JP2010173612A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】空気入りラジアルタイヤの軽量性、高速耐久性および低騒音性を向上させる。
【解決手段】空気入りラジアルタイヤのベルト層6の一部または全部を覆うように設けられたベルトカバー層7の複合コードを低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とで構成し、その複合コードの低弾性率繊維束および高弾性率繊維束の全ての繊維が同一方向に撚られており、その高弾性率繊維束の撚り係数KHが、低弾性率繊維束の撚り係数KLより低くなるようにし、これら撚り係数の比KH/KLを0.2〜0.8の範囲とした。高弾性率繊維束の撚り数をTH、低弾性率繊維束の撚り数をTL、高弾性率繊維束の太さをDH、低弾性繊維の太さをDL、高弾性率繊維束の比重をρH、低弾性繊維の比重をρLとすると、KH=TH√(DH/ρH)、KL=TL√(DL/ρL)である。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りラジアルタイヤに関し、特に、加硫故障を伴うことなく、軽量化、高速耐久性および低騒音性を共に向上するようにした空気入りラジアルタイヤに関するものである。
一般に、高速走行用の空気入りラジアルタイヤでは、スチールコードからなるベルト層の半径方向外側に、有機繊維コードをタイヤ周方向に対して微小角度で巻き付けたベルトカバー層を配置している。
このベルトカバー層は、高速走行時のベルト層のエッジ部におけるコードの動きを拘束すること(タガ効果)により、ベルト層のエッジ部のせり上がり(リフティング現象)を抑制し、ゴムとのセパレーションを防止することによりタイヤの高速耐久性を高めると共に、タイヤショルダー部の剛性を高めて車室内に生ずる騒音(ロードノイズ)を低減するようにしている。
ところで、ベルトカバー層は、繊維コードを、例えばナイロンのような低弾性率コードのみで構成した場合、超高速用タイヤなどでは、上記リフティング現象を充分に防止しえなくなる。そのため、ベルトカバー層の繊維コードを、例えば芳香族アラミド繊維のような高弾性率コードのみで構成した場合、超高速用タイヤに対してもリフティング現象は抑制しうるが、タイヤ加硫時に生タイヤを加硫金型の内面に押し上げるとき、高弾性率コードが押し上げ力を拘束して、生タイヤを加硫金型面に均一に押し付けることが難しくなり、ユニフォミティに優れたタイヤを成形できないという問題を生ずる。
このような課題の対策として、特許文献1や特許文献2は、ベルトカバー層の繊維コードを低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とを撚り合わせた複合繊維コードを使用することを提案している。すなわち、ベルトカバー層の繊維コードとして、低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とを、それぞれ同一方向に下撚りしたのち、それらの下撚り糸を束ねて下撚り方向と逆方向に上撚りした、いわゆる両撚り(双撚り)の複合コードを用いている。このような両撚り(双撚り)構造の複合コードは、生タイヤを加硫金型内面に押し上げる際の低伸長領域では両撚りの撚り戻りが生ずるため円滑な押し上げを行うことができ、撚り戻りが終了した後は高弾性率繊維束が作用することで高速耐久性や低騒音性を向上することができる。しかし、両撚りコードは、このような利点を有する反面、コード径が太くなるので、ベルトカバー層の厚みも増大し、タイヤの重量が増加する。また、ベルトカバー層が厚くなると、発熱量も高くなり高速耐久性の低下と共に、転がり抵抗が増加するという問題がある。
一方、両撚りコードのコード径が大きいことに伴う重量対策として、特許文献3および特許文献4は、有機繊維束に対して一方向だけに撚りを加えた片撚りコードを使用することを提案している。片撚り構造であるため両撚りコードと同じ繊維使用料であってもコード径を小さくし、ベルトカバー層の厚さを薄くすることができる。しかしながら、低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とを束ねて片撚りコードにした場合には、両撚りコードと同様に生タイヤの加硫初期の金型に対する追従性を円滑にするためには、撚り数を増加させる必要がある。しかし、撚り数を増やすと、コードの弾性率が低下するため、加硫成形後のタイヤのベルト層に対するタガ効果が低減し、タイヤ走行時に高弾性率繊維束の高弾性を享受することができなくなる。すなわち、高速耐久性や低騒音性に対する意味が低下する。逆に、撚り数を下げると、加硫時のリフトに追従し難くなるという問題がある。特に、加硫時のリフト率が高くなると、ベルト層とベルトカバー層とが接してしまうため、ユニフォミティが低下し、かつ、高速耐久性が劣化するという問題がある。
