JP2010162586A - レーザ加工方法及びレーザ加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】前段のプロセスでレーザ光により基板に形成したパターンと、後段のプロセスでレーザ光によりこの基板に形成するパターンとが接触や間隔ずれを起こさないようにする。
【解決手段】基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動することで基板(K)に所定のパターンを加工形成するレーザ加工方法であって、前段のプロセスで基板(K)に形成された第1パターン(LA1)の形状を特定するデータを倣元線データ(D2)として取得する倣元線データ取得ステップ(S200)と、倣元線データ(D2)に基づいて、後段のプロセスでレーザ光(b2)が辿る軌跡が第1パターン(LA1)の形状に倣う形状となるように、基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動して第2パターン(L1)を形成する第2パターン形成ステップ(S300)とを備える。
【選択図】 図6
【解決手段】基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動することで基板(K)に所定のパターンを加工形成するレーザ加工方法であって、前段のプロセスで基板(K)に形成された第1パターン(LA1)の形状を特定するデータを倣元線データ(D2)として取得する倣元線データ取得ステップ(S200)と、倣元線データ(D2)に基づいて、後段のプロセスでレーザ光(b2)が辿る軌跡が第1パターン(LA1)の形状に倣う形状となるように、基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動して第2パターン(L1)を形成する第2パターン形成ステップ(S300)とを備える。
【選択図】 図6
Description
本発明はレーザ加工方法及びレーザ加工装置に関する。より詳しくは、基板とレーザ光とを相対駆動することで基板に所定のパターンを加工形成する方法及び装置に関する。
薄膜太陽電池パネルを製造するためのレーザパターニングプロセスは、一般的には大きく4つのプロセスに別けることができる。即ち、第1プロセスは、図15(A)に示すように、透明ガラスKtの上(図では下)に成膜されたTCO膜(Transparent Conducting Oxide:酸化物透明導電膜)Kj1をレーザ光b1によりスクライブするプロセスである。第2プロセスは、図15(B)に示すように、TCO膜Kj1の上に成膜されたアモルファスシリコン膜Kj2だけを選択的にレーザ光b2によりスクライブするプロセスである。第3プロセスは、図15(C)に示すように、アモルファスシリコン膜Kj2と、アモルファスシリコン膜Kj2の上に成膜された金属膜Kj3だけを選択的にレーザ光b3によりスクライブするプロセスである。第4プロセスは、図15(D)に示すように、TCO膜Kj1とアモルファスシリコン膜Kj2と金属膜Kj3との全てをレーザ光b4により同時にスクライブするプロセスである。第1プロセスと第2プロセスとの間には、アモルファスシリコン膜Kj2を成膜するプロセスが別途存在し、第2プロセスと第3プロセスの間には、金属膜Kj3を成膜するプロセスが別途存在する。
上記した各プロセスでは、スクライブする対象膜の材料(回路形成用材料)が異なっても、その加工方法は、レーザ光の波長を変えることの他は、基本的には同じである。即ち、成膜されたガラス基板Kとレーザ光を照射するレーザ照射ヘッドとを相対駆動することで対象膜に複数の真っ直ぐなスクライブ線を形成して行く(例えば下記特許文献1)。これにより、各層の材料は、それぞれスクライブ線LA1,L1,LB1,LC1を境に、隣り合う材料と縁切りされる。これらスクライブ線LA1,L1,LB1,LC1は、隣合う同一層間の絶縁や、上下の異質層の導通の役割を担う領域であり、発電には寄与しない所謂デッドゾーンである。
一般に薄膜太陽電池パネルの製造ラインでは、上記した第1から第4プロセスは、プロセス毎に個々のレーザスクライブ装置に分けて、例えば延べ4台の装置で段階的に順次行われることが多い。このような場合、個々の装置では真っ直ぐ且つ平行なスクライブ線を形成することができたとしても、個々の装置毎に存在しているメカ精度等のばらつきにより、次のような不都合が生じる。
例えば、第2プロセスで形成しているスクライブ線L1が、第1プロセスで形成したスクライブ線LA1のずれ方向に近づく方向にずれた場合などは、それぞれのずれ量としては互いに少なくても、スクライブ線LA1,L1同士が接触してしまう畏れがある。これら2つのスクライブ線LA1,L1間の距離d(図15(B)参照)は、一般に数10μm程度と狭いからである。また、互いに遠ざかる方向へずれた場合でも、接触はしないが、スクライブ線LA1とスクライブ線L1との間隔dが拡がることでデッドゾーンが拡がり、その結果、薄膜太陽電池パネルの発電効率(変換効率)が低下することになる。
従って、このようなレーザスクライブプロセスでは、プロセス毎に設置されたレーザスクライブ装置が、それぞれ真っ直ぐなスクライブ線を形成できることも重要であるが、後段のプロセスで形成するスクライブ線L1が、前段のプロセスで形成したスクライブ線LA1の形状または位置関係との兼ね合いを考慮して、その前段のスクライブ線LA1との接触や間隔ずれ等を起こさないことも重要である。
このように、前段のプロセスで形成したパターンと、後段のプロセスで形成するパターンとが接触したり間隔ずれを起こしたりすること無く、パターンを形成可能とする技術は、太陽電池パネルの製造プロセスにおけるレーザパターニングプロセス以外でも求められる。例えば液晶パネルやプラズマディスプレイパネル、フレキシブルパネル、その他シート材料の製造プロセスなどである。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、前段のプロセスでレーザ光により基板に形成したパターンと、後段のプロセスでレーザ光によりこの基板に形成するパターンとが接触や間隔ずれを起こさないようにできるレーザ加工方法及びレーザ加工装置を提供することを目的とする。
上記目的は、下記の本発明により達成される。なお本欄(「課題を解決するための手段」)において各構成要素に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
請求項1の発明は、基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動することで基板(K)に所定のパターンを加工形成するレーザ加工方法であって、前段のプロセスで基板(K)に形成された第1パターン(LA1)の形状を特定するデータを倣元線データ(D2)として取得する倣元線データ取得ステップ(S200)と、倣元線データ(D2)に基づいて、後段のプロセスでレーザ光(b2)が辿る軌跡が第1パターン(LA1)の形状に倣う形状となるように、基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動して第2パターン(L1)を形成する第2パターン形成ステップ(S300)とを備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記基板(K)には、少なくとも一方の面に複数層からなる回路形成用材料(Kj)が成膜され、倣元線データ取得ステップ(S200)では、第1層目の回路形成用材料(Kj1)に形成された第1パターン(LA1)の倣元線データ(D2)を算出・記憶し、第2パターン形成ステップ(S300)では、倣元線データ(D2)に基づいて、第2層目の回路形成用材料(Kj2)に第2パターン(L1)を形成する。
請求項3の発明では、前記基板(K)は、薄膜太陽電池パネルの製造に用いる回路形成用材料(Kj)が成膜されたガラス基板からなり、前記レーザ光(b2)は、回路形成用材料(Kj)をスクライブ可能な強さとされ、薄膜太陽電池パネルを製造するプロセスに用いられる。
請求項4の発明は、基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動することで基板(K)に所定のパターンを加工形成するレーザ加工装置(1)であって、前段のプロセスで基板(K)に形成された第1パターン(LA1)の形状を特定するデータを倣元線データ(D2)として取得する倣元線データ取得手段(77,9)と、倣元線データ(D2)に基づいて、後段のプロセスでレーザ光(b2)が辿る軌跡が第1パターン(LA1)の形状に倣う形状となるように、基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動して第2パターン(L1)を形成する第2パターン形成手段(7)とを備えることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記基板(K)には、少なくとも一方の面に複数層からなる回路形成用材料(Kj)が成膜され、倣元線データ取得手段(77,9)は、第1層目の回路形成用材料(Kj1)に形成された第1パターン(LA1)を撮像する撮像手段(77)と、倣元線データ(D2)を算出・記憶する算出・記憶手段(9)とを備え、第2パターン形成手段(7)は、倣元線データ(D2)に基づいて、第2層目の回路形成用材料(Kj2)に第2パターン(L1)を形成する。
