以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る開閉装置となっている開口部用シャッター装置の全体を示す正面図であって、開閉体となっているシャッターカーテンが半開(又は半閉)状態となっているときを示す図である。
開口部となっている出入口1の左右両側の壁等の建物躯体2には、ガイドレール3が取り付けられ、左右方向が幅方向となっているシャッターカーテン4の幅方向の両端部は、これらのガイドレール3の内部に上下方向にスライド自在に挿入されており、出入口1を開閉する上下方向の移動であるシャッターカーテン4の開閉移動は、ガイドレール3によって案内されて行われる。出入口1の上部には、シャッターケース5が配置され、このシャッターケース5の内部には、左右一対の支持部材となっている2個のブラケット6で軸方向の両端部が支持された巻取軸7が回転自在に配置されている。軸方向が水平方向(実質的に水平方向と言える場合を含む)となっているこの巻取軸7には、シャッターカーテン1の上端部が結合されており、巻取軸7の正回転により、シャッターカーテン4は巻取軸7から繰り出されて下方へ閉じ移動し、巻取軸7の逆回転により、シャッターカーテン4は巻取軸7に巻き取られて上方へ開き移動する。
左右一対のブラケット6のうち、一方のブラケット6には、巻取軸7を回転させるための駆動装置になっている開閉機8が取り付けられており、電動モータとブレーキの組み合わせからなるこの開閉機8の駆動軸に、スプロケットホイールやローラチェーン等による伝動手段9を介して巻取軸7が連結されている。また、ガイドレール3が取り付けられている左右の建物躯体2のうち、一方には、図示しない制御装置を介して開閉機8を駆動させるために操作される操作装置10が配置され、この操作装置10の操作により、巻取軸7を正回転させるために開閉機8の駆動軸を正回転させることや、巻取軸7を逆回転させるために開閉機8の駆動軸を逆回転させること、さらには、巻取軸7の回転を停止させるために開閉機8の駆動軸の回転を停止させることが行われる。
図2は、巻取軸7の構造を示す図であって、巻取軸7の軸方向の端部についての一部破断図である。なお、この図2は、巻取軸7の一方の端部を示しているが、巻取軸7の他方の端部の構造は、図2で示されているものと同じである。
巻取軸7は、円形断面が軸方向に連続している本体部11と、この本体部11の軸方向の端部に、この本体部11よりも小さい直径で軸方向へ突設されていて、本体部11の回転中心軸となっている軸首部12と、を有する。これを一層具体的に説明すると、本体部11は、同じ直径が軸方向に連続している筒状部材20で形成されており、この筒状部材20の内部に、軸方向に離れて複数個、本実施形態では2個の円板状の中子部材21が固定され、これらの中子部材21の中心部に挿通された軸部材22は、それぞれの中子部材21に溶接等で結合されており、この軸部材22のうち、筒状部材20の軸方向の端部から軸方向の外側へ突出した部分22Aが軸首部12となっている。本体部11の軸方向の長さは、軸首部12の軸方向の長さよりも長くなっている。
筒状部材20に対するそれぞれの中子部材21の固定は溶接部23で行われている。一部が筒状部材20の外周面から外径方向へ少し突出しているこの溶接部23は、筒状部材20における中子部材21の配置箇所に、筒状部材20の内外を貫通する孔24を形成し、この孔24において、筒状部材20と、この筒状部材20の内部に挿入された中子部材21とを溶接することにより、形成されたものとなっている。このような溶接部23は、それぞれ中子部材21ごとに設けられているとともに、同じ中子部材21については、筒状部材20の軸方向の同じ位置において、筒状部材20の円周方向に間隔を開けて複数個設けられている。
このように筒状部材20と軸部材22とは、中子部材21を介して固定されているため、筒状部材20による本体部11と、軸部材22による軸首部12とは、結合一体化されている。したがって、本体部11でシャッターカーテン4を巻き取り、繰り出すときに、軸首部12も本体部11と一体に回転することになる。
また、筒状部材20には、ナット部材25が溶接や圧入等の固定手段で固定されている。溶接部23と同じく、一部が筒状部材20の外周面から外径方向へ少し突出しているこのナット部材25は、シャッターカーテン4の上端部をボルト26で巻取軸7に取り付けるために用いられ、シャッターカーテン4、又はシャッターカーテン4の上端に取り付けられた吊り元部材に形成された孔27に挿入したボルト26をナット部材25に螺入して締め付けることにより、シャッターカーテン4の上端部は巻取軸7に結合される。このようなナット部材25は、本体部11の軸方向に複数個設けられている。
本実施形態において、溶接部23とナット部材25は、巻取軸7の本体部11の外周面から外径方向に突出した突起部を形成するものとなっている。
なお、巻取軸7の本体部11の軸方向長さ(本体部11の全長)は、シャッターカーテン4の幅方向長さと実質的に同じになっており、本体部11の軸方向長さは、シャッターカーテン4の幅方向長さと同じでもよく、シャッターカーテン4の幅方向長さと略同じ(この幅方向長さに対して長い場合と短い場合の両方を含む。)でもよい。
図3には、本実施形態に係る測定装置を構成するそれぞれの手段のうち、回転手段となっている回転装置30の正断面図が示されており、図4には、この回転装置30の側面図が示されている。また、これらの図3及び図4は、巻取軸7に回転装置30がセットされたときを示しており、このときの巻取軸7は、脚体等による台座28の上に水平に載せられ、かつクランプ装置29でクランプされている。
