JP2010169769A - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶解コントラストが大きく、高解像度で且つ焦点深度にも優れる感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本感放射線性樹脂組成物は、(A)下式(a−1)で表される繰り返し単位、環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位、及び、酸で脱保護可能な保護基を含む繰り返し単位を含有し、且つアルカリ不溶性樹脂であって、前記保護基が脱離した際、アルカリ可溶性となる樹脂と、(B)酸発生剤とを含む。
Figure 2010169769

【選択図】なし

Description

本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、その他のフォトリソグラフィー工程に使用される感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、KrFエキシマレーザー等の波長280nm以下の遠紫外線や電子線を露光光源とするフォトリソグラフィー工程に好適に用いることができる、化学増幅型の感放射線性樹脂組成物に関する。
化学増幅型の感放射線性樹脂組成物は、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーに代表される遠紫外線や電子線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする化学反応により、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる組成物である。
例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を光源として用いる場合には、248nm領域での吸収が小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)(以下、「PHS」ともいう。)を基本骨格とする重合体を構成成分とする化学増幅型感放射線性樹脂組成物が用いられている。この組成物によれば、高感度、高解像度、且つ良好なパターン形成を実現することが可能である。
しかしながら、PHSを基本骨格とする重合体を用いる場合、それ自身が現像液に対する溶解性を有しており、溶解コントラストとしては改善の余地がある状態であった。
そこで、更なる微細加工を目的として、現像液に対する溶解コントラストを向上させるため、現像液に対する溶解性を著しく低下させた脂環式炭化水素を骨格中に有する重合体、特に、その繰り返し単位中に環状炭酸骨格を有する重合体を構成成分とする樹脂組成物を用いることで、溶解コントラストを改善し、更なる微細加工に適したリソグラフィー材料として適用した。
前記のような感放射線性樹脂組成物としては、例えば、その繰り返し単位中に、環状炭酸骨格やヒドロキシスチレン骨格を有する重合体を構成成分とする感放射線性樹脂組成物が開示されている(特許文献1参照)。
特開平10−133377号公報
前記組成物は、その繰り返し単位中に環状炭酸骨格を有することで、レジストとしての解像性能が飛躍的に向上することが見出されている。
しかしながら、ヒドロキシスチレン骨格をも含有しており、それ自身の溶解コントラストの向上の余地は残る。また、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を光源としたレジストパターンの微細化が線幅120nm以下のレベルまで進展している現在にあっては、より高い解像性能を満足させる材料の開発が求められている。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、溶解コントラストを向上させることができ、高解像度で且つ焦点深度にも優れる感放射線性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、スチレン由来の繰り返し単位と、環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位と、酸で脱保護可能な保護基を含む繰り返し単位と、を有する重合体からなる樹脂と、放射線を吸収して分解すると酸を発生する感放射線性酸発生剤と、を感放射線性樹脂組成物の構成成分とすることによって、前記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の通りである。
[1](A)下記式(a−1)で表される繰り返し単位、環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位、及び、酸で脱保護可能な保護基を含む繰り返し単位を含有しており、且つアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂であって、前記保護基が酸の作用により脱離した際に、アルカリ可溶性となる樹脂と、
(B)感放射線性酸発生剤と、を含むことを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
Figure 2010169769
[2]前記樹脂(A)が、前記保護基を含む繰り返し単位として、下記一般式(a−3)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(a−4)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも一方を含有する前記[1]に記載の感放射線性樹脂組成物。
Figure 2010169769
〔一般式(a−3)において、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Rは、相互に独立して炭素数1〜10のアルキル基を示すか、又は、いずれか2つのRに含まれる炭素原子が他の原子を介して結合して3〜10員環を形成し、且つ残りのRが炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
Figure 2010169769
〔一般式(a−4)において、Rは相互に独立して、炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
本発明の感放射線性樹脂組成物は、アルカリ不溶性(難溶性)であり、従来よりも溶解コントラストが大きく、高解像度で且つ焦点深度にも優れる。従って、KrFエキシマレーザーを光源とするリソグラフィー材料として好適に用いることができる。また、ArFエキシマレーザーを光源とするリソグラフィー、及び液浸露光にも対応可能である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
尚、本明細書における「(メタ)アクリル」は、「アクリル」又は「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。また、本明細書において、「・・・基」というときは、「置換されていてもよい・・・基」を意味するものとする。例えば、「アルキル基」と記載されている場合には、無置換のアルキル基のみならず、水素原子が他の官能基に置換されたアルキル基も含む。更に、「・・・基」というときは、「分岐を有していてもよい・・・基」を意味するものとする。例えば、「アルキルカルボニル基」と記載されている場合には、直鎖状のアルキルカルボニル基のみならず、分岐状のアルキルカルボニル基も含むものとする。また、「誘導体」というときは、「構成している炭素原子が他の原子で置換された化合物」を意味するものとする。例えば、シクロペンタンの誘導体としては構成している炭素原子の1つが酸素に置換されたテトラヒドロフランを挙げることができる。
[1]感放射線性樹脂組成物
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)特定の繰り返し単位を含有し、且つアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂(以下、単に「樹脂(A)」ともいう。)と、(B)感放射線性酸発生剤(以下、単に「酸発生剤(B)」ともいう。)と、を含むものである。
(1)樹脂(A)
前記樹脂(A)は、アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性であって、酸の作用によりアルカリ易溶性となる樹脂である。尚、ここでいう「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、樹脂(A)を含有する感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下において、前記レジスト被膜の代わりに樹脂(A)のみを用いた膜厚100nmの被膜を現像した場合に、この被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
また、樹脂(A)は、下記式(a−1)で表される繰り返し単位[以下、「繰り返し単位(a−1)」ともいう。]、環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位、及び、酸で脱保護可能な保護基を含む繰り返し単位[以下、「保護基含有繰り返し単位」ともいう。]を含有する。
Figure 2010169769
(1−1)繰り返し単位(a−1)
前記繰り返し単位(a−1)を与える単量体としては、スチレンが挙げられる。
(1−2)環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位
前記環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位は、環状炭酸エステル構造を含んでいる限り特に限定されない。その中で、(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する繰り返し単位であって、且つ(メタ)アクリロイルオキシ基に直接又は間接的に結合する環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位であることが好ましい。特に、下記一般式(a−2)で表される繰り返し単位[以下、「繰り返し単位(a−2)」ともいう。]であることが好ましい。
Figure 2010169769
〔一般式(a−2)において、Rは、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、複数のRは相互に独立して、水素原子、又はヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜5の鎖状炭化水素基を示し、Aは、単結合、置換若しくは非置換の炭素数が1〜30である2価若しくは3価の鎖状炭化水素基、置換若しくは非置換の炭素数が3〜30である2価若しくは3価のヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数が6〜30である2価若しくは3価の芳香族炭化水素基を示し、nは2〜4の整数を示す。Aが3価の炭化水素基である場合、Aに含まれる炭素原子と、環状炭酸エステル構造を形成する炭素原子と、が結合して環構造が形成されている。〕
