JP2010126934A - コンクリート構造体の建築ユニット及びその建築施工方法 - Google Patents

コンクリート構造体の建築ユニット及びその建築施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】解体することなく建次工程に移行可能であって、低コストかつ耐久性に優れたコンクリート構造体を製造することを可能とするコンクリート構造体の建築ユニット及びその建築施工方法を提供する。
【解決手段】コンクリート構造体の建築ユニットは、一対の壁体W1,W2を土台F上に立設して形成され、コンクリートを打設することによりコンクリート型枠としての機能を発揮する。壁体W1,W2は、それぞれ、表面に大小のリブが形成された多孔状の鋼製の型枠パネル1と、型枠パネル1の下端を嵌合する嵌合溝を備えたランナー2と、上端を嵌合するキャップ3とを有し、ランナー2の下面には略直交するように、両端にリブが設けられた長板状の下部固定部材4が掛架・固定されている。また、キャップ3の上面には、キャップ3と略直交するように、両端にリブが設けられた長板状の上部固定部材5が掛架・固定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート構造体の建築ユニット及びその建築施工方法に関し、特に、建造物の基礎構造及び壁に用いられるコンクリート構造体の建築ユニット及びその建築施工方法に関する。
一般に、建造物の基礎構造や壁等のコンクリート構造体は、建設現場において型枠を設置し、その型枠間に形成された空間にコンクリートを打設して造られる。従来よく使用されていた木製の合板型枠は、コンクリートが硬化すると、解体・清掃され、再利用される。
このような木製の合板型枠に加えて、近年、ラス型枠と呼ばれる鋼製の型枠が普及し、コンクリート構造体の建築施工に使用されるようになっている。このラス型枠は、コンクリート打設後も解体・再利用されることなく、そのまま埋め戻される。そのため、型枠本体の板状部分を、金属の網目状(メッシュ状)に形成して、材料の低コスト化を図っている。また、このように網目状に形成することで、型枠全体の軽量化を実現して施工性を高めているとともに、その網目の間からコンクリートの余剰水を漏出させることで、高品質のコンクリートの養生を可能としている。
このようなラス型枠を用いた従来技術の1つとして特許文献1に開示されるラス型枠工法及びそのラス型枠用せき板が提案されている。
このラス型枠用せき板は、外側へ突出させた断面略コ字状の凸状支柱部とラス網部とを一体的に形成しており、その凸状支柱部の外側へ突出した突出端面の外面に横端太を固定して型枠を建て込むことにより、ラス網を用いたせき板の利点である軽量化及び材料費の削減を生かしながら、型枠として建て込んだ場合の剛性を強化して、梁部や壁部と同時にスラブ部に対するコンクリートの打設も実施できるように建築工法を改善し、その作業性を向上させている。
また、せき板に設けられたセパレータ挿入用の開口のうち未使用のものからコンクリートの余剰水を漏出させることが可能となっている。
特開2002−138664
しかしながら、前述の特許文献1に開示されるラス型枠工法及びそのラス型枠用せき板には、以下のような問題点がある。
すなわち、特許文献1に開示されるラス型枠工法及びそのラス型枠用せき板は、前述のように、せき板に設けられた開口からコンクリートに含まれる水分を漏出させることが可能に構成されているが、その漏出量の調整ができないため、過度に水分を漏出させ、かえってコンクリートの品質を劣化させてしまうおそれがある。
また、特許文献1に開示のラス型枠用せき板は、前述のように、板状部分が網状に形成され、コンクリートが露出され、外気や土砂に絶えず触れた状態となる。従って、コンクリートの中性化が進行し、耐久性を損ない、劣化を早めるおそれがある。
また、特許文献1に開示の工法及びせき板は、コンクリート打設に際してセパレータ等の建材を多く使用する必要があるため、施工が繁雑になり、コスト面においても優れているとは言い難い。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、解体することなく建築次工程に移行可能であって、低コストかつ耐久性に優れた高品質のコンクリート構造体を製造することを可能とするコンクリート構造体の建築ユニット及びその建築施工方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明は、互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットであって、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられており、互いに対向して立設する型枠パネルと、互いに対向した型枠パネルの下端側間に橋設される下部橋設部材と、互いに対向した型枠パネルの上端側間に橋設される上部橋設部材と、互いに対向した型枠パネル間に介装され型枠パネルを支持する支持部材とを有することを特徴とする。
また、本発明によれば、その上方及び下方に開口した嵌合溝を備え、上方に開口した嵌合溝において桟木を嵌合支持する桟木支持部材をさらに有し、桟木支持部材は、下方に開口する嵌合溝で一対の壁体間の上部橋設部材を嵌合し、掛着されることを特徴とする。
また、本発明によれば、その互いに対向した型枠パネル間に挿通される支持固定部材と、支持固定部材により型枠パネルの外側に緊合及び固定される棒状部材とを有することを特徴とする。
また、本発明は、互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットであって、複数積重されて一対の壁体本体を構成する板状の単位建築ユニットと、最上段に積重される単位建築ユニットの上面に橋設される上部橋設部材とを有して構成され、単位建築ユニットは、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルと、互いに対向した型枠パネルの下端側間に橋設される下部橋設部材とを有することを特徴とする。
また、本発明によれば、その下部橋設部材は、型枠パネルの下端に嵌合される断面コの字状のランナーと、互いに対向した型枠パネルに嵌合されたランナー間に橋設される、両先端が折り返されて略垂直上方にリブが形成された下部固定部材とを有することを特徴とする。
また、本発明によれば、そのランナーは、上面視直線状又はL字形状に構成されることを特徴とする。
また、本発明によれば、その上部橋設部材は、型枠パネルの上端に嵌合される断面コの字状のキャップと、互いに対向した型枠パネルに嵌合されたキャップ間に橋設される、両先端が折り返されて略垂直下方にリブが形成された上部固定部材とを有することを特徴とする。
また、本発明によれば、そのキャップは、上面視直線状又はL字形状に構成されることを特徴とする。
また、本発明によれば、その支持部材は、長板状部材と、長板状部材の長手方向の両側端に略直角に折り返されて立設する第1のリブと、長板状部材の両先端に略直角に折り返されて立設する第2のリブとを有し、第2のリブは、第1のリブと反対方向に折り返されて立設することを特徴とする。
また、本発明は、互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法であって、長板形状の部材が格子状に配置されてなる下部橋設部材を土台上に載置固定する工程と、載置固定された下部橋設部材上に、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルを互いに対向させて立設させる工程と、互いに対向した型枠パネルの上端側に、長板形状の部材が格子状に配置されてなる上部橋設部材を載置固定する工程とを有することを特徴とする。
また、本発明によれば、その上部橋設部材を載置固定する工程の後に、長板状部材の両側端に略垂直にリブが連設され両先端が突出した上部支持部材を、リブを互いに対向した型枠パネル間に嵌挿し、突出した先端を上部橋設部材上に載置した状態で固定する工程をさらに有することを特徴とする。
また、本発明によれば、その上部橋設部材を載置固定する工程の後に、上方及び下方に開口した嵌合溝を備えた桟木支持部材を、下方に開口した嵌合溝により上部橋設部材を嵌合させて複数掛着する工程と、複数の桟木支持部材の上方に開口した嵌合溝に桟木を嵌合させる工程とをさらに有することを特徴とする。
また、本発明によれば、その上部橋設部材を載置固定する工程の後に、互いに対向した型枠パネル間に支持部材を介装する工程と、互いに対向した型枠パネル間に支持固定部材を挿通し、支持固定部材により型枠パネルの外側に棒状部材を緊合及び固定する工程とをさらに有することを特徴とする。
また、本発明は、互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法であって、長板形状の部材が格子状に配置されてなる下部橋設部材を土台上に載置固定する工程と、載置固定された下部橋設部材上に、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルを互いに対向させて立設させる工程とにより、壁体の構成単位である単位建築ユニットを構築し、1段下段の単位建築ユニットの上端側に、下部橋設部材を載置固定して単位建築ユニットを複数段積重し、最上段の単位建築ユニットの上端側には、長板形状の部材が格子状に配置されてなる上部橋設部材を載置固定することを特徴とする。