回転装置30は、図3に示されているように、巻取軸7の軸首部12の外周に中間部材31を介して嵌合された筒状部材32と、この筒状部材32の外周に嵌合され、軸首部12に対して直角方向である上下方向に延びる板状となっているベース部材33と、を有する。筒状部材32には、ベース部材33よりも巻取軸7側の背後において、フランジ部32Aが形成され、これらのベース部材33とフランジ部32Aとの間において、リング状の軸受け部材34が筒状部材32の外周に嵌合されている。そして、ベース部材33と軸受け部材34とフランジ部32Aは、これらに挿通されたボルト35で結合一体化されている。
軸受け部材34の外周には、大径の被動タイミングプーリ36が回転自在に嵌合されている。また、ベース部材33には電動モータ37が取り付けられ、この電動モータ37の駆動軸には、小径の駆動タイミングプーリ38が取り付けられている。これらの被動タイミングプーリ36と駆動タイミングプーリ38とにタイミングベルト39が掛け回されている。このため、電動モータ37の駆動軸が回転すると、巻取軸7の軸首部12を中心にして被動タイミングプーリ36が回転する。
被動タイミングプーリ36には、巻取軸7の軸方向に延びるアーム部材40がボルト41で結合され、このアーム部材40には、巻取軸7の軸方向に延びる第1棒状部材42と、この第1棒状部材42の外周にスライド自在に嵌合配置されたスライド部材43と、このスライド部材43に巻取軸7の半径方向にスライド自在に挿入された第2棒状部材44と、を介してセンサ50が取り付けられている。第2棒状部材44の巻取軸7側の端部に配置されていて、巻取軸7の本体部11の外周面とすき間を開けて対向されて配置されているこのセンサ50は、本実施形態に係る測定装置を構成するそれぞれの手段のうち、検出手段となっている。
第1棒状部材42におけるスライド部材43の配置位置は、図4で示されているように、スライド部材43にねじ込まれていて先端が第1棒状部材42に達する第1止めねじ部材51を締め付けることにより、固定される。そして、この第1止めねじ部材51を緩めることにより、第1棒状部材42におけるスライド部材43の配置位置を巻取軸7の本体部11の軸方向へ移動させることができるため、センサ50の配置位置は、本体部11の軸方向に調整可能となっている。
また、スライド部材43における第2棒状部材44の配置位置は、スライド部材43にねじ込まれていて先端が第2棒状部材44に達する第2止めねじ部材52を締め付けることにより、固定される。そして、この第2止めねじ部材52を緩めることにより、スライド部材43における第2棒状部材44の配置位置を巻取軸7の本体部11の半径方向へ移動させることができるため、センサ50の配置位置は、本体部11の半径方向に調整可能となっている。
そして、センサ50は、電動モータ37の駆動軸が回転すると、巻取軸7の軸首部12を中心にして、言い換えると、軸首部12を基準にして、本体部11の外周面に沿って回転することになる。したがって、本体部11とすき間を開けて対向配置されているセンサ50の配置位置の中心は、軸首部12となっている。
本実施形態では、このようなセンサ50は2個50A,50Bある。それぞれのセンサ50A,50Bは、巻取軸7の軸方向を長さ方向としている第1棒状部材42にそれぞれ2個設けられたスライド部材43と第2棒状部材44ごとに設けられているため、これらのセンサ50A,50Bは、巻取軸7の本体部11の軸方向に離れた位置であって、本体部11の円周方向の同じ位置に配置されている。
また、図3に示されているように、回転装置30の筒状部材32は、この筒状部材32の孔32Bに挿通され、かつ前述じた中間部材31にねじ込まれていて先端が軸首部12に達する第3止めねじ部材53を締め付けることにより、軸首部12に固定される。また、軸首部12の外周に嵌合され、筒状の形状を有している中間部材31は、筒状部材32にねじ込まれていて先端が中間部材31に達する第4止めねじ部材54を締め付けることにより、筒状部材32と結合一体化される。
巻取軸7には、軸首部12の直径が異なる各種のものがある。これらの巻取軸7の軸首部12に同じ回転装置30を装着できるようにするために、中間部材31は、それぞれの巻取軸7ごとに用意されている。すなわち、筒状の形状となっているこれらの中間部材31では、軸首部12が内部に挿入される孔31Aの直径が、それぞれの巻取軸7の軸首部12と適合する大きさで形成されているとともに、それぞれの中間部材31の外径寸法は同じに形成されている。
本実施形態では、それぞれの中間部材31がこのような寸法で形成されているため、中間部材31のなかから、測定対象物となっている巻取軸7の軸首部12と適合する中間部材31を選択することにより、同じ回転装置30の筒状部材32を、選択された中間部材31を介して、それぞれの巻取軸7の直径が異なる軸首部12に装着できることとなる。
また、軸首部12の直径が異なるそれぞれの巻取軸7の本体部11に、前述の突起部となっている溶接部23やナット部材25が設けられていて、これらの溶接部23やナット部材25の位置が巻取軸7ごとに異なっていても、前述したように、それぞれのセンサ50の配置位置は、巻取軸7の本体部11の軸方向に調整可能となっているため、これらのセンサ50の配置位置を溶接部23やナット部材25を避けた位置に、それぞれの巻取軸7ごとに調整し直すことができる。
さらに、前述したように、それぞれのセンサ50の配置位置は、巻取軸7の本体部11の半径方向に調整可能となっているため、それぞれの巻取軸7の本体部11の直径が異なっていても、これらのセンサ50の配置位置を、それぞれの巻取軸7の本体部11の直径と適合する位置に調整し直すことができる。
