JP4363830B2 - 管体の形状測定方法、同装置、管体の検査方法、同装置、管体の製造方法および同システム - Google Patents

管体の形状測定方法、同装置、管体の検査方法、同装置、管体の製造方法および同システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば複写機の感光ドラム素管等の管体の形状測定方法、同装置、管体の検査方法、同システム、管体の製造方法および同システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種機械装置において回転部品等として使用される管体には、その形状精度を測定することが求められる場合がある。たとえば、複写機等の電子写真システムに用いられる感光ドラム素管では、高い形状精度を確保するため、製管工程後の管体に対して形状測定が行われている。
【0003】
このような形状測定方法として、図23、図24に示す方法がある。この方法は、管体10の両端近傍の外周面12を基準ローラ91で支持しておき、管体90外周面の長手方向中央部の、たとえば3箇所に変位測定器92を当接させる。そして、前記基準ローラ91の回転により管体90を回転させたときの前記変位測定器92の検出値の変化量から、この回転に伴う管体90外周面の長手方向中央部の変位量を測定するというものである。こうして得られる変位量は、管体90の端部近傍外周面を基準とした中央部外周面のフレが表れている。
【0004】
また、管体90がその両側の内周面で回転支持される場合には、管体90の肉厚分布(偏肉の程度)も回転精度に影響を与える。このため、高い形状精度が求められる場合には、肉厚測定器等により管体90の最大肉厚および最小肉厚を求めて偏肉の程度も合わせて評価することが考えられる。
【0005】
また、特開平11−271008号、特開昭63−131018号、特開2001−336920号、特開平8−141643号、特開平11−63955、特開平3−113114号、特開2000−292161号、特開平2−275305号等には、管体の形状を測定する種々の技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−271008号公報
【0007】
【特許文献2】
特開昭63−131018号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2001−336920号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平8−141643号公報
【0010】
【特許文献5】
特開平11−63955号公報
【0011】
【特許文献6】
特開平3−113114号公報
【0012】
【特許文献7】
特開2000−292161号公報
【0013】
【特許文献8】
特開平2−275305号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した図23,図24の管体90の外周面のフレ測定と肉厚測定器等を用いた肉厚の測定による管体の形状測定方法によると、以下の問題がある。
【0015】
▲1▼すなわち、外周面のフレの測定と肉厚の測定をそれぞれ別個の測定器によって行うため、測定器の機器バラツキ、それを使用する測定者の測定器の使い方に起因する誤差、さらに測定者間のバラツキ等が累積されてしまい、高い測定精度を得にくい。
【0016】
▲2▼また、外周面のフレと肉厚の分布は互いに幾何学的に相殺される場合があるにもかかわらず、これらを別個に測定しているために、このような場合を考慮することができず、結果として過剰品質を要求することになっている可能性もある。
【0017】
また、上述した種々の公開特許には、そのいずれにも簡便かつ高精度に管体の外周面のフレを測定する技術についての開示がない。
【0018】
また、従来の真円度計測器を用いた管体の形状測定方法も考えられるが、この場合、管体が置かれる測定テーブルの回転軸と測定対象である管体の中心軸位置を合わせる芯出し、および測定テーブルの回転軸と管体の中心軸とを平行に合わせる水平出しを、各管体ごとに繰り返し行うことが必要であり、非常に時間と手間がかかるという問題がある。
【0019】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、簡素にかつ高い精度で管体の形状を測定できる管体の形状測定方法、同装置、またそのような管体の検査方法、同システム、さらにそのような管体の製造方法および同システムを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の手段を提供する。すなわち、
(1) 管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、
前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
前記管体の外側であって、前記管体の周方向について固定された少なくとも1の位置において、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とする管体の形状測定方法。
【0021】
(2) 前記一対の基準部は、前記管体の使用時における支持予定位置に当接させることを特徴とする前項1に記載の管体の形状測定方法。
【0022】
(3) 前記一対の基準部は、前記管体の内周面にそれぞれ略点接触状態で当接させることを特徴とする前項1または2に記載の管体の形状測定方法。
【0023】
(4) 前記一対の基準部は、水平方向に並べて配置されたことを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0024】
(5) 前記一対の基準部は、鉛直方向に並べて配置されたことを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0025】
(6) 前記変位量の検出位置には、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置のうち、少なくとも1の位置を含むことを特徴とする前項1〜5のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0026】
(7) 管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、
前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する少なくとも1の位置において、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とする管体の形状測定方法。
【0027】
(8) 前記変位量の検出位置には、前記管体の外側から前記一対の基準部に対峙する位置以外の位置を含むことを特徴とする前項1〜7のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0028】
(9) 前記変位量の検出位置には、前記管体の外側の複数の位置を含むことを特徴とする前項1〜8のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0029】
(10) 前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が異なる複数の位置を含むことを特徴とする前項9記載の管体の形状測定方法。
【0030】
(11) 前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が一致し、周方向位置が異なる複数の位置を含むことを特徴とする前項9または10に記載の管体の形状測定方法。
【0031】
(12) 前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が一致し、周方向位置が半周分異なる2つの位置を含むことを特徴とする前項9〜11のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0032】
(13) 前記変位量の検出位置には、前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置を含むことを特徴とする前項9〜12のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0033】
(14) 管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、
前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置とにおいて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とする管体の形状測定方法。
【0034】
(15) 管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、
前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、この位置と周方向位置が半周分異なる位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置とにおいて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とする管体の形状測定方法。
【0035】
(16) 前記管体の回転は、1回転以上とすることを特徴とする前項1〜15のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0036】
(17) 前記変位量の検出は、前記管体を回転させる全期間または一部期間において連続的に行うことを特徴とする前項1〜16のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0037】
(18) 前記変位量の検出は、前記管体を回転させる間に断続的に行うことを特徴とする前項1〜16のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0038】
(19) 前記管体の回転は断続的に停止させ、前記変位量の検出は、前記管体の回転が停止しているときに行うことを特徴とする前項1〜16のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0039】
(20) 前記変位量の検出は、前記管体の外周面に接触する検出器を用いて行うことを特徴とする前項1〜19のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0040】
(21) 前記変位量の検出は、前記管体の外周面と接触しない検出器を用いて行うことを特徴とする前項1〜19のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0041】
(22) 前記変位量の検出は、前記管体に対してその外側から光を照射し、前記管体によって遮られず透過した光を検出することによって行うことを特徴とする前項21記載の管体の形状測定方法。
【0042】
(23) 前記管体は感光ドラム素管であることを特徴とする前項1〜22のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
【0043】
(24) 前項1〜23のいずれかに記載の管体の形状測定方法により管体の形状を測定し、この測定結果に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査することを特徴とする管体の検査方法。
【0044】
(25) 管体を製管し、前項24に記載の管体の検査方法により前記管体の形状を検査し、この検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定することを特徴とする管体の製造方法。
【0045】
(26) 管体の両側端部近傍の内周面にそれぞれ当接する一対の基準部と、前記管体の外側に設けられ、前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する少なくとも1の変位検出器と、を備え、
前記変位検出器は、前記一対の基準部が前記管体の内周面に当接した状態のまま、前記管体側の前記一対の基準部との当接部分が周方向にずれていくように前記管体が回転したときに、この管体の回転に伴う変位量を検出することを特徴とする管体の形状測定装置。
【0046】
(27) 前項26記載の管体の形状測定装置と、前記変位検出器によって検出された前記変位量に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査する比較手段とを備えたことを特徴とする管体の検査装置。
【0047】
(28) 管体を製管する製管装置と、
前項27記載の管体の検査装置と、
前記検査装置による検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定する合否判定手段と、
を備えたことを特徴とする管体の製造システム。
【0048】