また、本発明によれば、その下部橋設部材を載置固定する工程は、両先端が折り返されて略垂直上方にリブが形成された下部固定部材を、複数所定間隔をもって略平行に土台上に載置固定する工程と、載置固定された下部固定部材上に、上方に開口された溝部を備えた断面コの字状の一対のランナーを下部固定部材に略直交して載置固定する工程とからなり、型枠パネルを立設させる工程は、型枠パネルの下端を載置固定したランナーの溝部に嵌合することを特徴とする。
また、本発明によれば、その上部橋設部材を載置固定する工程は、型枠パネルの上端に、下方に開口した溝部を備えた断面コの字状のキャップを嵌合する工程と、嵌合したキャップの上面において、両先端が折り返されて略垂直下方にリブが形成された上部固定部材を一対の壁体間に橋設する工程とからなることを特徴とする。
本発明によれば、互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成されるコンクリート構造体の建築ユニットであって、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられており、互いに対向して立設する型枠パネルと、互いに対向した型枠パネルの下端側間に橋設される下部橋設部材と、互いに対向した型枠パネルの上端側間に橋設される上部橋設部材と、互いに対向した型枠パネル間に介装され型枠パネルを支持する支持部材とを有するので、極めて簡素な部材により優れた強度をもった建築ユニットを容易に施工することができるとともに、変形や中性化等による劣化のないコンクリート構造体を容易に構築することが可能となる。
また、本発明は、互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成されるコンクリート構造体の建築ユニットであって、複数積重されて一対の壁体本体を構成する板状の単位建築ユニットと、最上段に積重される単位建築ユニットの上面に橋設される上部橋設部材とを有して構成され、単位建築ユニットは、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルと、互いに対向した型枠パネルの下端側間に橋設される下部橋設部材とを有するので、極めて簡素な部材により優れた強度をもった建築ユニットを容易に施工することができるとともに、変形や中性化等による劣化のないコンクリート構造体を容易に構築することができ、さらには、様々な形状のコンクリート構造体の構築に柔軟に対応することが可能となる。
<第1の実施の形態>
(第1の実施の形態におけるの建築ユニットの全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。また、図2は、そのコンクリート構造体の建築ユニットの側面断面図である。
以下、これら図を用いて、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の構成について説明する。
図に示すように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、互いに略平行に対向する一対の壁体W1,W2を土台F上に立設して形成される。これら一対の壁体W1,W2の間にコンクリートを打設することによりコンクリート型枠としての機能を発揮するように構成されている。以下、壁体W1,W2の両対向面側(コンクリート打設側)を単に内側といい、その反対側を外側という。
それら壁体W1,W2は、それぞれ、表面に大小のリブが形成された多孔状の鋼製の型枠パネル1と、これら複数並設される型枠パネル1の下端を嵌合する嵌合溝を備えたランナー2と、上端を嵌合するキャップ3とを有して構成される。
そして、このように構成される一対の壁体W1,W2の下端、すなわちランナー2の下面には、そのランナー2と略直交するように、両端にリブが設けられた長板状の下部固定部材4が掛架・固定されている。
また、一対の壁体W1,W2の上端、すなわちキャップ3の上面には、そのキャップ3と略直交するように、両端にリブが設けられた長板状の上部固定部材5が掛架・固定されている。この上部固定部材5は、上記の下部固定部材4と同形状であり、壁体W1,W2に固定されるときのリブの向きのみが異なる(下部固定部材4のリブは略垂直上向き、上部固定部材5のリブは略垂直下向きに突出する)。
また、壁体W1,W2間には支持固定部材6が張架されるとともに、壁体W1,W2の外側の面(対向する面の裏側)には、その支持固定部材6により棒状部材7が締結固定され、複数の型枠パネル1に渡設される。
これにより、型枠パネル1の撓みを防止し、コンクリート構造体を安定した形状で形成することができるようになっている。この棒状部材7は、いわゆる横端太と呼ばれる棒状の建材であり、例えば、直径10mm程度の鉄筋、鋼製パイプ又は木材等を使用する。また、その棒状部材7を型枠パネル1に支持固定する支持固定部材6は、番線、鋼製のワイヤー、支線、棒状部材等である。本実施の形態では、図等において、この支持固定部材6を一例として番線としている。
さらに、壁体W1,W2間には、ランナー状の支持部材8が介装される。この支持部材8の両先端は、壁体W1,W2の両対向面に当接しており、壁体W1,W2間を一定の寸法に保持するためのスペーサとして使用される。
また、壁体W1,W2は、鋼製のパイプ管や平板等からなるサポート材9により支持され、壁体W1,W2が外側へ倒れるのを防止している。
なお、本実施の形態において、前述のキャップ3及び上部固定部材5からなる部材を上部橋設部材といい、ランナー2及び下部固定部材4からなる部材を下部橋設部材という。
(第1の実施の形態における型枠パネル1の構成)
次に、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットを構成する各部材について図を用いて説明する。
図3は、前述の型枠パネル1を示す斜視図である。また、図4は、その型枠パネル1のA−A断面を示す図である。以下、これら図を用いて、その型枠パネル1の構成について説明する。
図に示すように、型枠パネル1は、鋼製の板形状の材質を、正面略方形状かつ断面略角波形状に折り曲げ、切断加工して成形した型枠パネルである。
例えば、この型枠パネル1の完成品の大きさは、長さ300〜7000mm、幅600mm、厚さ0.2〜1.0mm程度である。
このように、パネル鋼板を断面略角波形状に折り曲げることで、型枠パネル1には、互いに平行な複数の凸条11が所定間隔で並設され、パネル1自体の強度を補強している。
また、パネル断面を等辺角波型に成形することで、特に表面又は裏面側からの力に対して優れた強度を発揮する。
なお、以下、この凸条11の形成方向を型枠パネル1の「長さ方向」とし、型枠パネル1においてその長さ方向に垂直な方向を「幅方向」とする。
図に示すように、その凸条11は、上面31と、この上面31の両幅方向に連設されている2面の側面32とにより構成されている。
この上面31の幅方向の長さ及び側面32の幅方向(奥行き方向)の長さは、例えば、10〜20mm程度である。
また、互いに隣接する凸条11の幅方向の間隔は、例えば、10〜50mm程度である。
また、各凸条11間の凹面には、所定間隔ごとに、複数の幅方向の断面凸状のリブ12と、幅方向の断面凹状の溝部16が、凸条11に平行に繰り返し形成されている。
本実施の形態では、幅方向に凸条11→溝部16→リブ12→溝部16→リブ12→・・・→溝部16→凸条11→・・・というように設けられており、凸条11の幅方向の両側には、溝部16が連設されている。
このリブ12は、例えば、幅8〜20mm程度、高さ3〜10mm程度で、その幅方向断面が例えば半円弧状に形成されている。
また、溝部16は、例えば、幅2〜10mm程度に形成されている。
さらに、凸条11のパネル幅方向の両端、すなわち、リブ12とそのリブ12に隣接する溝部16との間の境界線上には、所定長の切込み13が、所定間隔で凸条11と平行に破線状に設けられている。
この破線状の切込み13列に沿って型枠パネル1を所定の角度に折り曲げることにより、型枠のコーナー部分を形成することができるようになっている。
また、この破線状の切込み13列に沿って、型枠パネル1を、正逆方向に数回繰り返し折り曲げることにより、容易に切断可能に構成されている。従って、壁体W1,W2を組み立てる際に、その寸法及び形状に応じて所望のサイズの型枠パネル1を用意することができ、施工性が大幅に向上する。
また、その切込み13は、微小幅、所定長の型枠パネル1の表裏に貫通した切込みであり、コンクリートやモルタルを打設後に、その切込み13から液状のコンクリートやモルタルや必要な水分が漏出することなく、余剰水が排出する程度に、その切込み13の幅が形成されている。