本実施形態に係るセンサ50は、本体部11に接触しない非接触式タイプのものであって、例えば、金属製の本体部11に渦電流を誘起させる渦電流式変位センサであるため、センサ50と本体部11との間のすき間の大きさを、センサ50の内部に配置されたコイルに流れる高周波電流のインピーダンスの変化により測定するものとなっている。
また、図3及び図4に示されているように、本実施形態に係る回転装置30の被動タイミングプーリ36には、センサ50の配置位置とは本体部11の円周方向反対側又は円周方向略反対側において、バランス部材55が取り付けられている。このため、電動モータ37の駆動によりセンサ50が軸首部12を中心に本体部11の周囲を1回転する際に、前述したアーム部材40や第1棒状部材42、スライド部材43、第2棒状部材44、さらにはセンサ50の重量によりセンサ50の回転がアンバランスに行われることが、このバランス部材55の重量によって防止され、これにより、本体部11の半径方向におけるセンサ50の配置位置を、軸首部12を中心としたより正確な位置に維持しながら、センサ50を、軸首部12を中心に本体部11の周囲を1回転させることができるようになっている。
さらに、本実施形態に係る回転装置30のベース部材33には、図4で示されているように、2個の把持部33Aが設けられている。このため、この回転装置30は、これらの把持部33Aで作業者が持ち運び可能な可搬式のものとなっている。このため、巻取軸7の軸首部12への回転装置30の取り付け作業、軸首部12からの回転装置30の取り外し作業を容易に行える。
図5は、本実施形態に係る測定装置を、機能で示したシステム図である。この図5では、図3及び図4で示した回転装置30については、電動モータ37だけが示されている。また、この図5において、本実施形態に係る測定装置を構成するそれぞれの手段のうち、演算手段はコンピュータ60によって構成されている。このコンピュータ60は、第1及び第1入力部61,62と、演算部63と、記録部64と、表示部65と、を有している。この表示部65についての実施形態は、図14に示されており、この表示部65は、第1〜第7表示画面65A〜65Gを有する。表示部65の実施形態はこれに限定されず、例えば、表示画面65A〜65Gで表示される事項を、1個の表示画面又は7個以外の複数の表示画面で表示するようにしてもよい。
また、図5で示されているように、電動モータ37は、コンピュータ60からの信号が入力する制御手段70で駆動制御され、この電動モータ37が駆動されたときに、電動モータ37の駆動軸のそれぞれの駆動角度に関するデータ、言い換えると、それぞれのセンサ50についての本体部11の円周方向のそれぞれの角度位置に関するデータは、第2入力部62からコンピュータ60に入力する。また、それぞれのセンサ50によって検出される本体部11とセンサ50との間のすき間の大きさに関するデータは、データ変換手段71により、コンピュータ60で処理することができるデータに変換され、このデータも、第2入力部62からコンピュータ60に入力する。
コンピュータ60の記録部64には、回転装置30を制御手段70を介して駆動させるためのプログラムが記録されているとともに、データ変換手段71により変換されたセンサ50からのデータ及び下記に説明するデータに基づき、本体部11に対する軸首部12の偏芯量及び本体部11に対する軸首部12の傾き角度を計算するためのプログラムと、演算部63で行われるこれらの計算によって得られた偏芯量や傾き角度に基づき、偏芯量と傾き角度に関する測定対象物となっている巻取軸についての良品、不良品の判定を行うためのプログラムも、記録部64に記録されている。
次に、これらのプログラムが用いられて演算部63の演算で実行される回転装置30の駆動と、本体部11に対する軸首部12の偏芯量及び本体部11に対する軸首部12の傾き角度の計算と、これらの偏芯量及び傾き角度が測定された巻取軸の良品、不良品の判定について説明する。
回転装置30を駆動させる前に、先ず、本体部11の軸方向におけるそれぞれのセンサ50の配置位置を調整し、これにより、それぞれのセンサ50の配置位置を、溶接部23やナット部材25から外れた位置、すなわち、前述した突起部から外れた位置とする。言い換えると、それぞれのセンサ50の配置位置を、本体部11の外周面における平滑であって測定作業に適した面と対応した位置とする。この理由は、それぞれのセンサ50の配置位置を上記突起部と対応する位置にすると、センサ50から得られるデータに、突起部による誤差(異常値)が含まれてしまうため、このような事態が生ずることをなくすためである。
なお、本体部11の軸方向の端部又はこの端部から本体部11の軸方向内側へ少しずれた位置に本体部11よりも大径となった横ずれ防止部材が配置され、この横ずれ防止部材により、本体部11に巻き取られるシャッターカーテン4が横方向(本体部11の軸方向)にずれることを防止するようになっている場合には、それぞれのセンサ50の配置位置を、横ずれ防止部材を避けた位置であって、横ずれ防止部材に対して軸首部12とは反対側の位置とする。
また、本体部11の半径方向におけるそれぞれのセンサ50の配置位置を調整し、これにより、これらのセンサ50の配置位置を、測定対象物となっている巻取軸7の本体部11の直径に適合した位置とし、2個のセンサ50A,50Bの位置を、本体部11の外周面から同じ大きさのすき間を開けた位置とする。