本発明にかかる管体の形状測定方法は、管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記管体の外側であって、前記管体の周方向について固定された少なくとも1の位置において、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とするものである。
【0049】
このような測定方法によると、内周面を基準とした外周面のフレが測定される。すなわち、測定される外周面のフレには管体の偏肉の影響が加味されたものとなっている。
【0050】
したがって、内周面を回転支持される用途に供される管体に対して、その使用状態に近似した測定を行うことができる。
【0051】
また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。
【0052】
また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。
【0053】
また、内周面側に基準を当接させて外周面側を計測するだけであるから、簡素な構成で実現でき、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。
【0054】
また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
【0055】
なお、前記基準部の位置は、管体の外周面の変位量を検出するために管体を回転させる間だけ固定されればよく、たとえば管体を形状測定を行う装置等にセットするとき等には可動でもよい。また、基準部はその位置が固定されればよく、回転するなどにより、その姿勢は変化してもよい。
【0056】
また、このような測定方法においては、前記一対の基準部は、前記管体の使用時における支持予定位置に当接させることが望ましい。
【0057】
このようにすると、管体の実際の使用時に回転動作等の基準となる部分を基準として形状測定することができるため、より実際に即した測定を行うことができる。
【0058】
また、前記一対の基準部は、前記管体の内周面にそれぞれ略点接触状態で当接させることが望ましい。
【0059】
このようにすると、測定基準を明確に特定した形状測定を行うことができる。
【0060】
また、前記一対の基準部は、水平方向に並べて配置することができる。
【0061】
このようにすると、管体はその軸方向を略水平にした姿勢となるが、管体がこの姿勢で使用される場合には、その使用時に近似した測定結果を得ることができる。
【0062】
また、前記一対の基準部は、鉛直方向に並べて配置することができる。
【0063】
このようにすると、重力により管体の軸方向中央部がたわむことを防止して、管体本来の形状を測定することができる。
【0064】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置のうち、少なくとも1の位置を含むことが望ましい。
【0065】
前記仮想的な直線に管体の外側から対峙する位置は、管体の外周面の半径方向の変位量が、管体の回転中心位置のずれの影響を最も受けにくい位置であるため、このような位置を変位量の検出位置に含めば、管体の回転中心位置にずれが生じた場合であっても、安定した測定を行うことができ、高い信頼性を有する測定結果を得ることができる。
【0066】
また、本発明にかかる管体の形状測定方法は、管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する少なくとも1の位置において、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とするものである。
【0067】
このような管体の形状測定方法によると、内周面を基準とした外周面のフレが測定される。すなわち、測定される外周面のフレには管体の偏肉の影響が加味されたものとなっている。そして、前記仮想的な直線に管体の外側から対峙する位置は、管体の外周面の半径方向の変位量が、管体の回転中心位置のずれの影響を最も受けにくい位置であるため、このような位置を変位量の検出位置としたことにより、管体の回転中心位置にずれが生じた場合であっても、安定した測定を行うことができ、高い信頼性を有する測定結果を得ることができる。
【0068】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の外側から前記一対の基準部に対峙する位置以外の位置を含むことが望ましい。
【0069】
このようにすると、管体の肉厚を加味した外周面の変位量を測定することができる。
【0070】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の外側の複数の位置を含むことが望ましい。
【0071】
このようにすると、管体の外側の複数の位置における外周面のフレを測定することができ、これらを組み合わせることで管体の形状をより具体的に把握することができる。
【0072】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が異なる複数の位置を含むことが望ましい。
【0073】
このようにすると、管体の軸方向位置が異なる複数の位置において外周面のフレを測定することができ、これらを組み合わせることで管体の軸方向についての形状の変化を把握することができる。
【0074】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が一致し、周方向位置が異なる複数の位置を含むことが望ましい。
【0075】
このようにすると、これら複数の位置で検出される変位量を組み合わせることにより、この軸方向位置における管体の断面形状をより具体的に把握することができる。
【0076】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が一致し、周方向位置が半周分異なる2つの位置を含むことが望ましい。
【0077】
このようにすると、これら2つの位置において検出される変位量を組み合わせることにより、これら2つの位置を通る管体の直径を求めることができ、これにより、より具体的に管体の形状を把握することができる。
【0078】
また、前記変位量の検出位置には、前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置を含むことが望ましい。
【0079】
このようにすると、基準部と当接している部分における管体の肉厚を検出することができる。そして、この肉厚を他の検出位置における検出結果と組み合わせることで、より具体的に管体の形状を把握することができる。たとえば、管体の両端近傍の外周面を基準として他の部位の外周面の変位を計測する従来の検査に準じた検査結果も算出することが可能である。
【0080】
また、本発明にかかる管体の形状測定方法は、管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置とにおいて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とするものである。
【0081】
このような管体の形状測定方法によると、基準部に対峙する位置の外周面の変位量から基準部と当接している部分における管体の肉厚を検出することができる。また、前記仮想的な直線に対峙する位置の外周面の変位量から、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。とくに前記仮想的な直線に管体の外側から対峙する位置は、管体の外周面の半径方向の変位量が、管体の回転中心位置のずれの影響を最も受けにくい位置であるため、このような位置を変位量の検出位置としたことにより、管体の回転中心位置にずれが生じた場合であっても、安定した測定を行うことができ、高い信頼性を有する測定結果を得ることができる。そして、こうして検出された管体の肉厚と管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレと組み合わせることで、より具体的に管体の形状を把握することができる。たとえば、管体の両端近傍の外周面を基準として他の部位の外周面の変位を計測する従来の検査に準じた検査結果も算出することが可能である。
【0082】
また、本発明にかかる管体の形状測定方法は、管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、この位置と周方向位置が半周分異なる位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置とにおいて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とするものである。
【0083】
このような管体の形状測定方法によると、基準部に対峙する位置の外周面の変位量から基準部と当接している部分における管体の肉厚を検出することができる。また、この基準部に対峙する位置の外周面の変位量と、この位置と周方向位置が半周分異なる位置の変位量とからこれら2つの位置を通る管体の直径を求めることができる。また、前記仮想的な直線に対峙する位置の外周面の変位量から、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。とくに前記仮想的な直線に管体の外側から対峙する位置は、管体の外周面の半径方向の変位量が、管体の回転中心位置のずれの影響を最も受けにくい位置であるため、このような位置を変位量の検出位置としたことにより、管体の回転中心位置にずれが生じた場合であっても、安定した測定を行うことができ、高い信頼性を有する測定結果を得ることができる。そして、こうして検出された管体の肉厚と、管体の直径と、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレと組み合わせることで、より具体的に管体の形状を把握することができる。たとえば、管体の両端近傍の外周面を基準として他の部位の外周面の変位を計測する従来の検査に準じた検査結果も算出することが可能である。
【0084】
また、前記管体の回転は、1回転以上とすることが望ましい。
【0085】
このようにすると、管体の周方向について全周の形状を検出することができる。
【0086】
また、前記変位量の検出は、前記管体を回転させる全期間または一部期間において連続的に行うことができる。
【0087】
このようにすると、管体の周方向について局部的な形状変化も検出することができる。
【0088】
また、前記変位量の検出は、前記管体を回転させる間に断続的に行うこととしてもよい。
【0089】
このようにすると、管体の外周面の変位量を簡易に検出することができる。
【0090】
また、前記管体の回転は断続的に停止させ、前記変位量の検出は、前記管体の回転が停止しているときに行うようにしてもよい。
【0091】
このようにすると、管体の外周面の変位量について安定した検出ができる。
【0092】
また、前記変位量の検出は、前記管体の外周面に接触する検出器を用いて行うこととしてもよい。
【0093】
このようにすると、管体の外周面の変位量について確実な検出ができる。
【0094】
また、前記変位量の検出は、前記管体の外周面と接触しない検出器を用いて行うこととしてもよい。
【0095】
このようにすると、管体の外周面を傷めるおそれなく、管体の外周面の変位量を検出することができる。
【0096】
また、前記変位量の検出は、前記管体に対してその外側から光を照射し、前記管体によって遮られず透過した光を検出することによって行うことができる。
【0097】
このようにすれば、管体の外周面の変位量を容易かつ正確に検出することができる。
【0098】
また、上記の管体の形状測定方法を好適に適用できる管体としては、具体的には、たとえば感光ドラム素管を挙げることができる。
【0099】
また、本発明にかかる管体の検査方法は、上記のいずれかに記載の管体の形状測定方法により管体の形状を測定し、この測定結果に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査することを特徴とするものである。
【0100】
このような管体の検査方法によると、管体の形状が許容範囲内にあるか否かを判別することができる。
【0101】
また、本発明にかかる管体の製造方法は、管体を製管し、上記の管体の検査方法により前記管体の形状を検査し、この検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定することを特徴とするものである。
【0102】
このような管体の製造方法によると、過剰品質に陥ることなく、必要十分な形状精度を持った管体を提供することができる。
【0103】
また、本発明にかかる管体の形状測定装置は、管体の両側端部近傍の内周面にそれぞれ当接する一対の基準部と、前記管体の外側に設けられ、前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する少なくとも1の変位検出器と、を備え、前記変位検出器は、前記一対の基準部が前記管体の内周面に当接した状態のまま、前記管体側の前記一対の基準部との当接部分が周方向にずれていくように前記管体が回転したときに、この管体の回転に伴う変位量を検出することを特徴とするものである。
【0104】