例えば、この切込み13は、幅が0.3〜1mm程度、長さが10〜50mm程度であり、その切込み13の長さ方向の間隔が10〜30mm程度の破線状に形成される。
また、切込み13列の幅方向の間隔は、実質的に凸条11の幅方向の間隔、又は凸条11の上面31の幅方向の長さであるので、この凸条11のパネル幅方向の形成間隔又は上面31の幅を適宜調整することにより、切込み13列の幅方向の間隔を10〜50mm程度の任意な間隔に容易に調整することができる。
このことにより、型枠パネル1の折り曲げ位置を所望の位置に自在に設計することが可能となり、型枠施工時の設計の自由度を大幅に向上させることが可能となる。
また、凸条11の上面31側には、複数の蓋状の蓋部14が設けられている。
この蓋部14は、型枠パネル1を立設したとき、型枠パネル1の外側方向に開蓋可能に構成されており、コンクリート打設時には、その開口した蓋部14から余剰水が排出される。また、その蓋部14を人為的に開口させて、その開口から支持固定部材6を引き出して、棒状部材7を型枠パネル1の外側表面に緊縛・固定することができる。
図5は、本発明の第1の実施の形態における型枠パネルの正面拡大図である。
図に示すように、凸条11の上面31側には、円の一部分を残して表裏に貫通したC字状の切込み21と、その切込み21を設けずに残した円の一部分である折返部22とが設けられて、前述の蓋部14を形成している。
コンクリート打設時には、その壁体W1,W2間に打設したコンクリートの自圧によりその折返部22に沿って蓋部14が型枠パネル1外側に開蓋する。このとき、凸条11の上面側31と開蓋した蓋部14との間には、余剰水を排出するのに十分な微小の幅の間隙15が形成される。また、このように、形成される間隙15の幅は微小幅に留まるため、この間隙15からコンクリートそのものや必要な水分が漏出することはなく、余剰水のみが排出される。なお、より短時間で余剰水を排出させるときには、さらに蓋部14を型枠パネル1の外側に開蓋させ、排出量を適宜調整することができる。
また、蓋部14を意図的に開蓋することにより、支持固定部材6を型枠パネル1の内側から外側に引き出すための開口を形成することができる。この開口から引き出した支持固定部材6を用いて、棒状部材7を型枠パネル1の外側面上で複数箇所緊縛することにより、棒状部材7を型枠パネル1に固定することが可能となる。
(第1の実施の形態におけるランナー2,キャップ3の構成)
図6の(a)は、本発明の第1の実施の形態におけるランナー2を示す斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態におけるキャップ3を示す斜視図である。
図に示すように、ランナー2及びキャップ3は、断面コの字状のレール形状をなす鋼製の部材である。
ランナー2及びキャップ3は、略同形状であり、型枠パネル1に嵌合するときのリブの向きのみが異なる(ランナー2のリブは略垂直上向き、キャップ3のリブは略垂直下向きに突出する)。
図6の(a)に示すように、ランナー2は、長板状部材26の長手方向の両側辺に垂直上向きのリブ27がそれぞれ連設されて構成される。そして、そのリブ27間には、型枠パネル1の下端を嵌合する溝部28が形成される。また、その長板状部材26及びリブ27にビス(タップビス)やコンクリート釘等をねじ込んだり打ち付けたりすることにより、ランナー2を型枠パネル1や下部固定部材4、土台Fに固定することができる。
また、図6の(b)に示すように、キャップ3は、ランナー2と対称的に、長板状部材36の長手方向の両側辺に垂直下向きのリブ37がそれぞれ連設されて構成される。そして、そのリブ37間には、型枠パネル1の上端を嵌合する溝部38が形成される。また、その長板状部材36及びリブ37にビス(タップビス)等をねじ込んだり打ち付けたりすることにより、キャップ3を型枠パネル1や上部固定部材5に固定することができる。
(第1の実施の形態における下部固定部材4及び上部固定部材5の構成)
図7の(a)は、本発明の第1の実施の形態における下部固定部材4を示す斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態における上部固定部材5を示す斜視図である。
図に示すように、下部固定部材4及び上部固定部材5は、長板状の部材の両先端にリブが連設されて構成される鋼製の部材であって、両壁体W1,W2間に橋設固定することにより、壁体W1,W2間の寸法を一定に保持したり、これら壁体W1,W2が外側に倒れるのを防止したりすることが可能となっている。
なお、下部固定部材4及び上部固定部材5のリブは、図では長板状の部材の両先端に略垂直方向に連設されているが、この連設部分は折り曲げ可能に構成されており、その連設角度を任意の角度に調整することができる。
図7の(a)に示すように、下部固定部材4は、長板状部材41と、その長板状部材41の両先端が略直角に折り曲げられて形成される上方向きのリブ42とを有して構成される。
この下部固定部材4は、型枠パネル1の下端を嵌合するランナー2の下面において、対向する一対の壁体W1,W2間に橋設される。このとき、下部固定部材4の両先端のリブ42の内側は、両壁体W1,W2のランナー2の外側にそれぞれ当接させてビス等を打設することで、下部固定部材4をランナー2及び型枠パネル1に固定する。
また、図7の(b)に示すように、上部固定部材5は、長板状部材51と、その長板状部材51の両先端が略直角に折り曲げられて形成される下方向きのリブ52とを有して構成される。
この上部固定部材5は、型枠パネル1の上端を嵌合するキャップ3の下面において、対向する一対の壁体W1,W2間に橋設される。このとき、上部固定部材5の両先端のリブ52の内側は、両壁体W1,W2のキャップ3の外側にそれぞれ当接させてビス等を打設することで、上部固定部材5をキャップ3及び型枠パネル1に固定する。
また、図7の(c)は、下部固定部材4又は上部固定部材5の両先端が折り曲げ可能に構成されていることを示す図である。
下部固定部材4及び上部固定部材5は、工場出荷時及び建設現場への運搬時等においては、図に示すように任意の箇所で折り曲げ自在な平板状の部材であってもよい。そして、壁体W1,W2間の間隔等の各寸法に応じて、その先端を折り曲げることにより、その折り曲げの結果形成されるリブをランナー2又はキャップ3等に当接させて固定することができる。
(第1の実施の形態における支持部材8の構成)
図8の(a)は、本発明の第1の実施の形態における支持部材8の斜視図である。
図に示すように、支持部材8は、長板状部材81と、その長板状部材81の長手方向の両側辺に垂直下向きの一対のリブ82がそれぞれ連設されて構成される。また、長板状部材81の両先端には垂直上向きのリブ83がそれぞれ連設されて構成される。このリブ83は、リブ82と反対方向に立設される。そして、そのリブ83にビス等を打設することにより、この支持部材8を型枠パネル1の内側に固定することができる。
この支持部材8は、互いに対向するように立設する壁体W1,W2間に介装され、固定されることにより、壁体W1,W2間の寸法を一定に保持したり、これら壁体W1,W2が内側に倒れるのを防止したりすることが可能となっている。
また、図8の(b)は、支持部材8の製造方法を示す図である。
支持部材8は、前述のランナー2又はキャップ3のような断面コの字状の部材のリブの両先端の一部を切除し、残った長板状部材の突出部分を折り曲げてリブ83を形成することにより製造される。
(第1の実施の形態における建築ユニットの施工方法)
次に、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法について説明する。
図9は、本発明の第1の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法を示す断面側面図である。以下、本図を用いて、説明を進める。
図に示すように、まず、コンクリート躯体等の土台F上に複数の下部固定部材4を所定間隔幅(例えば、600mm間隔)をもたせて略平行に載置し、コンクリート釘61を下部固定部材4上から土台Fに打ち込んで、下部固定部材4を土台Fに固定する。
次に、一対のランナー2を、その土台Fに固定した下部固定部材4と直交するように重ね合わせて載置する。これら一対のランナー2は、支持部材8の略長さ分の間隔をもたせて互いに略平行に載置される。
そして、コンクリート釘62をランナー2上から下部固定部材4を貫通するように土台Fに打ち込んで、ランナー2を下部固定部材4及び土台Fに固定する。
次に、載置したランナー2の溝部28に型枠パネル1の下端を嵌合させて、型枠パネル1を立設する。このとき、互いに隣接する型枠パネル1の長手方向の両側端が所定幅重なるようにする。
次に、立設した型枠パネル1の上端にキャップ3を嵌合させる。
次に、そのキャップ3と略直交するように、複数の上部固定部材5をそのキャップ3上に所定間隔幅をもって略平行に載置する。
そして、ビス64を上部固定部材5上からキャップ3を貫通するように打ち込んで、上部固定部材5をキャップ3に固定する。