前記一般式(a−2)中、nは2〜4の整数を示す。即ち、環状炭酸エステル構造は、n=2(エチレン基)の場合は5員環構造、n=3(プロピレン基)の場合は6員環構造、n=4(ブチレン基)の場合は7員環構造となる。
前記一般式(a−2)中、Aは、単結合、置換若しくは非置換の炭素数が1〜30である2価若しくは3価の鎖状炭化水素基、置換若しくは非置換の炭素数が3〜30である2価若しくは3価のヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数が6〜30である2価若しくは3価の芳香族炭化水素基を示す。
Aが単結合の場合、重合体を構成する(メタ)アクリル酸の酸素原子と、環状炭酸エステル構造を形成する炭素原子と、が直接結合されることになる。
本明細書にいう「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基を意味するものとする。「炭素数が1〜30である2価の鎖状炭化水素基」としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、イコサレン基等の直鎖状アルキレン基;1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基等の分岐状アルキレン基;等を挙げることができる。「炭素数が1〜30である3価の鎖状炭化水素基」としては、前記官能基から水素原子が1個脱離した基等を挙げることができる。
Aが鎖状炭化水素基である場合の構造の具体例としては、重合体を構成する(メタ)アクリル酸の酸素原子と、環状炭酸エステル構造を形成する炭素原子とが、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を介して結合されている構造を挙げることができる(後述する繰り返し単位(a−2−1)〜(a−2−6)を参照)。尚、これらの鎖状炭化水素基は、置換基を有するものであってもよい(後述する繰り返し単位(a−2−16)を参照)。
Aに含まれる炭素原子と、環状炭酸エステル構造を形成する炭素原子と、が結合して、環構造が形成されていてもよい。換言すれば、環状炭酸エステル構造が、有橋環、縮合環又はスピロ環の一部を構成していてもよい。例えば、前記環構造に環状炭酸エステル構造中の2つの炭素原子が含まれる場合には、有橋環又は縮合環が形成され、環状炭酸エステル中の1つの炭素原子のみが含まれる場合には、スピロ環が形成される。後述する繰り返し単位(a−2−7)、(a−2−9)、(a−2−11)、(a−2−12)、(a−2−15)、及び(a−2−17)〜(a−2−22)は、Aに含まれる炭素原子と、環状炭酸エステル構造を形成する2つの炭素原子と、を含む縮合環(5〜6員環)が形成されている例である。一方、後述する繰り返し単位(a−2−10)及び(a−2−14)は、Aに含まれる炭素原子と、環状炭酸エステル構造を形成する1つの炭素原子と、によってスピロ環が形成されている例である。尚、前記環構造は、例えば、酸素(O)や窒素(N)等のヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい(後述する繰り返し単位(a−2−17)〜(a−2−22)を参照)。他方、後述する繰り返し単位(a−2−8)及び(a−2−13)は、Aに含まれる2つの炭素原子と、環状炭酸エステル構造を形成する2つの炭素原子と、を含む有橋環が形成されている例である。
本明細書にいう「脂環式炭化水素基」とは、環構造中に、脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。但し、この「脂環式炭化水素基」は脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。
「2価の脂環式炭化水素基」としては、例えば、1,3−シクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等、1,4−シクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等の炭素数3〜10の単環型シクロアルキレン基;1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等の多環型シクロアルキレン基;等を挙げることができる。「3価の脂環式炭化水素基」としては、前記官能基から水素原子が1個脱離した基等を挙げることができる。
Aが脂環式炭化水素基である場合の構造としては、重合体を構成する(メタ)アクリル酸の酸素原子と、環状炭酸エステルを構成する炭素原子とが、シクロペンチレン基を介して結合されているもの(後述する繰り返し単位(a−2−10)を参照)、ノルボルニレン基を介して結合されているもの(後述する繰り返し単位(a−2−11)及び(a−2−12)を参照)、置換テトラデカヒドロフェナントリル基を介して結合されているもの(後述する繰り返し単位(a−2−14)を参照)等を挙げることができる。
尚、後述する繰り返し単位(a−2−11)及び(a−2−12)は、Aに含まれる炭素原子と、環状炭酸エステルを構成する2つの炭素原子と、を含む縮合環(4〜5員環)が形成されている例である。一方、後述する繰り返し単位(a−2−10)及び(a−2−14)は、Aに含まれる炭素原子と、環状炭酸エステルを構成する1つの炭素原子と、によってスピロ環が形成されている例である。
本明細書にいう「芳香族炭化水素基」とは、環構造中に芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。但し、この「芳香族炭化水素基」は芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
「2価の芳香族炭化水素基」としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、フェナントリレン基、アントリレン基等のアリーレン基等を挙げることができる。「3価の芳香族炭化水素基」としては、前記官能基から水素原子が1個脱離した基等を挙げることができる。
Aが芳香族炭化水素基である例としては、重合体を構成する(メタ)アクリル酸の酸素原子と、環状炭酸エステルを構成する炭素原子とが、ベンジレン基を介して結合されているもの(後述する繰り返し単位(a−2−15)を参照)等を挙げることができる。この繰り返し単位(a−2−15)は、Aに含まれる炭素原子と、環状炭酸エステル構造を形成する2つの炭素原子と、を含む縮合環(6員環)が形成されている例である。
繰り返し単位(a−2)を与える単量体は、例えば、Tetrahedron Letters,Vol.27,No.32 p.3741(1986)、Organic Letters,Vol.4,No.15 p.2561(2002)等に記載された、従来公知の方法により合成することができる。
繰り返し単位(a−2)の特に好ましい例としては、下記一般式(a−2−1)〜(a−2−22)で表される繰り返し単位(a−2−1)〜(a−2−22)を挙げることができる。尚、下記一般式(a−2−1)〜(a−2−22)中のRは、前記一般式(a−2)中のRと同義である。
Figure 2010169769
〔一般式(a−2−1)〜(a−2−22)における各Rは、それぞれ、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。〕
尚、本発明における樹脂(A)には、前記環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位が、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
(1−3)保護基含有繰り返し単位
前記保護基含有繰り返し単位は特に限定されないが、下記一般式(a−3)で表される繰り返し単位[以下、「繰り返し単位(a−3)」ともいう。]、及び下記一般式(a−4)で表される繰り返し単位[以下、「繰り返し単位(a−4)」ともいう。]のうちの少なくとも一方であることが好ましい。
Figure 2010169769
〔一般式(a−3)において、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Rは、相互に独立して炭素数1〜10のアルキル基を示すか、又は、いずれか2つのRに含まれる炭素原子が他の原子を介して結合して3〜10員環を形成し、且つ残りのRが炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
Figure 2010169769
〔一般式(a−4)において、Rは相互に独立して、炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
前記一般式(a−3)におけるRの炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基等が挙げられる。
また、一般式(a−3)における2つのRに含まれる炭素原子が他の原子を介して結合して形成される3〜10員環としては、シクロプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記繰り返し単位(a−3)としては、例えば、下記一般式(a−3−1)〜(a−3−10)で示される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2010169769
〔一般式(a−3−1)〜(a−3−10)における各Rは、それぞれ、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。〕
尚、本発明における樹脂(A)には、前記繰り返し単位(a−3)が、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
前記一般式(a−4)におけるRの炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基等が挙げられる。
尚、本発明における樹脂(A)には、前記繰り返し単位(a−4)が、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
(1−4)繰り返し単位(a−5)
本発明における樹脂(A)は、前述の各繰り返し単位以外にも、下記一般式(a−5)で表される、構造中に多環型シクロアルキル基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(a−5)」ともいう。)を含有していてもよい。
Figure 2010169769
〔一般式(a−5)において、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示し、Rは炭素数7〜20の多環型シクロアルキル基を示す。〕
前記一般式(a−5)におけるRの「炭素数7〜20の多環型シクロアルキル基」としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン等の複数の環構造を有するシクロアルキル基が挙げられる。
前記多環型シクロアルキル基においては、1個又は2個以上の水素原子が、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基によって置換されていてもよい。