請求項6の発明では、前記基板(K)は、薄膜太陽電池パネルの製造に用いる回路形成用材料(Kj)が成膜されたガラス基板からなり、回路形成用材料(Kj)をスクライブ可能なレーザ光(b)を照射するレーザ照射ヘッド(73)を備え、薄膜太陽電池パネルを製造するプロセスに用いられる。
本発明によると、前段のプロセスでレーザ光により基板に形成したパターンと、後段のプロセスでレーザ光によりこの基板に形成するパターンとが接触や間隔ずれを起こさないようにできる。
請求項1,4の発明によると、第2パターン(L1)は、次のようにして形成される。即ち、取得した倣元線データ(D2)に基づいて、後段のプロセスでレーザ光(b2)が辿る軌跡が第1パターン(LA1)の形状に倣う形状となるように、基板(K)とレーザ光(b2)とを相対駆動することにより形成される。これにより、基板(K)の面には、第1パターン(LA1)に倣った形状の第2パターン(L1)が形成される。例えば、第1パターン(LA1)がスクライブ線であり、これが多少曲がっていた場合、後段のスクライブ線となる第2パターン(L1)は、真っ直ぐに形成されるのでなく、第1パターン(LA1)と同じ形状で曲がって形成される。従って、前段のプロセスでレーザ光(b1)により基板(K)に形成した第1パターン(LA1)と、後段のプロセスでレーザ光(b2)によりこの基板(K)に形成する第2パターン(L1)とが接触や間隔ずれを起こさないようにできる。
請求項2,5の発明によると、前記基板(K)には、少なくとも一方の面に回路形成用材料(Kj)が複数層に亘って成膜され、第1層目の回路形成用材料(Kj1)に形成された第1パターン(LA1)と、第2層目の回路形成用材料(Kj2)に形成される第2パターン(L1)とが接触や間隔ずれを起こさないようにできる。従って、前段のプロセスで形成したパターンと、後段のプロセスで形成するパターンとを近接させた状態で形成されるプロセス、例えば薄膜太陽電池パネル、液晶パネルやプラズマディスプレイパネル、フレキシブルパネル、その他シート材料の製造プロセスへの適用に好適である。
請求項3,6の発明によると、薄膜太陽電池パネルにおける各スクライブ線の接触や間隔ずれを起こさないようにできる。その結果として、発電効率の高い薄膜太陽電池パネルを生産可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明に係るレーザスクライブ装置1の外観斜視図、図2はレーザスクライブ装置1の主要部を示す平面図、図3はレーザスクライブ装置1の主要部を示す正面図、図4はレーザユニット7を示す斜視図である。これら各図において、直交座標系の3軸をX,Y,Zとし、ガラス基板Kの移送方向をY方向、水平面でY方向に直交する方向をX方向、鉛直方向をZ方向、鉛直軸周りの回転方向をθ方向とする。また、図1の紙面手前側を上流とし、紙面奥側を下流とする。つまり、図2,3では紙面に向かって左側が上流、右側が下流となる。また、XY各方向の向きを更に左右または前後に区別して説明する必要がある場合は、先頭に「+」または「−」の符号を付して示す。例えば、ガラス基板Kの移送方向であるY方向のうち、スクライブ線の形成動作中における移送方向を「+Y方向」、スクライブ線の形成動作後における移送方向を「−Y方向」などと記す。
また、図5はレーザスクライブ装置1おける制御装置9と各種構成部との接続を示す接続図、図6は本発明の要部を説明するための図、図7はヘッド駆動部74及びニップ群駆動部52の駆動方向の関係を示す図、図8はレーザスクライブ装置1によりスクライブ線が形成されたガラス基板Kを示す三面図である。なお、図6において、A図は倣元線データ取得時の動作状態を示し、B図はスクライブ線形成時の動作状態を示す。また、図8においてA図が平面図、B図が側面図、C図が正面図である。
レーザスクライブ装置1は、片面に回路形成用材料Kj(図8参照)が成膜されたガラス基板Kを、所定強度のレーザ光で走査することによって、目的の回路パターンに応じたスクライブ線を形成していくように構成される。本形態では、スクライブ対象となる回路形成用材料は、透明ガラスKtの上(図では下)に成膜されたTCO膜Kj1の上(図では下)に成膜されたアモルファスシリコン膜Kj2とする。TCO膜Kj1には、前段プロセスにおける別のレーザスクライブ装置により、既にスクライブ線LA1,LA2,・・・が形成されているものとする。なお、これらスクライブ線LA1,LA2,・・・は、図8(A)に示すように、ガラス基板Kの長辺方向から若干傾いて形成されたものとする。レーザスクライブ装置1は、このTCO膜Kj1の上のアモルファスシリコン膜Kj2にスクライブ線L1,L2,・・・を形成する装置として使用される。特に、このレーザスクライブ装置1は、ガラス基板Kにおける回路形成用材料Kjの成膜面を下に向けた状態でスクライブ線の形成を行うタイプである。また、ガラス基板Kをエアーにより浮上支持した状態で+Y方向に移動させながら、スクライブ線を形成していくように構成される。
具体的には、レーザスクライブ装置1は、図1に示すように、機台2、浮上ステージ3、リフタユニット4、移送ユニット5、基板位置決め装置6、レーザユニット7、集塵ユニット8及び制御装置9などを備える。また、レーザスクライブ装置1の上流外側には、浮上ステージ3へのガラス基板Kの搬入出を行う搬入出ロボット10が設置される。以下、レーザスクライブ装置1の各構成要素について説明する。
機台2は、レーザスクライブ装置1の主構成部を支持する支持体であり、台座部21及び門型フレーム22を備える。台座部21は浮上ステージ3及び移送ユニット5などを支持し、門型フレーム22はレーザユニット7におけるレーザ照射ヘッド73及びヘッド駆動部74などを支持している。従来の機台2は、十分な剛性や平面精度を確保し且つ温度変化に伴う変形を最小限に抑えるために、グラナイト等の石材とすることが好ましかったが、本形態では装置コストの低減を図るため、ステンレス鋼等の金属を材質としている。
浮上ステージ3は、その表面から噴出させたエアーにより、スクライブ対象となるガラス基板Kを浮上支持する部材であり、主ステージ31及び副ステージ32を備える。主ステージ31は、レーザスクライブ装置1内における上流側と下流側とにそれぞれ1台ずつ配設される。その配置は、上流と下流の各主ステージ31間に所定の空間を保つようになされる。
主ステージ31は、具体的には、図2に示すように、Y方向に長い長尺の浮上ユニット311をX方向に所定間隔あけて複数台配設した、簀子状をなす構成とされる。各浮上ユニット311の表面には、多数のエアー噴出孔311hが穿設される。これらエアー噴出孔311hは、圧空ポンプ等を備えるブロワーユニット33に配管接続され、ブロワーユニット33から供給された所定圧力のエアーを上向きに噴出し、このエアーでガラス基板Kを浮上支持するようになっている。噴出するエアーの圧力は、浮上対象とするガラス基板Kが撓むことなく且つ安定した状態を維持される大きさとされる。
副ステージ32は、上流と下流の主ステージ31間で、X方向に長い長尺の浮上ユニット321をY方向に所定間隔あけた状態で2台配設した構成とされる。2台の浮上ユニット321間に形成される空間部分は、その上方にあるレーザ照射ヘッド73によりスクライブ加工がされたときに落下するパーティクル(アモルファスシリコン膜Kj2のスクライブ屑)の回収穴として機能する。浮上ユニット321についても浮上ユニット311と同様に、表面には多数のエアー噴出孔321hが穿設され、これらエアー噴出孔321hは、ブロワーユニット33から供給された所定圧力のエアーを上向きに噴出するようになっている。副ステージ32は、後述するように、ガラス基板Kが+Y方向への移動により、上流側の主ステージ31による浮上支持から下流側の主ステージ31による浮上支持に移り変わるときの動作、及びそれとは逆にガラス基板Kが−Y方向への移動により、下流側の主ステージ31による浮上支持から上流側の主ステージ31による浮上支持に移り変わるときの動作をスムーズ且つ確実とするために設けてある。
リフタユニット4は、スクライブ対象となるガラス基板Kの受取り、及びスクライブ済みのガラス基板Kの引渡しを行う装置であり、ピンフレーム41及びフレーム駆動部42を備える。
ピンフレーム41は、受取り及び引渡しの対象となるガラス基板Kのサイズに応じた略「日」の字状の枠体であり、図2に示すように、平面視がそれぞれ略「口」の字状の周囲枠41aと、略「一」の字状の中央枠41bとを備える。周囲枠41aには、複数のリフトピン43がそれぞれ隣合うもの同士で所定間隔をあけるように立設されている。リフトピン43は、その先端部でガラス基板Kにおける額縁部Kf(図8参照)の下面に当接してこのガラス基板Kを支持可能なピン部材である。この額縁部Kfは、ガラス基板Kの外側周囲に所定幅をもって形成される領域であり、回路形成用材料Kjが成膜されていないか、または、成膜されていたとしても、リフトピン43の先端部が当接した場合に最終製品に影響を及ぼさない領域である。
