JP2010126934A - コンクリート構造体の建築ユニット及びその建築施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート構造体の建築ユニットは、一対の壁体W1,W2を土台F上に立設して形成され、コンクリートを打設することによりコンクリート型枠としての機能を発揮する。壁体W1,W2は、それぞれ、表面に大小のリブが形成された多孔状の鋼製の型枠パネル1と、型枠パネル1の下端を嵌合する嵌合溝を備えたランナー2と、上端を嵌合するキャップ3とを有し、ランナー2の下面には略直交するように、両端にリブが設けられた長板状の下部固定部材4が掛架・固定されている。また、キャップ3の上面には、キャップ3と略直交するように、両端にリブが設けられた長板状の上部固定部材5が掛架・固定されている。
【選択図】図1
Description
このラス型枠用せき板は、外側へ突出させた断面略コ字状の凸状支柱部とラス網部とを一体的に形成しており、その凸状支柱部の外側へ突出した突出端面の外面に横端太を固定して型枠を建て込むことにより、ラス網を用いたせき板の利点である軽量化及び材料費の削減を生かしながら、型枠として建て込んだ場合の剛性を強化して、梁部や壁部と同時にスラブ部に対するコンクリートの打設も実施できるように建築工法を改善し、その作業性を向上させている。
また、せき板に設けられたセパレータ挿入用の開口のうち未使用のものからコンクリートの余剰水を漏出させることが可能となっている。
すなわち、特許文献1に開示されるラス型枠工法及びそのラス型枠用せき板は、前述のように、せき板に設けられた開口からコンクリートに含まれる水分を漏出させることが可能に構成されているが、その漏出量の調整ができないため、過度に水分を漏出させ、かえってコンクリートの品質を劣化させてしまうおそれがある。
また、特許文献1に開示のラス型枠用せき板は、前述のように、板状部分が網状に形成され、コンクリートが露出され、外気や土砂に絶えず触れた状態となる。従って、コンクリートの中性化が進行し、耐久性を損ない、劣化を早めるおそれがある。
また、特許文献1に開示の工法及びせき板は、コンクリート打設に際してセパレータ等の建材を多く使用する必要があるため、施工が繁雑になり、コスト面においても優れているとは言い難い。
(第1の実施の形態におけるの建築ユニットの全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の外観を示す斜視図である。また、図2は、そのコンクリート構造体の建築ユニットの側面断面図である。
以下、これら図を用いて、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の構成について説明する。
そして、このように構成される一対の壁体W1,W2の下端、すなわちランナー2の下面には、そのランナー2と略直交するように、両端にリブが設けられた長板状の下部固定部材4が掛架・固定されている。
これにより、型枠パネル1の撓みを防止し、コンクリート構造体を安定した形状で形成することができるようになっている。この棒状部材7は、いわゆる横端太と呼ばれる棒状の建材であり、例えば、直径10mm程度の鉄筋、鋼製パイプ又は木材等を使用する。また、その棒状部材7を型枠パネル1に支持固定する支持固定部材6は、番線、鋼製のワイヤー、支線、棒状部材等である。本実施の形態では、図等において、この支持固定部材6を一例として番線としている。
また、壁体W1,W2は、鋼製のパイプ管や平板等からなるサポート材9により支持され、壁体W1,W2が外側へ倒れるのを防止している。
次に、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットを構成する各部材について図を用いて説明する。
図に示すように、型枠パネル1は、鋼製の板形状の材質を、正面略方形状かつ断面略角波形状に折り曲げ、切断加工して成形した型枠パネルである。
例えば、この型枠パネル1の完成品の大きさは、長さ300〜7000mm、幅600mm、厚さ0.2〜1.0mm程度である。
また、パネル断面を等辺角波型に成形することで、特に表面又は裏面側からの力に対して優れた強度を発揮する。
なお、以下、この凸条11の形成方向を型枠パネル1の「長さ方向」とし、型枠パネル1においてその長さ方向に垂直な方向を「幅方向」とする。
この上面31の幅方向の長さ及び側面32の幅方向(奥行き方向)の長さは、例えば、10〜20mm程度である。
また、互いに隣接する凸条11の幅方向の間隔は、例えば、10〜50mm程度である。
