JP2010173432A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】ロック機構を備え一定以上の衝撃で確実に作動し、後面衝突時に乗物の後方への身体の移動量を大きくでき、ヘッドレストと独立して後面衝突時に乗員に加わる衝撃を効果的に軽減する乗物用シートを提供する。
【解決手段】乗物用シートSは、シートバックフレーム1と、ヘッドレストS3と、ヘッドレストS3と独立して可動する受圧部材20と、シートバックフレーム1の両側のサイド部で、少なくとも一方側に配設されている回動部材30と、回動部材30の可動を阻止するロック機構50を備えている。
所定の衝撃荷重によりヘッドレストS3と独立して回動部材30が可動するが、回動部材30は、連結部材22を介して受圧部材20をシートバックフレーム1の前方側に付勢する付勢手段35と連結され、ロック機構50は、一定量の荷重で、回動部材30の可動阻止を解除し、付勢手段35に抗して回動部材30が可動するように構成されている。
【選択図】図10
Description
上述のように特許文献1及び特許文献2で示される技術は、いずれもヘッドレストと連動しており、全体として装置が大きくなり、軽量化が困難であるという不都合があった。
また、本発明の他の目的は、衝撃低減部材やロック機構のガタ付きを防止し、構造が単純で、且つ低コストで、ヘッドレストと独立して後面衝突時における身体、頸部等への衝撃を効果的に軽減できる乗物用シートを提供することにある。
また、衝撃低減部材は、連結部材を介して受圧部材をシートバックフレームの前方側に付勢する付勢手段と連結され、受圧部材はヘッドレストと独立して可動するので、衝撃低減部材は、後面衝突時に受圧部材からの荷重で可動し、乗員の身体が着座姿勢を保持した状態で、乗員の頭部がヘッドレストに当接できるようになる。このため、ヘッドレストを前方へ移動させるためのヘッドレストと連携した機構を設けなくても、乗員の頭部を支持して頭部或いは頸部に加わる衝撃を軽減することが可能となる。
さらに衝撃低減部材及び受圧部材はそれぞれヘッドレストと独立しているので、衝撃低減部材及び受圧部材に生じる荷重をヘッドレストへ伝達する機構等が不要となり、単純化が図れると共に軽量化を図ることが可能となる。
このとき、請求項4のように、衝撃低減部材は、回動可能な軸部を備え、ロック機構は、一定量の荷重が加わるまで衝撃低減部材の回動を阻止する衝撃低減部材との当接部を備えていると好適である。このように、当接部が設けられていると、ロック機構の重心を高い位置にすることが可能となるため、動き出しを調整することが可能となり、より一定以下の衝撃で作動することを防ぎ、一定以上の衝撃で確実に作動するようにできる。
例えば、衝撃低減部材が反時計周りに付勢され、ロック機構が時計周りに動こうとしている場合に、ロック機構の当接部と衝撃低減部材の2つが当接してロック機構が、衝撃低減部材の動きを阻止している。そして、ロック機構の当接部が外れ、一定の荷重により衝撃低減部材が回動し、確実にシートバック方向に沈み込むことが可能となる。
このように構成すると、通常の着座荷重で生じる荷重領域で衝撃低減部材が可動又は回動しないことから、着座フィーリングに影響を及ぼさず、着座フィーリングを良好に保つことができる。また付勢手段が、衝撃低減部材を可動又は回動する力に抗して初期状態に復帰させる力が、初期は高く、可動するに従って低くなり、通常着座時に衝撃低減部材が回動できにくい状態となり、後面衝突時に衝撃低減部材が動き易い状態となる。
請求項2の乗物用シートによれば、ロック機構を衝撃低減部材に近づけて配設することが可能となり、小型化を図ることが可能となる。
請求項3及び4の乗物用シートによれば、ロック機構の重心を高い位置にすることが可能となるため、動き出しを調整することが可能となり、より一定以下の衝撃で作動することを防ぎ、一定以上の衝撃で確実に作動するようにできる。
請求項5の乗物用シートによれば、ロック機構の当接部が外れ、一定の荷重により衝撃低減部材が回動し、確実にシートバック方向に沈み込むことが可能となる。
請求項6の乗物用シートによれば、衝撃低減部材やロック機構が、常に緊張されて、ガタ付かないように構成することが可能となる。
請求項7の乗物用シートによれば、ロック機構は、ロック機構の回動軸の位置・重心の位置などにより位置が決まるので、最適な位置を決定することが可能となる。
請求項8の乗物用シートによれば、重心が高くなり、より確実にロック機構の外れが確実になり、一定量の荷重が加わることで、衝撃低減部材の回動の阻止を解除することが可能となる。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム17との別部材で形成されているが、一体のパイプフレーム、一体の板状フレーム等で形成することもできる。
また、前縁部15bの突起部15dから付勢手段としての引張りコイルばね35が配設される位置には、乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部15eが形成されている。この切り欠き部15eにより、引張りコイルばね35との干渉を防止することができる。
そして、本実施形態の回動部材30は、回動可能な軸部32と、この軸部32から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部31と、付勢手段の係止部(係止孔33)と、回動を阻止する回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)と、を備えている。
この回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、後述する付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
本実施形態では、回動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材30は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材30が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
本実施形態のロック本体51は、図9で示すように、当接部51aと、回動軸形成部51bと、連結部51cとが一体となって構成されている。