フレーム駆動部42は、ピンフレーム41をZ方向に昇降駆動するように構成され、例えば中央枠41bに取り付けられた回転ボールネジ機構などにより実現される。フレーム駆動部42がピンフレーム41を駆動することにより、リフトピン43は、図3に示す上限位置P1と下限位置P2とに選択的に配置可能とされる。上限位置P1は、搬入出ロボット10からスクライブ加工の対象となるガラス基板Kを受け取るとき、またはスクライブ加工の済んだガラス基板Kを搬入出ロボット10に引き渡すときに配置される位置であり、リフトピン43の先端部が浮上ステージ3の表面よりも十分に高くなる位置である。下限位置P2は、ガラス基板Kの搬入出以外のとき、例えばスクライブ線の形成時などリフトピン43を使用しないときにこれらリフトピン43を退避させておく位置であり、リフトピン43の先端部が浮上ステージ3の表面よりも低くなる位置である。
リフトピン43は、ガラス基板Kを受け取った後に下降するが、このときの下降速度は、次のように設定されている。即ち、リフトピン43が上限位置P1から浮上面上方位置P3(次述)に移るときの下降速度をU1とし、浮上面上方位置P3から浮上面位置P4(同じく次述)に移るときの下降速度をU2とするとき、U2<U1の関係がある。より好ましくはU2<U1/2である。なお、浮上面上方位置P3は、リフトピン43の先端部が浮上面位置P4よりも若干高く且つ上限位置P1よりも低くなる位置である。浮上面位置P4は、浮上ステージ3におけるエアー噴出口311h,321hから噴出するエアーにより、ガラス基板Kが浮上支持されているときの高さ位置である。
移送ユニット5は、ガラス基板Kを片持ち支持した状態でこれをY方向に移動可能に構成された装置であり、ニップ群51とニップ群駆動部52とを備える。
ニップ群51は、合計4個のニップ53がY方向に沿ってそれぞれ所定間隔をあけて1列状に一体的に配置されてなり、各ニップ53がガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺を掴んでこのガラス基板Kを片持ち支持できるように構成される。具体的には、各ニップ53は、上下一対の可動爪を有する。この可動爪は、制御装置9から送られる信号に基づいて、上下方向に圧空作用等により同期駆動可能に構成され、これにより開閉自在とされる。可動爪を開くのは、ガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺を掴む直前である。可動爪を閉めるのはガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺を掴むとき、または各ニップ51を退避させているたときである。ガラス基板Kを掴む直前以外は、指の挟み込み防止等の安全性確保のため、基本的には可動爪は閉めた状態とされる。
また、ニップ群51は、サーボモータ等の駆動装置によりX方向に駆動されて、図2に示す保持位置P5と回避位置P6とに選択的に配置可能とされる。保持位置P5は、リフトピン43により支持されたガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺がニップ53の開口領域に入る位置である。回避位置P6は、上記保持位置P5に対して、−X方向側にあり、ガラス基板Kを掴まないときに配置される位置である。また、各ニップ53は、それぞれ独立してサーボモータ等の駆動装置によりZ,θ各方向にも駆動可能とされる。Z方向の駆動は、主にニップ53の高さ補正時になされる。θ方向の駆動は、主にニップ53のθ方向の取付け角度補正時になされる。
ニップ群駆動部52は、上記ニップ群51をY方向へスライド駆動自在とする装置であり、具体的には台座部21の一方側にY方向に沿って配設されたリニアモータ52Yを主要構成としている。リニアモータ52Yが作動することにより、ニップ群51は図2,3に示す受取位置P7と待避位置P8とに選択的に配置可能とされる。受取位置P7は、搬入出ロボット10から搬入されたガラス基板KのX方向範囲内(短辺範囲内)に全てのニップ53が含まれる位置であり、浮上ステージ3の上流側にある。また、待避位置P8は、安全性確保のために全てのニップ53を待避させておくための位置であり、浮上ステージ3の下流側にある。ガラス基板Kを移送する動作を行うとき以外は、腕の挟み込み防止等の安全性確保のため、基本的には4つのニップ群51は待避位置P8に配置される。
基板位置決め装置6は、浮上ステージ3の上流側におけるX方向両側に設けられ、ガラス基板Kにおける2つの短辺側の端面にそれぞれ押し当て可能な押当てローラ61と、押当てローラ61をX方向に駆動するエアーシリンダ62とを備える。この基板位置決め装置6は、位置決め時に、両方のエアーシリンダ62を同時に伸ばすことで、ガラス基板Kにおける2つの短辺側の端面を押当てローラ61により挟み込むことで、ガラス基板Kの位置決めを行うようになっている。そして位置決めが終わったら、両方のエアーシリンダ62を同時に縮めることで、各押当てローラ61をガラス基板Kから離すようになっている。
レーザユニット7は、ニップ群51及び浮上ステージ3により支持され且つ+Y方向に移送されるガラス基板Kに対し、その上方からレーザ光b2を照射・走査することで、ガラス基板Kの下面に成膜された回路形成用材料Kj(アモルファスシリコン膜Kj2)をスクライブして所定のスクライブ線を形成するように構成される。具体的には、図1,4に示すように、レーザ発振器71、照射光学系72、レーザ照射ヘッド73及びヘッド駆動部74などを備える。
レーザ発振器71は、ガラス基板Kに成膜された回路形成用材料Kj(アモルファスシリコン膜Kj2)をスクライブするためのレーザ光b2を発する光源装置であり、例えば発振波長が、355nm〜1064nm、出力が1〜20W程度のNd−YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザまたはNd−YVO4(イットリウム・バナデート)レーザなどを用いることができる。
照射光学系72は、レーザ発振器71から発したレーザ光b2を、レーザ照射ヘッド73に導くように構成され、反射ミラー722a〜722h、ビームエキスパンダー723及びアッテネータ724などを備える。上記レーザ光b2は、レーザ発振器71から出射するレーザ光b2の光軸上に設けられたメカシャッター721が開閉することにより、レーザ照射ヘッド73への導光のオンオフが切替えられるようになっている。メカシャッター721の開閉は、制御装置9から送られる信号に基づいて行われる。また、上記反射ミラー722f〜722hは、ボックス76に収容された状態で、リニアモータ76Xによりレーザ照射ヘッド73と同期してX方向に駆動可能とされ、光路長補正部を形成している。このような可動なボックス76により光学系の一部をレーザ照射ヘッド73から切り離すことにより、次に示すレーザ照射ヘッド73内の収容物を少なくし、その重量を軽くすることで、駆動源となるヘッド駆動部74の負荷を少なくしている。それとともに、動作の追従性及び応答性を良くし、精密な微調整を可能としている。
レーザ照射ヘッド73は、照射光学系72を介して導かれたレーザ発信器71からのレーザ光b2を、ガラス基板Kの面に垂直ビームとして照射するように構成される。具体的には、レーザ光b2の照射口となるレーザ照射窓735を備える光学ボックス体からなり、その内部に、折り返しミラー731、フォーカスレンズ732及び集光レンズ733を収容している。レーザ照射ヘッド73は、次述するヘッド駆動部74により、X方向及びY方向にそれぞれ独立して駆動(走行・停止)自在とされる。また、レーザ照射ヘッド73の側壁には、撮像カメラ77が取り付けられている。撮像カメラ77は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子) 等の撮像素子を有し、撮像によって取得した画像データD1を制御装置9へ出力可能に構成される。撮像カメラ77の取付けは、その撮像方向を下方に向けた状態とされる。これにより、ガラス基板Kに形成されたスクライブ線LA1を、X方向に走行しながら撮像できるようにしている。制御装置9ではこの画像データD1に基づいて「倣元線データD2」の算出・記憶処理を行う。その詳細は後述する。
