JP2010163555A - 蛍光体の製造方法及び蛍光体並びにこれを用いた発光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
蛍光体の組成元素を含有する化合物及びセリウム元素を含有する化合物を原料とし、該原料と複数のフラックスとを混合して混合物を得る工程と、この混合物を焼成する工程を備える。また複数のフラックスは、フッ化カルシウムとリン酸塩を含むものとする。これにより蛍光体の粒径を増加させつつその形状を略一様とすることができ、蛍光体各粒体の表面積が増加し、ひいては発光領域の増大となって蛍光体全体における輝度が向上する。また、各粒体における発光領域を略均等として、全体の蛍光体における発光量の偏在を回避でき、発光領域における光束の不均衡を低減し、相対的に色ムラを防止できる。
【選択図】図3
Description
(希土類アルミン酸塩蛍光体)
実施の形態1に係る蛍光体は、希土類アルミン酸塩蛍光体である。希土類アルミン酸塩蛍光体は、母体結晶に希土類元素から選択された1種以上の元素と、アルミニウムとを含有し、かつ希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で賦活された蛍光体であり、短波長側の可視光や紫外線で励起されて緑色から赤色に発光する。この希土類アルミン酸塩蛍光体としては、例えば、Re3(Al1-yGay)5O12:Ce(0≦y≦1、但し、Reは、Y、Gd、Ce、La、Lu、Tb、Sc、Pr、Sm、Euからなる群より選択された少なくとも一つの希土類元素である。)等が挙げられる。また、Ba、Sr、Mg、CaおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することにより結晶性の優れた希土類アルミン酸塩蛍光体を得ることができる。これらの希土類アルミン酸塩蛍光体は励起スペクトルのピークを470nm付近に設定することができる。また発光ピークは530nm付近にあり、720nmまでブロードな発光スペクトルが得られる。
また、実施の形態1の蛍光体は、平均粒径値が5μmないし30μm、好ましくは10μmないし25μmの範囲内にあることが好ましい。また、この平均粒径値を有する蛍光体が、頻度高く含有されていることが好ましい。これにより粒径のバラツキが小さく、光学的に優れた特徴を有する粒径の大きな蛍光体とできる。また、この蛍光体を用いた発光装置においては、より色ムラが抑制された良好な色調を有する発光装置が得られる。発光装置の色ムラが抑制されているため、発光装置間において色バラツキを抑えることができ、発光装置を量産したときの歩留まりも向上できる。また上記の範囲の粒径を有する蛍光体であれば、光の吸収率及び変換効率を高められて好ましい。
また実施の形態1に係る蛍光体の反射率測定には、日亜化学工業製の反射率測定装置を用いた。以下に反射率の測定方法を説明する。光源としてキセノンランプを使用し、光源からの光を第一のモノクロメーターに導入する。導入された光のうち目的とする波長のみを第一のモノクロメーターで選択して反射率を求める試料に照射する。試料で反射された光を第二のモノクロメーターに導入し、第一のモノクロメーターで選択した波長と同一の波長を第二のモノクロメーターでも選択する。第二のモノクロメーターで選択された光を光電子倍増管に導入して光の強度を測定する。引き続いて第一のモノクロメーターおよび第二のモノクロメーターで選択する波長を同期して変化させ、所望の波長範囲での光の強度を測定する。反射率の基準試料としてはリン酸水素カルシウム(CaHPO4)とし、前述の試料と同様の手順で基準試料から反射される光の強度を測定する。測定した光の強度を以下の数式で計算することにより各波長における反射率を求めた。
実施の形態1に係る蛍光体の製造方法は、希土類アルミン酸塩蛍光体の原料にフッ化カルシウム及びリン酸塩を含有した複数のフラックスを混合させ、さらに所定の温度で焼成させることによって、蛍光体の粒径を大きくし、かつその形状を略一様とすることを特長としている。この結果、各粒体当たりの表面積を略均等とし、蛍光体全体の発光領域における発光量の偏在を回避できる。以下に、実施の形態1の蛍光体に係る製造方法の一例を示す。
