以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
〔1〕本発明の使い捨ておむつの構成:
まず、本発明の使い捨ておむつの一の実施形態について具体的に説明する。ここで、図1Aは、本発明の使い捨ておむつ一の実施形態を示す斜視図であり、図1Bは、図1Aに示す使い捨ておむつが展開された状態を、おむつの吸収性本体側(即ち、おむつの内側面)から見た状態を示す平面図であり、図1Cは、図1Aに示す使い捨ておむつが展開された状態を、おむつの外装部材側(即ち、おむつの外側面)から見た状態を示す平面図である。
図1A〜図1Cに示すように、本実施形態の使い捨ておむつ1Aは、吸収体22と、吸収体22の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成され、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部同士(側縁部2a,6a、側縁部2b,6b)が接合された側縁接合部8によって、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成された使い捨ておむつ1Aである。
そして、本実施形態の使い捨ておむつ1Aは、前身頃2と後身頃6とのうちの一方(図1A〜図1Cにおいては、後身頃6)の、側縁接合部8近傍におけるおむつの内側面38に配置された、第一のメカニカルファスナー28aからなる第一止着部28と、前身頃2と後身頃6とのうちの他方(図1A〜図1Cにおいては、前身頃2)の、側縁接合部8近傍におけるおむつの外側面39に配置された、第一のメカニカルファスナー28aと係合可能な第二のメカニカルファスナー29aからなる第二止着部29と、を更に備えたものである。
このように構成された本実施形態の使い捨ておむつ1Aは、使用する最初の状態においては、着用者の脚を一対の脚周り開口部12(12a,12b)を通してパンツ型の使い捨ておむつとして使用することができる一方で、おむつをパンツ型に構成している側縁接合部8を引き剥がして展開させた後、前身頃2と後身頃6とを止着部(第一止着部28及び第二止着部29)によって固定することができるように構成されているため、例えば、テープ型おむつのように衣類を脱がずとも着用者に宛がって使用することもできる。なお、図1B及び図1Cにおける符号8aは、接合が解除された側縁接合部を示している。
即ち、本実施形態の使い捨ておむつは、図2Aに示すように、最初の状態においては、おむつの側縁接合部8によって、前身頃2と後身頃6とが接合されてパンツ型に構成されている。そして、図2Bに示すように、おむつをパンツ型に構成している側縁接合部8(図2A参照)を引き剥がして展開させた後、図2Cに示すように、前身頃2と後身頃6とを第一止着部28と第二止着部29とを係合させることによって固定して、おむつを着用することもできる。このため、例えば、着用者が自らおむつを着用することができる場合にはパンツ型のおむつとして、また、例えば、介護者等が着用者におむつを着用させる場合には、おむつの前身頃と後身頃とを一旦引き剥がして展開させた後、着用者におむつを宛がって着用させることができる。
ここで、図2Aは、図1Aに示す使い捨ておむつをウエスト周り開口部側から見た状態を模式的に示す平面図であり、図2Bは、図2Aに示す使い捨ておむつの側縁接合部を引き剥がして展開させた状態を模式的に示す平面図であり、図2Cは、図2Bに示す使い捨ておむつの前身頃と後身頃とを止着部によって固定した状態を模式的に示す平面図である。
更に、本発明の使い捨ておむつ1Aにおいては、側縁接合部8を引き剥がしておむつを展開させる際に、各側縁接合部8近傍に配設された第一止着部28及び第二止着部29には破断力(剥離力)が作用しないため(即ち、第一止着部28と第二止着部29とは予め係合されていないため)、各止着部28,29をおむつに接合しているヒートシール等の接合部分が破損することがなく、おむつを展開した状態で確実に着用することができる。
なお、図1A〜図1Cに示す本実施形態の使い捨ておむつ1Aは、着用者の排泄物を吸収し、保持する機能(吸収・保持機能)を担う吸収性本体14と、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装部材16とから構成され、外装部材16の内側に吸収性本体14が配置された2ピースタイプの使い捨ておむつである。吸収性本体14は、上述した吸収体22、トップシート18及びバックシート20を構成要素として備えた部材である。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
上記した「メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)」とは、機械的結合を用いた面状ファスナーであり、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材(フック材)と、表面にループ状の繊維が配置された凹部材(ループ材)とを組み合わせたもの等が用いられることが多い。このメカニカルファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を取外し可能な状態に、且つ、強固に固着させることができるものである。
なお、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1Aにおいては、第一のメカニカルファスナー28aからなる第一止着部28が、後身頃6のおむつの内側面38に配置され、且つ第二のメカニカルファスナー29aからなる第二止着部29が、前身頃2のおむつの外側面39に配置された場合の例を示しているが、本発明の使い捨ておむつにおいては、第一止着部と第二止着部とが、前身頃と後身頃とで、それぞれ反対側の面に配置されていれば、例えば、図示は省略するが、第一止着部が前身頃側に配置され、第二止着部が後身頃側に配置されていてもよい。
また、本発明の使い捨ておむつにおいては、第一のメカニカルファスナーとしてメカニカルファスナーのフック材を用いるとともに、第二のメカニカルファスナーとしてメカニカルファスナーのループ材を用いれば、使い捨ておむつの内側面にメカニカルファスナーのフック材が配置されることとなるため、複数の使い捨ておむつが積層されて包装(袋詰め)されていたとしても、積層されたおむつ同士がフック材を介して結合してしまうことがなく、おむつの使用時において、使い捨ておむつを一枚ずつ包装袋から取り出すことができる。