次に、型枠パネル1の蓋部14を開蓋させ、その開蓋した開口に支持固定部材6を挿通し、壁体W1,W2間に遊架する。より詳細には、まず、両壁体W1,W2の型枠パネル1の互いに近接する複数の蓋部14を開蓋させる。そして、壁体W1の蓋部14の開口外側から支持固定部材6を挿通し、壁体W1,W2間を通して壁体W2の蓋部14の開口から外側に一旦出し、折り返して再度その壁体W2の別の蓋部14の開口から挿入して、再度壁体W1,W2間を通して、壁体W1の別の蓋部14の開口から外側に出す。
なお、この支持固定部材6は、例えば、(壁体の)高さ方向500mm、横方向300mm間隔程度で遊架する。
次に、互いに隣接する型枠パネル1を、前述の隣接する型枠パネル1との重なり部分をビス等で留め、型枠パネル1同士を固定する。
次に、支持部材8を壁体W1,W2間に嵌挿し、支持部材8のリブ83にビス66を打ち込み、支持部材8を両壁体W1,W2の型枠パネル1に固定する。
次に、下部固定部材4の両先端を略直角に折り曲げてリブ42を形成し、このリブ42をランナー2のリブ27に当接させる。
そして、ビス63を下部固定部材4の外側からランナー2の両リブ27及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、型枠パネル1及びランナー2を下部固定部材4に固定する。
また、上部固定部材5の両先端を略直角に折り曲げてリブ52を形成し、このリブ52をキャップ3のリブ37に当接させる。
そして、ビス65を上部固定部材5の外側からキャップ3の両リブ37及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、キャップ3及び上部固定部材5を型枠パネル1に固定する。
次に、前述の支持固定部材6を壁体W1,W2間に張架するとともに、その支持固定部材6で両壁体W1,W2の型枠パネル1の外側に棒状部材7をそれぞれ緊縛して、ランナー2と略平行に固定する。
以上の工程を繰り返し、コンクリート構造体の建築ユニットを構築していく。
(第1の実施の形態における端部分の建築ユニットの全体構成)
次に、本発明の第1の実施の形態における端部分の建築ユニットの構成について説明する。ここで、端部分とは、構築する壁状のコンクリート構造体の端部分をいう。この端部分においては、打設したコンクリートが漏出しないように開口する壁体W1,W2間をさらに壁体で封止する必要がある。
以下、特記しない限り、当該端部分の構成、作用及び効果等は、前述の実施の形態と同様であるものとする。また、当該端部分において、前述の実施の形態と同一の符号を付しているものは、特記しない限り、同一の部材等を示すものとする。
図10は、本発明の第1の実施の形態における端部分のコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。
図に示すように、当該端部分におけるコンクリート構造体の建築ユニットによれば、互いに略平行に立設する一対の壁体W1,W2に対し壁体W3,W4を連設して、壁体W1,W2間の開口を封止するという点が前述の実施の形態と相違している。
図に示すように、その壁体W3,W4は、L字型に折り曲げ加工された前述の型枠パネル1と、その折り曲げられた型枠パネル1の上端を嵌合するL字型キャップ73とを有して構成される。
(端部分に用いられる絵型枠パネルの構成)
前述のように、型枠パネル1は、破線状の切込み13列に沿って所定の角度に折り曲げて、コーナー部分等の壁体の一部を構成することができる。
図11は、その切込み13列に沿って、L字型(略直角)に折り曲げ加工された型枠パネル1を示す斜視図である。
図に示すように、当該端部分においては、略直角に折り曲げた型枠パネル1を、壁体W1,W3が連設するコーナー部分、壁体W2,W3が連設するコーナー部分、壁体W1,W4が連設するコーナー部分及び壁体W2,W4連設するコーナー部分に使用する。
(端部分に用いられるL字型キャップの構成)
図12の(a)は、そのL字型に折り曲げ加工された型枠パネル1の上端を嵌合するL字型キャップ73の下面側を示す斜視図であり、(b)は、上面側を示す斜視図である。
図に示すように、L字型キャップ73は、断面コの字状のレール形状をなす鋼製の部材であって、上面視L字状に構成されている。
図12の(a),(b)に示すように、L字型キャップ73は、L字型板状部材74の長手方向の両側辺に垂直下向きのリブ75がそれぞれ連設されて構成される。そして、そのリブ75間には、型枠パネル1の上端を嵌合する溝部76が形成される。また、そのL字型板状部材74及びリブ75には、それぞれ複数の挿通孔77a,77bが形成されており、これら挿通孔77a,77bにビス等を挿通させることにより、このL字型キャップ73を型枠パネル1や上部固定部材5に固定することができる。
(第1の実施の形態における端部分の建築ユニットの施工方法)
図13は、当該端部分において、互いに連設する壁体W1,W3により構成されるコーナー部分の施工方法を示す図である。
以下、本図を用いて、当該コーナー部分の施工方法について詳細に説明する。なお、その他の部分の施工方法については、前述の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
まず、前述の実施の形態と同様に、下部固定部材4にコンクリート釘61を打ち込んで土台F上に固定する。
次に、ランナー2(図示せず)を下部固定部材4上に重ね合わせて固定する。
次に、L字型に折り曲げた型枠パネル1を下部固定部材4上に載置する。このとき、そのL字型に折り曲げた型枠パネル1の長手方向の両側端が、互いに隣接する上面視直線状の型枠パネル1の長手方向の側端と所定幅重ねて固定し連結する。このとき、上面視直線状及びL字型の型枠パネル1が全体として連続した1つの型枠パネル1を形成するように連結させる。
次に、立設した型枠パネル1の角部分の上端にL字型キャップ73を嵌合させる。また、その立設した型枠パネル1の上端においてL字型キャップ73が嵌合されていない部分にはキャップ3を嵌合させる。このとき、嵌合したキャップ3及びL字型キャップ73が、全体として上面視連続するようにする。
次に、そのL字型キャップ73と略直交するように、複数の上部固定部材5をそのキャップ3及びL字型キャップ73上に所定間隔幅をもって略平行に載置する。
そして、ビスを上部固定部材5上からL字型キャップ73を貫通するように打ち込んで上部固定部材5を、L字型キャップ73に固定する。
以上の作業を繰り返して、互いに対向する壁体W3,W4を構成する。
次に、壁体W3,W4を構成する型枠パネル1の蓋部14を開蓋させ、その開蓋した開口に支持固定部材6を挿通し、壁体W3,W4間に遊架する。
この支持固定部材6の遊架作業については、前述の壁体W1,W2間の場合と同様であるので、その詳細は省略する。
次に、互いに隣接する型枠パネル1を、前述の隣接する型枠パネル1との重なり部分をビス等で留め、型枠パネル1同士を固定する。
次に、下部固定部材4の両先端を略直角に折り曲げてリブ42を形成し、このリブ42をランナー2のリブ27に当接させる。
そして、ビスを下部固定部材4の外側からランナー2のリブ27及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、型枠パネル1及びランナー2を下部固定部材4に固定する。
また、上部固定部材5の両先端を略直角に折り曲げてリブ52を形成し、このリブ52をL字型キャップ73のリブ75及びキャップ3のリブ37に当接させる。
そして、ビスを上部固定部材5の外側からL字型キャップ73のリブ75及び型枠パネル1、並びにキャップ3のリブ37及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、L字型キャップ73、キャップ3及び上部固定部材5を型枠パネル1に固定する。
次に、前述の支持固定部材6を壁体W3,W4間で張架するとともに、その支持固定部材6で両壁体W3,W4の型枠パネル1の外側に棒状部材7をそれぞれ緊縛して、ランナー2と略平行に固定する。
以上で、端部分のコンクリート構造体の建築ユニットが完成する。
なお、前述のL字型に折り曲げた型枠パネル1の上端の横幅が、L字型キャップ73の溝部76の長さよりも長い場合には、そのL字型に折り曲げた型枠パネル1の上端を、当該L字型キャップ73の溝部76に加えて、そのL字型キャップ73に隣接する他のL字型キャップ73やキャップ3の溝部38,76に対し嵌合する。
これと反対に、前述のL字型に折り曲げた型枠パネル1の下端の横幅が、L字型キャップ73の溝部76の長さよりも短い場合には、そのL字型に折り曲げた型枠パネル1の上端に加えて、その隣接する他の型枠パネル1の上端を、当該L字型キャップ73の溝部76に対し嵌合する。
以上で、コンクリート構造体の建築ユニットが完成する。
その後、立設した壁体W1,W2間にコンクリートを打設してコンクリート基礎や壁等のコンクリート構造体を形成する。建築ユニット自体はそのまま解体せずに、建築物の構造体の一部として利用される。
コンクリートが打設されると、そのコンクリートの自圧により蓋部14が外側に押圧されて開蓋し、その開蓋した蓋部14の間隙からコンクリートの余剰水が排出される。