実施例1の蛍光体は、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化セリウム(CeO2)の粉末を原料とし、さらにフッ化カルシウム(CaF2)、リン酸水素アンモニウム((NH4)2HPO4)をフラックスとして用いた。また、これらの混合比率(モル比)が仕込み組成比においてY2O3:CeO2:Al2O3=1:0.04:1.70(Y:Ce:Al=1:0.02:1.70)となるように各原料を秤量した。一方、フラックスとしてCaF2及び(NH4)2HPO4が全原料の重量比にして、それぞれ0.2wt%及び0.6wt%となるよう計量した。なお、リン酸水素アンモニウムはリン安と表記することができる。
実施例2〜5の蛍光体は、フラックスとして用いるフッ化カルシウムの添加量を、全原料の重量比にして、それぞれ0.5wt%、1.0wt%、2.0wt%、4.0wt%とした以外は実施例1と同様にして得た。
また、別のフラックスを使用した蛍光体を比較例1として挙げる。すなわち実施例1と同様の原料に、フラックスとしてフッ化アルミニウム(AlF3)及びホウ酸(H3BO3)を混合した以外は実施例1と同様の製造方法にて比較例の蛍光体を得た。なお、比較例1の蛍光体は実施例と略同一構造の組成(Y3Al5O12:Ce)を有する。
実施例6の蛍光体は、実施例1の蛍光体を、水洗浄、乾燥、分級処理の工程を行うことにより得た。実施例7〜10の蛍光体は、実施例2〜5の蛍光体を、水洗浄、乾燥、分級処理の工程を行うことによりそれぞれ得た。実施例6〜10の蛍光体について、各フラックス成分、原料混合物に対する各フラックスの添加量、色度座標、輝度に係る光学的特性を以下の表3に示す。
比較例2の蛍光体は、比較例1の蛍光体を、実施例6と同様に、水洗浄、乾燥、分級処理の工程を行うことにより得た。比較例2の蛍光体について、各フラックス成分、原料混合物に対する各フラックスの添加量、色度座標、輝度に係る光学的特性を以下の表3に示す。
実施例11の蛍光体は、実施例1の蛍光体を、水洗浄、乾燥、分級処理の工程及び生成された粒体を酸処理する工程を行うことにより得た。酸処理には塩酸を用いた。実施例12〜15の蛍光体は、実施例2〜5の蛍光体を、水洗浄、乾燥、分級処理の工程及び生成された粒体を酸処理する工程を行うことによりそれぞれ得た。酸処理には塩酸を用いた。実施例11〜15の蛍光体について、各フラックス成分、原料混合物に対する各フラックスの添加量、色度座標、輝度に係る光学的特性を以下の表5に示す。
比較例3の蛍光体は、比較例1の蛍光体を、実施例11と同様に、水洗浄、乾燥、分級処理の工程及び生成された粒体を酸処理する工程を行うことにより得た。比較例3の蛍光体について、各フラックス成分、原料混合物に対する各フラックスの添加量、色度座標、輝度に係る光学的特性を以下の表5に示す。
以下に、励起光源と実施の形態1の蛍光体を搭載した発光装置の例を示す。発光装置には、例えば蛍光ランプ等の照明器具、ディスプレイやレーダ等の表示装置、液晶用バックライト等が挙げられる。また、励起光源としては近紫外から可視光の短波長領域の光を放つ発光素子が好ましい。特に半導体発光素子は、小型で電力効率が良く鮮やかな色の発光をする。また、半導体発光素子は球切れなどの心配がない。さらに初期駆動性が優れ、振動やオン・オフ点灯の繰り返しに強いという特長を有する。ただ、励起光源として、発光素子以外に、既存の蛍光灯に使用される水銀灯等、紫外から可視光の短波長領域に発光ピーク波長を有する励起光源等を適宜利用できる。
発光素子2は、紫外線領域から可視光領域までの光を発することができる。特に240nmないし520nm、好ましくは420nmないし480nm、更に好ましくは445nmないし465nmに発光ピーク波長を有する発光素子を使用し、蛍光物質を効率よく励起することが好ましい。また、励起光源に半導体発光素子を利用することによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。また、以下では発光素子として窒化物半導体発光素子を例にとって説明するが、これに限定されるものではない。