反対に、第一のメカニカルファスナーとしてメカニカルファスナーのループ材を用いるとともに、第二のメカニカルファスナーとしてメカニカルファスナーのフック材を用いれば、おむつ着用時にメカニカルファスナーのフック材が着用者の肌に接触することがなく、良好な着用感が得られる。
また、メカニカルファスナーとしてフック材とループ材とを用いた場合には、例えば、フック材よりもループ材の大きさ(例えば、着用者の上下方向における幅、或いは、着用者の腹周り方向における幅)を大きくすることにより、着用時におけるフック材のループ材への止着が容易になるとともに、フック材の着用者への接触を防止でき、着用感を向上させることができる。
また、本発明の使い捨ておむつにおいては、第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーのうち、いずれか一方のメカニカルファスナーがフック材であり、且つ、他方のメカニカルファスナーがループ材である場合には、少なくともフック材には、その係合面を被覆する被覆テープが配置されていてもよい。
このように構成することによって、止着部を構成するフック材が、そのおむつの外装部材の他の部位や、他の使い捨ておむつに係合してしまうことを有効に防止することができる。例えば、上記他の部材への係合によって、当該他の部材が破損する等の不具合を有効に防止することができる。
また、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1Aにおいては、第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーとして、長い帯状のメカニカルファスナーを、各側縁接合部8近傍にそれぞれ一つずつ配置して各止着部(第一止着部28,第二止着部29)を形成した場合の例を示しているが、例えば、着用者の上下方向に、複数のメカニカルファスナーを並べて配置して各止着部を形成してもよい。即ち、複数のメカニカルファスナーによって、それぞれの止着部を形成してもよい。
例えば、図3A及び図3Bに示す使い捨ておむつ1Bは、第一のメカニカルファスナー28aがフック材58であり、且つ、第二のメカニカルファスナー29aがループ材59であり、二以上のフック材58が、側縁接合部8に沿って間欠的に配置されて第一止着部28を形成した場合の例を示している。
このように構成することによって、フック材によって形成される止着部が間欠部位にて容易に折れ曲がり、おむつのフィット性を向上させることができる。特に、メカニカルファスナーのフック材は、ループ材と比較して硬い材質の場合が多いため、上述したように二以上のフック材を間欠的に配置した場合に特に有効である。
ここで、図3Aは、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態が展開された状態を、おむつの吸収性本体側(即ち、おむつの内側面)から見た状態を示す平面図であり、図3Bは、図3Aに示す使い捨ておむつの、おむつの外装部材側(即ち、おむつの外側面)から見た状態を示す平面図である。なお、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1Aにおける各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。また、図3A及び図3Bにおいては、第一のメカニカルファスナー28aとしてフック材58を用いた場合の例を示しているが、第二のメカニカルファスナー29aとして二以上の間欠的に配置されたフック材58を用いてもよい。また、第一のメカニカルファスナー28aが前身頃2の内側面38に配置され、第二のメカニカルファスナー29aが後身頃6の外側面39に配置されていてもよい。
また、本発明の使い捨ておむつにおいては、例えば、第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーのうち、いずれか一方のメカニカルファスナーが単一の基材シートに複数のフック材が接着されたものであり、且つ、他方のメカニカルファスナーがループ材であってもよい。
例えば、図4A及び図4Bに示す使い捨ておむつ1Cのように、第一のメカニカルファスナー28aが単一の基材シート30にそれぞれ二つのフック材58が接着されたものであり、且つ、他方のメカニカルファスナー29aがループ材59であってもよい。
このように構成することによって、上記した二以上のフック材を間欠的に配置した場合と同様に、おむつのフィット性を向上させることができるとともに、フック材の配置が容易となり、製造工程を簡略化することができる。
ここで、図4Aは、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態が展開された状態を、おむつの吸収性本体側から見た状態を示す平面図であり、図4Bは、図4Aの使い捨ておむつの、おむつの外装部材側から見た状態を示す平面図である。なお、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1Aにおける各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。また、図4A及び図4Bにおいては、第一のメカニカルファスナー28aとしてフック材58を用いた場合の例を示しているが、第二のメカニカルファスナー29aとして基材シート30に複数のフック材58が配置されたものを用いてもよい。また、第一のメカニカルファスナー28aが前身頃2の内側面38に配置され、第二のメカニカルファスナー29aが後身頃6の外側面39に配置されていてもよい。
また、本発明の使い捨ておむつにおいては、第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーのうち、いずれか一方が、基材シートの一方の面における一方の端部側に少なくとも一つのメカニカルファスナーが接着されたものであり、この基材シートは、基材シートの他方の面における他方の端部側が、おむつの内側面又は外側面に配置されるとともに、基材シートの一方の端部側に配置されたメカニカルファスナーが内側になるように、基材シートの一方の端部と他方の端部との間の位置にて二つ折りに折り畳まれて構成されたものであってもよい。