(第1の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、従来のコンクリート型枠の施工方法のようにセパレータ、フォームタイ及びピーコンといった建材を用いることなく、支持固定部材6や鉄筋等の棒状部材7といった極めて簡素な部材により優れた強度をもったコンクリート構造体の建築ユニットを容易に施工することが可能となる。
また、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、解体することなく、そのまま埋め殺しされるので、その解体工程を省くことができ、工期を効率よく短縮することが可能となる。
また、前述のように、コンクリートが打設されると、そのコンクリートの自圧により蓋部14が外側に押圧されて開蓋し、その開蓋した蓋部14の間隙からコンクリートの余剰水が排出される。このとき、コンクリートの自圧により必要最小限の蓋部14の間隙が形成されるので、その間隙からは、コンクリート自体や必要な水分が漏出させず、コンクリートの余剰水のみを効率的に排出させることが可能となる。従って、極めて高品質で耐久性に富んだコンクリート構造体を形成することができる。
また、コンクリート構造体の表面は、型枠パネル1により覆われ、外気との接触から保護されるので、コンクリートの中性化を抑制することができ、極めて高品質で耐久性に富んだコンクリート構造体を形成することができる。
また、型枠の端部分におけるコンクリート構造体の建築ユニットについても構成できるため、その汎用性が高く、様々な形状のコンクリート構造体を容易に構築することが可能となる。
なお、本実施の形態では、蓋部14の形状を略円形としたが、蓋部14の形状はこれに限定されることなく、例えば、楕円状、多角形状、又はその他の閉図形状等、様々な形状とすることができる。このときも、本実施の形態と同様に、切込みと折返部を備えるものとする。
また、本実施の形態では、棒状部材7として直径10mm程度の鉄筋を使用する例を説明したが、より強度の高い建材、例えば、直径50mm、肉厚2〜3mm程度の単管パイプを使用することもできる。
<第2の実施の形態>
(第2の実施の形態における建築ユニットの全体構成)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明するが、以下、特記しない限り、本実施の形態の構成、作用及び効果等は、前述の第1の実施の形態と同様であるものとする。
図14は、本発明の第2の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。また、図15は、そのコンクリート構造体の建築ユニットの側面断面図である。
以下、これら図を用いて、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の構成について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同一の符号を付しているものは、特記しない限り、同一の部材等を示すものとする。
図に示すように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、互いに略平行に対向する一対の壁体W11,W12を土台F上に立設して形成される。これら一対の壁体W11,W12は、それぞれ、単位建築ユニット100という壁体の構成単位を高さ方向に複数段積重して構成される。
この単位建築ユニット100は、表面に大小のリブが形成された多孔状の鋼製の型枠パネル101と、これら複数並設される型枠パネル101の下端を嵌合する嵌合溝を備えたランナー2と、上端を嵌合するキャップ3と、ランナー2の下面にそのランナー2と略直交するように掛架・固定される両端にリブが設けられた長板状の下部固定部材4とを有して構成される。
その型枠パネル101は、高さ方向の幅が第1の実施の形態における型枠パネル1と比べて短いという点で相違している。すなわち、型枠パネル1は、その高さ方向の幅が、壁体の高さと略同一に構成されるのに対し、型枠パネル101は、その高さ方向の幅が、壁体の高さの数分の1の長さに構成される。
また、その複数段積重された最上段の単位建築ユニット100のキャップ3の上面には、そのキャップ3と略直交するように、両端にリブが設けられた長板状の上部固定部材5が掛架・固定される。
(第2の実施の形態における建築ユニットの施工方法)
次に、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法について説明する。
図16〜18は、本発明の第2の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法を示す断面側面図である。以下、本図を用いて、説明を進める。
図16に示すように、まず、コンクリート躯体等の土台F上に複数の下部固定部材4を所定間隔幅(例えば、600mm間隔)をもたせて略平行に載置し、コンクリート釘111を下部固定部材4上から土台Fに打ち込んで、下部固定部材4を土台Fに固定する。
次に、一対のランナー2を、その土台Fに固定した下部固定部材4と直交するように重ね合わせて載置する。これら一対のランナー2は、支持部材8の略長さ分の間隔をもたせて互いに略平行に載置される。
そして、コンクリート釘112をランナー2上から下部固定部材4を貫通するように土台Fに打ち込んで、ランナー2を下部固定部材4及び土台Fに固定する。
次に、載置したランナー2の溝部28に型枠パネル101の下端を嵌合させて、型枠パネル101を立設する。このとき、互いに隣接する型枠パネル101の長手方向の両側端が所定幅重なるようにする。
次に、立設した型枠パネル101の上端にキャップ3を嵌合させる。
次に、そのキャップ3と略直交するように、複数の上部固定部材5をその上部固定部材5の上に所定間隔幅をもって略平行に載置する。
そして、ビス114をキャップ3上から上部固定部材5を貫通するように打ち込んで、キャップ3を上部固定部材5に固定する。
次に、互いに隣接する型枠パネル101を、前述の隣接する型枠パネル101との重なり部分をビス等で留め、型枠パネル101同士を固定する。
以上で、最下段の単位建築ユニット100が完成する。
次に、図17に示すように、その完成した最下段の単位建築ユニット100のキャップ3の上面上に複数の下部固定部材4を所定間隔幅(例えば、600mm間隔)をもたせて略平行に載置する。
次に、一対のランナー2を、そのキャップ3上に載置した下部固定部材4と直交するように重ね合わせて載置する。
そして、ビス115をランナー2上から下部固定部材4及び最下段の型枠パネル101のキャップ3を貫通するように打ち込んで、ランナー2及び下部固定部材4を最下段の単位建築ユニット100に固定する。
その後、最下段の単位建築ユニット100と同様に、型枠パネル101及びキャップ3を取り付ける。
以上で、最下段から2段目の単位建築ユニット100が完成する。
このように、単位建築ユニット100の組み立てを最上段まで複数段繰り返す。
図18は、その最上段の単位建築ユニット100の組み立てを示す図である。
図に示すように、最上段の単位建築ユニット100において、型枠パネル101の上端にキャップ3を嵌合した後に、そのキャップ3上に上部固定部材5を取り付ける。すなわち、上部固定部材5の両先端を略直角に折り曲げてリブ52を形成し、このリブ52をキャップ3のリブ37に当接させる。
そして、ビス116を上部固定部材5の外側からキャップ3の両リブ37及び型枠パネル101を貫通するように打ち込んで、キャップ3及び上部固定部材5を型枠パネル101に固定する。
また、ビス117を上部固定部材5上から最上段の型枠パネル101のキャップ3を貫通するように打ち込んで、上部固定部材5を最上段の単位建築ユニット100に固定する。
次に、複数段の単位建築ユニット100の下部固定部材4の両先端を略直角に折り曲げてリブ42を形成し、このリブ42をランナー2のリブ27に当接させる。
そして、ビス113を下部固定部材4の外側からランナー2の両リブ27及び型枠パネル101を貫通するように打ち込んで、型枠パネル101及びランナー2を下部固定部材4に固定する。
以上で、コンクリート構造体の建築ユニットが完成する。
その後、立設した壁体W11,W12間にコンクリートを打設してコンクリート基礎や壁等のコンクリート構造体を形成する。建築ユニット自体はそのまま解体せずに、建築物の構造体の一部として利用される。
(第2の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、構築目的の壁体W11,W12の高さの数分の1の高さ幅の単位建築ユニット100を複数段積重して構成されるので、構築目的の壁体W11,W12の高さに合わせて型枠パネルを切断するといった作業を不要とし、必要な段数の単位建築ユニット100を積重することで、様々な構造のコンクリート構造体の構築に柔軟に対応することが可能となる。
また、構築目的のコンクリート構造体の高さが所定以上である場合には、その壁体の高さと略同一の寸法の長尺の型枠パネルを用意することは困難であり、長尺の型枠パネルは撓みが大きくなることから強度の面でも問題が生じるおそれがある。このような場合であっても、本実施の形態によれば、長尺の型枠パネルを用いることなく、優れた強度の壁体W11,W12を構築することができる。