特開平1−247204号公報 特開平4−110206号公報 特公昭59−1601号公報 特開2002−154304号公報
本発明の目的は、加硫故障を伴うことなく、軽量化、高速耐久性および低騒音性を共に向上させるようにした空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記目的を達成させるための本発明の空気入りラジアルタイヤは、ベルトカバー層を構成する繊維コードを低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とからなる複合コードで構成し、この複合コードを解撚したとき低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とが同一方向の撚りを有する片撚りもどきの構成にしたものである。
また、前記高弾性率繊維束の撚り係数KHと前記低弾性率繊維束の撚り係数KLとの比KH/KLを、0.2〜0.8の範囲とするものである。
また、前記複合コードの低弾性率繊維束の撚り係数KLを、400〜900の範囲とするものである。
また、前記複合コードの前記高弾性率繊維束の体積化繊度DH/ρHと、前記低弾性率繊維束の体積化繊度DL/ρLとの比(DH/ρH)/(DL/ρL)を、0.6〜1.5の範囲とするものである。
また、前記複合コードの体積化総繊度を、1500〜3500の範囲とするものである。
また、タイヤショルダー部を覆う領域のベルトカバー層の複合コードの高弾性率繊維束の撚り係数KHと低弾性率繊維束の撚り係数KLとの比KH/KLが、タイヤセンター部を覆う領域のベルトカバー層の複合コードの高弾性率繊維束の撚り係数KHと低弾性率繊維束の撚り係数KLとの比KH/KLよりも小さくしたものである。
本発明によれば、ベルトカバー層を構成する繊維コードを低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とからなる複合コードで構成し、この複合コードを解撚したとき低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とが同一方向の撚りを有する片撚りもどきの構成にしたので、従来の両撚りコードに比べてコード径が小さくなるためタイヤを軽量化することができる。
また、高弾性率繊維束の撚り係数KHと低弾性率繊維束の撚り係数KLとの比KH/KLを、0.2〜0.8に設定したことにより、引張り荷重に対する初期伸びを大きくすることができ、それにより加硫成形時の加硫金型に対する生タイヤの押し上げ操作を円滑にすることができ、また、押し上げ操作後の弾性率を向上させることで高速耐久性および低騒音性を共に向上することができる。
本発明の一実施の形態である空気入りラジアルタイヤの子午線半断面図である。 本発明の一実施の形態である空気入りラジアルタイヤのベルトカバー層の複合コードの製造工程の一例の説明図である。 本発明の一実施の形態である空気入りラジアルタイヤのベルトカバー層の複合コードの製造工程の他の一例の説明図である。 従来のベルトカバー層の複合コードの撚り構造の説明図である。 ベルトカバー層の複合コードの片撚り構造の説明図である。 本発明の他の実施の形態である空気入りラジアルタイヤの子午線半断面図である。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態である空気入りラジアルタイヤの子午線半断面図を示している。本実施の形態の空気入りラジアルタイヤは、例えば乗用車用空気入りラジアルタイヤであり、トレッド部1と、このトレッド部のタイヤ幅方向両側の各々からタイヤ径方向に延びる一対のサイドウォール部2と、この一対のサイドウォール部2の各々の終端に一体的に設けられた一対のビード部3とを備えている。
左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。すなわち、カーカス層4は、トレッド部1、一対のサイドウォール部2および一対のビード部3の内部において、トレッド部1、一対のサイドウォール部2および一対のビード部3に沿って延びている。このカーカス層4の端部がビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層6,6が埋設されている。これらベルト層6,6はスチールコードがタイヤ周方向に対して傾斜し、かつ層間でスチールコードが互いに交差するように配置されている。