例えば、図5A及び図5Bに示す使い捨ておむつ1Dのように、第一のメカニカルファスナー28aが、基材シート30xの一方の面における一方の端部側に少なくとも一つのメカニカルファスナー28xが接着されたものであり、この基材シート30xは、基材シート30xの他方の面における他方の端部側が、おむつの内側面に配置されるとともに、基材シート30xの一方の端部側に配置されたメカニカルファスナー28xが内側になるように、基材シート30xの一方の端部と他方の端部との間の位置にて二つ折りに折り畳まれて構成されたものであってもよい。この場合、基材シート30xとして不織布を用いるとともに、メカニカルファスナー28xとしてフック材を用いれば、基材シート30xの一方の端部と他方の端部との間の位置にて二つ折りに折り畳んだ状態にてメカニカルファスナー28xを基材シート30xに仮止めすることができる。また、フック材の係合面を被覆する専用の被覆テープを用いることなく、基材シート30xによってフック材の係合面を被覆することができる。
このように構成することによって、おむつをパンツ型に構成している側縁接合部を引き剥がして展開させた後、図5C及び図5Dに示すように、二つ折りに折り畳まれた基材シート30xを広げることによって、一方の端部側に配置されたメカニカルファスナー28xを露出させ、このメカニカルファスナー28xからなる第一止着部28と、第二のメカニカルファスナー29aからなる第二止着部29とを係合させることによって固定して、おむつを着用することもできる。特に、基材シート30xに接着するメカニカルファスナー28xとして、フック材を用いることによって、フック材を構成するピンが外部に露出することがなく、着用感を向上させることができるとともに、フック材の他の部材への係合も防止することができる。
また、本発明の使い捨ておむつは、側縁接合部とメカニカルファスナーとの間に切断用のミシン目が形成されていてもよい。この場合には、ミシン目に沿って側縁接合部側を確実かつ簡単に切断でき、しかも側縁接合部が着用者の肌に触れることがなく、良好な着用感が得られる。
更に、本発明の使い捨ておむつは、側縁接合部8(図1A参照)を引き剥がして展開させた後にそれぞれの止着部を用いておむつを着用する場合には、極めて若干ではあるが胴周りの寸法が短くなる。図5A〜図5Dに示すような構成を採用することによって、胴周りの寸法が短くなった分を、基材シート30xの折り返し部分によって補うことが可能となる。なお、上述した胴周りの寸法が短くなることについては、胴周り伸縮材等による腹周りの伸縮性によって補足可能であり、仮に上記構成を採用しなかったとしても、本発明の使い捨ておむつの着用感が著しく低下するということではない。
ここで、図5Aは、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態が展開された状態を、おむつの吸収性本体側から見た状態を示す平面図であり、図5Bは、図5Aの使い捨ておむつのB−B’断面を示す概略断面図である。また、図5Cは、図5Aの使い捨ておむつにおける基材シートを広げた状態を示す平面図であり、図5Dは、図5Cの使い捨ておむつのC−C’断面を示す概略断面図である。なお、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1Aにおける各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。また、図5A〜図5Dにおいては、第一のメカニカルファスナー28aとして、基材シート30xの一方の面における一方の端部側に少なくとも一つのメカニカルファスナー28xが接着されたものを用いた場合の例を示しているが、第二のメカニカルファスナー29aにこの構成を用いてもよい。また、第一のメカニカルファスナー28aが前身頃2の内側面38に配置され、第二のメカニカルファスナー29aが後身頃6の外側面39に配置されていてもよい。
また、本発明の使い捨ておむつにおいては、おむつのウエスト周りや腹周りに伸縮材(例えば、ウエスト周り伸縮材や腹周り伸縮材)が配置されていることが好ましい。例えば、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1Aは、おむつのウエスト周り開口部10に沿って、3本のウエスト周り伸縮材82が配置され、また、ウエスト周り開口部10と脚周り開口部12との間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)に、着用者の腹周りを取り囲むように6本の腹周り伸縮材84が配置され、更に、おむつの脚周り開口部12a,12bのカーブに沿って曲線的にそれぞれ2本の脚周り伸縮材80が配置された場合の例を示している。
上記ウエスト周り伸縮材を配置することによって、伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができ、また、腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むギャザー(タミーギャザー)を形成することができる。上記したウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。また、タミーギャザーは、ウエストギャザーと相俟って、おむつのフィット性やずり下がり防止効果を一層優れたものとすることができる。
なお、本発明の使い捨ておむつにおいては、第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーのうち、いずれか一方のメカニカルファスナーが、ウエスト周り伸縮材や腹周り伸縮材等の伸縮材が配置されていない領域、又は、上記伸縮材が非伸張状態で配置された領域に配置することが好ましい。特に、第一のメカニカルファスナー又は第二のメカニカルファスナーとして、メカニカルファスナーのループ材を用いた場合に、このループ材を、上述したウエスト周り伸縮材や腹周り伸縮材等の伸縮材が配置されていない領域、又は、上記伸縮材が非伸張状態で配置された領域に配置することが好ましい。