本実施の形態では、幅方向に凸条11→溝部16→リブ12→溝部16→リブ12→・・・→溝部16→凸条11→・・・というように設けられており、凸条11の幅方向の両側には、溝部16が連設されている。
このリブ12は、例えば、幅8〜20mm程度、高さ3〜10mm程度で、その幅方向断面が例えば半円弧状に形成されている。
また、溝部16は、例えば、幅2〜10mm程度に形成されている。
この破線状の切込み13列に沿って型枠パネル1を所定の角度に折り曲げることにより、型枠のコーナー部分を形成することができるようになっている。
また、この破線状の切込み13列に沿って、型枠パネル1を、正逆方向に数回繰り返し折り曲げることにより、容易に切断可能に構成されている。従って、壁体W1,W2を組み立てる際に、その寸法及び形状に応じて所望のサイズの型枠パネル1を用意することができ、施工性が大幅に向上する。
例えば、この切込み13は、幅が0.3〜1mm程度、長さが10〜50mm程度であり、その切込み13の長さ方向の間隔が10〜30mm程度の破線状に形成される。
このことにより、型枠パネル1の折り曲げ位置を所望の位置に自在に設計することが可能となり、型枠施工時の設計の自由度を大幅に向上させることが可能となる。
この蓋部14は、型枠パネル1を立設したとき、型枠パネル1の外側方向に開蓋可能に構成されており、コンクリート打設時には、その開口した蓋部14から余剰水が排出される。また、その蓋部14を人為的に開口させて、その開口から支持固定部材6を引き出して、棒状部材7を型枠パネル1の外側表面に緊縛・固定することができる。
図に示すように、凸条11の上面31側には、円の一部分を残して表裏に貫通したC字状の切込み21と、その切込み21を設けずに残した円の一部分である折返部22とが設けられて、前述の蓋部14を形成している。
図6の(a)は、本発明の第1の実施の形態におけるランナー2を示す斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態におけるキャップ3を示す斜視図である。
図に示すように、ランナー2及びキャップ3は、断面コの字状のレール形状をなす鋼製の部材である。
ランナー2及びキャップ3は、略同形状であり、型枠パネル1に嵌合するときのリブの向きのみが異なる(ランナー2のリブは略垂直上向き、キャップ3のリブは略垂直下向きに突出する)。
図7の(a)は、本発明の第1の実施の形態における下部固定部材4を示す斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態における上部固定部材5を示す斜視図である。
図に示すように、下部固定部材4及び上部固定部材5は、長板状の部材の両先端にリブが連設されて構成される鋼製の部材であって、両壁体W1,W2間に橋設固定することにより、壁体W1,W2間の寸法を一定に保持したり、これら壁体W1,W2が外側に倒れるのを防止したりすることが可能となっている。
なお、下部固定部材4及び上部固定部材5のリブは、図では長板状の部材の両先端に略垂直方向に連設されているが、この連設部分は折り曲げ可能に構成されており、その連設角度を任意の角度に調整することができる。
この下部固定部材4は、型枠パネル1の下端を嵌合するランナー2の下面において、対向する一対の壁体W1,W2間に橋設される。このとき、下部固定部材4の両先端のリブ42の内側は、両壁体W1,W2のランナー2の外側にそれぞれ当接させてビス等を打設することで、下部固定部材4をランナー2及び型枠パネル1に固定する。
この上部固定部材5は、型枠パネル1の上端を嵌合するキャップ3の下面において、対向する一対の壁体W1,W2間に橋設される。このとき、上部固定部材5の両先端のリブ52の内側は、両壁体W1,W2のキャップ3の外側にそれぞれ当接させてビス等を打設することで、上部固定部材5をキャップ3及び型枠パネル1に固定する。
下部固定部材4及び上部固定部材5は、工場出荷時及び建設現場への運搬時等においては、図に示すように任意の箇所で折り曲げ自在な平板状の部材であってもよい。そして、壁体W1,W2間の間隔等の各寸法に応じて、その先端を折り曲げることにより、その折り曲げの結果形成されるリブをランナー2又はキャップ3等に当接させて固定することができる。
図8の(a)は、本発明の第1の実施の形態における支持部材8の斜視図である。
図に示すように、支持部材8は、長板状部材81と、その長板状部材81の長手方向の両側辺に垂直下向きの一対のリブ82がそれぞれ連設されて構成される。また、長板状部材81の両先端には垂直上向きのリブ83がそれぞれ連設されて構成される。このリブ83は、リブ82と反対方向に立設される。そして、そのリブ83にビス等を打設することにより、この支持部材8を型枠パネル1の内側に固定することができる。
