JP2017166771A - アルミニウム合金製部材及びlng気化器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム合金製部材(伝熱管13、下部ヘッダー管14及びトラフ12)は、アルミニウム合金からなる基材と、当該基材の表面に形成された被膜と、を備えている。当該被膜は、0.8質量%以上20.7質量%以下のマグネシウムと、0.004質量%以上1.20質量%以下のクロムと、を含有し、残部アルミニウム及び不可避不純物からなっている。
【選択図】図1
Description
[LNG気化器]
まず、本発明の実施形態1に係るLNG気化器1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、LNG気化器1の側方から見た構成を模式的に示している。図2は、図1中の線分II−IIに沿ったLNG気化器1の断面構造を模式的に示している。
図3は、伝熱管13の径方向に沿った断面構造を示している。伝熱管13は、LNGが流れる流路7が内部に形成されたものであり、アルミニウム合金からなる基材21と、基材21の表面に形成された被膜22と、を有する。
図4は、下部ヘッダー管14の径方向に沿った断面構造を示している。図5は、トラフ12の断面構造を示している。図4に示すように、下部ヘッダー管14は、LNGが流れる流路33が形成された円筒形状の基材31と、溶射などによって基材31の外面全体に形成された被膜32と、を有する。また図5に示すように、トラフ12は、開口部43が形成された容器である基材41と、溶射などによって基材41の表面全体に形成された被膜42と、を有する。基材31,41は、上記伝熱管13を構成する基材21と同様に、熱伝導性に優れたアルミニウム合金からなる。また被膜32,42は、上記伝熱管13を構成する被膜22と同様のものである。即ち、被膜32,42は、0.8質量%以上20.7質量%以下のMgと、0.004質量%以上1.20質量%以下のCrと、を含有し、残部アルミニウム及び不可避不純物からなるものであり、優れた犠牲防食被膜として機能する。
以上のように、本実施形態に係るアルミニウム合金製部材(伝熱管13、下部ヘッダー管14及びトラフ12)は、基材21,31,41の表面において適量のMg及びCrを含有するアルミニウム合金からなる被膜22,32,42が形成されたものとなっている。このため、低温と常温の温度変化を受け、海水のような腐食性媒体に曝される環境下で使用された場合にも、優れた防食性を発揮することができる。このように、腐食劣化が進行しにくくなることから、各部材を長寿命化し、定期補修の回数を削減することができる。このため、LNG気化器1の安全性向上や維持管理コストの削減を図ることができる。
次に、本発明の実施形態2に係るLNG気化器2について、図6を参照して説明する。LNG気化器2は、加熱源である海水の温度とLNGの温度との間に沸点及び凝縮点を有する中間媒体61を介して熱交換を行う中間媒体気化器(IFV)である。LNG気化器2は、中間媒体蒸発部51と、気化部52と、NG加温部53と、を有する。
上記実施形態1,2では、本発明のアルミニウム合金製部材がLNG気化器1,2における伝熱管13,71,81、下部ヘッダー管14及びトラフ12として用いられる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、本発明のアルミニウム合金製部材は、液化石油ガス(LPG)の気化器における伝熱部材として用いることもでき、またプレート熱交換器における伝熱パネルやフィンアンドチューブ型熱交換器におけるプレートフィンなどの板状の伝熱部材としても用いることができる。
アルミニウム合金製部材の耐膨れ性及び犠牲防食性について、本発明の効果を確認するための評価を行った。まず、図8及び図9に示す2種類の供試材100,101を作製した。図8は、耐膨れ性評価用の供試材であって、アルミニウム合金製部材の健全部を想定したものであり、実用時の初期劣化を評価するために用いた。図9は、犠牲防食性評価用の供試材であって、アルミニウム合金製部材の劣化がある程度進み、基材が露出した状態を想定したものである。
低温と常温による温度変化及び海水の腐食作用に対するアルミニウム合金製部材の防食性を評価する試験として、以下の熱サイクル腐食試験を行った。供試材100,101の溶射被膜が形成された面に対して、液温35℃に調整された人工海水の噴霧を行い、供試材100,101の基材部分のみを液体窒素に浸漬して冷却する工程を1日1回合計3カ月行った。人工海水としては、株式会社ヤシマ製金属腐食試験用アクアマリンにCu2+イオン濃度が1ppmとなるように塩化銅(II)を添加したものを用いた。腐食試験終了後、耐膨れ性評価用の供試材100の外観写真を撮影し、その画像解析により被膜の膨らんだ部分の面積を測定した。
◎:No.1に対する膨れ面積の比率が50未満
○:No.1に対する膨れ面積の比率が50以上75未満
△:No.1に対する膨れ面積の比率が75以上100未満
×:No.1に対する膨れ面積の比率が100以上
[基材露出部における腐食深さの評価基準]
◎:基材露出部の局部腐食なし
○:基材露出部の局部腐食の最大値が10μm未満
△:基材露出部の局部腐食の最大値が10μm以上20μm未満
×:基材露出部の局部腐食の最大値が20μm以上
[腐食消耗量の評価基準]
◎:No.1に対する腐食消耗量の比率が50未満
○:No.1に対する腐食消耗量の比率が50以上75未満
△:No.1に対する腐食消耗量の比率が75以上100未満
×:No.1に対する腐食消耗量の比率が100以上
上記熱サイクル腐食試験の結果は、表1の通りである。表1に示される通り、銅イオンを比較的多く含有する海水環境(1ppm)で温度サイクルが付与された場合でも、0.8質量%以上20.7質量%以下のMgと、0.004質量%以上1.20質量%以下のCrと、を含むアルミニウム合金からなる被膜が形成されたもの(No.2〜29)では、Znのみを含むアルミニウム合金からなる被膜を形成した場合(No.1)に比べて、膨れ面積が小さくなり、基材露出部100Aにおける腐食深さが小さくなり、腐食消耗量も低減された。以上の結果より、本発明のアルミニウム合金製部材によれば、腐食劣化の進行を防ぐことができ、これによりLNG気化器や熱交換器を長寿命化し、またメンテナンス負荷を低減することが可能であることが分かった。
12 トラフ(アルミニウム合金製部材)
13,71,81,91 伝熱管(アルミニウム合金製部材)
14 下部ヘッダー管(アルミニウム合金製部材)
21,31,41 基材
22,32,42,92 被膜
Claims (8)
- アルミニウム合金からなる基材と、
前記基材の表面に形成された被膜と、を備え、
前記被膜は、0.8質量%以上20.7質量%以下のマグネシウムと、0.004質量%以上1.20質量%以下のクロムと、を含有するアルミニウム合金からなることを特徴とする、アルミニウム合金製部材。 - 前記被膜は、50μm以上1000μm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム合金製部材。
- 前記被膜は、0.01質量%以上20質量%以下の亜鉛をさらに含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金製部材。
- 前記被膜は、0.01質量%以上1.0質量%以下の珪素、0.01質量%以上1.0質量%以下の鉄、0.01質量%以上1.0質量%以下の銅、0.01質量%以上1.0質量%以下のマンガン及び0.01質量%以上1.0質量%以下のチタンからなる群より選択される少なくとも一種の元素をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のアルミニウム合金製部材。
- 前記基材は、3000系、5000系及び6000系のうち何れかのアルミニウム合金からなることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のアルミニウム合金製部材。
- 0℃以下の低温環境で使用されることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のアルミニウム合金製部材。
- LNG気化器の伝熱管又はヘッダー管であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のアルミニウム合金製部材。
- 請求項1〜7の何れか1項に記載のアルミニウム合金製部材を備えることを特徴とする、LNG気化器。
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