つまり、ロック機構50は、通常の着座荷重のときには、回動部材30が時計周りに付勢され、ロック機構50を構成するロック本体51が反時計周りに動こうとしている場合に、ロック本体51の当接部51aと回動部材30が、図10(a)で示すように、当接して、回動部材30の動きを阻止している。このようにロック機構50に設けられている引張りコイルばね52によって、回転部材30やロック本体51が、常に緊張されて、ガタ付かないようになっている。
ここで、回動部材30が回動を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では回動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
回動部材30の回動前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部31と引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32よりも乗物前方に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の上端部は回動部材30の上方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔34aに係止されている。
すなわち、回動部材30の回動量と、引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)は比例しない構成となっており、さらに換言すれば、回動部材30の回動角度と、引張りコイルばね35により与えられる前方回動方向のトルク(回転力)は単純に比例しない関係となっている。
このため、回動部材30が回動を始める時の、ワイヤ22を介して生じる張力に対して、ストッパ39bに当接して回動が抑止されるとき(回動が終了するとき)に生じる張力は、略同じ値となっている。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d,15f 突起部
15e 切り欠き部
15h 孔
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
21a,22a 凹凸部
22c 鈎部
24 爪部
30 回動部材(衝撃低減部材)
30a ベース部
30b 第1立上り部
30c 形成部
30d 第2立上り部
31 係止部
32 軸部
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33,34a,34b 係止孔
35 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39 回動阻止部
39a,39b ストッパ部
50 ロック機構
51 ロック本体
51a 当接部
51b 回動軸形成部
51c 連結部
51d 屈曲部
51e 連結孔
52 引張りコイルばね(付勢手段)
52a フック
53 回動軸
53a 軸部材
53b 嵌め合わせ部材
Claims (8)
- 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームに連結部材を介して連結されると共に、前記ヘッドレストと独立して可動する受圧部材と、
前記シートバックフレームの両側のサイド部の少なくとも一方側に配設されると共に、前記連結部材と連結され、前記ヘッドレストと独立して可動する衝撃低減部材と、
前記衝撃低減部材に連結され、前記受圧部材を前記シートバックフレームの前方側に付勢する付勢手段と、
前記衝撃低減部材の可動を阻止するロック機構と、を備え、
前記ロック機構は、一定量の荷重が加わることで、前記衝撃低減部材の可動の阻止を解除して、前記付勢手段に抗して前記衝撃低減部材の可動を可能にすることを特徴とする乗物用シート。 - 前記ロック機構は、前記シートバックフレームのサイド部に配設されていることを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
- 前記ロック機構は、前記衝撃低減部材の配置位置より車両下方側に配設されていることを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材は、回動可能な軸部を備え、
前記ロック機構は、一定量の荷重が加わるまで前記衝撃低減部材の回動を阻止する前記衝撃低減部材との当接部を備えてなることを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。 - 前記ロック機構は、一定の荷重が加わることによって前記衝撃低減部材が回動するときに、前記衝撃低減部材の動きに反して、前記当接部が前記衝撃低減部材から離間し、前記付勢手段に抗して前記衝撃低減部材の可動を可能にすることを特徴とする請求項4記載の乗物用シート。
- 前記ロック機構は、前記衝撃低減部材の回動を阻止する方向に付勢する付勢手段を備え、該付勢手段によって付勢されることで前記当接部が前記衝撃低減部材と当接することを特徴とする請求項4又は5記載の乗物用シート。
- 前記ロック機構は、回動軸と、該回動軸から所定位置に形成された前記衝撃低減部材と当接する当接部と、該当接部と前記シートバックフレームのサイド部との間に配設された付勢手段と、を備え、前記当接部より車両下側に形成された回動軸によって回動可能に配設されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
- 前記ロック機構は、当接部を含む重量が、他の部分に比して、重量が大きく形成されていることを特徴とする請求項7記載の乗物用シート。
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JP2002002342A (ja) * | 2000-06-21 | 2002-01-09 | Nissan Motor Co Ltd | 車両用シートバック構造 |
WO2009011388A1 (ja) * | 2007-07-19 | 2009-01-22 | Ts Tech Co., Ltd. | シートバックフレーム及び車両用シート |
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