このような管体の形状測定装置によると、内周面を基準とした外周面のフレが測定される。すなわち、測定される外周面のフレは、たとえば測定対象である管体が内周面を回転支持される場合等における、管体の偏肉の影響が加味されたものとなっている。したがって、このような用途に供される管体に対してその使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、内周面側に基準を当接させて外周面側を計測するだけであるから、簡素な構成で実現でき、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
【0105】
また、本発明にかかる管体の検査装置は、上記の管体の形状測定装置と、前記変位検出器によって検出された前記変位量に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査する比較手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0106】
このような管体の検査装置によると、管体の形状が許容範囲内にあるか否かを判別することができる。
【0107】
また、本発明にかかる管体の製造システムは、管体を製管する製管装置と、上記の管体の検査装置と、前記検査装置による検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定する合否判定手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0108】
このような管体の製造システムによると、過剰品質に陥ることなく、必要十分な形状精度を持った管体を提供することができる。
【0109】
【発明の実施の形態】
(測定原理)
以下、本発明にかかる管体の形状測定方法および装置について実施形態に基づいて説明するが、まず、その測定原理について模式的な説明図を参照しながら説明する。
【0110】
図1は本発明にかかる管体の形状測定方法の原理を示す正面断面図、図2は同じく側面断面図、図3は同じく斜視図、図4は形状測定対象である管体(ワーク)の使用状態を示す説明斜視図、図5は本発明にかかる管体の形状測定方法における変位量の検出位置の説明図である。
【0111】
<管体>
本発明における形状測定対象としての管体は、内周面および外周面とも各断面において円をなす円筒形状のものを想定している。さらに、この実施形態において例示する管体(ワーク)10は、図4に示すように、その両端の内側に挿入されるフランジ80,80によって内側から支持され、適宜回転させて使用されるものである。このフランジ80,80が管体10に接触して、管体10を回転支持する位置は、たとえば管体10の両端から幅dだけ内側に至る領域S(図4中にハッチングを施した領域)となっている。
【0112】
このような管体(ワーク)10の素材は、たとえばアルミニウム合金等を挙げることができる。ただし、これに限定されるものではなく、各種金属や合成樹脂等であってもよい。
【0113】
また、その製造方法としては、後述するように、押出成形および引き抜き成形の組み合わせを挙げることができる。ただし、これに限定されるものではなく、押出成形、引き抜き成形、鋳造、鍛造、射出成形、またはこれらの組み合わせなど、管体を製管できる方法であればよい。
【0114】
このような管体10としては、具体的には、電子写真システムを採用した複写機やプリンタ等における感光ドラム素管を挙げることができる。
【0115】
<全体概略>
図1〜図3に示すように、本発明にかかる管体の形状測定方法は、このような管体(ワーク)10に対して、その両側端部近傍の内周面11に一対の基準部20,20を当接させ、この状態で管体10を回転させたときに、管体10の外側に配置された変位検出器30…によって管体10の外周面12の半径方向の変位量を検出するものである。
【0116】
なお、管体10の回転は、測定作業者が手で管体10をつかんで回転させても、図示しない駆動ローラ等を管体10に接触させて回転させても、あるいは他の任意の方法で回転させてもよい。また、管体10の回転の中心は、およそ管体10の管形状の軸心に相当する位置である。
【0117】
<基準部>
一対の基準部20,20は、少なくとも管体10を回転させるときには、その位置が固定され、管体10との当接部分は、管体10の内周面11上で周方向にずれていくことになる。管体10は、この一対の基準部20,20によって、少なくとも回転するときは位置決めされ、形状測定の基準が定められる。
【0118】
ここでは、この一対の基準部20,20は、管体10の実際の使用時における支持予定位置(図4でハッチングを施した領域S内)で、管体10と当接している。これにより管体10が実際に使用されるときに回転動作の基準となる部分を、形状測定における基準とすることができ、より実際に即した測定を実現することができる。
【0119】
また、この一対の基準部20,20は球体状に形成され、管体10の内周面11にそれぞれ略点接触状態で当接している。これにより、形状測定の基準位置を明確に特定することができる。
【0120】
<変位検出器>
変位検出器30…は、管体10の外側に配置されており、少なくとも管体10を回転させるときには、管体10の周方向についての位置(変位量の検出位置31…,32…)が固定されるようになっている。すなわち、管体10を回転させるとき、変位検出器30…による変位量の検出位置31…,32…は、管体10の外周面12上を周方向にずれていくことになる。
【0121】
この変位検出器30…によって検出される管体10の外周面12の半径方向の変位量とは、いわゆるフレ(外径フレ)である。本発明においては、上述した管体10の内周面11に当接する一対の基準部20,20により、管体10の内周面11を基準とした外周面12のフレが検出(測定)されることに一つの特徴がある。
【0122】
ここでは、管体10の軸方向位置が異なる5箇所を変位量(フレ)の検出位置31…,32…とできるように、5個の変位検出器30…を配置した場合を例示している。
【0123】
そして特に外側の2つの変位検出器30,30は、管体10の両端近傍で上述した一対の基準部20,20に対峙する位置31,31を変位量の検出位置とするように配置されている。これらの位置31,31では、基準部20,20と変位検出器30,30で挟み込まれた管体10の肉厚を計測することができる。
【0124】
一方、他の3つの変位検出器30…は、前記一対の基準部20,20に対峙する位置31,31以外の位置32…を変位量の検出位置とするように配置されている。これらの位置32…では、各位置における管体10の外周面のフレを検出することができる。
【0125】
また、5個の変位検出器30…の周方向についての位置は、図3に示すように、管体10の内周面11と一対の基準部20,20とが当接する2つの当接点P1,P2を通る仮想的な直線Qに対し、管体10の外側から管体10の肉厚(図3中にハッチングを施した領域R)を介して対峙する位置31…,32…となっている。
【0126】
図5は、管体10の周方向について、各変位量の検出位置の特徴を説明する説明図である。
【0127】
本発明にかかる管体の形状測定方法では、基準部20は形状測定の基準であるからその位置は安定して固定させるが、この基準部20に当接する管体10は、基準部20に当接している部分を除いて、その位置(管体10の姿勢)が不安定である可能性がある。たとえば、図5に示すように、測定中(回転中)の管体10は、実線で示す中心が位置Oにある状態から、破線で示す中心が位置O’にある状態にずれる可能性がある。
【0128】
このとき、基準部20との当接点P1,P2を通仮想的な直線Qに対峙する位置Aは、他の位置B,C,Dに比較して、管体10の外周面12の管体10の半径方向(図5で各位置A,B,C,Dに示した矢印方向)の変位量に、上記管体のずれ(O→O’)の影響が最も小さい位置となっている。すなわち、仮想的な直線Qに対峙する位置を変位量の検出位置とすれば、仮に形状測定中に管体10にずれが生じたとしてもその影響をほとんど受けることなく、安定した形状測定を行うことができる。
【0129】
なお、後述する具体的な形状測定装置においては、管体10の位置を安定させる工夫を加え、上記形状測定中の管体10のずれという問題を軽減している。
【0130】
このように管体10の内周面11に一対の基準部20,20を当接させた状態で管体10を回転させたとき、管体10が完全な円筒形であれば管体の外周面12は半径方向に全く変位しない。逆に、管体10が完全な円筒形からの逸脱があれば、変位検出器30…に外周面の変位量として検出されることになる。
【0131】
(不良管の例)
次に、図6〜図8を参照しながら、管体10の代表的な不良の例について説明する。
【0132】
<曲がり管>
図6(a)は、管体の不良例である曲がり管101の斜視図である。曲がり管101とは、管体の軸が屈曲したものである。ここでは、他の不良要因を排除するように、その全長にわたって各断面では内周面がなす円(内周円)および外周面がなす円(外周円)がともに真円であり、内周円と外周円の中心が一致(同心)し、したがって管体の肉厚は均一である場合を想定している。
【0133】
このような曲がり管101が実際に使用されるとき、図4において説明したように、管体両端の内側に挿入したフランジによって回転させると、図6(a)に示すように、曲がり管101は両端近傍の内周円の中心を通る直線T1を軸として回転し、曲がり管101の軸方向の中央部にフレ(振れ)が生じる。なお、図6(a)の二点鎖線は、実線の状態から180度回転させた状態を示している。
【0134】
図6(b)は、この曲がり管101の軸方向中央部の断面図であり、二点鎖線は、実線の状態から180度回転させた状態における外周面(外周円)を示している。この図に示すように、管体101は、実線の状態では上方に持ち上がっているが、180度回転したところで二点鎖線に示すように下方に押し下げられ、さらに180度回転したところで実線の状態に戻る。すなわち360度周期のフレが生じている。
【0135】
このようなフランジによる回転では、フランジによって支持される管体の一方の端部近傍の内周円の中心と他方の端部近傍の内周円の中心とを通る直線が回転軸T1となるが、曲がり管101の軸方向の中央部では、外周円の中心とこの回転軸T1とがずれてしまう。曲がり管101の軸方向の中央部のフレは、管体101の両端近傍の内周円によって決定される回転軸T1と、着目する断面における外周円の中心とのずれに起因する。
【0136】
<偏肉管>
図7(a)は、管体の不良例である偏肉がある管(以下、偏肉管と呼ぶ。)102の斜視図である。偏肉管102とは、管体の断面において、周方向に肉厚が変化するものである。ここでは、他の不良要因を排除するように、管体の軸は直線であり、その断面は全長にわたって内周面がなす円(内周円)および外周面がなす円(外周円)がともに真円であるが、内周円と外周円の中心がずれている(偏心している)ために偏肉が生じている場合を想定している。また、管体の軸方向についてその断面形状は一定であり、かつ、ねじれていない場合を想定している。
【0137】
このような偏肉管102が実際に使用されるとき、図4において説明したように、管体両端の内側に挿入したフランジによって回転されると、図7(a)に示すように、偏肉管102は両端近傍の内周円の中心を通る直線T2を軸として回転し、偏肉管102はその軸方向の全長にわたって振れ(フレ)が生じる。なお、図7(a)の二点鎖線は、実線の状態から180度回転させた状態を示している。
【0138】
図7(b)は、この偏肉管102の任意の断面の断面図であり、二点鎖線は、実線の状態から180度回転させた状態における外周面(外周円)を示している。この図に示すように、偏肉管102は、実線の状態では上部に厚肉部が位置しているため、その外周面は全体的に上方に持ち上がっているが、180度回転したところでは二点鎖線に示すように厚肉部が下部に移動し、上部には薄肉部が位置するため、全体的に下方に押し下げられ、さらに180度回転したところで実線の状態に戻る。すなわち360度周期のフレが生じている。
【0139】
このようなフランジによる回転では、フランジによって支持される管体の一方の端部近傍の内周円の中心と他方の端部近傍の内周円の中心とを通る直線が回転軸T2となるのは、上述した曲がり管と同様である。偏肉管102では、その全長にわたって内周円と外周円の中心がずれているために、その全長にわたって内周円を基準に決定される回転軸T2と外周円の中心とがずれてしまう。偏肉管102の全長にわたるフレは、管体102の両端近傍の内周円によって決定される回転軸T2と、着目する断面における外周円の中心とのずれに起因する。
【0140】
<扁平管>
図8(a)は、管体の不良例として断面が真円ではない管であって、特に断面が扁平な管(以下、扁平管と呼ぶ。)103の斜視図である。扁平管103とは、管体の断面が真円でなく、上下あるいは左右からはさみ付けて押しつぶしたような楕円状の断面をもつものである。ここでは、他の不良要因を排除するように、管体の軸は直線であり、その断面は内周円と外周円とがほぼ相似形で肉厚が一定であり、断面形状が全長にわたって一定であって、かつ、ねじれていない場合を想定している。
【0141】
このような扁平管103が実際に使用されるとき、図4において説明したように、管体両端の内側にフランジを挿入すると、管体(扁平管)に対してどのようにフランジがセットされるか、言い換えればフランジの中心という回転軸に対して管体(扁平管)103の位置や姿勢がどうなるかは、管体の扁平度や強度、フランジの大きさや強度等の関係によって決まるため、一意に決められない。ここでは、管体103の両端ともフランジの中心が扁平管の断面の内周円の中心に相当する位置にセットされた場合を想定する。この状態でこの管体(扁平管)103を回転させると、図8(a)に示すように、内周円の中心に相当する位置を通る直線T3を軸にして回転し、扁平管103はその軸方向の全長にわたって振れ(フレ)が生じる。なお、図8(a)の二点鎖線は、実線の状態から90度回転させた状態を示している。
