JP2010163665A - 銅合金部材および熱交換器 - Google Patents

銅合金部材および熱交換器 Download PDF

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哲郎 細木
Takashi Shirai
崇 白井
Takeshi Owaki
武史 大脇
Kazumi Yanagisawa
佳寿美 柳澤
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Abstract

【課題】熱交換器に使用した際にも、高温の水が接触する部分にスケールが付着せず、使用の過程で熱交換性能が低下しない銅合金部材、および、それを使用した熱交換器を提供する。
【解決手段】銅合金部材1は、冷媒により水を加熱する熱交換器に使用され、銅または銅合金からなる基材2と、基材2の少なくとも水と接触する側の表面に形成されためっき層3とを備え、めっき層3が、Pを0.010〜13.0質量%含有し、残部がNiと不可避的不純物からなり、めっき層3の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、貯湯式給湯器ヒートポンプシステム、床暖房システム等で用いられ、冷媒により水を加熱する熱交換器に使用される銅合金管等の銅合金部材、および、その銅合金部材を使用した熱交換器に関する。
近時、超臨界状態の二酸化炭素冷媒またはフロン系冷媒により水を加熱する熱交換器が実用化され、貯湯式給湯器ヒートポンプシステム、床暖房システム等の用途に多用されるようになってきた。このような熱交換器に使用される部材は、冷媒の圧力が極めて高くなるために高い強度を備えると共に、高い熱交換性能を維持するために高い熱伝導性を兼ね備える必要があることから、銅合金部材が使用されている。
このような熱交換器は、設置スペースが限定されることが多く、限られた体積でできるだけ高温の水が得られるように、例えば貯湯式給湯器ヒートポンプシステムでは、加熱される水の流速は一般に1リットル/分と小さく設計されている。そして、水の流速が小さいことから、熱交換器の水と接触する部分に炭酸カルシウムまたはこれを主体とするスケールが付着しやすい。また、炭酸カルシウムの水への溶解度は水温が高いほど低下するため、熱交換器の水温が高くなる部分において炭酸カルシウムが特に析出しやすく、スケール付着が発生しやすくなる。また、一旦スケールが付着した部分では、付着したスケールの温度が高いことと、水の流速が小さいこと等から、スケール付着が更に進み、スケールが厚く成長してしまう。このように厚く成長したスケールは、熱交換性能の低下、水流路の断面積減少による流通水量の低下、ポンプ圧の上昇およびポンプの消費電力増大等の問題を引き起こす。
このような問題を解決するため、水を冷却媒体または加熱媒体として循環して使用する熱交換器においては、カルシウム系スケールの防止のため、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸等を重合したカルボキシル基を有する重合体等からなるスケール防止剤を循環水に添加している。
一方、飲用または風呂用の給湯水を加熱する貯湯式給湯器ヒートポンプシステム等の熱交換器またはそれに使用される銅合金配管においては、その性質上、スケール防止剤を添加することができない。したがって、以下のような種々のスケール付着抑制方法がとられている。
例えば、特許文献1の熱交換器では、熱交換器内面へフロロシリコンまたはフッ素樹脂を被覆している。
特許文献2の熱交換器では、内部に冷媒用流路を形成する内管と、この内管の外側に設けられ、内管との間に水用流路を形成する外管とを有する二重管式の熱交換器において、冷媒用流路の断面積に対する水用流路の断面積の割合が3.5ないし24.5となるようにしている。また、外管の曲げ半径をこの外管の内径の3倍以上としている。
特許文献3の熱交換器では、冷却水が流通する管内にねじり板を回転自在に設けている。
特許文献4の熱交換器(スケール防止装置)では、水系流体として冷却水を循環させる循環路を形成する配管の少なくとも一部に磁場を形成する磁気処理部を設けると共に、前記冷却水に磁性体(金属粒子)を添加している。