また、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、壁体のコーナー部分を複数段の型枠パネル100によって構築することができることはいうまでもない。
例えば、互いに略平行な一対の型枠パネルを2組用いて、四方を型枠パネルで囲んだ壁体を構築する場合には、その互いに略平行な一対の型枠パネル間に下部固定部材4及び上部固定部材5を橋設固定する。すなわち、その四方を型枠パネルで囲んだ壁体の内側では、下部固定部材4及び上部固定部材5が略直交して重ねあった状態となる。
<第3の実施の形態>
(第3の実施の形態における建築ユニットの全体構成)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明するが、以下、特記しない限り、本実施の形態の構成、作用及び効果等は、前述の第3の実施の形態と同様であるものとする。
図19は、本発明の第3の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。また、図20は、そのコンクリート構造体の建築ユニットの側面断面図であって、(a)は図19のX−X断面図であり、(b)は図19のY−Y断面図である。
以下、これら図を用いて、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の構成について説明する。なお、本実施の形態において、第3の実施の形態と同一の符号を付しているものは、特記しない限り、同一の部材等を示すものとする。
図に示すように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、互いに略平行に対向する一対の壁体W31,W32を土台F上に立設して形成される。これら一対の壁体W31,W32の間にコンクリートを打設することによりコンクリート型枠としての機能を発揮するように構成されている。以下、壁体W31,W32の両対向面側(コンクリート打設側)を単に内側といい、その反対側を外側という。
また、図に示すように、本実施の形態における構成は、以下の点で本発明の第1の実施の形態と相違する。
すなわち、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、第1の実施の形態における建築ユニットの構成に加え、木製の桟木140と、この桟木140を支持する桟木支持部材130とを有する。この桟木支持部材130は、キャップ3の複数箇所に所定間隔をもって掛着される例えば金属製の部材である。この掛着された桟木支持部材130の嵌合溝に桟木140を嵌合させることで、桟木140を型枠パネル1の外面上に押え付けて固定することが可能となっている。
また、第1の実施の形態における上部固定部材5に代えて、異なる形状の上部支持部材150を有して構成されている。この上部支持部材150をキャップ3の上面数箇所に橋設固定することにより、壁体W31,W32間の寸法を一定に保持したり、これら壁体W31,W32が外側に倒れたりするのを防止することが可能となっている。
以下、これら本実施の形態特有の構成要素である桟木支持部材130及び上部支持部材150の構成について詳細に説明する。
(第3の実施の形態における桟木支持部材130の構成)
図21は、本発明の第3の実施の形態における桟木支持部材130を示す斜視図である。
図に示すように、桟木支持部材130は、平板状の底部131と、その底部131の側端の一方に略垂直上方に連設されるリブ132と、そのリブ132の側端に略垂直に連設される平板状の掛着部133と、その掛着部133の側端に略垂直下方に連設されるリブ134と、前述の底部131の側端の他方に略垂直上方に連設されるリブ135と、そのリブ135に外方に連設される外方片136とを有して構成される。
その底部131及びその底部131の両側端に対し垂直上方に連設されるリブ132,135により、略矩形の嵌合溝137が形成される。この嵌合溝137には、桟木140が嵌合され、支持される。
また、前述の掛着部133及びその掛着部133の両側端に対し垂直下方に連設されるリブ132,134により、略矩形の嵌合溝138が形成される。この嵌合溝138は、キャップ3に嵌合し、掛着される。
また、その掛着部133には、挿通孔139が設けられており、ビス等を挿通して桟木支持部材130をキャップ3に掛着固定可能となっている。
(第3の実施の形態における上部支持部材150の構成)
図22は、本発明の第3の実施の形態における上部支持部材150を示す斜視図である。
図に示すように、上部支持部材150は、長板状部材151と、その長板状部材151の長手方向の両側辺に垂直上向きの一対のリブ152がそれぞれ連設されて構成される。また、この一対のリブ152間には溝154が形成されている。さらに、長板状部材151の両先端153は、そのリブ152よりも外方へ突出して形成されている。
この上部支持部材150は、前述の支持部材8と同様の方法により製造される。ただし、この上部支持部材150は、前述の支持部材8と異なり、その両先端153を折り曲げ加工をしない。
(第3の実施の形態における建築ユニットの施工方法)
次に、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法について説明する。
なお、以下、桟木支持部材130及び上部支持部材150の取付方法について説明するが、その他の施工方法は、第1の実施の形態と同様であるとして、その説明を省略する。
図23は、本発明の第3の実施の形態における桟木支持部材150の取付方法を示す断面側面図である。以下、本図を用いて、説明を進める。
図に示すように、まず、立設した型枠パネル1の上端にキャップ3を嵌合させる。
次に、ビス161をキャップ3の外側からキャップ3の両リブ37及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、キャップ3を型枠パネル1に固定する。
次に、上部支持部材150の両先端153の下面を両壁体W31,W32のキャップ3の上面に当接させる。
そして、ビス162を上部支持部材150上からキャップ3を貫通するように打ち込んで、上部支持部材150をキャップ3に固定する。
以上で、桟木支持部材150の取り付けが終了する。
次に、桟木支持部材130の取付方法について説明する。
図24は、本発明の第3の実施の形態における桟木支持部材130の取付方法を示す断面側面図である。
図に示すように、型枠パネル1に嵌合固定したキャップ3を桟木支持部材130の嵌合溝138に嵌合させる。
そして、ビス163を桟木支持部材130上からキャップ3を貫通するように打ち込んで、桟木支持部材130をキャップ3に掛着固定する。
以上で、桟木支持部材130の取り付けが終了する。
この取り付けた桟木支持部材130の嵌合溝137には、図に示すように、桟木140が嵌挿される。
コンクリート構造体の建築ユニットが完成すると、立設した壁体W31,W32間にコンクリートを打設してコンクリート基礎や壁等のコンクリート構造体を形成する。コンクリート硬化後は、桟木支持部材130及び桟木150を取り外して再利用し、建築ユニットのその他の部分はそのまま解体せずに、建築物の構造体の一部として利用される。
コンクリートが打設されると、そのコンクリートの自圧により蓋部14が外側に押圧されて開蓋し、その開蓋した蓋部14の間隙からコンクリートの余剰水が排出される。
(第3の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、従来のコンクリート型枠の施工方法のようにセパレータ、フォームタイ及びピーコンといった建材を用いることなく、支持固定部材6、鉄筋等の棒状部材7、桟木140といった極めて簡素な部材により優れた強度をもったコンクリート構造体の建築ユニットを容易に施工することが可能となる。
特に、本実施の形態では、桟木支持部材130をキャップ3に掛着し、その桟木支持部材130に優れた強度を有する桟木140を嵌合させ、型枠パネル1に密着させるので、型枠パネル1を撓ませることなく、安定した形状のコンクリート構造体を製造することができる。また、桟木140は、入手しやすく極めて安価であるので、コスト面においても効果的である。
また、本実施の形態では、壁体W31,W32間に上部支持部材150を嵌挿し、固定しているので、壁体W31,W32間を一定の寸法に保持でき、安定した形状のコンクリート構造体を製造することができる。
なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、壁体のコーナー部分を構築できることはいうまでもない。
また、本実施の形態における建築ユニットは、上部固定部材5に代えて、上部支持部材150を有するものであるが、上部固定部材5とともに上部支持部材150を設けて構成するようにしてもよい。
すなわち、第1の実施の形態における建築ユニットに、本実施の形態特有の構成である桟木支持部材130、桟木140及び上部支持部材150を追加する構成であってもよい。