【0142】
図8(b)は、この扁平管103の任意の断面の断面図であり、二点鎖線は、実線の状態から90度回転させた状態における外周面(外周円)を示している。
【0143】
この図に示すように、管体103は、実線の状態で縦長姿勢となっているが、90度回転したところでは二点鎖線に示すように横長姿勢となり、さらに90度回転したところで実線の状態に戻る。よって外周面では外側に膨らんだり内側にへこんだりを繰り返し、180度周期のフレが生じている。
【0144】
この扁平管103の回転の回転軸Tは、上述したように、管体(扁平管)103の両端の断面において内周円の中心を通ることを想定している。さらに、全長にわたって一定断面であることを想定しているこの例では、任意の断面においてもその外周円(真円ではない)の中心を通る。したがって、扁平管103の全長にわたるフレは、管体103の各断面における外周円が真円からずれていることに起因する。図8(c)については後述する。
【0145】
(測定例)
次に、上記のような不良管を測定対象として、その形状測定を行った場合について、図9を参照しながら説明する。図9は、形状測定対象である管体(ワーク)10を回転させながら外周面の変位量を検出した結果の例を示すグラフである。図9において、横軸は管体(ワーク)の回転角度を示し、縦軸は変位検出器30…によって検出される管体10の外周面の半径方向の変位量の検出値を示している。
【0146】
<完全管の測定>
まず、曲がり、偏肉、断面の変形のいずれもない完全な円筒型の管体10に対し、図1〜図3に示した測定原理に基づいて管体の形状を測定すると、上述したように、管体10の外周面は全く変位しないため、5つの変位測定器30…によって検出される変位量は、いずれも図9(a)に示すように変化がないものとなる。
【0147】
<曲がり管の測定>
図6に示した曲がり管101では、その内周面が真円であることを想定しているため、一対の基準部20,20を曲がり管の内周面に当接したまま管体101を回転させても、この一対の基準部20,20と当接する管体の内周面は動かない。したがって、この曲がり管101に対する測定では、管体の両側にフランジを挿入して回転させた状態を示した図6(a)と同様に回転することになる。なお、ここでは図5で想定した回転中心位置のずれは無視している。
【0148】
このとき、一対の基準部20に対向する管体101の両端近傍の検出位置31,31では、図6(a)から明らかなように、検出される変位量は図9(a)に示すような変化のないものとなる。これは、基準部20,20に対向する検出位置31,31は、この位置31,31における管体101の肉厚が検出されるものであること、そして、上述したように図6の曲がり管101では肉厚が一定である管体を想定したことから明らかである。
【0149】
これに対し、基準部20,20に対峙する位置31,31以外の位置32…では、図6(b)に管体101の上側の矢印に示すように、管体101の外周面は半径方向に変位し、その周期は360度であるから、図9(b)に示すような外周面12のフレが検出される。すなわち、この管体101の形状測定法法によれば、管体101の曲がりに起因する外周面のフレを検出することができる。
【0150】
また、管体101の中央の3つの変位量検出位置32…のうち、真ん中の検出位置において、最も大きい変位(フレ)が検出される。このような各検出位置32…でのフレ量の程度比較により、管体101の不良が曲がりによるものであること、また、その曲がりの程度を推測することも可能である。
【0151】
なお、図6のような曲がり管101のフレは、上述した従来の外周面を基準とした外周面のフレ検出方法(図23、図24)でも検出することができるものではある。
【0152】
<偏肉管の測定>
図7に示した偏肉管102では、その内周面が真円であることを想定しているため、一対の基準部20,20を曲がり管の内周面に当接したまま管体102を回転させても、この一対の基準部20,20と当接する管体102の内周面は動かない。したがって、この偏肉管102に対する測定では、管体の両側にフランジを挿入して回転させた状態を示した図7(a)と同様に回転することになる。なお、ここでは図5で想定した回転中心位置のずれは無視している。
【0153】
このとき、一対の基準部20に対向する管体102の両端近傍の検出位置31,31、およびそれ以外の検出位置32…の全てにおいて、図7(b)に管体102の上側の矢印に示すように、管体102の外周面は半径方向に変位し、その周期は360度であるから、図9(b)に示すような外周面12のフレが検出される。すなわち、この管体の形状測定方法によれば、管体102の偏肉に起因する外周面のフレを検出することができる。
【0154】
とくに、基準部20,20に対向する検出位置31,31では管体102の肉厚が直接的に検出されるものであるため、この位置31,31で検出されたフレから、管体102の周方向にわたる肉厚分布を得ることも可能である。
【0155】
また、一般に管体は曲がりや偏肉といった不良要因が複合的に備わっているものであるが、この管体の形状測定方法によれば、これらの影響を重ね合わせた結果を1回の形状測定で得ることができる。
【0156】
また、偏肉が管体の全長にわたってほぼ同じであると仮定するならば、管体10の基準部に対峙する検出位置31,31で検出される変位量から判明する管体10の周方向についての肉厚分布が、管体10の全長にわたって同じであると推定することができる。この場合、基準部20に対峙する検出位置31,31以外の検出位置32…において検出される変位量には、偏肉に起因する変位量が含まれているが、これから検出位置31、31で検出される変位量を引き算することによって消去して偏肉以外の原因に起因する不良の影響のみを取り出すことも可能である。このようにすれば、たとえば曲がりと偏肉の不要要因を複合的に有する管体に対して、これらの影響を重ね合わせた結果を得られると共に、これら不良による影響を分離して、それぞれの不良の程度を検討することも可能である。
【0157】
このような偏肉が管体の全長にわたってほぼ同じであるとする仮定は、管体の製造方法の特性等に基づいて行える場合が多い。たとえば、押出によって連続的に製管され、これを所定長さに切断して製造された管体であれば、各管体の全長程度はその断面形状がほぼ同じと仮定できる場合が多い。
【0158】
なお、図7のような偏肉管102のフレは、上述したとおり、従来の外周面を基準とした外周面のフレ検出方法(図23、図24)では検出できないものである。
【0159】
<扁平管の測定>
図8に示した扁平管103の測定では、一対の基準部20,20を管体(扁平管)103の内周面に当接したまま管体103を回転させると、図8(c)のように、管体(扁平管)103は外観的には上下動することとなる。
【0160】
このとき、図1〜図3に示した測定方法では、一対の基準部20,20が管体に当接する2点を通る仮想的な直線Qに対峙する位置、すなわち図8(c)における管体103の上側を変位量の検出位置としているので、この図8(c)の管体103の上側に示す矢印から明らかなように変位量の変化がないことが図9(a)のように検出される。これは、管体103に曲がりがなく、肉厚も一定であるためである。結局、図1〜図3に示した測定方法では、このような管体の断面が真円でないという扁平等の非円形断面に起因する不良は検出できない。
【0161】
なお、図8のような扁平管のフレは、上述した従来の外周面を基準とした外周面のフレ検出方法(図23、図24)でも検出することはできない。
【0162】
(第2の方法の原理)
そこで、次に、この扁平管103のような断面が非円形であることに起因する不良をも検出することができる本発明にかかる第2の管体の形状測定方法について、その原理を模式的な説明図を参照しながら説明する。
【0163】
図10は、本発明にかかる前記第2の形状測定方法の原理を示す正面断面図、図11は同じく側面断面図である。
【0164】
上述した図1〜図3に示した本発明にかかる管体の形状測定方法(以下、第1の方法と呼ぶ。)では、5つの変位検出器30…は、基準部20,20と当接する2つの当接部分P1,P2を通仮想的な直線Qに対し、管体10の外側から対峙する位置31…,32…に配置していた。特にそのうちの2つの位置31,31は、一対の基準部20,20に対峙する位置としていた。
【0165】
本発明にかかる第2の形状側手方法は、図10および図11に示すように、
上述した第1の方法における5つの変位検出器30…に加え、新たに5つの変位検出器30…を配置したものである。
【0166】
これら新たに配置した5つの検出器30…は、第1の方法の変位量の検出位置31…,32…に対して、管体10の軸方向位置が一致し、周方向位置が半周分異なる位置33…,34…を変位量の検出位置とするように配置されている。すなわち、第1の方法における検出位置31…,32…に対して、管体10の周方向について逆位相位置(180度位相がずれた位置)33…,34…を検出位置とするように新たな変位検出器30…が配置されている。
【0167】
このように、管体10の各軸方向位置で管体10を挟んで両側から外周面の半径方向の変位量を検出すれば、各軸方向位置における管体10の外周面(外周円)の直径を得ることができる。具体的には、管体10を回転させながら、周方向について各回転角度において、管体10を挟む2つの検出位置で検出される変位量の差を求めることによって、各周方向位置における管体10の直径の変化量を得ることができる。
【0168】
これによって、このような検出位置を設定した管体10の軸方向についての各断面において、管体10の外周面形状(外形状)をほぼ把握することが可能となる。
【0169】
特に一対の基準部20,20に対峙する検出位置31,31で検出される変位量は、上述したように管体10の肉厚を表しているため、この検出位置31,31とこれに対向する逆位相の検出位置33,33によれば、この断面における管体10の肉厚および直径が周方向についてどのように変化するのかを得ることができる。したがって、この断面では、内周面(内周円)を含めて、その断面形状をほぼ把握することが可能となる。
【0170】
また、これらの検出位置33…,34…は、図5に示した位置Cに相当する。この位置Cは、管体10の形状測定中(回転中)に、管体10の内周面11が基準部20,20に当接しながら管体10の中心位置がずれたとき、このずれに対する検出量の影響が検出位置Aに次いで小さい部位である。このため、仮に形状測定中に管体10にずれが生じたとしても、検出位置33…,34…における変位量の検出値は、その影響をほとんど受けることなく、安定した形状測定を行うことができる。
【0171】
<扁平管の測定>
このような第2の方法によって、図8に示した扁平管を対象として形状測定を行う場合を考えると、上述したように、基準部20,20に対峙する検出位置31,31およびそれと周方向位置が同じ検出位置32…(図8(c)の管体103の上側の検出位置)においては、図9(a)のように変位量に変化のないことが検出されるのみである。
【0172】
これに対し、検出位置31…,32…と逆位相の検出位置33…,34…では、図8(c)に管体103の下側の矢印に示すように、管体103の外周面は半径方向に変位する。この変位の周期は180度であるから、これら検出位置33…,34…では、図9(c)に示すような外周面12のフレが検出される。すなわち、この第2の管体の形状測定方法によれば、管体の断面が非円形であることに起因する不良をも検出することができる。
【0173】
また、この検出される変位の変化の状態(図9(c)のグラフの形状)等から、測定対象の管体103の断面形状を推測することも可能である。
【0174】
また、この第2の方法は、上述した第1の方法と同様にして管体の曲がりや偏肉等の不良をも検出することができるが、前記の管体断面が非円形であることに伴う不良をも併せて、これらの不良の影響を重ね合わせた結果を得ることができる。
【0175】
また逆に、これらの各不良の典型的な検出パターンを考慮することにより、各不良毎の程度や大きさ、内容(非円形断面の場合の断面形状)等を分別することもできる。これにより、各不良の解消対策にも寄与できる。
【0176】
なお、上述した図1〜図3に示した第1の方法および図10および図11に示した第2の方法とも、図23および図24に示した従来の外周面を基準とした外周面のフレ量に相当するフレ量を得ることは可能である。すなわち、基準部20,20に対峙する2つの検出位置31,31と、管体10の軸方向について中央に配置された他の検出位置32…との距離の比率から、これら2つの検出位置31,31で検出された変位量が他の検出位置32…に与える変位量を求め、こうして求められた変位量を、他の検出位置32…において実際に検出された変位量から引き算すればよい。こうして算出される他の検出位置32…の変位量は、2つの検出位置31,31を基準として測定した変位量となる。
【0177】
(手動型の形状測定装置)
次に、以上のような原理に基づいて管体の形状測定を行う管体の形状測定装置について具体的な例を挙げて説明する。
【0178】
まず、管体(ワーク)10を測定作業者が手動で回転させる手動型の形状測定装置4について、図12〜図16を参照しながら説明する。