ヘッド駆動部74は、リニアモータ74X及びリニアモータ74Yを主構成としている。具体的には、リニアモータ74Xは、門型フレーム22の上部にその長手方向(X方向)に沿って取り付けられる。このリニアモータ74Xは、X方向に駆動される可動テーブル(図示せず)を有する。リニアモータ74Yは、この可動テーブル上にY方向に沿って設けられる。これによりレーザ照射ヘッド73は、X方向及びY方向へ同時且つ独立に駆動可能とされる。レーザ照射ヘッド73の可動範囲は、図3に示すように、−Y方向の限界位置である初期位置P9と+Y方向の限界位置である終端位置P10との間とされる。レーザ照射ヘッド73は、上記したように非常に軽量に製作されているため、その停止・発進に要する負荷が小さい。このため、ヘッド駆動部74は、高出力の駆動源や制動力の強いブレーキが必要とならず、装置のコストダウンを図ることができる。また、停止・発進時は、駆動源からの発熱が少ない。従って、その発熱の影響により装置細部が膨張することで、位置精度の経時変化が発生し、精度不良の原因となることも極めて少ない。
集塵ユニット8は、図1に示すように、その上方にあるレーザ照射ヘッド73によりスクライブ加工がなされたときにガラス基板Kの下面から落下するパーティクル(アモルファスシリコン膜Kj2のスクライブ屑)を回収するように構成され、具体的には、受け皿81及び真空チャンバー83を備える。受け皿81は、レーザ照射ヘッド73がX方向に移動する範囲の下方に設けられ、配管82を介してチャンバー83に接続される。このような構成により、レーザスクライブにより受け皿81に落下したパーティクルは、真空吸引により真空チャンバー83内に回収される。スクライブ動作中は、真空チャンバー83は基本的に常に吸引作動している。
制御装置9は、図5に示すように、レーザスクライブ装置1が一連のスクライブ動作を行なうように、各種命令や条件の入力、それら入力に応じた演算処理、及びこの演算処理結果に基づく各駆動系等への適切な制御信号の出力などを可能に構成される。具体的には、図6に示すように、タッチパネル等の入出力装置91、メモリ装置を主体とした記憶部92、マイクロプロセッサを主体とした演算処理部93、レーザスクライブ装置1における各駆動系及び搬入出ロボット10とデータ通信を行う適当なインターフェイス回路96、並びにこれらハードウエアを動作させるためのコンピュータプログラムを組み込んだハードディスク装置95などから構成される。演算処理部93は、撮像カメラ77で取り込んだスクライブ線LA1の画像データD1(図6(A)参照)に基づいて、倣元線データD2の算出処理を行う。この倣元線データD2は、スクライブ線LA1の形状を特定するデータであり、スクライブ線LA1のX,Y各座標を基に算出される。そして、後段のプロセス(つまり第2プロセス)で形成するスクライブ線L1を、スクライブ線LA1に倣う形状で形成する手段である。演算処理部93で算出された倣元線データD2は、記憶部92に記憶される。これらの詳細については、後述の動作説明の欄で説明する。
搬入出ロボット10は、浮上ステージ3に対するガラス基板Kの搬入出を行う構成とされ、図1に示すように、吸着ハンド11、アーム12、バキュームポンプ13、モータ14及び操作パネル17を備える。吸着ハンド11は、枠体15に2次元状に配列された複数の吸引パッド16を備える。これら吸引パッド16は、それぞれの吸着面を同一平面としており、これにより平面体であるガラス基板Kの上面(非成膜面)を複数箇所で同時に吸着可能になっている。各吸引パッド16は、バキュームポンプ13の作動により吸引圧が生じるようになっている。そして、吸着ハンド11は、操作パネル17からの命令に応じてモータ14が駆動され、アーム12を介してXYZθ各方向に移動自在に構成される。
次に、レーザスクライブ装置1の動作について説明する。
図9はレーザスクライブ装置1の基本動作の概要及び倣元線データ取得ステップS200の動作手順を示すフローチャート、図10はガラス基板搬入ステップ100の動作手順を示すフローチャート、図11はスクライブステップ300の動作手順を示すフローチャート、図12はガラス基板搬出ステップ500の動作手順を示すフローチャート、図13はレーザスクライブ装置1の基本動作を示すタイムチャート、図14はスクライブ動作を示すタイムチャートである。なお、図9においてA図はレーザスクライブ装置1の基本動作の概要を示し、B図は倣元線データ取得ステップの動作手順を示す。また、図13において、動作速度の可変を意識していない軸(可動部)については、オンオフの表記だけになっており加減速は表記していない。リフトピン43のみ動作速度を動作途中で可変としている。
図9(A)に示すように、レーザスクライブ装置1の基本動作は、ガラス基板搬入ステップS100、倣元線データ取得ステップS200、スクライブステップS300、ガラス基板搬出ステップS500の順で行われる。以下、各ステップの動作内容について順を追って説明する。
なお、以下の説明では、レーザスクライブ装置1の初期状態は、次のとおりであるとする(図13の各グラフにおける時間軸の左方参照)。即ち、浮上ステージ3からは、浮上エアーが常に吹き出した状態である。リフトピン43は上限位置P1にある。ニップ群51は待避位置P8にある。各ニップ53は閉じている。基板位置決め装置6は引っ込んだ状態である。スクライブ対象となるガラス基板Kは、成膜面を下向きにして台車或いはパレットに載った状態である。
〔S100.ガラス基板搬入〕
まず、図10,13を参照してガラス基板搬入ステップS100について説明する。
まず、図10,13を参照してガラス基板搬入ステップS100について説明する。
〔S110.ガラス基板受入れ(図13のt1〜t2)〕
オペレータは、搬入出ロボット10を操作してガラス基板Kをレーザスクライブ装置1に搬入する。具体的には、操作パネル17を用いて次のようにアーム12を動かす。まず、台車或いはパレットに載ったガラス基板Kの上方に吸着ハンド11が来るようにする。次いで、この吸着ハンド11をガラス基板Kにおける非成膜面の高さまで下降させる。次いで、ガラス基板Kにおける非成膜面の複数箇所を、吸着ハンド11における吸着パッド16で吸着させる。次いで、アーム12を動かし、吸着ハンド11が吸着保持したガラス基板Kを、浮上ステージ3の上流側位置に持ってくる。次いで、吸着ハンド11による吸着保持を解除し、ピンフレーム41に付いているガイド(図示せず)に沿わせて、手動にてガラス基板Kの額縁部Kfの下面をリフトピン43の先端部に載せる。
オペレータは、搬入出ロボット10を操作してガラス基板Kをレーザスクライブ装置1に搬入する。具体的には、操作パネル17を用いて次のようにアーム12を動かす。まず、台車或いはパレットに載ったガラス基板Kの上方に吸着ハンド11が来るようにする。次いで、この吸着ハンド11をガラス基板Kにおける非成膜面の高さまで下降させる。次いで、ガラス基板Kにおける非成膜面の複数箇所を、吸着ハンド11における吸着パッド16で吸着させる。次いで、アーム12を動かし、吸着ハンド11が吸着保持したガラス基板Kを、浮上ステージ3の上流側位置に持ってくる。次いで、吸着ハンド11による吸着保持を解除し、ピンフレーム41に付いているガイド(図示せず)に沿わせて、手動にてガラス基板Kの額縁部Kfの下面をリフトピン43の先端部に載せる。
〔S120.ニップ群を受取位置へ移動(図13のt3)〕
ガラス基板Kがリフトピン43の先端部で支持されると、ニップ群51は待避位置P8から受取位置P7へ移動する。具体的には、リニアモータ52Yが、制御装置9から送られた信号に基づいて、ニップ群51を−Y方向に駆動する。これにより、安全確保のため待避位置P8に待避していたニップ群51は、受取位置P7に配置される。
ガラス基板Kがリフトピン43の先端部で支持されると、ニップ群51は待避位置P8から受取位置P7へ移動する。具体的には、リニアモータ52Yが、制御装置9から送られた信号に基づいて、ニップ群51を−Y方向に駆動する。これにより、安全確保のため待避位置P8に待避していたニップ群51は、受取位置P7に配置される。
〔S130.ニップを開く(図13のt4)〕
ニップ群51が受取位置P7に配置されると、各ニップ53は、制御装置9から送られた信号に基づいて、閉じていた可動爪を開く。
ニップ群51が受取位置P7に配置されると、各ニップ53は、制御装置9から送られた信号に基づいて、閉じていた可動爪を開く。
〔S140.ニップ群を保持位置へ移動(図13のt5)〕
各ニップ53が受取位置P7で開くと、ニップ群51は、回避位置P6から保持位置P5に移る。具体的には、ニップ群51は、制御装置9から送られた信号に基づいて、+X方向に駆動され、これにより、回避位置P6から保持位置P5に配置される。このとき、各ニップ53は、それぞれにおける上下の可動爪間の空間に、ガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺が入った状態となる。
各ニップ53が受取位置P7で開くと、ニップ群51は、回避位置P6から保持位置P5に移る。具体的には、ニップ群51は、制御装置9から送られた信号に基づいて、+X方向に駆動され、これにより、回避位置P6から保持位置P5に配置される。このとき、各ニップ53は、それぞれにおける上下の可動爪間の空間に、ガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺が入った状態となる。