前記炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数3〜4の分岐状アルキル基等が挙げられる。
また、前記炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
前記繰り返し単位(a−5)としては、例えば、下記一般式(a−5−1)、及び(a−5−2)で示される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2010169769
〔一般式(a−5−1)及び(a−5−2)において、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。〕
前記繰り返し単位(a−5)を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[4.4.0]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクチルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニルエステル等が挙げられる。
尚、本発明における樹脂(A)には、前記繰り返し単位(a−5)が、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
(1−5)繰り返し単位(a−6)
本発明における樹脂(A)は、前述の各繰り返し単位以外にも、下記一般式(a−6)で表される、構造中に2つのトリフルオロメチル基と1つのヒドロキシル基が結合した炭素原子を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(a−6)」ともいう。)を含有していてもよい。
Figure 2010169769
〔一般式(a−6)において、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を示し、Rは、2価の鎖状炭化水素基又は2価の環状炭化水素基を示す。〕
前記一般式(a−6)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の分岐状アルキル基等が挙げられる。
前記一般式(a−6)におけるRの「2価の鎖状炭化水素基」としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、イコサレン基等の直鎖状アルキレン基;1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基等の分岐状アルキレン基等が挙げられる。
また、一般式(a−6)におけるRの「2価の環状炭化水素基」としては、1,3−シクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等、1,4−シクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等の炭素数3〜10の単環型シクロアルキレン基;1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等の多環型シクロアルキレン基等が挙げられる。
尚、前記「2価の鎖状炭化水素基」又は「2価の環状炭化水素基」は、炭素原子及び水素原子を含む限り、他の原子を含むものであってもよい。例えば、アルキレングリコール基、アルキレンエステル基等も、「2価の鎖状炭化水素基」に含まれる。
前記繰り返し単位(a−6)を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−3−プロピル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−5−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸2−{[5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル}エステル、(メタ)アクリル酸3−{[8−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル}エステル等が挙げられる。
尚、本発明における樹脂(A)には、前記繰り返し単位(a−6)が、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
(1−6)各繰り返し単位の含有割合
前記樹脂(A)における前記繰り返し単位(a−1)の含有割合は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、3〜30モル%であることが好ましく、より好ましくは5〜15モル%である。この繰り返し単位(a−1)の含有割合が3〜30モル%である場合、レジストとしての焦点深度を十分に向上させることができる。尚、この含有割合が3モル%未満の場合、レジストとしてのパターンの高さが低下するおそれがある。一方、30モル%を超える場合、レジストとしての解像性が低下するおそれがある。
前記環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位の含有割合は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは5〜70モル%、更に好ましくは5〜50モル%である。この環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位の含有割合が5〜80モル%である場合、レジストとしての現像性、低欠陥性、低LWR、低PEB温度依存性等を向上させることができる。尚、この含有割合が5モル%未満の場合、レジストとしての現像性、低欠陥性が低下するおそれがある。一方、80モル%を超える場合、レジストとしての解像性、低LWR、低PEB温度依存性が低下するおそれがある。
ここでいう「低欠陥性」とは、フォトリソグラフィー工程において欠陥が生じ難いことを意味する。デバイス製造において、欠陥が大量に発生した場合には、デバイスの歩留まりに大きな影響を与えることとなり好ましくない。
前記保護基含有繰り返し単位の含有割合は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜80モル%、更に好ましくは10〜70モル%である。
特に、前記繰り返し単位(a−3)の含有割合は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜80モル%、更に好ましくは20〜70モル%である。この繰り返し単位(a−3)の含有割合が5〜80モル%である場合、レジストとしての焦点深度を十分に向上させることができる。一方、80モル%を超える場合、レジストとしてのコントラスト過多となり、焦点深度を十分に得られないおそれがある。
また、前記繰り返し単位(a−4)の含有割合は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5〜70モル%であることが好ましく、より好ましくは5〜60モル%、更に好ましくは10〜40モル%である。この繰り返し単位(a−4)の含有割合が5〜70モル%である場合、レジストとしてのエッチング耐性を向上させることができる。
前記繰り返し単位(a−5)の含有割合は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、0〜30モル%であることが好ましく、より好ましくは0〜25モル%である。この繰り返し単位(a−5)の含有割合が30モル%以下である場合、レジストとしての焦点深度を十分に向上させることができる。尚、この含有割合が30モル%を超えると、レジスト被膜がアルカリ現像液によって膨潤し易くなり、或いはレジストとしての現像性が低下するおそれがある。
前記繰り返し単位(a−6)の含有割合は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、0〜30モル%であることが好ましく、より好ましくは0〜25モル%である。この繰り返し単位(a−6)の含有割合が30モル%以下である場合、レジストとしての現像性、解像性等を十分に向上させることができる。尚、この含有割合が30モル%を超えると、レジストパターンのトップロスが生じパターン形状が悪化するおそれがある。
(1−7)樹脂(A)の製造方法
本発明における樹脂(A)は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができる。例えば、(1)単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、(2)単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、(3)各々の単量体を含有する、複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
尚、単量体溶液に対して、単量体溶液を滴下して反応させる場合、滴下される単量体溶液中の単量体量は、重合に用いられる単量体総量に対して30モル%以上であることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70モル%以上である。
これらの方法における反応温度は開始剤の種類によって適宜決定される。通常、この反応温度は30〜180℃であり、好ましくは40〜160℃、更に好ましくは50〜140℃である。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分〜8時間であり、好ましくは45分〜6時間、更に好ましくは1〜5時間である。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜8時間であり、好ましくは45分〜7時間、更に好ましくは1〜6時間である。
前記重合に使用されるラジカル開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−2−プロペニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1―ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル)等を挙げることができる。これらの開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば使用することができる。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等が挙げられる。
前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
前記エーテル類としては、例えば、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン等が挙げられる。
前記ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
前記エステル・ラクトン類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