特許文献5の熱交換器では、内部に冷媒用流路が形成された内管と、内管の外側に設けられ、内管との間に水用流路が形成された外管とを有し、渦巻状に曲成された二重管式熱交換器において、水用流路を水が内側に向かって渦巻状に流通するように形成された内巻き2重管を有する熱交換ユニットと、水用流路を水が外側に向かって渦巻状に流通するように形成された外巻き2重管を有する熱交換ユニットとが交互に積層されており、水出側の熱交換ユニットには外巻き2重管が設けられた構造としている。また、水出側近傍の高温部位における流路断面積を大きくしている。
特許文献6の熱交換器では、銅または銅合金製基材からなる部分と、前記部分の少なくとも使用時に水と接しうる面に親水性被膜を形成している。
特許文献7、特許文献8の給水給湯用銅合金配管では、所定量のP、Snを含有する銅合金で配管を構成している。
また、非特許文献1には、スケール付着防止に関連する技術が記載されている。具体的には、金属イオン:2質量部に対して5酸化りんP:1〜2質量部の割合で解けているポリりん酸塩が溶存する水溶液では、炭酸カルシウムの溶解度が上昇することが記載され、金属イオンとしてCo、Zn、Cd、Pbが好適であることが記載されている。
特開昭61−149794号公報 特開2005−69620号公報 実開平2−109190号公報 特開2005−238023号公報 特開2005−147569号公報 特開2002−98496号公報 特許第3374398号公報 特開平6−184669号公報
小林仁美 外2名、「炭酸カルシウムへの2価重金属イオンの吸着挙動」、BUNSEKI KAGAKU、2004年、vol.53、No.2、p101−107
しかしながら、特許文献1の熱交換器は、被覆樹脂の厚みが大きいため、熱伝導率の点で大きく劣り、熱交換性能の低下を招きかねない。
特許文献2の熱交換器は、スケール付着を積極的に防止するものでなく、スケールが付着することを前提として熱交換器の使用可能期間の延長を図るものである。したがって、貯湯式給湯器ヒートポンプシステム等の熱交換器として使用した際には、水温が高くなる部分に炭酸カルシウムを主体とするスケールの付着が避けられず、それによる熱交換性能の低下、流通水量の低下等を防止することは難しい。
特許文献3の熱交換器は、管内に回転可能なねじり板を設置するものであるため、管に曲がり部を有したり、管内径が小さい貯湯式給湯器ヒートポンプシステム等の熱交換器には適用できない。
特許文献4の熱交換器は、熱交換器の一部に強力な磁石を設置し、管内の水に磁力を作用させることにより、スケール付着を防止しようとするものであるため、熱交換器筐体の限られたスペースに磁石を組み込むことが難しい。また、強磁場を発生させる磁石そのものが高価である。
特許文献5の熱交換器は、熱交換器の水出側で銅管の直線部を長くすることにより、水中に浮遊するスケールの沈積を抑制することができるが、銅管壁へのスケール析出については抑制できず、スケール付着抑制効果が不十分である。
特許文献6の熱交換器は、水温が比較的低温では、親水性皮膜による局所的な高温部をなくす作用が現れやすい。しかしながら、貯湯式給湯器ヒートポンプシシテム等の熱交換器のように、高温の水では、熱交換器全体がスケール生成温度になるため、スケール付着抑制効果が不十分となる。
また、特許文献2および特許文献5の熱交換器は、水流路断面積を大きくすることで、水温が高温になる部位での熱交換率を犠牲にしてしまい、流路断面積を大きくしない場合と同等の熱交換率を確保するためには、更に流路長さを取らなければならなくなり、機器のコンパクト化や設計の自由度を阻害する。
特許文献7、特許文献8の銅合金配管は、水と接触する管表面に有効元素(P、Sn)が濃化する濃化層が存在することにより、スケール付着を抑制する。そして、P、Snを含有する銅合金では、その濃化層は非常に薄く、せいぜい10〜20nmである。スケール付着抑制効果は、P、Snが水中の表面近傍に溶出することで発現するため、P、Snの濃化層はいずれ消失する。P、Snが添加された合金の場合、10〜20nmの濃化層は短期間で消失してしまう為、スケール付着抑制効果の持続期間が短い。また、P、Snを高濃度に含有させると、銅合金が硬くなり、銅合金配管の製造工程において、管割れ(応力割れ)等が発生する。