〔S150.リフトピンを下降(図13のt6,t7,t8)〕
可動爪を開いたニップ群51が保持位置P5に配置されると、リフトピン43が下降する。これにより、ガラス基板Kは、浮上ステージ3でエアー支持されつつ、浮上面位置P4まで下降する。具体的には、フレーム駆動部42は、制御装置9から送られた信号に基づいて、ピンフレーム41を下降駆動する。この下降駆動は、次のように行う。即ち、まず、リフトピン43はガラス基板Kを支持した状態で、上限位置P1から浮上面上方位置P3まで速度U1で下降する(図13のt6〜t7)。ガラス基板Kが浮上面上方位置P3まで速度U1で下降した後は、浮上面位置P4まで速度U2(<U1)で下降する(図13のt7〜t8)。このようにガラス基板Kを下降させるに際し2段階の速度を用い、U2<U1というように、浮上面位置P4の近傍で低速としたのは、浮上ステージ3の直上での急激な下降により浮上ステージ3とガラス基板Kとが接触してしまうことを防止するためである。リフトピン43が速度U2で下降した後、浮上面位置P4となり、ガラス基板Kが浮上面位置P4で浮上支持されると、リフトピン43は一旦停止する(図13のt8→t12)。この段階でガラス基板Kは、リフトピン43と浮上ステージ3から噴出されたエアーとにより支持されている。
可動爪を開いたニップ群51が保持位置P5に配置されると、リフトピン43が下降する。これにより、ガラス基板Kは、浮上ステージ3でエアー支持されつつ、浮上面位置P4まで下降する。具体的には、フレーム駆動部42は、制御装置9から送られた信号に基づいて、ピンフレーム41を下降駆動する。この下降駆動は、次のように行う。即ち、まず、リフトピン43はガラス基板Kを支持した状態で、上限位置P1から浮上面上方位置P3まで速度U1で下降する(図13のt6〜t7)。ガラス基板Kが浮上面上方位置P3まで速度U1で下降した後は、浮上面位置P4まで速度U2(<U1)で下降する(図13のt7〜t8)。このようにガラス基板Kを下降させるに際し2段階の速度を用い、U2<U1というように、浮上面位置P4の近傍で低速としたのは、浮上ステージ3の直上での急激な下降により浮上ステージ3とガラス基板Kとが接触してしまうことを防止するためである。リフトピン43が速度U2で下降した後、浮上面位置P4となり、ガラス基板Kが浮上面位置P4で浮上支持されると、リフトピン43は一旦停止する(図13のt8→t12)。この段階でガラス基板Kは、リフトピン43と浮上ステージ3から噴出されたエアーとにより支持されている。
〔S160.ガラス基板の位置決め(図13のt9)〕
ガラス基板Kがリフトピン43とエアーとにより支持されると、基板位置決め装置6は、制御装置9から送られた信号に基づいて、エアーシリンダ62を伸ばし、押当てローラ61がガラス基板Kの両端面を押す。これにより、予め決められた位置にガラス基板Kが配置される。
ガラス基板Kがリフトピン43とエアーとにより支持されると、基板位置決め装置6は、制御装置9から送られた信号に基づいて、エアーシリンダ62を伸ばし、押当てローラ61がガラス基板Kの両端面を押す。これにより、予め決められた位置にガラス基板Kが配置される。
〔S170.ニップを閉じる(図13のt10)〕
ガラス基板Kの位置決めがなされると、制御装置9から送られた信号に基づいて、各ニップ53が閉まり、ガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺を掴む。この段階でガラス基板Kは、ニップ53とリフトピン43とエアーとにより支持されている。
ガラス基板Kの位置決めがなされると、制御装置9から送られた信号に基づいて、各ニップ53が閉まり、ガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺を掴む。この段階でガラス基板Kは、ニップ53とリフトピン43とエアーとにより支持されている。
〔S180.基板位置決め装置を後退(図13のt11)〕
ニップ53がガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺を掴むと、基板位置決め装置6は、制御装置9から送られた信号に基づいて、エアーシリンダ62を縮め、押当てローラ61を後退させる。
ニップ53がガラス基板Kにおける額縁部Kfの一辺を掴むと、基板位置決め装置6は、制御装置9から送られた信号に基づいて、エアーシリンダ62を縮め、押当てローラ61を後退させる。
〔S190.リフトピンを更に下降(図13のt12,t13)〕
基板位置決め装置6が後退すると、フレーム駆動部42は、制御装置9から送られた信号に基づいて、ピンフレーム41を更に下降駆動する。このときガラス基板Kは、エアーにより支持されている。リフトピン43はガラス基板Kから離れて、下限位置P2まで下降する。この段階でガラス基板Kは、額縁部Kfの一辺がニップ53で保持され、成膜面の全面がエアーで浮上支持されている。以上のようにしてガラス基板Kが搬入される。
基板位置決め装置6が後退すると、フレーム駆動部42は、制御装置9から送られた信号に基づいて、ピンフレーム41を更に下降駆動する。このときガラス基板Kは、エアーにより支持されている。リフトピン43はガラス基板Kから離れて、下限位置P2まで下降する。この段階でガラス基板Kは、額縁部Kfの一辺がニップ53で保持され、成膜面の全面がエアーで浮上支持されている。以上のようにしてガラス基板Kが搬入される。
〔S200.倣元線データ取得ステップ〕
次に、図6(A)及び図9(B)を参照して倣元線データ取得ステップS200について説明する。なお、撮像カメラ77とスクライブ線LA1との位置合わせはされているものとして説明する。即ち、撮像カメラ77は、スクライブ線LA1の一端を撮像可能な位置に配置されている。
次に、図6(A)及び図9(B)を参照して倣元線データ取得ステップS200について説明する。なお、撮像カメラ77とスクライブ線LA1との位置合わせはされているものとして説明する。即ち、撮像カメラ77は、スクライブ線LA1の一端を撮像可能な位置に配置されている。
リニアモータ74Xは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を+X方向に駆動する(図9(B)のS210)。これにより、レーザ照射ヘッド73の側部に取り付けられた撮像カメラ77は+X方向に移動する。撮像カメラ77は、この移動に伴いスクライブ線LA1を撮像し、その画像データD1(図6(A)参照)を制御装置9に送信する。制御装置9における演算処理部93は、送信された画像データD1に基づいて、倣元線データD2を算出し、記憶部92に記憶させる。倣元線データD2は、第2プロセスで形成するスクライブ線L1,L2,・・・の倣元となる線のデータである。
倣元線データD2の算出方法は任意に設定できる。例えば、スクライブ線LA1上の複数点(例えば2〜10点)を読み込み、それらの点を基に近似曲線または近似直線で近似することにより算出する。この算出方法を用いるときは、リニアモータ74Xは、上記ステップS210でレーザ照射ヘッド73を間欠的に駆動することで行う。つまり、撮像カメラ77を上記2〜10点でその都度停止させて、撮像処理を行う。また、それとは別の方法として、スクライブ線LA1上の更に多数の点を読み込み、スクライブLA1をトレースしたデータとして算出することも可能である。この算出方法を用いるときは、撮像カメラ77は停止させずに比較的低速度でX方向に連続的に駆動することで行う。
記憶部92に記憶された倣元線データD2は、次段落以降に述べるスクライブステップS300で読み出されて、スクライブ動作時にレーザ照射ヘッド73を補正駆動する制御データとして用いられる。
〔S300.スクライブ〕
次に、図7,11,14を参照してスクライブステップS300について説明する。なお、レーザ照射ヘッド73におけるレーザ照射窓735と、1番目のスクライブ開始端LS1との位置合わせはされているものとして説明する。
次に、図7,11,14を参照してスクライブステップS300について説明する。なお、レーザ照射ヘッド73におけるレーザ照射窓735と、1番目のスクライブ開始端LS1との位置合わせはされているものとして説明する。
〔S310〜S345 1番目のスクライブ線の形成(図14のw1〜w12)〕