例えば、上述した伸縮材によって形成されるウエストギャザーやタミーギャザー上にループ材が配置されていると、これらのギャザーの形状に沿ってループ材が配置されるため、止着部を形成するループ材がしわになり、フック材との係合力が低下することがある。このため、メカニカルファスナーとしてループ材を用いる場合には、図6に示すように、例えば、第二のメカニカルファスナー29aとしてのループ材59が、腹周り伸縮材84やウエスト周り伸縮材82(図1A参照)が配置されていない領域W1、又は腹周り伸縮材84やウエスト周り伸縮材82(図1A参照)が非伸張状態で配置された領域W2(即ち、伸縮材によるギャザーが形成されていない領域)に配置することによって、ギャザーによるしわがループ材の表面に出現しないようにすることができる。
伸縮材が配置されていない領域、又は伸縮材が非伸張状態で配置された領域にループ材を配置する方法としては、例えば、後に使い捨ておむつを構成する長尺のシート材に伸張状態の伸縮材を配置する際に、ループ材を配置する部位(以下、ループ材の配置領域ともいう)においては、伸縮材を長尺のシート材に対して固定せず、或いは、伸縮材をシート材に対して弱い接着力で固定しておき、長尺のシート材を切断して各おむつを製造する際に、長尺のシート材とともに切断される伸縮材を、上記ループ材の配置領域にてスナップバックさせる方法を挙げることができる。このような方法により、ループ材の配置領域を、伸縮材(即ち、伸張状態の伸縮材)が配置されていない状態、又は伸張状態の伸縮材の一部を切断して伸縮材が非伸張状態で配置された状態とすることができる。
ここで、図6は、図1Cに示す使い捨ておむつのA−A’断面を示す概略断面図である。なお、図1Cに示す使い捨ておむつにおける各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。なお、図6における符号W3は、伸縮材が伸張状態で配置された領域を示す。
〔1−1〕本発明の使い捨ておむつの構成要素:
次に、本発明の使い捨ておむつの構成する各構成要素について更に具体的に説明する。
〔1−1a〕吸収体:
「吸収体」は、着用者の尿等を吸収し、保持するための部材であり、吸収性材料によって構成される。
「吸収性材料」としては、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。「フラッフパルプ」としては、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、「SAP」としては、ポリアクリル酸ナトリウムを、「親水性シート」としては、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
吸収体は、1種又は2種以上の吸収性材料を単層又は複層のマット状に成形したものを用いることが好ましい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。特に、フラッフパルプ100質量部に対して、40〜80質量部のSAPを併用したSAP比率が高い吸収体を用いるのが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させるか、フラッフパルプのマットの層間に層状に配置して用いればよい。
吸収体は、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等、所望の形状に成形して用いることができる。吸収体は、SAPの脱落を防止し、形状安定性を付与するという目的から、親水性シートによって被包されていることが好ましい。通常、吸収体はトップシートとバックシートの間に挟みこまれ、両シートと一体化された状態で用いられる。
〔1−1b〕トップシート:
トップシートは、吸収体の上面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、着用者の尿等を透過させる必要から、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
「液透過性材料」としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
「不織布」としては、エアスルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。「親水化処理」は、界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行うことができる。
トップシートは、「少なくとも一部」、具体的には、トップシートを平面的に見た場合に、少なくとも吸収体の表面近傍は液透過性材料により構成されていることが好ましい。
なお、吸収性物品の着用者の肌側に位置するシートが全てトップシートによって構成されている必要はない。即ち、着用者の肌と接するシートが、トップシートを含む複数のシートによって構成され、トップシートと他のシートがシートの表面方向に向かって継ぎ合わされたような構造となっていてもよい。
〔1−1c〕バックシート:
バックシートは、吸収体の下面(即ち、おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止するために、液不透過性材料によって構成されるものである。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、ムレが改善されて快適な着用感が得られるため、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。微多孔性ポリエチレンフィルムには微細な孔が多数形成され、この微細な孔の直径は0.1〜数μmであることが好ましい。
〔1−1d〕吸収性本体:
2ピースタイプのパンツ型おむつにおいては、トップシート、バックシートおよび吸収体を、吸収・保持機能を担う「吸収性本体」という一つの部材として構成し、これとは別個に製造された外装部材と接合することによりパンツ型のおむつを構成する。この吸収性本体は、吸収体の上面側にトップシート、下面側にバックシートが配置されたものであり、トップシートとバックシートとの間に吸収体が介装された構造となっている。例えば、図1Bに示す使い捨ておむつ1Aは、トップシート18とバックシート20の間に吸収体22を挟みこみ、吸収体22の周縁部を封着することによって、トップシート18とバックシート20との間に吸収体22が介装された構造の吸収性本体14を構成した例である。