この支持部材8は、互いに対向するように立設する壁体W1,W2間に介装され、固定されることにより、壁体W1,W2間の寸法を一定に保持したり、これら壁体W1,W2が内側に倒れるのを防止したりすることが可能となっている。
支持部材8は、前述のランナー2又はキャップ3のような断面コの字状の部材のリブの両先端の一部を切除し、残った長板状部材の突出部分を折り曲げてリブ83を形成することにより製造される。
次に、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法について説明する。
図9は、本発明の第1の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法を示す断面側面図である。以下、本図を用いて、説明を進める。
そして、コンクリート釘62をランナー2上から下部固定部材4を貫通するように土台Fに打ち込んで、ランナー2を下部固定部材4及び土台Fに固定する。
次に、そのキャップ3と略直交するように、複数の上部固定部材5をそのキャップ3上に所定間隔幅をもって略平行に載置する。
そして、ビス64を上部固定部材5上からキャップ3を貫通するように打ち込んで、上部固定部材5をキャップ3に固定する。
なお、この支持固定部材6は、例えば、(壁体の)高さ方向500mm、横方向300mm間隔程度で遊架する。
そして、ビス63を下部固定部材4の外側からランナー2の両リブ27及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、型枠パネル1及びランナー2を下部固定部材4に固定する。
そして、ビス65を上部固定部材5の外側からキャップ3の両リブ37及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、キャップ3及び上部固定部材5を型枠パネル1に固定する。
以上の工程を繰り返し、コンクリート構造体の建築ユニットを構築していく。
次に、本発明の第1の実施の形態における端部分の建築ユニットの構成について説明する。ここで、端部分とは、構築する壁状のコンクリート構造体の端部分をいう。この端部分においては、打設したコンクリートが漏出しないように開口する壁体W1,W2間をさらに壁体で封止する必要がある。
以下、特記しない限り、当該端部分の構成、作用及び効果等は、前述の実施の形態と同様であるものとする。また、当該端部分において、前述の実施の形態と同一の符号を付しているものは、特記しない限り、同一の部材等を示すものとする。
図に示すように、当該端部分におけるコンクリート構造体の建築ユニットによれば、互いに略平行に立設する一対の壁体W1,W2に対し壁体W3,W4を連設して、壁体W1,W2間の開口を封止するという点が前述の実施の形態と相違している。
前述のように、型枠パネル1は、破線状の切込み13列に沿って所定の角度に折り曲げて、コーナー部分等の壁体の一部を構成することができる。
図11は、その切込み13列に沿って、L字型(略直角)に折り曲げ加工された型枠パネル1を示す斜視図である。
図に示すように、当該端部分においては、略直角に折り曲げた型枠パネル1を、壁体W1,W3が連設するコーナー部分、壁体W2,W3が連設するコーナー部分、壁体W1,W4が連設するコーナー部分及び壁体W2,W4連設するコーナー部分に使用する。
図12の(a)は、そのL字型に折り曲げ加工された型枠パネル1の上端を嵌合するL字型キャップ73の下面側を示す斜視図であり、(b)は、上面側を示す斜視図である。
図に示すように、L字型キャップ73は、断面コの字状のレール形状をなす鋼製の部材であって、上面視L字状に構成されている。
図13は、当該端部分において、互いに連設する壁体W1,W3により構成されるコーナー部分の施工方法を示す図である。
以下、本図を用いて、当該コーナー部分の施工方法について詳細に説明する。なお、その他の部分の施工方法については、前述の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、ランナー2(図示せず)を下部固定部材4上に重ね合わせて固定する。
そして、ビスを上部固定部材5上からL字型キャップ73を貫通するように打ち込んで上部固定部材5を、L字型キャップ73に固定する。
以上の作業を繰り返して、互いに対向する壁体W3,W4を構成する。
この支持固定部材6の遊架作業については、前述の壁体W1,W2間の場合と同様であるので、その詳細は省略する。
そして、ビスを下部固定部材4の外側からランナー2のリブ27及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、型枠パネル1及びランナー2を下部固定部材4に固定する。