リニアモータ52Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、ニップ群51を+Y方向にV1の一定速度となるように駆動する(図11のS310、図14のw1,w4)。これによりガラス基板Kは、+Y方向にV1の一定速度で走行する。一方、リニアモータ74Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を+Y方向にV1の一定速度となるように駆動する(図11のS320、図14のw2,w5)。これにより、ガラス基板Kとレーザ照射ヘッド73との相対速度は0になり、レーザ照射ヘッド73は、ガラス基板Kに対して見かけの上で静止する。メカシャッター721は、制御装置9から送られた信号に基づいて開く(図11のS325)。リニアモータ74Xは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を+X方向にV2の一定速度となるように駆動する(図11のS330、図14のw3,w6)。それと共に、リニアモータ74Yは、制御装置9における記憶部92に記憶された倣元線データD2に基づいて、レーザ光b2が辿る軌跡がスクライブ線LA1とほぼ同じ形状になるように、レーザ照射ヘッド73をY方向に微少量ずつ補正駆動する。この駆動は、レーザ照射窓735から照射されるレーザ光b2が第1のスクライブ開始端LS1(図8参照)から第1のスクライブ終了端LE1にかけて移動するまで行う(図11のS330、図14のw5→w7)。
リニアモータ52Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、ニップ群51を+Y方向にV1の一定速度となるように駆動する(図11のS310、図14のw1,w4)。これによりガラス基板Kは、+Y方向にV1の一定速度で走行する。一方、リニアモータ74Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を+Y方向にV1の一定速度となるように駆動する(図11のS320、図14のw2,w5)。これにより、ガラス基板Kとレーザ照射ヘッド73との相対速度は0になり、レーザ照射ヘッド73は、ガラス基板Kに対して見かけの上で静止する。メカシャッター721は、制御装置9から送られた信号に基づいて開く(図11のS325)。リニアモータ74Xは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を+X方向にV2の一定速度となるように駆動する(図11のS330、図14のw3,w6)。それと共に、リニアモータ74Yは、制御装置9における記憶部92に記憶された倣元線データD2に基づいて、レーザ光b2が辿る軌跡がスクライブ線LA1とほぼ同じ形状になるように、レーザ照射ヘッド73をY方向に微少量ずつ補正駆動する。この駆動は、レーザ照射窓735から照射されるレーザ光b2が第1のスクライブ開始端LS1(図8参照)から第1のスクライブ終了端LE1にかけて移動するまで行う(図11のS330、図14のw5→w7)。
以上の動作により、レーザ照射窓735から照射されたレーザ光b2は、ガラス基板Kが+Y方向に移動した状態を維持しながら、第1のスクライブ開始端LS1から第1のスクライブ終了端LE1にかけて、スクライブ線LA1の形状に倣うようにガラス基板K上を移動する(図6(B)、図11のS330、図14のw6,w8)。このレーザ光b2は、ガラス基板Kの透明ガラスKt(図8)を透過して、下面に成膜された回路形成用材料Kj(アモルファスシリコン膜Kj2)をスクライブすることで、スクライブ線LA1に平行なスクライブ線L1を形成する。このスクライブ線L1は、図8(A)に示すように、倣元となるスクライブ線LA1が若干傾いていれば傾いているなりに、それに倣う形状となる。同様に、スクライブ線LA1が曲線またはジグザグ状に形成されていた場合も、形成されるスクライブ線L1は、それぞれの形状に応じた形状になる。そして、このとき生じたパーティクルは、受け皿81に落下し、真空吸引により真空チャンバー83内に回収される。1番目のスクライブ線L1が形成された時点で、メカシャッター721は、制御装置9から送られた信号に基づいて閉じる(図11のS345)。
〔S350 レーザ照射ヘッドを初期位置へ戻す(図14のw7〜w12)〕
メカシャッター721が閉じるとともに、リニアモータ74Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、次の要領でレーザ照射ヘッド73を−Y方向に駆動する(図14のw7〜W12)。即ち、1番目のスクライブ線L1の形成が終了してからt=Q/V1の時間が経過するまでに、レーザ照射ヘッド73を元の初期位置P9に戻す。この動作の目的は次のとおりである。即ち、ガラス基板Kは静止することなくV1の一定速度で+Y方向に移動している。ここで、ガラス基板Kの短辺方向に隣合うスクライブ線同士のピッチ間隔はQ(図8参照)であるから、1番目のスクライブ線L1の形成が終了してからt=Q/V1の経過後には、レーザ照射窓735は第2のスクライブ開始端LS2の上方に位置される。それまでに、レーザ照射ヘッド73を元の初期位置P9に戻すことで、2番目のスクライブ線L2を形成するときに(図14のw16→w18)、レーザ照射ヘッド73が+Y方向へ移動するためのストロークを確保するためである。
メカシャッター721が閉じるとともに、リニアモータ74Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、次の要領でレーザ照射ヘッド73を−Y方向に駆動する(図14のw7〜W12)。即ち、1番目のスクライブ線L1の形成が終了してからt=Q/V1の時間が経過するまでに、レーザ照射ヘッド73を元の初期位置P9に戻す。この動作の目的は次のとおりである。即ち、ガラス基板Kは静止することなくV1の一定速度で+Y方向に移動している。ここで、ガラス基板Kの短辺方向に隣合うスクライブ線同士のピッチ間隔はQ(図8参照)であるから、1番目のスクライブ線L1の形成が終了してからt=Q/V1の経過後には、レーザ照射窓735は第2のスクライブ開始端LS2の上方に位置される。それまでに、レーザ照射ヘッド73を元の初期位置P9に戻すことで、2番目のスクライブ線L2を形成するときに(図14のw16→w18)、レーザ照射ヘッド73が+Y方向へ移動するためのストロークを確保するためである。
〔S360〜S385 2番目のスクライブ線の形成(図14のw14〜w21)〕
ガラス基板Kは、+Y方向にV1の一定速度で走行した状態である。リニアモータ74Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を+Y方向にV1の一定速度となるように駆動する(図11のS360、図14のw13→w15)。これにより、1番目のスクライブ線L1の形成時と同様に、ガラス基板Kとレーザ照射ヘッド73との相対速度は0になり、レーザ照射ヘッド73は、ガラス基板Kに対して見かけの上で静止する。メカシャッター721は、制御装置9から送られた信号に基づいて開く(図11のS365)。リニアモータ74Xは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を−X方向にV2の一定速度となるように駆動する(図11のS370、図14のw14→w16)。それと共に、リニアモータ74Yは、制御装置9における記憶部92に記憶された倣元線データD2に基づいて、レーザ光b2が辿る軌跡がスクライブ線LA1とほぼ同じ形状になるように、レーザ照射ヘッド73をY方向に微少量ずつ補正駆動する。この駆動は、レーザ照射窓735から照射されるレーザ光b2が第2のスクライブ開始端LS2から第2のスクライブ終了端LE2にかけて移動するまで行う(図11のS370、図14のw15→w17)。
ガラス基板Kは、+Y方向にV1の一定速度で走行した状態である。リニアモータ74Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を+Y方向にV1の一定速度となるように駆動する(図11のS360、図14のw13→w15)。これにより、1番目のスクライブ線L1の形成時と同様に、ガラス基板Kとレーザ照射ヘッド73との相対速度は0になり、レーザ照射ヘッド73は、ガラス基板Kに対して見かけの上で静止する。メカシャッター721は、制御装置9から送られた信号に基づいて開く(図11のS365)。リニアモータ74Xは、制御装置9から送られた信号に基づいて、レーザ照射ヘッド73を−X方向にV2の一定速度となるように駆動する(図11のS370、図14のw14→w16)。それと共に、リニアモータ74Yは、制御装置9における記憶部92に記憶された倣元線データD2に基づいて、レーザ光b2が辿る軌跡がスクライブ線LA1とほぼ同じ形状になるように、レーザ照射ヘッド73をY方向に微少量ずつ補正駆動する。この駆動は、レーザ照射窓735から照射されるレーザ光b2が第2のスクライブ開始端LS2から第2のスクライブ終了端LE2にかけて移動するまで行う(図11のS370、図14のw15→w17)。
以上の動作により、レーザ照射窓735から照射されたレーザ光b2は、ガラス基板Kが+Y方向に移動した状態を維持しながら、第2のスクライブ開始端LS2から第2のスクライブ終了端LE2にかけて、スクライブ線LA1の形状に倣うようにガラス基板K上を移動する(図11のS370、図14のw16,w18)。このレーザ光b2は、ガラス基板Kの透明ガラスKt(図8参照)を透過して、下面に成膜された回路形成用材料Kj(アモルファスシリコン膜Kj2)をスクライブすることで、1番目のスクライブ線L1(スクライブ線LA1に平行である)に平行な2番目のスクライブ線L2を形成する。このとき生じたパーティクルは、1番目のスクライブ線L1の形成時と同様に、受け皿81に落下し、真空吸引により真空チャンバー83内に回収される。2番目のスクライブ線L2が形成された時点で、メカシャッター721は、制御装置9から送られた信号に基づいて閉じる(図11のS385)。