吸収性本体は、少なくともおむつの股下部をカバーするサイズに構成される。但し、漏れ防止の効果を確実なものとするため、股下部のみならず前身頃や後身頃の一部をもカバーする大きさに構成することが好ましい。吸収性本体は、例えばホットメルト接着剤等を用いて、外装部材に対して固定することができる。
〔1−1e〕外装部材:
外装部材は、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、具体的には、前身頃、股下部及び後身頃の各部を形成するシート状の部材である。
外装部材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等を挙げることができる。不織布としては、具体的には、スパンボンド不織布、カードエンボス不織布、SMS不織布、SMMS不織布などを挙げることができる。
外装部材は、脚周り伸縮材等を挟み込んだ状態で固定するために、2枚以上の不織布を貼り合わせて構成されることが多い。例えば、図1Aに示す使い捨ておむつ1Aは、外装部材16を2枚の不織布から構成し、その2枚の不織布の間に脚周り伸縮材80、ウエスト周り伸縮材82及び腹周り伸縮材84を挟み込み、固定した例である。
〔1−1f〕各種伸縮材:
本発明の使い捨ておむつは、ウエスト周り伸縮材、腹周り伸縮材、及び脚周り伸縮材等の各伸縮材を更に備えていてもよい。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
腹周り伸縮材は、ウエスト周り開口部と脚周り開口部との間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)に配置される伸縮材である。腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むタミーギャザーを形成することができる。このタミーギャザーは、ウエストギャザーと相俟って、おむつのフィット性やずり下がり防止効果を一層優れたものとすることができる。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸張率、固定時の伸張状態等を決定すればよい。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸張状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴムの弾性糸からなる糸ゴムである場合には、120〜400%の伸張状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸張状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸張状態で固定することにより、着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
前記のような伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
〔1−1g〕立体ギャザー:
本発明の使い捨ておむつは、撥水性シートからなり、吸収体の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザーを更に備えていてもよい。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、図1Bに示す使い捨ておむつ1Aに用いられる立体ギャザー26(26a,26b)のように、撥水性シート32(32a,32b)の層間に立体ギャザー伸縮材36(36a,36b)を挟み込んで固定し、その立体ギャザー伸縮材36の収縮力によってギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。この例では、撥水性シート32の折り返し部分に立体ギャザー伸縮材36を挟み込んで固定した例である。
なお、立体ギャザーは、前記のように立体ギャザー用の撥水性シートを別途付設してもよいし、おむつを構成するシート材の一部によって形成してもよい。撥水性シートは、カードエンボス、スパンボンド等の製法により製造された不織布であってもよいが、防水性の高いSMS、SMMS等の不織布シートが更に好ましい。
〔2〕使い捨ておむつの製造方法:
次に、本発明の使い捨ておむつの製造方法の一の実施形態について具体的に説明する。ここで、図7は、本発明の使い捨ておむつの製造方法の一の実施形態を模式的に示す概略平面図である。本発明の使い捨ておむつの製造方法は、これまでに説明した、例えば、図1A〜図1Cに示すような、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成され、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部同士(側縁部2a,6a、側縁部2b,6b)が接合された側縁接合部8によって、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成され、側縁接合部8近傍におけるおむつの内側面38に配置された、第一のメカニカルファスナー28aからなる第一止着部28と、側縁接合部8近傍におけるおむつの外側面39に配置された、第二のメカニカルファスナー29aからなる第二止着部29とを備えた使い捨ておむつ1Aを製造する製造方法である。
本実施形態の使い捨ておむつの製造方法は、図7に示すように、後に使い捨ておむつを構成する長尺のシート材40を用意し、この長尺のシート材40におけるおむつの内側となる面42aの一方の側縁40a側に、第一のメカニカルファスナー52を配設して第一止着部52aを形成するとともに、長尺のシート材40におけるおむつの外側となる面42bの他方の側縁40b側に、第一のメカニカルファスナー52と係合可能な第二のメカニカルファスナー54を配設して第二止着部54aを形成する工程(以下、工程(A)ということがある)と、第一止着部52a及び第二止着部54aを形成した長尺のシート材40を、第一止着部52aと第二止着部54aとを係合させない状態で、且つ上記おむつの内側となる面42aが内側となるように、長尺のシート材40の長手方向に沿って二つ折りに折り畳み、折り畳んだ長尺のシート材40における、得られるおむつの両側縁部に相当する部位を、第一止着部52a及び第二止着部54aが両側縁部近傍に配置されるように接合して側縁接合部92を形成し、側縁接合部92にて長尺のシート材40を切断して使い捨ておむつ70を製造する工程(以下、工程(B)ということがある)と、を備えたものである。