そして、ビスを上部固定部材5の外側からL字型キャップ73のリブ75及び型枠パネル1、並びにキャップ3のリブ37及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、L字型キャップ73、キャップ3及び上部固定部材5を型枠パネル1に固定する。
以上で、端部分のコンクリート構造体の建築ユニットが完成する。
これと反対に、前述のL字型に折り曲げた型枠パネル1の下端の横幅が、L字型キャップ73の溝部76の長さよりも短い場合には、そのL字型に折り曲げた型枠パネル1の上端に加えて、その隣接する他の型枠パネル1の上端を、当該L字型キャップ73の溝部76に対し嵌合する。
その後、立設した壁体W1,W2間にコンクリートを打設してコンクリート基礎や壁等のコンクリート構造体を形成する。建築ユニット自体はそのまま解体せずに、建築物の構造体の一部として利用される。
コンクリートが打設されると、そのコンクリートの自圧により蓋部14が外側に押圧されて開蓋し、その開蓋した蓋部14の間隙からコンクリートの余剰水が排出される。
以上説明したように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、従来のコンクリート型枠の施工方法のようにセパレータ、フォームタイ及びピーコンといった建材を用いることなく、支持固定部材6や鉄筋等の棒状部材7といった極めて簡素な部材により優れた強度をもったコンクリート構造体の建築ユニットを容易に施工することが可能となる。
また、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、解体することなく、そのまま埋め殺しされるので、その解体工程を省くことができ、工期を効率よく短縮することが可能となる。
(第2の実施の形態における建築ユニットの全体構成)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明するが、以下、特記しない限り、本実施の形態の構成、作用及び効果等は、前述の第1の実施の形態と同様であるものとする。
以下、これら図を用いて、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の構成について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同一の符号を付しているものは、特記しない限り、同一の部材等を示すものとする。
この単位建築ユニット100は、表面に大小のリブが形成された多孔状の鋼製の型枠パネル101と、これら複数並設される型枠パネル101の下端を嵌合する嵌合溝を備えたランナー2と、上端を嵌合するキャップ3と、ランナー2の下面にそのランナー2と略直交するように掛架・固定される両端にリブが設けられた長板状の下部固定部材4とを有して構成される。
その型枠パネル101は、高さ方向の幅が第1の実施の形態における型枠パネル1と比べて短いという点で相違している。すなわち、型枠パネル1は、その高さ方向の幅が、壁体の高さと略同一に構成されるのに対し、型枠パネル101は、その高さ方向の幅が、壁体の高さの数分の1の長さに構成される。
次に、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法について説明する。
図16〜18は、本発明の第2の実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法を示す断面側面図である。以下、本図を用いて、説明を進める。
そして、コンクリート釘112をランナー2上から下部固定部材4を貫通するように土台Fに打ち込んで、ランナー2を下部固定部材4及び土台Fに固定する。
次に、そのキャップ3と略直交するように、複数の上部固定部材5をその上部固定部材5の上に所定間隔幅をもって略平行に載置する。
そして、ビス114をキャップ3上から上部固定部材5を貫通するように打ち込んで、キャップ3を上部固定部材5に固定する。
以上で、最下段の単位建築ユニット100が完成する。
次に、一対のランナー2を、そのキャップ3上に載置した下部固定部材4と直交するように重ね合わせて載置する。
そして、ビス115をランナー2上から下部固定部材4及び最下段の型枠パネル101のキャップ3を貫通するように打ち込んで、ランナー2及び下部固定部材4を最下段の単位建築ユニット100に固定する。
その後、最下段の単位建築ユニット100と同様に、型枠パネル101及びキャップ3を取り付ける。
以上で、最下段から2段目の単位建築ユニット100が完成する。