〔S390 レーザ照射ヘッドを初期位置へ戻す(図14のw17〜w22)〕
メカシャッター721が閉じるとともに、リニアモータ74Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、1番目のスクライブ線L1を形成した直後と同様な要領で、レーザ照射ヘッド73を−Y方向に駆動する(図14のw17〜W22)。即ち、1番目のスクライブ線L2の形成が終了してからt=Q/V1の時間が経過するまでに、レーザ照射ヘッド73を元の初期位置P9に戻す。これにより、3番目のスクライブ線L3を形成するときに(図14のw26→w28)、レーザ照射ヘッド73が+Y方向へ移動するためのストロークを確保することができる。
メカシャッター721が閉じるとともに、リニアモータ74Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、1番目のスクライブ線L1を形成した直後と同様な要領で、レーザ照射ヘッド73を−Y方向に駆動する(図14のw17〜W22)。即ち、1番目のスクライブ線L2の形成が終了してからt=Q/V1の時間が経過するまでに、レーザ照射ヘッド73を元の初期位置P9に戻す。これにより、3番目のスクライブ線L3を形成するときに(図14のw26→w28)、レーザ照射ヘッド73が+Y方向へ移動するためのストロークを確保することができる。
〔S400 3番目以降のスクライブ線以降のスクライブ線の形成〕
以降、3番目以降のスクライブ線についても、1番目または2番目と同様な要領で、ガラス基板Kを+Y方向へ移動させた状態を維持しながら、静止させることなく、レーザ光b2を+X方向または−X方向へ移動させると共に、倣元線データD2に基づいてレーザ照射ヘッド73をY方向に微少量ずつ補正駆動してスクライブ線を形成していく。なお、リニアモータ52YをY1軸、リニアモータ74YをY2軸、リニアモータ74XをX1軸と表したときの各軸の位置関係及び動作関係は、図7のようになる。
以降、3番目以降のスクライブ線についても、1番目または2番目と同様な要領で、ガラス基板Kを+Y方向へ移動させた状態を維持しながら、静止させることなく、レーザ光b2を+X方向または−X方向へ移動させると共に、倣元線データD2に基づいてレーザ照射ヘッド73をY方向に微少量ずつ補正駆動してスクライブ線を形成していく。なお、リニアモータ52YをY1軸、リニアモータ74YをY2軸、リニアモータ74XをX1軸と表したときの各軸の位置関係及び動作関係は、図7のようになる。
ここで、ガラス基板Kが+Y方向に移動することにより、ガラス基板Kの浮上支持が上流の主ステージ31から下流の主ステージ31に移る際に、副ステージ32からもエアーが吹き出ているため、回収穴部(受け皿81の上方)でガラス基板Kが大きく撓むことが防止される。これにより、ガラス基板Kの進行方向端部が下流の主ステージ31の端部に当たることなどが防止され、上流の主ステージ31から下流の主ステージ31へのガラス基板Kの乗り移りがスムーズ且つ確実に行われる。なお、後述するステップS510においてガラス基板Kを−Y方向に移動するときもこれと同じ効果がある。
以上のようにして、ガラス基板Kを停止することなく+Y方向に移動させながら予定本数のスクライブ線が形成されたら(図11のS400でイエス)、リニアモータ52Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、+Y方向へのニップ群51の駆動を停止させる(図11のS410、図13のt16,t17)。
このように、レーザスクライブ装置1によると、第2プロセスにおけるスクライブ線L1を形成するにあたり、リニアモータ74Yは、次のようにして、レーザ照射ヘッド73をY方向に微少量ずつ補正駆動する。即ち、リニアモータ74Xがレーザ照射ヘッド73を等速度でX方向に駆動している最中に、リニアモータ74Yは、制御装置9における記憶部92に記憶された倣元線データD2に基づいて、レーザ光b2が辿る軌跡がこの倣元となるスクライブ線LA1とほぼ同じ形状になるように、レーザ照射ヘッド73をY方向に微少量ずつ補正駆動する。これにより、前段の第1プロセスで形成したスクライブ線LA1の形状または位置関係との兼ね合いを考慮して、そのスクライブ線LA1にちょうど沿う形状としたスクライブ線L1を、スクライブ線LA1の隣接位置(狭ピッチ位置)に形成することが可能となる。つまり、レーザスクライブ装置1で形成するスクライブ線L1は、前段の第1プロセスで他機により形成した倣元となるスクライブ線LA1が若干傾いていれば傾いているなりに、曲がっていれば曲がっているなりに、それに倣う形状となる。従って、スクライブ線LA1,L1同士が接触してしまったり、スクライブ線LA1とスクライブ線L1との間隔dが拡がることでデッドゾーン(スクライブ線間の発電に寄与しない領域)が拡がったりしない。その結果、薄膜太陽電池パネルの発電効率が低下することを防止できる。また、レーザ照射ヘッド73は収容物を少なくし、軽い構成とされているため、動作の追従性及び応答性に優れ、精密な微調整が可能となる。なお、倣元線データD2による補正を行わずに形成されたスクライブ線L1′は、例えば図16に示すように、スクライブ線LA1から「ずれ」が拡がる形となることがある。
次に、図12,13を参照してガラス基板搬出ステップS500について説明する。
〔S510.ガラス基板を受取位置に戻す(図13のt17)〕
スクライブ線の形成が終わると、リニアモータ52Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、ニップ群51を−Y方向に駆動する。これにより、下流にあったガラス基板Kは、−Y方向へ移動しながら受取位置P7に戻ってくる。ガラス基板Kが−Y方向へ移動するに際し、下流側の主ステージ31による浮上支持から上流側の主ステージ31による浮上支持に移り変わるときは、副ステージ32から噴出されるエアーにより、ガラス基板Kが支持されるため、回収穴部でも移り変わり動作がスムーズ且つ確実になる。
スクライブ線の形成が終わると、リニアモータ52Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、ニップ群51を−Y方向に駆動する。これにより、下流にあったガラス基板Kは、−Y方向へ移動しながら受取位置P7に戻ってくる。ガラス基板Kが−Y方向へ移動するに際し、下流側の主ステージ31による浮上支持から上流側の主ステージ31による浮上支持に移り変わるときは、副ステージ32から噴出されるエアーにより、ガラス基板Kが支持されるため、回収穴部でも移り変わり動作がスムーズ且つ確実になる。
〔S520.リフトピンを上昇(図13のt18,t19)〕
ガラス基板Kを掴んだニップ群51が受取位置P7に戻ってくると、フレーム駆動部42は、制御装置9から送られた信号に基づいて、ピンフレーム41を浮上面位置P4まで上昇駆動する。これにより、リフトピン43は下限位置P2から上昇し、その先端部がガラス基板Kにおける額縁部Kfの下面に当接する。この段階でガラス基板Kは、ニップ53とリフトピン43とエアーとにより支持されている。
ガラス基板Kを掴んだニップ群51が受取位置P7に戻ってくると、フレーム駆動部42は、制御装置9から送られた信号に基づいて、ピンフレーム41を浮上面位置P4まで上昇駆動する。これにより、リフトピン43は下限位置P2から上昇し、その先端部がガラス基板Kにおける額縁部Kfの下面に当接する。この段階でガラス基板Kは、ニップ53とリフトピン43とエアーとにより支持されている。
〔S530.ニップを開く(図13のt20)〕
リフトピン43が上昇し、その先端部がガラス基板Kにおける額縁部Kfの下面に当接すると、各ニップ53は、制御装置9から送られた信号に基づいて、閉じていた可動爪を開き、ガラス基板Kを放す。この段階でガラス基板Kは、リフトピン43とエアーとにより支持されている。
リフトピン43が上昇し、その先端部がガラス基板Kにおける額縁部Kfの下面に当接すると、各ニップ53は、制御装置9から送られた信号に基づいて、閉じていた可動爪を開き、ガラス基板Kを放す。この段階でガラス基板Kは、リフトピン43とエアーとにより支持されている。
〔S540.ニップ群が回避位置(図13のt21)〕
各ニップ53がガラス基板Kを放すと、ニップ群51は、制御装置9から送られた信号に基づいて、−X方向に駆動される。これにより、ニップ群51は、保持位置P5から回避位置P6に移る。
各ニップ53がガラス基板Kを放すと、ニップ群51は、制御装置9から送られた信号に基づいて、−X方向に駆動される。これにより、ニップ群51は、保持位置P5から回避位置P6に移る。