また、非特許文献1に記載された技術は、スケール付着抑制効果が小さく、また、Cd、Pbは人体への有害性が指摘される物質であるため、実用に適さない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、炭酸カルシウムを主成分とするスケールが付着しにくく、水が間接的または直接的に加熱される貯湯式給湯器ヒートポンプシステム、床暖房システム等の熱交換器に使用した際にも、高温の水が接触する部分にスケールが付着せず、使用の過程で熱交換性能が低下しない銅合金部材、および、それを使用した熱交換器を提供することを目的とする。
本発明に係る銅合金部材は、冷媒により水を加熱する熱交換器に使用される銅合金部材であって、銅または銅合金からなる基材と、前記基材の少なくとも前記水と接触する側の表面に形成されためっき層とを備え、前記めっき層が、Pを0.010〜13.0質量%含有し、残部がNiと不可避的不純物からなり、前記めっき層の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする。
前記構成によれば、めっき層がNiおよびPを含有することによって、めっき層中に含有されるPが水と接触してポリりん酸イオンとして溶出し、表面近傍のpHを低下させることで炭酸カルシウムの析出および付着を抑制すると共に、Niも同時にイオンとして溶出し、ポリりん酸塩(金属塩)として炭酸カルシウムの生成反応を阻害し、効果的に炭酸カルシウムの析出および付着を抑制することができる。また、めっき層の厚さが所定範囲であることによって、P、Niが長期にわたって溶出し、炭酸カルシウムの析出および付着を長期に抑制することができる。
本発明に係る銅合金部材は、前記めっき層が、更にSnを0.020〜20質量%含有することを特徴とする。
前記構成によれば、めっき層が更にSnを含有することによって、SnもNi、Pと同時にイオンとして溶出し、ポリりん酸塩として炭酸カルシウムの生成反応を阻害し、より効果的に炭酸カルシウムの析出および付着を抑制することができる。
本発明に係る銅合金部材は、前記めっき層が、更にCoを0.010〜10質量%含有することを特徴とする。
前記構成によれば、めっき層が更にCoを含有することによって、CoもNi、Pと同時にイオンとして溶出し、ポリりん酸塩として炭酸カルシウムの生成反応を阻害し、より効果的に炭酸カルシウムの析出および付着を抑制することができる。
本発明に係る銅合金部材は、前記めっき層が、更にZnを0.010〜10質量%含有することを特徴とする。
前記構成によれば、めっき層が更にZnを含有することによって、ZnもNi、Pと同時にイオンとして溶出し、ポリりん酸塩として炭酸カルシウムの生成反応を阻害し、より効果的に炭酸カルシウムの析出および付着を抑制することができる。
本発明に係る熱交換器は、水が流通する水流路部と、冷媒が流通する冷媒流路部とを備え、前記冷媒により前記水を加熱する熱交換器であって、前記水流路部および前記冷媒流路部の少なくとも一方に、前記銅合金部材が使用されていることを特徴とする。
前記構成によれば、前記水流路部および冷媒流路部の少なくとも一方に、前記銅合金部材が使用されていることによって、銅合金部材のめっき層中に含有されるPが水と接触してポリりん酸イオンとして溶出し、表面近傍のpHを低下させることで炭酸カルシウムの析出および付着を抑制すると共に、Niと、Sn、CoまたはZnも同時にイオンとして溶出し、ポリりん酸塩(金属塩)として炭酸カルシウムの生成反応を阻害し、効果的に炭酸カルシウムの析出および付着を抑制することができる。また、めっき層の厚さが所定範囲であることによって、PおよびNiと、Sn、CoまたはZnが長期にわたって溶出し、炭酸カルシウムの析出および付着を長期に抑制することができる。