そして、図3に示されているように、本体部11における軸首部12側の端面から、2個のセンサ50A,50Bのうち、この端面に近い位置に配置されているセンサ50Aまでの距離L1と、2個のセンサ50A,50Bの間隔L2とを測定し、これらの距離L1,L2のデータを図5で示す第1入力部61からコンピュータ60に入力して記録部64に記録しておく。なお、距離L1,L2の測定を、回転装置30を構成する部材、例えば、前述の第1棒状部材42に設けたリニアスケール等の測定手段で自動的に行うことにより、これらの距離L1,L2のデータを第1入力部61に入力させて記録部64に自動的に記録するようにしてもよい。また、図14で示した表示部65に、距離L1,L2を表示するようにしてもよい。
また、コンピュータ60の第1入力部61の操作により、図14に記載されている許容最大偏芯量、許容最大傾き角度及び許容最大位相差をコンピュータ60に入力し、これらを記録部64に記録しておく。この記録が行われると、又は第1入力部61の操作が行われると、図14に示されているように、表示部65の第1〜第3表示画面65A〜65Cに許容最大偏芯量、許容最大傾き角度、許容最大位相差が表示される。
この後、コンピュータ60の第1入力部61により、回転装置30を駆動させるための操作を行うと、コンピュータ60からの信号により、制御手段70は回転装置30の電動モータ37を駆動させ始め、これにより、それぞれのセンサ50が軸首部12を中心にして本体部11の周囲を回転し始める。それぞれのセンサ50が本体部11の周囲を1回転すると、コンピュータ60又は制御手段70からの信号により、電動モータ37は駆動を停止する。
このようにそれぞれのセンサ50が本体部11の周囲を1回転すると、センサ50で検出された本体部11の外周部とセンサ50との間のすき間の大きさに関するデータが、データ変換手段71で変換されて第2入力部62からコンピュータ60に入力し、記録部64に記録される。そして、電動モータ37のそれぞれの駆動角度、すなわち、センサ50についての本体部11の円周方向のそれぞれの角度位置に関するデータは、制御手段70からコンピュータ60の第2入力部62に入力するため、上記すき間の大きさに関するデータは、センサ50についての本体部11の円周方向のそれぞれの角度位置ごとに、コンピュータ60の記録部64に記録される。
回転装置30が軸首部12に装着されて測定対象物となっている巻取軸7に、本体部11に対する軸首部12の偏芯量と、本体部11に対する軸首部12の傾き角度とのうち、少なくとも一つが存在するときは、次の(a)〜(d)の4つの事象のうち、1つの事象が生じているときである。
(a)の事象は、偏芯量のみが存在し、傾き角度がしないときである。(b)の事象は、偏芯量が存在せず、傾き角度のみが存在するときである。(c)の事象は、偏芯量と傾き角度の両方が存在し、かつ偏芯の方向と傾き角度の傾きの方向とが一致しているときである。(d)の事象は、偏芯量と傾き角度の両方が存在し、かつ偏芯の方向と傾き角度の傾きの方向とが一致していないときである。
図6及び図10は、(a)の事象の場合である。図7及び図11は、(b)の事象の場合である。図8及び図12は、(c)の事象の場合である。図9及び図13は、(d)の事象の場合である。図6〜図9の(A)は、巻取軸7とセンサ50との位置関係を示した概略正面図であり、図6〜図9の(B)は、軸首部12側から見た巻取軸7の概略側面図である。これらの図6〜図9において、N1は本体部11の中心軸線であり、N2は軸首部12の中心軸線である。図6〜図9の(A)には、中心軸線N1と直交する本体部11の断面形状を示す基準円と、それぞれのセンサ50からのデータに基づき得られる検出円も示されている。また、図10〜図13は、横軸を、センサ50についての本体部11の円周方向のそれぞれの角度位置とし、縦軸を、センサ50で検出される本体部11の外周部とセンサ50との間のすき間の大きさとしたグラフであって、それぞれのセンサ50からのデータに基づき得られる検出曲線を示したグラフである。
なお、本体部11に対する軸首部12の傾き角度が存在する(b)(c)(d)の事象の場合における上述の検出円は、それぞれのセンサ50が軸首部12の中心軸線N2を中心に回転するため、上述の基準円と異なり、真円にならず、楕円になるが、この傾き角度は極めて小さいため、図7〜図9の(A)における検出円は、図6の(A)における検出円と同じく、真円として示されている。また、このように(b)(c)(d)の事象の場合における上述の検出円を真円と仮定して下記に説明する計算を行っても、上記傾き角度は極めて小さいため、その計算結果に大きな誤差は生じない。
(a)の事象のときには、中心軸線N1と中心軸線N2は、偏芯量αだけ離れて互いに平行になっている。このため、図6の(A)に示されている基準円Pに対し、2個のセンサ50A,50Bのうち、センサ50Aからのデータに基づき得られる検出円はA1となり、センサ50Bからのデータに基づき得られる検出円はA2となり、これらの検出円A1とA2は、基準円Pに対して同じ方向にずれ、かつそのずれ量も同じになっている。本体部11の外周部についてのそれぞれの角度位置における基準円Pと検出円A1,A2との半径方向の差は、これらの角度位置におけるセンサ50A,50Bと本体部11の外周部との間のすき間の大きさを表している。
なお、基準円Pは、偏芯量αが存在しないときに、センサ50A,50Bからのデータに基づき得られる検出円と同じ円となっている。このため、基準円Pを算出することが必要な場合には、センサ50A,50Bを本体部11の周囲を1回転させたときに得られている、それぞれの角度位置におけるセンサ50A,50Bと本体部11の外周部との間のすき間の大きさを、本体部11の円周方向について平均化する計算を行うことにより、基準円Pを算出することができる。
また、この基準円Pは、本体部11の直径を実測することによっても算出することができる。