上記空気入りラジアルタイヤにおいて、ベルト層6,6の外周側には、有機繊維コードをタイヤ周方向に螺旋状に巻回してなるベルトカバー層7が配置されている。このベルトカバー層7は1本または複数本のコードを引き揃えてゴム被覆してなるストリップ材をタイヤ周方向に対して5°以下の実質的に0°で連続的に螺旋状に巻回したジョイントレス構造とすることが望ましい。
上記ベルトカバー層7の有機繊維コードは、低弾性率繊維束と、高弾性率繊維束とを撚り合わせた複合コードによって構成されており、この複合コードの撚りを解いたとき、低弾性率繊維束および高弾性率繊維束が互いに同一方向の撚りを有している片撚りもどきの構造になっている。このため、複合コードのコード径を、同じ繊維使用量の両撚りコードの場合に比べて細くすることができる。したがって、ベルトカバー層7の厚さを薄くすることができ、その結果として、タイヤの軽量化を達成することができる。また、走行時の発熱量を低減できるので、高速耐久性を向上でき、また、転がり抵抗の増加を抑制できる。
上記ベルトカバー層を構成する複合コードは、高弾性率繊維束の単位長さ当たりの撚り数が、低弾性率繊維束の単位長さ当たりの撚り数よりも少なくなるように構成され、かつ、下記(1)式で規定される低弾性率繊維束の撚り係数KLよりも、下記(2)式で規定される高弾性率繊維束の撚り係数KHが低くなるように構成されている。
KL=TL√(DL/ρL) ・・・・・・・・・・・・・(1)
ただし、TL:低弾性率繊維束の撚り数(t/10cm)
DL:低弾性率繊維束の太さ(dtex)
ρL:低弾性率繊維の比重
KH=TH√(DH/ρH) ・・・・・・・・・・・・・(2)
ただし、TH:高弾性率繊維束の撚り数(t/10cm)
DH:高弾性率繊維束の太さ(dtex)
ρH:高弾性率繊維の比重
図2および図3は、上述のようなベルトカバー層7の複合コードFを製造する工程の一例を示している。なお、図2および図3は複合コードFの長手方向に垂直な断面を示し、矢印Aは撚り方向を示し、矢印Aの長さは撚り量(撚り数)を示している。また、複合コードFの高弾性率繊維束FHおよび低弾性率繊維束FLの各々は、それぞれ細い多数本のフィラメントの集合体で構成されている。
図2の複合コードFでは、若干の下撚りをS方向に加えた低弾性率繊維束FLと、無撚りの高弾性率繊維束FHとを引き揃えて束ねたものを、さらに下撚りと同じS方向に上撚りを加えて撚っている(したがって、見掛け上は片撚り構造であり、ここでは片撚りもどき構造と呼ぶことにする)。
また、図3の複合コードFでは、若干の下撚りをS方向に加えた低弾性率繊維束FLと、低弾性率繊維束FLよりも少ない下撚りを同じS方向に加えた高弾性率繊維束FHとを引き揃えて束ねたものを、さらに下撚りと同じS方向に上撚りを加えて撚っている(したがって、見掛け上は片撚り構造であり、ここでは片撚りもどき構造と呼ぶことにする)。
このように、本実施の形態においては、ベルトカバー層7の複合コードを上記のように低弾性率繊維束FLの方の撚り係数KLに対して、高弾性率繊維束FHの撚り係数KHを小さくした片撚りもどき構造にすることにより、複合コードにおいて、撚り数を増加させることなく、初期伸びを大きくすることができ、かつ、初期伸長後には高い弾性率を発現することができる。そのため、タイヤ成型加硫時の生タイヤの金型内面に対するリフトへの追従性を向上させることができるので、タイヤの成型性を、故障を生じないように向上させることができる。また、走行時において高いタガ効果によりベルト層6をしっかりと押さえて、ベルト層6のリフティング現象を抑制でき、ゴムのセパレーションを防止できるので、タイヤの高速耐久性を向上させることができる。またタイヤショルダー部の剛性を高めて、ロードノイズを抑制することができる。
図4は従来のベルトカバー層の複合コードF50の撚り構造を示している。複合コードF50は、下撚りをS方向に加えた低弾性率繊維束FLと、低弾性率繊維束FLと同じ量の下撚りを同じS方向に加えた高弾性率繊維束FHとを引き揃えて束ねたものを、さらに下撚りのS方向とは反対のZ方向に上撚りを加えて撚っている(両撚り構造)。この両撚り構造は、下撚りに対して上撚りのより方向を逆方向にしているので、コードの形態安定性が良好で加工性に優れるが、コード径が太くなるため、ベルトカバー層の厚みが増大し、タイヤの重量が増加する。また、ベルトカバー層が厚くなるため、走行時の発熱量も高くなり高速耐久性の低下と共に、転がり抵抗の増加にも繋がる問題がある。