また、本実施の形態によれば、互いに対向する壁体W31,W32の両方に桟木支持部材130及び桟木140を装着するものであるが、この壁体W31,W32の一方に装着するようにしてもよい。
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態について説明するが、以下、特記しない限り、本実施の形態の構成、作用及び効果等は、前述の第3の実施の形態と同様であるものとする。
図25は、本発明の第4の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。図に示すように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、互いに略平行に対向する一対の壁体W41,W42を土台F上に立設して形成される。
第3の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、番線等の支持固定部材6により棒状部材7を型枠パネル1表面側に緊縛・固定するものである。これに対し、本実施の形態では、図に示すように、一部が棒状部材7の形状に合わせて湾曲している板状部材である保持固定部材160により棒状部材7を固定する。
この保持固定部材160は、いわゆるセパレータ等の棒状部材である間隔保持部材170により前述の一対の壁体W41,W42の表面側に取り付けられる。すなわち、その間隔保持部材170は、両壁体W41,W42の型枠パネル1の蓋部14から両端が突出するように、両壁体W41,W42を挿通させ、その両壁体W41,W42の外側に突出する間隔保持部材170の両端に保持固定部材160が螺挿されて取り付けられる。
図26の(a)は、本発明の第4の実施の形態における棒状部材7の固定箇所を拡大した側面断面図であり、(b)は、その正面図である。
図に示すように、保持固定部材160は、長板状部材の一端が棒状部材7の形状に合わせて側面視円弧状に湾曲し、他端が平板状に形成され、その平板状の他端には間隔保持部材170を螺挿する挿通孔165が備えられている。
また、間隔保持部材170の両端は、ねじ切られており、このねじ部分を前述の保持固定部材160の挿通孔165に螺挿することにより、両壁体W41,W42の外側表面に保持固定部材160を取り付ける。また、図に示すように、その間隔保持部材170の壁体W41,W42内側からは、座金171が螺合され、この座金171と前述の保持固定部材160とによって緊合することにより、間隔保持部材170が型枠パネル1に固定される。
そして、前述の保持固定部材160の湾曲部分内側と型枠パネル1表面外側とで棒状部材7を挟持して、棒状部材7を型枠パネル1表面に固定する。
その他の構成及び施工方法については、第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、番線等の支持固定部材6に代えて、一部が湾曲した板状部材である保持固定部材160及び棒状部材である間隔保持部材170を用いて、壁体W41,W42間の間隔を所定間隔に保持させつつ、横端太等の棒状部材7を型枠パネル1面上に固定するという施工を簡易な部材で容易に行うことが可能となる。
なお、本実施の形態において、保持固定部材160は、前述のように一端が湾曲し、他端に挿通孔165が設けられた長板状の部材であるが、一部が棒状部材7の形状に合わせて湾曲し、非湾曲部分に挿通孔165が設けられていれば、他の形状であってもよい。
また、本実施の形態によれば、互いに対向する壁体W41,W42の両方に桟木支持部材130及び桟木140を装着するものであるが、この壁体W41,W42の一方に装着するようにしてもよい。
<実施形態のまとめ>
以上説明したように、前述の第1〜第4の実施の形態によれば、番線、鉄筋、桟木といった極めて簡素な部材により優れた強度をもったコンクリート構造体の建築ユニットを容易に施工することが可能となる。
また、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、解体することなく、そのまま埋め殺しされるので、その解体工程を省くことができ、工期を効率よく短縮することが可能となる。
また、前述のように、コンクリートが打設されると、そのコンクリートの自圧により蓋部14が外側に押圧されて開蓋し、その開蓋した蓋部14の間隙からコンクリートの余剰水が排出される。このとき、コンクリートの自圧により必要最小限の蓋部14の間隙が形成されるので、その間隙からは、コンクリート自体や必要な水分が漏出せず、コンクリートの余剰水のみを効率的に排出することが可能となる。従って、極めて高品質で耐久性に富んだコンクリート構造体を形成することができる。
また、コンクリート構造体の表面は、型枠パネル1により覆われ、外気との接触から保護されるので、コンクリートの中性化を抑制することができ、極めて高品質で耐久性に富んだコンクリート構造体を形成することができる。
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
例えば、前述の第1〜第4の実施の形態において、型枠パネル1、ランナー2、キャップ3、下部固定部材4、上部固定部材5、支持固定部材6、棒状部材7、支持部材8、サポート材9、L字型キャップ73、桟木支持部材130、上部支持部材150、保持固定部材160、間隔保持部材170等の各部材は、防錆加工が施された鋼製の部材であってもよい。また、一定以上の強度を有する樹脂製の部材であってもよい。
本発明の第1の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの側面断面図である。 本発明の第1の実施の形態における型枠パネルを示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態における型枠パネルのA−A断面を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における型枠パネルの正面拡大図である。 (a)は、本発明の第1の実施の形態におけるランナーを示す斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態におけるキャップを示す斜視図である。 (a)は、本発明の第1の実施の形態における下部固定部材を示す斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態における上部固定部材を示す斜視図であり、(c)は、下部固定部材又は上部固定部材の両先端が折り曲げ可能に構成されていることを示す図である。 本発明の第1の実施の形態における支持部材の斜視図であり、(b)は、支持部材の製造方法を示す図である。 本発明の第1の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法を示す断面側面図である。 本発明の第1の実施の形態における端部分のコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態において端部分で用いられるL字型に折り曲げ加工された型枠パネルを示す斜視図である。 (a)は、L字型キャップ73の下面側を示す斜視図であり、(b)は、上面側を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態における壁体のコーナー部分の施工方法を示す図である。 本発明の第2の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの側面断面図である。 本発明の第2の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法を示す断面側面図である。 本発明の第2の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法を示す断面側面図である。 本発明の第2の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法を示す断面側面図である。 本発明の第3の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの側面断面図であって、(a)は図19のX−X断面図であり、(b)は図19のY−Y断面図である。 本発明の第3の実施の形態における桟木支持部材を示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態における上部支持部材を示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態における桟木支持部材の取付方法を示す断面側面図である。 本発明の第3の実施の形態における桟木支持部材の取付方法を示す断面側面図である。 本発明の第4の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。 (a)は、本発明の第4の実施の形態における棒状部材の固定箇所を拡大した側面断面図であり、(b)は、その正面図である。