上記した本発明の使い捨ておむつの製造方法によれば、図1A〜図1Cに示すような使い捨ておむつ1Aを簡便に製造することができる。特に、本発明の使い捨ておむつの製造方法は、従来の製造方法のように、メカニカルファスナーを一旦係合させ、且つ係合させた状態のメカニカルファスナーの一方を、おむつを構成するシート材に後から接合させるというような煩雑な工程を行うことなく、簡便に使い捨ておむつを製造することができる。
なお、本発明の使い捨ておむつの製造方法においては、第一のメカニカルファスナーとして、メカニカルファスナーのフック材を用い、第二のメカニカルファスナーとして、メカニカルファスナーのループ材を用いることが好ましい。
このように構成することによって、二つ折りに折り畳まれた状態で製造される使い捨ておむつの内側となる面に、メカニカルファスナーのフック材が配置されることとなるため、製造された使い捨ておむつを包装(袋詰め)する際に、複数枚の使い捨ておむつを積層して包装したとしても、隣接するおむつ同士がフック材を介して結合してしまうことがなく、良好におむつを包装することができる。また、おむつの使用時においては、包装袋から、一枚ずつ使い捨ておむつを簡単に取り出すことができる。
また、本発明の使い捨ておむつの製造方法においては、第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーのうちのいずれか一方のメカニカルファスナーとしてフック材を用いるとともに、他方のメカニカルファスナーとしてループ材を用い、且つ、少なくともこのフック材に、フック材の係合面を被覆する被覆テープを配置することも好ましい形態の一つである。
このように構成することによって、二つ折りに折り畳まれた状態で製造される使い捨ておむつを包装する際に、複数の使い捨ておむつを積層して包装したとしても、隣接するおむつ同士がフック材を介して結合してしまうことがなく、良好におむつを包装することができる。また、おむつの使用時においては、包装袋から、一枚ずつ使い捨ておむつを簡単に取り出すことができる。
以下、本発明の使い捨ておむつの製造方法における各工程を更に具体的に説明する。
〔2−1〕工程(A):
まず、本発明の使い捨ておむつの製造方法においては、図7に示すように、後に使い捨ておむつを構成する長尺のシート材40を用意し、この長尺のシート材40におけるおむつの内側となる面42aの一方の側縁40a側に、第一のメカニカルファスナー52を配設して第一止着部52aを形成するとともに、長尺のシート材40におけるおむつの外側となる面42bの他方の側縁40b側に、第一のメカニカルファスナー52と係合可能な第二のメカニカルファスナー54を配設して第二止着部54aを形成する。
このように、長尺シート材の一方の面と、他方の面とにそれぞれメカニカルファスナーを配置して、おむつのウエスト周りにおける止着部を形成する。従来の使い捨ておむつの製造方法においては、メカニカルファスナーを予め係合させ、使い捨ておむつをパンツ型に構成して製造することが行われているが、本発明の製造方法においては、メカニカルファスナーを係合させない状態で長尺のシート材に各メカニカルファスナーを配設する。
なお、後に使い捨ておむつを構成する長尺のシート材としては、従来の2ピースタイプのパンツ型使い捨ておむつを製造する際に使用される長尺のシート材と同様に構成されたものを好適に用いることができる。具体的には、例えば、おむつの外装部材を構成するインナーシートとアウターシートの組み合わせを挙げることができる。このようなインナーシート及びアウターシートは、不織布等によって構成することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等からなるシートを好適例として挙げることができる。
図7においては、後に外装部材のアウターシートとなる長尺アウターシート40xと、外装部材のインナーシートとなる長尺インナーシート40yとの間に、後に形成される脚周り開口部に沿って、後に脚周り伸縮材となる長尺伸縮材Er1が配置され、また、後に形成される前身頃部分と後身頃部分に、後にウエスト周り伸縮材となる長尺伸縮材Er2,Er3と、後に腹周り伸縮材となる長尺伸縮材Er4,Er5も併せて配置し、接着剤によって伸張状態で固定することによって長尺のシート材40を形成した例を示している。なお、これらの長尺伸縮材は、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
本発明の製造方法においては、図7に示すように、このようにして得られた長尺のシート材40における、おむつの内側となる面42aの一方の側縁40a側、及びおむつの外側となる面42bの他方の側縁40b側に、第一のメカニカルファスナー52と第二のメカニカルファスナー54とをそれぞれ配設して、図1Aに示すような使い捨ておむつ1Aの側縁接合部8を引き剥がして展開させた場合に、おむつをパンツ型に構成するための各止着部(第一の止着部及び第二止着部)を形成する。
なお、図7に示すように、第一のメカニカルファスナー52及び第二のメカニカルファスナー54は、長尺のシート材40の長手方向に垂直に切断する際の切断予定線90の両側にそれぞれ配置して、第一止着部52aと第二止着部54aとが、得られる使い捨ておむつの側縁接合部近傍に配置されるようにする。なお、上記した「切断予定線90」とは、長尺のシート材40から個々の使い捨ておむつを切り離す際に、切断が予定される仮想的に設定された線のことである。
なお、第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーを、長尺のシート材に接合する方法については特に制限はないが、例えば、ホットメルト接着剤等を用いて、長尺のシート材に対して固定することができる。