図10のB1は、図6の検出円A1と対応し、2個のセンサ50A、50Bのうち、センサ50Aからのデータに基づき得られる検出曲線を示し、B2は、図6の検出円A2と対応し、2個のセンサ50A、50Bのうち、センサ50Bからのデータに基づき得られる検出曲線を示している。図10は、偏芯量αのみが存在し、傾き角度が存在しない(a)の事象のときであるため、検出曲線B1と検出曲線B2は互いに重なり、同じ検出曲線となる。言い換えると、このときには、2つ検出曲線B1とB2におけるそれぞれの最大値同士、最小値同士は同じとなっており、また、これらの検出曲線B1とB2とに位相差はない。
したがって、2個のセンサ50Aと50Bからのデータに基づき得られる2つの検出曲線B1とB2が重なり、これらの検出曲線B1とB2におけるそれぞれの最大値同士、最小値同士が同じとなっていて、これらの検出曲線B1とB2とに位相差はないときには、本体部11に対する軸首部12の偏芯量αのみが存在し、本体部11に対する軸首部12の傾き角度が存在しないことが判明する。そして、偏芯量αの大きさは、図10で示す検出曲線B1,B2によって判明するすき間の大きさの最大値と最小値の差Q1と等しいため、図6の(A)で示されているQ2と等しくなっているこの差Q1の計算を前述した演算部63で行うことにより、偏芯量αの大きさを算出することができる。
なお、上述した基準円Pは、センサ50A、50Bから得られるデータと、偏芯量αとを用いた計算によっても算出することできる。
また、偏芯量αの偏芯の方向は、回転装置30で巻取軸7が回転し始めるときにおけるセンサ50の配置位置が本体部11の外周面におけるどの角度位置にあったかについてのデータを、例えば、前述の制御手段70からの信号に基づき、コンピュータ60の記録部64に記録させておき、この角度位置のデータと、記録部64に記録され、図10の検出曲線B1,B2の最大値又は最小値が生じた本体部11の外周面における角度位置に関するデータと、を演算部63で比較演算することにより、算出することができる。
図7で示されている(b)の事象のときは、本体部11に対する軸首部12の偏芯量が存在せず、本体部11に対する軸首部12の傾き角度βのみが存在するときであるため、図7の(A)に示されている基準円Pに対し、2個のセンサ50A,50Bのうち、センサ50Aからのデータに基づき得られる検出円はA3となり、センサ50Bからのデータに基づき得られる検出円はA4となり、これらの検出円A1とA2は、基準円Pに対して同じ方向にずれているが、ずれ量が異なっている円となる。
図11のB3は、図7の検出円A3と対応し、2個のセンサ50A、50Bのうち、センサ50Aからのデータに基づき得られる検出曲線を示し、B4は、図7の検出円A4と対応し、2個のセンサ50A、50Bのうち、センサ50Bからのデータに基づき得られる検出曲線を示している。図11は、偏芯量が存在せず、傾き角度βが存在するときであるため、検出曲線B3の最大値と最小値の差Q3と、検出曲線B4の最大値と最小値の差Q4の差とが異なっており、そして、このときにも、検出曲線B3と検出曲線B4とに位相差はない。
したがって、2個のセンサ50Aと50Bからのデータに基づき得られる2つの検出曲線B3とB4についての最大値と最小値の差Q3,Q4が異なっていて、これらの検出曲線B3,B4に位相差がないときには、本体部11に対する軸首部12の傾き角度βが存在することが判明する。この傾き角度βは、tanβ=(Q4−Q3)/L2であるため、傾き角度βの大きさは、2つの検出曲線B3とB4についての最大値と最小値の差Q3,Q4のデータと、前述した2個のセンサ50A,50Bの間隔L2についてのデータとを用いた計算より、算出することができる。
また、偏芯量がゼロの場合には、この計算によって求められた傾き角度βと、検出曲線B3の最大値と最小値の差Q3と、前述した本体部11における軸首部12側の端面からセンサ50Aまでの距離L1とを用い、tanβ=Q3/L1という式が成立するため、この式が成立することにより、本体部11に対する軸首部12の偏芯量が存在しないことが判明する。
そして、傾き角度βの傾きの方向は、回転装置30で巻取軸7が回転し始めるときにおけるセンサ50の配置位置が本体部11の外周面におけるどの角度位置にあったかについてのデータを、例えば、前述の制御手段70からの信号に基づき、コンピュータ60の記録部64に記録させておき、この角度位置のデータと、記録部64に記録され、図11の検出曲線B3又はB4の最大値又は最小値が生じた本体部11の外周面における角度位置に関するデータとを演算部63で比較演算することにより、算出することができる。
なお、(b)の事象のときの基準円Pは、センサ50A、50Bから得られるデータと、傾き角度βと、距離L1,L2とを用いた計算により算出することができる。
図8で示されている(c)の事象のときは、本体部11に対する軸首部12の偏芯量αと、本体部11に対する軸首部12の傾き角度βとの両方が存在し、これらの偏芯量αの偏芯の方向と、傾き角度βの傾きの方向とが一致しているときであるため、図8の(A)に示されている基準円Pに対し、2個のセンサ50A,50Bのうち、センサ50Aからのデータに基づき得られる検出円はA5となり、センサ50Bからのデータに基づき得られる検出円はA6となり、これらの検出円A5とA6も、基準円Pに対して同じ方向にずれているが、ずれ量が異なっている円となる。