図18は、その最上段の単位建築ユニット100の組み立てを示す図である。
図に示すように、最上段の単位建築ユニット100において、型枠パネル101の上端にキャップ3を嵌合した後に、そのキャップ3上に上部固定部材5を取り付ける。すなわち、上部固定部材5の両先端を略直角に折り曲げてリブ52を形成し、このリブ52をキャップ3のリブ37に当接させる。
そして、ビス116を上部固定部材5の外側からキャップ3の両リブ37及び型枠パネル101を貫通するように打ち込んで、キャップ3及び上部固定部材5を型枠パネル101に固定する。
また、ビス117を上部固定部材5上から最上段の型枠パネル101のキャップ3を貫通するように打ち込んで、上部固定部材5を最上段の単位建築ユニット100に固定する。
そして、ビス113を下部固定部材4の外側からランナー2の両リブ27及び型枠パネル101を貫通するように打ち込んで、型枠パネル101及びランナー2を下部固定部材4に固定する。
その後、立設した壁体W11,W12間にコンクリートを打設してコンクリート基礎や壁等のコンクリート構造体を形成する。建築ユニット自体はそのまま解体せずに、建築物の構造体の一部として利用される。
以上説明したように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、構築目的の壁体W11,W12の高さの数分の1の高さ幅の単位建築ユニット100を複数段積重して構成されるので、構築目的の壁体W11,W12の高さに合わせて型枠パネルを切断するといった作業を不要とし、必要な段数の単位建築ユニット100を積重することで、様々な構造のコンクリート構造体の構築に柔軟に対応することが可能となる。
例えば、互いに略平行な一対の型枠パネルを2組用いて、四方を型枠パネルで囲んだ壁体を構築する場合には、その互いに略平行な一対の型枠パネル間に下部固定部材4及び上部固定部材5を橋設固定する。すなわち、その四方を型枠パネルで囲んだ壁体の内側では、下部固定部材4及び上部固定部材5が略直交して重ねあった状態となる。
(第3の実施の形態における建築ユニットの全体構成)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明するが、以下、特記しない限り、本実施の形態の構成、作用及び効果等は、前述の第3の実施の形態と同様であるものとする。
以下、これら図を用いて、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニット全体の構成について説明する。なお、本実施の形態において、第3の実施の形態と同一の符号を付しているものは、特記しない限り、同一の部材等を示すものとする。
すなわち、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、第1の実施の形態における建築ユニットの構成に加え、木製の桟木140と、この桟木140を支持する桟木支持部材130とを有する。この桟木支持部材130は、キャップ3の複数箇所に所定間隔をもって掛着される例えば金属製の部材である。この掛着された桟木支持部材130の嵌合溝に桟木140を嵌合させることで、桟木140を型枠パネル1の外面上に押え付けて固定することが可能となっている。
また、第1の実施の形態における上部固定部材5に代えて、異なる形状の上部支持部材150を有して構成されている。この上部支持部材150をキャップ3の上面数箇所に橋設固定することにより、壁体W31,W32間の寸法を一定に保持したり、これら壁体W31,W32が外側に倒れたりするのを防止することが可能となっている。
以下、これら本実施の形態特有の構成要素である桟木支持部材130及び上部支持部材150の構成について詳細に説明する。
図21は、本発明の第3の実施の形態における桟木支持部材130を示す斜視図である。
図に示すように、桟木支持部材130は、平板状の底部131と、その底部131の側端の一方に略垂直上方に連設されるリブ132と、そのリブ132の側端に略垂直に連設される平板状の掛着部133と、その掛着部133の側端に略垂直下方に連設されるリブ134と、前述の底部131の側端の他方に略垂直上方に連設されるリブ135と、そのリブ135に外方に連設される外方片136とを有して構成される。
その底部131及びその底部131の両側端に対し垂直上方に連設されるリブ132,135により、略矩形の嵌合溝137が形成される。この嵌合溝137には、桟木140が嵌合され、支持される。
また、前述の掛着部133及びその掛着部133の両側端に対し垂直下方に連設されるリブ132,134により、略矩形の嵌合溝138が形成される。この嵌合溝138は、キャップ3に嵌合し、掛着される。