また、図5の複合コードF0は、無撚りの低弾性率繊維束FLと、同じく無撚りの高弾性率繊維束FHとを引き揃えて束ねたものに、一方のS方向に撚りを加えた片撚り構造を示している。
この片撚り構造の複合コードは、タイヤ成型加硫時のリフトに追従させるべく初期伸びを大きくするためには、撚り数を増加させる必要がある。しかし、撚り数を増やすと、コードの弾性率が低下し、タイヤ走行時に高弾性率繊維束の高弾性を享受することができなくなる。逆に、撚り数を下げると、加硫リフトに追従し難いという問題がある。特に、加硫リフトが高くなると、ベルト層とベルトカバー層とが接してしまい高速耐久性が劣化するという問題がある。
したがって、図4および図5のいずれの複合コードも、本発明の課題は達成することができない。
本発明に使用される複合コードは、高弾性率繊維束の撚り係数KHと、低弾性率繊維束の撚り係数KLとの比KH/KLが、0.2〜0.8の範囲にある。
この比KH/KLが0.2未満の場合、複合コードの初期弾性率が高くなり過ぎ、タイヤ成型加硫時のリフトへの追従性が劣化し、ベルト層6が不均一になるため、タイヤ故障を生じやすく、ユニフォミティに優れたタイヤの成形が難しくなる。一方、この比KH/KLが0.8を超えると初期弾性率が低下するため、タイヤ成型加硫時のリフトへの追従性は向上するが、タイヤ中でのコードの弾性率が低下するため、高速耐久性の向上やロードノイズの低減効果が向上しない。
すなわち、比KH/KLを、0.2〜0.8の範囲にすることにより、タイヤ成型加硫時のリフトへの追従性を損なうことなく、高速耐久性や低騒音性の向上効果を得ることができる。
また、上記複合コードの低弾性率繊維束の撚り係数KLは、400〜900の範囲にあることが好ましい。
低弾性率繊維束の撚り係数KLが高すぎると、複合コードのタイヤ中での弾性率が低下するため、高速耐久性や低騒音性の効果が低下する。一方、低弾性率繊維束の撚り係数KLが低すぎると、複合コードの低歪時の応力が高くなり過ぎ、タイヤ成型加硫時のリフトへの追従性が劣化し、タイヤのユニフォミティが劣化する。また、複合コードの耐久性も低下するため、高速耐久性の向上効果が低減する。
すなわち、低弾性率繊維束の撚り係数KLを、400〜900の範囲とすることにより、高速耐久性や低騒音性の向上効果を損なうことなく、タイヤ成型加硫時のリフトへの追従性を向上でき、タイヤのユニフォミティを向上でき、また、複合コードの耐久性を向上させることができる。
また、上記複合コードの高弾性率繊維束の体積化繊度DH/ρH(dtex/ρ)と、低弾性率繊維束の体積化繊度DL/ρL(dtex/ρ)の比(DH/ρH)/(DL/ρL)は、0.6〜1.5の範囲にあることが好ましい。
この比が1.5を超えると複合コードの疲労性が劣化するため高速耐久性の改善効果が低減する。一方、この比が0.6未満の場合、複合コードの弾性率が低下するため、高速耐久性や低騒音性の向上効果が低下する。なお、体積化繊度は、容量に相当する繊度を比重で除した値であるので、容量に相当する繊度を意味している。
すなわち、高弾性率繊維束の体積化繊度DH/ρHと低弾性率繊維束の体積化繊度DL/ρLとの比(DH/ρH)/(DL/ρL)を、0.6〜1.5の範囲とすることにより、高速耐久性の改善効果を損なうことなく、低騒音性の向上効果を得ることができる。
また、上記複合コードの体積化総繊度(DH/ρH+DL/ρL)は、1500〜3500の範囲にあることが好ましい。
この体積化総繊度が、1500未満の場合にはコードの打ち込み本数が増大するため、生産性が低下する。一方、この体積化総繊度が、3500を超えるとベルトカバー層7が厚くなり、重量増加を招く。
すなわち、体積化総繊度(DH/ρH+DL/ρL)を、1500〜3500の範囲とすることにより、タイヤの生産性を損なうことなく、タイヤの軽量化を達成できる。
本発明に使用する低弾性率繊維束は、熱可塑性マルチフィラメントにより構成されている。これにより、熱セットによって高弾性率繊維束の解撚トルクを抑制する作用を行い、加工性を良好にすることができる。低弾性率繊維束としては、例えばポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)またはポリエチレンテレフタレート繊維が好んで用いられる。特に、ナイロン66、ナイロン46等のような脂肪族ポリアミド繊維が接着性、伸び特性、耐久性の点で好ましい。