図12のB5は、図8の検出円A5と対応し、2個のセンサ50A、50Bのうち、センサ50Aからのデータに基づき得られる検出曲線を示し、B6は、図8の検出円A6と対応し、2個のセンサ50A、50Bのうち、センサ50Bからのデータに基づき得られる検出曲線を示している。図12は、本体部11に対する軸首部12の偏芯量αと、本体部11に対する軸首部12の傾き角度βとが存在し、これらの偏芯量αの偏芯の方向と、傾き角度βの傾きの方向とが一致しているときであるため、検出曲線B5の最大値と最小値の差Q5と、検出曲線B6の最大値と最小値の差Q6とが異なっており、そして、このときにも、検出曲線B5と検出曲線B6とに位相差はない。
したがって、このときにも、2個のセンサ50Aと50Bからのデータに基づき得られる2つの検出曲線B5とB6についての最大値と最小値の差Q5,Q6が異なっていて、これらの検出曲線B5,B6に位相差がないときには、本体部11に対する軸首部12の傾き角度βが存在することが判明する。この傾き角度βは、tanβ=(Q6−Q5)/L2の式で表されるため、この式を計算することにより、傾き角度βを算出することができる。
また、この場合において、図8の(A)で示す偏芯量αがゼロの場合には、tanβ=Q5/L1という式が成立することになり、この式が成立しない場合における偏芯量αは、α-=Q5−L1tanβという式で表されるため、この式を計算することにより、偏芯量αを算出することができる。したがって、(c)の事象の場合における偏芯量αは、tanβ=Q5/L1の式が成立しないときに、α-=Q5−L1tanβの式を計算することにより、算出することができる。
また、図8及び図12で示されている(c)の事象のときにも、傾き角度βの傾きの方向(すなわち、偏芯量αの偏芯の方向)は、回転装置30で巻取軸7が回転し始めるときにおけるセンサ50の配置位置が本体部11の外周面におけるどの角度位置にあったかついてのデータを、例えば、前述の制御手段70からの信号に基づき、コンピュータ60の記録部64に記録させておき、この角度位置のデータと、記録部64に記録され、図12の検出曲線B5又はB6の最大値又は最小値が生じた本体部11の外周面における角度位置に関するデータとを演算部63で比較演算することにより、算出することができる。
なお、(c)の事象のときの基準円Pは、センサ50A、50Bから得られるデータと、偏芯量αと、傾き角度βと、距離L1,L2とを用いた計算により算出することができる。
図9で示されている(d)の事象のときは、本体部11に対する軸首部12の偏芯量αと、本体部11に対する軸首部12の傾き角度βとの両方が存在するとともに、これらの偏芯量αの偏芯の方向と、傾き角度βの傾きの方向とが一致していていないときである。このときには、これまでの(a)〜(c)の事象と異なり、センサ50Aの配置位置と対応する本体部11の軸方向の位置であって、軸首部12の中心軸線N2に最も近づく本体部11の外周部についての角度位置と、センサ50Bの配置位置と対応する本体部11の軸方向の位置であって、軸首部12の中心軸線N2に最も近づく本体部11の外周部についての角度位置と、が異なることになる。
このため、図9の(A)に示されている基準円Pに対し、2個のセンサ50A,50Bのうち、センサ50Aからのデータに基づき得られる検出円はA7となり、センサ50Bからのデータに基づき得られる検出円はA8となり、これらの検出円A7とA8は、基準円Pに対して異なる方向にずれているとともに、ずれ量も異なっている。
そして、2個のセンサ50A、50Bのうち、センサ50Aからのデータに基づき得られる検出曲線は、図13のB7となり、センサ50Bからのデータに基づき得られる検出曲線は、図13のB8となる。これらの検出曲線B7とB8には、偏芯量αの偏芯の方向と、傾き角度βの傾きの方向との差に対応した位相差γが生じている。したがって、2個のセンサ50A,50Bからのデータに基づき得られる2つの検出曲線B7とB8について、位相差γが生じた場合には、本体部11に対する軸首部12の偏芯量αと、本体部11に対する軸首部12の傾き角度βとの両方が存在するとともに、これらの偏芯量αの偏芯の方向と、傾き角度βの傾きの方向とが一致していていないことが判明する。
位相差γは、検出曲線B7とB8の最大値同士についての本体部11の円周方向の角度の差、又は検出曲線B7とB8の最小値同士についての本体部11の円周方向の角度の差と同じであるため、これらの角度の差により、位相差γを算出することができる。
このような位相差γについてのデータが得られた場合の巻取軸7は不良品であるとみなし、コンピュータ60の記録部64に記録する計算プログラムを、偏芯量αの大きさ及びその偏芯の方向や、傾き角度βの大きさ及びその傾きの方向を計算することを中止するように設定されたプログラムとしてもよい。
しかし、本実施形態に係る計算プログラムは、位相差γの大きさが、図14の表示部65の第3表示画面65Cに表示されている値よりも小さい場合には、すなわち、図3及び図4で示した回転装置30を駆動させる前に第1入力部61の操作で入力した許容最大位相差よりも小さい場合には、位相差γをゼロとみなして、偏芯量αの大きさと、傾き角度βの大きさと、偏芯量αの偏芯の方向(すなわち、傾き角度βの傾きの方向)を計算するように設定されている。
この計算は、図13で示した検出曲線B7の最大値と最小値の差Q7と、検出曲線B8の最大値と最小値の差Q8と、前述した距離L1及びL2とを用いることにより、図8及び図12で説明した(c)の事象の場合と同様にして行うことができる。
なお、この計算を行ったときに、tanβ=Q7/L1の式が成立したときには、偏芯量αはゼロとなる。
また、(d)の事象のときであって、位相差γの大きさが上述の許容最大位相差よりも小さいときの基準円は、(c)の事象の場合と同様に、センサ50A、50Bから得られるデータと、偏芯量αと、傾き角度βと、距離L1,L2とを用いた計算により算出することができる。