実施の形態1における蛍光体3は、樹脂中にほぼ均一の割合で混合されていることが好ましい。これにより色ムラのない光が得られる。また、上記の蛍光体において、単相から構成されていることが高輝度な発光の観点からは好ましいが、特性が低下しない範囲で他の結晶相あるいは混合物を含有していてもよい。発光装置60から放出される光の輝度及び波長等は、発光装置60内に封止される蛍光体3の粒子サイズ、その塗布後の均一度、蛍光体が含有される樹脂の厚さ等に影響を受ける。具体的には、発光装置60内の部位において、発光素子2から放出される光が、発光装置60の外へ放出されるまでに励起される蛍光体の量やサイズが偏在していれば、色ムラが発生してしまう。また蛍光体粉体において、発光は主に粒子表面で起こると考えられるため、一般的に平均粒径が小さければ、粉体単位重量あたりの表面積を確保でき輝度の低下を回避できる。さらに、小粒蛍光体は光を拡散反射させて発光色の色ムラを防止することも可能である。他方、大粒径蛍光体は光変換効率を向上させる。従って、蛍光体の量及び粒径サイズを制御することで、効率よく光を取り出すことが可能となる。
封止部材18は、発光装置60の凹部内に載置された発光素子2を覆うように透光性樹脂で充填されて形成される。透光性樹脂は、シリコーン樹脂組成物を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の絶縁樹脂組成物を用いることもできる。また、封止部材18には蛍光体3が含有されているが、さらに適宜、添加部材を含有させることもできる。例えば光拡散材を含むことで、発光素子からの指向性を緩和させ、視野角を増大させることができる。
2…発光素子
3…蛍光体
14…凹部
15…リード電極
16…支持体
17…パッケージ
18…封止部材
Claims (9)
- セリウムで賦活された希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
前記希土類アルミン酸塩蛍光体の組成元素を含有する化合物及びセリウム元素を含有する化合物を原料とし、該原料と複数のフラックスとを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を焼成する工程を備えており、
前記複数のフラックスは、フッ化カルシウムとリン酸塩を含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 請求項1に記載の蛍光体の製造方法において、
前記フッ化カルシウムと前記リン酸塩の重量比率を、前記フッ化カルシウム:前記リン酸塩=1:0.1ないし1:6とすることを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 請求項1または2に記載の蛍光体の製造方法において、
前記リン酸塩は、リン酸水素アンモニウムを用いることを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれか一に記載の製造方法において、
前記希土類アルミン酸塩蛍光体は一般式(Y1-xGdx)3(Al1-yGay)5O12:Ce(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)で表される蛍光体であることを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 母体結晶に希土類元素から選択された1種以上の元素と、アルミニウムとを含有し、近紫外ないし青色領域の光を吸収して蛍光を発光可能な蛍光体であって、
カルシウムを500ppm以上16000ppm以下の割合で含有し、
さらにリンを含有していることを特徴とする蛍光体。 - 請求項5に記載の蛍光体において、
前記リンは1000ppm以下の割合で含有していることを特徴とする蛍光体。 - 請求項5または6に記載の蛍光体において、
前記蛍光体は、セリウムを必須とする1種以上の希土類元素で付活された希土類アルミン酸塩蛍光体であることを特徴とする蛍光体。 - 請求項7に記載の蛍光体において、
前記蛍光体は、一般式(Y1-xGdx)3(Al1-yGay)5O12:Ce(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)で表されることを特徴とする蛍光体。 - 近紫外ないし青色領域の間の光を発する励起光源と、
前記励起光源からの光の一部を吸収して蛍光を発光可能な蛍光体と、を有する発光装置であって、
前記蛍光体は、請求項5ないし8のいずれか一に記載の蛍光体を用いることを特徴とする発光装置。
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