また、その掛着部133には、挿通孔139が設けられており、ビス等を挿通して桟木支持部材130をキャップ3に掛着固定可能となっている。
図22は、本発明の第3の実施の形態における上部支持部材150を示す斜視図である。
図に示すように、上部支持部材150は、長板状部材151と、その長板状部材151の長手方向の両側辺に垂直上向きの一対のリブ152がそれぞれ連設されて構成される。また、この一対のリブ152間には溝154が形成されている。さらに、長板状部材151の両先端153は、そのリブ152よりも外方へ突出して形成されている。
この上部支持部材150は、前述の支持部材8と同様の方法により製造される。ただし、この上部支持部材150は、前述の支持部材8と異なり、その両先端153を折り曲げ加工をしない。
次に、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法について説明する。
なお、以下、桟木支持部材130及び上部支持部材150の取付方法について説明するが、その他の施工方法は、第1の実施の形態と同様であるとして、その説明を省略する。
次に、ビス161をキャップ3の外側からキャップ3の両リブ37及び型枠パネル1を貫通するように打ち込んで、キャップ3を型枠パネル1に固定する。
そして、ビス162を上部支持部材150上からキャップ3を貫通するように打ち込んで、上部支持部材150をキャップ3に固定する。
以上で、桟木支持部材150の取り付けが終了する。
図24は、本発明の第3の実施の形態における桟木支持部材130の取付方法を示す断面側面図である。
図に示すように、型枠パネル1に嵌合固定したキャップ3を桟木支持部材130の嵌合溝138に嵌合させる。
そして、ビス163を桟木支持部材130上からキャップ3を貫通するように打ち込んで、桟木支持部材130をキャップ3に掛着固定する。
以上で、桟木支持部材130の取り付けが終了する。
この取り付けた桟木支持部材130の嵌合溝137には、図に示すように、桟木140が嵌挿される。
コンクリートが打設されると、そのコンクリートの自圧により蓋部14が外側に押圧されて開蓋し、その開蓋した蓋部14の間隙からコンクリートの余剰水が排出される。
以上説明したように、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、従来のコンクリート型枠の施工方法のようにセパレータ、フォームタイ及びピーコンといった建材を用いることなく、支持固定部材6、鉄筋等の棒状部材7、桟木140といった極めて簡素な部材により優れた強度をもったコンクリート構造体の建築ユニットを容易に施工することが可能となる。
特に、本実施の形態では、桟木支持部材130をキャップ3に掛着し、その桟木支持部材130に優れた強度を有する桟木140を嵌合させ、型枠パネル1に密着させるので、型枠パネル1を撓ませることなく、安定した形状のコンクリート構造体を製造することができる。また、桟木140は、入手しやすく極めて安価であるので、コスト面においても効果的である。
すなわち、第1の実施の形態における建築ユニットに、本実施の形態特有の構成である桟木支持部材130、桟木140及び上部支持部材150を追加する構成であってもよい。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明するが、以下、特記しない限り、本実施の形態の構成、作用及び効果等は、前述の第3の実施の形態と同様であるものとする。
この保持固定部材160は、いわゆるセパレータ等の棒状部材である間隔保持部材170により前述の一対の壁体W41,W42の表面側に取り付けられる。すなわち、その間隔保持部材170は、両壁体W41,W42の型枠パネル1の蓋部14から両端が突出するように、両壁体W41,W42を挿通させ、その両壁体W41,W42の外側に突出する間隔保持部材170の両端に保持固定部材160が螺挿されて取り付けられる。
図に示すように、保持固定部材160は、長板状部材の一端が棒状部材7の形状に合わせて側面視円弧状に湾曲し、他端が平板状に形成され、その平板状の他端には間隔保持部材170を螺挿する挿通孔165が備えられている。
そして、前述の保持固定部材160の湾曲部分内側と型枠パネル1表面外側とで棒状部材7を挟持して、棒状部材7を型枠パネル1表面に固定する。
その他の構成及び施工方法については、第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