本発明に使用する高弾性率繊維束としては、例えばアラミド繊維、ポリケトン繊維またはポリエチレンナフタレート繊維等が用いられる。中でも、初期引張弾性率のより高い、アラミド繊維、ポリケトン繊維がより好ましい。
ベルトカバー層7は、図1の実施の形態では、ベルト層6の全幅(全部)で配置されている場合が例示されている。しかし、ベルトカバー層7の配置は、これに限定されるものではなく、ベルト層6の幅方向両タイヤショルダー部のみに配置しても良い。また、後述のように、ベルト層6の幅方向タイヤセンター部と幅方向タイヤショルダー部とに互いに異なる複合コードからなるベルトカバー層を配置しても良い。また、ベルト層6の幅方向両タイヤショルダー部に本実施の形態のベルトカバー層7を配置し、ベルト層6の幅方向タイヤセンター部には本実施例に相当しない他の繊維コードを配置しても良い。
図6はベルト層のタイヤセンター部とタイヤショルダー部とに、複合コードが異なるベルトカバー層を配置した場合の実施の形態である空気入りラジアルタイヤの子午線半断面図を示している。
本実施の形態においては、ベルトカバー層7(7a,7b)が、トレッド部1のタイヤセンター部(ベルト層6の幅方向センター)と、タイヤショルダー部との両方に配置されている。
このタイヤショルダー部のベルトカバー層7bにおける複合コードの高弾性率繊維束の撚り係数KHと低弾性率繊維束の撚り係数KLとの比KH/KLが、上記タイヤセンター部のベルトカバー層7aにおける複合コードの高弾性率繊維束の撚り係数KHと低弾性率繊維束の撚り係数KLとの比KH/KLよりも低くしてある。これにより、より均一性の高い剛性をベルトカバー層7に付与できるので、より高いレベルで高速耐久性と低騒音性の向上を達成することができる。これ以外の構成は前記実施の形態と同じである。
実施例1〜13
タイヤサイズ205/55R16で、ベルトカバー層の複合コードを、比重ρLが1.14のナイロン66からなる低弾性率繊維束と、比重ρHが1.44のアラミドからなる高弾性率繊維束とで構成し、その低弾性率繊維束および高弾性率繊維束の全ての繊維が同一方向に撚られており、その高弾性率繊維束の撚り係数が、低弾性率繊維束の撚り係数よりも低くなるように構成されている空気入りラジアルタイヤにおいて、撚り数、撚り係数などの各種条件を表1及び表2のように種々異ならせた実施例1〜13および比較例1,2の空気入りラジアルタイヤをそれぞれ製作した。
実施例1〜7および比較例1,2では、表1に示すように、同じコード繊度の低弾性率繊維束および高弾性率繊維束を使用した。実施例8〜13では、表2に示すように、異なるコード繊度の低弾性率繊維束および高弾性率繊維束を使用している場合もある。
これら試験タイヤについて、下記の方法により、高速耐久性およびロードノイズを評価し、その結果を表1および表2に併せて示した。
高速耐久性:空気圧210Pa、走行速度81km/hの条件にて、JATMAで規定された最大負荷能力の88%の荷重で120分間ならし走行した。次いで、3時間以上放冷した後、空気圧を再調整し、121km/hの速度から試験を開始し、30分毎に速度を8km/hづつ段階的に上昇させ、故障が発生するまでの走行距離を測定した。評価結果は、基準タイヤを100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど高速耐久性が優れていることを意味する。
ロードノイズ:試験タイヤをリムサイズ16×161/2JJのホイールに組み付けて空気圧が200Paの条件で車両に装着し、運転席窓側の耳位置にマイクロフォンを設置し、舗装路面を速度60km/hで走行した際の音圧を測定した。基準タイヤの音圧からの差異を示した。マイナスの値が大きい方がロードノイズの低減効果(低騒音性)が大きいことを意味する。
Figure 2010173612
Figure 2010173612
これら表1及び表2から明らかなように、実施例1〜13のタイヤは、高速耐久性および低騒音性を比較例1に比べて向上させることができた。特に、実施例2、実施例6および実施例11では、高速耐久性および低騒音性の両方で良好な結果が得られた。
実施例14
図6のショルダー部のベルトカバー層7aに上記実施例3の複合コードを用い、センター部のベルトカバー層7bに実施例2の複合コードを用いた。その結果、高速耐久性は110、ロードノイズは−0.9dBを得ることができた。
比較例3