符号の説明
1,101 型枠パネル
2 ランナー
3 キャップ
4 下部固定部材
5 上部固定部材
6 支持固定部材
7 棒状部材
8 支持部材
9 サポート材
11 凸条
12,27,37,42,52,75,82,83,132,134,135,152 リブ
13,21 切込み
14 蓋部
15 間隙
16,28,38,76 溝部
22 折返部
26,36,41,51,81,151 長板状部材
77a,77b,139,165 挿通孔
31 上面
32 側面
61,62,111,112 コンクリート釘
63〜66,113〜117,161〜163 ビス
73 L字型キャップ
74 L字型板状部材
100 単位構築ユニット
130 桟木支持部材
131 底部
133 掛着部
136 外方片
137,138 嵌合溝
140 桟木
150 上部支持部材
153 長板状部材の先端
154 溝
160 保持固定部材
170 間隔保持部材
171 座金
F 土台
W1〜W4,W11,W12,W31,W32,W41,W42 壁体

Claims (16)

  1. 互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットであって、
    表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられており、互いに対向して立設する型枠パネルと、
    前記互いに対向した型枠パネルの下端側間に橋設される下部橋設部材と、
    前記互いに対向した型枠パネルの上端側間に橋設される上部橋設部材と、
    前記互いに対向した型枠パネル間に介装され前記型枠パネルを支持する支持部材とを有することを特徴とするコンクリート構造体の建築ユニット。
  2. 上方及び下方に開口した嵌合溝を備え、該上方に開口した嵌合溝において桟木を嵌合支持する桟木支持部材をさらに有し、
    前記桟木支持部材は、下方に開口する嵌合溝で前記一対の壁体間の上部橋設部材を嵌合し、掛着されることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造体の建築ユニット。
  3. 前記互いに対向した型枠パネル間に挿通される支持固定部材と、
    前記支持固定部材により前記型枠パネルの外側に緊合及び固定される棒状部材とを有することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート構造体の建築ユニット。
  4. 互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットであって、
    複数積重されて前記一対の壁体本体を構成する板状の単位建築ユニットと、
    最上段に積重される前記単位建築ユニットの上面に橋設される上部橋設部材とを有して構成され、
    前記単位建築ユニットは、
    表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルと、
    前記互いに対向した型枠パネルの下端側間に橋設される下部橋設部材とを有することを特徴とするコンクリート構造体の建築ユニット。
  5. 前記下部橋設部材は、
    前記型枠パネルの下端に嵌合される断面コの字状のランナーと、
    前記互いに対向した型枠パネルに嵌合されたランナー間に橋設される、両先端が折り返されて略垂直上方にリブが形成された下部固定部材とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニット。
  6. 前記ランナーは、
    上面視直線状又はL字形状に構成されることを特徴とする請求項5記載のコンクリート構造体の建築ユニット。
  7. 前記上部橋設部材は、
    前記型枠パネルの上端に嵌合される断面コの字状のキャップと、
    前記互いに対向した型枠パネルに嵌合されたキャップ間に橋設される、両先端が折り返されて略垂直下方にリブが形成された上部固定部材とを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニット。
  8. 前記キャップは、
    上面視直線状又はL字形状に構成されることを特徴とする請求項7記載のコンクリート構造体の建築ユニット。
  9. 前記支持部材は、
    長板状部材と、
    前記長板状部材の長手方向の両側端に略直角に折り返されて立設する第1のリブと、
    前記長板状部材の両先端に略直角に折り返されて立設する第2のリブとを有し、
    前記第2のリブは、前記第1のリブと反対方向に折り返されて立設することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニット。
  10. 互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法であって、
    長板形状の部材が格子状に配置されてなる下部橋設部材を土台上に載置固定する工程と、
    前記載置固定された下部橋設部材上に、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルを互いに対向させて立設させる工程と、
    前記互いに対向した型枠パネルの上端側に、長板形状の部材が格子状に配置されてなる上部橋設部材を載置固定する工程とを有することを特徴とするコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。
  11. 前記上部橋設部材を載置固定する工程の後に、
    長板状部材の両側端に略垂直にリブが連設され両先端が突出した上部支持部材を、該リブを前記互いに対向した型枠パネル間に嵌挿し、前記突出した先端を前記上部橋設部材上に載置した状態で固定する工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。
  12. 前記上部橋設部材を載置固定する工程の後に、
    上方及び下方に開口した嵌合溝を備えた桟木支持部材を、該下方に開口した嵌合溝により前記上部橋設部材を嵌合させて複数掛着する工程と、
    前記複数の桟木支持部材の上方に開口した嵌合溝に桟木を嵌合させる工程とをさらに有することを特徴とする請求項10又は11記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。
  13. 前記上部橋設部材を載置固定する工程の後に、
    前記互いに対向した型枠パネル間に支持部材を介装する工程と、
    前記互いに対向した型枠パネル間に支持固定部材を挿通し、該支持固定部材により前記型枠パネルの外側に棒状部材を緊合及び固定する工程とをさらに有することを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。
  14. 互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法であって、
    長板形状の部材が格子状に配置されてなる下部橋設部材を土台上に載置固定する工程と、
    前記載置固定された下部橋設部材上に、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルを互いに対向させて立設させる工程とにより、前記壁体の構成単位である単位建築ユニットを構築し、
    1段下段の前記単位建築ユニットの上端側に、前記下部橋設部材を載置固定して前記単位建築ユニットを複数段積重し、
    最上段の前記単位建築ユニットの上端側には、長板形状の部材が格子状に配置されてなる上部橋設部材を載置固定することを特徴とするコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。
  15. 前記下部橋設部材を載置固定する工程は、
    両先端が折り返されて略垂直上方にリブが形成された下部固定部材を、複数所定間隔をもって略平行に土台上に載置固定する工程と、
    前記載置固定された下部固定部材上に、上方に開口された溝部を備えた断面コの字状の一対のランナーを前記下部固定部材に略直交して載置固定する工程とからなり、
    前記型枠パネルを立設させる工程は、
    前記型枠パネルの下端を前記載置固定したランナーの溝部に嵌合することを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。
  16. 前記上部橋設部材を載置固定する工程は、
    前記型枠パネルの上端に、下方に開口した溝部を備えた断面コの字状のキャップを嵌合する工程と、
    前記嵌合したキャップの上面において、両先端が折り返されて略垂直下方にリブが形成された上部固定部材を前記一対の壁体間に橋設する工程とからなることを特徴とする請求項10から15のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。
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