そして、本実施形態に係る計算プログラムは、位相差γの大きさが、図14の表示部65の第3表示画面65Cに表示されている許容最大位相差よりも大きい場合には、偏芯量αの大きさ及びその偏芯の方向や、傾き角度βの大きさ及びその傾きの方向を計算することを中止するように設定されている。
以上において、測定対象物となっている巻取軸7に、本体部11に対する軸首部12の偏芯量がなく、本体部11に対する軸首部12の傾き角度もない場合には、2個のセンサ50A,50Bからのデータに基づき得られる本体部11とセンサ50との間のすき間の大きさは、これらのセンサ50を本体部11の周囲を1回転させても、変化しないため、図10〜図13で示したそれぞれ2つずつの検出曲線は生ぜず、これらの検出曲線の代わりに、互いに重なり、それぞれがフラットとなった直線が生ずる。このため、このような直線が生じた場合には、本体部11に対する軸首部12の偏芯量がなく、本体部11に対する軸首部12の傾き角度もないことが判明する。そして、このときには、偏芯量と傾き角度と位相差は、上述の計算プログラムにより、それぞれゼロと計算される。
図14で示す表示部65の第4〜第6表示画面65D〜65Fには、以上説明したようにして得られた検出偏芯量の大きさ、検出傾き角度の大きさ、検出位相差が表示される。第4表示画面65Dに表示された検出偏芯量の大きさが、第1表示画面65Aに表示されている許容最大偏芯量よりも小さく、かつ第5表示画面65Eに表示された検出傾き角度の大きさが、第2表示画面65Bに表示されている許容最大傾き角度よりも小さく、かつ第6表示画面65Fに表示された検出位相差の大きさが、第3表示画面65Cに表示されている許容最大位相差よりも小さい場合には、判定結果を示す画面になっている第7表示画面65Gには、測定対象物となっていた巻取軸7が良品であることを表わす表示事項、本実施形態では「合格」の文字が表示される。
また、第4表示画面65Dに表示された検出偏芯量の大きさが、第1表示画面65Aに表示されている許容最大偏芯量よりも大きい場合、又は第5表示画面65Eに表示された検出傾き角度の大きさが、第2表示画面65Bに表示されている許容最大傾き角度よりも大きい場合には、第7表示画面65Gには、測定物となっている巻取軸7が不良品であることを表わす表示事項、本実施形態では「不合格」の文字が表示される。また、第6表示画面65Fに表示された検出位相差の大きさが、第3表示画面65Cに表示されている許容最大位相差よりも大きい場合には、前述したように、偏芯量αの大きさと傾き角度βの大きさについての計算は中止されるため、第4及び第5表示画面65D,65Eには何も表示されず、第7表示画面65Gには、測定物となっている巻取軸7が不良品であることを表わす表示事項、本実施形態では上記「不合格」の文字が表示される。
なお、図14の表示部65で表示されている事項は一例であり、許容最大傾き角度、検出傾き角度、許容最大位相差及び検出位相差を表す数字は、1度未満を単位とする数字(例えば、0.1度を単位とする数字)とすることもできる。
以上のようにして測定対象物となっている巻取軸7の軸方向の両端に設けられている2個の軸首部12のうち、一方の軸首部12を基準とした本体部11の外周部の位置についての2個のセンサ50による測定作業が終了した後に、この軸首部12から前述した回転装置30及び中間部材31を取り外し、これらの回転装置30及び中間部材31を他方の軸首部12に装着することにより、この軸首部12を基準とした本体部11の外周部の位置について測定作業を、前述と同様に、2個のセンサ50により行う。
以上の2個の軸首部12を基準とした2回の測定作業のそれぞれにおいて、第7表示画面65Gに、良品であることを表わす表示事項となっている「合格」の文字が表示された場合に、その測定対象物となっている巻取軸7は、偏芯量と傾き角度についての精度が、予め設定された許容範囲内の精度になっていると取り扱われ、工場から出荷等される。
なお、本実施形態に係る測定装置は、このように工場から出荷等される巻取軸7が、予め設定された許容範囲内の偏芯量精度、傾き角度精度で製造されているか否かを判定するための装置として用いるのではなく、他の用途、例えば、図2で説明したように、軸首部12を構成する軸部材22を、本体部11を構成する筒状部材20に複数個の中子部材21を用いて結合する作業を行った場合に、本体部11に対する軸首部12の偏芯量やその偏芯の方向、さらには、本体部11に対する軸首部12の傾き角度やその傾きの方向が、どのような傾向で生じているかについて調べるためにも、用いることができる。これによると、軸部材22を複数個の中子部材21に結合するための装置や、複数個の中子部材21を筒状部材20に挿入して固定するための装置が有している作動上のくせ等について調べることができるようになる。
また、図5及び図14で示した表示部65には、図6〜図8の(A)で説明した基準円及び検出円と、図10〜図13で説明した検出曲線とを表示してもよい。さらに、偏芯量の偏芯の向き及び傾き角度の傾きの方向も、表示部65に表示してもよい。
以上説明した本実施形態によると、巻取軸7の本体部11と半径方向に対向する検出手段となっているセンサ50を、回転手段となっている回転装置30により軸首部12を中心に1回転させることにより、センサ50からのデータに基づき、演算手段となっているコンピュータ60により、本体部11と軸首部12との比較に関する測定値を演算するため、本体部11と軸首部12との比較に関する精度項目の測定作業を効率よく簡単に行え、測定精度も向上させることができる。