【0179】
図12はこの手動型の形状測定装置4の平面断面図、図13は同装置4の正面断面図、図14は同装置4の側面断面図、図15は同装置4の概略斜視図、図16は同装置4における管体(ワーク)のセッティング手順の説明図である。
【0180】
この形状測定装置4は、管体10の内周面11に当接して形状測定の基準となる一対の基準部42,42と、管体10を下側から支持して管体10の高さ位置を安定させる台座部44と、管体10の一側端に当接して管体10の軸方向位置を安定させるストッパー部45と、管体10の外周面12に当接して管体10の外周面の半径方向の変位量を検出する変位検出器43…と、これら各部品が取り付けられる本体ベース40と、を備えている。
【0181】
<一対の基準部>
一対の基準部42,42は、図14等に示すように、管体10の内周面11であって、その高さ方向の略中央位置に相当する側方位置に当接し、形状測定の基準となるものである。
【0182】
この一対の基準部42,42は、管体10の内周面11をなめらかに滑ることができ、内周面11を傷つけることのない合成樹脂の球体から構成されており、固定支持軸421,421によって基準支持ブロック422,422に取り付けられている。この実施形態では、一対の基準部42,42は管体10の回転に連れ回りしないが、基準部42,42が摩耗等したときには適宜回転させて新しい部位で管体10の内周面11に当接するようになっている。
【0183】
基準部42,42が取り付けられる固定支持軸421、421は、後述する手順で管体(ワーク)10をセットするために、基準部42,42よりも細い断面形状で、かつ所定の長さを有する例えば金属棒から構成されている。
【0184】
基準支持ブロック422,422は、本体ベース40の上面にボルト等で固定される例えば金属ブロックから構成されている。本体ベース40において、この基準支持ブロック422,422の一方が取り付けられる部分には、管体10の長手方向(軸方向)について所定長さの長孔423が形成されており、この長孔423を貫通するボルトによって一方の基準支持ブロック422を固定する構造によって、一対の基準支持ブロック422,422間の距離を変更可能とし、これにより様々な長さサイズの管体10に適応して形状測定を行うことができるようになっている。ただし、この基準部42,42を移動可能とする構造は、一つの管体10の形状測定中に基準支持ブロック422,422を移動させるためのものではない。
【0185】
また、他方の基準支持ブロック422を取り付けるボルト孔もまた長孔424となっているが、これは後述する台座部44を移動可能とするためのものであり、他方の基準支持ブロック422を移動させる必要はない。
【0186】
なお、これら基準部42,42、固定支持軸421,421および基準支持ブロック422,422は、管体10の形状測定の基準をなすものであるから、求められる測定精度に応じて、十分に高い剛性を有するように構成されている。
【0187】
<台座部>
台座部44は、図13や図14等に示すように、管体10を外周面12の下側から支持し、前記一対の基準部42,42が管体10の高さ方向中央の内周面11の側方位置に当接するように、管体10の高さ位置を安定させるものである。
【0188】
この台座部44は、本体ベース40上で、前記基準支持ブロック422,422の内側にボルト等で固定される一対の台座ブロック441,441と、その上面に設けられる当接部材442,442とから構成されている。
【0189】
台座ブロック441,441は、前記基準支持ブロック422,422と同様に、本体ベース40に形成された長孔423,424を貫通するボルトによって本体ベース40上に固定することによって、台座ブロックの固定位置が変更可能となっている。これにより上記基準支持ブロック422,422と同様に様々な長さサイズの管体10に対しても、適切な軸方向位置で高さ位置を安定させて支持し、正確な形状測定を可能としている。
【0190】
また、台座ブロック441,441は、本体ベース40との間に所定厚みの高さ調整プレート443を1ないし複数枚挟み込んで取り付けることにより、高さ方向についても調整可能となっている。これにより、様々な断面サイズ(直径)の管体に対しても適切な高さ位置に安定させて支持することを可能としている。
【0191】
当接部材442,442は、摩擦係数の低い合成樹脂等による丸棒材からなり、台座ブロック441,441の上面に設けられた管体10の軸方向に直交する略水平な溝部にはめ込まれている。当接部材442,442は、その上面が略水平をなすように取り付けられ、これにより、管体10との当接位置が多少ズレたとしても、管体10の高さ位置を安定して支持することができるようになっている。
【0192】
<ストッパー部>
ストッパー部45は、図13等に示すように、管体10の一方の端面に当接して、その軸方向位置を安定させ、前記一対の基準部42,42等を管体10の適切な軸方向位置に当接させるものである。
【0193】
このストッパー部45は、管体10の軸方向に移動させない方の基準支持ブロック422の内側面に取り付けられたストッパー取付軸451と、その先端に取り付けられたストッパー本体452とから構成されている。
【0194】
ストッパー取付軸451は、基準支持ブロック422の内側面から略水平に延びてから上方に折り曲げられた金属部品として形成されている。
【0195】
ストッパー本体452は、摩擦係数の低い合成樹脂等による水平断面が円形の短柱体として形成されており、管体10の一端側の端面と当接して、形状測定中に回転される管体10の軸方向位置を安定させるようになっている。
【0196】
<変位検出器>
変位検出器43…は、管体10の外周面12に当接して管体10の外周面の半径方向の変位量を検出するものであり、ここでは、管体10の軸方向位置の異なる3箇所にそれぞれ接触型のものが設けられている。これら3箇所の変位検出器43…のうち両側の2つはそれぞれ一対の基準部42,42と対峙する位置で管体10の半径方向が略水平方向になる位置に配置され、残る1つもこれらと並んで管体10の軸方向中央に配置されている。
【0197】
この変位検出器43…は、それぞれ管体10の外周面に転がり接触する接触コロ431と、この接触コロ431を回転自在に支持する支持ブラケット432と、一端にこの支持ブラケット432が取り付けられた出没軸433とを備えており、この出没軸433の出没方向の移動量を検出することにより、管体10の外周面の変位量を検出できるようになっている。
【0198】
接触コロ431は、円筒形状に構成され、管体10の外周面12と線接触するようになっている。これにより、管体10の外周面12に作用する圧力を分散させ、外表面12に損傷を与えにくくなっている。また、この接触コロ431の両側は面取りされており、この点からも管体10の外周面12に損傷を与えにくいようになっている。
【0199】
また、各変位検出器43には、前記出没軸433を管体10側に付勢する付勢手段434を備えており、接触コロ431を介して管体10を所定の押圧力で付勢している。この付勢手段434は、具体的には一端が変位検出器43内の固定部435に固定され、他端が出没軸433に設けられた突起体436を付勢するように、出没軸433に取り付けられたバネ等によって構成することができる。
【0200】
このような変位検出器43…は、すべて検出器取付軸411に対して回転不能に取り付けられている。この検出器取り付け軸411の両端部は、本体ベース40の両側部に固定された一対の本体側壁412,412を回転自在に貫通しており、回転操作ハンドル413,413が取り付けられている。
【0201】
また、この検出器取付軸411の本体側壁412,412のすぐ内側には、この検出器取付軸411に対して回転不能に一対の回転ブロック414,414が取り付けられている。この回転ブロック414,414は、プランジャーハンドル415によって一対の本体側壁412,412から内側に出没する図示しないボスを差し込むことにより、その回転位置を固定できるようになっている。このとき固定される回転位置は、変位検出器43…の接触コロ431…が管体10から離れた位置となるように設定されており、これにより、接触コロ431…を管体10から離し、この装置への管体10のセットが容易に行いうるようになっている。
【0202】
また、一対の本体側壁412,412の内側上部にはマグネット416,416がそれぞれ取り付けられており、回転ブロック414,414の回転位置を固定できるようになっている。このとき固定される回転位置は、回転操作ハンドル413,413で検出器取付軸411を回転させて、各変位検出器43…の接触コロ431…を管体10の外周面12に押し付け、管体10の形状測定を行う状態に対応するように設定されており、この状態において安定して管体10の形状測定を行うことができるようになっている。
【0203】
また、各変位検出器43…は、検出器取付軸411に対して、管体10の軸方向位置を変更可能に取り付けられており、様々な長さサイズの管体10に応じることができるとともに、変位量を検出する軸方向位置を適宜変更可能となっている。
【0204】
<管体のセット>
この形状測定装置4における管体(ワーク)10のセッティングは、まず一方の基準部42に対して管体10の一方の端部を差し込み(図16(a))、管体10の他方の端部が他方の基準部42の内側まで移動させ、管体10の軸方向に見てその内側に一対の基準部42,42を入れるように管体10の他方の端部を降ろした後(図16(b))、この管体10の他方の端部内に他方の基準部42が差し込まれるように管体10を水平にスライド動作させて、ストッパー本体452に当接させればよい。
【0205】
こうして管体10をセットすれば、プランジャーハンドル415を操作して変位検出器43…を回転移動可能にしておいて、回転操作ハンドル413,413を操作して各変位検出器43…の接触コロ431…を管体10の外周面12に押し付ける。
【0206】
そして、この接触コロ431…と管体10の外周面12との接触状態を保ったまま、測定作業者は、管体10の外周面12をつかんで管体10を回転させる。この管体10の回転操作は、1回転以上、望ましくは測定誤差を排除するために3回転程度行うことが望ましい。
【0207】
この管体10の回転に伴う管体10の外周面12の半径方向の変位量を変位検出器43…によって適宜検出すれば、管体10の内周面を基準とした外周面のフレの大きさを検出することができる。
【0208】
変位検出器43…による変位量の検出は、管体10を回転させる間、連続的に行うことが望ましい。この場合、変位検出器43…に、管体10の回転を開始する際変位量の値(そのときリセットすればリセット値)から変位量の最大値を更新しながら記憶する機能や、変位量の最小値と最大値を更新しながら記憶する機能、あるいは、変位量を連続的に記憶する機能等を備えていればよい。
【0209】
一方、変位検出器43…による変位量の検出は、管体10の回転を適宜止めていくつかの周方向についての回転角度位置において行うようにしてもよい。この場合であっても、全周にわたって複数箇所で変位量の検出を行えば、およそ管体10のフレ量を得ることはできる。
【0210】
<作用効果>
このように構成された形状測定装置4では、上述した図1〜図3の構成の形状測定方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0211】
そして、特にこの図12〜図16に示した形状測定装置4では、変位検出器43…は、管体10を一対の基準部42,42に押し付けるように付勢するため、一対の基準部42,42と管体10の内周面11とにおいて安定した当接状態を維持することが容易となる。
【0212】
特に、管体10は、その高さ方向を台座部44によって支持されており、高さ位置が安定しているため、測定作業者は管体10が一対の基準部42,42と変位検出器43…で挟み込まれた状態を維持しながら、管体10が台座部44上を滑るように回転させるだけで、適切な測定環境を確保できる。
【0213】
また、この形状測定装置4では、管体(ワーク)10の上方および変位検出器43…が配置されていない側(図15では奥側)が空いているので、この領域から容易に管体10をつかんで回転させることができる。このように回転操作が容易であるため、手動による回転であるが、安定したぶれの小さい回転を可能とし、これにより高い測定精度を得ることができる。
【0214】
(自動型の形状測定装置)
つぎに、管体(ワーク)10を形状測定装置の駆動力により自動的に回転させて形状測定を行う自動型の形状測定装置5について、図17〜図20を参照しながら説明する。
【0215】
図17はこの自動型の形状測定装置5の要部の正面断面説明図、図18は同装置の要部の側面断面図、図19は同装置の全体斜視概略図、図20は管体10の支持構造の拡大斜視図である。
【0216】
この形状測定装置5は、管体10の内周面11に当接して形状測定の基準となる一対の基準部52,52と、管体10をその両端部で下側から支持するとともに、管体10を回転駆動する支持ローラ54…と、管体10の軸方向に直交する方向から管体10を挟み込むように配置された光透過型の変位検出器53…と、これら各部品が取り付けられる本体ベース50と、を備えている。
【0217】
<一対の基準部>
一対の基準部52,52は、図18等に示しように、管体10の両端近傍の内周面11であって、その下方位置(底面位置)に当接し、形状測定の基準となるものである。
【0218】
