JP2010168828A - コンクリート構造物の施工方法及びコンクリート構造物用型枠パネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コンクリート構造物の形成時に型枠として機能し、形成後に埋め殺し状態で用いられる金属薄板から成る型枠パネル1であって、その長さ方向に伸びる複数の凸条11がその幅方向に互いに平行に並設され、この凸条11の上面18には、その上面18に対して垂直に立設する複数の押上げ片14が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
これに対して近年では、工数を削減し且つ環境保護に資するために、金属薄板を角波形状に形成した金属製の型枠パネルを用いて型枠を構築し、その型枠パネルをコンクリート硬化後に埋め殺し状態で放置するようにする方法が提案されている。
さらに、間隔を設けて組立てられる構築用型枠内にコンクリートを打設し、構築用型枠とコンクリートを一体化するコンクリート建物外壁構造体の構築用型枠であって、断熱材により形成される構築用型枠パネル本体と、該構築用型枠パネル本体の一側面に対し、空隙を設けて形成される網目状部とを備えた構築用型枠パネルと、これを用いたコンクリート外壁の構築方法(特許文献3参照)が報告されている。
さらにまた、建造物の壁の高さに応じて高さ調整できるようにした断熱板に、該断熱板の大きさ及び形状に合わせて枠内に縦に1乃至複数の木桟を配設して外枠を形成した木桟枠を埋め込み、裏面より固着用台座を介在させて釘止めしてなり、前記木桟枠の埋め込み面を外面とする型枠を形成してコンクリートを打設し、釘の頭部を含む前記固着用台座をコンクリート躯体壁に埋め込み固着したコンクリート建造物の壁下地用型枠パネル(特許文献4参照)が報告されている。
以下、これらの図を用いて、本実施の形態における型枠パネル1の構成について説明する。
例えば、この型枠パネル1の完成品の大きさは、長さ300〜7000mm、幅600mm、厚さ0.3〜0.4mm程度である。
また、パネル断面を等辺角波型に成形することで、特に表面又は裏面側からの力に対して優れた強度を発揮する。
なお、本実施の形態においては、この凸条11の形成方向を型枠パネル1の「長さ方向」とし、型枠パネル1においてその長さ方向に垂直な方向を「幅方向」とする。
この上面18の幅方向の長さ及び側面19の幅方向(奥行き方向)の長さは、10〜20mm程度である。
また、互いに隣接する凸条11の幅方向の間隔は、10〜50mm程度である。
本実施の形態では、幅方向に凸条11→溝部16→リブ12→溝部16→リブ12→……→溝部16→凸条11→……というように設けられており、凸条11の幅方向の両側には、溝部16が連設されている。
このリブ12は、幅8〜20mm程度、高さ3〜10mm程度で、その幅方向断面が例えば半円弧状に形成されている。
また、溝部16は、幅2〜10mm程度に形成されている。
この破線状の切込み13列に沿って型枠パネル1を所定の角度に折り曲げることにより、型枠のコーナー部分を形成することができるようになっている。
また、この破線状の切込み13列に沿って、型枠パネル1を、正逆方向に数回繰り返し折り曲げることにより、型枠パネル1を所望のサイズに容易に切断することができるようになっている。
例えば、この切込み13は、幅が0.3〜1mm程度、長さが10〜50mm程度であり、その切込み13の長さ方向の間隔が10〜30mm程度の破線状に形成される。
このことにより、型枠パネル1の折り曲げ位置を所望の位置に自在に設計することが可能となり、型枠施工時の設計の自由度を大幅に向上させることが可能となる。
さらに凸条11を重ね合わせて幅方向に重ねて広げ、あるいは、長さ方向にずらすことによって、型枠パネル1を自由な大きさに広げて必要なサイズを実現することができる。
前述したように、施工時には、型枠パネル1を押上げ片14のある上面18側を対向する型枠パネル1側に向けて立設させ、型枠を構成する。そうして、そのセパレータ挿入孔15にセパレータ33を挿入して締め金具(商品名:フォームタイ)31で固定することにより、この対向した型枠パネル1同士を所定の間隔をおいて連結することができる。
上面18の幅方向の長さを10〜20mm程度とすると、押上げ片14の一辺の長さは5〜15mm程度である。
図3に、本発明のコンクリート構造物としての壁面の施工時の構成を示す断面図である。
図に示すように、1対の型枠パネル1を所定の間隔をおいて立設する。押上げ片14を押し上げた後のセパレータ挿入孔15を用いて、相互の型枠パネル1間にセパレータ33を通してセパレータ座金34で固定し、更に締め金具31で2本の補強パイプ32を抱えるようにしてナット等で位置決めし固定する。これによって、1対の型枠パネル1同士を相互に固定するとともに、対向する型枠パネル1間の間隔、すなわち壁厚を決めて保持することができる。
さらに、必要に応じてこの併設された型枠パネル1の上端に、型枠パネル1と同様な薄板金属で形成した断面コの字型のキャップを、その下端には断面コの字型のランナーなどの補助部材を装着するようにしても良い。
このように、型枠パネル1を埋め殺し状態で用いることにより、コンクリート躯体と型枠パネル1とが一体化され、構造物全体の数十%程度までの応力負担を型枠パネル1に負わせることが可能になり、せん断強度、曲げ強度、軸方向耐力、耐震強度を向上することができる。また、コンクリート躯体の硬化時に起きる収縮ひび割れを低減する効果がある。