本発明の銅合金部材によれば、所定量のPを含有し、所定厚さのNiめっき層を備えることによって、カルシウム硬度が高く高温(80℃以上)の水に接触したり、自らが高温になる貯湯式給湯器ヒートポンプシステム、床暖房システム等の熱交換器に使用しても、炭酸カルシウムを主成分としたスケールの付着を抑制することができる。また、Niめっき層に、更に所定量のSn、CoまたはZnを含有させることによって、スケールの付着をより一層抑制することができる。
また、本発明の熱交換器によれば、水流路部および冷媒流路部の少なくとも一方に前記銅合金部材を使用することで、水温が高温になる部分で炭酸カルシウムを主成分としたスケールの付着を抑制することができる。その結果、熱交換性能(熱交換効率)の低下、流通水量の低下、ポンプ圧の上昇およびポンプの消費電力増大等の問題が発生することを防止することができ、省エネルギーに貢献する熱交換器を提供することができる。
本発明に係る管状の銅合金部材の構成を示す管軸平行断面図である。 (a)は熱交換器の斜視図、(b)は熱交換器の構成を示す拡大図、(c)は冷媒流路部(小径管)の構成を示す管軸直交断面図である。
以下、本発明に係る銅合金部材および熱交換器の実施形態について詳細に説明する。
<銅合金部材>
本発明に係る銅合金部材は、冷媒により水が加熱される熱交換器の配管として使用されるもので、貯湯式給湯器ヒートポンプシステム、床暖房システム等の熱交換器に使用される。
図1に示すように、銅合金部材1は、管状に形成された基材2と、その基材の少なくとも水と接触する側の表面に形成されためっき層3とを備える。そして、銅合金部材1の形状は管状に限定されず、銅合金部材1が使用される熱交換器の形状によって適宜選択され、板状の銅合金部材(図示せず)であってもよい。また、図1では、基材2の内側を水が流通するため、基材2の内表面にめっき層3を形成したが、基材2の外側に水が流通する場合には、基材2の外表面にめっき層3を形成する(図示せず)。以下、各構成について説明する。
(基材)
基材2は、銅または銅合金からなり、JISH3300に規定されたりん脱酸銅(例えば、C1220)が好ましい。りん脱酸銅を使用することによって、基材2(銅合金部材1)の強度が向上すると共に、めっき層3が基材表面に形成されやすくなる。また、基材2の形状は管状に限定されず、銅合金部材1の形状によって決定され、例えば、板状であってもよい。
(めっき層)
めっき層3は、Pを所定量含有し、残部がNiと不可避的不純物からなり、すなわち、所定量のPを含有するNi合金(NiP)からなる。そして、めっき層3は、所定範囲の厚さを有する。また、めっき層3は、Sn、CoまたはZnを所定量含有してもよい。
Pの含有量は、0.010〜13.0質量%である。Pの含有量が0.010質量%未満では、十分なスケール付着抑制効果が得られない。Pの含有量が13.0質量%を超えると、硬度が高くなりすぎてしまい、銅合金部材1の曲げ等の加工、銅合金部材1が使用される熱交換器11(図2(a)参照)の運転、停止等による熱サイクルにより、銅または銅合金からなる基材2の熱膨張、収縮に追従できなくなり、めっき層3の欠陥や剥離を引き起こす。
Snを含有するときの含有量は、0.020〜20質量%が好ましい。Snの含有量が0.020質量%未満では、更なるスケール付着抑制効果が得られない。Sn含有量が20質量%を超えると、Pのめっき層3への導入が困難になり、スケール付着抑制効果が低下する。
Coを含有するときの含有量は、0.010〜10質量%が好ましい。Coの含有量が0.010質量%未満では、更なるスケール付着抑制効果が得られない。Coの含有量が10質量%を超えると、硬度が高くなりすぎてしまい、銅合金部材1の曲げ等の加工、銅合金部材1が使用される熱交換器11(図2(a)参照)の運転、停止による熱サイクルにより、銅または銅合金からなる基材2の熱膨張、収縮に追従できなくなり、めっき層3の欠陥や剥離を引き起こしやすい。
Znを含有するときの含有量は、0.010〜10質量%が好ましい。Znの含有量が0.010質量%未満では、更なるスケール付着抑制効果が得られない。Znの含有量が10質量%を超えると、Pのめっき層3への導入が困難になりスケール付着抑制効果が低下すると共に、めっき層3の耐食性が低下する。