また、センサ50は、本体部11の軸方向に2個50A,50B設けられているため、これらのセンサ50A,50Bからのデータに基づき、本体部11に対する軸首部12の偏芯量と、本体部11に対する軸首部12の傾き角度との両方を測定することができる。
また、これらのセンサ50A,50Bは、本体部11の円周方向における同じ位置に配置されているため、前述の(a)〜(c)の事象の場合に、偏芯量や傾き角度等を算出する際に、2個のセンサ50A,50Bの配置位置に関する本体部11の円周方向の角度位置のずれ量を計算に加えずに行うことができ、その計算を簡単化することができる。
また、本実施形態によると、センサ50が、固定されている巻取軸7の本体部11の周囲を回転するようになっており、本体部11が、固定されているセンサ50に対して回転するのではないため、回転手段である回転装置30を、大きい直径寸法及び長い長さ寸法を有している巻取軸7を回転させるための装置とする必要がなく、このため、回転装置30の小型化、構造の簡単化を図ることができる。
また、回転装置30が装着されるのは、本体部11ではなく、軸首部12であり、センサ50が半径方向に対向配置されるものは、本体部11であり、この本体部11は軸首部12よりも大きい直径を有しているため、センサ50が半径方向に対向配置されるものを軸首部12とした場合よりも、センサ50で検出される前述のすき間の大きさに関するデータを正確なものできる。
また、回転装置30が装着される軸首部12は、巻取軸7がシャッターカーテン4を本体部11で巻き取り、繰り出すときに、本体部11と一体に回転し、この本体部11と結合一体化されたものとなっているため、上述の偏芯量及び傾き角度の測定を行うときに、回転しない軸首部12に回転装置30を装着することができることになり、このため、この点でも、回転装置30の小型化、構造の簡単化を図ることができる。
また、回転装置30は前述した中間部材31を介して軸首部12に装着され、この中間部材31は、軸首部12の直径が異なっているそれぞれの巻取軸7ごとに用意されているため、これらの巻取軸7の軸首部12に同じ回転装置30を中間部材31を介して装着することができ、回転装置30を、軸首部12の直径が異なっているそれぞれの巻取軸7について兼用化することができる。
また、それぞれのセンサ50の配置位置は、本体部11の軸方向に調整可能となっているため、本体部11に前述した突起部となっている溶接部23やナット部材25が存在していても、それぞれのセンサ50をこれらの突起部を避けた位置に配置できる。
さらに、それぞれのセンサ50の配置位置は、本体部11の半径方向に調整可能となっているため、本体部11の直径が異なっている各種の巻取軸についての測定作業を行える。
以上説明した実施形態に係る測定装置は、作業者によって持ち運び可能な可搬式のものであったが、本発明は、自動着脱装置によりそれぞれの巻取軸に着脱される実施形態に係る自動着脱式の測定装置にも適用することができる。
図15は、自動着脱式の測定装置によって行う巻取軸の自動測定作業を示す工程図である。この自動測定作業はコンピュータの制御によって行われるため、自動測定作業の開始前に、このコンピュータに、測定対象物となっているそれぞれの巻取軸に関するデータが入力され、記録される。このデータには、例えば、それぞれの巻取軸に付された品番と、巻取軸ごとに異なるセンサ適正配置位置と、それぞれの巻取軸の軸首部の直径と適合する中間部材と、前述した突起部の位置と、良品と不良品の判別基準とが含まれる。上記品番がコンピュータに入力されることにより開始される上記自動測定作業は、次のようにして行われる。
図15において、工場内の製造エリアにおける巻取軸製造工程80で製造され、上記品番で特定された巻取軸7は、自動搬送装置により測定作業を行うための測定エリアに搬送され、この測定エリアにおける測定装置装着工程81において、巻取軸7の軸首部12に中間部材31を介して測定装置が自動着脱装置により装着される。次いで、測定準備工程82において、それぞれのセンサ50の配置位置を本体部11に対する適切な位置とすることや、前述した距離L1,L2を測定する作業が行われ、この後に、測定工程83において、それぞれのセンサ50を軸首部12を中心に本体部11の周囲を1回転させることにより、偏芯量及び傾き角度を測定する作業が実施される。この作業の終了後、測定装置取り外し工程84において、巻取軸7の軸首部12から測定装置及び中間部材31が自動着脱装置により取り外され、そして、巻取軸選別工程85において、測定工程83で得られた測定結果により良品と判定された巻取軸と、不良品と判定された巻取軸とを選別することが行われ、良品と判定された巻取軸だけが、工場から出荷等するためのエリアに自動搬送装置で搬送される。
このため、図15の自動測定作業の対象物となって測定作業が行われ、工場からシャッター装置施工現場等に出荷されてシャッターカーテンが巻き取れている巻取軸は、測定工程83で得られた測定結果により良品と判定されて、製品として出荷された巻取軸となっている。
この実施形態によると、本発明に係る測定装置を、巻取軸の製造作業と連続して行う巻取軸測定作業のための装置として用いることができ、巻取軸に関する作業の全体の効率化を図ることができるようになる。
なお、巻取軸の測定作業を行う場合に、この測定作業の一部を手作業で行うようにしてもよい。すなわち、例えば、巻取軸7の軸首部12に中間部材31を介して測定装置を着脱する作業や、不良品と判定された巻取軸を不良品格納場所に搬送、格納作業を作業者が手作業で行うようにしてもよい。そして、良品と判定された巻取軸を次工程に搬送する作業は、自動作業として行ってもよく、作業者の手作業として行ってもよい。