この型枠パネル1の実施例では、押上げ片14の一辺の長さが7.5mmで、セパレータ挿入孔15は7.5×7.5mmの正方形であり、凸条11の間隔が50mmであるのに合わせて、セパレータ挿入孔15の相互間隔は、50×50mmにしている。この孔の寸法はさほど大きなものではなく、開口率は2.3%に過ぎないので、コンクリートのノロの漏出がほとんど無いことが確認できた。一方、水分は充分に通過するので、コンクリートの養生、硬化時に水抜き穴としての効果を備え、コンクリート内の湿気を取り除くことが可能になる。また、型枠パネル1を形成する薄肉金属板の厚みは0.3〜0.4mmと薄く構成した。
図5(a)および(b)に比較例として用いた従来型の型枠工法によって作成した試験用コンクリート梁の構成を、図6に本発明に類似した工法によって作成した参考例の試験用コンクリート梁の構成を示す。
いずれも、断面が120×200mm、長さ2,000mmの梁であり、長さ方向に伸びる4本の10mmφの丸パイプを80×160mmに配置して軸にし、4mmφの鉄筋をこの軸に巻きつけて配筋構成とした。そうして、この配筋構成を囲むように型枠を設けてコンクリートを打設し、養生させ、コンクリート硬化後、型枠を除いて試験用梁を構成した。
また、図6に示す参考例の試験梁では、図5(b)に示す試験梁(従来例2)と同じく鉄筋の間隔を100mmに採った配筋構成に対して、図7に示すような、図1に示した本発明の型枠パネル1で押上げ片14を設けない構成の型枠パネル2を埋め込み型枠として用い、さらに底面側に同じ型枠パネル2を底面のライナーとして用いてコンクリートを打設し、養生させて試験梁(参考例)を構成した。
図8の図表から分かるように、図5に示した従来型の試験梁(従来例1)では、変位50mmで、試験梁(従来例2)では変位38mmで、コンクリート躯体部分に亀裂が入った時点で梁としての構成が崩壊してしまっている。
一方、参考例の試験梁では、埋め込み型枠パネル2の働きによって、コンクリート躯体部分に亀裂が入った後も変位70mmまで荷重応力に耐えて梁としての構成が維持される。
これにより、この参考例は、例えば地震などに遭遇した際に構造物が完全に崩壊することを防ぐ耐性があることを示す。
本発明の型枠パネル1を用いたコンクリート構造物では、さらに押上げ片14がコンクリート内に固定される分、さらこの参考例よりも強度、耐力が増えるものと考えられる。
以上の説明では、コンクリート構造物として壁面について述べたが、柱、梁、床面などの構造物についても同様に施工することができるのはいうまでも無い。
したがって、土木・建設の広範な分野で広く利用される可能性を有している。
11 突条
12 リブ
13 切込み
14 押上げ片
15 セパレータ挿入孔
16 溝部
18 上面
19 側面
21 切込み
22 折返部
31 締め金具
32 補強パイプ
33 セパレータ
34 セパレータ座金
Claims (6)
- コンクリート躯体と、そのコンクリート躯体の表面に埋め殺し状態で配設される型枠パネルとを備えたコンクリート構造物の施工方法であって、
その長さ方向に伸びる複数の凸条が幅方向に互いに平行に並設され、この凸条の上面にはその上面に対して垂直に立設する複数の押上げ片が設けられた1対の前記型枠パネルを、その上面側を対向する前記型枠パネル側に向けてコンクリート構造物の厚みに相当する間隔をおいて配設し、この配設された1対の前記型枠パネル間にコンクリートを打設して前記型枠パネルを埋め殺しして構成することを特徴とするコンクリート構造物の施工方法。 - コンクリート躯体と、そのコンクリート躯体の表面に埋め殺し状態で配設される型枠パネルとを備えたコンクリート構造物の施工方法であって、
その長さ方向に伸びる複数の凸条が幅方向に互いに平行に並設された1対の前記型枠パネルを、その上面側を対向する前記型枠パネル側に向けてコンクリート構造物の厚みに相当する間隔をおいて配設し、この配設された1対の前記型枠パネル間にコンクリートを打設して前記型枠パネルを埋め殺しして構成することを特徴とするコンクリート構造物の施工方法。 - 必要に応じて前記型枠パネルの両端部に、断面コの字型の補助部材を装着することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート構造物の施工方法。
- コンクリート構造物の形成時に型枠として機能し、形成後に埋め殺し状態で用いられる金属薄板から成る型枠パネルであって、
その長さ方向に伸びる複数の凸条がその幅方向に互いに平行に並設され、この凸条の上面には、その上面に対して垂直に立設する複数の押上げ片が設けられていることを特徴とするコンクリート構造物用型枠パネル。 - コンクリート構造物の形成時に型枠として機能し、形成後に埋め殺し状態で用いられる金属薄板から成る型枠パネルであって、
その長さ方向に伸びる複数の凸条がその幅方向に互いに平行に並設されていることを特徴とするコンクリート構造物用型枠パネル。 - 前記凸条間には、さらにその高さが前記凸条の高さよりも低い複数のリブが前記凸条とほぼ平行にパネル幅方向に並設されていることを特徴とする請求項4又は5記載のコンクリート構造物用型枠パネル。
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