また、めっき層3はFe、Wを含有するとスケール付着抑制効果が向上するため、めっき層3にFe、Wを導入してもよい。しかしながら、Fe、Wはめっき層3の耐食性を低下させるため、Fe、Wの含有量は、各々10質量%以下が好ましい。
さらに、めっき層3の厚さは、0.1〜10μmである。好ましくは0.3〜10μm、より好ましくは1.0〜10μmである。厚さが0.1μm未満では、スケール付着抑制効果の寿命が短くなると共に、めっき層3にピンホールができてしまい、耐食性を維持できない。厚さが10μmを超えると、銅合金部材1の曲げ等の加工、銅合金部材1が使用される熱交換器11(図2(a)参照)の運転、停止等による熱サイクルにより、銅または銅合金からなる基材2の熱膨張、収縮に追従できなくなり、めっき層3の欠陥や剥離を引き起こす。特に、めっき層3と基材2は熱膨張係数が異なるため、その界面に過大な応力が生じ、それが繰返されると、ついには界面に亀裂、剥離を引き起こす要因になる。
NiPからなるめっき層3の形成、および、めっき層3へのSn、CoまたはZnの導入は、通常の金属めっき、例えば、電気めっき、無電解めっき等の手法を用いて行う。好ましくは、無電解めっきの手法を用いて行う。無電解めっきは、電気めっきに比べて、簡便な方法であって、より複雑な形状の基材2(図示せず)にもめっきが行える。また、無電解めっきであれば、還元剤としてめっき浴にホスフィン酸塩(次亜りん酸塩)を使用し、pHを調整することで、多様な割合でめっき層3にPを導入することができる。
なお、Snは、これを主成分とした無電解めっきが行えるが、触媒性に乏しい元素であるため、ホスフィン酸塩のめっき浴への添加などによっても、Pのめっき層3への導入が実用上行えない。しかしながら、Niとの合金めっきとすることで、無電解めっきによるめっき層3へのSnとPの共存が可能になる。また、Znは、これを主成分とした無電解めっきが実用上行えない。しかしながら、Niとの合金めっきとすることで、無電解めっきによるめっき層3へのZnの導入が可能になる。さらに、Coは、これを主成分とした無電解めっきが行えるので、Niとの合金めっきが実用上可能である。Pを配合したCo−Pめっきとしても実用化されているため、Coの含有量を増大させてもPのめっき層3への導入を阻害しない。
<熱交換器>
図2(a)〜(c)に示すように、本発明に係る熱交換器11は、水が流通する水流路部12と、冷媒が流通する冷媒流路部13とを備え、冷媒により水を加熱するものである。また、熱交換器11は、水流路部12および冷媒流路部13の少なくとも一方に、前記銅合金部材1(図1参照)が使用されている。なお、冷媒としては、通常の熱交換器に使用される冷媒を使用すればよいが、超臨界状態の二酸化炭素冷媒またはフロン系冷媒を使用することが好ましい。また、水流路部12および冷媒流路部13を構成する材料は、水と冷媒との熱交換効率を考慮して、銅または銅合金が好ましい。
水流路部12は、例えば、管状の大径管12、冷媒流路部13は、例えば、大径管12より管径が小さい小径管13で構成され、大径管12の内部に小径管13が配置されている。また、小径管13は、図2(c)に示すように、外管14と内管15の二重管で構成され、外管14の内表面には複数の溝が備えられ、外管14と内管15との間に冷媒の漏洩を検知するための検知部16が形成されている。ここで、図示しないが、銅合金部材1を水流路部12に使用した際には、銅合金部材1のめっき層3(図1参照)は水と接触する側に形成されるため、大径管12の内表面にNiPめっき層(Sn、CoまたはZnを含有してもよい)が形成されることとなる。また、銅合金部材1を冷媒流路部13に使用した際には、小径管13を構成する外管14の外表面にNiPめっき層(Sn、CoまたはZnを含有してもよい)が形成されることとなる。なお、図示しないが、大径管12の内表面と、外管14(小径管13)の外表面との両者にNiPめっき層を形成してもよい。