前記ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合反応により得られた樹脂は、再沈殿法により回収することが好ましい。即ち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の樹脂を粉体として回収する。再沈溶媒としては、前記重合溶媒として例示した溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、樹脂(A)には、単量体由来の低分子量成分が含まれるが、その含有割合は、樹脂(A)の総量を100質量%とした場合に、0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.07質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下である。
この低分子量成分の含有割合が0.1質量%以下である場合には、樹脂(A)を使用してレジスト膜を作製し、液浸露光を行う際に、レジスト膜に接触した水への溶出物の量を少なくすることができる。更には、レジスト保管時に、レジスト中に異物が析出することがなく、レジスト塗布時においても塗布ムラが発生することがない。従って、レジストパターン形成時における欠陥の発生を十分に抑制することができる。
尚、「単量体由来の低分子量成分」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、500以下の成分を意味する。具体的には、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等の成分が挙げられる。この「低分子量成分」は、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法、化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法とを組み合わせた方法等により除去することができる。
また、前記低分子量成分は、樹脂(A)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析で定量することができる。尚、樹脂(A)は、低分子量成分の他、ハロゲン、金属等の不純物が少ないほど好ましく、それにより、レジストとしたときの感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に改善することができる。
本発明における樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、特に限定されないが、1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜30,000、更に好ましくは1,000〜20,000である。樹脂(A)のMwが1,000未満である場合、レジストとしたときの耐熱性が低下する傾向がある。一方、このMwが100,000を超える場合、レジストとしたときの現像性が低下する傾向がある。
また、樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜5.0であり、より好ましくは1.0〜3.0、更に好ましくは1.0〜2.0である。
尚、本発明の樹脂組成物においては、前記樹脂(A)を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(2)酸発生剤(B)
本発明における酸発生剤(B)は、露光により酸を発生する、感放射線性の酸発生剤である。この酸発生剤は、露光により発生した酸によって、感放射線性樹脂組成物に含有される樹脂(A)中に存在する酸解離性基を解離させて(保護基を脱離させて)、樹脂(A)をアルカリ可溶性とする。そして、その結果、レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、これによりポジ型のレジストパターンが形成される。
前記酸発生剤(B)としては、下記一般式(b−1)で表される化合物を含むものが好ましい。
Figure 2010169769
前記一般式(b−1)において、Rは水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、又は炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基を示し、R10は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、又は炭素数1〜10のアルカンスルホニル基を示し、R11は相互に独立して炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示す。但し、2個のR11が相互に結合して炭素数2〜10の2価の基を形成していてもよい。kは0〜2の整数であり、rは0〜10の整数であり、Xは下記一般式(x−1)〜(x−4)で表されるアニオンを示す。
122ySO :(x−1)
12SO :(x−2)
〔一般式(x−1)及び(x−2)において、R12は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜12の炭化水素基を示し、yは1〜10の整数である。〕
Figure 2010169769
〔一般式(x−3)及び(x−4)において、R13は相互に独立して、炭素数1〜10のフッ素置換アルキル基を示す。但し、2個のR13が相互に結合して炭素数2〜10の2価のフッ素置換アルキレン基を形成していてもよい。〕
前記一般式(b−1)におけるR、R10及びR11の「炭素数1〜10のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基;i−プロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
また、一般式(b−1)におけるR及びR10の「炭素数1〜10のアルコキシル基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等の直鎖状アルコキシル基;i−プロポキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の分岐状アルコキシル基等が挙げられる。これらのなかでも、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
また、一般式(b−1)におけるRの「炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等の直鎖状アルコキシカルボニル基;i−プロポキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等の分岐状アルコキシカルボニル基等が挙げられる。これらのなかでも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等が好ましい。
また、一般式(b−1)におけるR10の「炭素数1〜10のアルカンスルホニル基」としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、n−ヘプタンスルホニル基、n−オクタンスルホニル基、n−ノナンスルホニル基、n−デカンスルホニル基等の直鎖状アルカンスルホニル基;tert−ブタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基等の分岐状アルカンスルホニル基;シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等のシクロアルカンスルホニル基等が挙げられる。これらのなかでも、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等が好ましい。
また、一般式(b−1)におけるrは0〜10の整数であり、0〜2の整数であることが好ましい。
一般式(b−1)におけるR11の「フェニル基」としては、フェニル基の他;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−フルオロフェニル基等の置換フェニル基;これらの基の水素原子を、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシカルボニルオキシ基の群から選択される少なくとも一種の基で置換した基等が挙げられる。
また、フェニル基又は置換フェニル基の水素原子を置換する基のうち、前記「アルコキシル基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシル基;i−プロポキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等の分岐状アルコキシル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基等が挙げられる。これらの基の炭素数は1〜20であることが好ましい。
また、前記「アルコキシアルキル基」としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の直鎖状アルコキシアルキル基;1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基等の分岐状アルコキシアルキル基;その他、シクロアルカン構造を有するアルコキシアルキル基等が挙げられる。これらの基の炭素数は1〜20であることが好ましい。
更に、前記「アルコキシカルボニル基」としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等の直鎖状アルコキシカルボニル基;i−プロポキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等の分岐状アルコキシカルボニル基;シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等のシクロアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。これらの基の炭素数は2〜21であることが好ましい。
また、前記「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基等の直鎖状アルコキシカルボニルオキシ基;i−プロポキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基等の分岐状アルコキシカルボニルオキシ基;シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等のシクロアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。これらの基の炭素数は2〜21であることが好ましい。
特に、一般式(b−1)におけるR11の「フェニル基」としては、フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブトキシフェニル基等が好ましい。