第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーの大きさ及び形状についても特に制限はなく、例えば、得られる使い捨ておむつの側縁接合部を引き剥がして展開させた場合に、おむつの前身頃と後身頃の対応する側縁部同士を接合してパンツ型に構成可能なものであればよい。図7においては、切断予定線90の両側における、得られるおむつの前身頃と後身頃の側縁部に対して、長尺のシート材40の長手方向に垂直な方向に長い帯状のメカニカルファスナー52,54を配設した場合の例を示している。
なお、図7においては、長い帯状のメカニカルファスナー52,54を、各側縁部分の切断予定線90の両側にそれぞれ一つずつ配置して各止着部(第一止着部52a,第二止着部54a)を形成した場合の例を示しているが、例えば、長尺のシート材の幅方向(長尺のシート材の長手方向に垂直な方向)に、複数のメカニカルファスナーを並べて配置してもよい。即ち、複数のメカニカルファスナーによって、各止着部を形成してもよい。
例えば、本発明の使い捨ておむつの製造方法においては、図8に示すように、第一のメカニカルファスナー52又は第二のメカニカルファスナー54として、メカニカルファスナーのフック材58を用い、長尺のシート材40の幅方向に、二以上のフック材58を間欠的に配置してもよい。このように構成することによって、図3A及び図3Bに示すような使い捨ておむつ1Bを製造することができる。
ここで、図8は、本発明の使い捨ておむつの製造方法の他の実施形態を模式的に示す概略平面図である。なお、図7に示す使い捨ておむつの製造方法における各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。また、図8においては、第一のメカニカルファスナー52としてフック材58を用いた場合の例を示しているが、長尺のシート材40におけるおむつの外側となる面42bの他方の側縁40b側に配置される第二のメカニカルファスナー54として、二以上の間欠的に配置されたフック材58を用いてもよい。
また、例えば、図9に示すように、第一のメカニカルファスナー52又は第二のメカニカルファスナー54として、単一の基材シート55に複数のメカニカルファスナーのフック材58が接着されたものを用い、このような複数のフック材58が配置された基材シート55を長尺シート材40に配設してもよい。このように構成することによって、図4A及び図4Bに示すような使い捨ておむつ1Cを製造することができる。このような使い捨ておむつは、上記した二以上のフック材を間欠的に配置した場合と同様に、おむつのフィット性を向上させることができるとともに、フック材の配置が容易となり、製造工程を簡略化することができる。
ここで、図9は、本発明の使い捨ておむつの製造方法の更に他の実施形態を模式的に示す概略平面図である。なお、図7に示す使い捨ておむつの製造方法における各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。また、図9においては、第一のメカニカルファスナー52として、複数のフック材58が基材シート55に配置されたものを用いた場合の例を示しているが、長尺のシート材40におけるおむつの外側となる面42bの他方の側縁40b側に配置される第二のメカニカルファスナー54として、複数のフック材58が基材シート55に配置されたものを用いてもよい。
また、本発明の使い捨ておむつの製造方法においては、図10に示すように、第一のメカニカルファスナー52又は第二のメカニカルファスナー54として、メカニカルファスナーのループ材59を用い、このループ材59を、長尺のシート材40を切断する際の切断予定線90を跨ぐように配置し、側縁接合部92を形成した後に、長尺のシート材40の切断とともにループ材59を切断して、隣り合う二つのおむつにおける側縁接合部92近傍に、切断されたそれぞれのループ材59によって止着部(例えば、第一止着部54a,54a)を形成してもよい。
このように、ループ材を、長尺のシート材の切断予定線を跨ぐように配置することによって、一枚のシート状のループ材から、隣り合う二つのおむつにおける側縁接合部92近傍にそれぞれ止着部を製造することができ、ループ材の配置が容易となり、製造工程を簡略化することができる。
ここで、図10は、本発明の使い捨ておむつの製造方法の更に他の実施形態を模式的に示す概略平面図である。なお、図7に示す使い捨ておむつの製造方法における各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。また、図10においては、第二のメカニカルファスナー54としてループ材59を用いた場合の例を示しているが、長尺のシート材40におけるおむつの内側となる面42aの一方の側縁40a側に配置される第一のメカニカルファスナー52として、切断予定線90を跨ぐように配置されるループ材59を用いてもよい。
また、図11に示すように、第一のメカニカルファスナー52又は第二のメカニカルファスナー54として、複数のフック材58が基材シート55に配置されたものを用いた場合には、例えば、基材シート55の縦横にフック材58を複数配置し(例えば、図11においては、基材シート55に、縦2列、横2列となるように、合計四つのフック材58を配置し)、この基材シート55を、配置されたフック材58同士の隙間(即ち、長尺のシート材40の長手方向に隣接するフック材58同士の隙間)が、長尺のシート材40を切断する際の切断予定線90を跨ぐように配置し、長尺のシート材40の切断とともに基材シート55を切断して、隣り合う二つのおむつにおける両脇腹の部位近傍に、切断されたそれぞれの基材シート55とこれらの面に配置された各フック材58とによって止着部(例えば、第一止着部54a,54a)を形成してもよい。
このように構成することによって、一枚の基材シートを二つに分断して、隣り合う二つのおむつにおける両脇腹の部位近傍にそれぞれ止着部を製造することができ、フック材の配置が容易となり、製造工程を簡略化することができる。