以上説明したように、前述の第1〜第4の実施の形態によれば、番線、鉄筋、桟木といった極めて簡素な部材により優れた強度をもったコンクリート構造体の建築ユニットを容易に施工することが可能となる。
また、本実施の形態におけるコンクリート構造体の建築ユニットは、解体することなく、そのまま埋め殺しされるので、その解体工程を省くことができ、工期を効率よく短縮することが可能となる。
例えば、前述の第1〜第4の実施の形態において、型枠パネル1、ランナー2、キャップ3、下部固定部材4、上部固定部材5、支持固定部材6、棒状部材7、支持部材8、サポート材9、L字型キャップ73、桟木支持部材130、上部支持部材150、保持固定部材160、間隔保持部材170等の各部材は、防錆加工が施された鋼製の部材であってもよい。また、一定以上の強度を有する樹脂製の部材であってもよい。
2 ランナー
3 キャップ
4 下部固定部材
5 上部固定部材
6 支持固定部材
7 棒状部材
8 支持部材
9 サポート材
11 凸条
12,27,37,42,52,75,82,83,132,134,135,152 リブ
13,21 切込み
14 蓋部
15 間隙
16,28,38,76 溝部
22 折返部
26,36,41,51,81,151 長板状部材
77a,77b,139,165 挿通孔
31 上面
32 側面
61,62,111,112 コンクリート釘
63〜66,113〜117,161〜163 ビス
73 L字型キャップ
74 L字型板状部材
100 単位構築ユニット
130 桟木支持部材
131 底部
133 掛着部
136 外方片
137,138 嵌合溝
140 桟木
150 上部支持部材
153 長板状部材の先端
154 溝
160 保持固定部材
170 間隔保持部材
171 座金
F 土台
W1〜W4,W11,W12,W31,W32,W41,W42 壁体
Claims (16)
- 互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットであって、
表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられており、互いに対向して立設する型枠パネルと、
前記互いに対向した型枠パネルの下端側間に橋設される下部橋設部材と、
前記互いに対向した型枠パネルの上端側間に橋設される上部橋設部材と、
前記互いに対向した型枠パネル間に介装され前記型枠パネルを支持する支持部材とを有することを特徴とするコンクリート構造体の建築ユニット。 - 上方及び下方に開口した嵌合溝を備え、該上方に開口した嵌合溝において桟木を嵌合支持する桟木支持部材をさらに有し、
前記桟木支持部材は、下方に開口する嵌合溝で前記一対の壁体間の上部橋設部材を嵌合し、掛着されることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造体の建築ユニット。 - 前記互いに対向した型枠パネル間に挿通される支持固定部材と、
前記支持固定部材により前記型枠パネルの外側に緊合及び固定される棒状部材とを有することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート構造体の建築ユニット。 - 互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットであって、
複数積重されて前記一対の壁体本体を構成する板状の単位建築ユニットと、
最上段に積重される前記単位建築ユニットの上面に橋設される上部橋設部材とを有して構成され、
前記単位建築ユニットは、
表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルと、
前記互いに対向した型枠パネルの下端側間に橋設される下部橋設部材とを有することを特徴とするコンクリート構造体の建築ユニット。 - 前記下部橋設部材は、
前記型枠パネルの下端に嵌合される断面コの字状のランナーと、
前記互いに対向した型枠パネルに嵌合されたランナー間に橋設される、両先端が折り返されて略垂直上方にリブが形成された下部固定部材とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニット。 - 前記ランナーは、
上面視直線状又はL字形状に構成されることを特徴とする請求項5記載のコンクリート構造体の建築ユニット。 - 前記上部橋設部材は、
前記型枠パネルの上端に嵌合される断面コの字状のキャップと、
前記互いに対向した型枠パネルに嵌合されたキャップ間に橋設される、両先端が折り返されて略垂直下方にリブが形成された上部固定部材とを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニット。 - 前記キャップは、