また、一般式(b−1)におけるR11の「ナフチル基」としては、例えば、1−ナフチル基の他;2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、2,3−ジメチル−1−ナフチル基、2,4−ジメチル−1−ナフチル基、2,5−ジメチル−1−ナフチル基、2,6−ジメチル−1−ナフチル基、2,7−ジメチル−1−ナフチル基、2,8−ジメチル−1−ナフチル基、3,4−ジメチル−1−ナフチル基、3,5−ジメチル−1−ナフチル基、3,6−ジメチル−1−ナフチル基、3,7−ジメチル−1−ナフチル基、3,8−ジメチル−1−ナフチル基、4,5−ジメチル−1−ナフチル基、5,8−ジメチル−1−ナフチル基、4−エチル−1−ナフチル基2−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基等の置換ナフチル基;これらの基の水素原子を、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシカルボニルオキシ基の群から選択される少なくとも一種の基で置換した基等が挙げられる。
また、ナフチル基又は置換ナフチル基の水素原子を置換する、「アルコキシル基」、「アルコキシアルキル基」、「アルコキシカルボニル基」、「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、前述のフェニル基の項で例示した基を挙げることができる。
特に、一般式(b−1)におけるR11の「ナフチル基」としては、1−ナフチル基、1−(4−メトキシナフチル)基、1−(4−エトキシナフチル)基、1−(4−n−プロポキシナフチル)基、1−(4−n−ブトキシナフチル)基、2−(7−メトキシナフチル)基、2−(7−エトキシナフチル)基、2−(7−n−プロポキシナフチル)基、2−(7−n−ブトキシナフチル)基等が好ましい。
また、2個のR11が相互に結合して形成される「炭素数2〜10の2価の基」としては、2個のR11が相互に結合し、一般式(b−1)中の硫黄原子と共に5員又は6員の環を形成した構造、なかでも、5員の環(テトラヒドロチオフェン環)を形成した構造が好ましい。
この「2価の基」は、その水素原子が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシカルボニルオキシ基の群から選択される少なくとも一種の基で置換されていてもよい。また、水素原子の一部が置換されていてもよい。「アルコキシル基」、「アルコキシアルキル基」、「アルコキシカルボニル基」、「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、前述のフェニル基の項で例示した基を挙げることができる。
特に、一般式(b−1)におけるR11としては、メチル基、エチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2個のR11が相互に結合し、一般式(b−1)中の硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環を形成した構造が好ましい。
前記一般式(b−1)のカチオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウムカチオン、トリ−1−ナフチルスルホニウムカチオン、トリ−tert−ブチルフェニルスルホニウムカチオン、4−フルオロフェニル−ジフェニルスルホニウムカチオン、ジ−4−フルオロフェニル−フェニルスルホニウムカチオン、トリ−4−フルオロフェニルスルホニウムカチオン、4−シクロヘキシルフェニル−ジフェニルスルホニウムカチオン、4−メタンスルホニルフェニル−ジフェニルスルホニウムカチオン、4−シクロヘキサンスルホニル−ジフェニルスルホニウムカチオン、1−ナフチルジメチルスルホニウムカチオン、1−ナフチルジエチルスルホニウムカチオン、1−(4−ヒドロキシナフチル)ジメチルスルホニウムカチオン、1−(4−メチルナフチル)ジメチルスルホニウムカチオン、1−(4−メチルナフチル)ジエチルスルホニウムカチオン、1−(4−シアノナフチル)ジメチルスルホニウムカチオン、1−(4−シアノナフチル)ジエチルスルホニウムカチオン、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−(4−メトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−(4−エトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−(4−n−プロポキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、2−(7−メトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、2−(7−エトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、2−(7−n−プロポキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン、2−(7−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムカチオン等が好ましい。
一般式(x−1)における「−C2y−」は、炭素数yのパーフルオロアルキレン基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよい。そして、yは1、2、4又は8であることが好ましい。
一般式(x−1)及び(x−2)におけるR12の「炭素数1〜12の炭化水素基」としては、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、有橋脂環式炭化水素基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、ノルボルニル基、ノルボニルメチル基、ヒドロキシノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
一般式(x−3)及び(x−4)におけるR13の「炭素数1〜10のフッ素置換アルキル基」としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ドデカフルオロペンチル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
また、一般式(x−3)及び(x−4)における2個のR13が相互に結合して形成される「炭素数2〜10の2価のフッ素置換アルキレン基」としては、例えば、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、ウンデカフルオロヘキシレン基等が挙げられる。
前記一般式(b−1)におけるアニオン部位としては、例えば、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、パーフルオロ−n−ブタンスルホネートアニオン、パーフルオロ−n−オクタンスルホネートアニオン、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートアニオン、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネートアニオン、1−アダマンチルスルホネートアニオンの他、下記式(x−a)〜(x−g)で表されるアニオン等が好ましい。
Figure 2010169769
前記酸発生剤(B)は、既に例示したカチオン及びアニオンの組合せで構成される。但し、その組合せは特に限定されるものでない。
本発明の樹脂組成物においては、これらの酸発生剤(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、本発明の樹脂組成物においては、前記酸発生剤(B)以外の他の酸発生剤を併用してもよい。そのような他の酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物等が挙げられる。
前記オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。より具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
前記ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等が挙げられる。より具体的には、フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体;1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等が挙げられる。
前記ジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等が挙げられる。より具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられる。
前記スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等が挙げられる。より具体的には、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等が挙げられる。
前記スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、アルキルスルホン酸イミド、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等が挙げられる。より具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート等が挙げられる。
尚、これらの他の酸発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物において、酸発生剤(B)と他の酸発生剤の総使用量は、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、樹脂(A)100質量部に対して、通常、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜20質量部である。この総使用量が0.1質量部未満の場合、感度及び現像性が低下する傾向がある。一方、30質量部を超える場合、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンが得られ難くなる傾向がある。また、他の酸発生剤の使用割合は、酸発生剤(B)と他の酸発生剤との総量を100質量%とした場合に、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下である。
(3)酸拡散抑制剤(C)
本発明の感放射線性樹脂組成物には、前記樹脂(A)及び酸発生剤(B)以外に、酸拡散抑制剤(C)が含まれていることが好ましい。
この酸拡散抑制剤(C)は、露光により酸発生剤(B)から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制するものである。このような酸拡散抑制剤(C)を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとしての解像度が更に向上するとともに、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
