒体輻射スペクトル強度e(ν)を計算する。ここで黒体輻射スペクトル強度e(ν)に透過率T(ν)をかけたものが輻射線透過強度f(ν)となる(式V)。
輻射線透過強度f(ν)を波数4400〜330cm-1の範囲で積分したものを輻射線透過エネルギーF、黒体輻射スペクトル強度e(ν)を波数4000〜400cm-1の範囲で積分したものを黒体輻射エネルギーEとして、輻射線透過指数G=100×F/Eと定義する。実際の積分は、波数間隔2cm-1ごとの区間に区切り、台形近似にて各区間を計算し積算した。輻射線透過指数が小さいほど、輻射線遮断性が優れていることを示す。
e(ν)=(A/λ5)/{exp(B/(λ×T))-1} (式IV)
ただし、A=2πhC2=3.74×10-16(W・m2
B=hC/k=0.01439(m・K)
T(K)は絶対温度。λ(cm)は波長(波数νは波長の逆数)
であって、hはプランク定数、Cは光速、kはボルツマン定数、Aは第一放射定数、Bは第二放射定数、である。
f(ν)=e(ν)×T(ν)/100 (式V)
以下の輻射線遮断剤の吸湿水分量を測定した。結果を表1に示す。
輻射線遮断剤(1):ハイドロタルサイト類化合物(HT−P;堺化学工業株式会社製)
輻射線遮断剤(2):リチウム・アルミニウム複合水酸化物(OPTIMA−SS;戸田工業株式会社製)
輻射線遮断剤(1)の単位重量当たりの輻射線透過指数を、下記に示す方法で測定した。
共押出インフレーション成形法(加工温度160℃)により、A層、B層及びC層がこの順に積層されている厚さ150μmの樹脂フィルムを作製した。なお、A層、B層、C層の押出量の重量比は、A層/B層/C層=2/6/2とした。各層の組成は、以下のとおりである。
前記A層は、ポリエチレン樹脂(エクセレンGMH GH051、メルトフローレート 0.4g/10分、密度 921kg/m3;住友化学株式会社製)79.3重量%、ポリエチレン樹脂(スミカセンE FV203、メルトフローレート 2.0g/10分、密度 913kg/m3、住友化学株式会社製)20.0重量%、光安定剤としてヒンダードアミン系化合物(チヌビン622−LD;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 0.6重量%、および酸化防止剤(イルガノックス1010;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物で形成した。
前記B層は、ポリエチレン樹脂(エクセレンGMH GH030、メルトフローレート 0.5g/10分、密度 912kg/m3;住友化学株式会社製)55.6重量%、ポリエチレン樹脂(エクセレンFX CX2001、メルトフローレート2.0g/10分、密度 898kg/m3、住友化学株式会社製)30.0重量%、輻射線遮断剤(1) 13重量%、防曇剤としてグリセリン系脂肪酸エステル(サンスルーザー S4120、花王株式会社製)0.6重量%、光安定剤としてヒンダードアミン系化合物(キマソーブ 119FL;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.7重量%、および酸化防止剤(イルガノックス 1010;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物で形成した。
前記C層は、ポリエチレン樹脂(エクセレンGMH GH030、メルトフローレート 0.5g/10分、密度 912kg/m3;住友化学株式会社製)41.9重量%、ポリエチレン樹脂(エクセレンGMH GH051、メルトフローレート 0.4g/10分、密度 921kg/m3;住友化学株式会社製)37.4重量%、ポリエチレン樹脂(スミカセンE FV203、メルトフローレート 2.0g/10分、密度 913kg/m3;住友化学株式会社製)20.0重量%、光安定剤としてヒンダードアミン系化合物(チヌビン622−LD;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.6重量%および酸化防止剤(イルガノックス 1010;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物で形成した。
得られたフィルムの輻射線透過指数Gを測定し、Gをフィルム中の輻射線遮断剤(1)の含量=7.8重量%で除し、輻射線遮断剤(1)の単位重量あたりの輻射線透過指数とした。結果を表1に示す。
輻射線遮断剤(2)の単位重量当たりの輻射線透過指数を、下記に示す方法で測定した。
B層の輻射線遮断剤の配合を、輻射線遮断剤bを13重量%とした以外は、輻射線遮断剤(1)と同じ方法で、輻射線遮断剤(2)の単位重量あたりの輻射線透過指数を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2010174126
α:輻射線遮断剤の単位重量あたりの輻射線透過指数。
β:吸湿水分量
輻射線遮断剤(1)は本発明における輻射線遮断剤aに、輻射線遮断剤(2)は本発明における輻射線遮断剤bに該当する。
[実施例1]
共押出インフレーション成形法(加工温度160℃)により、A層、B層及びC層がこの順に積層されている厚さ150μmの樹脂フィルムを作製した。なお、A層、B層、C層の押出量の重量比は、A層/B層/C層=2/6/2とした。各層の組成は、以下のとおりとした。