ここで、図11は、本発明の使い捨ておむつの製造方法の更に他の実施形態を模式的に示す概略平面図である。なお、図7に示す使い捨ておむつの製造方法における各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。また、図11においては、第一のメカニカルファスナー52として、複数のフック材58が基材シート55に配置されたものを用いた場合の例を示しているが、長尺のシート材40におけるおむつの外側となる面42bの他方の側縁40b側に配置される第二のメカニカルファスナー54として、複数のフック材58が基材シート55に配置されたものを用いてもよい。
また、本発明の使い捨ておむつの製造方法においては、例えば、長尺のシート材の長手方向に沿って、伸張状態の伸縮材(例えば、図7における長尺伸縮材Er2,Er3,Er4,Er5)を配置する工程を含み、且つ、第一のメカニカルファスナー又は第二のメカニカルファスナーとして、メカニカルファスナーのループ材を用いた場合において、このループ材を、長尺のシート材40の、伸縮材Er2,Er3,Er4,Er5が配置されていない領域(より具体的には、伸張状態の伸縮材Erが配置されていない領域)、又は伸張状態の伸縮材の一部を切断して伸縮材が非伸張状態で配置された領域に配置することが好ましい。
即ち、図7に示すような長尺伸縮材Er2,Er3,Er4,Er5によって、おむつのウエストギャザーやタミーギャザーが形成されるが、上記したウエストギャザーやタミーギャザー上にループ材を配置すると、ギャザーの形状に沿って配置されるために、ループ材がしわになり、フック材との係合力が低下することがある。このため、メカニカルファスナとしてループ材を配置する場合には、伸張状態の伸縮材が配置されていない領域、又は伸張状態の伸縮材の一部を切断して伸縮材が非伸張状態で配置された領域の少なくとも一方の領域に配置して、ギャザーによるしわがループ材の表面に出現しないようにすることが好ましい。
上述した、伸張状態の伸縮材が配置されていない領域、及び伸張状態の伸縮材の一部を切断して伸縮材が非伸張状態で配置された領域を形成する場合には、例えば、伸張状態の伸縮材を配置する際に、ループ材を配置する部位(以下、ループ材の配置領域ともいう)においては、伸縮材を長尺のシート材に対して固定せず、或いは、伸縮材をシート材に対して弱い接着力で固定しておくことにより、長尺のシート材とともに伸縮材を切断予定線にて切断することにより、ループ材の配置領域にて伸縮材をスナップバックさせる方法を挙げることができる。このような方法により、ループ材の配置領域を、伸張状態の伸縮材が配置されていない状態、又は伸張状態の伸縮材の一部を切断して伸縮材が非伸張状態で配置された状態とすることができる。
また、この工程(A)においては、上記した第一のメカニカルファスナー及び第二のメカニカルファスナーを配設するとともに、長尺のシート材40におけるおむつの内側となる面42aに吸収性本体14を配置する。吸収性本体14は、例えば、ホットメルト接着剤等を用いて、長尺のシート材40におけるおむつの内側となる面42aに対して固定することができる。
なお、吸収性本体14は、吸収体22がトップシート18とバックシート20との間に介装された、パッド状のものである。吸収性本体を製造する方法としては、例えば、まず、バックシートの上面に、ティシュ(親水性シート)に包まれた吸収体を配置し、更にその上面にトップシートを配置する。次に、吸収体の周縁部をトップシートとバックシートとで挟み込むように封着することによって、図7に示すような吸収性本体14を製造することができる。
この際、吸収性本体は、少なくとも得られるおむつの股下部をカバーするサイズに構成することが好ましい。但し、漏れ防止の効果を確実なものとするため、股下部のみならず前身頃や後身頃の一部をもカバーする大きさに構成することが好ましい。
また、図7に示すように、立体的に起立可能な防漏壁である立体ギャザー26を製造し、これを吸収性本体14に付設してもよい。立体ギャザー26は、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。
〔2−2〕工程(B):
次に、本発明の使い捨ておむつの製造方法においては、図7に示すように、第一止着部52a及び第二止着部54aを形成した長尺のシート材40を、第一止着部52aと第二止着部54aとを係合させない状態で、且つ上記おむつの内側となる面42aが内側となるように、長尺のシート材40の長手方向に沿って二つ折りに折り畳み、折り畳んだ長尺のシート材40における、得られるおむつの両側縁部に相当する部位を、第一止着部52a及び第二止着部54aが両側縁部近傍に配置されるように接合して側縁接合部92を形成し、側縁接合部92にて長尺のシート材40を切断して使い捨ておむつ70を製造する。
より具体的には、まず、第一止着部52a及び第二止着部54aを形成した長尺のシート材40を、この長尺のシート材40の側縁同士が互いに重なるように二つ折りに折り畳み、得られる使い捨ておむつ70が、おむつの側縁部で連結された状態(即ち、おむつの側縁部で切断されていない状態)とする。
次に、得られる使い捨ておむつ70の側縁部に相当する部位を接合することにより、側縁接合部92を形成しておむつ連続体を形成する。側縁接合部92は、例えば、得られる使い捨ておむつ70の側縁部に相当する部位を、ヒートシールでライン状に接合して形成することができる。
その後、長尺のシート材40の側縁接合部92を、長尺のシート材40の幅方向に側縁接合部92の中心線に沿って切断し、使い捨ておむつ70を製造する。
なお、得られた使い捨ておむつ70は、複数枚の使い捨ておむつ70を積層して包装袋等に包装し、包装体としてもよい。上述した使い捨ておむつを包装する包装袋は、使い捨ておむつの包装に使用されている従来公知の樹脂製の包装袋を好適に用いることができる。より具体的には、例えば、両側縁を谷折りにしたガゼット構造を有する長尺チューブ状の包装フィルムを一定長さに切断して形成された包装袋等を挙げることができる。
この工程(B)においては、第一止着部及び第二止着部を形成した長尺のシート材を長手方向に沿って二つ折りに折り畳む前、又は、二つ折りに折り畳んだ後に、おむつの脚周り開口部を形成するように長尺のシート材を切断し、脚周り開口部を形成する。
図7においては、第一のメカニカルファスナー52、第二のメカニカルファスナー54、及び吸収性本体14を断続的に配置・固定した後、脚周り開口部62を形成する領域を切除して、脚周り開口部62を形成した例を示している。