前記酸拡散抑制剤(C)としては、下記一般式(c−1)で表される窒素含有化合物が好ましく用いられる。
Figure 2010169769
〔一般式(c−1)において、R14は、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基を示すか、又は、2つのR14に含まれる炭素原子が他の原子を介して結合し、環構造を形成する。R15は、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基を示す。〕
一般式(c−1)におけるR14及びR15の炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、ドデシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状アルキル基等が挙げられる。
また、一般式(c−1)におけるR14及びR15の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,3−シクロブチル基、1,3−シクロペンチル基等、1,4−シクロヘキシル基、1,5−シクロオクチル基等の単環型シクロアルキル基;1,4−ノルボルニル基、2,5−ノルボルニル基、1,5−アダマンチル基、2,6−アダマンチル基等の多環型シクロアルキル基等が挙げられる。
また、一般式(c−1)におけるR14及びR15の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基等のアリーレン基等が挙げられる。
前記一般式(c−1)においては、2つのR14に含まれる炭素原子が他の原子を介して結合し、環構造が形成されていてもよい。即ち、式(c−1)中の窒素原子が環状アミンの一部をなすものも窒素化合物(c−1)に含まれる。具体的な化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等が挙げられる。
また、前記一般式(c−1)におけるR15で示される基としては、tert−ブチル基又はtert−アミル基が好ましい。
前記一般式(c−1)で表される窒素含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N、N’−ジ−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−tert−ブチル基含有アミノ化合物;
N−t−アミロキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−アミロキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−アミロキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−アミロキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−アミロキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−アミロキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミロキシカルボニルピロリジン、N、N‘−ジ−t−アミロキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−アミロキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−アミロキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−アミロキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−アミロキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−アミロキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−アミロキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−tert−アミル基含有アミノ化合物等が挙げられる。
これらの化合物のなかでも、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−アミロキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−アミロキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−アミロキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−アミロキシカルボニルピロリジン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミロキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾールが好ましく、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾールが更に好ましい。
また、前記一般式(c−1)で表される窒素含有化合物以外の酸拡散抑制剤(C)としては、例えば、3級アミン化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、含窒素複素環化合物等の窒素含有化合物が挙げられる。
前記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン等のアルカノールアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
前記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等が挙げられる。
尚、これらの酸拡散抑制剤(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物において、酸拡散抑制剤(C)の総使用量は、レジストとしての高い感度を確保する観点から、樹脂(A)100質量部に対して、10質量部未満であることが好ましく、より好ましくは5質量部未満である。この合計使用量が10質量部を超える場合、レジストとしての感度が著しく低下する傾向にある。尚、酸拡散抑制剤(C)の使用量が0.001質量部未満の場合、プロセス条件によってはレジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
(4)溶剤(D)
本発明の感放射線性樹脂組成物には、前記樹脂(A)及び酸発生剤(B)以外に、通常、溶剤(D)が含まれる。
前記溶剤(D)としては、少なくとも前記樹脂(A)、酸発生剤(B)及び酸拡散抑制剤(C)、所望により後述の添加剤(E)を溶解可能であれば、特に限定されるものではない。
前記溶剤(D)としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類の他、
n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、
トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。
これらの溶剤(D)のなかでも、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。他には、ケトン類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、γ−ブチロラクトン等が好ましい。
これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(5)添加剤(E)
本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、フッ素含有樹脂、脂環式骨格含有化合物、界面活性剤、増感剤等の各種の添加剤(E)を配合することができる。各添加剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
前記フッ素含有樹脂は、特に液浸露光においてレジスト膜表面に撥水性を発現させる作用を示す。そして、レジスト膜から液浸液への成分の溶出を抑制したり、高速スキャンにより液浸露光を行ったとしても液滴を残すことなく、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制する効果がある成分である。
前記フッ素含有樹脂の構造は特に限定されるものでなく、(1)それ自身は現像液に不溶で、酸の作用によりアルカリ可溶性となるフッ素含有樹脂、(2)それ自身が現像液に可溶であり、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大するフッ素含有樹脂、(3)それ自身は現像液に不溶で、アルカリの作用によりアルカリ可溶性となるフッ素含有樹脂、(4)それ自身が現像液に可溶であり、アルカリの作用によりアルカリ可溶性が増大するフッ素含有樹脂等を挙げることができる。
前記フッ素含有樹脂としては、例えば、前記繰り返し単位(a−6)及び後述のフッ素含有繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する重合体からなる樹脂を挙げることができる。更に、このフッ素含有樹脂は、前記繰り返し単位(a−3)及び(a−5)の群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する重合体であってもよい。
前記フッ素含有繰り返し単位としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ペンチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ)ペンタ(メタ)アクリレート、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ)デシル(メタ)アクリレート、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート等の重合性不飽和結合が開裂した単位が挙げられる。
前記フッ素含有樹脂としては、例えば、下記一般式(f−1)〜(f−6)で示される組み合わせの繰り返し単位を含む重合体等が好ましい。
これらのフッ素含有樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2010169769
前記脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す成分である。
この脂環式骨格含有化合物としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸α−ブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。
これらの脂環式骨格含有化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