この一対の基準部52,52は、管体10の内周面11をなめらかに当接しながらその当接位置をずらしていくことができるように、図示しないベアリング等が組み込まれた回転自在な円柱体として構成されている。このように一対の基準部52,52は円柱体として構成されることで管体10の内周面11と線接触し、これにより圧力を分散して管体10の内周面11が損傷することを防止することができるようになっている。
【0219】
この一対の基準部52,52は、基準支持軸521,521によって支持されており、この基準支持軸521,521は、本体ベース50上に管体10を軸方向から挟むように立設された機器ボックス511,511を貫通して取り付けられている。これにより、一対の基準部52,52の位置(測定の基準位置)が管体10の軸方向に直交するいずれの方向(図19の上下方向および奥行き方向)に対しても、十分に高い剛性を有するようになっている。
【0220】
また、この基準支持軸521,521は、機器ボックス511,511内に設けられた出没駆動部522,522によって、管体10の軸方向についてのみ出没駆動動作可能となっている。これにより、管体10をセットするときに一対の基準部52,52を軸方向外側に退避させ、管体10を軸方向に移動動作させることなく、この形状測定装置にセットできるようになっている。
【0221】
また、この一対の基準部52,52は、図4で示したように、管体10が使用時に挿入されるフランジ等によって回転支持される部位で管体10の内周面と当接するようになっている。これにより、実際の使用時と同様の条件で形状測定を行いうるようになっている。
【0222】
<支持ローラ>
支持ローラ54…は、管体10をその両端部で下側から支持するとともに、管体10を回転駆動するものである。また、この支持ローラ54…は、管体10の軸方向位置を位置決めする機能、管体10を上下に移動動作させる機能、管体10を下側から支持してその高さ位置を安定させる機能をも同時に実現するようになっている。
【0223】
この支持ローラ54…は、管体10の両端部それぞれに2つずつ同一高さで配置されており、管体10の両端側を合わせて4つの支持ローラ54…が設けられいる。管体10の一方の端部に配置された2つの支持ローラ54,54は、図18等に示すように、回転軸方向が平行な一対のローラ対として構成されている。
【0224】
各支持ローラ54は、管体10の外周面12と当接して管体10を下側から支持する小径部541と、その外側に設けられた同心の大径部542とからなる。
【0225】
支持ローラ54…の小径部541…は、図17等に示すように、管体10の内周面11側で一対の基準部52,52が当接している軸方向位置よりも外側の管体10の両端部でのみ管体10と接触するようになっている。これにより、変位検出器53…が、一対の基準部52,52が当接している断面の変位量を検出することを妨げることなく、この断面についての変位量を検出できるようになっている。
【0226】
各支持ローラ54…の大径部542…は、管体10の軸方向端面に当接して、この装置5にセットされる管体10の軸方向の位置決めが行われるようになっている。このため、管体10の軸方向両側の各支持ローラ54…は、その間隔が管体10の長さサイズに適応するように設定されている。
【0227】
この支持ローラ54…は、それぞれ上述した機器ボックス511,511に対して上下方向についてのみスライド動作可能に取り付けられた支持ローラ支持体543,543に、回転自在に取り付けられている。
【0228】
この支持ローラ54…の下側には、この支持ローラ54…の大径部の外周面に当接する連動ローラ544,544が、前記支持ローラ支持体543,543に対して回転可能に取り付けられている。この連動ローラ544,544の一方は、機器ボックス511内に収容された駆動モータ545の駆動力によって、所定方向に回転駆動されるようになっており、当接する一対の支持ローラ54,54に等速の回転を伝達し、ひいては管体10を回転駆動するようになっている。
【0229】
また、支持ローラ54…および連動ローラ544,544が取り付けられた支持ローラ支持体543,543は、機器ボックス511,511に設けられた上下駆動シリンダ546,546によって上下方向にスライド動作できるようになっており、支持ローラ54…の小径部541…上に支持された管体10を上方に持ち上げ、所定の押圧力で管体10の内側に配置された一対の基準部52,52に押し付けて当接させることができるようになっている。
【0230】
<変位検出器>
変位検出器53…は、管体10の外周面12の半径方向の変位量を検出するものであり、ここでは、管体10の軸方向位置の異なる5箇所にそれぞれ非接触型のものが設けられている。これら5箇所の変位検出器53…のうち両側の2つはそれぞれ一対の基準部52,52と対峙する位置を含む断面の変位量を検出するように配置されている。
【0231】
各変位検出器53…は、管体10の軸方向に直交する方向から管体10を挟み込むように配置された光透過型の変位検出器である。このため、管体10を挟み込むように配置された光照射部と受光部とが一組となってそれぞれの変位検出器53をなしており、光照射部から照射された光(たとえばレーザ光)のうち管体によって遮られず透過した光を受光部によって検出し、これによって管体10の外周面12の表面位置を検出するようになっている。
【0232】
各変位検出器53…の検出域531、532は、図17等に示すように、管体10の直径を超える高さ方向の幅を有しており、各変位検出器53は、管体10の外周面の一箇所の変位量だけではなく、それに対向する位置(管体10の周方向について半周分異なる位置、180度回転した位置、あるいは逆位相位置)の変位量も同時に検出できるようになっている。
【0233】
すなわち、この変位検出器53…では、図10および図11の構成の形状測定方法と同様の形状測定が可能となっている。
【0234】
以上のような形状測定装置5では、一対の基準部52,52を出没動作させる出没駆動部522,522、支持ローラ54…を回転駆動する駆動モータ545,545、支持ローラ54…を上下動作させる上下駆動シリンダ546,546、および管体10の形状測定を行う変位検出器53…等の各動作部の動作を制御する図示しないコントローラを備えており、形状測定手順の各タイミングにおいて、各動作部の動作を制御するようになっている。形状測定手順は、具体的には、以下の例を挙げることができる。
【0235】
<形状測定手順>
この形状測定装置5による形状測定作業は、一対の基準部52,52を出没駆動部522,522の出没動作によって両外側に退避させた状態で、管体10を任意の搬送装置または測定作業者が手動で搬送して支持ローラ54…の小径部541…上に載せる。
【0236】
そして、出没駆動部522,522の出没動作によって一対の基準部52,52を管体10の内側に挿入し、この状態で上下駆動シリンダ546,546によって支持ローラ54…とともに、その上に載せられた管体10を持ち上げる。
【0237】
管体10の内周面10に一対の基準部52,52が当接すれば、所定の押し付け圧で管体10を一対の基準部52,52に押し付けたまま、駆動モータ545,545により連動ローラ544および支持ローラ54…を介して管体10を回転させる。
【0238】
このとき、各変位検出器53…により、管体10の各軸方向断面における外周面12の半径方向の変位量が検出される。
【0239】
管体10を一回転以上させて、周方向について全周の変位量を検出すれば、上記と逆の手順で、管体10の回転を止め、管体10を下げて基準部52,52との当接状態を解除し、一対の基準部52,52を再び両外側に退避させて、形状測定の終了した管体10が取り出される。
【0240】
<作用効果>
このように構成された形状測定装置5では、上述した図10および図11の構成の形状測定方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0241】
さらに、この自動型の形状測定装置5では、管体10が支持ローラ54…上に載せられれば、自動的にその形状測定を行うことができるため、自動化ラインに容易に組み込むことができる。
【0242】
また、管体10を支持する支持ローラ54…は、管体10への回転駆動力の伝達、管体10の軸方向の位置決め、管体10の上下移動動作、管体10を下側から支持して基準部52,52との当接状態の維持という各機能を同時に果たすため、管体10の形状測定位置へのセッティングや形状測定のための動作部を集約して動作部の数が少ない構造を実現している。また、多数の部品が測定対象である管体10に接触する部品の数も少ない。これにより、誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、また、形状測定について高い信頼性を得ることができる。
【0243】
また、支持ローラ52…は、管体10をその両端部で支持するため、変位測定器53…によって、一対の基準部52,52が当接する断面をも変位測定対象とすることができる。これにより、上述したように、管体10の肉厚分布等を得ることができ、管体10の形状をより詳細に特定することができる。
【0244】
また、非接触型の変位検出器53…が用いられているため、管体10の外表面に損傷を与えることがない。
【0245】
また、この非接触型の変位検出器53…は、光透過型の変位検出器であるため、光を遮る管体10の外周面12近傍では光が回折して受光部に到達し、必要以上に微細な外周面12の形状凹凸を捨象した検出結果が得られる。このため、必要以上に微細な表面欠陥による外周面12の変位量を除いた適切な検出結果を容易に得ることできる。
【0246】
また、一対の基準部52,52は、管体10を形状測定装置5にセットするにあたり、管体10の軸方向に直交する方向について移動しないため、基準部として固定されるべき方向についてその位置が安定し、正確な形状測定に寄与することができる。
【0247】
(検査装置)
次に、本発明にかかる管体の検査装置について説明する。
【0248】
図21は、この検査装置6の構成を示す機能ブロック図である。
【0249】
この検査装置6は、上述した自動型の形状測定装置5と、形状測定装置5によって検出された管体10の外周面の変位量データから外周面のフレ量を算出するフレ量算出部61と、管体10の外周面12のフレ量の許容範囲が設定され、記憶される許容範囲記憶部62と、フレ量算出部61において算出された管体10のフレ量が許容範囲内にあるか否かを検査する比較部63と、この検査結果を出力する出力部64とを備えている。
【0250】
フレ量算出部61、許容範囲記憶部62、比較部63、および出力部64は、具体的には、コンピュータ上でそれぞれの機能を果たすソフトウェアおよびハードウェアから構成される。
【0251】
これらフレ量算出部61、許容範囲記憶部62および比較部63において取り扱われるフレ量は、は、たとえば形状測定装置5により管体10の軸方向について5箇所(5断面)における外周面12の変位量を検出する場合であれば、5箇所すべてのフレ量としても、あるいは、そのうちの一部としてもよい。
【0252】
また、複数箇所(例えば5箇所)のフレ量を用いる場合であっても、最終検査結果で合格とする条件としては、全てのフレ量がそれぞれが所定の許容範囲内にあることとしても、複数箇所のフレ量を組み合わせた結果が所定の許容範囲内にあることとしてもよい。フレ量の組み合わせとは、たとえば、複数箇所のフレ量のいずれもが所定の範囲内にあり、かつこれらフレ量の合計が所定の範囲内にあること等を挙げることができる。
【0253】
なお、ここでは、形状測定装置5で検出された管体10の外周面の変位量の生データを加工して、外周面のフレ量等の管体10の形状を表現する指標値等を算出する算出手段を、形状測定装置5の外側に表現したが、形状測定装置5自身がこのような算出手段を有していてもよいことはいうまでもない。また、その算出結果を出力する出力手段を有していてもよい。
【0254】
(製造システム)
次に、本発明にかかる管体の製造システムについて説明する。
【0255】
図22は、この製造システム7の構成を示す機能ブロック図である。
【0256】
この製造システム7は、管体10を製管する製管装置71と、上述した検査装置6と、検査装置6の検査結果に基づいて管体10を完成品とするか否かを判定する合否判定部72とを備えている。
【0257】
製管装置71は、たとえば感光ドラム素管を押出成形および引き抜き成形を組み合わせることによって製管するものである。具体的には、アルミニウム合金製の感光ドラム素管を製管する場合であれば、原料を溶解させて押出加工材料を製造する工程、押出工程、引き抜き加工工程、矯正工程、所定長さへの切断工程、洗浄工程等を実行する各機械装置の集合として構成されている。
【0258】
こうして製管された管体10は、上述した検査装置6において形状が所定の許容範囲内にあるか否かが検査され、合否判定部72は、この検査結果に基づいて所定の許容範囲内にあるのであれば、その管体10を完成品と判定する。
【0259】
この製造システム7においては、製管装置71から検査装置6の形状測定装置5に管体10を自動搬送する自動搬送装置を備えていることが望ましい。
【0260】
また、合否判定部72において合格とされた完成品と、不合格と判定された不良被疑品とを異なる場所に選別して搬送する搬送装置を備えることが望ましい。
【0261】