本発明に係る熱交換器の形態は、図2(a)〜(c)に記載された熱交換器11に限定されるものではない。例えば、図2(a)〜(c)では、冷媒流路部(小径管)13が二重管(外管14および内管15)で構成された熱交換器11を記載したが、外管14のみの単管で冷媒流路部13を構成した熱交換器(図示せず)であってもよい。また、管状の水流路部(大径管)12と管状の冷媒流路部(小径管)13とを備えた熱交換器11を記載したが、水流路部12は管状に限定されず、箱状の水流路部と管状の冷媒流路部とを備えた熱交換器(図示せず)であってもよい。また、冷媒の外側に水を流通させる熱交換器11を記載したが、水の外側に冷媒を流通させる熱交換器(図示せず)であってもよい。さらに、水流路部12がらせん状に巻回された熱交換器11を記載したが、渦巻状に巻回された熱交換器(図示せず)であってもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
(1)第1実施例
外径:9.52mm、肉厚:0.5mm、長さ:50mm、りん脱酸銅(JIS H3300、C1220)製の平滑管を作製し、管内外面に表1に示す組成、厚さのめっき層(NiP層)を無電解めっき処理により形成し、評価用部材(銅合金部材:実施例No.1〜5、比較例No.6〜9)とした。作製した評価用部材を用いて、以下に示すスケール付着試験を行い、スケール付着性について評価した。その結果を表1に示す。
(スケール付着試験)
イオン交換水にNaHCO(0.018mol/リットル)とCaCl・2HO(0.009mol/リットル)をそれぞれ添加した混合水溶液を20℃で調製し、Ca(HCOを含むスケール生成溶液とした。そして、スケール生成溶液100mlに作製した評価用部材を浸漬し、スケール生成溶液の温度が90℃になるまで昇温した。この操作を各評価用部材につき、その都度、新しいスケール生成溶液を用いて5回繰り返した。その後、スケール生成溶液から評価用部材を取り出し、水洗乾燥後、秤量し、スケール付着前後の重量から、スケール付着量を算出した。
また、評価用部材と同様に作製し、めっき処理していないりん脱酸銅管(基準部材)についても、評価用部材と同様にスケール生成溶液に浸漬し、その後、スケール付着量を算出した。
スケール付着性についての評価基準は、スケール付着量が基準部材の1/3以下であった場合を「優:◎」、スケール付着量が基準部材の1/3を超え半分以下であった場合を「良好:○」、スケール付着量が基準部材の半分を超えた場合、または、めっき層に剥離が確認された場合を「不良:×」と評価した。
Figure 2010163665
表1の結果から、P含有量、めっき層の厚さが範囲内である実施例No.1〜5は、P含有量、めっき層の厚さが範囲外である比較例No.6〜9に比べて、スケール付着性において優れていることが確認された。
(2)第2実施例
第1実施例と同様のりん脱酸銅管の管内外面に、表2に示す組成、厚さのめっき層(NiPSn層)を無電解めっき処理で形成し、評価部材(銅合金部材:実施例No.10〜16)とした。なお、めっき層へのPの導入のためのめっき浴へのホスフィン酸ナトリウム添加量を固定してめっき処理を行った。
作製した評価部材を用いて、第1実施例と同様のスケール付着試験を行い、スケール付着性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2010163665
表2の結果から、めっき層への所定量のSnの導入によって、スケール付着性が向上することが確認された。
(3)第3実施例
第1実施例と同様のりん脱酸銅管の管内外面に、表3に示す組成、厚さのめっき層(NiPCo層)を無電解めっき処理で形成し、評価部材(銅合金部材:実施例No.17〜22、比較例No.23)とした。なお、めっき層へのPの導入のためのめっき浴へのホスフィン酸ナトリウム添加量を固定してめっき処理を行った。
作製した評価部材を用いて、第1実施例と同様のスケール付着試験を行い、スケール付着性を評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2010163665
表3の結果から、めっき層への所定量のCoの導入によって、スケール付着性が向上することが確認された。
(4)第4実施例
第1実施例と同様のりん脱酸銅管の管内外面に、表4に示す組成、厚さのめっき層(NiPZn層)を無電解めっき処理で形成し、評価部材(銅合金部材:実施例No.24〜30)とした。なお、めっき層へのPの導入のためのめっき浴へのホスフィン酸ナトリウム添加量を固定してめっき処理を行った。