この界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171、同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子社製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを前記酸発生剤(B)に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を有する。
前記増感剤としては、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、ビフェニル類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記添加剤(E)としては、更に、染料、顔料、接着助剤等を用いることもできる。
具体的には、例えば、染料或いは顔料を用いることによって、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できる。また、接着助剤を配合することによって、基板との接着性を改善することができる。
更に、前記添加剤(E)としては、アルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
尚、添加剤(E)は、以上説明した各種添加剤1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[2]フォトレジストパターンの形成方法
本発明の感放射線性樹脂組成物は、化学増幅型レジストとして有用である。化学増幅型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、樹脂成分、主に、樹脂(A)中の酸解離性基が解離して、カルボキシル基を生じる。その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、この露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のフォトレジストパターンが得られる。
前記フォトレジストパターンの具体的な形成方法としては、例えば、(1)前記感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にフォトレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」という。)と、(2)形成されたフォトレジスト膜に(必要に応じて液浸媒体を介し)、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射し、露光する工程(以下、「工程(2)」ともいう。)と、(3)露光されたフォトレジスト膜を現像し、フォトレジストパターンを形成する工程(以下、「工程(3)」ともいう。)と、を備える方法等が挙げられる。
前記工程(1)では、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させて得られた樹脂組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、基板(シリコンウェハ、二酸化シリコンで被覆されたウエハー等)上に塗布することにより、フォトレジスト膜を形成する。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように樹脂組成物溶液を塗布した後、プレベーク(PB)することにより塗膜中の溶剤を揮発させ、レジスト膜を形成する。
前記レジスト膜の厚みは特に限定されないが、0.1〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜2μmである。
また、前記プレベークの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって異なるが、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。
尚、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いたフォトレジストパターン形成においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成してもよい(特公平6−12452号公報参照)。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、フォトレジスト膜上に保護膜を設けてもよい(特開平5−188598号公報参照)。更に、液浸用保護膜をフォトレジスト膜上に設けてもよい。尚、これらの技術は併用することができる。
前記工程(2)では、前記工程(1)で形成されたフォトレジスト膜に(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)、放射線を照射し、露光する。尚、この際には、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射する。
前記放射線としては、組成物に用いられている酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、及び荷電粒子線等から適宜選択して照射する。なかでも、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、特にKrFエキシマレーザーが好ましい。
また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜設定する。本発明においては、露光後加熱処理(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行する。このPEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって異なるが、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50〜170℃である。
前記工程(3)では、露光されたフォトレジスト膜を、現像液で現像することにより、所定のフォトレジストパターンを形成する。現像後は、水で洗浄し、乾燥することが一般的である。
前記現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が好ましい。
アルカリ水溶液の濃度は、通常、10質量%以下である。10質量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがあり好ましくない。
また、前記現像液は、アルカリ水溶液に有機溶媒を加えたものであってもよい。
この有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記有機溶媒の使用量は、アルカリ水溶液100体積部に対して、100体積部以下とすることが好ましい。この有機溶媒の量が100体積部を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。尚、現像液には、界面活性剤等を適量添加してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
[1]樹脂(A−1)〜(A−9)の合成
以下、各樹脂(A)の合成例について説明する。尚、下記の各合成例における各測定は、下記の要領で行った。
(1)Mw、Mn、及びMw/Mn
Mw及びMnは、GPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本、いずれも東ソー社製)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度「Mw/Mn」は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
(2)13C−NMR分析
各樹脂の13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(商品名:JNM−EX270、日本電子社製)を使用し、測定した。
(3)低分子量成分の残存割合
ODSカラム(商品名:Inertsil ODS−25μmカラム(4.6mmφ×250mm)、ジーエルサイエンス社製)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:アクリロニトリル/0.1%リン酸水溶液の分析条件で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。尚、低分子量成分は、モノマーを主成分とする、分子量1,000未満(即ち、トリマーの分子量以下)の成分である。
また、下記の各合成1〜7に用いた単量体[化合物(M−1)〜(M−5)]は以下の通りである。
(M−1):スチレン
(M−2):(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート
(M−3):1−エチルシクロペンチルメタクリレート
(M−4):1−メチルシクロペンチルメタクリレート
(M−5):4−t−ブトキシスチレン
尚、前記(M−1)は前記繰り返し単位(a−1)を与える単量体、前記(M−2)は前記繰り返し単位(a−2−1)(R;メチル基)を与える単量体、前記(M−3)は前記繰り返し単位(a−3−3)(R;メチル基)を与える単量体、前記(M−4)は前記繰り返し単位(a−3−2)(R;メチル基)を与える単量体、前記(M−5)は前記繰り返し単位(a−4)(各R;メチル基)を与える単量体である。
(合成例1:樹脂(A−1))
単量体(M−1)2.95g(10モル%)、単量体(M−2)26.38g(50モル%)、単量体(M−3)20.66g(40モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更に開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.33g(5モル%)を投入した単量体溶液を準備した。
次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコに50gの2−ブタノンを投入し、30分窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷により30℃以下に冷却した。冷却後、200gのメタノール及び800gの2−プロパノールの混合溶液に投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を、200gの2−プロパノールにてスラリー状態とし、2度洗浄した。その後再度、白色粉末をろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の共重合体を得た(38g、収率76%)。この共重合体を樹脂(A−1)とした。
この共重合体は、Mwが5970であり、Mw/Mnが1.66であり、13C−NMR分析の結果、単量体(M−1)、単量体(M−2)及び単量体(M−3)に由来する各繰り返し単位の含有率は、10.2:51.0:38.8(モル%)であった。また、この共重合体における低分子量成分の残存割合は、0.03質量%であった。
(合成例2〜7:樹脂(A−2)〜(A−7))
表1に示す配合処方とした以外は、合成例1と同様にして樹脂(A−2)〜(A−7)を合成した。