また、検査装置6が備える管体の形状測定装置5において、管体10に発生している不良の種類や特徴等が判別された場合には、これを製管装置71にフィードバックするフィードバック機能を備え、これにより不良管の発生を未然に防止するようにすることが好ましい。
【0262】
(その他の実施形態)
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記に限定されず、以下のように構成してもよい。
【0263】
(1)上記実施形態では、一対の基準部を管体の使用時における支持予定位置に当接させたが、管体の内周面であれば他の位置であってもよい。ただし、支持予定位置の近傍であることが望ましい。支持予定位置と断面形状が近似している可能性が高いためである。
【0264】
(2)上記実施形態においては、管体10の軸方向を略水平方向にして形状測定を行ったが、管体10の軸方向を略鉛直方向に立てて形状測定を行うようにしてもよい。このようにすると、管体10が自重でたわむことが軽減されるため、管体10本来の形状を測定することができる。
【0265】
(3)上記実施形態においては、一対の基準部と管体との当接部分を通る仮想的な直線に対峙する位置、およびそれと対向する位置を変位量の検出位置としたが、周方向について他の位置を検出位置としてもよい。
【0266】
(4)上記実施形態においては、変位量の検出位置を複数設けたが、少なくとも1つあればよい。
【0267】
(5)上記実施形態においては、形状測定対象である管体10として感光ドラム素管を挙げたが、これに限らず、複写機等に用いられる搬送ローラ、現像ローラ、転写ローラでも好適に適用できる。その他、管体であれば本発明の測定対象となりうる。
【0268】
(6)上記実施形態においては、一対の基準部が管体に当接する位置は、手動機では管体の内周面の側方、自動機では管体の内周面の下方(底面)としたが、これに限らず管体の内周面の上方(天井面)や斜めでもよい。
【0269】
(7)上記実施形態においては、変位検出器として、手動型の形状測定装置4では管体10の外周面に接触する接触型検出器を、自動型の形状測定装置5では管体10の外周面に接触しない光透過型の検出器(透過式の光学式センサ)を例示したが、変位検出器としては、管体10の外周面12の半径方向の変位量が得られればこれらに限定するものではない。変位検出器としては、たとえば、非接触で検出できる反射型の光学式センサ、非接触で検出でき、材料を選ばず汎用的な画像処理用のCCDカメラやラインカメラ、非接触で検出でき、高精度、高速、環境に強く、かつ安価なうず電流式の変位センサ、非接触で検出でき、高精度な静電容量式の変位センサ、非接触で検出できるエアー(差圧)式の変位センサ、あるいは、非接触で検出でき、長距離計測が可能な超音波式変位センサ等、種々の測定原理に基づく検出器を採用することができる。
【0270】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる管体の形状測定方法によれば、管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、前記基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記管体の外側であって、前記管体の周方向について固定された少なくとも1の位置に置いて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出するようにしたため、内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち管体の偏肉の影響を加味したフレを測定することができる。したがって、内周面を回転支持される用途に供される管体に対して、その使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、内周面側に基準を当接させて外周面側を計測するだけであるから、簡素な構成で実現でき、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
【0271】
また、前記一対の基準部を前記管体の使用時における支持予定位置に当接させるようにすると、管体の実際の使用時に回転動作等の基準となる部分を基準として形状測定することができるため、より実際に即した測定を行うことができる。
【0272】
また、前記一対の基準部を前記管体の内周面にそれぞれ略点接触状態で当接させるようにすると、測定基準を明確に特定した形状測定を行うことができる。
【0273】
また、前記一対の基準部を水平方向に並べて配置すると、管体はその軸方向を略水平にした姿勢となるが、管体がこの姿勢で使用される場合には、その使用時に近似した測定結果を得ることができる。
【0274】
また、前記一対の基準部を鉛直方向に並べて配置すると、重力により管体の軸方向中央部がたわむことを防止して、管体本来の形状を測定することができる。
【0275】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置のうち、少なくとも1の位置を含むようにすると、前記仮想的な直線に管体の外側から対峙する位置は、管体の外周面の半径方向の変位量が、管体の回転中心位置のずれの影響を最も受けにくい位置であるため、このような位置を変位量の検出位置に含めば、管体の回転中心位置にずれが生じた場合であっても、安定した測定を行うことができ、高い信頼性を有する測定結果を得ることができる。
【0276】
また、本発明にかかる管体の形状測定方法によれば、管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する少なくとも1の位置において、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出するようにしたため、内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。そして、前記仮想的な直線に管体の外側から対峙する位置は、管体の外周面の半径方向の変位量が、管体の回転中心位置のずれの影響を最も受けにくい位置であるため、このような位置を変位量の検出位置としたことにより、管体の回転中心位置にずれが生じた場合であっても、安定した測定を行うことができ、高い信頼性を有する測定結果を得ることができる。
【0277】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の外側から前記一対の基準部に対峙する位置以外の位置を含むようにすると、管体の肉厚を加味した外周面の変位量を測定することができる。
【0278】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の外側の複数の位置を含むようにすると、管体の外側の複数の位置における外周面のフレを測定することができ、これらを組み合わせることで管体の形状をより具体的に把握することができる。
【0279】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が異なる複数の位置を含むようにすると、管体の軸方向位置が異なる複数の位置において外周面のフレを測定することができ、これらを組み合わせることで管体の軸方向についての形状の変化を把握することができる。
【0280】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が一致し、周方向位置が異なる複数の位置を含むようにすると、これら複数の位置で検出される変位量を組み合わせることにより、この軸方向位置における管体の断面形状をより具体的に把握することができる。
【0281】
また、前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が一致し、周方向位置が半周分異なる2つの位置を含むようにすると、これら2つの位置において検出される変位量を組み合わせることにより、これら2つの位置を通る管体の直径を求めることができ、これにより、より具体的に管体の形状を把握することができる。
【0282】
また、前記変位量の検出位置には、前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置を含むようにすると、基準部と当接している部分における管体の肉厚を検出することができる。そして、この肉厚を他の検出位置における検出結果と組み合わせることで、より具体的に管体の形状を把握することができる。たとえば、管体の両端近傍の外周面を基準として他の部位の外周面の変位を計測する従来の検査に準じた検査結果も算出することが可能である。
【0283】
また、本発明にかかる管体の形状測定方法によれば、管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置とにおいて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出するようにしたため、基準部に対峙する位置の外周面の変位量から基準部と当接している部分における管体の肉厚を検出することができる。また、前記仮想的な直線に対峙する位置の外周面の変位量から、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。とくに前記仮想的な直線に管体の外側から対峙する位置は、管体の外周面の半径方向の変位量が、管体の回転中心位置のずれの影響を最も受けにくい位置であるため、このような位置を変位量の検出位置としたことにより、管体の回転中心位置にずれが生じた場合であっても、安定した測定を行うことができ、高い信頼性を有する測定結果を得ることができる。そして、こうして検出された管体の肉厚と管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレと組み合わせることで、より具体的に管体の形状を把握することができる。たとえば、管体の両端近傍の外周面を基準として他の部位の外周面の変位を計測する従来の検査に準じた検査結果も算出することが可能である。
【0284】
また、本発明にかかる管体の形状測定方法によれば、管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、この位置と周方向位置が半周分異なる位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置とにおいて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出するようにしたため、基準部に対峙する位置の外周面の変位量から基準部と当接している部分における管体の肉厚を検出することができる。また、この基準部に対峙する位置の外周面の変位量と、この位置と周方向位置が半周分異なる位置の変位量とからこれら2つの位置を通る管体の直径を求めることができる。また、前記仮想的な直線に対峙する位置の外周面の変位量から、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。とくに前記仮想的な直線に管体の外側から対峙する位置は、管体の外周面の半径方向の変位量が、管体の回転中心位置のずれの影響を最も受けにくい位置であるため、このような位置を変位量の検出位置としたことにより、管体の回転中心位置にずれが生じた場合であっても、安定した測定を行うことができ、高い信頼性を有する測定結果を得ることができる。そして、こうして検出された管体の肉厚と、管体の直径と、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレと組み合わせることで、より具体的に管体の形状を把握することができる。たとえば、管体の両端近傍の外周面を基準として他の部位の外周面の変位を計測する従来の検査に準じた検査結果も算出することが可能である。
【0285】
また、前記管体の回転は、1回転以上とすると、管体の周方向について全周の形状を検出することができる。
【0286】
また、前記変位量の検出は、前記管体を回転させる全期間または一部期間において連続的に行うようにすると、管体の周方向について局部的な形状変化も検出することができる。
【0287】
また、前記変位量の検出は、前記管体を回転させる間に断続的に行うこととすると、管体の外周面の変位量を簡易に検出することができる。
【0288】
また、前記管体の回転は断続的に停止させ、前記変位量の検出は、前記管体の回転が停止しているときに行うようにすると、管体の外周面の変位量について安定した検出ができる。
【0289】
また、前記変位量の検出は、前記管体の外周面に接触する検出器を用いて行うこととすると、管体の外周面の変位量について確実な検出ができる。
【0290】
また、前記変位量の検出は、前記管体の外周面と接触しない検出器を用いて行うこととすると、管体の外周面を傷めるおそれなく、管体の外周面の変位量を検出することができる。
【0291】
また、前記変位量の検出は、前記管体に対してその外側から光を照射し、前記管体によって遮られず透過した光を検出することによって行うこととすると、管体の外周面の変位量を容易かつ正確に検出することができる。
【0292】
また、本発明にかかる管体の検査方法によると、上記のいずれかに記載の管体の形状測定方法により管体の形状を測定し、この測定結果に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査するため、管体の形状が許容範囲内にあるか否かを判別することができる。
【0293】