〔S550.リフトピンだけでガラス基板を支持(図13のt22,t23)〕
ニップ群51が回避位置P6に移ると、フレーム駆動部42は、制御装置9から送られた信号に基づいて、ピンフレーム41を上昇駆動する。これにより、リフトピン43は、その先端部がガラス基板Kにおける額縁部Kfの下面に当接した状態で浮上面位置P4から上限位置P1まで上昇する。この段階でガラス基板Kは、浮上面位置P4から完全に持ち上がり、リフトピン43だけで支えられた状態になる。
ニップ群51が回避位置P6に移ると、フレーム駆動部42は、制御装置9から送られた信号に基づいて、ピンフレーム41を上昇駆動する。これにより、リフトピン43は、その先端部がガラス基板Kにおける額縁部Kfの下面に当接した状態で浮上面位置P4から上限位置P1まで上昇する。この段階でガラス基板Kは、浮上面位置P4から完全に持ち上がり、リフトピン43だけで支えられた状態になる。
〔S560.ニップ群が待避位置(図13のt24,t25)〕
ガラス基板Kが上限位置P1となると、リニアモータ52Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、ニップ群51を+Y方向に駆動する。これにより、ニップ群51は、受取位置P7から待避位置P8に移動する。その後、各ニップ53は、制御装置9から送られた信号に基づいて、開いていた可動爪を閉じる。
ガラス基板Kが上限位置P1となると、リニアモータ52Yは、制御装置9から送られた信号に基づいて、ニップ群51を+Y方向に駆動する。これにより、ニップ群51は、受取位置P7から待避位置P8に移動する。その後、各ニップ53は、制御装置9から送られた信号に基づいて、開いていた可動爪を閉じる。
〔S570.ガラス基板引渡し(図13のt26,t27)〕
ニップ群51が待避位置P8に移ると、オペレータは、搬入出ロボット10を操作して、リフトピン43だけで支えれたガラス基板Kを、レーザスクライブ装置1から台車或いはパレットに引き渡す。具体的には、まず、アーム12を操作し、リフトピン43に支持されたガラス基板Kの上方に吸着ハンド11を配置する。次いで、この吸着ハンド11をガラス基板Kにおける非成膜面の高さまで下降させる。次いで、ガラス基板Kにおける非成膜面の複数箇所を、吸着ハンド11で吸着させる。次いで、アーム12を操作し、吸着ハンド11が吸着保持したガラス基板Kを、台車或いはパレットの位置に持ってくる。次いで、吸着ハンド11による吸着保持を解除し、手動にて台車或いはパレットにガラス基板Kを搬出する。
ニップ群51が待避位置P8に移ると、オペレータは、搬入出ロボット10を操作して、リフトピン43だけで支えれたガラス基板Kを、レーザスクライブ装置1から台車或いはパレットに引き渡す。具体的には、まず、アーム12を操作し、リフトピン43に支持されたガラス基板Kの上方に吸着ハンド11を配置する。次いで、この吸着ハンド11をガラス基板Kにおける非成膜面の高さまで下降させる。次いで、ガラス基板Kにおける非成膜面の複数箇所を、吸着ハンド11で吸着させる。次いで、アーム12を操作し、吸着ハンド11が吸着保持したガラス基板Kを、台車或いはパレットの位置に持ってくる。次いで、吸着ハンド11による吸着保持を解除し、手動にて台車或いはパレットにガラス基板Kを搬出する。
以上、本発明の実施形態について説明を行ったが、上に開示した実施形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこの実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。即ち、レーザスクライブ装置1の全体または一部の構造、形状、寸法、材質、個数などは、本発明の趣旨に沿って種々に変更することができる。
また、本実施形態では、基板処理装置はレーザスクライブ装置としたが、これ以外にも、例えば、ガラス基板上に成膜された膜への露光を行う装置、ガラス基板に対してマーキングやカッティングなどを行う装置などに適用することもできる。また、上述の実施形態では、スクライブ線LA1に倣わせるための動作を、リニアモータ74Yの微小駆動により、レーザ照射ユニット73を位置補正することで行ったが、ニップ53をXZθ各方向へ駆動する各駆動部、及びリニアモータ52Yの全部または一部の駆動動作を組み合わせることにより、ガラス基板Kの側を駆動させるようにしてもよい。または、ガルバノミラーなどを用い、これを駆動するようにしてもよい。
また、レーザスクライブ装置1は、TCO膜Kj1の上のアモルファスシリコン膜Kj2にスクライブ線L1,L2,・・・を形成する装置、つまり第2プロセス用の装置としたが、アモルファスシリコン膜Kj2の上に形成された金属膜Kj3にスクライブ線を形成する装置、つまり第3プロセス用のレーザスクライブ装置としてもよい。
1 レーザスクライブ装置(レーザ加工装置)
9 制御装置(倣元線データ取得手段、算出・記憶手段)
77 撮像カメラ(撮像手段、倣元線データ取得手段)
93 演算処理部(算出手段)
92 記憶部(記憶手段)
b2 レーザ光
D1 画像データ
D2 倣元線データ
K ガラス基板(基板)
Kj 回路形成用材料
Kj1 TCO膜(第1層目の回路形成用材料)
Kj2 アモルファスシリコン膜(第2層目の回路形成用材料)
LA1 スクライブ線(第1パターン)
L1 スクライブ線(第2パターン)
S200 倣元線データ取得ステップ
S300 スクライブステップ(第2パターン形成ステップ)
9 制御装置(倣元線データ取得手段、算出・記憶手段)
77 撮像カメラ(撮像手段、倣元線データ取得手段)
93 演算処理部(算出手段)
92 記憶部(記憶手段)
b2 レーザ光
D1 画像データ
D2 倣元線データ
K ガラス基板(基板)
Kj 回路形成用材料
Kj1 TCO膜(第1層目の回路形成用材料)
Kj2 アモルファスシリコン膜(第2層目の回路形成用材料)
LA1 スクライブ線(第1パターン)
L1 スクライブ線(第2パターン)
S200 倣元線データ取得ステップ
S300 スクライブステップ(第2パターン形成ステップ)
Claims (6)
- 基板とレーザ光とを相対駆動することで基板に所定のパターンを加工形成するレーザ加工方法であって、
前段のプロセスで基板に形成された第1パターンの形状を特定するデータを倣元線データとして取得する倣元線データ取得ステップと、
倣元線データに基づいて、後段のプロセスでレーザ光が辿る軌跡が第1パターンの形状に倣う形状となるように、基板とレーザ光とを相対駆動して第2パターンを形成する第2パターン形成ステップと
を備えることを特徴とするレーザ加工方法。 - 前記基板には、少なくとも一方の面に複数層からなる回路形成用材料が成膜され、倣元線データ取得ステップでは、第1層目の回路形成用材料に形成された第1パターンの倣元線データを算出・記憶し、第2パターン形成ステップでは、倣元線データに基づいて、第2層目の回路形成用材料に第2パターンを形成する請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記基板は、薄膜太陽電池パネルの製造に用いる回路形成用材料が成膜されたガラス基板からなり、前記レーザ光は、回路形成用材料をスクライブ可能な強さとされ、薄膜太陽電池パネルを製造するプロセスに用いられる請求項1または請求項2に記載のレーザ加工方法。
- 基板とレーザ光とを相対駆動することで基板に所定のパターンを加工形成するレーザ加工装置であって、
前段のプロセスで基板に形成された第1パターンの形状を特定するデータを倣元線データとして取得する倣元線データ取得手段と、
倣元線データに基づいて、後段のプロセスでレーザ光が辿る軌跡が第1パターンの形状に倣う形状となるように、基板とレーザ光とを相対駆動して第2パターンを形成する第2パターン形成手段と
を備えることを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記基板には、少なくとも一方の面に複数層からなる回路形成用材料が成膜され、倣元線データ取得手段は、第1層目の回路形成用材料に形成された第1パターンを撮像する撮像手段と、撮像手段から得た第1パターンの画像データに基づいて倣元線データを算出する算出手段と、算出手段で算出した倣元線データを記憶する記憶手段とを備え、第2パターン形成手段は、倣元線データに基づいて、第2層目の回路形成用材料に第2パターンを形成する請求項4に記載のレーザ加工装置。
- 前記基板は、薄膜太陽電池パネルの製造に用いる回路形成用材料が成膜されたガラス基板からなり、回路形成用材料をスクライブ可能なレーザ光を照射するレーザ照射ヘッドを備え、薄膜太陽電池パネルを製造するプロセスに用いられる請求項4または請求項5に記載のレーザ加工装置。
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Legal Events
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