Figure 2010169769
また、得られた樹脂(A−2)〜(A−7)についての、13C−NMR分析による各繰り返し単位の割合(モル%)、収率(%)、Mw、及び分散度(Mw/Mn)、各共重合体における低分子量成分の残存割合(質量%)の測定結果を、表2に示す。
Figure 2010169769
(合成例8:樹脂(A−8))
4−t−ブトキシスチレン13.30g、4−アセトキシスチレン36.70g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.98g、及びt−ドデシルメルカプタン0.5gをプロピレングリコールモノメチルエーテル50gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を1000gのn−ヘキサン中に滴下して、生成した樹脂を凝固精製した。次いで、凝固精製した樹脂に、プロピレングリコールモノメチルエーテル50gを再度加えた後、更にメタノール100g、トリエチルアミン25g、及び水5gを加え、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行なった。加水分解反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去して樹脂を得た。得られた樹脂を、固形分濃度が20%となるようにアセトンに再溶解した後、1000gの水に滴下して凝固させた。生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥することにより最終生成物である樹脂を得た(30g、収率60%)。この共重合体を樹脂(A−8)とした。
この共重合体は、Mwが15320であり、Mw/Mnが1.75であり、13C−NMR分析の結果、4−t−ブトキシスチレンと、4−ヒドロキシスチレンとの共重合モル比(4−t−ブトキシスチレン:4−ヒドロキシスチレン)は、25.5:74.5であった。
(合成例9:樹脂(A−9))
(2−オキソ−1,3−ジオキソラン―4−イル)メチルメタクリレート13.55g、4−t−ブトキシスチレン12.83g、4−アセトキシスチレン23.62gを2−ブタノン100gに溶解し、更に開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.91g、及び連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.5gを投入した単量体溶液を準備した。
次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコに50gの2−ブタノンを投入し、30分窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合後、反応溶液を1000gのn−ヘキサン中に滴下して、生成した樹脂を凝固精製した。次いで、凝固精製した樹脂に、プロピレングリコールモノメチルエーテル100gを加えた後、更にメタノール50g、トリエチルアミン25g、及び水5gを加え、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行なった。加水分解反応後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去して樹脂を得た。得られた樹脂を、固形分濃度が20%となるようにテトラヒドロフランに溶解した後、1000gの水に滴下して凝固させた。生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥することにより最終生成物である樹脂を得た(35g、収率70%)。この共重合体を樹脂(A−9)とした。
この共重合体は、Mwが7360であり、Mw/Mnが1.70であり、13C−NMR分析の結果、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン―4−イル)メチルメタクリレートと、4−t−ブトキシスチレンと、4−ヒドロキシスチレンとの共重合モル比[(2−オキソ−1,3−ジオキソラン―4−イル)メチルメタクリレート:4−t−ブトキシスチレン:4−ヒドロキシスチレン]は、27.1:24.0:48.9であった。
[2]感放射線性樹脂組成物の調製
表3に示す割合で、樹脂(A)、酸発生剤(B)、酸拡散制御剤(C)、及び溶剤(D)を混合し、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過して、実施例1〜7及び比較例1〜2の各感放射線性樹脂組成物を調製した。
Figure 2010169769
尚、表3に示す樹脂(A)、酸発生剤(B)、酸拡散制御剤(C)及び溶剤(D)の詳細は以下の通りである。また、表中における「部」は、質量基準である。
<樹脂(A)>
(A−1)〜(A−9):前記各合成例において得られた樹脂(A−1)〜(A−9)
<酸発生剤(B)>
(B−1):トリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(B−2):トリフェニルスルホニウム・トリフルオロメタンスルホネート
(B−3):N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボイミダトリフレート(ノルボルネンジカルボキシイミドトリフレート)
<酸拡散抑制剤(C)>
(C−1):N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール
(C−2):3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール
<溶剤(D)>
(D−1):乳酸エチル
(D−2):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[3]実施例の評価
実施例1〜7及び比較例1〜2の各感放射線性樹脂組成物について、KrFエキシマレーザーを光源として、感度、密集ライン焦点深度、最小解像寸法、及び現像欠陥時の膜減りについて評価を行った。これらの評価結果を表4に示す。
(1)感度(単位:mJ/cm
8インチのウエハー表面に、下層反射防止膜形成剤(商品名:DUV42、日産化学社製)を用いて、膜厚60nmの下層反射防止膜を形成した。この基板の表面に、実施例及び比較例の各感放射線性樹脂組成物をスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表3に示す温度で90秒間SB(SoftBake)を行い、膜厚335nmのレジスト被膜を形成した。
次いで、このレジスト被膜を、フルフィールド縮小投影露光装置(商品名:PASS 5500/750、ASML社製、開口数0.70)を用い、マスクパターンを介して露光した。その後、表3に示す温度で90秒間PEBを行った後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(以下、「TMAH水溶液」と記す。)により、23℃で60秒現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。
このとき、寸法130nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅130nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量(mJ/cm)を最適露光量とし、この最適露光量(mJ/cm)を「感度」とした。
尚、測長には走査型電子顕微鏡(商品名:S9220、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
(2)密集ライン焦点深度(単位:μm)
最適露光量にて130nm1L/1Sマスクパターンで解像されるパターン寸法が、マスクの設計寸法の±10%以内となる場合のフォーカスの振れ幅を密集ライン焦点深度とした。具体的には、値が大きいほど、密集ライン焦点深度が良好であり、実測した値を表4に記載した。
(3)最小解像寸法(単位:nm)
前記感度の評価の最適露光量にて解像した130nmのライン・アンド・スペースパターンの観測において、この最適露光量にてマスクサイズを120nm、110nmに変更した場合のライン・アンド・スペースパターンを観察した。そして、各サイズのマスクを使用した際の解像性を確認し、最小の解像寸法を表4に記載した。尚、最小解像寸法の測定は、前記走査型電子顕微鏡を用いた。
(4)膜減り量(単位:nm)
8インチのウエハー表面に実施例及び比較例の各感放射線性樹脂組成物をスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表3に示す温度で90秒間SB(SoftBake)を行い、膜厚335nmのレジスト被膜を形成した。次いで、2.38質量%TMAH水溶液により、23℃で60秒現像し、水洗し、乾燥した。その後、再度レジスト被膜の膜厚を測定し、初期の膜厚335nmからの差異を表4に記載した。その差異がゼロに近い方が、溶解コントラストが大きいものとし、良好と判断した。
Figure 2010169769
表4から明らかなように、本実施例の感放射線性樹脂組成物は、膜減り量が少なく溶解コントラストに優れ、高解像度で且つ焦点深度が良好であることが分かった。

Claims (2)

  1. (A)下記式(a−1)で表される繰り返し単位、環状炭酸エステル構造を含む繰り返し単位、及び、酸で脱保護可能な保護基を含む繰り返し単位を含有しており、且つアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂であって、前記保護基が酸の作用により脱離した際に、アルカリ可溶性となる樹脂と、
    (B)感放射線性酸発生剤と、を含むことを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2010169769
  2. 前記樹脂(A)が、前記保護基を含む繰り返し単位として、下記一般式(a−3)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(a−4)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも一方を含有する請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2010169769
    〔一般式(a−3)において、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Rは、相互に独立して炭素数1〜10のアルキル基を示すか、又は、いずれか2つのRに含まれる炭素原子が他の原子を介して結合して3〜10員環を形成し、且つ残りのRが炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
    Figure 2010169769
    〔一般式(a−4)において、Rは相互に独立して、炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
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