A層は、前記段落[0048]と同じ熱可塑性樹脂組成物で形成した。C層は、前記段落[0050]と同じ熱可塑性樹脂組成物で形成した。
前記B層は、ポリエチレン樹脂(エクセレンGMH GH030、メルトフローレート 0.5g/10分、密度 912kg/m3;住友化学株式会社製)55.6重量%、ポリエチレン樹脂(エクセレンFX CX2001、メルトフローレート2.0g/10分、密度 898kg/m3、住友化学株式会社製)30.0重量%、下記に示す輻射線遮断剤(1) 11.1重量%、輻射線遮断剤(2) 1.9重量%、防曇剤としてグリセリン系脂肪酸エステル(サンスルーザー S4120、花王株式会社製)0.6重量%、光安定剤としてヒンダードアミン系化合物(キマソーブ 119FL;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.7重量%、および酸化防止剤(イルガノックス 1010;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物で形成した。
得られたフィルムの−ΔHaze、輻射線透過指数を表2に示す。
[実施例2]
B層の輻射線遮断剤の配合を、輻射線遮断剤(1)を10.4重量%、輻射線遮断剤(2)を2.6重量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、樹脂フィルムを作製した。
得られたフィルムの−ΔHaze、輻射線透過指数を表2に示す。
[実施例3]
B層の輻射線遮断剤の配合を、輻射線遮断剤(1)を9.8重量%、輻射線遮断剤(2)を3.2重量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、樹脂フィルムを作製した。
得られたフィルムの−ΔHaze、輻射線透過指数を表2に示す。
[比較例1]
B層の輻射線遮断剤の配合を、輻射線遮断剤(1)を6.5重量%、輻射線遮断剤(2)を6.5重量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、樹脂フィルムを作製した。
得られたフィルムの−ΔHaze、輻射線透過指数を表2に示す。
[比較例2]
B層の輻射線遮断剤の配合を、輻射線遮断剤(1)を3.2重量%、輻射線遮断剤(2)を9.8重量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、樹脂フィルムを作製した。
得られたフィルムの−ΔHaze、輻射線透過指数を表2に示す。
[比較例3]
B層の輻射線遮断剤、ポリエチレン樹脂の配合を、輻射線遮断剤(1)を3.2重量%、輻射線遮断剤(2)を6.5重量%、エクセレンGMH GH030(メルトフローレート 0.5g/10分、密度 912kg/m3;住友化学株式会社製)を58.9重量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、樹脂フィルムを作製した。
得られたフィルムの−ΔHaze、輻射線透過指数を表2に示す。
[比較例4]
B層の輻射線遮断剤の配合を、輻射線遮断剤(1)を12.3重量%、輻射線遮断剤(2)を0.7重量%とした以外は、実施例1と同じ方法で、樹脂フィルムを作製した。
得られたフィルムの−ΔHaze、輻射線透過指数を表2に示す。
Figure 2010174126
a/b:輻射線遮断剤(1)(輻射線遮断剤a)と輻射線遮断剤(2)(輻射線遮断剤b)の重量比。
本発明は、農業用フィルムに利用することができる。

Claims (7)

  1. 下記(1)を満たす輻射線遮断剤aと、aとは異なる化学組成を有し、下記(2)を満たす輻射線遮断剤bと、ポリオレフィン系樹脂とを含み、かつ、下記(3)を満たす樹脂フィルム。
    (1)輻射線遮断剤aの、60℃50%RH下で24hr経過後の吸湿水分量をβa重量%とした時、βa ≦ 5。
    (2)輻射線遮断剤bの単位重量あたりの輻射線透過指数をαbとした時、αb≦2。
    (3)輻射線遮断剤aと輻射線遮断剤bの配合重量比が、3:1〜8:1。
  2. 前記輻射線遮断剤aが下記式(I)で表される化合物である請求項1記載の樹脂フィルム。
    2+ 1-xAlx(OH)(An-X/n・mH2O 式(I)
    式中、M2+は2価の金属イオンであり、An-はn価のアニオンであり、
    xおよびmは、0<x<0.5および0≦m<2という条件を満たす。
  3. 前記輻射線遮断剤bがSi−O結合を有する化合物である請求項1または請求項2に記載の樹脂フィルム。
  4. 前記輻射線遮断剤bが下記式(II)で表される化合物である請求項3記載の樹脂フィルム。
    [(Li (1-X)2+ )(Al3+)2(OH6]2・(Siy(2y+1) 2-(1+X)・mH2O 式(II)
    式中、M2+は2価の金属イオンであり、m、xおよびyは、0≦m<5、0≦x<1、
    2≦y≦4という条件を満たす。
  5. 前記輻射線遮断剤bが、式(II)においてx=0を満たす化合物である請求項4記載の樹脂フィルム。
  6. 輻射線遮断剤aと輻射線遮断剤bの配合重量比が4:1〜6:1である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂フィルムの少なくとも片面に、防曇性被膜を有する積層フィルム。
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