上面視直線状又はL字形状に構成されることを特徴とする請求項7記載のコンクリート構造体の建築ユニット。 - 前記支持部材は、
長板状部材と、
前記長板状部材の長手方向の両側端に略直角に折り返されて立設する第1のリブと、
前記長板状部材の両先端に略直角に折り返されて立設する第2のリブとを有し、
前記第2のリブは、前記第1のリブと反対方向に折り返されて立設することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニット。 - 互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法であって、
長板形状の部材が格子状に配置されてなる下部橋設部材を土台上に載置固定する工程と、
前記載置固定された下部橋設部材上に、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルを互いに対向させて立設させる工程と、
前記互いに対向した型枠パネルの上端側に、長板形状の部材が格子状に配置されてなる上部橋設部材を載置固定する工程とを有することを特徴とするコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。 - 前記上部橋設部材を載置固定する工程の後に、
長板状部材の両側端に略垂直にリブが連設され両先端が突出した上部支持部材を、該リブを前記互いに対向した型枠パネル間に嵌挿し、前記突出した先端を前記上部橋設部材上に載置した状態で固定する工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。 - 前記上部橋設部材を載置固定する工程の後に、
上方及び下方に開口した嵌合溝を備えた桟木支持部材を、該下方に開口した嵌合溝により前記上部橋設部材を嵌合させて複数掛着する工程と、
前記複数の桟木支持部材の上方に開口した嵌合溝に桟木を嵌合させる工程とをさらに有することを特徴とする請求項10又は11記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。 - 前記上部橋設部材を載置固定する工程の後に、
前記互いに対向した型枠パネル間に支持部材を介装する工程と、
前記互いに対向した型枠パネル間に支持固定部材を挿通し、該支持固定部材により前記型枠パネルの外側に棒状部材を緊合及び固定する工程とをさらに有することを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。 - 互いに対向して立設する一対の壁体を有して構成される解体が不要なコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法であって、
長板形状の部材が格子状に配置されてなる下部橋設部材を土台上に載置固定する工程と、
前記載置固定された下部橋設部材上に、表面に一部分を残した閉図形状の切込みからなる蓋部が設けられている型枠パネルを互いに対向させて立設させる工程とにより、前記壁体の構成単位である単位建築ユニットを構築し、
1段下段の前記単位建築ユニットの上端側に、前記下部橋設部材を載置固定して前記単位建築ユニットを複数段積重し、
最上段の前記単位建築ユニットの上端側には、長板形状の部材が格子状に配置されてなる上部橋設部材を載置固定することを特徴とするコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。 - 前記下部橋設部材を載置固定する工程は、
両先端が折り返されて略垂直上方にリブが形成された下部固定部材を、複数所定間隔をもって略平行に土台上に載置固定する工程と、
前記載置固定された下部固定部材上に、上方に開口された溝部を備えた断面コの字状の一対のランナーを前記下部固定部材に略直交して載置固定する工程とからなり、
前記型枠パネルを立設させる工程は、
前記型枠パネルの下端を前記載置固定したランナーの溝部に嵌合することを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。 - 前記上部橋設部材を載置固定する工程は、
前記型枠パネルの上端に、下方に開口した溝部を備えた断面コの字状のキャップを嵌合する工程と、
前記嵌合したキャップの上面において、両先端が折り返されて略垂直下方にリブが形成された上部固定部材を前記一対の壁体間に橋設する工程とからなることを特徴とする請求項10から15のいずれか1項に記載のコンクリート構造体の建築ユニットの施工方法。
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