作製した評価部材を用いて、第1実施例と同様のスケール付着試験を行い、スケール付着性を評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2010163665
表4の結果から、めっき層への所定量のZnの導入によって、スケール付着性が向上することが確認された。
(5)第5実施例
<実施例>
1本の大径管の内部に2本の小径管を配置した二重管を作製し、二重管の全長の一部を最小半径:100mm、高さ:170mmでらせん状に巻回した。ここで、大径管、小径管としては以下のものを使用した(図2(a)〜(c)参照)。
(大径管)外径:12.7mm、肉厚:0.8mm、長さ:8m、りん脱酸銅(JISH
3300、C1220)製の平滑管。
(小径管)外管の内部に内管を嵌合した二重管。
(外 管)外径:5.5mm、底肉厚:0.6mm、長さ:8m、溝深さ:0.15mm
溝数:50、溝リード角:20°、りん脱酸銅(JISH3300、C122
0)製の内面溝付管。
(内 管)外径:4.0mm、肉厚:0.5mm、長さ:8m、りん脱酸銅(JISH3
300、C1220)製の平滑管。
その二重管の内部(具体的には、大径管の内表面および外管の外表面)にNiめっきをベースにPを4.2質量%含有させたNiP層(厚さ:2.0μm)を無電解めっき処理で形成し、熱交換器とした。
<比較例>
二重管の内部に無電解めっき処理を行わなかったこと以外は、実施例と同様にして熱交換器を作製した。
実施例および比較例で作製した熱交換器を以下の条件で運転し、スケール付着性について評価した。
(運転条件)
水流量 :1.0リットル/分
水中のCaCO濃度:800mg/リットル
冷媒流量 :1.3kg/分
水入側温度:20±2℃
水出側温度:95±2℃(水温一定になるように冷媒条件を操作して制御する)
(スケール付着性の評価方法)
運転開始時の流量1.0リットル/分が2/3になるまで連続通水し、その時間を実施例と比較例とで比較した。
<評価結果>
比較例が98.1時間で規定の流量に到達したのに対し、実施例は約7.8倍の786.2時間であった。したがって、実施例は、比較例に比べて、スケール付着が長期にわたって抑制され、スケール付着性において優れていることが確認された。
1 銅合金部材
2 基材
3 めっき層
11 熱交換器
12 水流路部(大径管)
13 冷媒流路部(小径管)

Claims (5)

  1. 冷媒により水を加熱する熱交換器に使用される銅合金部材であって、
    銅または銅合金からなる基材と、前記基材の少なくとも前記水と接触する側の表面に形成されためっき層とを備え、
    前記めっき層が、Pを0.010〜13.0質量%含有し、残部がNiと不可避的不純物からなり、
    前記めっき層の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする銅合金部材。
  2. 前記めっき層が、更にSnを0.020〜20質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金部材。
  3. 前記めっき層が、更にCoを0.010〜10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金部材。
  4. 前記めっき層が、更にZnを0.010〜10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金部材。
  5. 水が流通する水流路部と、冷媒が流通する冷媒流路部とを備え、前記冷媒により前記水を加熱する熱交換器であって、
    前記水流路部および前記冷媒流路部の少なくとも一方に、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の銅合金部材が使用されていることを特徴とする熱交換器。
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