実施例2と同様に、低弾性率繊維束として、ナイロン66、1400dtexを用い、高弾性率繊維束として、アラミド繊維、1670dtexを用い、それぞれに20t/10cm、Z方向に下撚りを加え、さらにそれらの下撚り糸を引き揃えた後、下撚りと逆方向のS方向に20t/10cmの上撚りを加えた、いわゆる通常の両撚りコードを準備し、実施例2と同様のタイヤを準備し、高速耐久性とロードノイズを測定した。その結果、高速耐久性は105と比較例1より5ポイント改善したが、実施例2よりは5ポイント劣り、また、ロードノイズは、+0.5dBと比較例1よりも悪化し、実施例2より1.3dB悪化する結果となった。
また、実施例2と比較例3のベルトカバー層の重量は、実施例2を100とした時、比較例3は104と重くなった。これは、比較例3のコード径が増大するため、ベルトカバー層の厚みが増大したためである。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ベルト層
7,7a,7b ベルトカバー層
F 複合コード
FL 低弾性率繊維束
FH 高弾性率繊維束
F0 複合コード
F50 複合コード

Claims (7)

  1. 左右一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層の外周にベルト層を配置すると共に、該ベルト層の外周側の少なくともショルダー部に低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とを撚り合わせた複合コードを実質的にタイヤ周方向に螺旋状に巻回して形成したベルトカバー層を配置した空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記複合コードが、該複合コードを解撚したとき前記低弾性率繊維束と高弾性率繊維束とがそれぞれ互いに同一方向の撚りを有し、かつ、前記高弾性率繊維束の下記(2)式で規定された撚り係数KHと、前記低弾性率繊維束の下記(1)式で規定された撚り係数KLとの比KH/KLが、0.2〜0.8になる構成からなる空気入りラジアルタイヤ。
    KL=TL√(DL/ρL) ・・・・・・・・・・・・・(1)
    ただし、TL:低弾性率繊維束の撚り数(t/10cm)
    DL:低弾性率繊維束の太さ(dtex)
    ρL:低弾性率繊維の比重
    KH=TH√(DH/ρH) ・・・・・・・・・・・・・(2)
    ただし、TH:高弾性率繊維束の撚り数(t/10cm)
    DH:高弾性率繊維束の太さ(dtex)
    ρH:高弾性率繊維の比重
  2. 前記複合コードが、低弾性率繊維束の下撚り糸と、該低弾性率繊維束の下撚り糸と同一方向の撚りであって撚り数が該下撚り糸よりも少ないかまたは無撚りの高弾性率繊維束の下撚り糸とを引き揃え、該下撚り糸の撚り方向と同一方向の上撚りを与えて撚り合わされた構成からなる請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記複合コードの低弾性率繊維束の撚り係数KLが、400〜900の範囲にある請求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記高弾性率繊維束の体積化繊度DH/ρHと、前記低弾性率繊維束の体積化繊度DL/ρLとの比(DH/ρH)/(DL/ρL)が、0.6〜1.5の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記複合コードの体積化総繊度が、1500〜3500の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記ベルトカバー層を前記ベルト層のタイヤショルダー部およびタイヤセンター部を覆うように配置し、該ベルトカバー層が前記ベルト層のタイヤショルダー部を覆う領域の複合コードの低弾性率繊維束と高弾性率繊維束との撚り係数の比KH/KLを、該ベルト層のタイヤセンター部を覆う領域の複合コードの低弾性率繊維束と高弾性繊維束との撚り係数の比KH/KLよりも小さくした請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記低弾性率繊維束が、ナイロン66繊維、ナイロン46繊維またはポリエチレンテレフタレート繊維であり、前記高弾性率繊維束が、アラミド繊維、ポリケトン繊維またはポリエチレンナフタレート繊維である請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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