また、本発明にかかる管体の製造方法によると、管体を製管し、上記の管体の検査方法により前記管体の形状を検査し、この検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定するため、過剰品質に陥ることなく、必要十分な形状精度を持った管体を提供することができる。
【0294】
また、本発明にかかる管体の形状測定装置によると、管体の両側端部近傍の内周面にそれぞれ当接する一対の基準部と、前記管体の外側に設けられ、前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する少なくとも1の変位検出器と、を備え、前記変位検出器は、前記一対の基準部が前記管体の内周面に当接した状態のまま、前記管体側の前記一対の基準部との当接部分が周方向にずれていくように前記管体が回転したときに、この管体の回転に伴う変位量を検出するため、内周面を基準とした外周面のフレを測定することができる。すなわち、測定される外周面のフレは、たとえば測定対象である管体が内周面を回転支持される場合等における、管体の偏肉の影響が加味されたものとなっている。したがって、このような用途に供される管体に対してその使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、内周面側に基準を当接させて外周面側を計測するだけであるから、簡素な構成で実現でき、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
【0295】
また、本発明にかかる管体の検査装置によると、上記の管体の形状測定装置と、前記変位検出器によって検出された前記変位量に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査する比較手段とを備えたため、管体の形状が許容範囲内にあるか否かを判別することができる。
【0296】
また、本発明にかかる管体の製造システムによると、管体を製管する製管装置と、上記の管体の検査装置と、前記検査装置による検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定する合否判定手段と、を備えたため、過剰品質に陥ることなく、必要十分な形状精度を持った管体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる管体の形状測定方法の原理を示す正面断面図である。
【図2】本発明にかかる管体の形状測定方法の原理を示す側面断面図である。
【図3】本発明にかかる管体の形状測定方法の原理を示す斜視図である。
【図4】形状測定対象である管体(ワーク)の使用状態を示す説明斜視図である。
【図5】本発明にかかる管体の形状測定方法における変位量の検出位置の説明図である。
【図6】(a)は管体の不良例である曲がり管の斜視図、(b)は同断面図である。
【図7】(a)は管体の不良例である偏肉管の斜視図、(b)は同断面図である。
【図8】(a)は管体の不良例である扁平管の斜視図、(b)は同断面図、(c)は扁平管の形状計測時の状態を示す説明断面図である。
【図9】形状測定対象である管体(ワーク)を回転させながら外周面の変位量を検出した結果の例を示すグラフである。
【図10】本発明にかかる第2の形状測定方法の原理を示す正面断面図である。
【図11】本発明にかかる第2の形状測定方法の原理を示す側面断面図である。
【図12】本発明にかかる管体の形状測定装置を手動型の装置として具現した一実施形態の平面断面図である。
【図13】同装置の正面断面図である。
【図14】同装置の側面断面図である。
【図15】同装置の概略斜視図である。
【図16】同装置における管体(ワーク)のセッティング手順の説明図である。
【図17】本発明にかかる管体の形状測定装置を自動型の装置として具現した一実施形態の要部の正面断面説明図である。
【図18】同装置の要部の側面断面図である。
【図19】同装置の全体斜視概略図である。
【図20】管体10の支持構造の拡大斜視図である。
【図21】本発明にかかる管体の検査装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図22】本発明にかかる製管システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図23】従来の管体の形状測定方法の原理を示す説明図である。
【図24】従来の管体の形状測定方法の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
10 管体(ワーク)
11 内周面
12 外周面
20,42,52 基準部
30,43,53 変位検出器
31,32,33,34 変位量の検出位置
P1,P2 当接部分
Q 仮想的な直線

Claims (26)

  1. 管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、
    前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
    前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置とにおいて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出し、
    前記一対の基準部に対峙する位置で検出される変位量が表す前記管体の肉厚を、前記仮想的な直線に対峙する位置であって一対の基準部に対峙する位置以外の位置で検出される変位量とを組み合わせて評価することにより、前記管体の形状を把握することを特徴とする管体の形状測定方法。
  2. 管体の両側端部近傍の内周面に一対の基準部を当接させ、
    前記一対の基準部の位置を固定した状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
    前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、この位置と周方向位置が半周分異なる位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置とにおいて、前記管体の回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出し、
    前記一対の基準部に対峙する位置で検出される変位量が表す前記管体の肉厚を、前記仮想的な直線に対峙する位置であって一対の基準部に対峙する位置以外の位置で検出される変位量とを組み合わせて評価することにより、前記管体の形状を把握することを特徴とする管体の形状測定方法。
  3. 前記仮想的な直線に対峙する位置であって一対の基準部に対峙する位置以外の位置で検出される変位量から、前記一対の基準部に対峙する位置で検出される変位量を引き算することによって、偏肉に起因する変位量を消去して、偏肉以外の原因に起因する不良の影響のみを取り出すことを特徴とする請求項1または2に記載の管体の形状測定方法。
  4. 前記管体の端面に当接する部材により、管体の軸方向の位置決めを行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  5. 前記管体の端面に当接する部材は、一対の基準部が当接している軸方向位置よりも外側でのみ管体と接触するようになっていることを特徴とする請求項4に記載の管体の形状測定方法。
  6. 前記管体の端面に当接する部材は、一対の基準部が当接している軸方向位置よりも外側でのみ管体と接触する小径部と、管体の軸方向端面に当接するように、その外側に設けられた同心の大径部とを有していることを特徴とする請求項5に記載の管体の形状測定方法。
  7. 前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が異なる複数の位置を含み、
    前記複数の位置で検出される変位量を組み合わせた結果が所定の許容範囲内にあるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  8. 前記一対の基準部は、前記管体の使用時における支持予定位置に当接させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  9. 前記一対の基準部は、前記管体の内周面にそれぞれ略点接触状態で当接させることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  10. 前記一対の基準部は、水平方向に並べて配置されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  11. 前記一対の基準部は、鉛直方向に並べて配置されたことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  12. 前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が一致し、周方向位置が異なる複数の位置を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  13. 前記変位量の検出位置には、前記管体の軸方向位置が一致し、周方向位置が半周分異なる2つの位置を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  14. 前記管体の回転は、1回転以上とすることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  15. 前記変位量の検出は、前記管体を回転させる全期間または一部期間において連続的に行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  16. 前記変位量の検出は、前記管体を回転させる間に断続的に行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  17. 前記管体の回転は断続的に停止させ、前記変位量の検出は、前記管体の回転が停止しているときに行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  18. 前記変位量の検出は、前記管体の外周面に接触する検出器を用いて行うことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  19. 前記変位量の検出は、前記管体の外周面と接触しない検出器を用いて行うことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  20. 前記変位量の検出は、前記管体に対してその外側から光を照射し、前記管体によって遮られず透過した光を検出することによって行うことを特徴とする請求項19記載の管体の形状測定方法。
  21. 前記管体は感光ドラム素管であることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の管体の形状測定方法。
  22. 請求項1〜21のいずれかに記載の管体の形状測定方法により管体の形状を測定し、この測定結果に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査することを特徴とする管体の検査方法。
  23. 管体を製管し、請求項22に記載の管体の検査方法により前記管体の形状を検査し、この検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定することを特徴とする管体の製造方法。
  24. 管体の両側端部近傍の内周面にそれぞれ当接する一対の基準部と、
    前記管体の外側に設けられ、前記一対の基準部の少なくともいずれか一方に対峙する前記管体の外側の位置と、前記管体と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部に対峙する位置以外の少なくとも1の位置と、において、前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する変位検出器と、を備え、
    前記変位検出器は、前記一対の基準部が前記管体の内周面に当接した状態のまま、前記管体側の前記一対の基準部との当接部分が周方向にずれていくように前記管体が回転したときに、この管体の回転に伴う変位量を検出し、
    前記一対の基準部に対峙する位置で検出される変位量が表す前記管体の肉厚を、前記仮想的な直線に対峙する位置であって一対の基準部に対峙する位置以外の位置で検出される変位量とを組み合わせて評価することにより、前記管体の形状を把握することを特徴とする管体の形状測定装置。
  25. 請求項24記載の管体の形状測定装置と、前記変位検出器によって検出された前記変位量に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査する比較手段とを備えたことを特徴とする管体の検査装置。
  26. 管体を製管する製管装置と、
    請求項25記載の管体の検査装置と、
    前記検査装置による検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定する合否判定手段と、
    を備えたことを特徴とする管体の製造システム。
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